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知的財産戦略本部 構想委員会(知的財産推進計画2026) 第4回

2026-05-25一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

議事録

知的財産戦略本部構想委員会(第4回) 日時:令和8年5月25日(月)14:00~16:00 場所:中央合同庁舎8号館8階特別大会議室・オンライン 出席: 【委員】 出雲委員、梅澤委員、遠藤委員、加藤委員、黒田委員、黒橋委員、杉村委員、竹中委員、 立本委員、田中委員、田路委員、中村委員、波多野委員、林委員、福井委員、本田委員、 松山委員、村松委員、渡部座長 【事務局】 中原事務局長、守山次長、太田参事官、清水参事官、福田参事官、松原企画官、 谷貝企画官、道祖土企画官 1.開会 2.議事 (1)「知的財産推進計画2026」案 (2)意見交換 3.閉会 ○太田参事官 本日は、御多忙のところを御参集いただき、誠にありがとうございます。 内閣府知的財産戦略推進事務局参事官の太田でございます。どうぞよろしくお願いいた します。 会議に先立ちまして、本日の会議の進行について御説明をさせていただきます。 本日の会議については、対面とオンラインによるハイブリッド開催、傍聴はオンライン のみとなっております。 オンライン参加の委員の皆様におかれましては、会議中はノイズを防ぐため、発言時以 外はマイクのミュートをお願いいたします。また、会議中はカメラを常にオンにしていた だくようよろしくお願いします。御発言を御希望の場合は、「挙手」ボタンにてお知らせ いただくようお願いします。 また、本日は多数の傍聴をいただいておりますけれども、傍聴者の皆様はカメラをオフ、 マイクもミュートにしていただき、会議の様子のスクリーンショットや録音・録画は御遠 慮いただきますようよろしくお願いいたします。 それでは、時間となりましたので、ただいまから知的財産戦略本部第4回「構想委員会」 を開催いたします。 1 改めまして、本日は御多忙のところを御出席いただき、誠にありがとうございます。 本日も「知的財産推進計画2026」の取りまとめに向け、事務局から資料を御説明した後、 委員の皆様の意見交換とさせていただきます。委員の皆様方の様々な御意見を頂戴したい と考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 本日の委員の出欠状況でございますが、伊藤委員、塩野委員、時田委員が御欠席でござ います。また、梅澤委員、黒橋委員、立本委員、田路委員、波多野委員、福井委員、村松 委員はオンラインでの御参加となっております。 また、梅澤委員が15時頃に御退席予定と伺っております。 続きまして、本日使用する資料を御確認いただきたいと存じます。 事前に御連絡させていただきましたとおり、本日の資料は資料1の「知的財産推進計画 2026」案、資料2の時田委員からの提出意見となっております。 また、本日御説明する資料1につきましては、画面共有はせず、委員限りとさせていた だきたいと思いますので、御理解をお願いします。 それでは、ここから議事進行につきましては渡部座長にお願いいたします。 ○渡部座長 皆様、こんにちは。前回も推進計画への御意見をいただきましたけれども、 本日改めて御意見をいただき、取りまとめに進められるように考えております。本日が構 想委員会としては最後の議論ということになろうかと思います。 また、本日、小野田内閣府特命担当大臣に御参加をいただく予定でございますが、国会 用務のため、委員の意見交換の終わり頃から参加されると伺っております。 それでは、「知的財産推進計画2026」の検討をする委員会として、事務局から資料1に ついて説明をお願いいたします。 ○太田参事官 では、事務局より資料1「知的財産推進計画2026」案について御説明をさ せていただきます。 まず表紙でございますけれども、副題としまして「~成長戦略を支える知財戦略の推進 ~」と題させていただいております。 これまでの構想委員会でも知財戦略の企業経営、または国家戦略における重要性、中核 に据えるべきという御議論をいただいていたところ、今回についてはこうした副題をつけ させていただいております。 また、次のページ、目次でございますが、全体の構成を御説明いたします。 知財計画2026ですが、まずⅠとして「はじめに」ということで検討の経緯を述べさせて いただいた後、Ⅱの「知財戦略の今後の方向性」ということで、全体に係る「基本的な認 識」と知財戦略の「今後の方向性」ということで、全体のまとめとなるような記載を載せ させていただいております。 また、Ⅲ以降、「知財戦略の重点施策」としてそれぞれの分野について細かく御説明を させていただいている構成となっております。 また、2ページ目以降、Ⅱを少し御説明させていただきます。 2 「知財戦略の今後の方向性」ということでございます。 1として「基本的な認識」でございます。 近年、やはり世界的に無形資産投資が急速に増加しているということ、または世界のGDP に占める無形資産投資の割合は非常に大きいということで、無形資産投資が世界の経済成 長の牽引力となっているということを改めてWIPOの世界無形資産投資ハイライトのデータ とともに載せさせていただいております。 また、近年の変化としまして、生成AIの急速な社会実装は産業構造、労働市場、人々の 生活、価値観に至るまで、あらゆるものに大きな変化をもたらすインパクトがあるという こと、また、知財・無形資産を取り巻く環境にも大きな変革の波があるということも記載 をさせていただいております。 また、グローバルな経済競争の激化に加えまして、地政学的リスクが高まる中で経済安 全保障の重要性が高まっていること、また、経済安全保障を考える上でも知財戦略が不可 欠な要素となっていること、また、そうした中、国際標準あるいは国内標準の戦略的な活 用というものも必要不可欠であるということもこちらに載せさせていただいております。 また、そうした中でございますが、我が国のコンテンツ産業、市場規模が13.3兆円、海 外市場規模が6.1兆円と、鉄鋼産業や半導体産業と比べましても規模が大きくなっており まして、今や我が国の基幹産業となっていること、また、クールジャパン関連産業におき ましても海外展開規模が約27兆円と、前年比41%増と拡大しておりまして、グローバル市 場における我が国の稼ぐ力の源泉となっているということも記載をしております。 加えまして、知的財産戦略計画2025で定めさせていただきました中長期的なKPIのフォ ローアップもこちらでさせていただいております。 全体に係るKPIは2つございました。1つ目は、日本市場における時価総額に占める無形 資産の割合を2035年までに50%以上まで高めるというKPIでございました。こちらは、3ペ ージ目に表を載せさせていただいておりますけれども、足元2025の数字で見ますと52%と いうことで、前回調査に比べると3割から5割にかけて上がっているというデータとなっ ております。そういう意味では、中長期的なKPIは既に数値を達成したとも言えますけれど も、米国の9割以上と比べましてもまだまだ低い数字でございます。 また、今後の趨勢も見ていかなければいけないという意味では、知財・無形資産への投 資の重要性、またはそれを促していかなければいけない現状というのは変わらず続いてい くということで考えております。 また、2つ目のKPIとしてWIPOの「グローバルイノベーション指数」のランキングでござ いますが、これを中長期的に2035年までに4位以内にする。こちらも非常に野心的なKPIと なっております。計画を定めました2024の数値で13位ということでございましたが、直近 の数字、2025年では12位ということで1位順位を上げておりますけれども、やはり4位の 目標にはまだまだ乖離があるということでございます。こちらも、今後も引き続きフォロ ーアップをしていく数字として現状載せさせていただいております。 3 また、4ページ目以降、「今後の方向性」でございます。 知財・無形資産が企業の稼ぐ力、ひいては日本の成長力の源泉であるということ、また 先ほども述べさせていただきましたが、生成AI技術の進展、あるいは経済安全保障の重要 性の高まりなど、経済社会を取り巻く環境の変化がございます。こうしたものに即しなが ら、知財・無形資産の力で日本経済の成長を加速できるよう、知財・無形資産の戦略的な 「創造」「保護」及び活用を図ることが重要であるということを改めて記載をしておりま す。 また、こうした視点に立ち、今後の知的財産戦略の方向性として5つの柱を整理させて いただいております。 1つ目が<知財・無形資産を中核に据えた企業経営や国家戦略の更なる推進>でござい ます。 企業の競争力強化に向け、優れた技術、製品及び現場力を十分に収益化し、持続的な成 長につなげていくことができるよう、知財・無形資産を生かした経営の実践や技術の保護 と活用、国際標準戦略のためのオープン・アンド・クローズ戦略を推進する必要があると いうこと。 また、企業の経営層における知財・無形資産の重要性に対する意識の向上、企業の知財 部門における経営戦略や価値創造のプロセスへの関与の強化、経営層と知財部門の関係者 との間の共通言語の開発等に努める必要があるということでございます。 このため、知財・無形資産ガバナンスガイドラインの改訂や、上場企業の取締役会及び 経営層に知財・無形資産の価値の本質を伝えるメッセージ等の発信などを含め、知財経営 の考え方のさらなる普及・浸透を図る方策を検討すること。また、知財・無形資産への投 資・活用の意義や価値創造への寄与が投資家にとって理解・評価しやすくなるよう、統合 報告書や有価証券報告書等における開示の必要性も含め、開示の在り方を検討することが 求められるということでございます。 また、国家戦略におきましても、成長戦略を描く際には知財・無形資産が鍵となるとい うこと、また、このため日本成長戦略における17の戦略分野においてもそれぞれにIPラン ドスケープを活用した勝ち筋の特定や、集中的な知財投資、知財・無形資産ガバナンスを 進めるとともに、他国の知財覇権戦略や知財侵害リスクへの対抗措置としての知財・国際 標準の活用を積極的に実施することが重要であるということでまとめさせていただいてお ります。 2つ目の柱が<生成AI等の新たな時代に即した知的財産の保護>ということでございま す。 生成AI技術の進歩の促進と知的財産権の適切な保護の両立に向け、権利者や利用者にと って安全・安心な利用環境を確保することを目的として「生成AIの適切な利活用等に向け た知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード」、仮称でございますが、こ ちらを制定し、国内外への周知を図るとともに、クリエーター等への対価還元を促す枠組 4 みの構築を促進する必要があるということを記載しております。 また、経済安全保障をめぐる課題が複雑化する中で、経済安保の時代に適合した実効的 な知的財産権の保護を確保するため、知的財産の侵害抑止の実効性を高め、侵害が生じた 際に迅速かつ適切に紛争を解決できるような環境整備が不可欠であるということ。そのた め、他国の状況等も参考にしつつ、侵害の回復と侵害者利益の剥奪を確実にする民事救済 措置の規定の導入、また複数の権利者が有する知的財産権を集約することにより権利行使 を容易化する仕組みの構築、知的財産の権利者による証拠収集の円滑化、査証制度の著作 権及び営業秘密への拡大、海外所在証拠への対応等を視野に入れた制度的手当の在り方の 検討などが求められるということでございます。 3つ目の柱、<成長戦略と一体的な国際標準戦略の推進>でございます。 昨年6月に、19年ぶりに「新たな国際標準戦略」を策定しております。こちらの戦略を 踏まえた取組を一層促進するために、昨年11月に設置されました日本成長戦略会議におい て選定された17の戦略分野の官民投資ロードマップにおいて需要・市場創出に向けた国際 標準化をビルトインすること、また、成長戦略と一体的に国際標準戦略を推進する必要が あるということをまとめさせていただいております。 4つ目の柱、<成長投資によるコンテンツ戦略の推進>でございます。 コンテンツは日本成長戦略の17の戦略分野の一つに数えられており、今後さらに大きな 成長が期待される戦略分野でございます。2033年までに海外市場規模を20兆円とする政府 目標を達成するため、コンテンツ分野の官民投資ロードマップの着実な推進を図るという ことが求められます。 また、具体的には人材、制作環境、海外展開・流通のそれぞれにおけるボトルネックを 解消し、産業界が自律的・継続的な成長を実現するため、政府は大胆な政策パッケージに より官民投資を促進し、官民一体となった成長投資を行うことが必要であるということで ございます。 また、そのために予算配分の全体最適化や予算執行の一元化、官民の英知の結集に向け て一気通貫の新たな支援体制の在り方の検討、大規模作品制作支援、流通プラットフォー ムの拡大支援、海賊版対策等の海外展開、流通支援、また次代を担うクリエーターの複数 年にわたる弾力的支援や、グローバルビジネス人材の育成の推進といった人材支援なども 検討していく必要があるとさせていただいております。 最後に5つ目の柱でございますが、<稼ぐ力を牽引するクールジャパンの海外展開の強 化>でございます。 こちらも、2033年までに50兆円以上の海外展開規模とするという政府目標がございます。 こちらを達成するため、コンテンツ地方創生拠点における取組の深化や全国への拡大、イ ンバウンド消費を通じた日本ファンの形成、輸出拡大に向けて地域・業界一体となって戦 略的に取り組んでいく必要があるということでまとめさせていただいております。 また、8ページ目のⅢ以降でございますが、「知財戦略の重点施策」ということで、そ 5 れぞれの分野で(現状と課題)、またそれぞれの分野で定めましたKPIのフォローアップ、 また(施策の方向性)について整理をさせていただいております。 こちらは「今後の方向性」のところで触れなかった分野でもございますけれども、例え ば知的財産の創造の観点で「創造人材の強化・ダイバーシティの実現」として<知財創造 教育の推進>であったり、イノベーション人材、あるいは高度外国人の受入れについても 記載をしております。 また、「知的財産の「保護」」のところでは「技術流出の防止」ということで<研究セ キュリティ・研究インテグリティ>を含めた記載をさせていただいております。 また、「海賊版・模倣品対策の強化」、あるいは「地域における知財保護」として<中 小企業・中堅企業>における知財保護、農林水産業における知財保護についても記載をし ております。 また、「知的財産の「活用」」としましては「産学連携による社会実装の推進」として、 大学における知財ガバナンス、また「スタートアップ支援」「データ流通・利活用環境の 整備」といった項目についてもⅢのところで詳しく御説明をしているところでございます。 非常に駆け足で雑駁でございますが、事務局からの資料の説明とさせていただきます。 ○渡部座長 それでは、事務局から説明のあった内容、そして計画全体ということでござ いますが、御意見をいただきたいと思います。こちらの現地の方で御発言されたい方は挙 手をお願いしたいと存じます。オンライン参加の委員の皆様におかれましては、挙手ボタ ンを押してお知らせをいただきたいと思います。御発言の際にはマイクのミュートを解除 していただき、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただくようお願いいた します。 ぜひ御発言いただければと思います。 遠藤委員、お願いします。 ○遠藤委員 御説明ありがとうございました。テーマが多岐にわたり、難しい観点もある なかでのまとめは大変だったと思いますけれども、分かりやすくまとめていただいて感謝 申し上げたいと思います。 経済安全保障の観点からの各種の議論は5年くらい前から始まりましたが、ポイントは 「戦略的な不可欠性」と「戦略的な自律性」をいかに持続的に構築するかです。戦略的な 不可欠性を構築する上では、日本は、自ら高い価値を創造し、市場に、人間社会に高い価 値貢献をするために、科学技術立国にならなくてはなりません。経団連では、日本の科学 技術立国のあるべき姿についてまとめた提言を、今回総理に手交させていただきました。 この提言と今日お見せいただいた知財推進計画の内容とがアラインすることが期待されま す。 また、先ほどの御説明にもありました通り、実際に知財を生み出すのはAIではなくて人 材です。その人材のありようについて、多様性人材という観点から、おまとめいただいて おり、そのとおりだと思います。ただ、その中では、日本の中での海外の人材の活用、働 6 き方のありように関する、方法論が記述されておりますが、もう一つ必要なのは、日本国 の中で多様性人材を育てる仕組みを確立することだと考えます。個を尊重し、個を育てる 教育システムが、価値創造の基盤となりますが、日本では、まだこのシステムが確立され ておりません。価値創造、イノベーションの創造には多様な人材の存在が必須です。日本 が抱える大きな課題であると理解しております。日本の中で多様性人材を継続的に輩出で きるように、人を育てる仕組みの構築は、経済安全保障の観点から非常に重要な視点であ ろうと思いますので、計画の中に入れていただくことが重要と考えます。ぜひご検討をい ただければと思います。 それから、2024年に、オーストラリア戦略政策研究所、Australian Strategic Policy Institute(ASPI)が出した先端技術研究64分野の国別競争力に関するレポート(重要技術 トラッカー)の中で、日本の論文のレファレンスが20年前に比べて非常に減っているとい うことが示されています。20年前は5位以内が32あったのが、直近(2019~2023年)では 8個に減ってしまっています。知財の基となるのはやはり基礎研究というところがござい ます。いかに価値のある知財をつくり上げるかが日本国として非常に重要な戦略になるこ とから、いかに基礎研究というものを育て上げるかということが一つの大きな課題でもあ ります。ぜひその観点についても何らかの形で記載いただけるとありがたいと思いました。 最後ですが、知財をつくり上げる「創出」だけでは、市場での価値貢献にはなりません。 マーケティングをし、市場で「活用」されなければなりません。その非常に大きな力とな る方法論が標準化であろうと考えます。標準化というものは単に共通基盤の提供を図ると いう視点だけではなくて、知財を広く市場に拡げるための方法論として見ていただくこと が重要で、標準化の活動を加速させる要因にもなると思いますので、そのような記述をど こかに入れていただくとありがたいと思います。 以上です。 ○渡部座長 では、竹中委員、お願いいたします。 ○竹中委員 それでは、主に4点について述べさせていただきます。 まず、最初に第1回、第2回でいろいろ意見が出た内容を反映させてきれいにまとめて いただいてありがとうございます。特にAIについては、前回などはどちらかというと著作 権の侵害という観点からネガティブな表現だったのですが、活用ということで非常にポジ ティブな表現になったのはとてもいいことだと思っております。 一方、プリンシプル・コードにつきましては、現在タイトルは生成AIとなっております が、内容を見てみますとAIという一般名称が使われておりまして、フィジカルAIと、これ から日本が強みになっていく部門でのAIのデータについても同じルールが適用されるので はないかということを危惧しております。それについては、JIPAやJEITAのほうからもパブ コメで危惧が示されていますので、その点をぜひ考慮していただければと思っています。 2番目は、標準特許の紛争解決についてです。こちらも、紛争解決は、最初のドラフト には書いていなかったのですが、今回の案にはきちんと書かれているのは、非常にいい方 7 向だと思っております。 ヨーロッパのライセンスネゴシエーショングループのことについて、私は非常に注目し ていたのですが、最近の動向をちょうど先週土曜日の東京科学大学セミナーの中でドイツ 弁護士からの報告から、あまりうまくいっていないと知りました。また、FRAND紛争につい てEUコミッションがリーダーシップを取れていないということを知りました。 一方、産業界からの登壇者の報告からは、日本においては、政府に対するリーダーシッ プの期待が大きいという印象を受けました。日本企業が、これからGAFAMNに対抗して、少 ない投資でAIイノベーション競争を続けていくために、政府が政策によるリーダーシップ を取っていただければと思います。 次に3点目でございますが、知財データの活用と経営陣の人材という問題です。先ほど 遠藤委員の御発言の中にも多様性人材ということがありましたけれども、日本のトップ経 営層はほとんど文系の人で、理系の人があまりいないということ。また、数字に強い人も 少ないために、たとえIPランドスケープ、または最近はIPインテリジェンスという欧米に も共通する言葉が使われるようになったようですが、あまり活用されていないようです。 よりわかりやすいストーリーにして説明する経営陣への働きかけが、特許庁を中心に行わ れているということはとてもいいことだと思いますが、トップ経営層、特に技術系企業の 経営層のバックグラウンドの多様化というのが非常に重要だと思います。 また、4点目は、無体資産に関する点です。知財というものがどうしてもコストとして 捉えられて、資産プラスという考え方がなかなか日本企業の経営陣に根づいていないとい うことを危惧しております。土曜日の東京科学大学セミナーのときに、特許プール登壇者 から日本企業は権利を持っていてもそれをマネタイズしない、権利行使しないという指摘 がございました。 また、標準必須特許(SEP)を含めて日本企業がどちらかというと被告、訴えられる側の 観点からの発言や見解が多いようです。特に先ほどやはり遠藤委員の発言にありましたよ うに、知財をマネタイズしていくという観点からはどんどん日本の企業が実施者から権利 者へ転換していくマインドチェンジが重要だと思います。特にSEPに関しては、従来実施 者・被告側であった中国やアメリカの企業がどんどんSEPを取得し、権利者側に変換してき ています。 これを見習って、日本の企業もどんどんSEPを取得し、企業の無形資産を増大させていっ てほしいと思っております。 以上です。 ○渡部座長 梅澤委員、お願いいたします。 ○梅澤委員 事務局には、これまでの議論を丁寧に取り込んでいただいてお礼を申し上げ ます。その上で3点、確認も含めて申し上げたいと思います。 1点目、5ページの時価総額における無形資産割合で5割の目標を既に達成しましたと、 これ自体は大変うれしいことではあるのですが、この3割くらいだったものが5割に跳ね 8 上がった最大のドライバーは恐らくAI関連銘柄の時価総額が一気に増えたということでは ないかと想像をします。 それで、この5割を実現したドライバーがどこにあったのかというのは少し見た上で、 この先の目標設定をどうするかということもちょっと議論をすべきタイミングかなと思い ました。5割が実現できてよかったですねで終わってしまっては仕方がないので、仮にAI 銘柄の少数の企業の時価総額が急伸をしたということがドライバーだったとすると、それ 以外の会社群に対してちゃんとこの無形資産割合を引き上げていくときに頑張りましょう というメッセージを追加で多分出すべきタイミングでもあるかなと思うので、事務局でも し可能であればどういうドライバーでこれが実現できたのか、それ以外の企業群の無形資 産割合は上がっているのか、横ばいなのか、この辺りの分析をした上で今年の計画にどう いうメッセージを出すかということの議論をしませんかということが提案の1つ目です。 2点目、14ページのイノベーション拠点税制ですが、これは昨年の春から施行されたと いうことだと理解をしています。それで、今回の施行に当たってはライセンス所得と、そ れから譲渡所得に限定的な適用をしていて、事業所得に関しては議論はあったが含まれな いというスタートでした。それで、この1年間でこれはどういう効果があるのかというこ とがもし分かっていたら教えてください。 私見では、最終的に事業所得も含むところまで拡大をすべきではないかと考えていて、 この1年間の進捗がどう見えているのか。それを含めて今後どうしていくのかという議論 をしませんかというのが2点目の提案です。 3点目、27ページで高度外国人材の議論がありました。ここも前回の議論を取り込んで いただいて、アメリカを含めてという形で書いていただいたのはいいのですけれども、こ の文章全体の書きぶりがどうも抑制的というか、あまり高度外国人材の取組を加速するぞ というメッセージに見えていません。外部環境を考えると、米国のビザ発給方針が転換を して、海外留学生にとって米国の魅力が低下をしていることと、一方で日本に対しての関 心というのは継続的に高まっていること、こんな要因を含めて日本が海外の高度人材を獲 得する最大のチャンスがきているということをここで文章でまず書くべきではないでしょ うか。 その上で、我々としてこの高度人材の取組をどう加速をしていくのかというメッセージ を出さないと、せっかくここで項目として取り上げていただいているのに、何か日本もブ レーキを踏んでいるというふうに読めなくもない。この書きぶりに関して再考いただけな いでしょうかというのが3点目の提案です。 以上です。 ○渡部座長 続きまして、田路委員お願いいたします。 ○田路委員 事務局の方々、取りまとめを本当にありがとうございます。知的財産推進計 画2026のアウトプットは、2025の方向性をさらに強化した内容というふうに見ております。 最終的な取りまとめに当たって、改めて私の視点と、具体的に解決していきたい、さらに 9 は前進させていきたい要点について少し述べさせていただきたいと思います。 まず、私自身はかねてより知財政策において最も重要なのは知財を守るという古い発想 ではなくて、知財を産業インフラ化していくという新しい発想への転換というものを非常 に重視してきています。再三申し上げているとおり、日本企業ではこれまで知財というの は法務部門の管理対象として扱われることが多くて、侵害対応も対立とか訴訟の文脈で語 られてきたのですけれども、今後AI、ソフトウエア、プラットフォーム時代においては、 本当に競争力を生むのは単独の技術というよりは知財を核にした産業全体を接続していく 力なのだと考えています。 今後、知財というのは単なる排他的な権利という方向ではなくて、今、事務局でまとめ られているようにライセンスであったり標準化、それから共同開発、アライアンス形成を 通じて、新しい市場をつくっていくための産業接続インフラとして位置づけてほしいと考 えています。 そして、侵害訴訟に関しても対立の最終手段として登場するのではなくて、いわゆる最 初ですね。市場を一緒につくりませんかというビジネスの交渉の入り口に立って考えると いうところに再定義されるべきものだと考えています。そのためには裁判という方向だけ ではなくて、ADRの活用を含めて建設的な対話を促進する環境整備が極めて重要だと考え ています。 また、先ほど杉村委員もおっしゃっていましたが、日本企業の大きな課題としては知財、 無形資産への投資が費用として認識されていて、研究開発とか人材育成、ブランド形成、 あるいはソフトウエア開発とか運用ノウハウ、または地域のネットワーク形成というのは 将来のキャッシュフローを生み出す上では非常に大事な企業活動なのですけれども、これ が販管費として埋もれてしまっていると思います。企業価値として適切に評価していくと いうことが非常に重要だということです。 今後は、これらを将来の産業インフラを形成するための投資というふうに説明し、投資 家とのコミュニケーションもしっかりここを共有する仕組みが必要かと思っています。そ の上で非常に重要なのは、これも文章中にありますけれども、CEOが自ら知財、無形資産を しっかり語っていく。さらには、CXOと一体になってこういった戦略を語っていくこと、つ まり経営の共通言語化が大事というふうに触れられるところは非常によいかと思っていま す。こういった企業の競争力を左右するポイントにCIPOという役割は非常に重要だという のが今回、私が強く求めてきたことではあります。 あとは、日本というのはやはり物づくり国家というところから知財とか標準化、産業接 続のインフラ国家に転換していくという意味でいうと、知財を閉じていくというよりは産 業全体をつないでいく、プラットフォーム化していくというのは先ほど述べたとおりです。 今回の取りまとめの中で、やはりスタートアップ支援という項目が少し前年からアップデ ートされていないという印象があって、これはもしかしたら我々の提言力が弱かったのか なと思うのですけれども、やはりこういったことを加速するときにスタートアップへの実 10 装というのは非常に重要であり、有効な手段だと考えているので、改めてスタートアップ 支援の各論パートに今、施策の方向というのが2つ提示されていますけれども、これは前 年から全く変わっていないと実は思っているので、ここに今、述べたようなことを具体的 に落としていって、スタートアップを通じてこのようなことを具体化していくというやり 方をぜひ加速していきたいと思っています。 最後に、知財政策の本質というのはさっき申し上げたように、発明保護政策から市場の 創造であったりとか産業構造政策に移ってきていますので、改めて知財を起点に地域であ ったり産業、企業、人材であったり、資本市場を接続して日本全体の持続的な価値向上に つなげてほしいというところが私の今回の強い希望であります。 以上となります。ありがとうございました。 ○渡部座長 加藤委員、お願いいたします。 ○加藤委員 本当に膨大な構造を組み立てていただいてありがとうございます。私からは、 現場サイドからの具体的な事例を含めて意見みたいなものを申し上げたいと思います。 農業とスタートアップを掛け算してやっているのですけれども、今、抹茶が大フィーバ ーしていますが、もうバッタ物であふれているという状況です。毎回、何でこんなに後手 後手になるのだろうと思うぐらい、すごくもったいないなと思って見ています。若い茶業 の方がリーダーシップを取って、今ようやく協会をつくりました。国際協会みたいなもの をつくって、適正な評価の下、認証制度を立てていくとか、そういうことが遅ればせなが らスタートしている状況です。 今おっしゃった方の御意見そのものなのですけれども、やはりエコシステムというか、 本当にチームになって海外を攻めていかないと、1社大企業が頑張るとか、そんな問題で はなくて、抹茶一つ取っても戦法を考えて開いていかないと、非常にもったいないことに なっているというのがいまだに止まらないです。日本酒しかり、その前はイチゴ、シャイ ンマスカットで抹茶がきて、何も学んでいないという感じがしています。 ですから、この戦略の先の戦法でしょうか。どうやってヨーロッパの人たちみたいに上 手に貿易の壁もつくりながら、うまく知財を使って日本国として地域にいらっしゃる専業 の方たちとタッグを組んで日本の価値を上げていくかというのは喫緊の課題というか、何 回も失敗しているので、いよいよもう学習した成果を出して、戦法をきちんとつくって対 応していくということが求められているかなと思っています。 もう一つ、人材のところで皆さんからも御意見があったと思うのですけれども、経営者 の学習不足というのは否めない事実かとは思っています。多様性についても、例えば言語 も含めて、言語や文化理解の点で大分勉強不足かなと感じますので、それをどうやってと いうのはちょっと分からないのですけれども、大分権限も多い方たちなので、現場に下が ってきて、一緒にやろうぜと言ってもなかなか進まないことかと思うのですが、多様性を 許容というか、受容して冒険をサポートするところの機能が本当に日本はないなと感じま すので、スタートアップにしてもインドのほうが全然やりやすいですし、日本だとなかな 11 か難しいのは否めませんので、本当にこの省庁だけではなくて国を挙げてどうしていくか、 この戦略、構想を一つの軸にしながら、考え直す時間はもうなくなったと思っているので、 実行するべくいろいろな手を打っていく必要があるかと思っています。意見です。 以上です。 ○渡部座長 続きまして、黒田委員、お願いできますか。 ○黒田委員 事務局の皆様におかれましては、計画案として実に多岐にわたって大変丁寧 に整理していただきましてありがとうございました。 まず冒頭の知財戦略の今後の方向性についてですけれども、3ページに時価総額に占め る無形資産の割合が2035年までに50%以上まで高めるというKPIについて達成できたとい うお話がありましたが、先ほど梅澤委員からも御発言がありましたように、この数値が実 態を反映しているのであれば大変喜ばしいのですけれども、必ずしも知財向け資材の投資 そのものの増加を直接示しているものではないとするのであれば、実態がより適切に把握 できるようなKPIの在り方について検討していただいたほうがよろしいのではないかと思 います。 次に、「知的財産の「創造」」のうち(1)の「知財・無形資産への投資による価値創 造」について申し上げます。 10ページ以降で、知財・無形資産の価値の可視化を通じた投資促進を図るための重要な 視点や方針が網羅的に整理されておりまして、これまでの議論も踏まえた方向性が明確に 打ち出されているという点を大変心強く感じております。特に知財・無形資産に関する事 項について、統合報告書等における自主的な開示を促すことや、有価証券報告書等の記載 事項とすることといった開示の在り方についての検討は、知財や経営や資本市場の文脈で 位置づけていく。知財をこういった文脈で位置づけていく上で非常に重要であり、ぜひ積 極的に検討を進めていただきたいと思います。 また、11ページにありました販管費に含まれている知財・無形資産への投資といった成 長投資について、単なる短期的なコストとしてのみ捉えるのではなく、その価値や位置づ けを経営や投資家に対してより説明可能にしていくということも今後重要になるのではな いかと考えております。 最後に、「知的財産の「保護」」のうち(3)の「産業財産権制度・運用の強化」につ いて申し上げます。 43ページ以降で、知的財産の侵害抑止の実効性を高め、侵害が生じた際に迅速かつ適切 に紛争を解決できる環境整備が不可欠とされています。この方針でぜひ進めていただきた いと思いますが、実務の観点からは、前回も申し上げましたように、侵害立証に必要な証 拠が被疑侵害者側に偏在しているということが権利行使の実効性を低下させ、結果として 侵害抑止にも影響を及ぼす一因となっているのではないかと考えております。 令和元年に証拠収集制度の一環として査証制度が導入されていましたが、その後、実施 に至った例はないとのことでございます。その原因については様々な可能性があり、今後 12 分析、検討が進められるものと理解しておりますが、44ページに、制度の運用実態や課題 等を把握して、必要に応じて改善策を検討することが求められるとありますように、実務 への影響にも十分配慮しつつ、実効性のある証拠収集制度の構築についてぜひ検討を進め ていただきたいと思います。 なお、冒頭の6ページに「査証制度の著作権及び営業秘密への拡大」という記載があり ましたが、まずは現行制度が十分に機能していない原因を分析した上で範囲の拡大などの 検討をすることが適切ではないかと考えております。 以上になります。 ○渡部座長 松山委員、お願いいたします。 ○松山委員 事務局の皆様におかれては、本当に多岐にわたる論点をきれいに整理してい ただき、本当にありがとうございます。論点も今までの議論の中で出てきたものを組み入 れていただいていると思います。 私のほうからは、3点ほどお話ししたいと思っております。 1点目は知財の保護との関係で、今、黒田委員も話された辺りとかぶるのですが、<知 財紛争解決に向けたインフラ整備>という項目のところで、まずデータ的に金額は認容額 が大きくなってきているというところはちゃんと知財が評価されているということも含ま れているのかなとは思っている一方で、紛争の数、特に特許訴訟の数が減っているという ところについては、訴訟以外のほかの制度で解決しているということであれば問題ないと 思うのですけれども、泣き寝入りをしている人がいるということであれば、やはり制度の 在り方の検討というところにつながるのかなとは思っております。 この点、既にアンケートやヒアリング調査のほうは進めていただいていると思い、去年 の11月の特許制度小委でも一部アンケートの結果などもいただき、大分、方向も見えてき ている中、まだ引き続き実態調査というところだったと思いますので、やはりこの辺は現 状を踏まえてという話にはなると思いますので、引き続き検討をしていただければと思っ ているところです。 あとは、査証制度が実施に至った例が1件もないということが記載されており、原因分 析のためにヒアリング等を行うということで、ここはぜひやっていただきたいと思ってお ります。特許訴訟を実際によくやっている代理人としては、こういった制度があるので、 より一層被告が任意に証拠を出してきているという可能性もあるかなと思い、そういう意 味では一定の機能をしているのかもしれない一方で、やはり工場に現実に踏み込んでいく ということで営業秘密などもいろいろ見えてしまうので、裁判所としてもちょっと慎重に なる部分があるのかなというところと、原告を代理するときに思うのは、結局査証人など が見に行くのであって、代理人なり原告本人なりがじかに見に行けるわけではない中で出 てきた証拠が多分相当に重要な証拠になってしまうということの怖さもあったりして、若 干躊躇するところはあるのですけれども、制度自体に問題というよりは、まだ実例がなく て少し引き腰になっている部分もあるのかもしれないので、この辺はアンケートなりヒア 13 リングなりで何か問題があるのか、何か改善できることがあるのかなどを分析できるとい いなと思っております。 あとは、「海賊版・模倣品対策の強化」の(施策の方向性)の辺りで、査証制度の著作 権及び営業秘密の拡大の可能性、海外に所在する証拠への適用の可能性について必要な検 討を行うという話が書いてありまして、海外に所在する証拠への適用の可能性というのは 結構ハードルが高い、大分高いのかなという印象をちょっと受けはしました。 著作権及び営業秘密への拡大の可能性は、確かに特許法に査証制度を導入することを検 討した際にほかへの準用、特に著作権について検討はされていなかったと思うので、また 別の検討になるのであれば、査証制度導入の際に参考にしている諸外国で似たような制度 がある国では、著作権のほうではうまくいっているというようなデータもあったかのよう には思いますので、検討自体してみるというのはいいのかなとは思っております。特許で の実績がない中で他を検討するのはどうなのかという声もあるところかと思いますが、著 作権等への拡大を検討するということはあり得るのかなとは思いました。これが1点目で す。 2点目が知財の活用のところで、シーズとニーズのマッチングというところでして、生 成AIを使ってうまくやっている例などが書いてありまして、確かに生成AIがうまく使える ところなのかなとも思いましたので、この成功例が具体的に分析されますとイメージがつ きやすいので、そういったものも分析して公表されていくといいのかなと思いました。 気になったのが、ここの書きぶりだと、技術内容が専門的であることからマッチングは うまくいかないことに課題があるということで、何か技術内容が専門的過ぎるところに問 題がフォーカスされているように見え、解決方法としても技術シーズを平易な書きぶりで 提案するようなもので解決しているというお話があり、それは確かに問題の一つの大きな ところかなと思うのですが、このマッチングがうまくいかない原因というか、課題はいろ いろなところにあるとは思っておりまして、そういった分析も今までもされていたと思う ので、マッチングが困難な原因自体はちょっと限定されてそこだけを解決すればいいとい うような見え方にならないような、いろいろな原因がある中で一つの原因はこの方法で解 決しているという書きぶりにしたほうが、今後の多角的な対応の検討にもつながりいいの かなと思いました。 あともう一点が、最初の知財の創造のほうに戻るのですけれども、先ほど御指摘があっ たようにイノベーション拠点税制が2025年4月から施行されているかなと思い、これは本 制度を活用できるように一層周知徹底を図るという記載があり、それは本当にそのとおり かと思いました。 それで、これにつき対象範囲についても記載があり、状況に応じて見直しを検討すると いういつもの書きぶりになっているのですが、もともとは製品、サービスの売却益からな る所得も対象にすべきだと、現在は狭過ぎるのではないかという声はここでも比較的多く あったのかなとは認識しております。ただ、スピード重視で、まずは動き出した、法改正 14 を進めたというところだと思っており、もともとは並行してその範囲を広げることをもっ と積極的に検討するということになっていたと思っていますが、今の書きぶりだと、もち ろん既に動いている部分の検証であったり、いろいろ必要だということは分かるのですけ れども、状況に応じて見直しを検討するというよりは、本制度の対象範囲についても、も う少し広げる方向で検討をもっと並行してしっかりやっていくような書きぶりになったほ うがいいのかなとは思っております。 私からは以上となります。 ○渡部座長 本田委員、お願いいたします。 ○本田委員 様々な意見を集約いただいて、現状把握と課題の整理も丁寧にしていただい て大変感謝申し上げます。 全体を拝見したときに、少し大学の影が薄いなと思った印象もございまして、その視点 からいくつかコメントをさせていただきたいと思っております。 知財の無形資産は企業の稼ぐ力というようなことの実現であったり、知財・無形資産を 中核に据えた国家戦略を推進するという、こうした目標達成のためにはやはり大学等のア カデミアも重要なプレーヤーであることは共通の認識かと存じます。 アカデミアにおける基礎研究の重要性というようなところも遠藤委員のほうからコメン トをいただいたことは本当に感謝申し上げます。実際にアカデミアは、そうした基礎研究 から基盤技術となるような大学の知財・無形資産というものが生まれてくるという現場で あろうかと思います。そうした知財を適切に創出して確保する。それを単に知財として持 っているだけではなくて、スタートアップを含めた産業界へ価値を連鎖されていくという ことも推進していく必要性があると思っています。 こうした前提を踏まえますと、全体的に記載として、企業と大学が完全に分断している ような記載であり、企業はこういう課題、大学はこういう課題というような形で分断して いるような印象を受けた全体のまとめになっていると感じております。先ほど申し上げま したとおり、大学で生み出された基盤技術、それに対する知財を価値の連鎖として企業価 値につないでいくというエコシステム的な視点での表現が何かあるとよいのかなと感じて おります。 ここからはかなり細かなことにはなるのですけれども、今日机上に配付されている案の 中の26ページの博士号取得者をトップレベルに引き上げるというような目標に対して、実 際それに対する施策案は何なのだろうと思って一生懸命探したのですが、残念ながら記載 がないように見受けられます。これは、そもそも知財計画の中で対応するものではなくて ほかの何か政策の中で対応しているため、ここには記載がないということであればいいの ですけれども、そこが対応関係はどうなっているのかなというところで私としては疑問を 感じております。 次に、27ページ以降の<国等が支援する研究開発プロジェクトにおける知財マネジメン ト強化>というようなところに関しましては、過去のこの委員会の中で新規性創出の例外 15 の適用が多いということが取り上げられていたと思います。それを反映したものだと思っ ているのですけれども、実際にそれの施策として公募型の研究費の公募申請に関して、申 請書に記載する知財に知財情報として先行技術調査とか、それを入れましょうというよう なことが書かれてはいるものの、実際に知財を取るだけではなくて、知財を活用するとい う活用視点の人材の重要性というのはこれまでも申し上げておりましたので、ぜひぜひ知 財を取った後、その申請書の中にそれを支援体制についても記載を促して、そういう人材 のサポート体制というものを大学で設置を促していただければと存じます。 最後の点として、本日の65ページ以降の「知的財産の「活用」」で(1)の「産学連携 による社会実装の推進」の中において、ここで知財ガバナンスガイドラインについて記載 いていただいたことは本当に感謝申し上げます。 一方で、ちょっと気になった点としましては、67ページに企業と大学との共同研究によ って共同出願が生まれているものの、やはり未利用といいますか、活用が進んでいないと いうところの課題感というものをこの委員会の中でも共有があったと存じます。これに関 して推進計画案では、実際に原則、共同出願するという形ではなくて、やはりいずれか一 方に帰属させ、大学単独、または企業単独にすることを選択肢の中に含めながら活用を進 めていくことを推進するような記載となっております。実際の現場の、大学研究者の声を 拾うと、大学は下請的に扱われているというような声も耳にすることがあります。そうす ると、大学と企業でよしなに権利帰属を調整してくださいということになりますと、そう いう立場上の強弱関係から、大学が実は不利に扱われているケースが多くあるように感じ ております。 そうした観点からも、やはり共同研究であったり、共同出願であったり、それをこうい う知財推進の中で、下支えや基盤技術を創出に関わる大学研究者のモチベーションが維持 できるような公正な共同研究であったり共同出願ということを配慮をした上で、権利帰属 を調整することを促す記載があるとありがたいと存じます。その点、御検討いただければ と思っております。 私からは以上です。 ○渡部座長 続きましては、福井委員、お願いいたします。 ○福井委員 このたびも大変充実した、そして多岐にわたるおまとめを事務局の皆さん、 本当にありがとうございました。個別の意見も多く取り入れていただきまして感謝してお ります。また、各委員の御意見も賛同するところが多く、伺っておりました。 私は、全般について1つ、個別に4つほど意見を申し上げます。 全般について、コンテンツについて海外市場規模の記載が入りました。それで、著作権 等使用料の収入と支出の内訳について前回も申し上げました。もう繰り返しませんが、こ れは日銀などに基礎データがないという状況はよく理解しております。とはいえ、まさに 基礎的な、重要なデータですので、概算でも把握の努力を続けられるよう期待したいと思 います。 16 次いで、個別です。海賊版で35ページ、 「ICANN等を通じたドメイン事業者への働きかけ」 という言葉が入りました。これは非常に重要な施策になります。その後の個別施策のとこ ろに記載がないようにも見受けましたので、もしそうであれば入れていただければさらに よいかと思いました。 次に93ページ、クールジャパンの箇所ですけれども、ここに体験による親日度及び訪日 意向の向上についてのデータが再び載っております。これは、いずれも「日本イベント」 が向上度においては実質1位なのですね。 しかし、実際のイベント体験率となると、これは最下位グループと言ってよい。「日本 イベント」の実際の体験は10%程度にとどまっている。日本イベントは非常に重要な契機 であるが、実際の体験がまだ十分提供されていないということが読み取れるかと思います。 その後の(施策の方向性)として、様々なコンテンツの体験が挙がっていくわけですけ れども、どうもこのイベントの言葉が少ないように感じます。 また、梅澤委員のほうがお詳しいと思いますけれども、夜が日本はどうもつまらないと いう指摘も多いわけですが、ナイトタイムエコノミーについての言及が今回ないようです。 関連する箇所はあるのですけれども、強調されているとは言い難いかなと感じ、これはも ったいないことだと思います。コンテンツとリアルの体験は本当に両輪なんですね。よっ て、音楽ライブでも舞台でも、あるいは盆踊りやおみこしでも何でも結構です。このライ ブイベントやナイトカルチャーへの言及をぜひ入れていただければと思いました。 個別の3つ目、デジタルアーカイブです。これは知財戦略や、あるいは豊かな文化立国 にとって礎とも言える重要な要素です。120ページに法的基盤を含めた基盤づくりへの言 及があって、私は大変賛成です。129ページ以下の施策にも記載があると、さらによいかと 思いました。 最後に、演奏権、伝達権です。これまでの議論を踏まえて、さらなるバランスよい実効 策を検討されることを期待したいと思います。 私からは以上です。 ○渡部座長 続きまして、田中委員、お願いします。 ○田中委員 まずは、仮タイトルで書かれているように、成長戦略と知財戦略はセットだ と思いますし、重要な取組は年々充実、深化をいただいていて、事務局の御尽力に感謝を 申し上げます。知財に関わるステークホルダーが広がる趣旨の案になっていて、KPI設定な ども検討・設定されていますので、ここから始めます、というメッセージが、計画案公開 後に広がるとよいなと願っています。 3点ほど、全体の方向性と具体のコメントをお話しさせていただきます。まず「今後の 方向性」の5ページのところで、知財・無形資産を中核に据えた企業経営と国家戦略がま とめられているのですが、ここのところが、知財イコール大企業の法務部門が中核で、コ ーポレートガバナンス・コードの改訂もありましたので大企業中心に書かれている印象を 強めに受けます。52ページ以降に中小企業のことが丁寧に書かれているものの、ここの中 17 にも中小企業や非上場企業やスタートアップも知財・無形資産が明確に常に認識して経営 していくことの大切さはさらに高まるところですし、大手企業と中小企業の間でM&Aが実 施されるケースにおいて、その際にはのれんの問題も出てきますので、ここで中小企業や 非上場も入っていることを適切に読み取ってもらえるようになっているとよいと思いまし た。改善、加筆というところまでの提案ではありませんが、御検討いただければと思いま す。 7ページ目で、クールジャパンを担当する立場から、稼ぐ力を牽引するクールジャパン として、コンテンツを軸に注目すべき地方創生拠点が選ばれて、ここからまた関心が集ま ると期待をしているところなのですが、きらりと光る技術や文化、伝統工芸、一次産業を 持っているような地域というのはやはり価値があって、その価値を経済価値に変える装置 が知財でありIP地域経営ですので、ここに強く意識を持ってもらうためにどうすればいい かと常日頃考えています。それはやはり社会全体の機運や地域住民の方々の参加や協力と いうものが重要だと思うところもありますので、選定地域を中心に盛り上げたいと思いま す。加えて、地域発あるいは地域連携のコンテンツに関するヒット商品や身近なトレンド に焦点が当たった際のニュースに触れて、それを知財と結びつけて知ってもらうような分 かりやすいタイムリーな情報発信や情報共有に今後より力を入れられるといいなと思いま す。各自治体は、地域プロモーションやマーケティング、広報というものを頑張っておら れる地域はあるのですけれども、短期的な成果を上げて、担当者の方が替わると終わって しまうというようなケースもあります。最初からゴールは地域の知財経営だというような ところに持っていっておいて、稼ぐ力というものを中長期で果たしていくというところに、 より強化できるとよいなと願っています。 最後に、23ページの知財創造教育のところです。ここは初等教育から高等教育、社会人、 博士課程活用と、全部網羅的に記していただいているところですけれども、知財教育で育 てる人材はこれからますます多様になっていきます。研究者、クリエーターのみならず、 この21行目から23行目くらいに書いていただいている知財のビジネス価値を見極めて収益 化ができるような専門人材の存在は大きくなると思いますので、AIで創造力が拡張されて 初等教育から変わってきますけれども、全ての方々が知財創造教育ということを意識する ことで生産性が高まり、能力が開発され、日本の国力の向上につながるような人材の成長 が果たせるところまで寄与できるという認識がメッセージとして出せるとよいと思ってお ります。 以上、よろしくお願いします。 ○渡部座長 中村委員、お願いいたします。 ○中村委員 本案に賛成です。修正意見はありません。その上で、コンテンツの観点から コメントをいたします。 コンテンツ戦略、クールジャパン戦略、海賊版対策、そしてAI戦略、いずれも手厚い施 策が並んでいて非常に心強いです。これだけの措置をやりこなせるのかというのが不安に 18 なるくらいです。クールジャパンは今、話がありましたようにコンテンツ地方創生拠点な ど、コンテンツを推進役に展開をする方向が明確になりました。そのコンテンツは戦略17 分野に位置づけられていまして、国の政策に占めるプライオリティーが高くなりました。 喜ばしいです。関連する組織も、ほぼ全ての省庁に加えて公取という独立委員会や国会図 書館という立法府の機関も明示されておりまして、オールジャパンの計画になっています。 しかも、本文に登場しますように、アニメ、ゲーム、音楽などのジャンル別からIP、つ まり知財の価値が評価されて、それを最大化すべしという認識が定着しています。ようや く知財としてのコンテンツが国の真ん中に位置づけられました。この会議と、知財本部の 役割も高まっているということを認識しましょう。 その上で、2つ指摘したいです。 まず1点目、この知財計画を普及・啓発することです。ここで文言を詰めてつくっても、 普及しなければ無意味であります。産業界をはじめ、関係方面でこれを伝える努力をすべ きだと思います。昨年は万博という舞台が使われたのですけれども、情報発信とかイベン トなど、機会を捉えて伝えるべきですし、それが我々委員のミッションの一つだと考えま す。 それから2点目、この施策の評価・検証に力を入れるべきだということです。この前に 開かれましたコンテンツ戦略ワーキングでは、知財計画2025の進捗報告というものが行わ れまして、実に有意義でありました。以前、この委員会は検証・評価・企画委員会という 名前だったこともありまして、企画だけではなくて検証と評価が重要な機能だったんです ね。改めて政策チェックという機能も復活、強化させるのがいいのではないでしょうか。 以上です。 ○渡部座長 ○波多野委員 波多野委員、お願いできますでしょうか。 第7期の基本計画の方針にも沿ったAIを含む最新の環境の変化や経済安全 保障にも勘案されたおまとめをいただきましてありがとうございます。 一方で、本田委員が御指摘のように、大学の立場から見ると少し弱いかなというふうに 思いました。 その中で、先ほども御意見がありましたように、大学や国研などの知財の知のアセット も活用したエコシステムというところをもう少し前半の部分で強調いただければと思いま した。 まず私からは3つ、簡単なところなのですけれども、11ページ目は今回、無形資産の経 営戦略という非常に重要な観点からコーポレートガバナンス・コードの改訂に合わせてと いうところは非常に重要なところで、大学にも影響があると思っています。その中で、上 場企業の取締役会、経営層にもこの価値をナラティブに海外の例を示しながらというのは 非常に期待するところでありますが、一方で大学においても大学経営のワーキングという のが今、経産、文科、内閣府で立ち上がっていて、大学経営のガイドラインというものを 今後示される予定になっています。 19 その中で、まずこの知財戦略、標準化戦略を盛り込むべきであると感じています。大学 経営の中で非常に重要な位置づけになると思っていますので、その辺がうまくこの大学知 財ガバナンスガイドラインの中にも少し含まれていますが、その内容が大学経営のガイド ラインにも含まれて、日本全体、アカデミアも一体になってこの知財戦略を進めていく。 知財のミッションを果たしていくということのメッセージはあってもいいかなと思いまし た。 それに関連するのですけれども、やはりアカデミアの知のアセットの活用をもっと強調 したいという観点から、現在12ページの5行目から書かれていますように17分野の知財戦 略も横串に含む策定をしている段階ですが、ここに文科省が入っていない。関連する施策 の中に文科省が入っていないなというのと、やはりここも大学が一緒になってIPのランド スケープとか知財の情報というものの分析を一緒に共有して発信していくというところが 重要だと感じました。 さらに、4ページ目のKPIの中で50%の無形資産というのは、私もこれはどうしてこんな に増えたのかなということを知りたいと思いましたし、もう一つ、2025で非常に注目され ましたWIPOのグローバルイノベーション指数の4位以内を目指すというところがまだ1つ 上がっただけだということで、この全体がその対策に相当するかもしれませんが、もう少 し言及しても、1年ですけれども、もうちょっと強調すべきかと思いました。 その中で、今後AI関連の研究予算が非常に増加しています。投資が増加していますので、 特許件数が飛躍的に増えると思われます。その辺りのAIの特許の戦略というのは、引き続 き考えていく重要なところであると感じています。 最後ですが、先ほどの知財のエコシステムが進んできますと、67ページに<大学研究者 の転職退職時の知財取扱い指針>が出ましたが、それにとどまらず、大学と企業や大学と 国研、あとは海外機関、海外の大学などとのクロスアポイントメントが増えつつあります し、増えていくと思います。自動循環とか人材の流動性の観点からは非常に重要なのです が、知財に対しては新たな定義とか課題が出てくると思いますので、そのようなところも 勘案していかなければいけない点だと感じました。 以上です。 ○渡部座長 村松委員、お願いいたします。 ○村松委員 事務局の皆さん、取りまとめありがとうございます。 まず、知財計画においてコンテンツ産業が日本の成長産業として明確に位置づけられた ことに感謝申し上げます。 司令塔機能の強化、これは私から何度もお伝えしてきましたが、引き続き推進していた だければ幸いです。今回は別で、AIに関して述べさせていただきます。 まず、コンテンツ産業としても生成AIそのものの活用を否定したいわけでは当然ありま せん。ただし、プリンシプル・コードの制定について御明記いただいておりますけれども、 AIの利活用についてはコンテンツ産業の源泉とも言える権利の保護と透明性が不可欠だと 20 考えており、クリエーター側の意見を十分踏まえた内容で実効性のある形で取りまとめて いただきたいと考えております。 1つ、生成AIの悪用に関する直近の音楽業界の強い問題意識をお伝えします。私ども音 楽業界はAI技術がもたらすクリエーティビティーの可能性を決して否定するものではあり ませんが、現在技術の進歩と全く別の次元の生成AIの悪用による構造的なロイヤルティー の搾取という極めてデリケートかつ深刻なビジネス上の脅威が起きています。ストリーミ ング配信においては、再生回数を不正に稼ぐストリーミング詐欺自体が以前から存在しま した。 しかし、かつては偽の楽曲を大量に用意するという人間側の手間がブレーキになってい ましたが、今、生成AIの登場によって人間には不可能な規模のスパム楽曲を瞬時に量産し、 市場へ氾濫させることが技術的に可能となっています。 実際、大手プラットフォームのスポティファイでは、過去1年間で7500万曲以上のスパ ム楽曲の削除を余儀なくされています。これは、1日当たり20万曲という膨大な楽曲が市 場を埋め尽くしているという異常な規模です。 また、海外の配信サービスの報告では、プラットフォーム上のAI生成音楽の再生回数の うち、実に85%がボットなどによる不正再生であったという衝撃的なデータも出ています。 皆さん御存じのとおり、ストリーミングの分配金は全体の再生比率で分け合うプール方 式ですので、AIボットが不正な再生数を稼いだ分だけ、日々、命を削って音楽を生み出し ている本物のクリエーターの利益が物理的に直接的に奪われているというのが現状です。 これは知的財産の適切な循環を損なうものであり、日本の音楽文化の根幹を揺るがしかね ないという強い危機感を抱いています。 そこで、今後は産業間の協働という前向きな解決策として、楽曲が市場に流通する結節 点であるディストリビューターやDSP、そして著作権管理団体とも連携して、市場全体でAI スパムがマネタイズされないエコシステムを構築することが最も実効性のあるブレーキだ と我々は考えています。 国としても実効性のあるプリンシプル・コード策定を含め、日本のクリエーターが安心 して創作を続けられる環境整備を引き続きよろしくお願いいたします。 以上です。 ○渡部座長 それでは、杉村委員、お願いします。 ○杉村委員 事務局におかれましては、様々な意見を取り入れていただいておまとめいた だき、ありがとうございました。 この推進計画2026の案に基本的に賛成でございます。稼ぐ力を高めるために、企業にお ける知財経営の推進をさらにこの推進計画を軸にして進めていっていただきたいと思って おります。そういった意味におきましては、CGCの改訂において現在の案のまま、知財の投 資についても原則に残していただくとともに、このCGCの改訂に沿って知財・無形資産ガバ ナンスガイドラインについても企業経営層にさらに刺さるような内容の改訂をお願いした 21 いと思っております。 また、生成AIや量子計算機をはじめとして、世の中を変えるような新技術が生まれてお ります。大学や国研の知の源泉としての重要性は一層増してきております。大学、国研に おいては研究初期段階からの知財戦略の構築が極めて重要でありますので、関係省庁が連 携してしっかりと国としてサポートしていただきたいと思っております。 また、中小企業スタートアップの知財活用を促進して稼ぐ力を高めるために、日本弁理 士会も参画している知財経営支援ネットワークを通じて関係機関の施策、連携の強化など、 より踏み込んだ取組がこの推進計画に盛り込まれていることは大変うれしく思います。中 小企業等への知財経営支援の強化・充実に向けて、弁理士や日本弁理士会も支援を強化し ていく所存でございますので、明記いただいた取組を積極的に推進していただきたいと思 います。 それに関しまして、先ほど何人かの委員の方からも御指摘がありましたとおり、14ペー ジのイノベーション拠点税制についてですが、スタートアップ中小企業は知的財産権が事 業に直結しております。中小企業スタートアップの稼ぐ力を高めるためにも、対象範囲を 広げ、利便性向上を図る見直しをぜひお願いしたいと思っております。 それから、越境電子商取引の進展に伴う模倣品・海賊版の流入増加への対応についての 意見でございます。 41ページの3つ目のポツについては、「必要に応じて、検討を行う」と記載されており ます。特に海外事業者が郵送等により国内に持ち込む海賊版に対する税関による厳正な水 際取締りのためには、個人輸入の規制の強化に関わる2022年改正商標法、意匠法及び2023 年改正関税法を踏まえ、商標法、意匠法と同様に著作権法を改正することが必要、有用で あると思っておりますので、これらの事項も含めて検討をいただきたいと思っております。 また、農林水産業関連につきましては、57ページに「日本産品の輸出・海外展開の環境 を整備する」と書いてあります。63ページの5つ目のポツに関することですけれども、税 関当局との連携による育成者権侵害種苗の持ち出し防止を有効に推進するためには、税関 の輸出取締りに関わる認定手続に育成者権被疑侵害種苗に対するDNA検査の実施が可能に なるよう、日本検査制度を導入することが必要、有用であると思っておりますので、この 点も含めて検討いただきたいと思っております。 それから、IPランドスケープについてでございます。日本成長戦略会議において示され た戦略17分野におきまして、IPランドスケープの活用について多く記載がされております。 私もIPランドスケープの重要性については重々承知をしているところでございますが、こ のIPランドスケープは特許出願が活発な分野で有効であるという反面、ノウハウが秘匿さ れやすい分野や、安全保障分野のように特許が非公開とされる領域では十分に機能しない おそれがございます。また、基本的には特定時点のスナップショットを捉える分析手法で すので、時間軸による動的な変化が加味されにくいという側面もございます。そのため、 特許以外の情報による補完や対象分野の特性に応じた柔軟な運用が不可欠であると考えて 22 おります。 したがいまして、特許情報だけに頼った分析を行うと戦略策定の方向性を誤るような可 能性もあります、戦略策定のツールの一つとして捉えるべきと考えておりますので、その 記載ぶりについての御検討をよろしくお願いいたします。これから記載ぶりを代えること が難しいということでございましたら、IPランドスケープ等と、「等」という言葉を追加 していただきたいと思っております。 以上でございます。 ○渡部座長 黒橋委員、お願いいたします。 ○黒橋委員 まずは、この取りまとめに本当に感謝申し上げたいと思います。 2点、御指摘させていただきます。 まず、進化の加速が止まらないAIについて利活用というトーンを高めていただいたのは 大変結構なことだと思います。 ただ、今後フィジカルAIを含めて日本として研究開発をしっかり進めていくということ も非常に重要であると思っております。 AIの技術の進歩と、それから知的財産権の保護の両立に向けて、AIの特に透明性に関す るプリンシプル・コードを制定していくこと、また、これと合わせてクリエーター等への 対価の還元の枠組みを設計していくこと。これは私も本当に根本的に重要なことと認識し ておりますし、AI時代の知的財産権検討会においても様々なステークホルダーの方の視点 で丁寧な議論がなされているということも承知しております。 ただ、やはり我が国での研究開発の重要性を考えますと、例えば産学の研究開発段階の モデルについてはまずは一定程度、適用外とするなど、バランスの取れた推進の在り方を 今後とも検討を進めていただければと感じております。 2点目は福井先生も既に御指摘ですけれども、デジタルアーカイブに関する部分でござ います。我が国にとってコンテンツの重要性は言うまでもありませんが、それを支える、 または文化国家の基本であるデジタルアーカイブについて、デジタルアーカイブフェスで すとか、アワードですとか、様々な取組がありますけれども、これをデジタルアーカイブ の理念、目的、関係者の連携などに立ち返ってその法的基盤の在り方を検討していくこと、 また、デジタルアーカイブ推進の基盤づくりを進めていくことの必要性にこの基本計画で 言及いただいたことは大変ありがたいことと思っております。 今後、仏つくって魂入れずということにならないように、しっかりとこれも全体的に国 として進めていくということになればすばらしいと思っております。 以上です。 ○渡部座長 ○林委員 それでは、林委員、お願いいたします。 まず、皆様同様に、本当に事務局の皆様におかれましては多岐にわたり緻密に 整理していただきましてありがとうございます。また、これまでの構想委員会で私が申し 上げた点も漏れなく盛り込んでいただいておりましてありがとうございます。 23 特に12ページで「技術開発への国の投資が概念実証(POC)段階で止まることなく、社会 実装・産業化へと着実に結実するためには、各分野における市場の形成・拡大を見据えた 規制改革や制度整備を含む出口に向けた措置を、知財戦略と連動させながら講じていく」 という点を書き込んでいただき、感謝しております。 実際に、ほかの国ではもう社会インフラになっているようなことも、我が国においては 既得権益と言っては何ですが、既存の制度のステークホルダー側の反対によって規制改革 ができずに、結局は補助金をつけてもPOC止まりで終わってしまい、世界に比べて周回遅れ になるようなことが多々ございます。今、進めている自動運転についてもそういったこと が危惧されるところでありますので、ぜひともこの点は関係各位で進めていただければと 思っております。 また、この間の政府の成長戦略の議論の進展を踏まえて3点申し上げたいと思います。 1点目がⅢの「知財戦略の重点施策」の1.知的財産の「創造」の「(1)知財・無形 資産への投資による価値創造」において、<知財・無形資産の価値化・可視化を通じた投 資促進>というところです。 これまでも何人かの委員の方がお話になった点ですが、私もここを前回の会議でも申し 上げましたし、書き込んでいただいたので感謝するところなのですが、もう少し具体的に 書いたほうが分かりやすいかなとも思っています。 例えば11ページだと思うのですけれども、「一部の米国企業において、無形資産への投 資が将来キャッシュフローにどのように結びつくかをストーリーとして説明する開示が進 んでいる」と記載されています。これは、具体的には例えばアマゾンとかエヌビディアと かマイクロソフトなどを念頭に置いていらっしゃるのかなとも思うのですが、脚注でもよ いので、例えばどういう説明開示をしているのかが少し書き込めると、読んでいる日本の 企業にとっても分かりやすいのではないかと思います。 御案内のように、我が国においても投資家、取り分けアクティビストなどからPPRやPRが 強調されていますが、こうした面ではR&Dやブランド投資は資産ではなくコスト、エクスペ ンスの費用として処理されているので、企業の真の価値を反映できていないということが 言われております。 我が国においても、経営トップがIRや決算説明会などにおいて、M&Aの投資予定額を示す だけではなくて、こうした研究開発費や人材投資などについても成長戦略に向けた戦略投 資として将来の期待される効果とのつながり、ストーリーをナラティブとして丁寧に御説 明いただくということが、無形資産への投資促進に役立つのではないかと思いますので、 現在書かれていることを少し具体的に補足して書いていただくと、読み手にもより伝わる のではないかと思います。 2点目ですが、15ページの「(2)AIと知的財産権」についてです。 18ページの<AI法の制定を踏まえた、生成AIと知的財産を巡る懸念・リスクへの対応> において、ここで記載されているプリンシプル・コードの策定は、ほかの委員の方々もお 24 っしゃっておりましたが、私も生成AI技術の進歩の促進と知的財産権の適切な保護の両立 に向けた権利者や利用者にとって安全・安心な利用環境を確保するためには必要な策定だ と思っております。時機に遅れないよう、ぜひ早期に取りまとめされることを期待してお ります。 また、この文脈で「エージェントAI」についての書き込みを追加していただいてもいい のではないかと思います。自由民主党のデジタル社会推進本部AI・web3小委員会で取りま とめられた「AIホワイトペーパー2.0~AI駆動型国家への構造転換」においても、「求めら れるのはエージェントAI時代の3つのパラダイムシフトである」とか、「自律的に動くエ ージェントAIの時代が始まった」と言われており、「これに対応する次世代の知財ガバナ ンスが必要であること」や、「人間が介在せずAI同士が自律的に判断してデータや知財を 取引、生成する時代(エージェント経済)が到来します」、というようなことが盛り込ま れておりまして、「このとき誰が権利を持ち、誰が責任を負うのかのルールを世界に先駆 けて整理すべき」ことなどが盛り込まれております。 大変難しいテーマではありますが、今や目の前にあるのはエージェントAIであり、それ に伴うパラダイムシフトに対応していかなければいけないというのはまさに喫緊の課題で ございますので、もう少しエージェントAIについての書き込みというのもあってしかるべ きではないかと思います。 プリンシプル・コードの策定にもつながるのですが、具体的には、例えば知財侵害が疑 われるコンテンツが発見された際、現段階ではそれがどのAIモデルで、いつ生成されたか を著作権者は追跡することが全くできません。そういうことが即座にまでいかなくても追 跡できる環境の整備ということは必要であると思います。 また、これは規制改革にもつながるのですが、AIの深化スピードは月単位と言っても過 言ではないと思いますので、我が国のように計画を立てて審議会を1年やって、その次に 案をつくって、法律をつくって、施行してと、数年かけて法律を改正する従来のやり方で はイノベーションを阻害するか、あるいは無法地帯をつくるかの二択になってしまいます ので、サンドボックス(規制の特区)などを活用していただき、新技術、例えば最新の音 声生成AIなどの知財への影響を実験的に検証して、その結果を基に迅速にガイドラインを 書き換えていくといったことも必要ではないかと思います。 3点目、クールジャパン戦略の推進に関しまして、前回も申し上げた二次交通について 書き込みいただきましてありがとうございます。文言としては「二次交通の高度化」とい う非常にソフィスティケートされた書き込みをしていただいているのですが、もし具体的 に少し言葉を足していただくとすれば、「高度化」の後に、(諸外国同様のライドシェア の導入など)を入れていただけないかと思っております。 御案内のように、日本全国で人口減少が進んで、高知県などは人口が大正時代の水準に 逆戻りしているということも直近の新聞報道などでは出ております。こうした人口減少下 の需給バランスから、全国で鉄道、バス、タクシーなどの路線廃止や撤退が増加の一途を 25 たどっております。 海外ではアプリを使ったシェアリングエコノミーとしてライドシェアが既に社会インフ ラになっておりますので、日本もその議論ができない状態が続いて十数年という状況は何 とか打破していきたいというところで、こうした加筆をお願いしている次第です。 以上です。 ○渡部座長 出雲委員、御発言ございますでしょうか。 ○出雲委員 今日は最終回ですので、私は話す分量は少な目で座長にも安心してもらおう かと思います。 スタートアップという単語が、最新のではないのですけれども、第4回のドラフトで送 っていただいたものには51回登場しまして、これでスタートアップを皆さんにもちゃんと 見ていただけているんだなということを感じました。 今日、冒頭は遠藤さんからも科学技術立国と標準化の重要性についても話がございまし たし、先週行われました日本成長戦略本部のスタートアップ総力創出パッケージでも、17 の成長分野と8つの横断分野でイノベーションを実行するのは大学とスタートアップであ ると、こういう観点から今日委員の皆様方からも大学とスタートアップに対する期待と、 これをしっかり啓発、広げていくということの重要性についても一人にとどまらないたく さんの委員の皆様方から力強い御発言をいただきましたので、引き続きこの2026がバイブ ルとして大学とそのスタートアップに広がるよう、皆様のお力添えをお願いして私の最終 回のコメントとさせてください。 以上です。 ○渡部座長 立本委員、御発言いただければと思います。 ○立本委員 私のほうから3点ほど述べさせていただきます。 3点の前に、まず事務局におかれましては取りまとめいただきまして大変ありがとうご ざいます。今までの議論を全部織り込んでいただいた形になっていると思いますので、私 は賛成したいと思います。 それで、3点挙げさせていただきたいと思うのは、既に項目の中にも入っておるところ なのですけれども、1点目の点は無形資産経営の重要性をまず冒頭にこの報告書でも挙げ ていると思うのですが、そこは非常に重要なところで、強調してもし切れないほどのとこ ろがあると思いますので、挙げさせていただきたいと思います。 特に企業の知財の無形資産への投資活動に関しては、昨今、人的資本とともに知的資産 への投資、機関投資家等への開示という形で分かるようになってきていると思うのですけ れども、そこをさらに強めることは重要かと思っています。 企業にとって、特に先進国の企業にとって、無形資産を増やすだけではなくて活用して いかに稼ぐ力につなげるかというところは先進国の企業にとっては死活問題と思いますの で、そこのところをやはりステークホルダーに対して十分にストーリーを持って開示でき る。理解できるようなもので開示するということがやはり求められると思いますので、そ 26 このところは求めるとともに、国の施策としてもそのような活動を支援するということは 非常に重要かと思いますので、1点挙げさせていただきたいと思います。 2点目に、そのような無形資産の重要性の広がりが各産業に広がってきていて、産業政 策としてもやはり支える部分が大分あるというふうに非常に周辺の事例を見ても思います。 というのは、昔ながらの知的財産の話であれば、例えば通信であるとか、例えばエネル ギーであるとか、例えば工業製品であるとか、そういうものに非常に特化していたと思う のですけれども、現状では先ほどどなたかの委員がおっしゃっていただいたように、農水 産物であったりとか、あとはインフラに含まれる鉄道、港湾、もしくは航空システムみた いなものに含まれるような知的資産であったりとか、農水産物であれば物そのものもあり ますし、検査のものもあります。それ以外にも、例えば医療とか、環境は環境規制の中に も含まれると思うのですけれども、測定ですね。そのようなものが非常に広がってきてい て、昔ながらの非常に特定的な省庁でグリップしているような産業政策ではなかなか収ま らないようになっていると思います。そのような中で、必ずしも知的財産、無形資産への 投下がプラスに評価されているのかどうか、よく分からない産業政策になっていると思う ところがあります。 例えば、IPランドスケープ等、知的資産の施策はかなり上流の施策だと思いますので、 IPランドスケープ等の活用が産業政策の中ではあってしかるべきだと思うのですけれども、 なかなかそこが全ての分野でできているとは言えない状況があると思いますので、そこの 点は今後も引き続きこの活動を続けていくことで強まるかなと。 さらに言えば、やはり産業政策には産業界との共通理解が必要だと思いますので、その ようなハイレベルな意見交換というものも引き続き行っていただくことは重要かと思って おります。それが2点目です。 3点目は、イノベーション政策として見たときに、知的財産への市場化創造というもの は何人かの委員も挙げられていましたけれども、非常に重要な目的だと思っています。こ のような活動はイノベーション政策としては上流側の活動だと思うのですけれども、出口 側の活動として例えばこの目次の中にも入れていただいている国際標準化というものがあ ると思います。このような上流の活動と出口側の活動が残念ながら今のところはちょっと ばらばらな部分がまだあると思います。そのような問題意識の下で、イノベーション政策 として統合的に見ていただければうれしいというふうにさらに思っております。 その意味では、これも何人かの委員が言っていただきましたけれども、特に上流のとこ ろでは大学、国研の要素技術開発とか基礎技術開発は非常に重要な話があると思います。 オープンイノベーションの意味でも、このような知的財産のマネジメントであるとか、知 的財産の管理であるのは非常に重要なのですけれども、そこも今までどおりの活動になっ ていて、より重要性が高まっている昨今においては、より一歩踏み込んだ保護が必要かな、 施策が必要かなと思っていますので、そこの点も今後の活動で強化できればと思っていま す。 27 以上です。 ○渡部座長 一通り御意見をいただいたかと思いますが、最後に少しだけ私も申し上げた いと思います。 中村委員が言われましたけれども、検証評価については確かに構想委員会になっても検 証評価は入っているんですと、一回そういう答弁を数年前にいただいたことがあるので、 今回の御質問の中にも、検証評価に基づいて実施されていれば、それで済んでいるような 話もあったかと思います。この辺は今日最終回ということでありますけれども、委員の皆 様からいただいた質問、昨年からどうなっているのかに対してどういうふうに処置される か、事務局で検討していただきたいと思います。 それから、村松委員からAI支援型ストリーミング不正の話もいただきましたが、今オン ライン会議の不正だけでも25億くらいの損害が出ているとか、いろいろなことがある中で、 さらにそれがエージェンティックAI、AIエージェントになっていって、無数の悪いことを するAIがいるという状態になっている。 これは林委員が言われていましたけれども、本当に今までの考え方のガバナンスでは限 界がある気はしています。法令は本当に数年かけての法律策定ではとても間に合わないの で、ではどういうやり方が、技術と、それから契約とかガイドラインとかしかないのです けれども、それをどういうふうに実効的にしていくかというのは大きな意味での非常に重 要なテーマだと思います。 それから、本田委員が言われました、大学があまり出てこないというのは改めて見ると おっしゃるとおりかと思いますが、一方でイノベーション政策の中でサイエンスとビジネ スの近接化というものをすごく取り上げていて、その中でどういうイノベーションを生み 出していくか、スタートアップを生み出していくかというのは新しい仕組みが必要だとい う議論があって、そこは実際に施策を検討しているはずなので、そこは事務局にはしっか り見ていただいたほうがいいのではないかと思いました。 最後に加藤委員の抹茶はおっしゃるとおりで、何とかならないのかなと思いました。 以上でございますが、ほかに何か追加的に御意見がございましたら。 よろしいですか。 それでは、予定の時間が大体まいっておりますので、意見交換はこれで終えたいと思い ます。委員の皆様におかれましては、貴重な御意見をいただきましてありがとうございま した。 本日の議論を踏まえて、「知的財産推進計画2026」案については私と事務局のほうで調 整をさせていただき、必要な修正を行った後に、今後開催される知的財産戦略本部におい て取りまとめを行うという予定とさせていただきたいと思います。 最後に、小野田大臣から御挨拶をいただきたいと存じます。 その前に、プレスの方々が入室されますので、しばらくお待ちください。 (プレス入室) 28 ○渡部座長 では、大臣、よろしくお願いします。 ○小野田大臣 改めまして、お疲れさまです。 委員の先生方におかれましては、御多用の中、第4回「構想委員会」に御出席をいただ きまして本当にありがとうございました。国会対応で今日も決算委員会があったりですと か、なかなか参加ができませんでしたが、約7か月にわたり「知的財産推進計画2026」の 取りまとめに向けて御尽力を賜りまして、心から感謝申し上げます。 第4回「構想委員会」の閉会に当たり、一言御挨拶を申し上げたいと思います。 高市内閣では、強い経済を実現するための成長戦略をこの夏に取りまとめるべく、日本 成長戦略会議を立ち上げ、議論を進めております。 「知的財産推進計画2026」、まさにこれから取りまとめられる成長戦略を真に実効性の あるものとするための礎となるものだと考えます。このため、テーマを「成長戦略を支え る知財戦略の推進」と掲げました。 足元を見ますと、今日もかなり話題になっていましたけれども、オンラインで聞いてい たんです。ごめんなさい。生成AIの急速な社会実装が社会構造から人々の生活、価値観に 至るまで大きな変革をもたらしつつありまして、AIを世界経済をリードする基盤として強 化させる必要が高まる一方で、今日御指摘いただいたような知的財産権の保護の要請も高 まっており、この技術の進歩と知財の適切な保護が両立するエコシステムの実現を図られ ることが求められております。 また、地政学的なリスクの高まりとともに経済安全保障の重要性が高まるなど、世界経 済を取り巻く環境が大きく変化しております。経済安全保障に直結する先端技術も含めた 知的財産の侵害抑止への実効性を高めるとともに、経済安全保障とグローバル市場の参入 拡大の両立に向けて国際的なルール形成や、国際標準化の活動に積極的に参画する必要が ございます。 このような状況において、世界全体の経済成長を牽引するのは知財・無形資産であり、 企業の競争力強化に不可欠なものとして成長戦略を支えるゲームチェンジャーになり得る 重要な武器です。成長戦略の17分野の一つになっているコンテンツ産業は既に我が国の基 幹産業に成長しており、これらの動きをさらに拡大、そして定着させていく必要がござい ます。 また、ほかの分野においても知財活用の重要性は各ワーキンググループでも取り上げら れておりまして、企業の経営戦略の中核のみならず、我が国の成長戦略においても知財、 そして無形資産の戦略的な創造、保護、活用を図る知的財産の戦略が鍵となります。今般 の計画案では、このような変化を見据えた知財戦略の方向性、施策についても打ち出すも のとしています。 本日、渡部座長をはじめ、それぞれの分野での高い御知見を有する委員の皆様におかれ ましては、オンラインの先生方も含め、取りまとめに向けて有益な御意見をいただきまし てありがとうございました。 29 私も座長が突っ込みを入れられた案件に関して結構かぶっているポイントが多かったの で、そういった重要な御意見を踏まえて、今後開催が予定されている知的財産戦略本部に おいて「知的財産推進計画2026」を取りまとめてまいります。そして、関係省庁と連携し ながら施策の具体化に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えておりますので、ど うぞよろしくお願いいたします。 本日は、お忙しい中、本当にありがとうございました。 ○渡部座長 大臣、ありがとうございました。 (プレス退室) ○渡部座長 それでは、委員の皆様には御多忙の中、「知的財産推進計画2026」の取りま とめに向けて御審議いただきまして誠にありがとうございました。 本日の会議はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。 30

資料1

第4回構想委員会 意見書 2026 年5月 25 日 時 田 隆 仁 【総論】 ➢ わが国の持続的な経済成長に向けては、知財の戦略的な活用による企業価値 の向上が重要な柱の一つであり、 「知的財産推進計画 2026」では、日本成長 戦略を支えるべく施策を取りまとめていただいていることを歓迎する。 【1.知的財産の「創造」:AI プリンシプル・コードについて】 ➢ AI プリンシプル・コード策定に向けた検討にあたっては、引き続き、権利 者・事業者双方の関係者の声を丁寧に汲み取りながら、権利者の知財保護に とって真に実効性のある手段となっているか、また、わが国の AI 事業者の 競争力を削ぐものとなっていないかなどを十分に検証のうえ、権利保護と AI 利活用の最適なバランスを追求いただきたい。 【2.知的財産の「保護」:知的財産の侵害抑止へ向けた取組について】 ➢ 知財侵害の抑止は重要であり、取引適正化等に向けた検討に協力してまいり たい。 ➢ 他方、侵害抑止に向けては、産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員 会における議論や、公正取引委員会の知的財産取引適正化ワーキンググルー プ報告書、および侵害抑止に係る従前からの議論の蓄積を十分に踏まえ、そ れらとの整合性を確保しつつ、施策を検討いただきたい。 ➢ 58 頁に「大企業等との取引関係の中で中小企業・小規模事業者が知的財産 侵害を受けるケースも見られることに鑑み、中小企業等の侵害抑止強化に向 けた制度の構築に取り組む」との記載があるが、二点指摘したい。 ➢ 第一に、取引関係における発注者・受注者の間で問題が生じる可能性がある のであって、大企業・中小企業という企業規模のみに着目した書きぶりには 違和感がある。 ➢ 第二に、検討を進めるうえでは、「取引関係において知的財産侵害を受ける ケース」の実態把握を充分に行ったうえで、制度の構築の必要性を判断すべ きである。 ➢ 上記の点を踏まえ、本記載については、「大企業等との」「(制度の)構築」 の文言を削除し、以下の通り修正することを求める。 <修正前> 大企業等との取引関係の中で中小企業・小規模事業者が知的財産侵害を受け るケースも見られることに鑑み、中小企業等の侵害抑止強化に向けた制度の構 築に取り組む <修正後> 取引関係の中で中小企業・小規模事業者が知的財産侵害を受けるケースも見 られることに鑑み、中小企業等の侵害抑止強化に向けた制度の検討に取り組む ➢ なお、根本的な問題解決のためには、中小企業の知財管理体制の確立・強化 のためのキャパシティビルディングを行うことが重要である。 以 上