議事録
知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会
第24回 議事要旨
〇日時
: 2025年3月17日(月) 14:00-16:00
〇場所
: WEB開催
〇出席者 : 加賀谷座長、荒木委員、江良委員、小野塚委員、菊地委員、三瓶委員、
杉光委員、武井委員、立本委員、中村委員、松島委員、松原委員、森委員
1.質疑応答・議論
①知財・無形資産の可視化について
知財・無形資産の開示において、価値創造の貢献を真摯に検討している企業と形式
的開示の企業の二極化が懸念される。価値創造メカニズムの構築には知財マイン
ドの全社浸透が必要であり、CGC改訂やIPL活用の機運の高まりが促進要因となっ
た一方で、短期思考やリソース不足が阻害要因となっている。価値創造メカニズム
のメンテナンスと強化変革が最も重要な取組であり、企業においてどの程度、この
本質的な取組ができているかを確認する必要がある。
表彰制度や好事例企業の開示は、企業における知財・無形資産の開示基準の参考に
なる。他方、評価基準が多様なため、上位概念として共通項を整理し、知財・無形
資産ガバナンスガイドライン(以下、GGLとする)に結びつけた開示の道標とす
ることが必要ではないか。
多くの企業は優れた強みを持っているが、それを説明する機会が少なく、また、認
識していないケースも多い。企業の強みを再認識し、外部に説明する能力を高める
ことが重要である。
従前は、強い事業を持ち、かつ開示もしている企業を対象に事例研究を進めてきた
が、今後は、強い事業を持ちながら情報開示が不十分な企業に対し、改めて「自社
の強み」を問い直し、知財・無形資産の要素を見出すアプローチが必要ではないか。
そうすることで、企業が置かれた状況ごとにやるべきことが明確になる。
内閣府のGGLは網羅的で抽象的なものである一方、特許庁の調査研究は個別具体
的な改善を行うアプローチである。企業と投資家の対話において、企業が強みを認
識し、自身の強みを説明する能力を高めることが重要である。資料5に掲載の好事
例の要点説明は特許庁の事例企業の取組みと親和性があり、共通項を洗い出すこ
とで、GGLに沿った取組の概念化が可能になる。
知財・無形資産の価値化が重要であり、価値化していないものを可視化しても評価
されない。米国企業は価値化しているから時価総額に反映しているのであり、時価
総額に占める無形資産の割合は残差である点に注意が必要である。 経営指標との
紐付けも、知財・無形資産の価値化に対してであれば理解できる。
1
知財・無形資産と財務データの因果関係を証明するKPIよりも、企業における実際
の知財・無形資産の活動指標を可視化することが重要である。
「知的財産管理会計」
を確立し、知財権の権利化の効率性などを指標として活用することで 、知財・無形
資産の価値化につながるのではないか。
日本の省資源技術が国際的に貢献できる時代に入り、企業には技術を含む知財・無
形資産の可視化と価値化を進めることが求められている。
②GGLの普及浸透について
企業価値担保権の施行は、GGLの普及浸透のよい機会になる。金融業界に向けた
GGLの普及浸透が期待される。
企業経営アドバイザー講座のテキストに GGLを解説することで、中小企業向けに
GGLおよびロゴの普及が進み、知財・無形資産が中小企業経営者の目に留まる機
会が増加する見込み。
GGLは大企業には浸透しているが、中小企業への浸透はまだ途上。日本商工会議
所や全国商工会連合会などを通じて普及を図ることや、大企業のサプライチェー
ンを利用して中小企業へGGLを普及させることも一案。
知財分野の内容は専門的で難しいため、分かりやすく伝えることが重要 である。
GGLの普及浸透は価値協創ガイダンスに比べて不十分。企業が知財・無形資産を
重視していることを発信するため、統合報告書に GGLのロゴマークを使用するこ
とを推進し、具体的な企業名を挙げて使用事例を示すことが重要 である。
経済環境の変化に応じて、GGLをVer.3.0に改訂する必要がある。価格決定力を持
つためには知財・無形資産が重要であり、経済産業省や金融庁、特許庁などが公表
する対話の好事例集を網羅的に取りまとめること も一案。
製造業にはGGLが浸透しているが、非製造業への普及はまだ途上。 非製造業への
知財・無形資産の理解を深めるためには、非製造業における知財・無形資産人材の
育成が必要である。
機関投資家が知財・無形資産の情報を重視するトレンドが出始めている。知財・無
形資産への注目が高まる中、GGLの普及浸透を進めることが重要である。
日本取締役協会などの取締役関連の協会の勉強会に対して、 GGLのテーマ提供を
行うことも一案。
GGL Ver.2.0の導入により、企業と投資家・金融機関との対話が増加した。質的な
向上も見られるが、コミュニケーションギャップや思考構造の違いにより、本質的
な議論がかみ合わないことも未だ多い。企業に投資家の思考構造の理解を促すこ
とが重要である。
「投資は費用ではなく資産の形成」と捉える考え方 を、企業の現場に深く浸透させ
ていく必要がある。短期志向が強まる中で知財・無形資産の重要性を納得し、理解
2
して実行する余裕が不足している。知財・無形資産の取組を強化し、現場で実行で
きるようにするために、GGL Ver.3.0の作成と年に1回以上のフォローアップ会議
が必要である。
③インパクト投資について
インパクト投資において、インパクト志向金融宣言と連携することが有益 である。
インパクト志向企業価値向上アライアンスの発足により、企業価値向上を目指す
取組が進展しており、多くの金融機関は関心を寄せている。インパクト投資の重要
論点はTo-Be戦略であり、GGLと親和性が高い。GGLの実装化に向けた枠組みも
浸透しつつあり、様々なイニシアチブとの連携が期待される。
④イノベーション拠点税制について
イノベーション拠点税制の普及には、製品に組み込まれた知財を含む製品の売却
益に対する課税優遇が必要である。
企業のメリットを増やすため、 製品に組み込まれた知財を含む製品の売却益まで
税制対象を拡大する必要がある。そのため、今から将来を見据えて、本税制を積極
的に企業へアピールすることが重要である。
⑤開発費の資産化について
「コストではなく資産」は、あくまでもコストカット型経済から高付加価値創出の
成長型経済のことを指している。この表現は魅力的だが、安易な資産化は減損リス
クを高めるため、説明には注意が必要である。
IFRSにおける開発費の資産化要件は厳しい。試作品関係の費用などが対象となる
が、累積費用が高額となる知財権の出願費用や登録費用は資産計上できないため、
資産化効果には疑問がある。
⑥その他のアプローチについて
企業が中長期的に成長するには、知財・無形資産の投資・活用戦略とガバナンス体
制の構築が重要である。新設の(一社)知財・無形資産ガバナンス協会では、それ
らを担う人材の育成に焦点を当てて活動を進める予定。
知財・無形資産ガバナンス協会のロゴについて、日本を強く意識した背景を教えて
欲しい。
➡日本の強みを活かし夢のある社会を構築して未来に残したいという想いからロ
ゴをデザインした。知財・無形資産をコアにした経営モデルを実現し、世界に 羽ば
たく企業や輝ける人材を育成することを目指している。
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2.プレゼンテーション
(1)プレゼンテーション1(知財・無形資産ガバナンス推進協会 前田絵理様)
知財・無形資産ガバナンス表彰の状況は次のとおり。
本表彰は内閣府の知的財産推進計画2024を実現するものであり、2024年9月下旬に
任意団体の知財・無形資産ガバナンス推進協会を設立し、10月1日付で知財・無形
資産ガバナンス表彰審査委員会を発足した。2025年1月31日付で最終選考が行われ、
2月17日に当協会ウェブページで審査結果等をプレスリリース 1 し、日経新聞にお
いても受賞企業5社に関する報道をした。3月24日には受賞企業を表彰する表彰式
を執り行う予定。
表彰審査委員会および評価基準検討委員会も 10月1日に発足し、概要は次のとおり。
表彰審査委員会は、審査委員長を東京大学の渡部俊也教授とし、その他 12名の審査
委員で構成。また、評価基準検討委員会は、審査委員長の委嘱を受け、委員長を金
沢工業大学大学院の杉光一成教授とし、その他4名の委員で構成。なお、知財・無
形資産ガバナンス推進協会が事務局を務めた。
評価基準検討委員会での主な議論は次のとおり。
①表彰対象は広範な企業が望ましいのではないか、②機関投資家による投資や対
話の対象となり得るためには、一定以上の事業規模や時価総額、知名度等が必要で
はないか、③知財・無形資産を活用し、企業価値創造などの面で高いパフォーマン
スを上げている企業が表彰対象になるべきではないか、④統合報告書を公表して
いる企業が表彰対象になるべきではないか。
表彰審査においては、評価基準および評価手順に基づいた対象企業の絞り込み 2を
行い、最終的に17社を選定した。その17社に対して表彰審査委員会の議論を経て、
5社に絞り込んだうえで、役員インタビュー実施し、最終的な順位を決定した。第
1回目の本表彰では、最優秀賞が味の素株式会社、優秀賞が株式会社アシックス、
特別賞が株式会社カプコン、デクセリアルズ株式会社、株式会社日立製作所となっ
た。
最優秀賞の味の素株式会社は、
「 アミノサイエンス🄬」の要素技術をブランド化し、
経営の中核として、経営戦略および知財・無形資産戦略について一貫性を持って取
り組んでいる点について、審査委員の評価が高かった。具体的には、取締役会によ
る知財・無形資産戦略のモニタリング関与や、知財戦略を含めた投資家との膨大な
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https://storage.googleapis.com/studio-design-assetfiles/projects/M3aAQr3Mae/s-1x1_143abbc9-b47d-4ad0-8056-cdb97927e561.pdf
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①東証 3 市場に上場している、②流通時価総額 1000 億円以上、③株主資本比率および
ROIC の 3 年平均が 0%以上かつ直近 5 年間の ROIC が改善傾向にある、④統合報告書を発
行している、⑤無形資産比率が 50%以上かつ直近 5 年間で大幅な減少がない、⑥統合報
告書において知財・無形資産の言及がある
4
数の対話、IRデーにおける知財に特化したセッションが高く評価された。役員イン
タビューにおいては、知財・無形資産ガバナンスガイドラインは社会に整合するも
のであり、当社においての重要な指針と考え、常に意識しているとのこと。
第2回目以降の当該表彰の取組は継続する予定。第1回目の知見を踏まえ、より充
実したものにしていきたい。
(2)プレゼンテーション2(一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会 高野誠司様、工藤一郎様)
知財ガバナンス研究会の持続的発展のため、一般社団法人 知財・無形資産ガバナ
ンス協会を設立した。概要は次のとおり。
理事は企業や投資家、アカデミアなどの幅広い方々が参画する体制とし、特に人材
育成について注力して運営や事業内容をこれまで以上に発展させる予定。日本企
業が世界で発展できるようにとの想いで、日本古来の色を意図的に採用した協会
ロゴも作成。
プライム市場時価総額上位990社に対する知財・無形資産ガバナンスの実践状況調
査の概要は次のとおり。
当初はJPX400を対象として開始したが、今回で調査も4年目となり、直近3回はプ
ライム市場時価総額上位900社以上を対象に調査を実施。
(CG報告書に記載の遵守状況)
3-1③については、89%がComplyと高い値だが、Complyにもかかわらず情報開示
がされていない企業が未だ一定数ある。また、定性評価の推移は、◎評価および○
評価の総計が増加傾向にある一方、×評価の企業は依然として一定数存在する。
4-2②については、95%がComplyであるが、開示すべき対象となっていないため、
多くの企業で情報開示がなされていない状況。
(統合報告書等の全般的な記載内容)
知財・無形資産ガバナンスガイドラインおよび投資家からの意見に基づき作成さ
れた基準で評価した結果、時価総額が大きい企業ほど、×評価の比率が低い傾向。
また、東証33業種分類の内、標本数などから有効な結果が得られると考えられる 4
業種(食料品、機械、情報・通信業、サービス業)を分析した。この 4業種に限ら
ず総じて製造業が情報開示に積極的であるという、従来傾向に変化は見られなか
った。
本調査に基づき、特に評価の高い好事例企業は、三井化学株式会社、株式会社デン
ソー、東日本旅客鉄道株式会社、旭化成株式会社、日本製鉄株式会社、富士フイル
ムホールディングス株式会社、古河電気工業株式会社の7社。一部企業の紹介に留
まるが、評価した点は次のとおり。
5
(三井化学株式会社)
主要事業である素材提供に留まらない課題解決型ソリューションの提供を目指し
た戦略を掲げ、企業の進むべき方向性を明確に示している点、および、ステークホ
ルダーからの要望の多い研究開発戦略および知的財産戦略の開示を拡充し、未来
に向けた挑戦への取り組みを掲載している点を高く評価した。また、自社の強みと
して、具体的にどのような材料が優れているかを開示している点、知的財産の具体
例を持って強みを認識している点を高く評価した。加えて、コア技術として宣言し
ている内容と実態が一致していることが、技術競争力指標であるYK値による分析
で確認された。
(株式会社デンソー)
将来ビジョンに基づいた知財ポートフォリオをバックキャスト思考でデザインし
ている点を高く評価した。また、先行指標、現在指標、遅行指標を具体的に特定し、
現在何をすべきかを明確にしている点を高く評価した。
(東日本旅客鉄道株式会社)
主要事業は輸送サービスだが、知的財産に対する関心を高く持ち統合報告書を作
成している点、および、生産年齢人口の減少、エネルギー・環境問題、激甚化する
自然災害対策などの経営課題を解決するために、サービス業でありながら、非常に
明確な研究開発の方向性を提示し、時代を先取りした研究開発に取り組んでいる
点を高く評価した。
(3)プレゼンテーション3(特許庁総務部企画調査課 柳澤智也様)
2021年のCGC改訂により知財投資の開示・監督が規定されたが、多くの企業は依
然として手探りの状況にある。特許庁は数年間にわたり、知財・無形資産に関する
投資・活用及び開示の調査研究を実施してきた。2022年度の調査研究では、知財経
営を実践するためには、知財部門が経営層としっかりとコミュニケーションを取
ることが重要である点を発信した。2023年度の調査研究では、企業の本質的な強
みを把握し、それを企業が目指す将来像と結びつけることが重要である点を発信
した。
今年度の問題意識は、どのように開示を行い、外部のステークホルダーとの建設的
な対話を通じて、どのように企業価値向上につなげるのかという点。そこで、知財・
無形資産ガバナンスガイドライン Ver.2.0で追加されたコミュニケーション・フレ
ームワークに基づき、開示と建設的な対話に焦点を当てた調査研究を実施した。調
査研究においては、実際に現地調査を行い、経営・知財コンサルタントや投資家等
が専門家チームとして企業と議論を行った。
ポイントは、「開示」と「建設的な対話」が、持続的な企業価値向上に向けた企業
と投資家とのパートナー関係を強化するために重要である点。企業は成長性とそ
6
の要因となる「本質的な強み」を明確にし、それを基に投資家は「投資仮説」を構
築して対話に臨むことが求められる。
他方、企業側において従来行われている知財・無形資産開示は、知的財産の保有状
況や研究開発における知的財産の創出活動の単なる開示に留まっており、経営戦
略全体という文脈ではなく、単発的な事業との関係性という文脈でしか開示して
いない例が多く見られる。企業の持続的な成長に対する知財・無形資産の貢献を具
体的に開示し、成長性を支える強みとしての知財・無形資産を明確化することが重
要である。
企業の成長戦略を明示するためには、以下の要素が重要になる。まず、成長ビジョ
ンを明確に提示すること。次に、その成長ビジョンを実現するための具体的なビジ
ネスモデルを示すこと。最後に、そのビジネスモデルを支える根拠として、知財・
無形資産を明確に記載することが求められる。
現地調査の結果、特に将来像の実現可能性に対する説明において、企業と投資家と
の間にギャップがあることが明らかになった。主な課題として、事業や技術の意義
を自明と捉え、社内で十分に整理や説明がなされていない点や、経営を把握する部
門と具体的な強みを把握する部門との連携が不足している点が浮き彫りになった。
そのため、企業が自明と捉えている事業や技術の意義について、複数部門を横断し
て改めて議論することで、企業成長の道筋を明確化することが重要であるという
示唆を得た。ビジネスモデルを支える強みの説明においては、なぜ自社が選ば れる
のかという差別化要素となる強みを意識して説明することが重要である。
今年度の調査結果は4月公表予定。次年度は中堅企業をターゲットに、成長戦略の
実現に向けた知財・無形資産の投資・活用の実態を調査・分析し、中堅企業におけ
る企業価値向上のための知財経営の在り方を検討する予定。
(4)プレゼンテーション4
(経済産業省イノベーション・環境局研究開発課 齋藤健様)
日本では、研究開発税制が研究開発のインプットに対するインセンティブ措置と
して講じられてきたが、イノベーション拠点税制は研究開発のアウトプットに対
するインセンティブとして導入される。諸外国では、 2000年頃から欧州各国で導
入が始まり、最近ではシンガポールやインド、香港などのアジア諸国でも導入され
ている。
令和6年度の税制改正大綱でイノベーション拠点税制の創設が決定し、令和 7年4月
1日から施行される。その措置期間は7年間になり、対象となる知財から生じるライ
センス所得または譲渡所得のうち、企業が「国内で」「自ら」行った研究開発の割
合に基づき、対象所得の30%を所得控除する制度となる。制度目的は、国際競争が
激化する中で日本の研究開発拠点としての競争力を強化し、民間の無形資産投資
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を促進することである。
対象となる知的財産は、特許権とAI関連のプログラムの著作物であり、令和6年4
月1日以降に取得されたものが対象となる。但し、特許権と AI関連のプログラムの
著作物は国際競争力の強化に資するもので、風営法関連の事業に供されることを
目的に取得されたものは対象外となる。また、AI関連プログラムの著作物は、機械
学習をサポートするプログラム、機械学習アルゴリズム、及びその実現に必要なプ
ログラムが対象となるが、ユーザーインターフェースの開発に留まるものは対象
外となる。対象所得はライセンス所得と譲渡所得で、関連者からの所得は対象外と
なる。
自己創出比率は、研究開発費を分母に、適格研究開発費を分子として計算する。適
格研究開発費には、海外子会社等への委託試験研究費などは含まれず、直接関連す
る費用を抽出することが原則だが、困難な場合は、研究開発プロジェクトの費用を
用いて計算することも可能となる。
イノベーション拠点税制を利用する際には、対象知財であることや関連研究開発
の実施について、経済産業省で確認・証明を行う。なお、AI関連プログラムの著作
物は、ソフトウェア協会で事前確認を受ける必要があり、経済産業省への申請は事
業年度末の60日前から30日後の間に受け付ける運用になる。なお、経済産業省へ
の事前相談は通年で受け付ける。
イノベーション拠点税制の対象所得の範囲については、引き続き海外調査を実施
しているところ。制度の執行状況や効果を検証しながら、見直しを検討していく。
周知活動も重要と考えており、制度の実績を積み上げたい。クロスライセンスの場
合、相殺されているライセンスは対象外だが、契約が分割されており対価の額が示
されている場合は対象となる。本制度の運用に関する詳細は、3月下旬公表予定の
ガイドラインを参照のこと。
以上
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資料1
資料1
「知財投資・活用戦略の有効な開示及び
ガバナンスに関する検討会」
(第24回)
令和7年3月17日(月)
14:00~16:00
(Web開催)
<議事次第>
1.開会
2.事務局説明(内閣府知的財産戦略推進事務局)
3.プレゼンテーション(1)
(知財・無形資産ガバナンス推進協会 前田絵理様)
4.プレゼンテーション(2)
(一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会
5.プレゼンテーション(3)
(特許庁総務部企画調査課 柳澤智也様)
6.プレゼンテーション(4)
(経済産業省イノベーション・環境局研究開発課
高野誠司様、工藤一郎様)
齋藤健様)
7.質疑応答・議論
8.閉会
<配布資料>
資料1
議事次第
資料2
委員名簿
資料3
事務局説明資料
資料4
プレゼンテーション(1)資料 (知財・無形資産ガバナンス推進協会)
資料5
プレゼンテーション(2)資料 (一般社団法人
資料6
プレゼンテーション(3)資料 (特許庁総務部企画調査課)
資料7
プレゼンテーション(4)資料 (経済産業省イノベーション・環境局研究開発課)
資料8
森委員提出資料
資料9
荒木委員提出資料
知財・無形資産ガバナンス協会)
資料2
資料2
「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」
委員名簿
(五十音順、敬称略)
(委員)◎座長
荒木
充
株式会社ブリヂストン
知的財産部門
江良
明嗣
ブランズウイック・グループ
小野塚
恵美
エミネントグループ株式会社
◎加賀谷
哲之
一橋大学商学部
部門長
パートナー
代表取締役社長 CEO
教授
菊地
修
一般社団法人知財・無形資産ガバナンス協会
理事長
三瓶
裕喜
アストナリング・アドバイザー合同会社
杉光
一成
金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科
武井
一浩
西村あさひ法律事務所・外国法共同事業
立本
博文
筑波大学ビジネスサイエンス系
中村
栄
旭化成株式会社
松島
憲之
SESSA パートナーズ株式会社 チーフアドバイザー
三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社 委嘱アドバイザー
松原
稔
りそなアセットマネジメント株式会社
常務執行役員 責任投資部担当
森
俊彦
一般社団法人日本金融人材育成協会
代表
教授
パートナー
教授
知財インテリジェンス室
シニアフェロー
会長
(オブザーバー)
金融庁企画市場局企業開示課、特許庁総務部企画調査課、株式会社東京証券取引所
(事務局)
内閣府知的財産戦略推進事務局、経済産業省経済産業政策局産業創造課、
経済産業省経済産業政策局知的財産政策室
資料3
資料3
事務局説明資料
2025年3月17日
内閣府 知的財産戦略推進事務局
前回検討会からの進捗について
ガイドラインの考え方の普及促進状況
企業、団体といったステークホルダーと連携し、知財・無形資産ガバナンスガイドライン(以下、本ガイドラインとす
る)への認知を広げるため、講演、個別説明会、執筆活動等を推進した。また、本ガイドラインの考え方を関係者
の目に触れる機会を増やすために、本ガイドラインのロゴを統合報告書等に記載することを促した。
対象期間:2024/4/1~2025/3/31
講演 ※1
意見交換 ※2
計
18
21
39
実施回数
講演主催者
※1 本ガイドラインを含む知的財産推進計画2025の講演を含む
※2 本ガイドラインとの関連テーマを含む(開発費の資産化等)
※3 Future Design Initiative by Science and Finance
主な対象者
講演主催者
主な対象者
A社
企業知財
知財活用ビジネス研究会
会計士/中小企業診断士
FDSF ※3
投資家/金融機関
日本経済団体連合会
企業経営者/企業知財
マネジメントパートナーズ
中小企業診断士/会計士
全国地方銀行協会
地域金融機関
すごい知財EXPO
企業知財/特許事務所
IAbM総研
中小企業診断士
知財実務オンライン
企業知財/特許事務所
日本金融人材育成協会
企業経営アドバイザー
慶応義塾大学
学生
B社
企業経営者/企業知財
知財ガバナンス研究会
企業知財/特許事務所
企業経営者/投資家
日本知財学会
企業知財/特許事務所
日本コーポレート・ガバナン
ス・ネットワーク
知財・無形資産経営者フォーラム
企業経営者/企業知財
日本技術士会
技術士
ロゴ申請社数
個人申請数 ※4
8
43
※4 日本金融人材育成協会と連携(企業経営アドバイザー)
3
前回検討会(2024年3月22日開催)で頂いた主なご意見と対応状況
1.知財・無形資産ガバナンスガイドラインの普及活用について
•
中小企業・スタートアップへの普及は地域金融機関が鍵になる。地域金融機関に向けた普及活
動も検討すべきではないか。
⇒ 地域金融機関の主要4団体(全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協
会、全国信用組合中央協会)と意見交換を実施。内、全国地方銀行協会で講演を実施。
•
ロゴの普及促進案として、内閣府が後援している企業経営アドバイザー検定試験を活用してはど
うか。
⇒ 企業経営アドバイザーを主管している日本金融人材育成協会と連携し、企業経営アドバイザー
に向けた講演を開催するとともに、名刺にロゴを記載する取組を推進。また、来期以降の当該
認定講座テキストに、本ガイドラインの解説ページを追記予定。
•
知財・無形資産を監督する立場から知財・無形資産ガバナンスガイドラインの考え方を理解して活
用するために、経営者や取締役を普及対象者とするのがよいのではないか。
⇒ 日本経済団体連合会や日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークを含み、経営層を対象とした
講演会を複数実施。
2.知財・無形資産ガバナンスの状況について
•
先進的に取り組んだ企業が企業成績において先行し、取り組みが不十分な企業がその結果を見
て、先行企業に学びながら追いかけようとするため、一旦は二極化になることも必要なのではないか。
⇒ 民間主導で知財・無形資産を戦略的に活用し、企業価値を高めている活動を好事例として
公表する取組が開始。(プレゼンテーション(1)、(2))
4
知的財産推進計画2024での方向性
国内のイノベーション投資の促進
◆ イノベーション投資は、持続的な成長と社会課題の解決に向けて必要不可欠な要素であ
り、中長期的な視点で、より戦略的にイノベーション投資を行うことが重要。
◆ 中長期的な視点でイノベーション投資を行うためには、研究開発を「費用」でなく「資
産」の形成と捉える企業マインドの変革が必要。
◆ 戦略的にイノベーション投資を行うためには、企業内でイノベーション投資の生産性を
可視化できる仕組みの構築等によるイノベーションマネジメントの更なる高度化が必要。
現状と課題
○我が国民間企業における研究開発費の伸びは低調である一方、
研究開発の海外移行の動きが顕在化
日本国内の研究開発環境の優位性の低下が懸念
先端技術・情報の海外流出が懸念
○我が国においても、イノベーション拠点税制の導入が決定
○国際会計基準を適用している日本企業と欧州企業では、開発
費の資産化率等に関する大きな差異
主要国における研究開発費の推移
今後の予定(方向性)
○イノベーション拠点税制における手続規定の整備を含めた執行体制の強化及び事業者が積
極的に制度を活用できるよう制度をわかりやすく解説したガイドラインの策定、業界団体
等と連携した制度の周知、税制対象範囲の見直し検討
○イノベーション拠点税制に関する海外における動向調査及び知財・無形資産等の価値評価
の在り方の検討等による知財・無形資産と企業価値の関連性の認識促進
5
知財・無形資産への投資による価値創造
知的財産推進計画2024での方向性
◆ 「コストカット型経済」から、知財・無形資産の投資・活用による「成長型経済」への
変革が必要。
◆ サステナビリティ課題の解決につながる革新的な製品・サービスの顧客提供のためには、
知財・無形資産への投資・活用が必要不可欠。
◆ 知財・無形資産の投資・活用戦略の構築・実行状況を一層可視化し、企業と投資家・金
融機関との建設的な対話等を通じて、企業価値の創造と投資資金の獲得という好循環を
実現することが重要。
現状と課題
○日本企業は米国企業に比べ
て時価総額に占める無形資
産の割合が低い。
○各国に比べて日本のマーク
アップ率の上昇率が低く、
近年では国際的に低い水準。
図
時価総額に占める無形資産の割合
出典:新しい資本主義実現会議(第5回)資料1、P50( 2022年)
図
マークアップ率の国際比較
出典:新しい資本主義実現会議(第24回)資料1, P8(2024年)
今後の予定(方向性)
○ 2024年通常国会において事業全体を担保とする企業価値担保権の創設等を含む「事業性
融資の推進等に関する法律」が成立。積極的な周知・広報等を進めていく。
○ SX銘柄の公表を通じて、知財・無形資産の投資・活用を含む経営変革を実現。
○ 投資によるインパクトの特定・測定・管理等を通じて、知財・無形資産の創出につなが
る研究開発投資や新規事業創出を更に促す。
6
今次検討会でご議論いただきたい論点
本日ご議論いただきたい点 ①
【背景:「知的財産推進計画2025」策定に向けた議論】
⚫ 「知的財産推進計画2025」に向けた議論では、グローバルで進展する変化を取り込み、知財で未来社会の価値創造
をリードする「新たな知的創造サイクル」の構築を目指した議論を実施。1つの方向性として、「社会課題解決」に資す
る知的創造サイクルを目指す方向性を提示。
⚫
知財・無形資産は、企業の価値創造のためにも重要となるが、一方で、現状、日本企業は米国企業に比べて時価
総額に占める無形資産が低迷。知財・無形資産の可視化を進め、研究開発費・知財と売上高その他の経営指標
を紐づけて投資家等ステークホルダーに説明していく必要がある。
出典:「第2回構想委員会」資料より抜粋
8
本日ご議論いただきたい点 ②
【ガイドラインの浸透状況・課題について】
⚫ これまでも、知財・無形資産の可視化に向けて、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」の策定や、SX銘柄の選定・公
表、知的資産経営の推進、また、民間ベースでの優良な開示事例の表彰など、官民において様々な取組を実施してきて
いるところ。検討会委員/企業側の活動についても、可能な範囲にてご共有いただくとともに、関係者における本ガイドライ
ンの考え方の普及状況について、ご見解をお伺いしたい。
【知財・無形資産の可視化に向けた今後の取組について】
⚫ より一層、上記の流れを後押しするため、どのような取組(官民含む)が期待されるか。
① 「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」の更なる普及に向けてどのようなアクションが有効か。
② 知財・無形資産の可視化・経営指標との紐づけを一層進めるため、例えば、以下のようなアプローチは有効と考えら
れるか。
a. インパクト投資における知財・無形資産に係る指標の活用に係る先進事例の収集
• 特に欧米で先行するインパクト投資において、知財・無形資産に係る指標がロジックモデルにどのように組み込まれ
ているか、諸外国での先進事例等を調査することは、経営層への働きかけや、スタートアップ等資金調達ニーズが
見込まれる企業にとって有用か。
b. 知財・無形資産(研究開発費・データ含む)を費用ではなく資産として取り扱うマインドの浸透
• イノベーションボックス税制の導入を契機に、知財・無形資産の収益や企業価値への繋がりを把握するイノベーショ
ンマネジメントの高度化が求められる。企業・投資家双方において、取り得る具体的なアクションはあるか。
(e.g.)企業側からのアプローチ
➢ 開発費について一定要件を充足する場合資産計上するとされている国際会計基準の考え方の適用
➢ 価値あるデータの無形資産への積極的な資産計上の促進 等
c. 上記以外に、有効なアプローチはあるか。
• そもそも、企業サイドで、可視化が進まない要因はどこにあると考えられるか。
9
参考資料
(参考)グローバルヘルス分野におけるインパクト投資の動き
➢ グローバルヘルス(GH)の財政負担は増大している。 公的資金に加え、持続可能な金融を含めた
民間資金の動員は喫緊の課題である。
➢ 近年、経済的リターンと社会的課題の解決を両立させる「インパクト投資」への注目が高まっており、
投資額も増加している。
➢ G7広島サミットにおいて、各国首脳は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)やSDGsの達成を
含むGHへの貢献を視野に入れ、インパクト投資の認知度を高め、ベストプラクティスを共有するための
イニシアチブ「 Impact Investment Initiative (Triple I) for Global Health 」を支持した。このイニシアチブ
は、2023年9月の国連総会ハイレベル会合に合わせて発足した。
11
(参考)グローバルヘルス分野におけるインパクト投資の好事例
12
(参考)「計画2024」掲載施策の進捗状況
知的財産の創造:国内のイノベーション投資の促進
•
2024年度税制改正において措置された、特許権やAI分野のソフトウェアの知財から生じる所得に税制措置
を適用するイノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)について、2025年4月の制度開始に向け、
手続規定の整備を含めた執行体制の強化を行う。また、事業者が積極的に制度を活用できるよう、制度を
わかりやすく解説したガイドラインの策定や制度の周知等を業界団体等とも連携して行うとともに、引き続き、
税制の対象範囲については、制度の執行状況や効果を十分に検証した上で、執行可能性等の観点から、
状況に応じ、見直しを検討する。
(短期・中期)(経済産業省)
→ 2025年4月の施行に向け、イノベーション拠点税制の執行を滞りなく適切に実施できるよう、経済産業
省令等を制定し、執行体制の整備を図った。また、事業者が積極的に制度を活用できるよう、制度を解
説したガイドラインの策定(2025年3月下旬に公表予定)を実施。
•
イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)における対象範囲の見直し検討や類似制度を導入し
ている国における動向調査、知財・無形資産の非財務情報を含めた価値評価の在り方を検討することにより、
研究開発成果としての知財・無形資産と企業価値の関連性の認識を促進し、イノベーションマネジメントの高
度化につなげる。
(短期・中期)(経済産業省)
→ イノベーション拠点税制の対象範囲の見直し等の検討のための情報収集として、我が国の制度と類似の
制度を導入している諸外国の制度調査を実施。
13
(参考)「計画2024」掲載施策の進捗状況
知的財産の創造:知財・無形資産への投資による価値創造
•
知財・無形資産の投資・活用の促進に向けて、知財・無形資産を戦略的に活用し、企業価値を高めている活
動を好事例として公表する表彰制度を推進すべく、民間の協力を得て実施する方策を検討する。また、企業が
スタートアップを自社のエコシステムに引き寄せるための具体的な情報開示や取組について推進する等、知財・
無形資産ガバナンスガイドラインの考え方の国内外への普及・浸透を図る。
(短期・中期)(内閣府(知財))
→ 知財・無形資産を戦略的に活用し、企業価値を高めている活動を好事例として公表する取組や表彰制度
を推進する動きが、民間において複数開始された。また、投資家や金融機関を含み、広く本ガイドラインの
考え方の普及・浸透を図った。
•
「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」に沿って、企業による収益性と成長性を意
識した経営を促進するため、知的財産を含む無形資産への投資に関する取組を促す。
(短期・中期)(金融庁)
→ 2024年6月に「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024」を取りまとめ、コーポ
レートガバナンスの実質化に向けた取組を進めた。また、東証とも連携し、コーポレートガバナンス・コードや
「資本コストを意識した経営の実現に向けた対応」の要請に基づく、知的財産を含む無形資産への投資に
関する取組を企業に促した。
•
SXの実現のための価値創造ストーリーの協創に向けて、知財・無形資産戦略は人的資本戦略や事業ポート
フォリオマネジメント戦略、DX戦略等と並んで重要な鍵であり、SX銘柄を通じて、知財・無形資産戦略を始め
とする各種戦略について統合的な戦略構築と開示を推奨する。
(短期・中期)(経済産業省、内閣府(知財))
→ 2024年4月にSX銘柄2024対象企業を選定し、5月にSX銘柄レポートを公表。
現在、SX銘柄2025を審査中(2025年春頃に、SX銘柄レポートを公表予定)。
•
2024年通常国会に提出された「事業性融資の推進等に関する法律案」の早期成立を目指す。
(短期・中期)(金融庁、内閣府(知財)、法務省、経済産業省)
→ 2024年6月に「事業性融資の推進等に関する法律案」が成立(企業価値担保権)。
2026年春頃の施行を目指し、関係政府令等の環境整備中。
14
(参考)施策の方向性
知的財産の創造:知財・無形資産への投資による価値創造
•
知財・無形資産を活かした経営の実践を我が国企業に浸透させるべく、知財戦略構築の専門家だけでなく、
情報開示や投資の専門家も企業に派遣すること等を通じて、経営における知財・無形資産の位置づけの可視
化やそのための体制構築と、投資家等のステークホルダーとの建設的な対話に資する知財・無形資産の投資・
活用の開示を支援し、企業の持続的な価値向上、知財・無形資産の投資・活用の開示や、ステークホルダー
との建設的な対話の推進につなげる。
(短期・中期)(特許庁)
→ 公募採択の4社に対し、経営・知財・投資の専門家チームを派遣し、対話及び知財経営の適切な開示を
企業に浸透させるために必要な事項に関する調査研究を実施。3月末までに報告書、事例集として取りま
とめ、4月頃に公表予定。
•
知財・無形資産を活かした経営の実践を我が国企業に浸透させるべく、経営戦略や事業戦略の策定に際し、
知財情報等を活用した分析を行うIPランドスケープについて、目的別の分析手法等を取りまとめたガイドブックの
周知を図ることで、経営戦略に資するIPランドスケープの普及につなげる。
(短期・中期)(特許庁)
→令和5年度調査研究の成果物である「経営戦略に資するIPランドスケープ実践ガイドブック」について、講演、
企業との意見交換、冊子配布等を実施。
•
グリーン・トランスフォーメーション技術区分表、及び当該技術区分表を用いた特許情報の分析結果の国内外
への発信及び活用の促進を行う。また、こうした技術区分表が国際的に統一された技術区分表に組み込まれ
るよう諸外国への働きかけを行うとともに、特許審査官の知見も活用しつつ、技術区分表の充実化に向けた検
討を行う。
(短期・中期)(特許庁)
→ 国内外の企業との意見交換、特許情報の分析結果の発信および諸外国への働きかけ等を実施。
また、当該技術区分表を用いたJ-PlatPatでの簡便検索機能を実装。
•
一定の「投資収益」確保を図りつつ、「社会・環境的効果」の実現を企図するインパクト投資において、事業を
行う企業と金融機関・投資家の対話に資するよう、知的財産の活用等を含む企業の創意工夫の取組につい
て、事例の共有・分析等を行っていく。
(短期・中期)(金融庁、内閣府(知財))
→ インパクトコンソーシアムにおいて、事例紹介等を通じて、インパクト投資時に活用できる指標・データの整備、
上場市場におけるインパクト投資等について議論中。令和7年6月までに、投資手法等を取りまとめる予定。
15
(参考)知的資本投資の可視化
➢ 近年、ESG投資への要請が高まっており、将来的な企業価値を評価する上で、知財・無形資
産に関する情報の開示が投資家から要請されている。
➢ 知財・無形資産の投資は単年度「費用」ではなく「資産」の形成という発想を持ち、安易に
削減対象にすることのないように意識することが重要。
■バルーク・レブ教授らによる無形資産に係る会
計処理への批判
研究開発投資の見える化(エーザイの取組)
バルーク・レブ教授らは、会計情報において無形資産が適
切に説明されていない点を痛烈に批判。
また、同じ無形資産であるにもかかわらず、外部から購入し
てきた場合には資産計上されるのに対し、自社で創造・育
成した場合には資産計上されないという、異なる扱いがされ
ていることに疑問を呈している。
人件費や研究開発費等が
PBR(株価純資産倍
率)と正の相関関係があ
るとの分析に基づき、通常
の営業利益に人件費、研
「それ自身では実質的な価値を創り出すことができない物的投
資や金銭投資が、貸借対照表に満額で認識されるのに(中
略)、特許、ブランド、ノウハウといった自己創出される無形資
産―強力な価値創造主体―が即時に費用化される。つまり、
損益計算書のなかで、将来ベネフィットのない経常的な費用
(給与や貸借料など)として処理されていることは、なんと皮肉
なことだろう。」
「さらに不可解なのは、コカ・コーラのようにブランドを育てた場合、
一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)のもとでそ
れは資産ではないが、そのブランドを購入した場合は、貸借対
照表に誇らしげに計上されるのだ。会計によって作り出された
誤った経営者のインセンティブ―育てるより買ってきた方がよい―
を考えてみてほしい。財務諸表上の無形資産に関するこのばか
げた会計処理は、貸借対照表と損益計算書の両方にかなり複
雑に悪影響を与え、投資家を非常に混乱させている。」
出典:バルーク・レブ+フェン・グー「会計の再生」
究開発費を足し戻した数
字を「ESG EBIT」と定義
して開示。
PBR1倍を超える部分は、
「知的資本」「人的資本」
「製造資本」「社会・関係
資本」「自然資本」といった
5つの非財務資本の価値
であると考えている。
出典:エーザイ株式会社「価値創造レポート2023」
16
(参考)インパクト加重会計
インパクト加重会計とは、従業員、顧客、環境、社会等に対するESG企業活動の正・負のインパクトを算出し、
財務諸表記載情報を補足する取組。ハーバードビジネススクールのジョージ・セラフェイム教授らが提唱。
エーザイ
DEC錠無償提供の社会的インパクトを
年間約1600億円と試算。
出典:エーザイ株式会社「価値創造レポート2023」
SOMPOホールディングス
介護サービスの効率化による社会インパクトを
3.7兆円と試算。
出典:SOMPOホールディングス株式会社「統合レポート2023」 17
(参考)研究開発を将来に向けた資産形成と捉える企業マインドの醸成
⚫ 研究開発を単年度の「費用」ではなく、将来に向けた「資産」の形成と捉える企業マインドの醸成が必要。
こうした企業マインドの醸成に向けて、如何なる対応策を講ずるべきか。
■日欧のIFRS適用企業における開発費の資産化率等の状況
➢ 開発費の資産化率について、日欧企業で違いがある。また、欧州企業では資産化率の開示もある。
日欧のIFRS適用企業における開発費の資産化率等(2022年度)
40%
開
発 30%
費
の 20%
資
産 10%
化
率 0%
の
平
均
値
35.3%
21.1%
22.5%
4.9%
欧州企業
日本企業
欧州企業
日本企業
(n=8, m=4)
(n=3, m=0)
(n=5, m=2)
(n=4, m=0)
自動車
自動車部品
n=調査企業数, m=nのうち資産化率を開示している企業数
■開発費の資産化等に関するヒアリングで得られた主なコメント
➢ 開発費の資産化に関する情報は、開発効率を測る指標として将来的に投資判断や社内管理に利用できる可能性。
➢ 研究開発を費用ではなく、資産の形成と捉えるマインド変革は重要。設備投資だけではなく、研究開発も投資として
長期間で考える必要性。
➢ 開発費の資産化を契機として、今後は付加価値が高い独自技術を開発し、将来の価値創造につなげる議論ができ
る可能性。
備考: 「無形資産に関する検討経過の取りまとめ」(2013年6月28日 企業会計基準委員会)を基に内閣府作成。業種については、当該報告書における4分類のうち、自動車(分類
Ⅱ:社内発生開発費の資産計上を行っている)及び自動車部品(分類Ⅲ:社内発生開発費の資産計上を行っている企業と行っていない企業が混在している)を選定した。また、
調査対象企業については、当該報告書に記載企業の他、「Fortune Global 500」(2024年4月時点)における日欧企業及びIFRS適用済の日欧企業を選定した。
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(参考)IFRS基準における無形資産の取扱い
■無形資産の定義・認識要件(IAS第38号:無形資産)
定義
:物理的実体のない識別可能な非貨幣性資産
充足要素(and) :①識別可能性 ※1 、②支配 ※2 、③将来の経済的便益 ※3
上記の定義に加え、以下の要件を満たす場合に、資産計上されなければならない。
認識要件(and) :①資産に起因する、期待される将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高い(経済的便益をもたらす蓋然性)
:②資産の取得原価を、信頼性をもって測定することができる(取得原価の測定可能性)
(個別議論)
■社内開発費の取扱い(IAS第38号:無形資産)
・資産の創出過程を研究局面と開発局面に分け、開発から生じた無形資産は、企業が技術上の実行可能性など6要件を立証できる場合に限り、
認識しなければならない。
■企業結合時に識別される無形資産の取扱い(IFRS第3号:企業結合)
・取得企業は、のれんとは別に企業結合で取得した識別可能な無形資産を認識しなければならない。無形資産は、分離可能性規準 又は契約
法律規準 のどちらかを満たす場合に識別可能となる。
■他社から研究開発の成果を個別に取得した場合の取扱い(IAS第38号)
・無形資産を個別に買入れた場合、通常、個別に取得した仕掛研究開発は資産計上されている。
■国際的な会計基準における取扱い(IAS第38号)
・無形資産の耐用年数が確定できるか否かを査定し、関連するすべての要因の分析に基づいて、無形資産が企業に対して正味キャッシュ・インフ
ローをもたらすと期待される期間について予見可能な限度がない場合、当該無形資産の耐用年数は確定できないものとみなされなければならず、
このような耐用年数を確定できない無形資産は償却を行ってはならないとされている。
■耐用年数が確定できない無形資産の取扱い(IAS第38号)
・関連するすべての要因の分析に基づいて、無形資産が企業に対して正味キャッシュ・インフローをもたらすと期待される期間について予見可能な限
度がない場合、当該無形資産の耐用年数は確定できないものとみなされなければならない。
・このような耐用年数を確定できない無形資産は償却を行ってはならない。
※1 識別可能性:無形資産とのれんとを区別するために必要な要素であり、(a)分離可能であること、又は(b)契約又はその他の法的権利から生じるものであること。
※2 支配:対象となる資源から生ずる将来の経済的便益を獲得する力を有し、かつそれらの便益を他者が利用することを制限できる状態。
※3 将来の経済的便益 :製品又はサービスの売上収益、費用節減、あるいは企業による資産の使用によってもたらされる将来の利益が含まれる。
参照:「無形資産に関する検討経過の取りまとめ」(2013年6月28日 企業会計基準委員会)
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(参考)無形資産及びのれんの会計処理に関する国際比較
➢ ■自己創設の研究開発費の取扱い
米国基準及び日本基準では、研究費及び開発費ともに即時費用計上する。但し、日本基準では、適用範囲が
限定的であるが開発費を繰延資産に計上することができる。IFRS基準でも、研究費は即時費用計上するが、開
発費は要件を満たせば資産計上する。
➢ ■他社から研究開発の成果を個別に取得した場合
米国基準及び日本基準では即時費用計上するが、IFRS基準では要件を満たせば無形資産として計上する。
➢ ■企業結合時に識別される無形資産の場合の取扱い
三基準ともに無形資産に計上し、原則、減価償却を行う。但し、米国基準及びIFRS基準では、償却期間が特定
できない場合に限り、減価償却せず減損テストを毎年実施する。
➢ ■のれん
三基準ともに無形資産に計上する一方、米国基準及びIFRS基準では減価償却せず減損テストを毎年実施する
が、日本基準では償却期間を最長20年とする減価償却を行う。
無形資産・のれんに関する会計基準比較
米国基準
IFRS基準
日本基準
自己創設の研究開発費
• 即時費用計上
• 研究費は即時費用計上
• 開発費は要件を満たせば資
産計上義務
• 研究費は即時費用計上
• 開発費は繰延資産に計上可能
(IFRS基準よりも適用範囲が限定
的。5年償却。)
他社から研究開発の成
果を個別に取得した場合
• 即時費用計上
• 要件を満たせば無形資産と
して計上
• 即時費用計上
企業結合時に識別される
無形資産
• 無形資産に計上。原則、減価償却。(償
却期間が特定不可の場合は、非償却+年
次減損処理)
• 無形資産に計上。原則、減
価償却。(償却期間が特定
不可の場合は、非償却+年
次減損処理)
• 無形資産に計上。原則、減価償却
(減損の兆候がある場合、減損処
理)
のれん
• 上場企業:非償却+年次減損処理
• 非上場企業:減価償却可(最長10年)
• 非償却+年次減損処理
• 減価償却(減損の兆候がある場合
(同上)、減損処理)
20
(参考)国連による「国民経済計算(SNA)」改訂の動き
⃝ 国連統計委員会では、2025年に国民経済計算の新しい国際基準(2025SNA)の採択が目指されて
いる。
⃝ 前回、2008SNA採択以降、経済のデジタル化が大きく進展したことを受け、各種経済活動において、デー
タが重要な生産要素となっており、2025SNAの策定に向けては「データを固定資本として記録する」方向
で検討が進められている(こうした動きを受けて、現在、政府部内で対応方針(推計方法等)を検討
中)。
※なお、前回、2008SNA策定時に、知的財産生産物の導入(研究開発(R&D)の資産計上
等)については、基準に盛り込まれている。
※対象となる「データ」の定義
『現象にアクセスし、観察し、これらの現
象の情報要素をデジタル形式で記録、
整理、保存することによって生成される
情報コンテンツであり、生産活動に使用
した場合に経済的利益をもたらすもの』
“information content that is
produced by accessing and
observing phenomena; and
recording, organizing and
storing information elements
from these phenomena in a
digital format and that provides
an economic benefit when used
in productive activities”
出典:「「2025SNA(仮称)に向けたデジタル経済の計測に関する調査研究-データの資本としての記録方法について-」報告書(概要版)
(2025年7月25日)より抜粋
21
資料4
「知財投資・活用戦略の有効な開示及び
ガバナンスに関する検討会」(第24回)
2025年3月17日(月)
知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)
代表理事 前田絵理
1.表彰制度の目的および背景・経緯(1/2)
表彰制度創設の目的
この知財・無形資産ガバナンス表彰制度は、知財・無形資産ガバナンスを実践し企業
価値向上を図り、日本企業のロールモデルとなる活動を推進している企業を表彰する
ことで、知財・無形資産の戦略的活用に関する意欲を高め、知財・無形資産の投資・活
用を促進することを目的としています。
※知的財産推進計画2024(抜粋)
•「知財・無形資産の投資・活用の促進に向けて、企業の知財・無形資産の戦略的活用に関する意欲を高めるべく、統合報告書等に
おいて開示されている、知財・無形資産を戦略的に活用し、企業価値を高めている活動を好事例として公表する表彰制度を推進す
べく、民間の協力を得て実施する方策を検討する。」
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)ウェイブサイトより転載
2
1.表彰制度の目的および背景・経緯(2/2)
背景・経緯
2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂により、知的財産への投資に対する的確な情報開示(同3-1③)と、
取締役会での監督(同4-2②)に関する内容が、上場企業に対して要請され、投資家等の皆様からも、これらの知財・
無形資産ガバナンスに関する取組みを企業が的確に実行するように、その実行状況を把握すると共に、優れた活動
(好事例)を行うように啓蒙していくことが期待されています。
このような環境を踏まえて、政府の知的財産戦略本部(本部長:内閣総理大臣)でも、近年、「知財・無形資産への投
資による価値創造」に力を入れ、2022年に、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」を策定し、普及啓発を行ってい
ます。この流れを受ける形で、2024年6月に決定された「知的財産推進計画2024」において、今後の施策の方向性と
して、企業価値を高めている活動を「好事例」として公表する表彰制度を推進することが定められています。
こうした動きも踏まえ、今般、民間の有志にて、内閣府知的財産戦略推進事務局等関係者とも協議しつつ、2024年9
月に任意団体「知財・無形資産ガバナンス推進協会」を設立し、表彰制度を推進するための体制を構築することとし、
機関投資家や有識者の方々から構成される「知財・無形資産ガバナンス表彰審査委員会」を2024年10月1日付で発
足しました。
つきましては当団体が主催者として、表彰審査委員会を運営し、表彰審査委員会が公正・中立な審査を行って表彰
企業を選出します。当団体は表彰企業を日本経済新聞等のメディアを通じて広く社会に告知すると共に、2025年3月
24日に東京都内で表彰式を実施し、表彰企業の顕彰を行うことを予定しています。
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)ウェイブサイト参照
3
2.組織体制 - 知財・無形資産ガバナンス推進協会
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)ウェイブサイトより転載
4
2.組織体制 - 表彰審査委員会・評価基準検討委員会
表彰審査委員会(※)
評価基準検討委員会(※1、2)
審査委員長
東京大学 渡部俊也 教授
委員長
金沢工業大学大学院 杉光一成 教授
顧問
みさき投資 中神康議 代表取締役社長
審査委員一覧(※順不同)
三井住友トラスト・アセットマネジメント 澤嶋裕希 シニア・スチュワードシップ・オフィサー
みさき投資 佐藤広章 マネージングディレクター
筑波大学 立本博文 教授
SBI証券 波多野紅美 クオンツアナリスト
審査委員一覧(※順不同)
農林中金全共連アセットマネジメント(NZAM) 大澤豪 執行役員(最高投資責任者)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 吉高まり サステナビリティ経営支援室 フェロー
三井住友トラスト・アセットマネジメント 澤嶋裕希 シニア・スチュワードシップ・オフィサー
日興アセットマネジメント 脇田浩樹 スチュワードシップ担当アナリスト
みさき投資 佐藤広章 マネージングディレクター
アライアンス・バーンスタイン 穂谷栄一郎 運用戦略部兼責任投資推進室 ディレクター
BNPパリバ証券 中空麻奈 副会長
大和インベスターリレーションズ 成瀬順也 代表取締役社長
インテグリタス合同会社 古木謙太郎 代表
IP Bridge 藤木実 代表取締役CEO
金沢工業大学大学院 杉光一成 教授
筑波大学 立本博文 教授
※委員会の構成について
・ 中長期視点を持ち備えた国内外投資家が審査委員の過半を構成することで、知財・無形資産
を将来の財務価値、ひいては企業価値と結び付けて評価
・ 知財価値評価の専門家として大学教授、ビジネス関係者が加わることで、評価基準および選
定方法に論理性・妥当性を確保
※1 評価基準検討委員会の設置について
・ 表彰審査にあたっての評価基準と評価手順などの検討をするために、審査委員長が表彰委員
会事務局に設置を指示。委員会は、審査委員長から委嘱を受けて評価基準と評価手順の原案
を策定
※2 委員会の構成について
・ 知財価値評価の専門家として大学教授、中長期視点を持つ投資家のうち実務担当者が評価基
準検討委員会を構成することで、評価基準および選定方法に論理性・妥当性を確保
事務局
知財・無形資産ガバナンス推進協会他
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)ウェイブサイトより転載
5
3. 2024年度審査の流れ(1): 評価基準・評価手順の検討(評価基準検討委員会)
表彰審査委員会・評価基準検討委員会の設置
2024年10月 1日
知財・無形資産ガバナンス推進協会設立(代表理事:前田絵理 EY弁護士法人 アソシエートパートナー、伊藤淳 LINE Pay株式会社 取締役)
表彰審査委員会設置(審査委員長:東京大学 渡部俊也 教授、顧問:みさき投資 中神康議 代表取締役社長)
評価基準検討委員会設置(委員長:金沢工業大学大学院 杉光一成 教授)
第1回評価基準検討委員会
(2024年10月10日)
事務局を含めた検討作業
(2024年10月11日~10月25日)
第2回評価基準検討委員会
(2024年10月28日)
■ 評価基準に関する議論と基本方針の決定
・ 知財・無形資産ガバナンス表彰制度の「目的と経緯」の確認
- 「知的財産戦略推進計画2024」の趣旨確認
- 「知財・無形資産ガバナンスガイドライン2.0」の参照
・上記「目的と経緯」を踏まえた、評価対象企業の母集団に対
する基本的な考え方の整理
- 時価総額・売買代金(投資対象としての適格性等)
- 表彰制度の趣旨に相応しい株価指数の構成企業(日経
JPX400等)
- 経済産業省SX銘柄等と同様に今後応募制を採用するか否か
・ スクリーニング実施の有無と実施する場合の基準の検討
・ 定量的評価の実施の有無と実施する場合の基準の検討
・ 前身組織から引き継いだ定性的評価12項目の再検討
■検討にあたって留意したポイント
・「知財・無形資産の戦略的活用に関する意欲を高め、知財・
無形資産の投資・活用を促進」という政策目的を踏まえると、
表彰制度の広範な企業が対象となることが望ましい
・「日本企業のロールモデルとなる活動を推進している企業」
が表彰対象であること、また機関投資家による投資や対話の
対象となりうるためには、一定以上の事業規模、時価総額、
知名度等が必要
・「知財・無形資産ガバナンスを実践し企業価値向上を図」る
企業が表彰対象であることを踏まえると、知財・無形資産を
活用して企業価値創造等の面で高いパフォーマンスを上げて
いる企業が表彰対象となると考えられる
・「統合報告書等において開示されている、知財・無形資産を
戦略的に活用し、企業価値を高めている活動を好事例として
公表する表彰制度」であることを踏まえると、統合報告書を
公表している企業が表彰対象
■ 評価基準検討委員会(案)の決定
①評価対象企業の母集団
・東京証券取引所プライム市場、スタンダード市場、グロース
市場に上場している企業(各年9月末時点)
②評価対象企業のスクリーニング
・流通時価総額1,000億円以上
・直近3年間平均ROICが0%超
・統合報告書を発行
③定量評価を実施する場合の検討項目(主要項目)
・資本収益性に関する指標
・無形資産に関する指標
・バリュエーションに関する指標
・保有する知財・無形資産の量的・質的評価に関する指標
・統合報告書の開示状況を定量的に評価した指標
④定性的評価基準
・定性的評価12項目の重複等を調整して10項目に整理
第2回評価基準検討委員会に向けて、①評価対象企業の母集
団、②定量スクリーニング基準、の具体案について検討
表彰審査委員会における審議(2024年11月~)
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA) 事務局
6
3. 2024年度審査の流れ(2):表彰審査委員会~表彰式
評価基準検討委員会での審議(2024年10月)
第1回表彰審査委員会
(2024年11月13日)
評価基準検討委員等による定量評価
(2024年11月13日~22日)
第2回表彰審査委員会
(2024年12月12日)
■ 評価基準と評価手順の決定
・評価基準検討委員より、評価基準案(表
彰企業対象、定量スコアリングの実施有
無と内容、定性的な評価基準等)と検討
プロセスを説明
・評価基準検討委員会案について、審査委
員会で審議、必要な修正について合意の
後、評価基準(表彰企業対象、定量スコ
アリングの内容、「定性的評価基準10項
目」)と評価手順を確定
■ 定量評価による表彰候補企業リスト作成
・東証3市場上場企業から評価対象企業397
社を選別
・評価対象企業397社について、資本収益
性や知財・無形資産の活用・開示状況等
を定量的に評価(スコアリング)
・製造業と非製造業のそれぞれからスコア
リング上位10社を目途に、表彰候補企業
をリスト化(2024年度は製造業10社、非
製造業7社の17社を選定)
■ 審査委員による推薦企業と理由の発表
・各審査委員は、統合報告書を中心とする
公開情報に基づき、評価対象企業を「定
性的評価基準10項目」に照らして評価
・各審査委員は、表彰候補企業リストから
1社(必須)、候補リスト外から1社(任
意)を表彰企業として推薦
「定量スコアリング」による表彰候補リ
スト作成を事務局に指示
表彰候補企業17社のリストを各審査委員
に送付(11月22日)
■ 審査委員による審議と表彰候補企業決定
・ 審査委員会で委員推薦を踏まえた審議
を行い、表彰候補企業(2024年度は5
社)を決定
表彰内定企業5社にインタビュー依頼
審
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第3回表彰審査委員会
(2025年1月31日)
■ インタビュー結果の共有
・ インタビュー議事録(各審査委員に事
前配布)に基づき、インタビュー担当者
から企業インタビュー結果の詳細につい
て報告
■ 審査委員による審議と表彰企業の決定
・ 審査委員会でインタビュー結果も踏ま
えた審議を行い、審査委員長が①最優秀
賞:味の素(株)、②優秀賞:(株)アシッ
クス、③特別賞:(株)カプコン、デクセ
リアルズ(株)、(株)日立製作所とする表
彰内容を決定
受賞企業・支援機関等への連絡(2025年2月初旬~)
表彰式の開催(2025年3月24日予定)
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA) 事務局
7
3. 2024年度審査 - (2)表彰企業の選定フロー
Step1
評価対象企業の選別(3,823社
397社)
■ 2024年9月末時点で東京証券取引所プライム市場・スタンダード市場・グロース市場に上場している企業(3,823社)から、①流通時価総額、②株主資本利益率、③統合報告書発行の有無、の観点から397社
(製造業205社、非製造業192社)を評価対象企業として選別
Step2
定量スコアリングによる表彰対象企業リストの作成(397社
17社)
■ 評価対象企業397社について、①投下資本利益率(ROIC)の水準並びに変化率、②無形資産比率の水準並びに変化率、③特許に関する情報、④統合報告書における知財・無形資産への言及度合い、の観点か
ら定量評価(スコアリング)を実施。製造業・非製造業それぞれについてスコア上位10社を目途に「表彰候補企業」(合計20社程度、2024年度は17社)をリスト化(事務局)
■ 評価対象企業全体のスコア表は、「表彰候補企業」とともに事務局より審査委員に提供
Step3
審査委員による表彰企業の推薦(審査委員一人当たり最大2社)
■ 審査委員は、審査委員会が策定した「定性的評価基準10項目」 (※)次頁スライド」に基づき、①「表彰候補企業」から1社推薦(必須)、②「表彰候補企業」以外の評価対象企業から1社推薦(任意)
■ 審査委員は、所定のフォーマットに推薦企業名と推薦理由を記載して、所定の期限までに審査委員長に提出
Step4
審査委員による討議と表彰候補企業の決定(審査委員から推薦のあった5社を内定)
■ 各審査委員の推薦企業(2024年度は必須5社、任意0社の合計5社)について委員会で審議し表彰候補企業5社を決定(味の素(株)、(株)アシックス、(株)カプコン、デクセリアルズ(株)、(株)日立製作所)
Step5
表彰候補企業インタビューの実施
■ 表彰候補企業5社に対して、①受賞内定の感想、②内閣府「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」の活用状況、③知財・無形資産への投資についての今後の方針、④知財・無形資産に関連して経営やガバ
ナンスについて特に強調したい点、の4点についてインタビューを実施(各社にはインタビュー内容を表彰結果に反映する旨事前に説明)
Step6
審査委員による討議と表彰企業の決定
■ 委員会でインタビュー結果も踏まえた審議を行い、審査委員長が①最優秀賞:味の素(株)、②優秀賞:(株)アシックス、③特別賞:(株)カプコン、デクセリアルズ(株)、(株)日立製作所とする表彰内容を決定
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA) 事務局
8
(※)「定性的評価基準10項目」
1. 自社の将来の姿(経営戦略、事業戦略、ビジネスモデル、事業ポートフォリオなど)から経営課題を認識し、それを実現するための価値創造ストーリーの中に知財・無形資
産戦略が組み込まれているか
戦略面
2. 自社の経営目標やビジョンを実現するために、経営戦略、事業戦略として、知財・無形資産のガバナンスや投資・活用が組み込まれ、実行されているか
3. 現在のビジネスモデルや将来のビジネスモデルにおいて、それを支える自社の強みとなる知財・無形資産を客観的に把握・分析できているか
4. 現在のビジネスモデルや将来のビジネスモデルを支える自社の強みとなる知財・無形資産の投資・活用を実現するに必要な機能および人財を客観的に把握・分析できて
いるか
5.
開示面
知財・無形資産投資が、自社の価値創造プロセスのなかで、どのような成果に結びつけられるのか、企図する因果パスなど非(未)財務的のみならず財務的にも客観的
に説明ができているか
6. 知財・無形資産投資について、現在および将来の自社の経営指標(財務指標、ROIC等)と結びつけて、情報開示や中長期投資家との対話ができているか
体制面
7. 知財・無形資産の投資・活用に対するガバナンス体制(執行レベルおよび取締役会レベルでの監督)が構築されているか
開示面
8. 知財・無形資産の投資について、そのビジョンや中長期計画、知財・無形資産戦略、執行レベルおよび取締役会での監督状況等に関して、具体的にコーポレートガバナ
ンス報告書や統合報告書等で情報開示が行われているか
9. 知財・無形資産を創造し、投資・活用する人財を育成し、彼・彼女らの成果を公平に評価し、事業で貢献してもらう仕組みが構築されているか
体制面
10. 知財・無形資産の喪失・毀損による事業競争力の低下や、知財権の侵害、機密情報等知的財産の漏洩・毀損、無形資産の毀損等による事業継続不能・損害賠償金支払
い等リスクをコントロールし、知財・無形資産の投資・活用を戦略的に実現するための新たなビジネスモデル構築等を可能とする戦略的法務機能を有し、適切なリスクマ
ネジメント体制が全社的に構築・実現されているか
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)ウェイブサイトより転載
9
4.審査結果(1):【最優秀賞】味の素株式会社
【最優秀賞】味の素株式会社
同社は、知財・無形資産を活用した企業価値創造の観点において、日本企業のロールモデルに相応しい企業として、多数
の審査委員からの非常に高い評価を集めました。今回の受賞企業 5 社の中でも、経営目標やビジョンを実現する経営理念の
中核に「アミノサイエンス🄬」という同社固有の無形資産が据えられており、パーパスの実現に向けての経済価値と社会価
値の共創(ASV)への取組みに、知財・無形資産戦略が一貫性・網羅性をもって組み込まれている点などが高く評価され、
同社が「最優秀賞」として選定されました。知財・無形資産のガバナンスや情報発信の面でも、受賞企業の中で頭一つ抜き
出ていると評価され、具体的には、取締役会による知財・無形資産戦略のモニタリングや関与、知財戦略を含めた投資家と
の膨大な数の対話、IR デーにおける知財に特化したセッションの開催等が審査委員より指摘されました。
同社へのインタビューでは、同社が内閣府「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」を重要な指針として認識しており、
「ロードマップ(経営計画)策定において、無形資産をどのように特定し、どのようにストーリーとして伝えていくか」、
「無形資産が有機的に繋がっていくという中で、投資をしたものがどのように企業価値に繋がるのかというストーリーに示
し明確化すること」などに活用しているなど見解をうかがいました。今後の知財・無形資産に関する方針としては、①知
財・無形資産への戦略的投資の更なる強化(特に「人財資産」)による経営理念の実現、②知財・無形資産に関する取締役
会の関与の強化(ガバナンス強化)、③企業価値創造のストーリーの制度や情報開示、等が強調されました。
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)ウェイブサイトより転載
10
4.審査結果(2): 【優秀賞(※) 】株式会社アシックス
【優秀賞】株式会社アシックス
同社は、知財・無形資産、特にブランド価値を高める取組みが組織的かつ戦略的に行われており、また持続的に企業価値
向上を実現することを強く期待出来る好例として、多数の審査委員からの高い評価を集めました。同社は、今回の表彰企業
の中での無形資産および ROIC の改善度が最も優れているレベルにあり、そうした企業価値増大が同社のブランド価値向上
を始めとする知財・無形資産戦略によって実現できている点が特に高く評価されました。同業他社に比べて、将来性のある
重要な特許を多数保有している点も評価の対象となりました。総じて、審査基準 10 項目すべてにおいてクオリティが高く、
「知財経営」の実践と表明の両面で優れた企業と評価されました。
同社へのインタビューでは、同社が内閣府「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」を指針として活用すべく、常に
参照し意識しているとの見解をうかがいました。グローバル企業との競争では、知財・無形資産戦略の選択と集中が
重要との指摘もありました。今後も引き続き知財・無形資産に対する投資を長期的なビジョンで行う方針であり、そ
の方針を社内・社外への理解浸透に向けての情報発信の取組みを行っていくとの方針が示されました。
※
当表彰制度の規程では、優秀賞として本来 2 社を選定しますが、今回の審査対象となった5社のうち、最優秀賞の味
の素株式会社並びに優秀賞の株式会社アシックスを除く3社(株式会社カプコン、デクセリア ルズ株式会社、株式
会社日立製作所)はいずれも甲乙が付け難く、審査委員会での審議を踏まえて、2024 年度はこの3 社をすべて特別
賞として表彰することとしました。
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)ウェイブサイトより転載
11
4.審査結果(3):【特別賞】3社(50音順)(1/2)
【特別賞】株式会社カプコン
同社は、知財・無形資産を活用した高い収益性と継続的な企業価値の増大を達成できている数少ない日本企業として審査
委員の評価を受けました。豊富なコンテンツ(IP)を活用したグローバルビジネスの展開とデジタル戦略の推進に加えて、
新作・旧作の利活用サイクルを実現することで安定的な財務基盤を構築することに成功するなど、コンテンツ・アミューズ
メント事業の優れたビジネスモデルを構築している点も高く評価されました。統合報告書の完成度の高さなど情報開示の面
でも高い評価を集めた半面、知財等に関する取締役会での監督状況に関する開示等の充実を期待する声もありました。
同社へのインタビューでは、知財・無形資産戦略を支える人材投資、ゲームなどコンテンツ産業の健全な成長基盤
としてグローバルな著作権侵害への対策などの重要性が指摘されました。
【特別賞】デクセリアルズ株式会社
同社は、知財・無形資産とそれに基づく「エンジニアリング・マーケティング」を戦略の軸としており、それが今回の表彰企
業の中でも最も優れた財務パフォーマンスに結実している企業であり、統合報告書の高い完成度や投資家とのエンゲージメ
ントの取組みの面でも、審査委員の評価を受けました。知財・無形資産の活用戦略と営業戦略、事業ポートフォリオ管理、
投資計画を含めたキャピタルアロケーション戦略などが密接に結びついている点、「デジタルイノベーションチーム」など
技術の有効性を認識し検証する体制が社内で確立されている点が高く評価されました。
同社へのインタビューでは、自社の知財・無形資産の競争力に対する評価改善に向けての情報開示強化などに、内閣府
「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」を活用しているとのことでした。今後の課題としては、知財・無形資産に関す
る情報開示の充実、IP ランドスケープを活用した新事業創出の仕組みの強化などがあげられました。
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)ウェイブサイトより転載
12
4.審査結果(3):【特別賞】3社(50音順)(2/2)
【特別賞】株式会社日立製作所
同社は、知財・無形資産を活用したビジネスモデル LUMADA の構築など、保有する豊富な知財・無形資産を持続的な財
務的価値の増大につなげていることなどが審査委員の評価を受けました。テクノロジーを中心に機会をとらえてビジネスを
具体的に構築し目指す姿を実現するという LUMADA が気候変動問題などサステナビリティ課題をベースとした、インフラ
やエネルギー分野への展開シナリオと知的財産のストーリーに整合性がある点も、審査委員より評価されました。一方、近
年になって知財戦略に関する情報開示が量的に少なくなっているとの指摘もありました。
同社へのインタビューでは、内閣府「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」を一つの指針として認識しており、同
社の知財・無形資産戦略の確認や再考にあたって活用しているとの見解をうかがいました。策定中の新しい中期経営計画で
も、中核となるビジネスモデルは LUMADA となると考えられ、今後も知財・無形資産の有効活用と投資を継続していくと
の見解をうかがいました。
出典:知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)ウェイブサイトより転載
13
5.2025年度知財・無形資産ガバナンス表彰について
※ 基本的には、2024年度表彰の審査基準や審査プロセスを踏襲して、2025年度表彰を実施する方針です。
(2025年4月に2025年度に向けたキックオフ会議を開催予定)
14
以上
資料5
プライム990社調査
知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会
プライム市場時価総額上位990社に対する
知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告(2024年度)
2025年3月17日
一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会
代表 菊地修、副代表 松本浩一郎
高野誠司、工藤一郎
1
目 次
1.一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会について
2.プライム市場時価総額上位990社に対する
知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告
(2024年度)
3.上記調査に基づく、好事例企業の紹介
4.まとめ・考察
5.本調査協力者の紹介
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会 協力者名簿
知的財産アナリスト 協力者名簿
2
目 次
1.一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会について
2.プライム市場時価総額上位990社に対する
知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告
(2024年度)
3.上記調査に基づく、好事例企業の紹介
4.まとめ・考察
5.本調査協力者の紹介
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会 協力者名簿
知的財産アナリスト 協力者名簿
3
一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会について
一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会
1. 目的
当法人は、日本の企業及び大学等が、知的財産を含む無形資産(以下「知財・無形資
産」という。)を積極的に投資及び活用をする経営及びガバナンスを実践するとともに、その
内容を投資家及び金融機関等広く一般に開示し対話を行うこと(以下「知財・無形資産
ガバナンス」という。)によって、持続的な成長及び企業及び大学等の価値の向上を実現する
ことを促進し、もって日本経済を活性化し、「知財で日本を元気に」することを目的としています。
2. 運営
その一方で、米国や欧州はもちろん、中国や韓国、台湾などの新興国でも、「知財・無形資産」に
投資し活用した新しいビジネスモデルや画期的な製品を創造し、めざましい発展を遂げています。
当協会では、企業や大学等の知財・無形資産ガバナンスの実践者に加え、弁護士、弁理士、
コンサルタントなどの知財専門家や、知財投資を担う投資家の方々がスクラムを組んで、知財・
無形資産ガバナンスに関する調査・研究や、人財育成、論文や動画等の情報発信などの事
業を展開します。
また、この企業や大学の持続的成長を支えるために、当協会では、幅広い分野における全世
代の人財が積極的に参画し、組織の活性化と持続的な取り組みを行うことができるように組織
運営を実践して参ります。
そして現在、地政学リスクや物価の高騰が進む中、グローバルな経済環境も大きく変貌し、生成
AIによるDXや、地球環境を守るSXなど、新たな技術革新の潮流が押し寄せています。
3. 事業
日本は、第2次世界大戦後から1980年代まで、世界でも類を見ない高い経済成長を遂げ、奇
跡の復興を実現しました。この原動力は、勤勉な国民の努力と、その結果生み出された技術やノウ
ハウなどの「知財・無形資産」です。
ただその後は、これら「知財・無形資産」を経営資源として戦略的に活用することができず、「失わ
れた30年」と言われる長期の経済低迷に陥っております。
このような社会や市場が激変する中、今後の日本企業にとって、「知財・無形資産」を経営の中
核とした価値創造を実践していくことが、最も重要な経営戦略であり、投資家が期待するガバナンス
の対象となってきています。
そこで私たちは、この「知財・無形資産」の力で、日本の企業や大学などがイノベーションを創発し、
持続的に成長し続けることで、「知財で日本を元気に」するビジョンを実現していくために、当協会を
設立致しました。
つきましては、このビジョンを、多くの方々とご一緒に実現して参りたく存じますので、ご協力賜れます
と幸いです。よろしくお願い申し上げます。
一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会 理事長 菊地 修
当法人は、前条の目的を達成するために、次の各号に掲げる事業を行います。
(1) 知財・無形資産の投資・活用戦略やその執行・ガバナンス体制に関する調査・研究
(2) 知財・無形資産ガバナンスの実行状況の調査・分析、好事例の探索、公表、表彰
(3) 知財・無形資産ガバナンスに関する研修及び講演等の実施
(4) 知財・無形資産ガバナンスに関する動向調査、情報発信、事業の協業・受託
(5) 知財・無形資産ガバナンスに関する人財・団体との交流及び相互啓発
(6) 知財・無形資産ガバナンスに関する公的機関への協力、意見具申
(7) 前各号に掲げるもののほか、当法人の目的を達成するために必要な事業
4
一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会について
4. 組織体制
5. 理事・監事
● 理事長
菊地 修
知財・無形資産ガバナンス協会
● 副理事長
川名 弘志 KDDI株式会社
引地 進 日清オイリオグループ株式会社
<2025年度活動計画概要>
・社員総会(2025年6月)
・知財ガバナンス研究会
定例報告会(毎月第2火曜日)
・各分科会活動
・次世代リーダーコース(7月より開講予定)
・リアル研修会(2026年1月開催予定)
● 理事
荒木 充 株式会社ブリヂストン
大久保 典雄 古河電気工業株式会社
奥田 武夫 オムロン株式会社
押谷 昌宗 弁理士法人 IPX
柿山 喬 味の素株式会社
齊藤 浩二 株式会社フレアフードファクトリー
佐々木 健一 関西医科大学
竹本 如洋 弁理士法人瑛彩知的財産事務所
平賀 智 三井住友海上火災保険株式会社
本郷 いづみ 株式会社フジシールインターナショナル
松岡 和 NTTコミュニケーションズ株式会社
三菱UFJリサーチ&コンサルティング
松島 憲之
株式会社
松本 浩一郎 IP Valuation特許事務所
● 監事
井上 博之 ナブテスコ株式会社
村尾 治亮 東啓綜合法律事務所
6.入会案内
一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会に入会を
希望される方は、当法人の定款、概要、規程をお読みの上、
以下の入会申し込みサイトよりお申し込みください。
正会員
賛助会員
入会金
年会費
A会員
1万円
10万円
B会員
1万円
7万円
個人会員
無料
2万円
入会フォームは
こちら
入会フォームは
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入会メリット
企業や大学等の知財・無形資産ガバナンス実践者に加え、弁護士・
弁理士、コンサルタントなどの専門家が、実践事例や
方法を調査・研究し、相互研鑽や交流を図ると共に、
この実践者を育成する研修を実施することによって、皆さまの
企業や大学等の持続的成長と価値創造を実現することができます。
7.連絡先
所在地: 〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目6番5号
丸の内北口ビル21階 大野総合法律事務所内
メールアドレス: info@ipiaga.org
URL: https://ipiaga.org/
5
一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会の「ブランドアイデンティティ」に込めた想い
6
目 次
1.一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会について
2.プライム市場時価総額上位990社に対する
知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告
(2024年度)
3.上記調査に基づく、好事例企業の紹介
4.まとめ・考察
5.本調査協力者の紹介
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会 協力者名簿
知的財産アナリスト 協力者名簿
7
調査概要
はじめに
コーポレートガバナンス・コード改訂およびそれを補完する知財・無形資産ガバナンスガイドラインが公表され、知財ガバナンス研究会では、
日本企業における知財・無形資産ガバナンスの実施状況に関する調査を行ってきている。
2022年6月にはJPX日経インデックス400選定銘柄を対象とした調査結果を、2023年3月には東証プライム上場企業の時価総額上位
950社を対象とした調査結果を、2024年3月には同960社を対象とした調査をそれぞれ公表した。
今年度は、3年間の状況推移を確認するため、これまでの調査要領を踏襲し、東証プライム上場企業の時価総額上位990社を対象に、
知財・無形資産の投資・活用戦略に関する情報開示状況について調査・分析・考察を行った。
調査概要
項目
内容
調査期間
2024年12月〜2025年2月
調査対象企業
東証プライム上場企業の時価総額上位990社注
調査対象範囲
ミニマム・スタンダード調査:コーポレートガバナンス報告書(1次リンク先含む)
ポジティブ・アクション調査:統合報告書を中心とした任意開示全般
好事例候補調査:ミニマム・スタンダード調査およびポジティブ・アクション調査における高評価企業
調査対象項目
ミニマム・スタンダード調査:補充原則3-1③および同4-2②に関する記載内容
ポジティブ・アクション調査:①中長期ビジョン実現に必要な知財・無形資産(ビジョン)、②成長ストーリー(価値創造プロセス)を伴う
知財・無形資産投資活用戦略(ストーリー)、③ビジョン実現に必要な知財・無形資産の把握(知財把握)、④知財・無形資産投
資等のガバナンス体制(ガバナンス)、⑤知財・無形資産戦略の活動内容(戦略)、⑥知財・無形資産投資等に関するKPI(定量
的指標)の目標値(KPI)の6項目および総合評価
注: 2024年11月5日付SPEEDA提供データに基づき、東証プライム市場上場企業の時価総額上位千社から有効な調査結果を得られた990社が対象、時価総額670億円以上の企業は全て含む
8
ミニマム・スタンダード調査:評価基準
補充原則3-1 ③
評価
評価基準
◎
知財・無形資産の投資・活用戦略等に対する実体
的な取り組みが、経営戦略や経営課題との整合性
を踏まえ、具体的に記載している
○
知財・無形資産の知財活動(特許出願等の権利
化やリスク管理など)が具体的に記載している
△
知財・無形資産に関する記載はあるが、具体的な
取り組み内容に関する記載はなされていない(今
後の活動表明等に留まっている場合を含む)
×
知財・無形資産に関する記載はない(単に、知財・
無形資産等の言葉をタイトル等で使用している場
合を含む)
補充原則4-2 ②
評価
評価基準
◎
現在既に、取締役会で、知財・無形資産の投
資等に関して監督していることが記載されている
○
今後、取締役会で、知財・無形資産の投資等
に関して監督していく予定であることが記載されて
いる
△
取締役会ではなくても、執行部門において、知財
戦略会議の設置等、知財活動に関する推進体
制の記載がある
×
知財・無形資産に関する活動体制等の記載は
ない
注:本調査は原則として、調査対象会社1社につき2名が独立に評価しており、本報告書作成にあたっては、高い方の評価を採用した。
9
補充原則遵守状況
考察
上図は、補充原則3-1③および補充原則4-2②の遵守状況について、3年間の遷移を示したものである。
・補充原則3-1③および補充原則4-2②のいずれについても、調査対象の9割前後の企業が、コーポレートガバナンス・コードを遵守している
(Comply)と宣言している状況である。
・いずれについてもコンプライの比率が前回(2023年)に増加し、エクスプレインの比率は半減したが、今回は前回から大きな変化はない。
・補充原則3-1③は、サステナビリティについてTCFDに関する情報開示が求められているため、知的財産を含め全体を「検討中」としてエクス
プレインとする企業があり、知的財産に関する情報開示の準備ができていても、エクスプレインとする企業が一定数存在すると推察する。
・補充原則4-2②については、「開示すべきとする原則」の対象とされていないため、多くの企業がコンプライ・エクスプレインを判断することなく、
当該原則を実施しない理由を記載しないことからコンプライとみなされていると推察する。この状況は、従来から変わっていないと考える。
10
補充原則3-1③クロス分析
考察
上図は、補充原則3-1③の遵守状況別に記載内容の評価を示したものである。
・コンプライでありながら情報開示をしていない企業が散見される(図中破線部)。
右図は、ガイドラインに記載されている3年前の状況である。比較母集団が異なるため
(ガイドラインはJPX400銘柄企業)、直接比較はできないが、改善の余地はまだまだ
あると考える。
・なお、エクスプレインの企業であっても、知的財産に関する記載がある場合は、評価基準
に沿って✕以外の評価がされている。TCFDに関する情報開示ができない理由とともに、
知的財産に関する情報が丁寧に記載されている例がある。
出所:知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2.0 P9
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2023/dai3/sankou2.pdf
11
補充原則4-2②クロス分析
考察
上図は、補充原則4-2②の遵守状況別に記載内容の評価を示したものである。
・当該補充原則に関して全く記載していない企業がほとんどである。
前述の通り、補充原則4-2②については、「開示すべきとする原則」の対象とされていないため、多くの企業がコンプライ・エクスプレインを
判断することなく、当該原則を実施しない理由を記載しないことからコンプライとみなされ、かつ情報も開示しないと推察する。
・エクスプレインの企業では、サステナビリティに関する準備が整っていない理由とともに、知的財産に関する情報が丁寧に記載されている
例がある。
12
補充原則の評価推移
考察
上図は、補充原則3-1③および補充原則4-2②について、3年間の評価推移を示したものである。
・補充原則3-1③の評価は、高い評価の企業が増加している(◎と○の評価の合計が2年連続増加)。
一方、まったく情報を開示しない企業は、一定数存在したままである(✕の評価が減っていない)。
・補充原則4-2②の評価に、大きな変化はない。
なお、2022年の評価基準に◎はなかったため、○のなかに本来であれば◎の評価の企業が含まれている可能性がある。
13
ポジティブ・アクション調査:評価基準
統合報告書等の評価基準
評価項目
評価基準
①ビジョン
中長期ビジョン実現に必要な知財・無形資産の説明について、○:知財の具体的な記載あり。△:知財の記載はあるが不十分。
✕:知財・無形資産の説明なし。
②ストーリー
成長ストーリー(価値創造プロセス)を伴う知財・無形資産投資活用戦略の説明について、○:知財の具体的な記載あり。
△:知財の記載はあるが不十分。✕:知財・無形資産の説明なし。
③知財把握
ビジョン実現に必要な知財・無形資産の把握(成長の源泉となるAsIsとToBeの考察)について、○:知財の具体的な記載あり。
△:知財の記載はあるが不十分。✕:知財・無形資産の説明なし。
④監督体制
知財・無形資産投資等のガバナンス体制の説明について、○:知財の具体的な記載あり。△:知財の記載はあるが不十分。
✕:知財・無形資産の説明なし。
⑤戦略活動
知財・無形資産戦略の活動内容(知財・無形資産の創造・保護・活用、リスク管理他)について、○:知財の具体的な記載が
ある。△:知財の記載はあるが不十分。✕:知財・無形資産の説明なし。
⑥KPI
○:知財・無形資産投資等に関するKPI、または定量的指標の目標値(10年後までのコンテンツ制作数等)記載あり。
△:知財・無形資産投資等に関するKPIの記載なし、これまでの活動成果の実績値(過去の出願件数等)のみ開示あり。
✕:知財・無形資産投資等に関するKPIや指標の記載なし。
⑦総合評価
◎:上記①‐⑥までの活動で○が5個以上の場合や、少なくとも○が4個以上で、その中に優れた活動がある場合
○:上記①‐⑥までの活動で○が4個以上の場合や、少なくとも○が3個以上で、その中に優れた活動がある場合
△:上記①‐⑥までの活動で○が2個以上の場合や、少なくとも○が1個以上で、その活動が優れている場合
✕:上記①‐⑥までの活動で○が1個以下の場合
以上を目安とする。
14
時価総額別総合評価
考察
上図左は、調査対象企業の時価総額の分布である。上図右は、統合報告書等のポジティブ・アクションについて、時価総額別の
総合評価を示したものである。
・時価総額が高い企業で評価が高い傾向にある。
特に、✕の評価の比率は、時価総額が高くなるほど少ない傾向が鮮明である。
・時価総額が高い企業の方が、情報開示が積極的であることは明らかである。時価総額を上げるためには、時価総額の高い企業に
倣うことが近道であると考えると、CGCおよび知財・無形資産ガバナンスガイドラインに従い、知財・無形資産投資等に積極的に取り
組むとともに、その情報開示をしっかり行うのがよいと言えよう。
15
業種別総合評価
考察
右図は、統合報告書等のポジティブ・アクションについて
業種別に総合評価の分布を示したものである。
今回調査対象となっている企業について、東証33業種
のうち標本数が40社以上あり、有効な結果が得られると
考える業種を、いくつかピックアップした。
製造業では食料品と機械を、非製造業ではサービス業
を、加えて情報・通信業を、サンプルとして取り上げた。
今回取り上げていない他の業種でも概ね製造業が情報開示に積極的であり、非製造業は消極的である。この点は、
従来と大きく変わっていない。
食料品では、知財情報開示について業界内で勉強会が行われている。その効果もあって、◎の企業の割合が比較的
多い(23%)、✕の企業の割合が比較的少ない(30%)。
サービス業では、✕の企業の割合が半数以上占める(62%)一方、◎の会社も一定数存在する(6%)。
情報・通信業は、◎の企業の割合は少ないが(5%)、〇以上の企業の割合は、機械と同じ割合であり(28%)、
△の企業や✕の企業の割合も機械とほぼ同じであり、伝統的な製造業と近い状況にある。
16
知財・無形資産KPIの調査・分析(サマリー)
知財・無形資産KPI
知財ガバナンス研究会の調査結果を利用し、高野誠司特許事務所で
知財・無形資産KPI(以下「知財KPI」)の調査・分析を行った。
・時価総額上位企業を中心に統合報告書の知財KPIの記載を確認した。
単なる過去の実績などエビデンスの類を除いた46社90指標について、HP
(https://takano-pat.com/news/column-20250228/)に掲載している。
・特許関連の知財KPIが大半で、特許出願数が多い(右図上参照)。
無形資産KPIの例としては、顧客満足度などがある。
・自社でコントロールしやすい知財KPIが多い。特許出願数や研究開発
費など「容易」なものが多く、研究受賞数など第三者の評価による「困難」
なものは少ない(右図中左参照)。
・知財KPI名称だけを示し、具体的な目標数値を伏せているケースが散見
される(右図中右参照)。目標数値とセットで開示しなければ説得力に
欠けると考える。
・比較可能な知財KPIが多い(右図下左参照) 。業種に限らず他社と
比較できるものは「容易」、特定業界に限って比較できるものは「中間」、
自社内の経年分析に限って比較できるものは「困難」として集計した。
・経営指標と直結する知財KPIは少ない(右図下右参照) 。 経営目標
や財務指標に繋がるストーリー・ロジックに説得力があるか否かの観点から、
3段階で集計した。知財ROICなどは「強い」に分類している。
46社90指標の社名・知財KPI内容や、各統計の評価基準については、HP(https://takanopat.com/news/column-20250228/)を参照いただきたい。
17
知財情報開示と株価の関係(サマリー)
知財情報開示による株価への影響
知財ガバナンス研究会の調査結果を利用し、高野誠司特許事務
所で知財情報開示による株価への影響について調査・分析を行った。
・2022年度と2023年度の両年度で調査対象になった企業879社
を対象に調査・分析を行った(右図下左参照)。
・株価上昇率は、2022 年終値と 2023 年終値の 1 年の上昇率
を用いて分析した。この間、調査対象企業全体で22.9%上昇して
いる。因みに日経平均株価は、28.2%上昇している。
・補充原則3-1③の遵守状況(コンプライ・エクスプレイン)の変化
によって株価上昇率に差はなかった。標本数は少ないが、コンプライ
からエクスプレインに変更した企業の株価の上昇率は比較的低かった
(右図上左参照)。
・補充原則3-1③の評価◎を3点、○を2点、△を1点、✕を0点と
配点して、2022年度と2023年度の評価推移を点差で集計した
(例えば△→○は1、△→◎は2)。期待した予想に反し、点差が
正で大きい企業ほど、株価の上昇率が低かった(右図上右参照)。
・上記の傾向は、統合報告書等の評価推移と株価の関係でも同様
の傾向であった(右図中左参照)。ただし、知財のライフサイクルの
短い情報・通信業では、情報開示の評価が上がった企業が株価の
上昇率は高かった(右図中右参照)。
・業種別に分析すると、この間に非製造業の評価は上がっている
(右図下右青棒グラフ参照)。一方、評価の下がった鉄鋼などで
株価は上昇した(右図下右橙棒グラフ参照) 。知財情報開示に
よる株価への影響は、短期的にはセクターローテーションなどの影響に
比べて極めて小さいと考える。
詳細については、下記HP掲載論文を参照いただきたい。
https://takano-pat.com/struct/wp-content/uploads/Report20240723V1.2.pdf
出所:高野誠司特許事務所
出所:高野誠司特許事務所
出所:高野誠司特許事務所
出所:高野誠司特許事務所
出所:高野誠司特許事務所
出所:高野誠司特許事務所
18
目 次
1.一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会について
2.プライム市場時価総額上位990社に対する
知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告
(2024年度)
3.上記調査に基づく、好事例企業の紹介
4.まとめ・考察
5.本調査協力者の紹介
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会 協力者名簿
知的財産アナリスト 協力者名簿
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好事例企業の選定基準
ミニマム・スタンダード、ポジティブ・アクションの両調査ともに、◎と評価された企業の中で
以下の選定基準に基づき、高い評価を得た企業を「好事例企業」として選定
1.知財・無形資産の投資・活用について、自社の経営戦略や経営課題との整合性が確保(意識)されているか?
2.自社の現状のビジネスモデルとそれを支える知財・無形資産の把握・分析ができているか?(AsIs)
3.知財・無形資産の投資・活用について、自社の持続的な成長に資するように、経営資源(ヒト、モノ、カネ)の配分が
行われているか?
4.知財・無形資産投資が、自社の価値創造プロセスのなかで、どのように成果へと結びつくと想定しているかを説明できて
いるか?(企図する因果パス)
5.自社の将来の姿(ビジネスモデル、事業ポートフォリオなど)から経営課題を認識し、それを実現するための知財・無形
資産戦略が構築できているか?(ToBe、成長ストーリー)
6.知財・無形資産を創造する人財を育成しその人財や創造成果を評価し、事業活用する仕組みが構築されているか?
7.知財・無形資産の権利侵害、喪失による事業競争力低下や事業継続不能、損害賠償金支払い等に対するリスク
マネジメントが適切に実行されているか?
8.知財・無形資産の投資・活用に対するガバナンス体制(執行部門の執行と取締役会での監督)が構築されているか?
9.知財・無形資産の投資・活用について、分かりやすく具体的に情報の開示が行われているか?
10.知財・無形資産投資について、現在および将来の自社の経営指標(ROIC等)と結びつけて、投資家等へ説明
できているか?
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好事例選定企業一覧(順不同、括弧内は証券コード)
三井化学 (4183)
デンソー (6902)
JR東日本 (9020)
旭化成 (3407)
日本製鉄 (5401)
富士フイルムホールディングス (4901)
古河電気工業 (5801)
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好事例1
三井化学(4183)
1.補充原則3-1③ での記載
当社グループが実現すべき未来社会を「環境と調和した循環型社会」「多様な価値を生み出す包摂社会」「健康・安心にくらせる快適社会」と
定め、その実現に向けて当社グループが取り組むべきマテリアリティを特定している。
2.統合報告書(三井化学レポート2024)での記載
「レポートでお伝えしたいこと」として、「 素材提供にとどまらない課題解決型ソリューションの提供に向けた戦略や、社外ステークホルダーの皆様か
らの要望も多かったR&D・知的財産戦略の開示を拡充し、未来に向けた挑戦への取り組み」を掲載と記載されている。それを受け、P77-79では、
CTO×投資家対談「知的財産戦略を通じた変革の実現と企業価値向上に向けて」において、代表取締役 専務執行役員 CTO 芳野 正氏と、
ニッセイアセットマネジメント(株) チーフアナリスト 中山 伊織 氏との企業の知財・無形資産ガバナンスに対する取り組みの在り方が議論されて
いる。この内容は、知的財産戦略に取り組む会社にとって大いに参考となるものであると共に、今後このような投資家が増えていくことが期待され
る。
p.13では、市場シェア上位の化学材料8種が紹介されている。「コア技術である精密合成技術、ポリマーサイエンス、製造プロセ技術をベースに
専門性の高い即戦力人材などの採用を通じ、機能・組織・技術のサイクルを回しながら研究開発施策を実行し、変化を続けるニーズやトレンド
をいち早く把握し、社会課題解決につながる「材料・物質のイノベーション」を創出しながら、DXを活用した知財戦略の展開により、競争優位性
のある技術・知財ポートフォリオを構築していきます。」(三井化学レポート2024 p35 企業価値向上に向けた経営資源の活用「知的資本」)と
記載されている。
3.その他
同レポートp.75では、「VISION2030における成長領域の特許群について、特にライフ&ヘルスケア・ソリューション事業の特許ポートフォリオにお
ける個別力(特許1件1件の価値の)の高さは群を抜いており、質の高い特許群を保有していることが分かります。」(LexisNexis社「PatentSight®」
を用いて作成)とする。さらに、技術競争力指標YK値(https://www.kudopatent.com/casestudy/yks_info.html)でも、重合触媒、生分解性プラス
チック、圧電素子で国内首位を占めている。競争優位性のある技術・知財ポートフォリオの構築の成果が出ているものと思われる。
22
好事例2
デンソー(6902)
1.補充原則3-1③ での記載
社会課題解決が知財ポートフォリオのデザインを軸に、将来ビジョン実現に向けた知財投資を実行することが記載されている。
2.統合報告書(統合報告書2024)での記載
重点投資を実行する知財ポートフォリオが以下のように具体的に記載されている。
「デンソーは成長・新領域での研究開発を重点的に行い、また、 社会課題解決に貢献する価値創造ストーリーやコア技術を見定め、将来のビ
ジョンに基づいた知財ポートフォリオをバックキャスト思考でデザインしています。 このデザインにおいては、ガバナンスの目的に応じて知財ポー トフォリ
オを全社、事業、開発テーマの3つのレベルに分け、レベルごとにあるべき姿を描いてポートフォリオの組み替えを図 ります。その際、技術や製品のラ
イフサイクルに合わせて各種知財指標を使い分けています。具体的には、先行指標(将来の ポートフォリオ傾向を示す指標:農業分野、水素
関連技術、サーキュラーエコノミーなどの非モビリティ領域で重視)、現在指標(現在のポートフォリオの強さを示す指標:BEVやADAS・自動 運
転などのモビリティ領域における成長分野で重視)、遅行指標(ポートフォリオの実績を示す指標:主にエンジン関連製品などの総仕上領域で
重視)などの知財情報に基づいて、知財競争力強化・将来ビジョン実現に資する知財投資を追求しています。」(p.61)
3.その他
電動車関連特許価値スコア(LexisNexis社「PatentSight®」を用いデンソーにて作成)では、部品メーカー(トップ10平均)、カーメーカー(トッ
プ10平均)を大きく上回るとともに、ADAS(先進運転支援システム)でも部品メーカー(トップ10平均)、カーメーカー(トップ10平均)を上回っている
(統合報告書知的資本p.62)。さらに、技術競争力指標YK値(https://www.kudopatent.com/casestudy/yks_info.html)でも、
材質分析など3分野で国内首位、画像認識、電気自動車など5分野で国内2位以上を占めている。知財競争力強化・将来ビジョン実現に向け
た知財投資の成果が表れていると言える。
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好事例3
東日本旅客鉄道(9020)
1.補充原則3-1③ (報告書Ⅲ.3「ステークホルダーの立場の尊重に係る取組み状況」)での記載
「グループ経営ビジョン「変革2027」を推進し、モビリティ、生活ソリューションの各事業を支えるためには、知的財産を適切にマネジメントし、事業戦略と
結び付いた知的財産戦略を遂行することが重要です。 当社グループは、グループ理念に基づき、重要な資産である知的財産(無形財産)をグループ
一体で適切にマネジメントし、“信頼”と“豊かさ”という価値を創造する知的財産活動を推進しております。」と記載されている。
2.統合報告書での記載(JR東日本グループレポート INTEGRATED REPORT 2024 p.53、54)
「DXによる価値創造の実現に向けて」において、「研究開発分野においては、「生産年齢人口減少」「エネルギー・環境問題」「激甚化している自然災
害対策」などグループの置かれている経営課題や現場の課題を解決すべく、時代を先取りした研究開発に取り組んでいきます。オープンイノベーションによる
社外との 連携により、新たな価値の創造や業務変革を加速し、企業価値を高めていきます。」と記載されている。
「知的財産活動についての理念・方針」において、「情報(データ)と技術、ブランドを活用してネットワークの力を高め、お客さまへの新しい暮らしの提案
やイノベーションを支える知的財産活動を実施していきます。」と記載されている。
「知的財産活動の具体的な取組み」において、「知的財産センターと法務ユニットは、「モビリティ」「生活ソリューション」に関する各事業について、知的財
産に関する啓発・教育、特許権や商標権等の取得による知的財産の ポートフォリオの構築、知財人材の育成等の活動を実施しています。」と記載され
ている。
代表的な知的財産の取得事例として、「E8系車両の外観」(意匠登録第1676404号)、「TAKANAWA GATEWAY CITY のロゴマーク」(商標登
録第6777709号)を提示。技術競争力指標YK値(https://www.kudopatent.com/casestudy/yks_info.html)では、簡単な構成で精度良く鉄道車両
の状態を監視できる状態監視装置(特許第6302315号:特許権者:株式会社総合車両製作所)、収集したデータに基づき、適切なメンテナンス作
業の実施時期とメンテナンス作業を支援する鉄道メンテナンス支援装置(特許第6408484号)などが高い価値を有する特許技術として挙げられる。
24
好事例4
旭化成(3407)
1.補充原則3-1③ での記載
「知的財産への投資等について、当社ウェブサイト、旭化成レポート(統合報告書)、知的財産報告書等において、わかりやすく具体的な開示に取り組んでおります。」と記載。
2.統合報告書での記載(旭化成レポート2024)
無形資産をどのように企業価値向上につなげていくのか(p.57〜)
旭化成の無形資産を①多様な事業に関わる意欲的な人材、②幅広い領域での技術・知的財産・製造ノウハウ、③多様な市場との接点、④共創と変革を加速するデジタル基盤、
と定義している(P.60)。多様なコア技術の融合で、事業ポートフォリオ変革を牽引する(同レポートp.66〜)として、10のコア技術と、それによって生み出されている製品を具体的に開示
している(P.66)。また、重点戦略分野と主な研究開発活動として、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ヘルスケア、デジタルソリューションを挙げ、具体的に開発事例を開示し
ている。さらに、無形資産を活用した収益化を加速するためにグループに蓄積した膨大なテクノロジー無形資産を価値化し、ストレートライセンスに限定しないさまざまな形態での提供を
通じた収益化を目指すテクノロジーバリュー事業開発プロジェクトを設置、と記載されている(P.67,68)。
旭化成ならでは”を追求しながら、製造業のあり方を大きく進化させていきます。キーワードは、「有形資産と無形資産の融合による新たな価値創造」です、と記載している。
企業価値向上に向けた知的財産活動(同レポート p.69〜)
知財価値の最大化へ向けた活動
知財インテリジェンス室では、経営/事業戦略の策定に貢献すべく、IPLを活用し技術を加味した経営/事業環境分析を行い、経営層へ新たな視点を提供することで、意思決
定の高度化に貢献しています。また、知財・無形資産の活用戦略を併せて提供することで、それらの活用を前提とした事業戦略の策定支援を目指しています。 知的財産部では、そ
れを受けて、事業戦略の実現に貢献するために必要な知財戦略を策定するとともに、事業部とともにこの知財戦略を着実に実行する「価値最大化サイクル」を循環させることで、知
財・無形資産の価値最大化に貢献しています、と記載されている。
知財活動から企業価値向上へのストーリー
当社では、ミッションに基づく知財活動が、さまざまな事業活動を通してどのように企業価値へつながり、その向上へ貢献しているのかを明らかにすべく、そのプロセスを企業価値向上ス
トーリーとして策定しています。同ストーリーの検討を通じて、当社の知財活動は、経営判断や事業活動を経て企業価値の向上へ貢献するという構造を有していることが明らかになって
います。一方で、同ストーリーにおける知財活動の内容とその効果は、事業によって異なります。知的財産報告書2024では、当社の3事業領域における企業価値向上ストーリーを報
告しています、と記載されている。
実例による企業価値向上ストーリーの検証
企業価値向上ストーリーの理解を深めるべく、実際のビジネス事例を示し、これに知財活動がどのように貢献しているかを具体的に検証しました。顧客満足とともに当社への信頼を
高め、さらなる事業機会の獲得へつながるという好循環が形成されています、と記載されている。
25
好事例5
日本製鉄(5401)
1.補充原則3-1③ での記載
当社は、持続的発展に向けて定めた中長期経営計画に基づき、研究開発の推進、知的財産の保護・活用強化に取り組んでいます。特に、カーボン
ニュートラル社会に備える水素還元製鉄等に係る研究開発とその実用化への取組みを経営の最重要課題と位置づけています。業務・生産プロセスの改
革に繋がるDX戦略の推進については、世界鉄鋼業におけるデジタル先進企業を目指して取組みを加速させています。当社は鉄鋼業界において世界最
大規模の研究者数を擁しており、技術開発力も世界最高水準を誇っています。その研究リソースを、重点研究開発課題に傾斜配分し、マイルストーン・
ゴール・リターンを明確にしたロードマップに沿って開発に取り組んでいます。また、当社は、新たに創出した先進技術群を知的財産として確保し、中長期経
営計画に基づく当社事業活動に活用するとともに、これを通じて社会に貢献しています。なお、当社の研究開発費は727億円(2023年度実績、連
結)、特許保有件数は鉄鋼業界内では最多の国内で約1万5,000件、海外で約1万8,000件(それぞれ、2024年3月末現在、単独)です。
2.統合報告書での記載(統合報告書2024 p.49〜)
当社では「知的財産は企業活動の源泉。保護管理強化と積極活用により企業価値を最大化」を全社スローガンとして掲げ、知的財産活動を行ってい
ます。経営戦略に基づき実行した研究開発から創出される知的財産を、事業収益や企業価値の最大化に直結させる取り組みを強化しています。
中長期経営計画の完遂に向け事業に貢献する知的財産活用事例
国内製鉄事業の再構築:戦略商品(ハイテン、電磁鋼板等)を特許で保護して差別化しお客様への訴求力を向上蓄積・拡充した特許・技術ノウ
ハウに基づく生産の安定化と効率化
海外事業の深化・拡充:当社の特許・技術ノウハウを活用して海外グループ会社の競争力を強化、知的財産の価値も考慮した戦略的なグローバル
化の推進
カーボンニュートラルへの挑戦:高炉水素還元、大型電炉などに関し当社と第三者の特許・技術ノウハウの融合による開発・実装化の推進
3.その他、「LexisNexis社「PatentSight®」は、特許が有する技術価値と市場価値に基づく特許価値評価PAI (Patent Asset IndexTM) を提
供している。当社の2023年におおける特許価値PAIでは、国内外の競合他社よりも 相対的に高い価値を示しています。」とし、自社の技術優位性を数
値で表明している。さらに、技術競争力指標YK値(https://www.kudopatent.com/casestudy/yks_info.html)でも鉄鋼処理、非鉄金属精製、磁性体な
ど7分野で国内首位、金属加工など4分野で国内2位となっており、特許戦略の効果が表れているものと考えられる。
26
好事例6
富士フイルムホールディングス(4901)
1.補充原則3-1③ での記載
当社グループの企業活動のさまざまな場面で創造される価値を、当社の優位性に確実に結びつけるべく、知的財産活動に取り組んでいます。その範囲は、
発明生産支援、特許出願・権利化といった従来の典型的な知的財産活動に加えて、戦略的な競合他社分析や事業優位性を導くための工業標準活動
など、多岐にわたります。事業部門、研究開発部門と連携し、強い知的財産の創出と活用により、事業成長に貢献するとともに、ビジネスリスクの低減などに
も取り組み、企業価値向上を目指しています。
2.統合報告書での記載(INTEGRATED REPORT 2024 p.21〜29、p.61〜68)
イノベーションを支える独自技術(p.27)
写真付きで具体的な製品と関連付けてベースとなっているコア技術を紹介。競争優位に位置するためにコア技術がどのように使われているかが具体的に示
されている。
研究開発方針(p.61)
「以下の5つの研究方針の下、事業戦略と研究開発戦略を融合することで「生活の質の向上に貢献できる骨太の新規事業開拓」と「革新的新製品によ
る既存事業分野の成長持続」に取り組んでいます。」と記載。 1.基盤技術の深堀/拡大 2.複数の異種技術融合による新たな価値創造 3.グ
ループシナジーの強化 4.開発スピードアップ 5.個々の研究者と組織の研究地力強化
知的財産戦略(p.66)
「富士フイルムグループのイノベーション創出における知的財産部の役割」として、「IPランドスケープを積極的に活用し、事業や経営戦略に役立てていま
す。」とし、メディカルシステム事業での自社と競合他社とを比較したり、画像診断関連事業を買収する際の当社の事業との技術補完性の確認により従来に
ないソリューション・製品展開や付加価値を向上を実現するための戦略策定に活用した、との実績が具体的に示されている。
3.その他外部からの評価(p.68)
外部からの評価として2023年化学業界「特許資産規模」および「他社牽制力ランキング」1位獲得(パテントリザルト社)、IAM Asia IP Elite 2024で
の選出などが記載されている。また、技術競争力指標YK値(https://www.kudopatent.com/casestudy/yks_info.html)では、撮像素子、デジ
タル画像処理、画像認識、超音波診断装置など、7の技術分野において国内首位を占めており、またカラーフィルター、複写機などの5の技術分野で国内2
位を占めるなど非常に強力な知的財産ポートフォリオを有していることが分かる。
27
好事例7
古河電気工業(5801)
1.補充原則3-1③ での記載
知的財産への投資
当社グループでは、特許やノウハウなどの知的財産、さらに人的資産、組織力、顧客ネットワーク等を含む、強みとなる知的資産を重要な経営資源と位置
づけ、その活用を図ることを目的に、以下の3つの柱からなる基本方針を定めております。事業・研究開発・知的財産を三位一体として、グループ・グローバル
な知財活動を推進しております。
<古河電工グループの知財戦略>
3つの基本方針
① IPランドスケープによる経営・事業戦略策定力の強化:知財情報を戦略策定プロセスに取り込んで解析・活用するIPランドスケープにより、経営・事業戦略策定力を強化します。
② オープン&クローズ戦略による知的資産活用:オープン&クローズ戦略による知的資産活用を起点に、知的資産を創出・蓄積し、事業・コア技術を保護する活動サイクルを、IP
ランドスケープによる環境分析で変化を捉えながら回すことで、事業競争力を強化します。
③ 知財リスク低減による事業遂行の安定化:権利侵害リスク、技術流出リスク、契約リスク、技術模倣リスクの4つを、影響度および頻度の高い知財リスクとして認識し、継続的な
リスク低減に努め、事業遂行を安定化します。
当社グループは、知財戦略である3つの基本方針を踏まえ、「古河電工グループ ビジョン2030」の達成に向けて、チャンスマキシマム(事業機会拡大)と
リスクミニマム(事業安定化)の2つの観点から、知財活動を推進しております。なお、2025年度の目指す姿を実現するためのサステナビリティ指標・目標と
して、「事業強化・新事業創出テーマに対するIPランドスケープ実施率」を設定しております。
2.統合報告書2024での記載
上記3つの基本方針が記載され、事業強化・ 新事業創出テーマに対するIPランドスケープの全件実施(100%)を目指しています。」と記載され、また
古河電工グループビジョン2030では、古河電工が目指す姿として、「1.高速かつ大容量の情報通信インフラを実現し、Beyond 5G社会を支える 2.
高度な技術力をエネルギー分野にも応用、脱炭素化と資源循環型経済を実現する 3.より安全で快適、そして自由。そんな新しい移動のあり方を目指
して 4.古河電工ならではの独自技術で、ライフサイエンスや社会インフラDXにも貢献 5.真に豊かで、サステナブルな社会の実現を目指して」と記載
され、さらに、知的財産報告書2023では、知的資産活用事例と、価値創造プロセスの2つ実施例が紹介されている。
3.その他 技術競争力指標YK値(https://www.kudopatent.com/casestudy/yks_info.html)では、レーザー加工技術分野で国内首位、
光ファイバ、給配電設備等3分野で国内2位、など強力な知的財産ポートフォリオを有していることが分かる。
28
目 次
1.一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会について
2.プライム市場時価総額上位990社に対する
知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告
(2024年度)
3.上記調査に基づく、好事例企業の紹介
4.まとめ・考察
5.本調査協力者の紹介
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会 協力者名簿
知的財産アナリスト 協力者名簿
29
まとめ・考察
まとめ・考察
知財・無形資産ガバナンスの実施状況に関する調査は、今回の調査で4回目になる。プライム市場上場企業
の半数以上をカバーした大規模な調査は3回目になる。複数年のデータが揃ったことから、今回は大局的な視点
での経年変化に力点を置いて分析を行った。
また、参考にすべき好事例を知りたい、といった声は関係者から数多く聞いている。今回はこのニーズに応えるべく
CGCおよび知財・無形資産ガバナンスガイドラインに沿った情報開示を行い、かつ、投資家が注視する観点におい
て評価が高かった企業の情報開示好事例について紹介した。
CGC改訂から約4年が経過し、知財に関する補充原則の遵守状況は落ち着いてきている。ただし、コンプライと
しながら、情報開示を行わない企業は、相変わらず一定数存在する。
CGCおよび知財・無形資産ガバナンスガイドラインに沿った情報開示に関する評価は、年々上がってきているが、
非製造業にはまだ伸びしろがある。時価総額が高い企業の情報開示に関する評価が高いことから、企業価値を
高めたい企業は、好事例を参考に、積極的に情報開示を行うとよい。
我々は、引き続き日本企業の企業価値向上に資する調査・分析を行い、 産業界に情報発信を行うとともに、
意義のある提言を随時行っていく所存である。
30
目 次
1.一般社団法人 知財・無形資産ガバナンス協会について
2.プライム市場時価総額上位990社に対する
知財・無形資産ガバナンスの実践状況調査報告
(2024年度)
3.上記調査に基づく、好事例企業の紹介
4.まとめ・考察
5.本調査協力者の紹介
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会 協力者名簿
知的財産アナリスト 協力者名簿
31
知財ガバナンス研究会 知財コンサル等分科会(順不同、敬称略)
組織名
氏名
組織名
氏名
知財・無形資産ガバナンス協会
菊地 修
阿部・井窪・片山法律事務所
大月 雅博
工藤一郎国際特許事務所
工藤 一郎
株式会社IP Bridge
塩崎 義晃
BINGO特許事務所
備後 元晴
株式会社アットグローバル
伊藤 彩夫
NGB株式会社
伊藤 寿
グローリー株式会社
松本 和久
TMI総合法律事務所
大貫 敏史
高野誠司特許事務所
高野 誠司
VALUENEX株式会社
福田 昂正
佐藤総合特許事務所
佐藤 寿
アクシス国際弁理士法人
中澤 佐智子
弁理士法人 志賀国際特許事務所
西澤 和純
さくら国際特許法律事務所
森岡 智昭
弁理士法人IPX
押谷 昌宗
パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社
倉知 一晃
弁理士法人スズエ国際特許事務所
赤堀 孝
よろず知財戦略コンサルティング
萬 秀憲
IP Valuation 特許事務所
松本 浩一郎
株式会社ユーザベース
伊藤 竜一
32
知的財産アナリスト(順不同、敬称略)
氏名
氏名
円城寺 薫
浅野 祐太
駒谷 剛志
相澤 桂
佐藤 敏征
中島 由絵
七海 美帆
唐木 沙織
小川 泰典
波多 絵美
小澤 良太朗
平井 鉱一
上野 佳宏
矢部 穂乃佳
33
について
・本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証する
ものではありません。ここに示したすべての内容は、現時点での判断を示しているに過ぎません。
・また、本資料に関連して生じた一切の損害について、当団体や説明者は、一切責任を負いません。
・本資料は、当団体や作成者、引用元・出典元の著作物であり、著作権法により保護されております。
事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を、複製、翻案、転送、公衆送信等の利用をすることは、 著作権法
により禁じられております。
・本資料や説明の内容における意見等については、作成者又は説明者の個人的な見解であり、所属している団体や
会社等の見解ではございません。
本資料に関する問い合わせ先
知財・無形資産ガバナンス協会
info@ipiaga.org
34
35
資料6
建設的な対話に資する知財・無形資産開示について
第24回知財投資検討会
2025年3月17日
特許庁総務部企画調査課長 柳澤 智也
知財・無形資産を取り巻く状況
• 2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいて、知財投資の開示・監督について規定されたも
のの、いまだ多くの企業が手探りの状況
• 中長期的な投資・財務戦略において重視すべき項目として、企業・投資家間の認識ギャップ(企業<投資
家)が大きいのは、IT投資、研究開発投資、人材投資といった無形資産投資。企業価値向上には、知財・
無形資産の投資・活用とその開示が重要
コーポレートガバナンス・コードの改訂
新設
規定
概要
• 経営戦略の開示にあたって、自社のサステ
ナビリティについての取組みを適切に開示、
人的資本や知的財産への投資等につい
補充原則
て、分かりやすく具体的に情報を開示・提
3-1③
供すべき
【新設】
• プライム市場上場会社は、TCFD又は同
等の枠組みに基づく開示の質と量の充実
を進めるべき
• 取締役会は自社のサステナビリティを巡る
取組みについて基本的な方針を策定すべ
き
補充原則
4-2② • 人的資本・知的財産への投資等をはじめ
【新設】
とする経営資源の配分、事業ポートフォリ
オに関する戦略の実行が、企業の持続的
な成長に資するよう、実効的に監督すべき
(%)
80
中長期的な投資・財務戦略において重視すべき項目
■企業(2020年度) ■投資家(2020年度)
■企業(2021年度) ■投資家(2021年度)
■企業(2022年度) ■投資家(2022年度)
70
60
72.2%
64.9%
54.4%
52.6%
48.2%
50
38.5%
40
37.7%
30
20
19.6%
10
0
設備投資
IT投資
研究開発
(DX対応・デジタル化)
投資
人材投資
出典:一般社団法人生命保険協会「企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート集計結果(2022年度版)
2
企業・投資家の結果比較」に基づき特許庁作成
知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2.0の全体像
出典:内閣府知的財産戦略推進事務局 「知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2.0」(2023年)
3
企業価値の向上に資する知財経営に関する過年度の調査結果
知財経営を実践するためのコミュニケーションの在り方
(2022年度調査結果)
• 経営層・知財部門及び関係部門が、
それぞれ知財部門の役割モデルを再定義する
→経営層が、また、知財部門自身が、知財部門の役割を、
将来の経営や事業を見据え、それに対して知財で貢献する
という位置づけに再定義
• 経営層・知財部門の議論の機会を積極的に創造し、
濃密な議論を繰り返し、相互が情報の差を埋める
→知財部門は、もつべき情報を「経営課題」とも紐づけて意
識し、経営層や他部門に刺さる情報を意識的に収集・分
析・発信し、フィードバックを受けて修正を繰り返す
知財経営を実践するためのポイント
(2023年度調査結果)
• 知財・無形資産を活用するためには、下図の「本質的
な強みの掘下げ・把握」を含む3ステップを循環させる
ことが重要
• 知財部門は、自社の知財・無形資産としての強みを
特定し、他部門と伴走することで各部門の課題解決
を支援する役割を担う
• 情報開示によって、企業価値向上のほか、知財マイン
ドが全社に浸透し、知財・無形資産の活用を社全体
で進める環境構築につながる
知財経営実践企業における、経営層等と知財部門とのコミュニケーション
4
2024年度調査研究の全体像
• 保有する知財・無形資産に基づく自社の強みを把握し、強みを財務価値につなげる知財戦略を策定し、適切
な開示によって投資を呼び込み、企業価値向上を図ることが喫緊の課題
• 経営・知財・投資の専門家チームを企業に派遣し、ステークホルダーとの建設的な対話に資する知財経営の
開示の在り方の議論を通じて、知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2.0で定められたコミュニケーション・フ
レームワークに沿った対話及び知財経営の適切な開示を企業に浸透させるために必要な事項について現地調
査を実施
現地調査
専門家チーム
経営・知財
コンサルタント
企業開示
アドバイザー
2時間×5回
• ステークホルダーとの
建設的な対話に資す
る開示の在り方に関
する議論
情報との紐づけ)
投資家
企業(4社)
企業内チーム
意思疎通
・連携
• 知財経営の適切な
開示に関する議論
(価値創造ストー
リー、因果パス、知
財・無形資産と経営
• 開示資料に関する支
援
経営層による
座談会
経営
層
知財部門
広報・IR部門
経営デザイン
事業部門
シート等
↓
知財経営の開
示資料
経営企画部
門
• 経営デザインシート等を活用した、知財戦略に
紐づく価値創造ストーリーの構築
• 価値創造ストーリーを起点に、知財が果たす役
割や効果等を開示資料に反映
• 投資家との対話を踏まえて、開示資料のブラッ
シュアップ
• 現地調査の経験や成果
について共有
• 知財の活用の在り方等に
ついて議論
開示先進企業等
へのヒアリング
• 先進企業の知財部門・
IR部門等へのヒアリング
報告書・事例集
の作成
• 今春公開予定
5
知財・無形資産開示の充実化が導く経営の高度化
• 企業と中長期視点の投資家は、ともに「持続的な企業価値の向上」を目指す存在であり、協動して企業価値
を高めるパートナーになり得る
• 「開示」と「建設的な対話(エンゲージメント)」を通じてパートナー関係を構築・強化することにより、経営の
高度化・持続的な企業価値の向上に寄与
「開示」と「建設的な対話」を通じて
パートナー関係を構築・強化
投資家
企業
顧客のニーズを満たすこと
を通じて利益を追求し、
持続的な成長を目指す
顧客資産を成長可能性
のある企業に投資すること
を通じて効率的に運用し、長期
的リターンの最大化を目指す
経営の高度化
持続的な企業価値の向上
6
知財・無形資産開示の充実化が導く経営の高度化
• 中長期視点の投資家は、企業の成長要因となる「本質的な強み」(知財・無形資産)を見出すことで、企業
が示す将来展望の確からしさについて「投資仮説」を構築し、対話を行う
• 知財・無形資産開示は、建設的な対話のための重要な要素を提供するもの
建設的な対話に資する
知財・無形資産開示
企業による
開示
投資家による
投資仮説の
構築
経営の
高度化
従来行われている
知財・無形資産開示
• 知財経営の取組が経営戦略・課題 • 知的財産権の保有状況や、研究開
と整合
発による知財創出活動等の単発的
• 企業の持続的な成長に対する知財・
な紹介
無形資産の貢献を説明・開示
• 企業の成長性とその要因となる「本
質的な強み」が明確
• 成長の確からしさに関する適切な「投
資仮説」を構築できる
• 企業の成長性やその要因の「本質的
な強み」に迫ることができず、成長の
確からしさを理解・信頼できず、「投
資仮説」を十分に構築できない
• 「投資仮説」を踏まえた対話により、
社外の知見を活用した経営戦略の
磨き上げにつながる
• 対話においても企業の強みに迫ること
はなく、経営戦略の磨き上げは起こら
ない
7
知財・無形資産開示のメソッド
• 中長期視点の投資家は「企業の成長性」を重視
• 建設的な対話に向けては、特に、「企業成長の道筋」を開示する必要がある
「企業成長の道筋」の開示構成
①成長ビジョン
• 経営目標やビジョンをはじめとした、
企業が目指す姿・将来像を示す
②成長ビジョンを支え
るビジネスモデル
• 目指す姿・将来像といった成長ビジョンを、
どのようなビジネスモデルで実現するか整
理する
③ビジネスモデルを支え
る強み
• ビジネスモデルの実現性や持続性、競争
優位性といった、成長を裏付ける知財・
無形資産を特定する
効果的な開示手法の例
• 新規事業の成長可能性を訴えるため、
市場を獲得するために活用できる他
社にはない強みと、強みの根拠となる
知財・無形資産のポイントを押さえる
ことで、新規事業が成長する要因を
提示
• 有形資産が大きい、特に製造業にお
いて、価値を生み出すドライバーとなっ
ている製造技術のノウハウ等、知財・
無形資産に対する投資家の理解を
深めるため、工場見学を開催
8
現地調査から得られた企業・投資家間のギャップと解消に向けた示唆
• 開示における企業・投資家間のギャップは、将来像の実現可能性に対する説明において顕著に表れる
• 主に、「事業や技術の意義を自明と捉えて社内で十分整理・説明されてこなかったこと」、「経営を把握する
部門と具体的な強みを把握する部門の連携が不足していること」に起因するものと考えられる
投資家が企業に期待する開示
企業が行っている開示
「企業成長の道筋」を示してほしい
目標・ビジョンと強みは示すが、将来像の実現性は不明確
◼ 投資家が求める「企業成長の道筋」の説明構成
◼ 現地調査先企業が行う開示の特徴
①中計等の経営目標やビジョンを、
①中計等の経営目標やビジョンは開示されている。
②どのようなビジネスモデルで実現しようとしているか。
• 誰から(主な顧客・ターゲット)
• どのような内容に対して(提供価値)
• どのような対価・粗利率で(収益性)
• どの程度の業績貢献を見込めるか(規模)、等
②具体的な顧客像や財務上の効果等が十分検討・開示されて
いない。
• 事業や技術の意義について、定義が曖昧な用語等に起因
して、漠然と社内外でコンセンサスが形成されていると錯覚
• 過度な期待を抱かれたくない、等
③ビジネスモデルを支える強みは何か。
• どのような効果をもたらすか、再現性はあるか
• 強みを維持する仕組みはあるか
• 不足している強みを今後どのように獲得・育成するか、等
③トピック性の高い技術・サービス等を中心に強みを開示。
• 経営戦略を描く担当者と本質的な強みを知る担当者が分
離
• 管理部門だけで作成し、事業部門等が関与していない、等
中計や統合報告書等の開示資料で企業が語る目標・
背景 将来ビジョンは本当に実現できるのか、という疑問
企業が自明と捉えている事業や技術の意義について、複
示唆 数部門を横断して改めて議論することが、企業成長の道
筋の明確化につながる
9
現地調査から得られたビジネスモデルを支える強みの説明手順
• 「ビジネスモデルを支える強み」の開示においては、顧客が自社を選ぶ理由となる差別化要素を説明する必要
がある。説明は、顧客価値に焦点を当て、例えば以下のような手順で説明することが考えられる
顧客が自社を選ぶ理由となる差別化要素の説明手順(新規事業の場合)
1. 新規事業は、自社のMissionにどのように貢献するのか
2. 新規事業は、市場でどの程度必要とされているのか
3. その中で、なぜ自社が選ばれるのか(差別化要素となる強みは何か)
4. 新規事業の進捗状況はどうなっているのか
5. 新規事業を、どのように全社的な成長につなげるのか(利益率の向上等)
10
2025年度調査研究の方針(予定)
•
中堅企業から大企業への成長割合は国際的に見ても低い状況にあり、中堅企業のポテンシャルを活かしきれ
ていない可能性がある
•
中堅企業における成長戦略の類型、各類型の経営課題及び各経営課題に対する打ち手の整理を行い、中
堅企業が成長するためのプロセス及び成長戦略の実現にあたり、どのように知財・無形資産の投資・活用が
効果を発揮しているのかを調査・分析することで、中堅企業における企業価値向上に資する知財経営の在り
方について検討する予定
出典:経済産業省「成長力が高く地域経済を牽引する中堅企業の成長を促進する政策について」(2024年)
11
ありがとうございました
特許庁総務部企画調査課
資料7
イノベーション拠点税制
(イノベーションボックス税制)
経済産業省 イノベーション・環境局 研究開発課
イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)の創設の背景
⚫ 各国では、研究開発税制といったインプット等に対するインセンティブだけでなく、イノベーションボックス税制によるアウトプットに対する
インセンティブの導入が進んでいる。
⚫ 2000年代から欧州各国で導入が始まり、直近ではシンガポールやインド、香港といったアジア諸国でも導入・検討が進展。
⚫ 我が国では令和6年度税制改正の大綱において、イノベーション拠点税制の創設を決定。
• 租税特別措置として、令和7年4月より施行開始し、期間は7年間
• 対象知財から生じるライセンス所得・譲渡所得のうち、国内で自ら行った分の30%を所得控除
知財のライセンス・譲渡
申告法人
対価の支払い
取引先企業
<各国・地域のイノベーションボックス税制の導入状況(※1)(括弧内は導入年数)>
フランス(2001)、ベルギー(2007)、オランダ(2007)、イギリス(2013)、韓国(※2) (2014)、アイルランド(2016) 、インド(2017) 、
イスラエル(2017) 、シンガポール(2018)、スイス(2020)、香港(2024)
(※1)米国には、無形資産由来の所得に係る制度として、FDII、GILTIが存在
(※2)韓国では中小企業を対象とした制度
1
イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)の概要
⚫ イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)の創設の目的は、イノベーションの国際競争が激化する中、我が国の研究開発
拠点としての立地競争力を強化し、民間による無形資産投資を後押しすること。
⚫ 本制度は、「対象となる知的財産」の「ライセンス取引又は譲渡取引から生じる所得」に対し、「主に国内で自ら行った研究開発の割
合」を乗じた金額の「30%」を課税所得から控除できるもの。
所得控除額算定式
制度対象所得
損金算入額
(所得控除額)
=
知財由来の所得
①対象となる知的財産
⚫ 特許権
⚫ AI関連のプログラムの著作物
(令和6年4月1日以後に取得したもの)
×
自己創出比率
②対象となる所得
⚫ ライセンス所得
(関連者からのライセンス所得を除く。)
⚫ 譲渡所得
× 所得控除率(30%)
③自己創出比率の計算方法
⚫ 企業が主に「国内で」、「自ら」
行った研究開発の割合
(関連者又は国外からの譲渡所得を除く。)
※ 本税制の対象範囲については、制度の執行状況や効果を十分に検証した上で、国際ルールとの整合性、官民の事務負担の検証、立証責任の所在等諸外国との違いや
体制面を含めた税務当局の執行可能性等の観点から、財源確保の状況も踏まえ、状況に応じ、見直しを検討する。
経済産業省の「イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)について」のHPにて、2025年3月下旬にガイドラインを公表予定
https://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/tax/about_innovation_tax.html
2
本税制の対象知財
⚫ 対象知財は、我が国の国際競争力の強化に資するもの※のうち、特許権又はAI関連のプログラムの著作物であって、令和6年4月1
日以後に取得又は製作したもの。
※ 「我が国の国際競争力の強化に資するもの」とは、風営法関連の事業の用に供されることを目的に取得又は製作されたものでないもの。
本税制の対象となるAI関連のプログラムの著作物
① AIモデルによる機械学習をサポート(効率化・性能向上)するプログラム(例:学習に必要なデータのタグ付けツール、RAG(検索拡張生成)等)
➁ AIモデルによる機械学習アルゴリズムそのもののプログラム(例:基盤モデルや、個別の環境に特化したモデル 等)
③ 機械学習アルゴリズムの実現に必要なプログラム(例:クラウド上でGPU等のハードウェアを稼働させるために必要な制御ソフト 等)
税制対象のAI関連プログラムのイメージ
プログラムの例:
AIを活用したアプリケーション(BtoB, BtoC)
AI共通支援機能
機械学習・学習データ支援ツール
AIモデル
個別/特化モデル
基盤モデル
基礎モデル
AI開発に特化したハードウェア制御、仮想化、OS等
アプリのUI(画面等)など
税制対象外
AI開発ツールやRAG等
①
製薬特化モデル等
②
GPT、tsuzumi等
GPU as a Service等
税制対象
③
3
本税制の対象となる所得
⚫ 本税制を適用するためには、契約において対象知財の対価の額が明らかにされている必要がある。
⚫ 対象となる知財と一体不可分で取引される対象外知財(ノウハウ等)を含む取引については、一定の要件を満たした場合に限り、それぞ
れの対価の額が明らかとされていない場合であっても、当該取引の対価の額を本税制の対象所得とすることができる。
ノウハウ等と一体不可分の取引の扱いについて
対象となる所得
以下をすべて満たす場合、対象知財に付随して取引されるノウハウ等の提供を含
む取引の対価の額を対象所得とすることが可能
<ライセンス取引>
対象知財のライセンス
①契約に係る書類、交渉経緯等から、ノウハウ等の提供に係る対価の額が設
定されていないことが明らかであること。
対価の額
申告法人
他の者
(関連者を除く)
対象知財と非対象知財を含む複数知財を同時に取引する際、対象
知財の対価の額を明らかとする必要あり。「対価の額を明らか」とは、
個々の対象知財の対価の額が明らかな場合や対象知財群でまとめ
て対価の額が明らかな場合をいう。
➂契約に係る書類、交渉経緯や特許クレームと当該ノウハウの内容等において、
対象知財と当該ノウハウ等の関連性について説明がなされていること。
損益通算について
<譲渡取引>
対象知財の譲渡
対価の額
申告法人
②取引実績として当該ノウハウ等が単体で取引されている契約がなく、今後も
当該ノウハウ等が単体で取引されないこと。
居住者・内国法人
(関連者を除く)
対象となる所得を計算する際には、ライセンス所得又は譲渡所得に係る収益から、
対応する費用(取引に要した費用など)を減算する必要があり、費用が収益を
上回る場合(損失が発生する場合)は翌年度以降に当該損失分を繰り越し、
翌年度の対象所得と損益通算させる。
4
自己創出比率の計算について
⚫ 対象知財の取得又は製作をするために必要となった研究開発費(令和7年4月1日以後に発生したものに限る)のうち、主に
国内で自ら行った研究開発費の割合を計算。
⚫ 研究開発費の範囲については、原則として直接関連する費用を全て抽出して計算する必要があるが、対象知的財産が創出され
た研究開発プロジェクトの研究開発費を「直接関連する研究開発費等の額」とすることも可能。
制度対象所得
損金算入額
(所得控除額)
=
知財由来の所得
自己創出比率 =
×
自己創出比率
× 所得控除率(30%)
適格研究開発費の合計額
研究開発費の合計額
( 経過措置期間中(令和7年4月1日~令和9年3月31日まで)であれば、原則企業全体の研究開発費を用いて自己創出比率を計算する。
)
経過措置期間後(令和9年4月1日から)であれば、対象知財に直接関連する研究開発費を用いて自己創出比率を計算する。
研究開発費の額:研究開発費等に係る会計基準における研究開発費の額に一定の調整を加えた金額。
適格研究開発費:研究開発費のうち、次に掲げる①~➂の金額以外の金額。
①他の者から特許権又はAI関連のプログラムの著作物を取得した際に要した費用、又は当該特許権等につ
いて専用実施権等の独占的ライセンスへの支払ライセンス料
②国外関連者に対する委託試験研究費
③国外事業所等(PE)を通じて行う事業に係る研究開発費の額。
=(研究開発費の額)-(他の者からの特許権等の取得費・独占的ライセンスへの支払ライセンス料)
- (国外関連者への委託試験研究費)-(国外PEで行った事業に係る研究開発費)
5
経産省による証明書交付手続き
⚫ 対象知財であることや、その知財に関連する研究開発の判別については、経産省において確認・証明を実施。
⚫ AI関連のプログラムの著作物であることについては、専門的な知見が必要であることから、(一社)ソフトウェア協会による事前確認を
受ける運用とする。
⚫ 申請に先立って経済産業省への事前相談を行うことが可能。事前相談は通年で受け付けている。
AI関連ソフトウェアの著作物
特許権
①申請書の提出
経産省
②確認後、
証明書を交付
企業
(税制対象者)
③税務申告
証明書の写しを添付
税務署
業界
団体
①AI関連であることの
調査の申請書を提出
②確認後、
AI関連であることの証明書
を交付
③申請書の提出、
AI関連であることの証明書
の写しを添付
経産省
④確認後、
証明書を交付
企業
(税制対象者)
➄税務申告
証明書の写しを添付
税務署
経済産業省は対象知財であることや、その知財に関連する研究開発を判別する役割を担うことから、申請書では以下の項目の記載を求める。
申請書で記載を求める項目
項目内にある具体的な記載事項
特許権
特許番号、登録日
AI関連ソフトウェアの著作物
製造日、プログラムの名称、プログラムの概要
研究開発テーマ
実施内容、実施時期、担当部署、特許権・AI関連ソフトウェアの著作物と研究開発テーマの関連性、他者からの対象知財の
取得・ライセンスの有無、海外関連者への委託研究開発活動の有無、PEでの研究開発活動の有無
6
(参考)制度デザイン検討WG委員 (敬称略)
(座長)
小林 誠
株式会社シクロ・ハイジア 代表取締役CEO、
KIT虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院) イノベーションマネジメント研究科 客員教授
(委員)
奥津 宏幸
日立製作所 グローバル知的財産統括本部 知財プラットフォーム本部 知財渉外部 部長
佐保 優一
ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 法務・リスク管理本部 知的財産部 担当課長
鈴木 正勝
SCSK株式会社 経理本部 経理部長
千田 義則
三菱自動車工業株式会社 管理本部 知的財産部 マネージャー
服部 誠
阿部・井窪・片山法律事務所 弁護士、弁理士、ニューヨーク州弁護士
森 元司
田辺三菱製薬株式会社 ファーマ戦略本部経理財務部 マネジャー
(オブザーバー)
一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本弁理士会、一般社団法人日本自動車工業会、日本製薬工業協会、
一般社団法人電子情報技術産業協会、一般社団法人日本電機工業会、一般社団法人ソフトウェア協会、一般社団法人日本化学工業協会、
一般社団法人日本機械工業連合会、一般社団法人新経済連盟、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター、
一般社団法人日本知的財産協会、一般社団法人情報サービス産業協会、一般社団法人組込みシステム技術協会、内閣府知的財産戦略推進事務局
7
(参考)イノベーション投資促進研究会(親会)委員 (敬称略)
(座長)
土居 丈朗
慶應義塾大学経済学部 教授、東京財団政策研究所研究主幹(客員)
(委員)
安妻 貴裕
梅田 隆司
尾崎 稔憲
小林 誠
株式会社リクルートホールディングス 税務統括部長
日立Astemo株式 会社財務統括本部 シニアチーフスペシャリスト
大塚製薬株式会社 財務会計部 税務担当部長
株式会社シクロ・ハイジア 代表取締役CEO、
KIT虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院) イノベーションマネジメント研究科 客員教授
坂本 教晃 一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 企画部長
竹中 英道 ソニーグループ株式会社グローバル経理センター 税務政策専任部長
対島 浩司 三菱自動車工業株式会社 管理本部 知的財産部長
戸田 裕二 戸田知的財産コンサルティング事務所 所長
日戸 興史 株式会社ワコールホールディングス 取締役(社外)
萩野 源次郎 大和合金株式会社 代表取締役社長
前山 貴弘 弥生株式会社 代表取締役 副社長執行役員 管理本部長 兼 最高財務責任者(CFO)
水本 智也 オムロン株式会社 技術知財本部 基盤デザイン部 投資運営グループ
兼)オムロンベンチャーズ株式会社 投資管理グループ 経営基幹職 財務会計専門職
元橋 一之 東京大学先端科学技術センター 教授
吉村 政穂 一橋大学大学院法学研究科 教授
(オブザーバー)
一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本弁理士会、一般社団法人日本自動車工業会、日本製薬工業協会、
一般社団法人電子情報技術産業協会、一般社団法人日本電機工業会、一般社団法人ソフトウェア協会、一般社団法人日本化学工業協会、
一般社団法人日本機械工業連合会、一般社団法人新経済連盟、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター、
一般社団法人日本知的財産協会、一般社団法人情報サービス産業協会、一般社団法人組込みシステム技術協会、内閣府知的財産戦略推進事務局
8
資料8
一般社団法人
日本金融人材育成協会
2025 年 3 月 17 日
「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」(第 24 回)
~ 本日ご意見いただきたい点 ~
森 俊彦 一般社団法人 日本金融人材育成協会 会長
【略歴】
東京大学経済学部卒、同年 日本銀行入行、シカゴ大学大学院留学(経済学マスター)、信用機構局参事役(バーゼル銀行監督委員会・日本代表)、
考査局参事役(上席考査役)、金沢支店長、金融機構局審議役などを経て、金融高度化センター長
現在、環境省 ESG 地域金融普及促進アドバイザー、 住友生命 社外委員、 足利銀行 取締役、 西尾信用金庫 理事、 地域未来デザイン 代表理事、
中小企業基盤整備機構「中小企業応援士委嘱委員会」委員長、 マネジメントパートナーズ 経営顧問を兼務
【著書】「地域金融の未来」(中央経済社)
【政府委員】
2016 年~ 経済産業省「ローカルベンチマーク活用戦略会議」委員
2017 年~ 内閣府「知財のビジネス価値評価検討タスクフォース」委員
2018 年~ 環境省「ESG 金融懇談会」委員
2018 年~ 金融庁「融資に関する検査・監督実務についての研究会」メンバー
2019 年~ 環境省「ESG 金融ハイレベル・パネル」委員
2019 年~ 金融庁「金融仲介の改善に向けた検討会議」メンバー
2020 年~ 内閣府「価値デザイン経営ワーキンググループ」委員
2021 年~ 内閣府・経済産業省「知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会」委員
2022 年~ 内閣府「経営デザインシートの普及推進に向けた戦略及び標準的なツール策定の実証調査」委員
2022 年~ 中小企業庁「事業環境変化対応型支援(デジタル化診断)事業 有識者検討会」座長
2023 年~ 経済産業省「ローカルベンチマークガイドブック検討会」委員
2025 年~ 中小企業庁「中小企業の成長のためのイノベーション研究会」委員
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① 「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」の更なる普及に向けてどのようなアクションが有効か。
(1)(事務局説明資料:p8)
「知財・無形資産 GGL」、「大学知財ガバナンスガイドライン(大学知財 GGL)」
(事務局説明資料:p14)
• 2024 年通常国会に提出された「事業性融資の推進等に関する法律案」の早期成立を目指す。
(短期・中期)(金融庁、内閣府(知財)、法務省、経済産業省)
→ 2024 年 6 月に「事業性融資の推進等に関する法律案」が成立(企業価値担保権)。
2026 年春頃の施行を目指し、関係政府令等の環境整備中。
<ご提案>
(A)全国銀行協会、地方銀行協会など向けに「知財・無形資産 GGL」の講演などを行ってきていま
すが、大学と中小企業・スタートアップの連携はより金融機関の実務に即したものと考えられるので、
大学知財 GGL(必要に応じて企業価値担保権も)についても、全国銀行協会向けなどに講演を行
ってはいかがでしょうか。
(B)企業価値担保権の活用に取り組む金融機関向けに、その背景となっている「知財・無形資産
GGL」(大学知財 GGL も併せて)に関する個別の説明会を行ってはいかがでしょうか。
(C)企業経営アドバイザーは、現在、1000 名近くで、金融機関関係者が約半分ですので、企業価
値担保権に関する理解もスムーズで普及浸透に寄与していければと考えます。
2
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(出所)金融庁「事業性融資の推進等に関する法律案説明資料」(2024 年 3 月)
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(2)(事務局説明資料:p4)
ロゴの普及促進案として、内閣府が後援している企業経営アドバイザー検定試験を活用してはどうか。
⇒ 企業経営アドバイザーを主管している日本金融人材育成協会と連携し、企業経営アドバイザーに向けた講
演を開催するとともに、名刺にロゴを記載する取組を推進。また、来期以降の当該認定講座テキストに、本ガイ
ドライン(注:「知財・無形資産ガバナンスガイドライン Ver.2.0」)の解説ページを追記予定。
<「ロゴの普及促進案」についてのご説明>
今回、企業経営アドバイザーのテキストにて、「知財・無形資産ガバナンスガイドラ
イン Ver.2.0」を解説しますので、「ロゴ」使用にも違和感なく接続でき、ロゴ記載
の名刺から、全国の中小企業経営者の目に留まり、「知財・無形資産と企業価値
向上の話題」へとつながる流れが仕組化されます。
(注)
本ガイドラインは、大企業を中心とする上場会社のみならず、日本の企業数の多くを占める 中小企業・スタートアップにおいても、自社の知財・
無形資産の投融資・活用戦略について金融機関等と対話を行う際に活用されることが期待されていますが、 通常、統合報告書や IR 資料等によ
る開示・発信を行わない 中小企業・スタートアップにとって、簡易な様式に基づき経営戦略・構想をストーリー化して開示・発信することができる経
営デザインシートが、金融機関等との対話を深める上で有効な手法です 。
「企業経営アドバイザー」は、経営デザインシートを用いて、経営者が将来のありたい姿(To Be)からバックキャストして知財・無形資産の投資・
活用を含む全体戦略を描くことを支援するスキルを身につけており、その企業支援活動を通じて本ガイドラインの普及・促進に貢献し得る者として、
内閣府よりロゴマークの使用を認めていただいております。
経営デザインシートがもつ、全体戦略を将来からのバックキャスト型で構想しロジックとストーリーで説明する姿勢は、本ガイドラインと本質的に同
一のものと言えます。
「企業経営アドバイザー」が、本ガイドラインを活用して知財・無形資産の投資・活用戦略の促進、及び、企業の「稼ぐ力と自己変革力の向上」に
向けて伴走支援に取り組む流れが仕組化されます。
4
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② 知財・無形資産の可視化・経営指標との紐づけを一層進めるため、例えば、以下のようなアプローチ
は有効と考えられるか。
(1)b. 知財・無形資産(研究開発費・データ含む)を費用ではなく資産として取り扱うマインドの浸透
IFRS 適用企業のような大手企業にとって、「研究開発を単年度の「費用」ではなく、将来に向けた「資
産」の形成と捉える企業マインドの醸成が必要。」は、そのとおりと考えます。
中小企業・スタートアップにおいても、様々なチャレンジに取り組んでいますので、「研究開発」と言えば
距離があるかもしれませんが、これが費用ではなく資産とする思考法は重要。
また、中小企業では、オーナー経営者の高齢化から事業承継問題の塊があり、最近、親族承継に代わ
る M&A が増加していますので、無形資産・のれんの計上についても違和感が薄らいできています。
<ご提案>
(A)(日本経済団体連合会向けには既に講演をされていますが、) 日本商工会議所(全国の商工
会議所)、全国商工会連合会(全国の商工会)や、中小企業を顧問先とする税理士会・会計士会な
ど向けへ、知財・無形資産(研究開発費・データ含む)を費用ではなく資産として取り扱うマインドの浸
透としての「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」の分かりやすい説明会は重要ではないでしょうか。
(B)中小企業の新たな価値創造への伴走者である「企業経営アドバイザー」のテキストでも、本件を分
かりやすく取り上げられないか検討いたしたい。
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(2)c. 上記以外に、有効なアプローチはあるか。そもそも、企業サイドで、可視化が進まない要因はどこにあると考えられるか。
上場大企業を軸とした「『サプライチェーン(傘下の中小企業を含む)戦略』の観点からの将来的な企業価値向上に
向けたアプローチ」(経営戦略としての知財・無形資産の活用)が重要と思料。
(事務局説明資料:p16/p17:ESG 投資、ESG 企業活動(注))
➢近年、ESG 投資への要請が高まっており、将来的な企業価値を評価する上で、知財・無形資産に関する情報の開
示が投資家から要請されている。
➢ 知財・無形資産の投資は単年度「費用」ではなく「資産」の形成という発想を持ち、安易に削減対象にすることの
ないように意識することが重要。
は、中小企業においても、まさしく当てはまるもの。
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が、2023 年 6 月、スコープ3の開示義務化を公表。
気候変動に伴う財務リスクや脱炭素に向けた設備投資などの開示を求める。温暖化ガスは工場など自社拠点での
直接排出(スコープ 1)、エネルギー使用に伴う間接排出(スコープ 2)、サプライチェーン(原材料調達、製造、
輸送、販売、廃棄など)全体で発生する間接排出(スコープ 3)の開示が必要とされる。
<ご提案>
(A)特に、スコープ3では、上場大企業が、中小企業を含む自らのサプライチェーン全体を俯瞰することが必要にな
りますので、上記の考え方(「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」のエッセンス)を伝え、上場大企業が軸となっ
たサプライチェーン全体の新たな価値創造力の強化(トリクルダウン効果)としてはどうでしょうか。
(注)環境省では、本年 3 月 11 日、「TCFD 開示等における『機会』の明確化を目指したビジネスチャンス創出事業」成果報告会を開催。
https://www.env.go.jp/press/press_04500.html
環境省では、気候変動への対応を地域の成長機会と捉えて中小企業支援を実践している地域金融機関に対し、支援に至るまでの背景や具体的な取組内容に
ついてヒアリング調査を実施しました。3 月 11 日の成果報告会は、ヒアリング調査で得られた知見を幅広く共有することを通じて、より多くの地域金融機関に気候
変動への対応を地域の成長機会と捉えていただき、地域金融機関による「攻め」の脱炭素支援を促進することを目的としています。
基調講演では、「知財・無形資産ガバナンスガイドライン Ver.2.0」などを取り上げて、環境政策との関係で、「グリーン社会の実現に向けて、地域資源の
知財・無形資産を活用して、 地域金融機関が中小企業・スタートアップの持続的な稼ぐ力の向上に伴走支援することが重要」をキーノートとしております。
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上場企業とスタートアップ・中小企業はサプライチェーンで連動(→「サプライチェーン戦略」が重要)
(出典)「知財・無形資産ガバナンスガイドライン Ver.2.0(概要)」
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資料9
知財から事業成果を生み出す構造
ブリヂストンの場合
事業現場とのコミュニケーション
には かなり知財屋の人力が要る
どれも追い風でありがたいが
価値変換メカや土台が無ければ
単なる掛け声に終わる…
(AIで代用できないところ)
価値を生むメカニズム
促進要因
アクセル
資料9
全体構造 (変換メカ+土台)
のメンテナンスと強化変革が
一番大切なミッション
阻害要因
ブリヂストン
知財ミックスコンセプト
・ CGC改訂からの要請
・ リソース課題 (特に人)
・ IPL活用の機運高まり
・ 優先度の課題
(緊急優先案件の勃発など)
・ 経営TOPの旗振り
ブレーキ
土台を成す前提条件
「秘伝とタレ」が枯れない
知財が価値を生み続けるSECIサイクル
PDCAを回して
学習できる組織力
1/1
チームメートへの思いやりに基づく
健全な緊張感・5Sの浸透
知財マインドの全社浸透