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知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会 第27回

2026-01-30一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

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議事録

知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会 第27回 議事要旨 〇日時 : 2026年1月30日(金) 10:00-12:00 〇場所 : WEB開催 〇出席者 : 加賀谷座長、荒木委員、和泉委員、江良委員、菊地委員、三瓶委員、 杉光委員、武井委員、中村委員、林委員、松原委員、森委員 1.議論 (1)経営者の関与による企業固有の強みの形成 ・真の知財経営、すなわち知財を持続的に成果へ結び付ける本質的議論を経営トップと行う必要が ある。自社の本来の強みに焦点を当てた地に足の着いた議論が必要である。当社の強みは「こだ わり」と「つながり」に集約される。資料5に示した例として、スタッドレスタイヤでは、なぜ 滑るか、どうすれば滑らないかへの徹底したこだわりと、安定生産という難題を部門間の相互リ スペクトで支える内部バリューチェーンのつながりがある。鉱山用タイヤを活用した鉱山ソリュ ーションでは、苛酷条件下での故障実態や顧客の困りごとを深く理解し、開発・事業部が強く連 携し、さらに顧客ともつながることで提案力を高めてきた。こうした「こだわり」と「つなが り」は当社特有ではなく日本産業全体のエンジンである。「こだわり」は本質へのアプローチで あり、「つながり」は具現化の連鎖(バリューチェーンの組み立て)である。課題が明確な領域 では強みを発揮する一方、潜在的ニーズの発見といった課題が見えにくい領域には弱さがあり、 これが失われた 30 年の一因ではないかと考察している。「つながり」については、日本は有形資 産(工場)を活かす力と、すり合わせの強さが優れている。日本の強さのベースには、ベクトル 合わせの文化があり、秘伝のたれが枯れずに再生産される点がある。他方、問題は経営の意思決 定とこのエンジン/文化が十分につながっていない点にあり、年数回のトップ報告ではなく、日 常的な「バトル・コミュニケーション」が不足している。 ・日本の強みとして、知財の再生産力、PDCA に基づく持続的イノベーション、有形資産(工場) の巧みな活用がある。弱みとして、破壊的イノベーションへの脆弱さや不確実テーマへの投資不 足、強みの訴求不足や技術を安売りする傾向がある。提言として、強みである「こだわり/つな がり」をさらに活かす議論を経営トップと行い、バトル・コミュニケーションをすること、弱み である課題の発見力を産学連携やオープンイノベーションで補うことや、IP ランドスケープ (IPL)の活用を拡充すべき。日常的なバトル・コミュニケーションを成立させる前提として、 事業や開発の現場で知財がどうワークし、どのように価値へ転換されているかの理解を全社に浸 透させる必要がある。その上で経営トップとの対話を強化し、地に足の着いた知財経営を実現す べき。 ・なぜバトル・コミュニケーションが行われないのか、その理由が重要である。 ・日本企業は「こだわり」、「つながり」 、 「すり合わせ」やベクトル合わせ、秘伝のたれの継承とい 1 った強みを持つ一方で、経営陣がそれを十分に理解・把握していないという関係は不思議であ る。経営陣の関与がなくとも、現場に強みが残存している日本企業らしい構図には、今後の課題 解決の鍵が潜んでいるのではないか。 ・ 「強みがどのように形成されるか」という根本的なプロセスは十分議論されてこなかった。強み の形成には2種類のプロセスがある。1つ目は、暗黙知ベースの自然発生的な形成である。現場 でビジョン・価値観への「共感」が高まり、経験・ノウハウ・関係性が蓄積される。日本企業は 長期雇用が多く、経験等が伝承されやすい。しかし暗黙知ベースであるため、このプロセスを強 化するための具体的な方法が不明瞭になる。2つ目は、形式知ベースの意図的・戦略的な形成で ある。パーパス・ビジョン・価値観を「共有」し、目指すアウトカムを明確化し、無形資産を 「他社が模倣できない強み」へ育てる。形式知化されており組織的にプロセスを強化しやすい。 海外企業は、2つ目のプロセスを積極的に進め、投資家側もそれを評価する仕組みが整ってきて いる。これに対し日本企業では、自然発生的に強みを持っているが、経営者が把握できず投資家 にも伝わらないという構造が生まれており、結果として企業価値評価に反映されにくい。経営者 はこの点に危機感を持つべき。資料4の原則案の副題に「無形資産の意図的・戦略的形成から価 値化へ」といったメッセージを入れることで、「形成プロセス」を明示し、内容の説得力を高め られるのではないか。 ・クローズ戦略については、 「こだわり」と「つながり」という視点は非常に本質的である。顧 客・社会ニーズへの本質的アプローチの中で「こだわり」と「つながり」が生まれ、連鎖構造と して知財が企業を支えてきた歴史が日本企業にはある。しかし、その暗黙知は縁の下の力持ちと して機能する反面、可視化されず、光が当たらない構造を生み出してしまったとも言える。 日本 は人口減少・資源制約の国であり、今後の競争力の源泉は知財と人的資本にあることは明らかで ある。その意味で知財・無形資産ガバナンスガイドライン(GGL)の設計思想は可視化であり、 知財に価値を与える・知財を可視化するという思想が中心に据えられるべき。人的資本可視化指 針の設計がまさにそうであるように、GGL にも明確な思想・意図がなければ絵に描いた餅に終 わる可能性がある。したがって、GGL には強い意思と思想を持たせるべき。 ・短期的成果が見込める領域には投資が行われるが、10 年先の持続性を支える投資は管理・議論 が十分でない。また、暗黙知の蓄積による自然発生的な知財形成は日本企業の強みであるが、意 図的・戦略的な知財形成は弱点となっている。視野が狭く、オープンイノベーションの活用も十 分ではない。欧米型をそのまま導入することには難しさがあるが、富士フイルムや TDK のよう に、基盤となる強みを活かして大胆な転換に成功した日本企業も存在する。こうした事例を研究 することで日本型の戦略的知財形成の可能性を見出せるのではないか。 ・欧米はコト(サービス)中心であるが、日本はモノ(コア事業)の強さが基盤にあり、そこにコ ト(サービス)を加えることで独自の強みが発揮される。オープン&クローズ戦略においても、 モノ(コア事業)は強みの源泉として維持すべきであり、両利きの経営に相当して難しいのはコ ト(サービス)領域であるソリューション・プラットフォーム(以下「Sol-PF」)への投資であ る。経営層と共通言語で議論するためには、知財業界だけで語られがちな「オープン&クローズ 2 戦略」に話題を限定するのでは不十分である。モノ(コア事業)に加えてコト(サービス)の Sol-PF 戦略と、オープン&クローズ戦略とは本来、相互に結びついた一体の概念であり、両者を 統合・変換した視点で経営層と対話することが不可欠となる。米中においては、モノ(コア事 業)に対する政府投資の規模が圧倒的に大きい。政府投資の規模も踏まえて、競合に勝てるコア 技術・知財と、コト(サービス)への投資バランスが重要である。日本企業は、2000 年代以 降、顧客価値の多様化や新興企業の台頭によるコモディティ化の波に直面してきた。電気機械業 界から始まり、近年は化学業界へ、そして近い将来には自動車業界にも同様の潮流が及ぶと見込 まれている。こうした環境下では、モノ(コア事業)単独では競争優位を維持することが難しく なっている。そのため、モノとコトを組み合わせたビジネスモデルの強みをどう引き出すかが重 要となる。さらに、クローズ戦略とオープン戦略が相互補完することを前提に、どの領域へどれ だけ投資するか、顧客価値をどのように獲得していくかというバランス判断が、企業経営におい て極めて重要なテーマとなっている。 (2)経営者の知財・無形資産に対する注目度の向上 ・IT サービス領域では競争力の源泉が伝統的な特許中心から、ソフトウェア、AI モデル、エコシ ステム形成のパートナーシップなどに移行しているにもかかわらず、経営層はなお「知財=特許 管理」という伝統的理解に留まる傾向がある。他方、無形資産の管理は各社の知財部門でも発展 途上であるため、そこを解決へ導く示唆があれば経営層の目が向きやすくなる。 ・経営層の注目度を高めるには、機会と脅威の両面からの示し方が有効であり、海外協業など具体 的な戦略事例が危機感の醸成に資する。さらに、同業他社の動向を強く意識する経営者の特性を 踏まえ、先進企業のトップとメディアとを連携させてピア・プレッシャーを働かせるべき。 ・出発点は顧客・社会のニーズであり、どういうソリューションを持ち合わせて、保有知財などの 無形資産を組み合わせ、開発・改良・磨き上げを重ね、競争力を高め、差別化された価値やビジ ネスモデルへ仕立てることが本当に重要。知財を守備的な機能に限定せず、成長戦略、攻めの経 営戦略の中核として捉えるべき。その方が経営陣とも共通言語化しやすく、周囲からのサポート も得られやすい。一方で、原則案については、書かれている内容が本質的・普遍的であるがゆえ に、他の多数のガイドラインとの差別化が難しく、経営者が「当たり前」と受け流して記憶に残 らない懸念がある。リスクや機会の観点をさらに書き込み、記憶に残る工夫を施す余地がある。 ・経営層が知財に関心を持たない最大の理由は、知財は自分ごとではなく、知財部門の話だと捉え ていることである。知財戦略という言葉が機能別戦略と誤解され、経営戦略と切り離されてしま うため、経営者が主体的に関与しなくなる。一方、IPL は経営戦略・事業戦略そのものの議論に 資するという点で、経営層に「自分ごと化」を促す強力な概念となっている。 ・原則案について、正しいが記憶に残らず動機づけにならないという問題がある。より刺激的で腹 落ちするキーワードが必要である。例として人的資本可視化指針の「可視化」という言葉のよう に、知財・無形資産でも「知的資本可視化」のような表現を入れると明確性が増す。 ・今後提示されるコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂案を踏まえて、どのような内容を 3 記載すれば経営層に届くのかを検討することが重要である。文言そのものよりも、どのような中 身を構成すべきか、という視点を、この段階で整理する必要がある。そのうえで重要なのか、価 値創造ストーリー、言い換えると、成長の道筋をしっかりと示すこと、そして、成長投資をきち んと行うことである。 「価値創造ストーリー」と「成長投資」、この2つが大きなキーワードであ る。 ・CGC や経済産業省の『 「稼ぐ力」を強化する取締役会5原則』は、経営層および取締役会が巻き 込まれるということを明確に示している。経営層および取締役会は、きちんと自社の強みや競争 優位性について議論を進めるべきだが、現実には、知財・無形資産が取締役会の議題となってい ない企業が依然として多い。知財を「自分ごと」と捉えていない企業が多く、経営層と知財部門 との距離が大きいことがその一因である。 取締役会での議論に至る前段階として、経営会議な ど上位マネジメント層の場で、少なくとも年に一度は知財・無形資産をテーマに議論する体制を 構築する必要がある。 ・知財・無形資産への成長投資とは具体的に何に投資するのかという点は経営者にとって非常に重 要であり、これをわかりやすく言語化する必要がある。投資先や投資の構造を具体的に示すこと が、経営層の納得と行動につながる。 さらに、知財・無形資産を取締役会の議題に上げる効用 として、知財部門が視野を広げ、全社戦略に触れることで成長することが挙げられる。また、経 営層側にも新しい知識・視点を得られるというメリットがある。知財・無形資産を取締役会で議 論する意義とは、単にガバナンス上の形式ではなく、企業内部の壁を破り、全社の視座を統合す る点にこそある。結論として、知財を成長戦略および成長投資に結びつけ、経営層が自らの課題 として捉えられるような枠組みを構築する必要がある。 ・経営層と知財部門との言語体系の断絶が最大のボトルネックである。経営層は「事業の勝ち 筋」、 「成長投資」 、「リスクテイク」という言葉で意思決定を行うが、知財部門は「特許権利 化」 、「分析」など知財固有の言葉で語りがちである。この言語ギャップが、CGC が経営層に届 かず、関心を持たれず、腹落ちしない最大の要因である。CEO が自ら語る状態を実現するには、 知財・無形資産を経営の言語へ翻訳する仕組みが不可欠。ここで IPL が重要な役割を担う。IPL は特許情報を事業の未来を示すシグナルとして再構成し、経営の意思決定に使える形へ翻訳する アプローチである。競合の事業意図、新規参入の兆候、M&A の伏線などは、財務情報より特許 情報を用いたほうが早期に把握できる場合が多い。こうした IPL を手掛かりに、経営者の言語へ 翻訳することで、CEO が自ら語り、社内で共通言語が生まれる状態を作ることができる。 ・価値創造ストーリーが希望的観測に見える理由は因果パスの欠如にある。価値創造ストーリーが 経営層に響かない背景には、無形資産 → 事業モデル → 収益性 → ROIC 向上という因果パス が明確に提示されていない点にある。IPL を活用し、成長領域、競合の投資先、技術トレンドな どを定量的に可視化することで、価値創造ストーリーの現実性を高める必要がある。また、撤 退・M&A・新規投資など事業ポートフォリオ評価には無形資産の視点が必須であり、経営層が 自ら判断する場面でこそ、無形資産の可視化が最も効果を発揮する。 ・IPL や因果パスの必要性がこれまで議論されてきたにもかかわらず、企業にその活用が広がって 4 いない背景こそ検討すべき。知財部門に共通言語を扱う能力が不足しているため、経営層との対 話が成立していないという課題は、重要な視点であり、短期・中期・長期で取り組むべき項目を 整理したうえで議論を深める必要がある。 ・知財と経営の言語の溝だけではなく、事業環境の変化を前提に議論する必要がある。特に製造業 ではモノ(コア事業)だけでは売れず、顧客の困りごとを解決する Sol-PF 事業が必須となって いる。Sol-PF 事業では知財を囲い込むだけでなく知財を顧客に使ってもらうオープン戦略が不可 欠であり、知財のオープン&クローズ戦略は経営戦略と表裏一体である。クローズ戦略は、R&D の成果をいかに良い特許として権利化するか、あるいはノウハウとして秘匿するかという点で、 従来から知財部門の中心的な役割・機能であった。モノ(コア事業)の強みを引き出すうえで、 このクローズ戦略は今後も重要である。一方でオープン戦略では、モノ(コア事業)だけでは価 値を十分に届けられない未開拓の顧客に対し、 「困りごと」やニーズを把握するマーケティング が不可欠となる。そこで得られたニーズを踏まえ、R&D ロードマップへ反映させる役割が求め られる。このオープン戦略に対応する役割・機能は、経営視点では極めて重要であり、企業とし て(知財部門として)新たに備えるべき役割・能力である。 ・知財用語のままでは経営陣に伝わりにくい。日本企業は人口減・地政学リスクなど VUCA 環境 下で、企業価値向上に向けた事業ポートフォリオ変革が最重要課題となっており、CEO やボー ドの主たる関心はデータ、サプライチェーン、組織能力といった無形資産の領域である。したが って、GGL では知財・無形資産のスコープが特許権に限らないことを明確に再定義し、経営の 言語に翻訳して提示する必要があるし、組織の共通言語になる。また、知財・無形資産はボード メンバーが常に考えている領域そのものであることを強調し、本文に注釈を付け、スコープとし て、知財権だけでなく、データ、サプライチェーン、組織能力を含むことを強調すべき。それに より、経営層の当事者意識が高まり、議論が活性化する。 ・経営者から相談を受ける際、多くの企業が抱えている悩みはコングロマリット・ディスカウント (事業多角化による企業価値の市場評価低下)である。また、スタートアップでも IPO 前に企 業価値を高めるため、コア事業と複数の Sol-PF 事業を統合しプラットフォーム化することが鉄 則になっている。大企業がコングロマリット・ディスカウントを解消する方法は主に 2 つある。 一方は、コア技術・事業のケイパビリティを他用途・市場に展開する施策(例:富士フイルムの 化粧品・再生医療分野) 。他方は、同一バリューチェーン上で、モノ(コア事業)と Sol-PF 事業 を結びつけてシナジーを創出する施策である。近年、収益性を高めることができている事業の多 くは主に後者であり、前者のイノベーションにおいても後者を組み合わせることで収益性を高め る確度が上がる。 (3)具体的なアクションに対するハードルの低下 ・実行のハードルを下げるために、プレイブックやテンプレート等のツールが必要であり、事業部 長、企画部長、CFO など役割別のマニュアルや対話ガイドが有効である。B2B と B2C の違いに も対応できるモジュール化を進め、中小企業・スタートアップでも容易に使えるツールセットを 5 整備すべき。生成 AI を組み合わせた簡便なツールであれば普及が進む。 ・事業部が強い企業ほど Sol-PF 事業は投資効率が悪いと判断されやすく、イノベーションのジレ ンマが発生する。Sol-PF 事業の投資判断について、事業部から切り離して、コア事業の利益率等 と異なり顧客数など KPI を別で設定して、本社側機能として意思決定させる体制が必要(大きい 事業部門である場合は、事業部門の中でビジネスアーキテクトが存在する従来からの事業部門の 投資と切り離した体制を取ることもある) 。知財部門が経営領域に入り込むための現実的な進め 方として、いきなり IPL 提案やオープン&クローズ戦略を経営会議で提示するのではなく、まず Sol-PF 事業の推進や個人情報・顧客データの取扱いに関する契約体制の社内構築という、知財部 門が元来担ってきた役割・機能の延長線上から着手することが重要である。日立製作所の Lumada のように、知財部門が契約面から経営へ入り込み Sol-PF 事業を支えた好事例がその典 型である。こうした契約・データガバナンスの実務を通じて知財経営戦略を扱う役割を社内で定 着させることができれば、経営企画や事業・技術企画部門と同様に「経営戦略を担う機能」とし て社内で認知されるようになる。その段階に至って初めて、マーケティングや R&D ロードマッ プ設計など高度な戦略策定の領域においても、外部の戦略コンサル等専門家との連携に必要な予 算と権限を確保しながら、IPL での事業・技術戦略策定やオープン&クローズ戦略の立案という 本来の役割を担うことが可能になる。現状は、戦略策定の役割が社内で十分に認められていない ために外部専門家との連携予算も確保できず、戦略策定自体が困難な状況に置かれている企業が 多い。この状況を打破するためには、契約実務という既存の足場から経営への関与を段階的に広 げていくアプローチが、心理的にも実務的にも最も安定的かつ確実な道筋である。 (4)政策・ガイドラインの整理・整備 ・国としての日本の知財が日本経済に利益をもたらしていることに対する PR、投資家による知財 評価、そして企業経営者が自社の収益源・強みを客観的に把握できる指標整備が必要である。知 財・無形資産の価値創造は本来、経営者自身が能動的に描くべきものであり、会社の強みを把握 し、それをどう成長させるかというストーリーは、経営者主導で構築されるべき。経営者自らが 強みを見極め、必要な資産を主体的に調達・育成し、財務価値へつなげていくべき。この実現の ためには、政府・省庁がリーダーシップを取り、投資家が「貴社の強みは何か」 、 「それを活かせ ているのか」を強く問い、経営者が気づいたタイミングで各種コンソーシアムと連携して後押し する環境づくりが必要である。人的資本経営コンソーシアムがうまく機能しているように、知 財・無形資産の領域でも同様の枠組みが有効と考える。 ・GGL の改訂は、知財推進計画 2026 との接続を意識したものになると理解している。クローズ戦 略とオープン戦略は本来つながっており、モノからコトへという大きな枠組みの中で議論する必 要がある。経済産業省のオープン&クローズ戦略の資料や人的資本可視化指針との接続を常に意 識し、統合的なアプローチでガイドラインを設計することが重要である。 6 ・セイコーエプソンは、金融庁の「記述情報の開示の好事例集 2025」 1において、知財関連で唯一 取り上げられた企業である。その評価ポイントは知財指標を用いた開示である。現在、有価証券 報告書(有報)ではサステナビリティに関する項目の中で知財が扱われているが、サステナビリ ティに限定されることで知財が十分に注目されていない可能性がある。そのため、有報の記載項 目に「知財・無形資産」の文言を明示的に含めるべき。これにより企業経営者の意識も高まり、 知財ガバナンスの浸透が進む。 (5)知財・無形資産への投資の具体化、成長投資による費用増の正当化 ・経営者に行動を促すためには知財・無形資産とは何か、知財・無形資産投資とは何を指すのかを 明確化する必要がある。人的資本投資は給与・教育など具体的で分かりやすいが、知財・無形資 産投資は何をすればよいのかが曖昧なままである。知財・無形資産投資の例として、研究開発投 資、ブランド価値向上のための市場開拓、DX を活用した生産性向上、創造人材・プロデューサ ー人材の育成など、具体的な活動や資金使途を明示する必要がある。さらに、経営会議の場で経 営者が自社のコア価値・強みをどう高めるかを議論すること自体が、知財・無形資産投資の一部 であると位置づけるべき。 ・成長投資とは具体的に何へ、どのように資金を投じるのかという点は、極めて重要な論点である と考える。無形資産、特に買収によらない自己創設型の無形資産は、会計上は資産計上できず費 用となる。その勘定科目は販売費及び一般管理費(販管費、SG&A)であり、R&D も販管費の 一部を構成する。多くの自己創設型の無形資産は、この販管費の中に極めて多様な形で潜り込ん でいるため、無形資産への成長投資を拡大しようとすると、売上高が変わらない場合、販管費比 率が上昇し、結果的に営業利益率(OP マージン)が低下するという構造が生じる。これは経営 トップにとって投資家からの批判につながり非常に扱いづらい。しかし、米国企業の中には意図 的・戦略的に無形資産を形成し、販管費比率を継続的に引き上げつつも、粗利率の高さによって 高い ROIC を実現している例が多い。この粗利率を十分に確保するからこそ販管費としての成長 投資が持続可能となるという循環が成立している企業と、30 年間コストカットに偏り、価値創造 のサイクルを回してこなかった日本企業との間には大きな差が生じている。成長投資は掛け声だ けでは成立せず、粗利率を高める仕組み、意図的・戦略的な無形資産形成と、そこへ販管費とし て資金を投じる構造への深い理解が必要である。人的資本への投資においても同様の構造が存在 する。日本全体として、この論点を真剣に認識し取り組む必要がある。 ・粗利率に投資原資を乗せられる企業は、そのマージンを基礎として無形資産投資を拡大できる。 しかし、現状では強みの再整理やマージン改善が必要な企業が多く、そのような企業は投資家に 対して成長投資の合理性・必要性を十分に説明できなければ批判を受けてしまう。不確実性を含 1 記述情報の開示の好事例集 2025(サステナビリティ情報の開示) 1-48 にて、セイコーエプソン の有価証券報告書について記載がある。 7 む成長投資を投資家にどう説明し、納得を得るかが現在の日本における大きな課題である。価値 創造プロセスをどのように伝え、どこまで開示し、どの程度のリスクと成果見込みを示すのか、 GGL がそのヒントとなる必要がある。 ・政府予算において単年度予算を複数年度化する議論が進んでいるように、企業も中期計画を掲げ つつ実際には単年度業績を優先し、R&D 費などの販管費を短期的に圧縮してしまいがちであ る。 経営者は短期的な利益悪化を避けたいという心理が強いため、長期投資としての R&D など のための販管費の増加を受け入れにくい。これは企業経営の自己矛盾を引き起こし、持続的成長 に必要な投資が行われない構造を生む。 したがって投資家が長期視点を持ち、取締役会も中長 期ビジョンを見定め、販管費を管理会計上で成長投資と位置付け、一定の投資継続を許容する環 境を整備する必要がある。また、毎年の投資継続とその成果の評価を、投資家が適切に理解・支 持できる枠組みが求められる。 ・販管費を削減対象と見る見方と、成長投資の源泉と見る見方が併存しており、投資家に対して長 期投資の必要性と成果の見込みを明示できなければ理解は得られない。成長投資として何をどこ まで開示し、どのプロセスをどのように測定するか、見える化と説明責任が今後の大きな論点で ある。 ・販管費の開示・分解の難しさに対し、実務上の具体的手法として、富士フイルムや日立などが実 践する、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)や社内スタートアップ制度がある。スター トアップとして事業を切り出すことで、会計、人事制度、投資評価を本体事業から区分し、投資 家への説明責任が果たしやすくなる。また、大学との連携やジョイントベンチャー型の切り出 し、あるいは中小企業の買収(M&A)なども無形資産を可視化し成長投資を説明するための有 効な手段である。 (6)知財・無形資産を活用できる人材の育成 ・知財・無形資産を活用できる人材育成が不可欠である。知財部門だけの取り組みでは不十分であ り、プロデューサー人材を含む多様な職種が、強みの創造・活用プロセスを理解できるように教 育体系を整えるべき。経営者自身も知財・無形資産を活用した利益率向上、提携深化、価値創造 ストーリー形成に関する経営ノウハウを学ぶ必要がある。これらを人的資本戦略の重要な柱とし て組み込むべき。 ・創造人材に加え、決定的に不足している、無形資産を事業へつなげるマネジメント人材の育成が 不可欠である。従来の知財部門は発明を権利化するスキルに偏重してきたため、経営の言語と接 続できる人材が極めて少ない。必要とされるスキルセットとして、1)技術・市場・財務を統合 的に理解し翻訳する能力、2)データを構造化し因果パスを描く能力、3)事業ポートフォリオ全 体を俯瞰しリスクテイクを提案する戦略思考、4)組織を巻き込み共通言語を形成するコミュニ ケーション能力がある。これらを具備する人材の育成こそが、知財部門を経営の登竜門へと変え ていく鍵である。 ・資料4の原則 4 に記載の人材育成について、創造人材とマネジメント人材の双方を育成すること 8 が、持続的な企業価値向上の要となる。企業経営アドバイザー検定は、無形資産・知財の可視化 能力、経営戦略・財務・生産管理の知識の双方を備えることを目指す資格であり、両人材の育成 に有効であるとともに、両人材の習得によりコミュニケーションがよりかみ合いスピーディにな る。この資格保有者は GGL ロゴを名刺に掲載でき、GGL 理解の普及につながっている。 ・Sol-PF 事業の推進にはマーケティングや R&D ロードマップ設計など高度な戦略策定スキルを要 し、IPL においても特許データのみでは不十分で顧客インタビュー等の追加データが不可欠であ る。(3)で述べたとおり、知財部門が経営戦略を担う役割として社内で認知された段階で、外 部専門家との連携を前提としながら、何を社内で行い、どこを外部に委託するかを定めた実務指 針を整備することが重要である。 ・知財部門単独で対応するにはハードルが高い領域が存在する点は重要な観点であり、ガイドライ ンの実効性を高めるうえでも、どの機能が何を担うべきか整理が必要である。 ・人材育成に関して、知財部門を経営人材の登竜門にするという指摘は重要ではあるが、多くの企 業にとっては組織文化の大きな変革を伴い、現実的には浸透しにくいと感じている。経営者が必 要性を確信しトップダウンで動かなければ組織は動かない。そのため、具体的なキャリアパス、 研修体系、評価制度などの詳細設計が不可欠であり、人材像が企業全体をどのように動かすかの イメージを共有しなければ変革は実現しない。 ・段階を踏まずに人材要件だけを提示すると、組織が萎縮してしまう危険がある。ガイドラインに はステップを踏んだ促しの仕組みが必要である。 ・今後重要となるのは、経営企画・IR・知財部門を横断した経営人材育成であり、経営戦略、知財 戦略財務、IR を総合的に理解し、協働できる人材が必要である。そのための体系的な人材育成プ ログラムを確立すべき。 (7)好事例の重要性 ・最終段階の状態を経営者が具体的にイメージできなければ、そこへ向かうプロセスで迷いが生じ る。実際の好事例を積極的に提示することが効果的であり、すでに日本でも少数ながら確実に先 進事例が生まれている。GGL は浸透していないと言われがちだが、むしろ、ようやく浸透し始 めたという実感を持っている。 ・海外投資家は、企業の知財権の数を自己創設無形資産の典型として評価する傾向が強いが、日本 の投資家は関心が薄いという研究紹介がある。このようなギャップ事例を示すべき。 ・好事例の成功要因を取り入れることが重要である。そのためには、どの情報源から、どの要素を 取り入れるかを明確化することが鍵になる。CEO に下から情報を上げて CEO が認知するには、 CEO が知財・無形資産を自ら語りたいと思うインセンティブが不可欠であり、好事例はそのポ ジティブインセンティブとして機能する。CEO が自ら語り、ステークホルダーにポジティブイン パクトを与える面でも不可欠である。 ・企業価値向上を目的とし、事業ポートフォリオの組み替え、新規事業、M&A を CEO が明確に 語ることが投資家の反応を左右する。事業ポートフォリオ改革が急速に進展、広がりつつあり、 9 GGL の効果もあって PBR 改革、ROIC 経営、事業部門別 KPI 開示などが背景にある。ボードに おいて、ROIC が資本コストを下回る事業に対して売却・撤退提案が討議され実行されるケース が増えている。プロパーの経営会議では決めきれない場面でも、PE ファンド(特にメガバンク 系)の関与により、無形資産を含むデューデリジェンスが実施される。人的機能(設計・量産・ 品質保証等)に分解し、誰が意思決定しているかまで評価し、超過収益の源泉を特定する。この プロセスは重要な示唆を与える。 超過収益の数値化には人(キーパーソン)と無形資産の紐づ けが不可欠である。このような好事例分析は特にメガバンク系 PE ファンドからのヒアリングが 有効。 ・GGL の効果が顕在化し、企業は確実に変わりつつあることを実感している。特に WICI ジャパ ン 統合リポート・アウォード 2025 の Gold Award 2として評価されたイトーキ社の事例は優れて いる。経営企画部門や経営層が連携して、知財の可視化、KPI 設定に一体となって取り組んでお り、好事例のモデルになる。 以上 2 WICI ジャパン 統合リポート・アウォード 2025 の審査結果 10

資料1

資料1 「知財投資・活用戦略の有効な開示及び ガバナンスに関する検討会」 (第27回) 令和8年1月30日(金) 10:00~12:00 (Web開催) <議事次第> 1.開会 2.事務局説明 (内閣府知的財産戦略推進事務局) 3.質疑応答・議論 4.閉会 <配布資料> 資料1 議事次第 資料2 委員名簿 資料3 事務局説明資料 資料4 価値創造ストーリーの構築に資する原則(案) 資料5 荒木委員提出資料 資料6 林委員提出資料

資料2

資料2 「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」 委員名簿 (五十音順、敬称略) (委員)◎座長 荒木 充 株式会社ブリヂストン 知的財産部門 和泉 恭子 富士通株式会社 ビジネス法務・知財本部 知財グローバルヘッドオフィス長 江良 明嗣 ブランズウイック・グループ 小野塚 恵美 エミネントグループ株式会社 ◎加賀谷 哲之 一橋大学商学部 部門長 パートナー 代表取締役社長 CEO 教授 菊地 修 一般社団法人知財・無形資産ガバナンス協会 三瓶 裕喜 アストナリング・アドバイザー合同会社 杉光 一成 金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 武井 一浩 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 立本 博文 筑波大学ビジネスサイエンス系 中村 栄 一般財団法人 知的財産研究教育財団 知的財産教育協会 IP ランドスケープ推進協議会 シニアアドバイザー 林 力一 株式会社野村総合研究所 理事長 代表 教授 パートナー 教授 客員研究員 コンサルティング事業本部 シニアプリンシパル 松島 憲之 Alphaterra Advisory 株式会社 シニア・エグゼクティブ・アドバイザー 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社 委嘱アドバイザー 松原 稔 りそなアセットマネジメント株式会社 常務執行役員 責任投資部担当 俊彦 一般社団法人日本金融人材育成協会 森 会長 (オブザーバー) 金融庁企画市場局企業開示課、特許庁総務部企画調査課、株式会社東京証券取引所 (事務局) 内閣府知的財産戦略推進事務局、経済産業省経済産業政策局産業創造課、 経済産業省経済産業政策局知的財産政策室

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資料3 事務局説明資料 2026年1月30日 内閣府 知的財産戦略推進事務局 第26回検討会でのご意見 1. コーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂時のメッセージ発信 • デフレからインフレへの移行により、差別化が必須。知財は企業価 値向上の源泉。 • CGC改訂に合わせた発信は重要だが、現行の知財・無形資産ガ バナンスガイドライン(GGL)の5原則との位置づけの整理が必要。 • 人的資本と知財を連動させた発信が効果的。 • 無形資産と知財の概念整理(IA=無形資産、IP=知財)が必 要。 • CEO が直接説明することで、企業の本気度と信頼性が高まり、取 締役会レベルで知財投資のリスクテイクが議論されるようになる。 • 価値創造ストーリーの構築への関心が高まるCGC改訂時に、簡潔 でわかりやすい成果物を発信すべき。 2. 価値創造ストーリーの構築 • 現状把握をしたうえで、将来像の描き方、価値創造のやり方を具 体化すべき。さらに責任者や役割分担の明確化が必要。 • 「因果パス」を可視化し、活動状況を数値化する取り組みを推進す べき。 • ストーリーは論理的構造を持つべきで、希望的観測に陥らないこと。 • 無形資産経営は重要であり、日本企業の競争力強化に不可欠。 3. リスクテイクを伴う果断な経営判断 • 知財・無形資産を事業ポートフォリオ評価に組み込み、撤退・ M&A・新規投資に活用すべき。 • コア事業と顧客獲得事業を分けて整理し、知財を再定義し、明確 化すべき。 4. 人的資本への投資推進 • 発明やコンテンツを創造する創造人材と、事業価値に変えるマネジ メント人材の両方の育成が必要。 • 知財・無形資産投資は、付加価値につながった人材投資のアウト プットであるという観点をもつべき。 • 人的資本開示に対する投資家の評価を把握し、参考することが重 要。 5. 可視化・共通言語・コミュニケーション方法論 • 現状と強化すべき無形資産を可視化した全体俯瞰図や、従業員 が創発的アイデアを発言する基盤となる共通言語の整備が不可欠。 • 経営者に伝わりやすい指標化・共通言語化を進め、何で稼ぐかを 明確にし、成功例を経営者が腹落ちする形で示すことが重要。 • ロジック(ストーリー)と定量比較(開示)の両方が必要。 • 無形資産可視化ツールを活用し、組織文化の要素も考慮すべき。 6. GGL改訂・普及 • どのように具体化していくかが重要。どのように実際のアクションにつな げ、どのように使っていくのかという視点を強めるべき。 • 成功事例の共有で普及を加速すべき。小さなPDCAでよいので、 やってみた例を共有できる方向を作っていくべき。 • 知財は単体ではなく、事業価値の中で評価されるべき。 • 海外投資家視点を取り込み、国際的な接続の強化が必要。 • 知財・無形資産を所掌する担当役員の役割を明確化すべき。 2 今後の検討の進め方(現時点の見込み) 第25回(25年10月29日)  知財・無形資産ガバナンスガイドラインの課題について 第26回(25年12月16日) 知財・無形資産に関する経営と知財関係者とのコミュニケーションについて 第27回(26年1月30日) 知財・無形資産に関する経営層へのメッセージ発信について 第28回(26年3月上旬) 知財・無形資産ガバナンスガイドラインの改訂の方向性について① 第29回(26年4月中旬) 知財・無形資産ガバナンスガイドラインの改訂の方向性について② 第30回(26年6月中旬) 知財・無形資産ガバナンスガイドラインの改訂に向けた具体的作業工程について 第31回(26年7月下旬) 知財・無形資産ガバナンスガイドライン改訂の中間報告① 第32回(26年9月中旬) 知財・無形資産ガバナンスガイドライン改訂の中間報告② 第33回(26年10月下旬) 知財・無形資産ガバナンスガイドライン改訂の中間報告③ 第34回(26年12月上旬) 知財・無形資産ガバナンスガイドライン改訂の中間報告④ 第35回(27年1月上旬) ガイドラインの改訂骨子案 第36回(27年2月上旬) ガイドラインの改訂案(⇒パブリックコメント) 第37回(27年3月上旬) ガイドラインの改訂案(パブリックコメント後) 3 本日ご議論いただきたいこと 1.2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂後、本検討会で継続的に議論され ていた知財・無形資産ガバナンスガイドライン(GGL) のより効果的な活用に向け て、経営層への浸透のボトルネックを特定し、好事例から得られる成功要因を取り 入れることはできないか。 段階.1 段階.2 段階.3 段階.4 段階.5 GGLが経営層に届く (ボトルネックの仮説:広報の不足、社内共有の不足) 経営層が関心を持つ ( 〃 :「知財」という言葉の専門的なイメージ、メッセージ性の不足) 経営層が理解する ( 〃 :腹落ちする好事例不足) 経営層が実行する ( 〃 :具体的な手順に関する情報不足、産業別の好事例不足) 経営層が成功を実感する ( 〃 :成功を定義する指標の整備不足、投資家との対話不足) 2.上記段階1及び2のボトルネックを解消するためのアプローチである「価値創造 ストーリーの構築に資する原則(案)」(資料4)について、以下の観点でご議 論いただきたい (1)経営層に対する注目度をさらに高めるには、どうすればよいか (2)リアリティ・説得力をさらに高めるには、どうすればよいか (3)経営層が、具体的行動を実行するハードルを下げるには、どうすればよいか 3.今後の検討の進め方について、ご議論いただきたい 4 参考資料 (参考)WIPOにおける各国の知財意識調査 〇WIPO WIPOは、2025年11月13日に、知的財産意識に関する国際的調査であるWIPO は、2025年11月13日に、知的財産意識に関する国際的調査であるWIPOPulse Pulse2025を発表。 2025を発表。 〇74ヵ国の 74ヵ国の35,500人からの回答に基づいた調査・分析結果。 35,500人からの回答に基づいた調査・分析結果。 この結果には、知的財産権の経済への影響が含まれており、日本は全体で74か国中64位、アジア太平洋地域14か国中最下位となっ 〇この結果には、知的財産権の経済への影響が含まれており、日本は全体で74か国中64位、アジア太平洋地域14か国中最下位となって ている。 いる。 〇このような知財意識の低さが、知財・無形資産の投資が進まない一因となっている可能性がある。 このような知財意識の低さが、知財・無形資産の投資が進まない一因となっている可能性がある。 図 知的財産権が、国内経済に対して利益をもたらしていると思うか 出典:WIPO Pulse Global IP Perception Survey 2025を 事務局にて加工 6 (参考)「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~ 令和7年11月21日 〇 令和7年11月21日、高市早苗内閣は、大型の総合経済対策「『強い経済』を実現する総合経済対策」を閣議決定した。 〇 経済の現状認識・課題として、『我が国経済は、「デフレ・コストカット型経済」から、その先にある新たな「成長型経済」に移行する段階ま で来た』とされている。 〇 目指すべき方向として、『大胆かつ戦略的な「危機管理投資」と「成長投資」を進め、「暮らしの安全・安心」を確保するとともに、雇用と所 得を増やし、潜在成長率を引上げ、「強い経済」を実現』が示されている。 出典:内閣府「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~ 令和7年11月21日 (1)概要資料 7 (参考)日本企業の持続的な成長を目指した事業ポートフォリオ変革~日本企業の現状と課題~ 令和4年7月27日 〇 独立行政法人経済産業研究所(RIETI)によるSpecial Report(令和4年7月27日)は、事業ポートフォリオ変革が進んでいる企業 として、富士フイルム、ABB社等を例示。 〇 富士フイルムは、先進・独自の技術をもって、最高品質の商品やサービスを提供することにより、『事業を通じた社会課題の解決』に取り 組み、サステナブル社会の実現に貢献する」(中期経営計画 VISION2023)というビジョンのもとで事業ポートフォリオ変革を進めており、 成長および稼ぐ力とも向上が続いていると評価されている。 〇 ABBは、事業ポートフォリオの変革を成長と稼ぐ力の2つの観点から不断に進めており、事業ポートフォリオマップにおいてそのどちらかが低 下するようなことがあれば、事業撤退、事業売却、あるいは事業買収を含む事業ポートフォリオの大胆な変革によって、成長と稼ぐ力の向 上軌道へのかじ取りを継続的に図っていると評価されている。 出典:RIETI 独立行政法人経済産業研究所 Special Report 日本企業の持続的な成長を目指した事業ポートフォリオ変革~日本企業の現状と課題~ 4. 事業ポートフォリオの評価指標 図表15、図表16 8 (参考)人的資本可視化指針の見直し 〇 令和7年12月16日、内閣官房において、非財務情報可視化研究会(第7回)が開催され、人的資本可視化指針の改訂について 議論された。 出典:内閣官房「非財務情報可視化研究会(第7回) 令和7年12月26日 (資料2) 9

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資料4 価値創造ストーリーの構築に資する原則(案) 経営層が無形資産・知財で「稼ぐ力」を高めるための原則 我が国が「デフレ・コストカット型経済」から「成長型経済」に移行する今、従来の戦略で競争力を確保 することは困難となりつつある。持続的な「稼ぐ力」、すなわち、中長期的かつ持続的な収益性・資本効 率の向上を実現するには、有形資産重視の経営から脱却し、価値の源泉である「無形資産・知財」を経 営戦略の中核に据え、成長投資をすることが不可欠である。コーポレートガバナンス改革の実質化が進む 今こそ、形式的なコンプライを脱し、自社の競争優位性を伴った「価値創造ストーリー 1」を構築し、適切な 成長投資を実行する実効的なガバナンスの構築が求められている。 しかしながら、無形資産・知財は、評価の難しさや専門性の高さから、専門分野として扱われることが 多く、経営トップが主体的に関与し全社的に活用する機会が限定されていた。このような状況を脱し、価 値創造ストーリーを基盤とした経営を実質的に機能させるためには、取締役会と経営陣が、人的資本か ら生み出される無形資産・知財を自社の競争優位性として捉え、それを活かして稼ぐ力を高めるという共 通意識を持つことが重要である。そのうえで、その認識を社内全体で共有し、事業ポートフォリオの設計に 活かし、経営戦略を継続的に練磨できるようにするための人材を育成するとともに、投資家との対話を積 極的に活用することが重要である。 このような無形資産・知財を活用した経営を推進させるためには、取締役会と経営陣は、以下に示す 4つの原則を連動させ、持続的成長につながる体制を構築する必要がある。 原則 1:経営戦略としての無形資産・知財戦略を構築し、CEO が自ら語る 専門部署任せにせず、CEO の言葉で、無形資産・知財が企業価値にどう貢献するかを示す。 • 無形資産・知財形成への投資を専門部署任せにせず、CEO 自らが人的資本を含む無形資産や 知財が企業価値にどう貢献するかを、語ることで、経営戦略と無形資産・知財戦略の一体化を担 保。 • 経営の観点で可視化した無形資産・知財を CEO が発信することにより、無形資産・知財は成長 投資の主要な投資先かつ投資判断の羅針盤であるという認識を、事業部門や研究開発部門を 含む社内全体で共有。 1 長期的に目指す姿の実現に向け、どのようなビジネスモデルを通じて、どのような社会課題を解決し、どのように長期的 な企業価値向上に結びつけていくかについての一連のストーリー。 1 資料4 原則 2:無形資産・知財を価値ドライバーとして、事業ポートフォリオの設計・組替えをする • リスクテイクを伴う意思決定に、無形資産・知財の質と活用可能性を明示的に反映させる。各事 業のポートフォリオ評価へ、無形資産・知財の視点を加え、全社の技術を唯一横断的に把握でき る知財部門の知見を活かしつつ、撤退・売却、M&A、新規投資、競合他社との係争といった「リ スクテイクを伴う果断な経営判断」を行う。 • 事業ポートフォリオの設計・組替えを進めるうえで、オープン&クローズ戦略活用を考慮し、高収益を 目的とした事業なのか、顧客獲得を目的とした事業なのかを明確化するとともに、獲得した顧客を 収益に転換する仕組みや事業特性に応じた KPI を設計。 • 取締役会と連携し、自社固有の強みが活かされた事業ポートフォリオであるか継続的に点検する。 原則 3: 自社固有の強みを活かしたロジカルな価値創造ストーリーを説明する 自社の強みを活かした価値創造ストーリーを示し、投資家との建設的対話を深め、価値創造ストー リーを錬磨する。 • 自分たちが残すべき本当の強みや強みとなる無形資産・知財は何なのかを、組織文化、ナレッジ・ ノウハウ等まで含めて中長期目線で追求し、全社横断的に明確化した価値創造ストーリーを明示 • 全社課題および事業課題に対して、IP ランドスケープ等の知財情報収集、分析、可視化、及び仮 説検証を行うとともに、競争優位性のあるビジネスモデルを設計。 • 投資家との対話を通じ、価値創造ストーリーを継続的に練磨。 原則 4:無形資産・知財を価値ドライバーに発展させる人材を育成する 無形資産・知財を事業に結び付けるマネジメント人材と創造人材を育成するとともに、役員の役割 分担を明確化する。 • 事業部門と知財部門の人材交流を促進するとともに、知財部門を経営人材の登竜門と位置づ け、無形資産・知財の戦略的活用を提案できる人材を育成。 • 発明やコンテンツを創造する創造人材のみならず、無形資産・知財を事業につなげ、会社の財産と して価値化するマネジメント・コーディネーション人材を積極的に育成。 • 無形資産・知財を所掌する担当役員の役割を明確化し、経営の中で誰が何をし、何を達成すれ ば「できている」と言えるのかを明示。 2

資料5

資料5 第27回検討会(内閣府) 2026年1月30日 ブリヂストン 知財経営に向けての課題 企業 知財担当者としての反省と危機感 CGC/統合報告書で何を示すべきかを起点に、 ・ 見せ方だけじゃなくて 地に足ついた自社ならではの知財経営は何かを経営と改めてコミュニケーションしたい ・ 新しいものを持ってくる前に 既に持ってる無形資産の強みを見つめ直したい ブリヂストン知財部門 荒木 充 (2026年1月30日 第27回検討会) 企業知財担当としての 反省・危機感 開示すべき本質を外してる? v 開示・アピールの工夫に走っちゃう?(笑) 持続的に知財から価値が生まれる 真の知財経営のチカラ v をつけるのが本筋 みせかけだけじゃない 地に足付いた 知財経営とは? うまくいってる他社を真似るのでなく 本来持ってる強みを活かしたい… 2 弊社ブリヂストンで知財創出/価値変換の根底にあるもの 伝統的な当社の強み: 「こだわり」 集中/掘下げ/継続 × 「つながり」 相互リスペクト で価値創出 良い知財の例 こだわり(集中/掘下げ/継続) 繋がり(相互リスペクト) スタッドレス 疑似液体層排除の原理こだわり 発砲率安定化の設計・製造繋がり ENLITEN ゴムのミクロ構造最適化の掘下げ 調達/物流と設計/製造の連携 鉱山ソリューション OR故障原因・接着現象の掘下げ 事業部とR&Dの戦略的連携 タイヤリサイクル BS蓄積知財を活かしたリサイクル挑戦 コンソーシアムでの戦略的共創 AirFree スポーク形状とリサイクルのこだわり 伝統的OE連携強み+行政連携 発泡ゴム進化 配合組合せ進化 マスターコア GI基金 月面タイヤへも ・5世代にわたる発砲ゴム特許群 ・性能と生産性両立、4世代にわたる知財ミックス ・50年にわたる鉱山現場張り付き現象解析 ・40年間のナレッジ蓄積が起点 ・1~4世代にわたって変曲点スポークを深化 良い事業/知財には必ず 「こだわり」 と 「つながり」 があった 3 ・膨大な製造規格/標準化 インフルエンスダイアグラム ・部署間で繋がったナレッジ・ノウハウ・特許 ・市場ニーズと技術シーズの双方向創出 ・パートナー企業/アカデミアとの相互リスペクト ・社内の世代間連携、部署間連携の強み AI活用時代に於いて一層の維持発展が要る 本質へのアプローチ ① 課題が見えてるアプローチ ● 有形資産(工場)を活かす無形資産の山 ② 課題を見出すアプローチ ● すり合わせのチカラ 現象メカニズムを掘り込んで解決手段を創出 市場/顧客の潜在ニーズを洞察する 4 具現化の連鎖構造 (見せてないモノづくりのノウハウ知財、継続的改善の仕組み) (後工程への思いやり、ケイレツ企業間連携の伝統) 経営意思決定 これら構造を見えるようにして 確からしさを高めるのが真のIPL (内向き+外向き) 知財/無形資産の作用構造を可視化した日常的な武闘バトル・コミュニケーション (反省:年に何回かTop報告してるくらいじゃぜんぜん甘ったるい…) 外向きIPLでは 本質にアプローチしてるもの を探し/見て/学ぶ 本質へのアプローチ 具現化の連鎖構造 ① 課題が見えてるアプローチ ● 有形資産(工場)を活かす無形資産の山 ② 課題を見出すアプローチ ● すり合わせのチカラ 現象メカニズムを掘り込んで解決手段を創出 市場/顧客の潜在ニーズを洞察する (見せてないモノづくりのノウハウ知財、継続的改善の仕組み) (後工程への思いやり、ケイレツ企業間連携の伝統) 日本産業界 の弱点 日本の強みの継承発展 をもっと考えたい (AIで破壊しないように) 5 ベクトル合わせの文化 知的資産・人的資産の強みが継承・発展する文化(秘伝のタレが枯れない) 強みなのに オープンイノベーション で活かされてない 日本産業界の強み/弱み ●知財の循環/再生産ができる (日本には長寿企業が多い) 強み ・ 長寿企業では確実にSECIモデルが回っている ・ ベクトル合わせ・すり合わせの文化/土壌が産業界にある ●持続的イノベーションが強い(PDCA継続型の事業強化) ・ 真面目な仕事をする知的資産が広く分布:顧客に寄り添い、PDCAきっちり回す SECIが回り続ける マネジメントとは? ・ 有形資産(工場)をうまく使える ←その為に、目立たない多数の知財が働いている ●破壊的イノベーションの弱体化(かつては強みだったはずが…) 弱み ・ 確からしくないテーマに投資できない、持続的イノベーション偏重しすぎ ・ ブルーオーシャン “JOB” への感度・挑戦マインドの弱体化 ●真の強みの軽視(日本ならではの凄さを認識せず安売り) ・特許にしてない知的資産が競争力を生んでいる強みが意識されてない ・見えない知財を価格転嫁できる事業モデル、意味づけが弱い 6 会社を代表しない個人的見解(荒木) 破壊的イノベーション への感度とマインド Christensen,Clayton M.(1st 1997,Revised 2000) The innovator's dilemma, Harper Business,p.xix 日本産業界の強み/弱みからの提言 日本産業界の強みモデル意識してを伸ばす(CGC改訂を活かして強みを見つめ直す) 強み ● 持続的に成果を出してる企業は、根底にある無形資産/秘伝のタレを軸に知財Mgt.している ←構造を点検して示したい (新しいものを持ってくる前に 既に持ってる無形資産の強みを見つめ直したい) ● 経営と現場の知財経営の理解・ベクトルがあってることが重要 IPLをここでもっと使いたい ● 見せ方だけじゃなくて 地に足ついた ”自社ならではの知財経営は何か” を経営と改めてコミュニケーションしたい 弱み ”課題自体を見出すチカラ“ の強化を産学連携含めてもっと考えたい ● モノづくりの強さがあってはじめてソリューション提供できるモデルが成立つ、その意味を発信したい この強さ/基盤を活かせる課題は何かを市場/顧客をよく見て洞察する ● これから企業知財の重要ミッションはこうした潜在課題を見出す知財/知的資産を強化すること ここにIPLはもっと使える、これができて真の知財経営になる ● 企業単体だと持続的イノベーションばっか 7 産/学/スタートアップ連携で破壊的イノベーションを復活できる仕組み考えたい 会社を代表しない個人的見解(荒木) 知財/無形資産の作用構造を可視化した日常的な武闘バトル・コミュニケーション (反省:年に何回かTop報告してるくらいじゃ ぜんぜん甘ったるい…) 経営/取締役 知財からの 遠吠え(笑) 知財部門 【 Step 1 】 まずは小IPLくわえて 毎日 事業部に 入り込んでいく 経営/取締役 事業部門群 【 Step 3 】 【 Step 2 】 経営/取締役 コミュニケーションバトル できるようになる 経営/取締役 知財部門 知財部門 事業部門群 事業部を経由して経営に届くと 知財コミュニケーション土台ができる 事業部門群 経営だけでなく、バリューチェーン全域の現場で知財/無形資産の活用マインドが浸透してはじめて回りだす 8 Copyright © Bridgestone Corporation

資料6

資料6 知財・無形資産ガバナンスガイドライン 次バージョン(ver.3.0)提案 -IPX経営戦略実装ガイド(プレイブック部分)- 林力一 野村総合研究所 コンサルティング事業本部 シニアプリンシパル/弁理士 E-mail:r4-hayashi@nri.co.jp 2026年1月30日 プラットフォーム知財プレイブックの活用 契約・データ・知財を社内標準化し、BM判定から審査まで迅速化。オープン知財戦略と 収益性シミュレーションにより、顧客獲得と収益性を両立する全社ガバナンスを実現。 事業戦略との高度な統合 プロセス標準化と迅速化 ガバナンスとリスク制御 オープン知財戦略: 6つのBM類型判定: データ取り扱い基準: 市場シェア獲得型・コスト削減型など明確な 勝ち筋を策定 事業モデルに応じた最適な契約スキームを 即座に特定 別紙Gに基づくSLA・セキュリティ要件の統 一 収益性の可視化: 契約・条項テンプレート: コア事業への貢献(転換率α)を含む全体 収益モデルの構築 T1~T9の標準ひな形で作成工数を大幅 削減 適切な権限委譲 :L1/L2/L3の階層別審査によるリスクコントロ 競争優位の維持: 審査の高速化: ブラックボックス化戦略による持続的な差別 化 L1審査3日以内、L2審査10日以内のスピ ード実現 ール 知財部門の役割変革: 管理から「事業価値共創」へのシフト 既存の知財部門の役割から入り、新たな役割をへシフトしていく オープン知財戦略と不可分なプラットフォーム 戦略(新規事業開発)・M&A戦略・事業ポート フォーリオ評価を、知財部門の明確なミッショ ンとして位置づける。 従来から知財部門の主要な役割である知財契約(ライセンス、共同研究、譲渡等)は、経 営戦略、とりわけプラットフォーム戦略やM&A戦略と直結する領域である。したがって、知 財部門が契約実務にとどまらず、経営判断や戦略立案に踏み込んで関与する合理的な 根拠として位置づけやすい。 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会第25・26回資料ほか公開情報に基づいて作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 1 ビジネスモデル類型と判定フロー 類型(A/B/C/D-1/D-2/E)を30秒判定フローで識別し、 コア事業(クローズ)と顧客獲得事業(オープン)の境界を明確化 ビジネスモデル6類型 定義 30秒判定フローチャート A:事業提携型 委託・OEM Q1. 製造/販売の委託ですか? Yes → A 製造・販売の委託や相手チャネルの活用。既存バリューチェーンの補完。 No B:技術提携型 共同開発 共同研究・共同開発・ライセンス。技術シナジーの追求。 Q2. 共同開発・研究ですか? Yes → B No C:コア事業(クローズ) 高収益・源泉 Q3. 差別化源泉として高利益率を維持? Yes → C 差別化の源泉となる技術・ノウハウ。ブラックボックス化し高利益率を維持。 No D-1:デジタルPF オープン/API SaaS/API等で顧客獲得。データを蓄積しエコシステムを形成。 D-2:プロセス支援PF Q4. 顧客獲得→コア接続の導線設計? 再検討 Yes エンジニアリング Q5. 複数顧客へ横展開可能? D-1/D-2 顧客の導入・運用・製造プロセスを支援し、標準化を推進。 E:複合型(C+D) 両輪運用 「顧客獲得(オープン)」と「収益獲得(クローズ)」を組み合わせ、持続的な競争 優位と市場拡大を両立。 複合型Eの典型例 (C+D) オープン/クローズ境界 NVIDIA型: GPU(C) + CUDA SDK(D-1)でエコシステム支配 オープン(KSF) クローズ(KBF) 24M型: 電解質技術(C) + 製造エンジ(D-2)でPF化 API公開 標準化 顧客獲得 コア技術 製造ノウハウ 利益源泉 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会第25・26回資料ほか公開情報に基づいて作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 2 ガバナンス・運用体制 業部・事業企画・委員会の3層体制とL1/L2/L3審査により、迅速判断と経営整合を実現 中小企業は簡易版運用も可能とし、リソースに応じた段階的導入を推奨。 推進体制図(3層構造) RACI表(責任分担) タスク 事業部 事業企画 法務 知財 CIO 委員会 BM類型判定 C R I C - A 契約レビュー C I R C - A データ方針決定 I C C C R A 運用監査 I I R C R A 委員会(経営層) L3案件の最終承認・ポリシー策定 本社知財 事業企画 / 経営戦略部門 BM類型判定・KSF/KBF評価・ゲートキーパー 法務 R: 実行責任 A: 説明責任(承認) C: 協業・相談 :I 報告先 ソリューションPF事業部 CIO/CISO 案件実施主体・一次審査・契約交渉 中小企業向けの簡易運用(Lite Model) L3審査の省略: 取締役会または社長決裁で代替可能。 外部専門家の活用: 法務・知財機能のアウトソーシング(弁理士・弁護士)。 3段階審査フロー 段階的導入: まずは「データ条項(T7)」と「秘密保持」から開始。 Level 期間 対象・条件 審査プロセス L1 標準 1-3日 テンプレート無改変 定型スキーム(A/D型) 事業部判断+知財事後報告 展開予定 運用成功の4要因 経営層のコミットメント L2 準標準 L3 非標準 5-10日 15-30日 選択条項の利用 軽微な修正あり ポリシー逸脱 戦略的複合案件(E型) 事業企画・知財・法務の合議レビュ ー 委員会(経営会議)への付議・決裁 事業企画部門との連携 判定フローのAI化検討 2026年度中 迅速審査(SLA)の遵守 事例集(Use Cases)拡充 継続的改善(Loop) 教育コンテンツの整備 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会第25・26回資料ほか公開情報に基づいて作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 3 クローズ戦略とオープン戦略の策定手法 クローズ戦略は特許/秘匿で排他益と新用途探索。オープン戦略は未開拓顧客へオープン 化し市場拡大、事業開発とR&D追加、対抗技術もオープン化し破壊的事業創造を行う。 クローズ戦略(コア事業:収益獲得事業) (深化と排他権) コア事業・技術の強みを活かし、排他的効力による高収益化と、知財情報を活用した新規用途・市 場の探索を行う。 オープン戦略(ソリューション・プラットフォーム:顧客獲得事業) (拡大と連携) モノ単独ではリーチできない顧客層に対し、ソリューション提供(オープン化)を通じて市場を拡大 し、エコシステムを形成する。 事業シナジー創出2 0 R&D成果の保護・秘匿 継続 特許取得による排他権確保と、ノウハウ秘匿(ブラックボックス化)による模倣防止を徹 底。 1 未開拓顧客のマーケティング 既存の「モノ売り」では開拓しきれない潜在顧客層やニーズを特定する。 事業シナジー創出1 1 コア事業・技術を活かした新用途・市場探索 2 市場拡大のトリガーとなる技術・知財を定義し、あえてオープン化(実施許諾)する戦略 を立案。 知財情報を解析し、自社コア技術が転用可能な「新規用途・市場」を探索・特定する。 2 新規事業開発への展開 特定した新市場へ、独占的地位を維持したまま参入し、事業ポートフォリオを強化。 新規ソリューション事業開発 3 R&Dロードマップへの追加 必要なオープン化技術をR&D計画に組み込み、戦略的投資判断を行う。 戦略的ターゲット選定と対抗策 市場シェア上位顧客への浸透: 市場影響力の大きい顧客に技術を採用させ、デファクト化 を加速。 判断基準: 技術的優位性が長期維持でき、単独で顧客価値が完結する場合に選択。 対抗技術のオープン化 (Disruptive Open Strategy): VC上で支配的な競合に対抗する技術・ 知財を取得・開発し、利益度外視でオープン化することで、顧客を一気に獲得し市場構造を 変革する。 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会第25・26回資料ほか公開情報に基づいて作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 4 オープン知財戦略の策定・収益計算方法 未開拓顧客の獲得からプラットフォーム化までの戦略策定(6ステップ)と、その事業価値 を定量化する収益性シミュレーションを統合的に推進し、事業変革を主導する。 01 オープン知財戦略の策定プロセス 02 収益性シミュレーション・定量評価 1 未開拓顧客分析 2 市場シェア評価 モノ・単独事業顧客をベンチマークし、 ソリューション事業のポテンシャルを判 断。 KBF/KSF分析を実施し、事業展開の 是非と戦略の方向性を決定。 Total Profitability Model Importance ソリューション単体 事業収益 + (売上 - コスト) 補完 3 提携狙いの決定 4 ブラックボックス化 Type A:シェア大手獲得 Type B:コスト低減 オープン化時に必須。秘匿・API化に より持続的な競合優位性を確保。 5 技術・知財調達 6 PF化提携選定 自社開発/提携/M&Aを判断し、候補 リストを作成。 スタートアップ等を選定し、複数顧客 へのプラットフォーム展開を図る。 コア事業貢献 波及収益 = 総合評価 トータル収益 N × α × 単価 × β Key Performance Indicators N α% 年間獲得顧 客数 コア事業転換 率 β % LTV / CAC ユニットエコノミクス コア事業粗利 率 OUTPUT (L2/L3審査用) 投資回収期間 ROI 初期投資 / 年間収益 投資収益率 知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会第25・26回資料ほか公開情報に基づいて作成 Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. 5
知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会 第27回 議事録・配布資料全文 | PPPT