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知的財産戦略本部 構想委員会(知的財産推進計画2026) 第3回

2026-04-15一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

議事録

知的財産戦略本部構想委員会(第3回) 日時:令和8年4月15日(水)15:00~17:00 場所:WEB開催 出席: 【委員】 伊藤委員、梅澤委員、黒田委員、塩野委員、杉村委員、竹中委員、立本委員、田路委員、 林委員、福井委員、本田委員、松山委員、村松委員、渡部座長 【事務局】 中原事務局長、守山次長、太田参事官、清水参事官、松原企画官、 谷貝企画官、道祖土企画官 1.開会 2.議事 (1)「知的財産推進計画2026」に向けた検討について (2)意見交換 3.閉会 ○太田参事官 本日は、御多忙のところ、御参集いただきまして、誠にありがとうござい ます。 内閣府知的財産戦略推進事務局参事官の太田です。よろしくお願いします。 会議に先立ちまして、本日、オンライン会議の進行について、御説明をさせていただき ます。 会議中はノイズを防ぐため、発言時以外はマイクのミュートをお願いいたします。また、 委員の皆様におかれましては、会議中はカメラを常にオンにしていただくようお願いいた します。御発言を御希望の場合は、挙手ボタンにてお知らせいただくようにお願いいたし ます。 また、本日、多数の傍聴をいただいておりますけれども、傍聴者の皆様はカメラをオフ にしていただきまして、マイクもミュートのままということでお願いをします。また、会 議の様子のスクリーンショットや録音・録画は御遠慮くださいますよう、お願いいたしま す。 それでは、ちょうど15時、定刻となりましたので、ただいまから知的財産戦略本部第3 回構想委員会を開催させていただきます。 改めまして、本日、御多忙のところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございま す。 1 本日、知的財産推進計画2026に向けた検討について、事務局から資料を御説明した後、 委員の意見交換とさせていただきます。委員の皆様方の様々な御意見、また今日もいただ きたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 本日、委員の出欠の状況でございますが、出雲委員、遠藤委員、加藤委員、黒橋委員、 田中委員、時田委員、中村委員、波多野委員が御欠席ということでございます。また、梅 澤委員は15時50分頃に御退席予定と伺っております。 続きまして、本日使用する資料を御確認いただければと思います。 事前に事務局からのメールで御連絡しましたとおり、本日使用します資料は、資料1と して「知的財産推進計画2026骨子案」、資料2、資料3はそれぞれ、遠藤委員、時田委員 からの提出の御意見となっております。 また、資料1につきましては、本日御説明する際にも画面投映はいたしません。委員限 りとさせていただきたいと思いますので、御理解をお願いします。 それでは、ここからの議事進行につきましては、渡部座長にお願いしたいと思います。 よろしくお願いします。 ○渡部座長 それでは、早速ですけれども、これより議事に入らせていただきます。 初めに、知的財産推進計画2026に向けた検討について、資料1に基づき、事務局より説 明をお願いいたします。 ○太田参事官 ありがとうございます。 知財事務局の太田より再び御説明をさせていただきます。 資料1「知的財産推進計画2026骨子案」でございます。 まず、1ページ目でございます。基本的な考え方としてまとめさせていただいておりま す。 知財・無形資産は企業の稼ぐ力、日本の成長力の源泉であり、知財・無形資産を企業の 経営戦略及び国家戦略の中核に据えることが急務であるということでございます。 また、企業の目線で言いまして、企業の競争力強化、また、持続的な成長につなげてい くことができるよう、知財・無形資産を生かした経営の実践、技術の保護と活用、標準戦 略のためのオープン・クローズ戦略の推進が必要であるということでございます。 3つ目、国家戦略においても、成長戦略を描く際には、知財・無形資産戦略が鍵という ことでございます。日本成長戦略における17の戦略分野においても、それぞれにIPインテ リジェンス(IPランドスケープ)を適用し、勝ち筋を特定した上で、集中的に知財投資、 知財・無形資産ガバナンスを進めることが重要であるということでございます。 4つ目に、AIの観点でございます。AIが世界経済を牽引する基盤となる一方で、知的財 産権の保護の要請も同時に高まっております。技術の進歩と知財の適切な保護を両立する エコシステムの実現を図ることが求められているということでございます。 5つ目、コンテンツ分野でございます。世界的にも大きく成長が期待される分野という ことでございます。日本のコンテンツ産業も海外展開を増やしつつあるということでござ 2 いますが、さらに成長を後押しするために、政府は大胆な政策パッケージにより大規模・ 長期・戦略的な支援を行い、民間の投資を引き出すことによって、官民一体となった成長 投資を行うことが必要であるということを整理させていただいております。 次に、2ページ目以降は、各項目についてまとめをさせていただいております。まず、 2ページ目以降は「1.知的財産の『創造』」に関する箇所でございます。 「(1)知財・無形資産への投資による価値創造」という観点でございます。(主な施 策の方向性)を御紹介させていただきます。知財・無形資産の投資・活用の促進に向けて、 CxOの役割、成長投資の考え方、経営人材の育成、指標の活用等を整理した知財・無形資産 ガバナンスガイドラインの改訂を含め、知財経営の考え方のさらなる普及・浸透を図る方 策を検討するということでございます。また、知財の開示の在り方につきまして、統合報 告書や有価証券報告書等における開示の必要性も含め、開示の在り方を検討するというも のでございます。また、先ほども申し上げましたが、成長戦略17分野について、特許等の 知財情報を活用したIPインテリジェンス(IPランドスケープ)を実施し、国等が支援する 研究開発プロジェクトの勝ち筋を明確化していくということでございます。 3ページ目は「(2)AIと知的財産権」でございます。生成AI技術の進歩の促進と知的 財産権の適切な保護の両立に向けまして、生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保 護及び透明性に関するプリンシプル・コードを制定すべく検討を進めていくということで ございます。 また、AI技術の発達を踏まえた産業財産権制度についてでございますが、特許・意匠の 実務に生じる課題等について、特許制度小委員会あるいは意匠制度小委員会において、国 際的な動向を見極めつつ、引き続き検討していくとしております。 次に、4ページ目は「(3)創造人材の強化・ダイバーシティの実現」でございます。 こちらは知財創造教育の普及・実践を推進するために、高校及び高等専門学校の生徒・学 生に向けた知財マインドの育成というものを引き続き支援をしていくということ。また、 昨年の大阪・関西万博のレガシーを活用したような社会課題解決の活動における知財活用 についても普及・啓発を行うということ。また、海外の優秀な若手人材の確保に向けて、 現地大学との連携強化等を行っていくということでございます。 5ページ目以降は「2.知的財産の『保護』」に関する論点でございます。 「(1)技術流出の防止」でございます。研究セキュリティあるいは研究インテグリテ ィの確保に関する取組を引き続き推進していくということ。また、営業秘密保有者の利益 保護及び侵害抑止のための適切な制度的手当ての在り方を検討するとともに、引き続き営 業秘密の漏えい防止に向けて啓発を行っていくということを整理しております。 次に、6ページ目は「(2)海賊版・模倣品対策の強化」でございます。特に海賊版被 害の大きいベトナムやインドネシア等に対する対策を強化していくということ。また、現 地対応拠点の開設、正規版の流通促進等、取り組んでいくということでございます。また、 国際的な協力体制(コンソーシアム)の下、権利者による円滑な権利執行が可能な環境整 3 備を図っていくというようなこと。また、在外公館等を通じた現地言語での周知啓発、模 倣品・海賊版に対する厳正な水際の取締りを引き続き実施していくということを整理して おります。 7ページ目は「(3)産業財産権制度・運用の強化」の観点でございます。損害賠償額 の算定方法に係る2019年の特許法等改正について裁判例分析等による効果検証、あるいは 侵害に関する実態のさらなる分析等を行い、侵害抑止に向けたさらなる対応の必要性、侵 害行為の抑止機能を適切に確保することなどを視野に入れた、適切な制度的手当の在り方 を検討していくとしております。また、公募型研究費につきまして、公募申請に際して先 行技術調査を行うということや、申請者の知的財産に関する状況の申請をしていただく、 あるいは成果報告においても知的財産に関する取組の状況を報告させるといったことにつ いて検討していくとしております。 8ページ目は「(4)地域における知財保護」でございます。中小企業、中堅企業の観 点ですが、こうした中小企業においても知財を経営に結びつける取組を一層促進するため、 知財経営支援ネットワークを通じて、知財の観点からも伴走支援や知財経営支援人材の育 成等の支援を行っていくということでございます。 あと、農林水産業につきましては、産業全体における知財マネジメント能力の強化に向 けて、セミナーの実施と意識向上に取り組んでいくということ。また、我が国の植物新品 種の海外での保護に向けまして、海外での育成者権の取得、税関当局との連携による育成 者権侵害種苗の持ち出し防止、海外での侵害対応などに引き続き取り組んでいくというこ とでございます。 9ページ目以降は「3.知的財産の『活用』」の観点でございます。 「(1)産学連携による社会実装の推進」ということでございます。大学における知財 の活用に向けまして「大学知財ガバナンスガイドライン」に関して、大学との意見交換を 実施し、知財マネジメント等の実施状況、課題や対策等の分析、対応策の検討を行うとい う事。また、知財マネジメントの実践に向けた好事例等の収集、その結果を公表していく といったことにも取り組むということでございます。また「大学等研究者の転退職時の知 財取扱い指針」を引き続き普及をしていくということに取り組んでいくということでござ います。 10ページ目は「(2)スタートアップ支援」でございます。こちらは、スタートアップ に向けた知財アクセラレーション事業(IPAS)、あるいは弁理士・弁護士などの知財専門 家をベンチャーキャピタルに派遣するVC-IPASといった事業を通じまして、スタートアッ プへの支援、あるいはスタートアップに対する知財戦略の構築支援を強化していくという ことでございます。 また、11ページ目は国際標準でございます。国際標準は昨年、19年ぶりに「新たな国際 標準戦略」を策定しまして、そちらの戦略の実現に向けて取り組んできているところでご ざいますが、総論としまして、政府の成長戦略17分野の官民投資ロードマップにおいても、 4 需要・市場創出に向けた国際標準化をビルドインしていくということ。また、部分最適で はなく全体最適を目指し、System of Systemsの標準化をリードして、日本のモデルをパッ ケージとして国際展開できるように取り組んでいくといったことを整理しております。 また、各論としまして、オープン&クローズ戦略等を通じた、研究開発・知財・標準・ 事業戦略の一体的推進、試験・認証機関などの専門サービスの育成強化、また、公共調達 における規格の活用ガイダンス整備や、制度・標準・認証の一体的活用に向けたガイドラ イン整備などに取り組んでいくということでございます。 12ページ目は「(4)データ流通・利活用環境の整備」でございます。こちらは地域で のデータ利活用の推進。また「電子カルテ情報共有サービス」の構築など、医療DXの推進。 また、研究データにおいても、高品質かつ大量のデータを継続的に創出できる環境の構築 等に取り組んでいくということを整理しております。 また、13ページ目以降は「4.新たなクールジャパン戦略のフォローアップ」でござい ます。 13ページ目は「(1)クールジャパン戦略の推進」として、こちらは訪日外国人観光客 に対し、帰国後の継続的な購買活動につなげていただくため、ECの取組、あるいはSNS発信 や外国人の方のファン形成の取組を推進していくということ。また、インバウンドに対す る取組として、地域の歴史的な町並みや建造物などを生かした宿泊施設・飲食施設・体験 施設等の整備、あるいは観光コンテンツの造成・高付加価値化など、地域資源の新たな価 値創出の取組を推進していくということでございます。また、コンテンツ地方創生拠点の 取組、昨年度から取り組んでおりますが、こちらは昨年度3月に23か所、新しく拠点を選 定しております。こちらの拠点の成功要因等を分析し、その結果を周知啓発することで全 国その他の地域の方々にも御参加をいただいて、その他の地域でもこうした活動を促して いくといったことに取り組んでいくとしております。 最後、14ページ目でございます。コンテンツ戦略でございます。2033年までに海外市場 規模を20兆円にするという政府目標の達成に向けて、日本成長戦略本部のほうで議論され ていますコンテンツ分野官民投資ロードマップの着実な推進を図るということでございま す。 また、各論としまして、コンテンツの大規模作品制作支援、あるいは流通プラットフォ ームの拡大支援、海賊版対策、プロモーションやローカライズ等の支援を引き続き行って いくこと。また、次代を担うようなクリエイターの方々の作品や公演の企画、交渉、制作、 発表、海外展開まで一体的な活動について、複数年にわたって弾力的に支援するというこ とも記載をしております。また、最後に、レコード演奏・伝達権の導入についても、今、 まさに検討をいただいているということですが、適切に対応を進めるということで整理を させていただいております。 以上で、資料の御説明を終わらせていただきます。 ○渡部座長 ありがとうございました。 5 それでは、事務局からのただいまの御説明の内容につきまして、御質問も含め、御意見 をいただきたいと思います。 御発言は、1巡目はそれぞれの委員から5分程度を目安として発言していただき、1巡 した後は、時間が残れば、再度御発言をいただくという形で進めたいと思います。 御発言されたい方は、挙手ボタンを押してお知らせいただければと思います。それでは、 よろしくお願いいたします。 梅澤委員、お願いいたします。 ○梅澤委員 1点、割と大きめの重要なポイントがあって、あとはやや各論になります。 まず1点目が、10ページでスタートアップ支援の拡充、スタートアップ支援についての 言及がありますが、今年は比較的大きな玉がなくて、前年度までやってきたことを継続し ましょうという計画になっているかと思います。1点御提案をしたいのが、今までの大学 発ベンチャーの創出という大きな柱に加えて、大企業の不稼働資源、特に知財や人材のカ ーブアウトを積極的に後押しする。それを通じて、新しいスタートアップの創出をもう一 本、柱をつくりにいく。こういうことをトライすべきタイミングではないかというふうに 思っています。今まで、この委員会で議論をあまりできていないので、これから議論をす るということでもちろん結構なのですけれども、大企業の中でノンコア事業というふうに 特定をされた領域の中に相当、様々な知財と、それから、それにひもづいた人材が眠って しまっているというのを流動化する。そこにベンチャーキャピタルのお金であったり、あ るいは外部の経営人材を投入することで、カーブアウトしたものがスタートアップとして 成長していくというパスをつくりにいってはどうでしょうかというのが1点目です。 2点目、各論あるいは書きぶりの話も含めてになりますが、2ページでIPランドスケー プの言及がございます。本来、国としてやるべき話は、この17分野それぞれに関して勝ち 筋を特定し、その勝ち筋を実現するために、どんな企業や、どんな才能や、あるいはどん な研究機関を誘致し、どういう投資活動を活性化していくのかという戦略とアクションプ ランを各分野で立てていく。その中でIPインテリジェンスというものが一つの重要なイン プットになる。こういう位置づけだと思います。したがって、政府全体の計画としては、 それぞれの分野の勝ち筋をつくっていくための戦略をちゃんと立てましょうということが どこかで動いている中でのこのIPインテリジェンスであるという位置づけを明確化される、 あるいはそういう取組がまだ不十分であれば、知財本部がある意味でリードするものがあ ってもいいのかなというふうに感じています。 4ページ、創造人材を世界から集めましょうということだと思います。従来の知財計画 の書きぶりだと比較的、アジアにフォーカスをして書いていったケースが多かったように 思います。ただ昨今、アメリカを含めて、西側社会からも大量に研究人材あるいは企業人 材が流動化をし始めています。したがって、アメリカを含めた世界から一線級の創造人材 を誘致するというふうに明確に書いていただくのがいいかなと思います。 次の4点目が、13ページのコンテンツツーリズム、あるいはコンテンツ地方創生拠点の 6 取組の言及がございます。ここでも本文を書くときにお願いをしたいのは、客数ではなく て消費額を最重要のKPIとしてそれぞれの取組をやっていくというふうにぜひ変えていた だきたいと思います。 そして、最後の点が、14ページの一番下です。レコード演奏・伝達権の導入というとこ ろで、今、ここで議論をされている主眼は、例えば商業施設等でSpotify等の音楽を流して いるときに、それに対しての正当な対価をちゃんと現場の権者等に払うべきである。そう いう話であると理解をしています。ここでぜひ検討に加えていただきたいのが、いわゆる DJ音楽を普及・発展させるためにもう一つやらなければいけないこととして、演奏をした 後で、様々な曲をキュレーションしてライブパフォーマンスをした後で、事後でそれをキ ャプチャーして、権利権者に適正な報酬を支払うという仕組みをつくっていくことをしな いと実はDJ音楽というものは発展をしませんで、かつそれをライブパフォーマンスしたも のを今度は配信をして、そこにマネタイズをするということも権利処理がなされていない のでできません。したがって、せっかく法改正をするのであれば、そこまで見据えて改正 をしていただく。それをすることを通じて、実は今、JPOPが海外展開の世界元年とかと昨 年言われました。それから、1970年代に日本ではやったいわゆるシティーポップと言われ るようなものが海外でいろいろな形で活用されたりしています。そういうものを後押しす る上でも、この辺の権利処理がよりスムーズに行われるような仕組みを今回のこの法改正 をきっかけにぜひ取り組んでいただけたらというふうに思います。 以上です。 ○渡部座長 続きまして、黒田委員、お願いいたします。 ○黒田委員 このたびは骨子案として網羅的に整理いただきましてありがとうございまし た。私のほうからは「1.知的財産の『創造』」と「2.知的財産の『保護』」について 一言ずつ申し上げたいと思います。 まず「1.知的財産の『創造』」についてですけれども、2ページに(主な施策の方向 性)が示されていまして、ここで知財経営の考え方のさらなる普及・浸透を図る方策とし て知財・無形資産ガバナンスガイドラインの改訂が挙げられています。この改訂において 指標の活用等も組み込む方向で御検討いただいている点については重要性の議論も踏まえ た御対応と理解していまして、大変意義深いものと受け止めております。 また、同じく2ページの(主な施策の方向性)の2番目です。こちらで統合報告書や有 価証券報告書等における開示の必要性も含めて、開示の在り方を検討するというふうにさ れています。これは、これまでの投資家との対話を意識して進めておられた知財・無形資 産ガバナンスガイドラインの取組からさらに一歩踏み込んで、有価証券報告書等における 開示の在り方の検討まで明確に位置づけられたものと理解しております。このように、知 財・無形資産を資本市場の文脈で捉えて、開示を通じて経営者の認識を高めていくという 方向性は非常に重要で、ぜひ、この方向で検討を進めていただきたいというふうに考えて います。 7 その際に、知財が企業価値にどのように寄与しているかということの説明を可能にする 観点から、一定の指標とかフレームワークの整備も視野に入れて、開示の在り方の検討を 進めていくというのも望ましい方法かなというふうに考えています。 次に「2.知的財産の『保護』」につきまして、7ページに(課題認識)として、権利 侵害が生じた際に、迅速かつ適切に紛争を解決できる環境の整備が不可欠というふうにさ れていますが、実務の観点からは、そのような環境整備が十分に機能していない一因とし て、侵害の立証に必要な証拠が被侵害者側に偏在している点が挙げられるというふうに考 えています。同じ7ページに(主な施策の方向性)として、知的財産の侵害を抑止するた めの適切な制度的手当ての在り方を検討するとされていますが、権利者による証拠収集と か証拠開示の在り方についても、実務への影響に十分配慮しつつ、侵害抑止の実効性を高 める観点から検討を進めていただくことも有益ではないかと考えています。 以上になります。 ○渡部座長 続きまして、竹中委員、お願いいたします。 ○竹中委員 ほかの構想委員の御意見を広く反映させて、また、非常に分かりやすい形で 骨子を作成していただきありがとうございます。 まず、AIと知的財産権について意見させていただきます。資料の3ページの記載なので すけれども「懸念・リスク」という表題が使ってありまして、生成AIと著作権の関係を中 心に、ネガティブな側面がちょっと出過ぎているのではないかという印象を受けました。 しかし、日本の企業は、現時点で国際競争力を持つ製造業とAIを融合させた、いわゆる フィジカルAIをこれから推進させるためには、もっとポジティブな視点を持つことが重要 ではないかと考えております。例えば最近、マイクロソフトの社長が高市総理に面会して 日米共同開発を行うというようなニュースも流れましたけれども、そのような流れをさら に促進するような、そういうデータの利活用の柔軟性や、強い知的財産権によるイノベー ションの保護というインセンティブ設計のほうにももっと政策的配慮をお願いしたいと思 います。 次に、ダイバーシティと人材について意見させていただきます。この分野は、今までも 私は何度も発言してきましたけれども、アメリカが相対的に後退する中で今回の骨子の中 にしっかりと盛り込まれたということを大変評価しております。既に梅澤委員から御指摘 がありましたように、アメリカをはじめとした広い地域から人材を呼び込む姿勢が明確化 されるべきであるというふうに思います。 アメリカにおける、大学・研究機関への研究補助金削減や政策転換が進む中で、日本は 優秀な研究人材を獲得する好機にあると思います。実際に、私の所属するワシントン大学 でも東京で大規模な同窓会が開催され、大学幹部が日本の大学を訪問したりして、日本の 大学や企業との連携強化に大変前向きな姿勢を見せております。一方で、国際連携が拡大 するほど、技術流出や経済安全保障への配慮が不可欠になってくると思います。特にアメ リカ企業・研究機関との連携を進める中では、日本の大学や企業、研究機関ごとに責任部 8 署を設けて、研究・技術情報を集中管理するという体制整備を行うことが重要だと思いま す。 第3に、産業財産権制度及び運用の強化について意見させていただきます。7ページで、 SEPをめぐる紛争解決環境整備が追加された点を歓迎させていただきます。前回、私をはじ めとして何人かの委員からの意見を反映した結果であると思います。 権利者、実施者、双方にとって公平で、かつ取引コストの低い紛争解決手段は、日本企 業が実施者から権利者へと転換していくための重要なインセンティブになると考えます。 実施者が競合関係にあることを踏まえますと、独占禁止法上の懸念を払拭するためにも、 政府が積極的に枠組みを整備して、中心的な役割を果たしていくということは不可欠だと 思っております。欧州の先行事例も含め、今後の議論を期待しております。 最後に、大学の産学連携とスタートアップ支援について申し上げます。日本のスタート アップはデジタルトランスフォーメーションですとかサービス型が中心で、ディープテッ クは少ないというふうに聞いております。しかし、社会を変える革新的技術の多くは大学 や研究機関の研究成果から生まれます。 大学知財ガバナンスに関わる中で感じたのは、日本では、公的資金で整備された施設や 研究者の貢献が十分に評価されていないのではないかという点であります。共同研究成果 が安易に企業との共有帰属とされることが社会実装の大きな障害になっているように感じ ております。共有は技術移転の障害になることが多いため、公的資金が関与する発明につ いては、たとえ企業の資金が入っていても大学帰属を原則とするというアメリカ型の制度 を徹底すべきだと考えます。これにより大学の交渉力が高まり、結果として社会実装が加 速すると考えております。 以上です。 ○渡部座長 続きまして、田路委員、お願いいたします。 ○田路委員 私のほうからは、10ページ目の知的財産活用のスタートアップ支援のところ でコメントを申し上げたいと思います。 まず、今回の内容については、例年の内容を少し上書きする内容になっておりますので、 改めて主な施策の方向性について少し御提言申し上げたいと思います。 まず、知的財産推進計画2026においては、スタートアップ支援を実効的なものにしたい。 そこにおいては、まず、知財を軸とした経営機能の確立というポイントと、それから、公 共調達における市場創出機能の強化。この2つを一体で推進するような方向性を強く押し 出していただきたいと思っています。 3つ、具体的な施策の方向性について申し上げますと、まず第1に、スタートアップに おける知財活用の高度化に向けて、従前、私が申し上げているCIPOというものの機能を導 入し標準化していくことを改めて強く御提案します。知財は単なる権利取得や管理業務で はなく、事業戦略、アライアンス戦略、または市場設計を担う経営機能であるべきだと考 えています。しかしながら、多くのスタートアップにおいて、人材資金制約から、今、そ 9 の機能は不在であり、結果として技術優位性が市場価値に転換されてはいません。 今回、具体的な施策で提案されているIPAS等の既存施策を拡張して、これまでの知財専 門家プラス事業戦略人材を組み合わせた知財戦略プロデューサーチームという、このチー ム構成を改めて「外部CIPOチーム」として再構成して、標準的に機能提供可能な枠組みを ぜひつくっていただきたいと思っています。スタートアップは、こうすることによって、 創業初期から知財ポートフォリオ及びビジネスモデルを一体で設計できる仕組みが構築で きると考えますので、この辺りをぜひ明確に盛り込んでいただければと思っています。 第2点目が、今回の追加項目なのですけれども、知財活用を推進するために、侵害紛争 に関する手続の簡素化及び低コスト化、先日来、申し上げているようなADRの拡充等を進め るべきだと考えています。特許権の行使が高コスト・長期化の現状では、なかなかスター トアップにとって権利は実質的に行使困難なものになっていますし、結果として交渉力を 持ち得ていないと思っています。 侵害主張を対立の最終手段という立て付けではなくて、この前、申し上げたように、ビ ジネス交渉のスタートポイント、開始プロセスとして位置づける制度設計が重要で、これ によって知財をアライアンスの形成や市場創出の起点としてしっかり機能させるというと ころもしっかり盛り込んでいただきたいと思っています。 最後に、第3点なのですけれども、今回、公共調達における知財保護の徹底と制度運用 の高度化ということが大事というふうにうたわれてきているのですが、まず(主な施策の 方向性)に「2025年6月に策定された『スタートアップ等から公共調達を行う場合の知財 の保護及び調達の工夫に関するガイドライン』の周知・活用」とあるのですが、ここにも ある程度反映はされているかとは思うのですが、改めてスタートアップが保有するコア知 財の帰属をしっかり確保しつつ、公共調達を通じて社会実装を促進するためには、知財帰 属の明確化と情報開示範囲の限定及び裁量権の整理を標準契約としてしっかり明確にして おくべきだというふうに考えています。 また、単なる発注にとどまらず、こういった公共調達が継続的な需要創出につながるよ うなスタートアップとの長期契約、あるいはパフォーマンスによって連動していくような 新しい契約の枠組み。この辺りをつくることで、公共調達をスタートアップにとっての初 期市場創出の装置として機能させたいというふうに考えています。 これら施策を通じて、知財をこれまでの防御的な資産という位置づけから、市場創出の ための戦略資産として転換して、スタートアップの公共分野におけるインフラ提供として の成長をするエコシステムを構築すべきというのが今回の私の提案になります。 以上です。 ○渡部座長 続きまして、松山委員、お願いいたします。 ○松山委員 骨子案のほうも網羅的な論点を幅広く整理していただきましてありがとうご ざいます。私からは2点ほどコメントさせていただければと思います。 1点目が、資料の9ページに当たるところなのですけれども「3.知的財産の『活用』」 10 の一つの中で「多くの大学で大学保有特許の8割程度が未利用」というような記載があり、 この点、特許に至ったものに限らずだと思うのですけれども、大学での研究成果の社会実 装という点がまだまだ十分でないという課題は以前からあるところだなというふうに認識 しております。先ほどの話でも出ていたとおり、知財の帰属の問題であったりとか、いろ いろな障壁があるのだろうとは思っているのですけれども、ふだん、弁護士業務として相 談を受けたりしている中で、また、いろいろな企業や大学の方とお話ししている中で、そ もそも論として、技術シーズと企業のほうのニーズのマッチングもできていないという話 を結構、御相談としてもいただいたりしているところなので、その点も一つ原因なのかな というふうに思っております。 現状、マッチングに役立つ制度として、開放特許情報データベースだったり、幾つか今 までいろいろな試みがされてきたようには思っておりまして、今、それがそもそも、どの ぐらい認知されているのかとか、それがどのぐらい利用されているのかという辺りがあま り見えていないような気がしており、また、今、その他どういった活用できるマッチング 的な制度があるのかであったり、それらがどの程度利用されているのかという辺りも分析 するようなことを目標として立てていただくのもいいのではないかというふうに思ってい る次第です。既存のシステムで十分活用できているのであれば、それをもうちょっと周知 するという話かもしれないですし、何かそういう仕組みを新たにつくったほうがいいので あれば、そういうことを検討するというのもあるのかなというふうに思っております。 大学さんのほうでも多分、いろいろ取り組まれていて、詳しい委員の方が今回いらっし ゃると思うのですけれども、また、大学のTLOさんのほうでもマッチング的なことも含めて いろいろと試みられておられたり、実際に、大学のほうでこの技術シーズの展示会のよう なものを企業の方を呼んで開催をして、企業の方と直接お話しする場など、そういう企画 に私も何度か参加させていただいているのですけれども、すごくいい出会いがあるような、 すごく細かいシーズといいますか、本当にピンポイントのニーズに合うものを見つけたり されることもあるのかなと思っておりまして、実際にどういった取組がされており、そう いった成功例なども整理して公表していくと参考にすることができるのかなと思っており まして、そういった取組も何か一つできるといいかなと思っております。 もう一点が、瑣末な点なのですけれども、「2.知的財産の『保護』」のところで、資 料としては7ページに戻るのですけれども、これもさっき御指摘があったとおり、SEPの調 停であったり、SEPに係る審理要領の普及・浸透を図るというところで入れていただいてあ りがとうございます。国際的な知財紛争を解決するインフラがあるということを一つ、し っかり書いていくというのはいいことなのだろうと思っております。 これは今までも、これは制度とか運用の話なので、知財保護の項目に入ってくるのです けれども、このSEP訴訟であったりは、一つの見方として、適正なロイヤルティーを確定し て回収していくというような面も強いと思っておりまして、要は、現状、知財の活用的な 側面があるものが知財の保護という形でまとめられているのではないかと思っております。 11 知財の活用するインフラが整っているのだというような整理ができるのではないか、す なわち、この知財推進計画の見せ方の問題かもしれないのですけれども、ポジティブなイ メージで伝えていくに当たって、今までのように運用なり制度の話しだから、一律、知財 の「保護」の項目に含める、というよりは、知財の「活用」としてこういうことをやるよ うに検討していきます、こういうものを宣伝していきますという形で、「活用」のほうに 整理してもいい部分が幾つかあるのではないのかというふうに思っております。見せ方と か整理の仕方の問題かもしれないのですけれども、この点をひとつ検討いただけるとあり がたいと思っております。 私からは以上となります。 ○渡部座長 続きまして、杉村委員、お願いいたします。 ○杉村委員 事務局の皆様におかれましては、ご丁寧な説明ありがとうございました。ま た、これまでの多くの意見を取り入れておまとめいただきまして心から感謝いたします。 この推進計画2026の方向性の案につきましては賛成でございます。 私からは、まず、2ページの知財・無形資産への投資について意見を述べさせていただ きます。政府のほうでもスタートアップ等に対する海外のベンチャーキャピタルの日本へ の投資の呼び込みを精力的に行っていただいておりますが、海外の投資家がどこにアクセ スしてよいか分からないというような話も聞いております。知財・無形資産への投資を促 進していくためにも、何らかの橋渡しができるような枠組みを検討していくことが重要で はないかと思っております。 また、研究開発、人材、知的財産への投資について、このたび、統合報告書案の原則に 明記していただきました。まだパブコメの段階ですが、原則への明記をいただいたことで、 技術で勝って、ビジネスでも勝つということが促進されて、イノベーションを通じた経済 成長・国際的地位の確保を達成し「強い経済」を実現する根源になるものであると大いに 期待しているところです。原則に明記いただくことに当たり、様々なお力添えをいただき ました知財戦略推進事務局の皆様はじめ、関係者の方々には心から感謝申し上げます。 次に4ページの人材の箇所です。高校の学生、それから、高等専門学校の学生の知財マ インドの育成と記載をいただいております。この文言に関しまして、知財・標準マインド の育成と記載いただく文言のほうが国際標準化戦略を推進していく現在の日本の方向性と もマッチしていると思っておりますので、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。 それから、9ページの産学連携による社会実装です。大学と企業だけではなく、国研と 企業との連携も重要だと思いますので、ぜひ、ここに国研と企業との連携についても何ら かの明記をお願いしたいと思います。大学の研究力強化に向けては、国際卓越研究大学、 J-PEAKSとの大学群の支援が今後強化されるということを聞いております。世界で戦える 大学となっていくためにも、知財・無形資産、標準を、日本の大学がさらに意識して研究 を推進していただくことが必要だと思っておりますので、更なる周知活動の強化をお願い したいと思います。 12 スタートアップについても同様でございます。今後、政府調達が進むということですが、 スタートアップと政府間との契約における知財・標準の取扱い、それから、デュアルユー ス技術についての経済安全保障との関係についての知財の取扱いについて、今後、さらに 検討していく必要があると思っております。 最後に、11ページです。国際標準化の推進に関しましては、外務省ともぜひ連携をいた だき、ODAを戦略的に活用するスキームを構築して、日本の仲間づくりを広げていくことが 重要であると考えておりますので、ぜひ、ここにODAの戦略的活用という文言を明記いただ きたいと考えております。 以上です。 ○渡部座長 続きまして、塩野委員、お願いいたします。 ○塩野委員 こちらの骨子案のほう、非常によくおまとめいただきありがとうございます。 骨子案における論点に関しましては非常に担保されており、よいものと考えております。 そこで2点コメントさせていただきます。 大きな1点目は、骨子案から実際の施策への接続につきまして、ここでこの方針のとお りに述べるか、そのほかのガイドラインのとおりにやるかというのはあろうかと思います けれども、今後、スタートアップを含めた民間企業をより啓発していくのであれば、そこ は2点ございまして、一つはやはり、この知財における失敗例・成功例の提示というもの をするのがよいのではないかと思います。国内外でディープテック投資を行わせていただ いておりますけれども、やはりそこにおけるシンボリックな成功例、そして逆に、こうい う失敗をしてしまったがゆえにうまくいかなかったという事例といったものは民間企業の 方々も必要な知識・知見と思いますので、そういうものは必要かなと。それを基にしたガ イドライン等かなと考えます。 2点目は、これも実務的に、事業開発のプロセスにおいて、知財パーソン以外ですと、 どの段階で、どういう、どのプロセスにおいて知財戦略に留意すべきかというものがそこ からあまり分からなかったりもしますので、そういう事業開発のプロセスにおける、この 段階ではこういう知財に留意すべき、こういう戦略を考えるべきみたいなことを今後お示 ししていくと、ここで網羅的にされている論点というものがより実地に接続されていくの ではないかというふうに考えております。 次に、大きな2点目でございますけれども、ここで記載されているものはすばらしいと 思います。一方、やはり知財ビジネスの動きの速さというものもあり、その動きの速さと いうものは事業のやり方がすごく変わっていくみたいなものもあるので、そこへの目配せ も必要と考えております。例えばコンテンツの中では、現在の一つの流れとして、やはり 映画とかドラマであれば、脚本を書く人間自体を、脚本をいかに早く、良質な脚本を、ス クリプトを手に入れるかという勝負になっていますので、その人間をプラットフォーマー であったりスタジオが押さえ始めているというような現状があります。 例えばですけれども、よい作品、脚本を書ける人間に2~3年と報酬を保証し、もし何 13 か書けて出てきたら、その脚本を最終的にはファーストルックの権利であったりとか購入 する権利を保持するみたいな形になっていますので、ここでの一つの示唆としましては、 我々が進めていきたいクールジャパン的なコンテンツ産業というものは、より力のあるコ ンテンツのもととなる源流・原液とも言える部分に向かっており、そこの争奪戦になって いると感じておりますので、それを理解してコンテンツ戦略というものが、ビジネス自体 もどんどん変わってまいりますので、必要かなと考えております。 以上、2点でございました。 ○渡部座長 続きまして、村松委員、お願いいたします。 ○村松委員 取りまとめ、ありがとうございます。基本的な考え方に記載のとおり、コン テンツ制作については、今後策定される政策パッケージに基づき、大規模・長期・戦略的 な支援を行い、民間投資を引き出していくことが重要と考えています。 今後の知財計画の検討に当たり、コンテンツ産業サイドとしてぜひ御検討いただきたい 点について申し上げます。まず、AIプリンシプル・コードです。生成AIをめぐる状況は刻 一刻、急速に変化しておりますけれども、既に音楽分野では新たな課題が顕在化していま して、例えばアメリカのソニー・ミュージックが1年間で13万件以上のAIディープフェイ クの削除要請を行いましたけれども、これは氷山の一角にすぎず、IFPIもストリーミング 詐欺を最重要課題と位置づけています。これら個別対応では限界があり、構造的に繰り返 されますので、音楽に限らず、全てのコンテンツにとっての非常に重要な問題で、産業や ストリーミングというビジネスモデル自体が崩壊しかねないという問題だと思っています ので、生成や流通の段階で守られるべき原則を明確にすることが重要であります。 音楽業界においても、AI生成物の識別や出所証明の取組を進めておりますが、その実効 性を高めるためにも共通の原則が不可欠です。併せて、生成AIの活用に当たっては、クリ エイターの権利があって、当然、適切に守られ、安心して創作活動に取り組める環境の確 保が大前提です。今後、プリンシプル・コードが創作と流通の健全性を支える基盤となる 可能性があるというふうに思っておりますので、期待しております。 続きまして、海賊版対策です。これは言わずもがな、キャラクターグッズを含めると、 海賊版被害は10兆円を超えると言われております。引き続き、極めて深刻な問題ですので、 4月にCODAのベトナムセンターが開設されましたが、対応強化が進んでいくことを心強く 受け止めておりますとともに、さらなる強化をぜひお願いしたいのとともに、良貨が悪貨 を駆逐するということで、正規版流通の拡大に向け、プラットフォーム支援やローカライ ズ支援の充実もやはり重要だと考えております。 続きまして、実行機関・司令塔機能です。これは厳しいグローバルの競争において20兆 円という数字が若干独り歩きしておりますけれども、2033年に達成するためにはオーガニ ックな成長では難しいので、効果的な予算配分と迅速かつ一気通貫の支援が不可欠です。 支援の実効性を高めるために、省庁横断での司令塔機能を担う体制の検討が重要だと考え ておりますので、ぜひ、こちらのフォローアップをお願いいたします。 14 最後に、レコード演奏・伝達権については、法制化に向け、具体的に検討が進められて いることを深く感謝申し上げます。 以上です。 ○渡部座長 続きまして、福井委員、お願いいたします。 ○福井委員 私は、全体についてと、それから、委員などで関わっております個別の4点 についてコメントを申し上げます。 まず、今回の骨子案、非常に分かりやすくおまとめいただいてありがとうございます。 全体に関してですが、前回も国際収支の話が出たときに、ただ、著作権等使用料に絞ると、 国際収支は残念ながら年間約2兆円の赤字だというお話をいたしました。これは恐らく米 国などのデジタル覇権の影響で、かなり構造的なものですが、内訳はと伺ったところ、分 からないというお話でした。これ自体は、何年か前から何度か申し上げていることですが、 断片的なヒューマンメディアさんなどの有益な情報はあります。ただ、どのジャンルの知 財が現実に幾ら受け取って、また、幾ら払っているかという点では本当にまとまったデー タがないというのです。例えばこれだけ国際的な日本人気の中で、コンテンツでは実際に 国内に十分な還元がされているのか、あるいは還元という点ではまだいま一つであり、そ うであるとすれば、一体、なぜなのか。こういうことはデータから分かっていくわけです。 比較で言うと、米国の商務省。これは相手国別、それから、各項目別の詳細なサービス の収支を毎年発表しています。ですから、それなどを見ると、オーディオビジュアルの分 野ではアメリカは日本に対して、2024年に約300億円の黒字だったといったようなことは すぐに分かります。決して収支が全てだと言いたいわけではないのですが、知財立国とい うことを真剣に考えるのであれば、これは基本データですよ。それが何年も指摘されなが らまだない。この状態はもうやめるべきではないかと思います。日銀などを適宜巻き込ん で、もう把握しませんか。それを読み込んだ上で実践的な戦略を立てていくということが 必要ではと思います。これが全体でした。 それから、3ページ、AIのプリンシプル・コードについてです。これは、今、検討会議 が取りまとめの最中ですけれども、その結果次第とは思いますが、プリンシプル・コード への賛否はともかく、海外のAI企業やプラットフォームに対して実効性を確保できるかが 課題だという意見がかなり出て、委員の間でもかなり強いところです。村松委員の御指摘 にもつながるところですけれども、こうした実効性が重要だという点は異論の少ないとこ ろだと思いますので、この点はぜひ言及をいただいたらいかがかなと思います。 6ページ目、海賊版についてです。いただいた施策、全て賛成です。その上で、ドメイ ンホッピングです。海賊版サイトが、対策を取っている間に、ドメインをどんどん切り替 えていってしまう。これが深刻で、海外の一部のレジストラーは身元確認を全く行わずに 多数のドメインを次々に発行し、そして、これは海賊版ですという通知を受けても対応し ないということが今でも続いています。これは我々もICANNという総本山への働きかけは 続けていますけれども、海賊版に限らず、どのサイバー犯罪でも温床として大きな問題で 15 しょう。官民一体となった真剣な対応が必要かと思います。同様に、通知を受けてもやは り海賊版の配信を続ける特定のCDN、コンテンツデリバリーネットワーク問題についても、 東京地裁での昨年の判決を機に、解決を注視するという言葉を本文ではぜひ入れていただ ければというふうに思いました。 12ページ目です。データ流通・利活用について、ここでは言及はありませんが、恐らく 最終的にはしっかりと入ってくるだろうと思う、デジタルアーカイブの充実ということで す。これはデジタル戦略の要であり、長期の横断的な計画、官民の推進母体。これらを長 期・持続的に行えるような仕組み作りが重要だろうと思います。 14ページ目です。コンテンツです。先ほどの国内にしっかり還元されるかというところ にも関わりますが、交渉を含むプロデュース力。この現実的な育成ということも考えても いい時期かと思います。 最後に、レコード演奏・伝達権です。報告書が取りまとまりました。梅澤委員はもう退 席されたかもしれませんけれども、御指摘のDJ音楽の権利処理の円滑化。これは確かに、 演奏・伝達権だけの問題ではないのですが、今回をきっかけに、こうした権利処理が柔軟 に、また、円滑に行われていくことにも注視をしていく。こういう記載があっていいので はないかと思いました。 私からは以上です。 ○渡部座長 続きまして、本田委員、お願いいたします。 ○本田委員 私から、まずは骨子案に関して、アカデミアなどの大学を含めた網羅的な意 見を盛り込んでいただきましたことを感謝申し上げます。私からは知的財産の活用を中心 としてコメントさせていただきます。 まず、9ページの社会実装の推進という点に関しまして2点ございます。1点目は、松 山委員からもコメントいただいた視点ではございますけれども、社会実装の推進支援とい う視点に関しましては、これまで知財戦略、知財強化という、そこを担うような人材育成 というものが重点的に進められてきたという認識をしています。その一方で、技術や知的 財産を市場ニーズと結びつけて事業化へと導くマーケティング人材については依然として 不足しているのが実情かと思います。マーケティングの重要性は「大学知財ガバナンスガ イドライン」にも明記されておりますし、今後はその考え方を具体的な施策に落とし込ん でいくことが求められると考えております。産学連携による社会実装の推進において、や はりマーケティング人材の育成・活用を本施策の柱の一つとしてぜひ補充いただければと 考えております。 社会実装の推進に関して2点目なのですけれども、竹中委員からも口火を切っていただ きましたので、私からも一つコメントさせていただきたいと思います。その点に関しまし ては、企業との共同出願を精査して、やはり大学単独での権利取得を目指すべきという、 この点に関してです。この点については、認識を深めるためには、まず実情を、大学単独 で権利化された特許と、企業との共同出願による特許について、それぞれの利用実態、特 16 に実施・活用の状況を比較・精査することが重要だと考えております。その際、こういう 調査においては大学側の調査ということが中心に行われているかとは思うのですけれども、 きちんと企業側、産業界に対してもアンケートを通じて、大学との共同出願の利用率・評 価について調査を行っていただいて、その結果を踏まえて、大学の権利化方針・共同出願 の在り方に関する必要な施策につなげていくことが重要ではないかと考えております。 続きまして、10ページ目のスタートアップ支援についてです。スタートアップ支援に関 しましても知財戦略という視点が中心に記載されているのですけれども、もう一点として、 やはりガバナンスの視点も盛り込んでいただけるのがよいのではないかと考えております。 今やガバナンスは成長するためのインフラと捉えられておりますので、人と資金が急速に 集まるスタートアップにおいて意思決定の透明性や責任の所在を明確にすることは成長を 支える基盤そのものだと考えております。スタートアップ支援として知財と、やはり両輪 としてのガバナンスについても早期に設計しておくことが重要だと思いますので、この点 から支援メニューとして、知財だけではなくて、ガバナンスの体制構築といったところも サポート体制を補充していただくことがよいのではないかと考えております。 私からは以上です。 ○渡部座長 続きまして、伊藤委員、お願いいたします。 ○伊藤委員 中小企業のことをしっかりと明記していただき、感謝しております。 製造業の立場での意見です。製造現場は知財の宝庫です。中小企業の現状は賃金を上げ なければならない、資材が高騰している、どうやって労働生産性を上げていくか、など創 意工夫で向き合っています。まさに知財を活用して日々の課題と向き合っている状態です。 課題解決のための知恵を知財だと気づかず、守るばかりで、攻める為の武器として活用で きていないのが現実だと思います。こういった知財の活用方法を企業の規模や業種関係な く、伝わるようにしていただけるとありがたいです。 また知財の大切さを未来を引っ張っていく子供への教育、知財の重要さを理解してもら えればと思います。 未来に活躍する人材の為の教育、大学や研究機関などにも投資をして、国としても縦割 りな動きではなく、目的に向かった迅速な動きをして頂ければと思います。外国の人の活 用もいいですが、経済安全保障もあるのでできれば日本人の金の卵たちを伸ばしていけれ ば、希望ある世の中にするためにも、骨子案をもとに良いサイクルになっていくのではな いでしょうか。そんな形にもっていっていただければと思っております。 以上です。 ○渡部座長 ○林委員 続きまして、林委員、お願いいたします。 骨子案の取りまとめ、ありがとうございました。まず、福井先生からお話のあ った海賊版対策や本人確認の必要性、また、クラウドフレアの東京地裁判決などの記載の 追加について、私も全く同感でお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。 それ以外の点、特に今後の計画の具体的な詳細な書き込みに関して幾つかコメントした 17 いと思います。まず、2ページ目の「1.知的財産の『創造』」の(1)のところに書か れております(課題認識)、特に販管費と処理されてしまって、企業の成長投資の実態や 中長期的な価値創造への貢献が投資家に十分に伝わっていないというところは本当にその とおりだなと思っております。これについて、御案内のように、今、パブコメ中のコーポ レートガバナンス・コードの改訂案でも、先ほど杉村先生からもお話があったように、原 則の4-1のところで特に知財についても解釈指針で書き込まれたり、知的財産と無形資 産への投資については競争力や企業価値向上の源泉であることを踏まえ、その創出・取得・ 強化・保護・収益化に戦略的に取り組むべきであるとされているということで、本当にこ の記載の復活に向けて皆様の御尽力が実って感謝しております。 この点について(主な施策の方向性)に「統合報告書や有価証券報告書等における開示 の必要性も含め、開示の在り方を検討する」と書かれております。これについては、今後、 より具体化がされていくと思うのですけれども、やはり中期経営計画など、企業の経営計 画において、自社の既存の工場設備の省人化とか、DXに向けた業務改善とか、研究開発、 知的財産等の無形資産などへの投資。これを、市場の機会を捉えた事業領域拡大のための 戦略投資として明確に位置づけて、具体的な出口に向けた戦略計画として取り組むことが 必要ではないかと思います。 それから、この2ページの最後のポツに「成長戦略17分野について、特許等の知財情報 を活用したIPインテリジェンス(IPランドスケープ)を実施し、国等が支援する研究開発 プロジェクトの勝ち筋を明確化する」とあります。確かにIPランドスケープは、ある程度 の企業であればかなり使われてはいると思うのですけれども、分析するだけでなく、出口 戦略につなげることが大事だと思います。特に成長戦略は、出口である市場の規制改革も 含めて措置を講じていかないと、成長戦略17分野への国の膨大な投資も結局、PoC止まりで 止まってしまう、終わってしまう危険性が高いのではないかということを懸念しておりま すので、ぜひ出口に向けた活用の仕方ということを盛り込んでいただけないかなと思いま す。 次に、3ページですが「1.知的財産の『創造』」の「(2)AIと知的財産権」の(主 な施策の方向性)のところに「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明 性に関するプリンシプル・コード(仮称)を制定するとともに、クリエイター等への対価 還元に向けた環境構築を促進する」と記載されており、この点に賛同いたします。皆様御 案内のように、AI基本計画の3つの原則の一つとして「イノベーション促進とリスク対応 の両立」が掲げられていますし、AI基本計画の中でも「AIセーフティ・インスティテュー ト」の抜本的強化も掲げられているところです。構想委員会のこれまでの会議でも発言し ましたが、一般によく使われている生成AIの規約を読み比べてみますと、どれも結局、生 成AI提供者側の情報はブラックボックスのまま、広範な免責や法的責任の制限が規定され ておりまして、AIユーザーが使用結果については自己責任で使うような規約になっていま す。このような現状に照らしても、やはりプリンシプル・コードのような仕組みというも 18 のはイノベーション促進とリスク対応の両立を図っていく上には必要であると思っており ます。 次に、8ページに「2.知的財産の『保護』」の「(4)地域における知財保護」で、 中小企業、中堅企業についての(主な施策の方向性)のところで、「知財経営支援ネット ワークを通じて支援」という形で記載されております。もちろん、知財経営支援ネットワ ークを通じた支援も重要なのですけれども、必要となる法律分野は知財法のみならず、独 禁法、労働法、会社法、金商法、民法など、多岐にわたります。現在パブコメ中の知財取 引適正化ガイドラインにおいても、相談先としては弁護士知財ネットなどの弁護士団体も 掲げられておりますので、ぜひ知財推進計画を書き込むときにはその点も入れていただけ ればと思います。 次に、13ページの4.の「(1)クールジャパン戦略の推進」の(主な施策の方向性) の3つ目のポツで「地域資源の新たな価値創出の取組を推進」とありまして、また、4つ 目に「コンテンツ地方創生拠点の取組」と書かれています。いずれも大事な施策だと思っ ておりますが、これらを実現するには最寄りの鉄道駅や空港からの二次交通の整備が必須 であることを記載していただければと思います。現実には我が国においては少子高齢化で 交通の需給がマッチせず、全国で鉄道・バス路線の廃線やタクシー会社の倒産・閉鎖が進 んでいます。既に10年以上、ASEANや欧米各国で普及している、タクシー会社に限定されな い真のライドシェアの導入は日本においても早急に進めるべきであると思いますので、ぜ ひ書き込んでいただけないかと思います。 14ページで「(2)コンテンツ戦略の推進」(主な施策の方向性)のところに「日本発 コンテンツの海外市場の拡大を図る」とあります。これも20兆円目標にとって重要なポイ ントであると思いますが、日本発コンテンツの海外市場の拡大を図る上では、残念ながら、 日本の制作者は圧倒的に契約交渉負けしていることを感じております。福井先生も前から 御指摘になっているところですが、私も痛感しております。この点、日本には契約文化が 育っていないということももちろんあると思うのですが、早い段階から支援策として契約 面でのサポートをしないと、日本の才能が圧倒的に優越的地位にある海外プラットフォー マーからの一方的な取引拒絶などによって潰されてしまって、海外市場の拡大を図れない のではないかと危惧しております。 以上です。 ○渡部座長 ほかに、今、手を挙げていらっしゃる方はおられますか。 発言されていない委員で、今、立本委員は聞いていらっしゃいますでしょうか。御発言 いただければと思います。 ○立本委員 私のほうからは、特に私に関係しているところとしては知財のところと、あ と、国際標準のところは非常に関係していると思います。特に国際標準のところは、今回、 スライドの11ページですか。包括的に書いていただいて、しかも19年ぶりの新しい国際標 準化戦略についても記載していただきまして、非常に網羅的かつ昨今の流れをまとめてい 19 ただいてよかったかなというふうに思っています。 この国際標準の分野ですけれども、昨今の地政学的変化に対応して、そういう意味で動 きが結構激しくなってきていると思うのですよ。従来、いわゆる技術分野、テクノロジー の分野がそういう国際標準の影響を通信とか半導体で受けていたわけですけれども、それ 以外にも、例えば港湾とか、あと、インフラ的なところも国際標準の影響を受けている。 言い換えれば、昔ながらのいわゆる国際標準が重要な分野、省庁の分野だけではなくて、 ほかのところも非常に重要になっている。そういうことをこの中で述べていると思います し、そこの推進がやはり必要かなと思いますので、それは私自身も非常に重要だと思って いますので、その点は再び、この中で書いていただいてよかったかなと思っています。 そうすると、この話の結局は延長にもなるのですけれども、人材が足りないとか、あと、 フォーメーションが足りない、エコシステムが足りない。そういう話が非常に出てくるわ けなのですけれども、その意味では特に2つありますね。エコシステムの件に関しては、 各分野のそういう海外の動きに追従できるような動きを、今、フォローアップ等でやって いますけれども、さらにエコシステムとしての、分野ごとにエコシステムを構築できてい るということ自体を今後つくっていかないといけないのだろうというようなことを思って います。これがセミマクロ的ぐらいな感じです。 あと、もう一つ、マイクロの話で、人材が圧倒的に足りない、とてもカバーできないと いうのがこの分野だと思うのですけれども、ここに関して、今、標準化人材の教育を分野 ごとにやっていて、それはそれなりの成果が上がっている一方で、そのスピードでは足り ないというふうなこともかなり現場では見えてきていると思われるのですよ。その意味で、 AI標準化のドキュメント自身はオープンなドキュメントで、例えばAIを使って標準化のド キュメントを読み下すとか、標準化のドキュメントのドラフトを作成する。さらにメタな レベルから人間が見るというような協業がまた恐らく必須になってきていて、その点は多 分、明示的にこういうところに、今ではないですけれども、後ほど将来的には書いていく。 そうすることによって、人材教育だけではなくて、AIと協業した形で人材不足を埋める。 あと、諸外国の急激な対応に対応していく。そういうような体制づくりみたいなものが重 要なのだというふうに思っています。 以上です。 ○渡部座長 これで一通り、委員の皆様から御意見をいただいたと思いますが、時間がま だありますので、2巡目、御意見がございましたらぜひいただきたいと思いますが、いか がでしょうか。 では、先に私のほうからコメントさせていただきますが、御発言の中で幾つか、最初に 梅澤委員が、大学発ベンチャーだけではなくて、大企業発ベンチャー、カーブアウトのこ とを言及されておられます。これはアメリカなどの統計を見ても、大学発と、それから、 企業発のスピンオフのインパクトは、むしろ、企業発のほうが大きいというようなデータ があります。両者がエコシステムの中で混ざっていまして、事例を見ていますと、例えば 20 ウォータールーというところですと、ウォータールー大学と、それから、リサーチ・イン・ モーション、現在のブラックベリーの両方からスピンオフが出てきて連携しています。東 大の子会社の投資事業会社の2号ファンドは、実はカーブアウトだったのですけれども、 カーブアウトは単純なカーブアウトではなくて、産学連携のカーブアウトをやる。それは、 実は予想に反して非常にパフォーマンスがよかったということがあります。もっとこうい う流れをつくってもいいのではないかというふうに個人的にも思っているところです。 あと、大学の関係でマッチングの話がございました。それから、マーケティングの重要 性というようなことがございましたが、これはもちろん、非常に重要なトピックでありま す。そしてまた、現在の政府のイノベーション政策の中でよく出てきますのが、研究とビ ジネスの近接化というキーワードが出てまいります。いわゆる研究成果が、IPで保護され る前に投資対象になるという例もある。研究とビジネス化が同時に起きるというものが、 AI分野もそうですし、それから、バイオでも同じようなことが起きています。投資家のほ うもカンパニークリエイションと言って、研究成果のある、かなり上流のところから会社 をつくってしまうみたいなことがあって、こういうものにどういうふうにIPの面で対応し ていくのかというところは論点になろうと思います。新たなマッチングの方法というよう なことがあり得るのではないかというふうに思います。 それから、外国の研究人材、高度人材、起業家あるいは研究人材のインバウンド誘致の 話。これも昨年、政府の方針も出ましたので、私も少し関わってやっておりますが、大学 の場合は、例えば研究者をインバウンドで採用しようとする、そのデューデリジェンスを 大学法人として責任を持ってやる必要があるのですけれども、一方でスタートアップのCxO みたいな話ですと、これは誰がやるのかという論点があります。インバウンドで誘致をし たときに、いわゆるリサーチセキュリティの観点でデューデリジェンスをする必要がある のですけれども、そこをだれがやるのかの仕組みは検討しないといけない。法人と、それ から、大学発の場合は研究成果がスタートアップになっていくグレーゾーンみたいなもの がありまして、そこで責任の所在がはっきりしないときがあります。そういうような問題 があるというふうに思っております。 それから、これは何人か、コンテンツクリエイターの方のIP創造の重要性、それから、 そういうビジネス、ストリーミングのビジネスが、場合によってはAIで崩壊するのではな いかという御発言がありました。これらの危惧はAIとの関係で非常に重要なトピックスで あることは間違いないと思いますし、もちろん、AIというものはAIの出力だけでぐるぐる 回ったら崩壊してしまいますので、貴重なクリエイションをどうやって守りつつ、それか ら、イノベーションをどう両立するかという観点で非常にそこは慎重に扱う必要があると 思っています。 林先生がプラットフォーマーの規約・免責状況を調べていただいたというふうに伺いま したけれども、これは確かにデジタルプラットフォームも10年前はかなり一方的なプライ バシーポリシーだったのが、だんだんプライバシーの考え方の流れに沿って透明性も高く 21 なったしというようなことがあったと思います。10年ぐらいかかっていると思うのですけ れども、今回、AIの進歩というものは非常に早いので、それをかなり短期的に成熟しなけ ればならないということで、この指摘は重要ではないかというふうに思いました。 そんなところですが、時間をつないだつもりなのですけれども、何か追加の御発言のあ る方はおられますでしょうか。 ○福井委員 では、せっかく林先生からお名前も挙げていただきましたので、この国際契 約交渉の重要性はやはり今回の推進計画でも十分強調されるべきではないかと思います。 従来、タフな契約というと、代表格としてハリウッドメジャーの契約が挙げられました。 相当な条文量であり、徹底的に先方有利といいますか、非常にタフに構築されております ので、それを個人レベル、あるいは従来あまり慣れていない日本のコンテンツ企業が単独 で交渉して覆していくということは、パワーバランスを抜きに、交渉能力という点だけで もかなり難しいところがあったのです。今、これがほかのプレイヤーにも広がっています。 配信を含めて、今、お話のあったグローバルプラットフォーム全体にも、ある部分では広 がっています。 そして、ちょうど本日の午前中、チームメンバーと検討していた契約は、こちら側は日 本を代表するクリエイターで、相手はK-POPでは世界最大級の企業だと申し上げておきま すが、提示された契約はほぼ完全に米国スタイルで、非常に徹底して先方寄りに構築され ておりました。韓国も既にそうです。交渉力の育成ということは、これまで報告書に書か れて終わりという感が率直に言うとあったのですが、本当にサポートということを考えて いかないといけないのではないか。そのように思います。神はこれら交渉の細部に宿って いる、と私は思います。 以上です。 ○渡部座長 ほかはいかがでしょうか。御発言ありませんでしょうか。 もし御発言なければ、ここの段階で事務局からコメントがございましたらお願いできま すでしょうか。 ○中原事務局長 貴重な御意見をいろいろといただきまして本当にありがとうございまし た。一つ一つ、本当に私どもにとっては、今後、この知財計画を実施して、その各論をつ くっていく中で肝に銘じていかなければいけないものばかりだったというふうに思います。 例えば人材育成とか、海外への権利処理の構築の在り方ですとか、今、お話のあった契 約交渉、契約人材というものを育てていくというようなことですとか、いろいろな著作権 侵害訴訟あるいは特許権侵害訴訟の中における証拠確保の在り方といったようなものにつ いては、私たち行政府におきましてもそれなりに制度改正をしながら取り組んできたとこ ろではあるのですけれども、かなり、どれだけ実効的かというものが制度構築の細部に神 が宿っているようなところがありまして、神のところを動かすとなると、これもまた、神 ですから、結構、社会的にも大きな議論になるというようなところを超えていかなければ いけないというようなことが特許・知財の権利行使の在り方とかといったようなことにも 22 あります。 それから、今あったAIの話につきましてもいろいろと、基本的にはこれは村松委員の御 指摘のとおりと存じますけれども、これは社会に根づかせていくということは必要なこと であることは間違いないわけですけれども、それが根づくという意味は、適切に権利者が 権利行使をできるインフラを提供できること、そして、場合によっては生成AIを利用した 人が適切にディフェンスできること。この2つが中心として実現しないことには、その基 盤は成り立たないだろうと思っておりまして、そして、いろいろな技術進歩の中で、私た ち も い ろ い ろ 、 さ ら に オ ー プ ン ク エ ス チ ョ ン で 取 り 組 ん で い か な け れ ば い け な い 問 題も 多々あるわけですけれども、一つ一つを中長期の目線も含めて、短期にできること、中長 期にできること。そんなことも含めながら取り組んでまいりたいというふうに思っており ます。 それから、IPLとかといったようなもので、国の知財戦略として構築していくこと。そし て、林委員の御指摘にあったように、出口につなげていくような、出口戦略とつなげてい くこと。そして、規制改革に加えて、標準戦略と一体として進めていることというような ことも、今回、私ども取り組んでいるところでございまして、こうした中で知財というも のを他の政策分野と連携をさせながら、それを大きく出していくということがまた知財戦 略というものを政策の推進に添えるということではないかというふうにも思っております。 そして、最初のところに書いてあるわけですけれども、こうしたような考え方から、知 財の考え方というものも、国、私どももそうですし、あるいは経営者のど真ん中の問題と して取り組んでいく。その際にはいろいろ、先ほど申し上げましたように、細部に宿る神 を克服する必要があって、それが時として大きな社会的な議論を呼ぶこともあるかもしれ ませんけれども、またしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、委員各位のいろ いろな場でのサポート、それから、これからの知恵の注入、私どもへの御指導を賜りたい というふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。 ○渡部座長 事務局からのただいまの御説明を含めて、再度御発言いただける方がおられ たらぜひお願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○林委員 たしか前の知財推進計画でKPIを定めたと思うのですけれども、すぐ、それに応 えねばということではないともちろん思うのですけれども、今回全く言及しないのも何と なく、せっかく決めたものはどうなったのだというのもあるので、KPIについても何らか 2026で手当てされますか。 ○太田参事官 今、骨子の中には、御指摘のように、KPIの記載がないのはそのとおりなの ですけれども、本体のほうでは定められた各KPIにつきまして、中長期のKPIが定められて いるところがほとんどですので、なかなか1か年で何かあって大きな変化というものも難 しい部分も多いですけれども、現時点でデータ取りができるところはデータを取りまして 進捗と、あとは今後、さらにKPIをこれから定めるといった箇所もございましたので、そち らについても進捗といいますか、何かしら2026での打ち出しということをさせていただく 23 べく、検討しているところでございますので、第4回に本体の御議論をいただきますので、 そこまでには皆様にお示しできるように準備をさせていただいております。 今回の骨子では準備が間に合わず、恐縮でございます。 ○林委員 いえ、骨子なので入っていないのは当然かと思うのですが、PDCAを回していく という中で、これまでなかった、すごく意欲的にKPIを前回定めていただいたので、アジャ イルに見直していくということも含めて、生成AIなどはどんどん状況が昨年とも変わって おりますし、そういった意味で、見直しも含めて、何らか2026の中で触れていただければ いいのではないかという意見でございます。 あと、もう一点、先ほどのプリンシプル・コードなどが外国の事業者に使われないと問 題だ、意味がないのではないかという懸念がかねてよりAI関連のところでは示されている ところというのは私も承知しております。ただ、先ほど規約の点でも申しましたけれども、 本当に個人または企業を通じて、社会全体の構造的な変革をもたらしているのが現在の生 成AIの普及状況だと思います。そうである以上、幾ら外国の企業であっても、我が国にお いて我が国社会で事業をする以上は、この事業環境を見ている我が国の国家としては、そ れが知財法でないにしても、通信行政にしても、競争法領域にしても、そういった形で横 断的に我が国の国民に対してサービスを提供する以上は、セキュリティの問題などもあり ますし、最低限、こういったガバナンスについては協力していただくことが必要であるの で、外国企業にも協力を仰いでいくということはあってしかるべきではないかと思ってお り、頑張って応援団をつくっていければと思っております。 よろしくお願いします。 ○渡部座長 ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。追加的な御発言があれば、ぜひお願 いしたいと思います。 よろしいですか。 先ほど、私が言い忘れたことで、杉村委員がデュアルユースの話を触れましたけれども、 これは現在のイノベーション政策の中で、研究をデュアルユース、ディフェンスマーケッ トへの接続についてはかなりいろいろな検討がされている中で、知財のところはまだ全く、 そこをどういう枠組みにするのかというのは今後検討しないと恐らくいけなくなるのだろ うと思います。今回、施策には間に合わないのですけれども、多分、記載レベルではそう いうこともあってもいいかなというふうに思いました。 よろしいでしょうか。 まだ早いですけれども、もしよろしければ、皆様のお時間もいただいていますので、こ れで意見交換を終わりにさせていただきますが、改めて事務局から何かコメントございま すでしょうか。 ○中原事務局長 今日いただいた意見を基に計画をつくってまいりたいと思います。それ から、与党のほうでもいろいろな御議論を頂戴していますので、また、それを含めて最終 的な計画のほうに反映させていくことができればと思いますので、引き続き、御指導をよ 24 ろしくお願いします。 ○渡部座長 ○太田参事官 事務局より予定等の連絡があればいただければと思います。 本日は御議論ありがとうございました。本日の御議論を踏まえまして、知 的財産推進計画2026全文の素案については御準備をしまして、次回、第4回の構想委員会 で御議論いただきたいと思っております。 次回の第4回構想委員会の開催については、5月下旬ということで予定をしております。 本日はどうもありがとうございました。 ○渡部座長 どうもありがとうございました。 本日はこれで終了いたします。 25

資料1

第3回構想委員会にあたって 2026 年 4 月 15 日 日本電気 遠藤信博 〇知的財産・無形資産の価値化・可視化による投資促進について 企業の持続的成長と投資家からの適切な評価を得るためには、知的財産等の無形資産を 経営の中核に据える「知財・無形資産経営」が不可欠です。その成否のカギを握るのが、 全社の無形資産を俯瞰できる立場にある知的財産部門です。知的財産部門には、従来の権 利保護・活用の活動に留まらず、経営と一体で価値を創造する戦略パートナーへの役割変 革が求められます。 知的財産部門の変革の実現には、AI 等を活用して定型業務を抜本的に効率化し、創出さ れたリソースを、事業戦略と連動した知財戦略の策定や、自社の無形資産が将来の収益へ どう繋がるかを投資家に分かりやすく説明するといった高付加価値業務へシフトさせるこ とが急務です。知的財産部門が主体的に変革し、企業の価値創造を牽引するエンジンとな ることを強く期待します。 〇国際標準の戦略的活用について 市場創出に向けた方法論として、国際標準が有効なツールになり得ること。日本企業が 創造したモノやサービスが海外で「価値」として受け入れられ、広がっていくためには、 提供先の市場のニーズを起点とした戦略を要すること。これらは、これまでも会議の場で 申し上げてきました。 昨年とりまとめた新たな国際標準戦略で掲げた戦略領域と重要領域は、現在検討が進め られている日本成長戦略や、今年度からの第7期科学技術・イノベーション戦略とも軌を 一にするものです。各領域は日本の「勝ち筋」として意識され、設定されたものになりま すが、勝ち筋というとどうしても、優れた技術(シーズ)を起点に「良いモノを提供すれ ば売れる」という考え方に陥りがちで、我々が気をつけなければいけない点です。 「技術で勝ってビジネスで負ける」と言われて久しい日本が、真に意識しなければいけ ないのは、 「ビジネスで勝てる」ための方法論であり戦略になります。そのためには、共 創する「仲間」 、価値を受け入れ使ってもらう「仲間」を作っていくことがきわめて重要 です。モノやサービスの研究・開発段階から、仲間づくりの意識をビルドインしていくこ とが、その後の成否を大きく作用するように思われます。 今年から、日本は EU の研究開発支援の枠組みである「ホライズン・ヨーロッパ」に参 画(準参加)することになりました。参加国との共同研究が進み、その後の市場展開も進 みやすくなる期待から、国際的な仲間づくりの手段としてこうした枠組みがほかにも積極 的に構築されていくことが望まれます。ITU(国際電気通信連合)や ICAO(国際民間航空 機関)に代表されるように、国際機関の議長ポストを軸に国際標準化を進めやすいネット ワーキングや環境を整えていくことも引き続き注力すべき大事な取組です。 カギは経済効果を共有できる仲間を見つけ協働していくことです。我が国の国際標準戦 略を今後さらに発展させていくために、在外公館なども活用しながら欧州やグローバルサ ウスをはじめ他国と強力なパイプを構築していくことを政府の KPI や目標に含め、方法論 として「型」にしていくことが有効な取組になり得ると感じています。 以上

資料2

第3回構想委員会 意見書 2026 年4月 15 日 時田隆仁 【1.知的財産の「創造」:AI プリンシプル・コードについて】 ➢ AI の開発・利活用の促進と知財の適切な保護を図るという趣旨には賛同す る。パブコメで寄せられた意見を踏まえ、引き続き、関係者の声を丁寧に汲 み取りながら、権利者の知財保護にとって真に実効性のある手段となってい るか、また、わが国の AI 事業者の競争力を削ぐものとなっていないかなど を十分に検証のうえ、権利保護と AI 利活用の最適なバランスを追求してい ただきたい。 【2.知的財産の「保護」:知的財産の侵害抑止へ向けた取組について】 ➢ 知財の権利保護は重要であり、知財侵害の抑止に向けた取引適正化等に向け た検討に協力してまいりたい。 ➢ 他方、侵害抑止に向けては、産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員 会における議論や、公正取引委員会の知的財産取引適正化ワーキンググルー プ報告書、および侵害抑止に係る従前からの議論の蓄積を十分に踏まえ、そ れらとの整合性を確保しつつ、施策を検討いただきたい。 ➢ これを踏まえ、知的財産取引適正化ワーキンググループ報告書の内容から飛 躍があることから、8頁の「中小企業等の侵害抑止強化に向けた制度の構築」 について、「中小企業等の侵害抑止強化に向けた制度の検討」といった記載 に見直すべきである。 ➢ 併せて、中小企業の知財管理体制の確立・強化のためのキャパシティビルデ ィングを行うことも重要であり、中小企業・小規模事業者に対する支援を行 うとする方向性に賛同する。 以 上
知的財産戦略本部 構想委員会(知的財産推進計画2026) 第3回 議事録・配布資料全文 | PPPT