議事録
知的財産戦略本部
第1回構想委員会
日時:令和7年11月21日(金)16:00~18:00
場所:中央合同庁舎8号館5階
共用A会議室
出席:
【委員】
出雲委員、梅澤委員、遠藤委員、黒田委員、黒橋委員、杉村委員、田中委員、田路委員、
中村委員、波多野委員、林委員、福井委員、本田委員、松山委員、渡部座長
【事務局】
中原事務局長、守山次長、太田参事官、清水参事官、松原企画官、谷貝企画官、
道祖土企画官
1.開会
2.議事
(1)「知的財産推進計画2026」の検討について
(2) 意見交換
3.閉会
○太田参事官
開催に先立ちまして、少し事務的な御案内をさせていただきます。
本日は御多忙のところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
内閣府知的財産戦略推進事務局参事官をしております太田でございます。どうぞよろし
くお願いします。
本日の会議については、対面とオンラインによるハイブリッド開催と、傍聴については
オンラインとなっております。
傍聴者の皆様は、カメラをオフにして、マイクもミュートにしていただき、会議の様子
のスクリーンショットあるいは録音・録画は御遠慮いただきますよう、よろしくお願いい
たします。
お時間になりましたので、ただいまから、知的財産戦略本部、第1回「構想委員会」を
開催させていただければと思います。
改めまして、本日は御多忙のところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日は、知的財産推進計画2026の検討についてということで、事務局から資料を御説明
した後、委員の皆様による意見交換をしていただきます。様々な御意見を頂戴したいと考
えております。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、委員の紹介に入ります。
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本来であれば1人ずつ御紹介させていただきたいと思うのですけれども、時間の制約も
ありますので、参考資料1の構想委員会構成員名簿を御確認いただければと存じます。
また、本日は、伊藤委員、加藤委員、塩野委員、竹中委員、立本委員、時田委員、村松
委員は御欠席でございます。また、梅澤委員が17時30分頃に早めに御退席され、オンライ
ンで御参加の予定でございます。また、田路委員については遅れて参加と伺っております。
続きまして、本日使用する資料を御確認いただければと思います。
事前に事務局からメールで御連絡しましたとおり、本日使用します資料は、資料1「知
的財産推進計画の検討体制とスケジュール」。
資料2「『知的財産推進計画2026』の検討に向けた論点について」ということでござい
ます。
また、本日御欠席の竹中委員、村松委員から資料3、資料4を提出いただいております。
お手元に資料の御不足ございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
それでは、ここからの議事進行につきましては渡部座長にお願いしたいと思います。よ
ろしくお願いします。
○渡部座長
ありがとうございます。
それでは、早速ですけれども、議事に入らせていただきます。
初めに、知的財産推進計画2026の検討について、資料1~2に基づき、事務局より説明
をお願いいたします。
○太田参事官
それでは、資料1~2に基づきまして、事務局より御説明させていただき
ます。まず、資料1「知的財産推進計画の検討体制とスケジュール」という資料を御覧に
なっていただければと思います。
3ページ目を御覧いただければと思います。
検討体制でございます。こちらは前回までと大きく変わりはございませんけれども、知
的財産戦略本部の下に構想委員会を位置づけまして、中身について御議論いただきます。
また、その下に、各分野別にワーキンググループあるいは部会を開催させていただいて、
さらに議論いただくという形でございます。
4ページ目を御覧ください。
検討スケジュールでございます。来年6月頃の知的財産戦略本部を目指しまして、全4
回、構想委員会を開催させていただきたいと思っております。
資料2「『知的財産推進計画2026』の検討に向けた論点について」という資料を御覧に
なっていただければと思います。
1ページ目でございます。
背景・課題意識ということで、少し大きい視点から整理しております。特に1つ目です
けれども、本年6月に決定させていただいた知的財産推進計画2025のほうで中長期的なKPI
を定めさせていただいております。WIPOのI「グローバルイノベーション指数」を2035年ま
でに4位以内とする。また、日本市場における時価総額に占める無形資産の割合を50%以
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上とすると、非常に野心的なKPIでございますけれども、こちらの中長期的なKPIを達成す
るために、どのような課題を解決すべきかというものが非常に大きな視点かと思います。
また、その下、5つのポツに分けておりますけれども、この後の資料で5つの分野に分
けて資料を整理させていただいております。それぞれについて、論点を整理させていただ
いております。
次の2ページを御覧ください。
1.から5.まで、5つの分野に分けて、それぞれに資料を整理させていただいていま
す。分野に関連するようなデータの分析、また、最近の政府における取組などについて御
紹介した上で、それぞれについて、今後の方向性というものを整理しております。
まず1つ目が、知財・無形資産への投資促進による価値創造でございます。
3ページ目でございます。
WIPOのデータを整理しておりますが、日本の無形資産投資が近年加速して、割合が増加
しているというようなデータとなっております。
4ページ目を御覧ください。
コーポレートガバナンス・コードの改革に向けた議論があり、今、金融庁主導で行われ
ております。コードのスリム化/プリンシパル化を念頭に議論ということでございます。
5ページ目でございます。
コーポレートガバナンス・コード改訂の議論を契機に、先月、10月29日に内閣府のほう
で知財投資に関する検討会第25回というものを開催しております。経営における知財・無
形資産の考え方の浸透、投資家と企業の対話の活性化等々について議論いただきました。
6ページ目を御覧ください。
今後の取組の方向性ということでございますが、今、申し上げた第25回の検討会におい
て、委員から寄せられた課題を少し整理させていただいております。主なところでござい
ますが、知財というものは投資家から見えにくい資産である。企業からの開示が、事業や
利益にどう結びつくかというものが語られていないのではないか。また、開示の効果的な
見せ方や知財・無形資産というものを定量化していくべきではないかということ。
また、経営層が知財・無形資産の本質的な価値を理解しておらず、知財部が経営戦略や
価値創造ストーリーに関与できていないのではないか。また、知財のガバナンスガイドラ
インの本質が伝わっていないのではないかといったような厳しい御指摘をいただいており
ます。このような御指摘あるいは課題に対し、どのように改善していくかということを本
構想委員会においてもぜひ御意見をいただければと思います。
次の7ページ、2つ目の分野でございます。AI・デジタル時代の知的財産制度の構築と
いうことでございます。
8ページ目は、AI利活用が日本で遅れているという現状と課題について整理しておりま
す。
10ページ目でございます。
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AI利活用の促進に向けて、適切な財産の保護と活用につながる透明性の確保に向けた取
組ということで、先月、10月24日に内閣府のほうでAI時代の知的財産権検討会を開催して
おります。こちらのスライドの下半分のところ、論点①~③と挙げさせていただいており
ます。1つ目は、データの信頼性・安全性を含め生成AIに係る開示に向けた各種の対応を
どのように進めていくべきかということ。論点②は、データ利活用に伴う対価還元をどの
ように取組を進めていくか。論点③としまして、AIとデータの取扱いについて、どのよう
な将来像を想定しておくべきか。こういった論点について議論をいただいております。
次の11ページから13ページは、特許庁における特許・意匠に係る検討・取組についてま
とめさせていただいております。
11ページは、AI技術の発達を踏まえた発明及びデザインの保護の在り方についての検討
でございます。
12ページは、国境をまたいだような国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等
の適切な権利保護について整理しております。
13ページは、仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り方に関する検討でござ
います。
また、14ページ、少し視点が変わりますが、知的財産権関連の訴訟状況のデータをまと
めております。
特許権侵害に係る損害賠償請求訴訟については、高額な認容額の割合というものは増加
傾向にあるというデータとなっております。一方で、特許権に係る訴訟件数というものは
総じて見ますと減少傾向という傾向が見てとれております。
また、15ページ目、グローバルイノベーション指数、GIIでございますけれども、韓国、
ドイツと少し比較しております。
日本の弱いところとして、意匠の出願数、また、商標の出願数、あとは研究開発及びス
タートアップ関連の指標が弱いというのが見てとれております。
16ページ目でございます。
今後の取組の方向性ということでございますが、AI利活用の促進に向けた、適切な財産
の保護と活用につながる透明性の確保といったことについては、AI時代の知的財産権検討
会において引き続き検討を進めていくということ。また、AI技術の発達を踏まえた発明及
びデザインの保護の在り方、あるいはDX時代にふさわしい産業財産権制度の在り方につい
ては、特許制度小委員会及び意匠制度小委員会のほうでさらに検討を進めていくというこ
とでございます。
次の17ページ以降、3つ目の分野として、国際標準でございます。
18ページ目、今年6月に策定させていただきました新たな国際標準戦略についてまとめ
ております。
また、19ページ目から21ページ目、今年度の取組を3つに分けて整理させていただいて
おります。
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19ページ目が担い手の強化ということで、司令塔機能を果たす官民連携の場を新たに設
けるということ、あるいは官民の在外事務所間のネットワークを構築するといったような
取組により、担い手を強化してまいります。
20ページ目、戦略領域・重要領域への重点的な取組ということでございます。標準活用
加速化支援事業、ブリッジ事業と呼ばせていただいておりますが、そちらの予算を活用し
ながら取組を推進すること、また、領域別の国際標準戦略の策定ということで、モデル的
に2領域の領域別の国際標準戦略を定めていくということに取り組んでいきます。
また、21ページ目、3つ目の取組として、戦略のモニタリング・フォローアップをきち
んと行いながら、戦略の推進を図っていくということでございます。
22ページ目、今後の取組の方向性でございます。
国際標準の関連は、やはり個社にとっては費用対効果が見えにくいというようなネック
がございます。そこで、個社レベルで国際標準活動に取り組んでいただくための仕組み、
あるいは我が国における規制と標準・認証の在り方などについて、構想委員会、こちらの
場でもぜひ皆様に御意見、御示唆をいただきながら検討を進めていきたいと考えておりま
す。
次の23ページ以降、クールジャパン戦略でございます。
24ページ目、クールジャパン関連産業の現状をまとめております。
関連産業の最新値の海外展開規模27.1兆円ということで、前回調査よりも拡大しており
ます。一方で分野別に見ますと、化粧品の海外展開が前回調査より減少しているというこ
とでございます。また、日本を「好きな国」とする率というものは、全世界平均で56.2%
あるというデータとなっております。
少し飛びまして、26ページ目でございます。分野別に分析しております。
26ページ目はファッション分野ということで、アパレル市場について整理しております。
世界的に見て成長産業ということで、日本の強みを生かしながら、こういった分野も最終
製品の輸出増を図っていくということ。
27ページ目、化粧品分野の海外展開の現状と課題でございます。
こちらは、先ほど少し輸出について苦戦していると申し上げましたが、世界的に見ます
と成長市場でございます。日本の輸出の主戦場であるアジアはスキンケアの割合が高いと
いうことで、日本の高品質・安全性の高い製品というものは強みが生かせるのではないか
ということもございます。こちらについても、強みを生かしたようなブランディングをき
ちんと図っていくなど、取組が必要ということで整理しております。
28ページ目、訪日外国人旅行客の地方周遊についてでございます。
現在、訪日外国人の方々の宿泊先の7割が3大都市圏に集中ということでございます。
地方周遊あるいは地方での滞在を推進するためには、地方での受入環境整備、情報発信と
いったことが必要ではないかということで論点を整理しております。
30ページでございます。
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農産品・食品の海外展開についても、現状、課題を整理しております。こちらも訪日動
機の一番は日本食ということで、潜在的な海外ニーズが高い分野でございます。さらに、
輸出等を進めていくために取り組んでいくということで整理しております。
また、31ページ目、今後の取組の方向性でございます。
2024年6月に「新たなクールジャパン戦略」として、中長期的な政府目標として、2033
年までに合計50兆円以上の海外展開規模、日本ファンの割合を10ポイント増加させるとい
うことで目標を設定しております。この達成に向けて、関係省庁連携しながら取組を進め
ていくということでございます。
2つ目の□にございますけれども、2033年までに「コンテンツ地方創生拠点」を全国約
200か所選定するということを、こちらは内閣府で進めておりますが、今年度中に20か所程
度の地域を選定するということで準備を進めております。
その他、世界から求められる体験価値化あるいは高付加価値化、マーケット目線のブラ
ンディング等々により海外展開規模の拡大を図っていく。
また、こちらのスライドの一番下にございますが、ファッション分野、化粧品のビュー
ティー分野などを中心に、海外展開規模の拡大に向けて、分野にブレークダウンした検討
も進めていきたいと考えております。
次の32ページ以降、コンテンツ戦略でございます。
34ページ目を御覧ください。
日本発コンテンツの海外売上高は、過去10年で3.7倍に拡大ということで、2023年は5.8
兆円となっております。半導体あるいは鉄鋼産業といったものの輸出額を超える規模とな
っております。こちらも中長期的な政府目標、2033年に海外売上高を20兆円とするという
ものがございます。こちらの達成に向けて、官民連携して取り組んでいくということでご
ざいます。
35ページ目から38ページ目まで、コンテンツ産業の競争力強化に向けた課題や取組を4
つの分野に分けて整理しております。
35ページ目、人材育成でございます。
制作現場を担う専門人材の育成や確保、あるいはコンテンツの企画・開発から対外発信
まで行えるような人材、あるいは漫画等、日本語のコンテンツをきちんと国際的に発信し
ていく、あるいは翻訳するような方々の人材育成等々に取り組んでいくということでござ
います。
36ページ目、海外展開に向けた課題ということです。
日本発コンテンツを海外にお届けするような海外流通機能の強化、あるいは海外で戦え
るような大規模で高品質なコンテンツの製作支援、ロケ撮影誘致などを取り組んでいくと
いうことでございます。
37ページ目、体制・構造上の課題としての取引・就業環境の改善にも取り組んでまいり
ます。
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38ページ目、海賊版対策でございます。
現地での普及啓発、国際連携に加えまして、権利者による権利行使の支援、あるいは正
規版流通促進などに官民一体となって取り組むということでございます。
39ページ目、今後の方向性をまとめております。
先ほど申し上げた中長期的な政府目標に向けて、人材育成あるいは海外展開等々に取り
組んでまいります。日本のコンテンツ戦略のさらなる強化に向けて検討を進めるというこ
とでございます。
次の40ページ、ここまでで5分野それぞれの御参考となるデータあるいは最近の取組を
御紹介しました。
これを踏まえましてということで、41ページ目、本日御議論いただきたいことを大きく
2つまとめております。
1つ目が、5つの分野それぞれについて、本資料でお示ししました課題、論点、あるい
は今後の方向性に関する御意見、御示唆をいただければと思います。
2つ目が、5つの分野に加えまして、特に知財計画2026の策定に向けて議論すべき重要
な項目・論点がございましたら御意見をいただきたいと思います。
また、42ページ目以降は参考として、AI法の概要等について資料をつけております。御
参考いただければと思います。
以上、早口で恐縮でございますが、事務局からの御説明を終わらせていただきます。
○渡部座長
ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から説明がございました内容について、御質問も含めて、御
意見等を御自由にいただければと思います。
それぞれの委員から、目安としては5分程度としていただき、一巡して、まだ時間があ
ればもう一巡するという形でやらせていただきたいと思います。途中退室される方は早め
に御発言いただければと思います。
いかがでしょうか。
遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員
まずは、今回新たに知的財産推進計画2025で掲げた数値目標も含めて論点を
明示頂きました事に感謝を申し上げます。特にWIPOのイノベーション指数で4位以内。これ
は非常に大きなターゲットだと思います。現状、基礎、重要研究において、日本の発表論
文が引用される数が減ってきてございまして、オーストラリアのASPI( 豪戦略政策研究所)
が調査した結果では、5位以内に8分野がとどまっていますが、20年前に比べて25%程度
と、大分減っているというのが現状です。こうした観点からも、特許のイノベーション指
数として4位以内を目指すということは非常に重要なことだと思います。ぜひ、これをタ
ーゲットとして、これを目指すための、サポートシステムを含めた我々の方向感をつくれ
れば良いと思います。
5点申し上げたいと思います。一つは、我々が今後注力すべき領域・分野という観点で
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すけれども、我々が、産官学一緒になって、司令塔をつくってその方向感を決めるという
ことだと思いますが、このときに必要なのは、技術に対する予見力であり、MOT(Management
of Technology)能力を高めるということではないかと思います。どういう領域が今後産業
競争力を持つための大きなファクターになり得るかということについて、日本の中で共通
認識を持つことがとても重要で、そのためにもMOT能力を高めるべきだと思います。
そうなると、今回のご報告の中には載っていないのですが、前にも御議論させていただ
いていますが、日本にも、米国のNIST( National Institute of Standards and Technology)
を持てないか、と思います。米国のNISTは、標準化のための市場調査、技術調査を行い、
これらを通して、現在の技術レベルを分析し、将来の技術に関するMOT能力(予見能力)を
高めていると思います。日本にもNISTのような機能をもち、今後注力すべき領域や分野方
向感をしっかりと理解する力を備えるべきだと考えます。いずれにしても、MOTの質、能力
のレベルを上げて予見能力を高めていく努力が必要であろうと思います。
2つ目は、日本として、知財創出力を上げようという観点でお考えいただきたいのは、
中小企業のレベルをどのように上げていくかです。大企業はもちろん、自らも努力しない
といけないのですが、中小企業で持っておいでになる素材も重要な知財であって、それを
さらに高いレベルに育てるという試みが必要なのではないかと思います。
例えば、中小企業の知財創出力を支えていく上で、地方大学の活性化、活用がとても重
要なのではないかなと思っています。以前も申し上げたかもしれませんが、ドイツの例を
見ると、GDPに占める中小企業のコントリビューションの割合は結構大きいのです。構造的
に大企業が多くはないということもあるのですが、いずれにしても、中企業の知財力が非
常に高く、中企業が自ら海外に価値を提供しているというものが多い。それを支えている
のは地方に多くの拠点をもつフラウンホーファー研究機構であると言われています。日本
だとフラウンホーファー研究機構みたいな広域のものはないのですけれども、地方大学が
あるので、これをうまく活用して、中小企業の価値創造能力、知財力というものを上げて
いく仕組みを構築する必要があるのではないかなと思います。
3番目は、先ほど御指摘ございましたが、国際標準を取ろうとしたときに、費用対効果
というお話がありました。そのとおりだと思うのですが、シーズオリエンテッドであるの
か、マーケットオリエンテッドで市場を意識して標準化を考えているかということが一つ
影響しているのではないかなという気がします。
日本の場合は非常に技術力があるので、シーズオリエンテッドで標準をとりに行く場合
が多いと思うのですが、その中にどのようにマーケットオリエンテッドのテイストを入れ
込んで標準化するのか。慣れが必要かもしれませんけれども、その意識を持って、我々が
標準化をつくる上でマーケットオリエンテッドの部分をどのように入れ込むか、標準化プ
ロセスの中に、これを入れ込むかということが重要なのではないかなと思いました。
4番目は、クールジャパンのお話もいただきました。これは非常に重要な領域であろう
と私も考えます。このクールジャパンの価値創造力のサステナビリティがとても重要で、
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維持するためには人材がカギです。基本的にクールジャパンといったときに、価値基盤の
部分は日本文化であると思います。
日本文化が日本のクールジャパンをつくっているわけで、そういう意味では、若い方々
がいかに日本文化というものに多く触れ、理解し、その中から価値をつくっていくかとい
うことが重要と考えます。サステナブルなクールジャパンという価値創造の継続性を考え
たとき、若い方々が日本文化に多く触れ、日本文化を理解し、習得する仕組みづくりをお
考えいただくとよろしいかなと思いました。
最後は、標準化でのコントリビューションということを考えたときに、今後の人口増と
成長が期待されるグローバルサウスを意識する必要は絶対あると思います。グローバルサ
ウスへのプラットフォーム構築、インフラストラクチャーを含めた日本のコントリビュー
ションというものが、将来的には日本の戦略的な不可欠性を実現する上での大きなファク
ターになることは間違いないので、グローバルサウスと共に、グローバルサウスにとって
高い価値を提供できるマーケットオリエンテッドな標準を一緒につくり上げていくことが、
日本の不可欠性の観点からも重要になろうと思います。
ぜひグローバルサウスへの価値貢献、そのためにはグローバルサウスとの友好国関係を
おつくりいただくということ、これは国にお願いしなくてはいけないですし、この友好関
係をベースに各国の成長を支えるために、成長戦略を共有する事が重要と考えます。それ
がマーケットオリエンテッドの方向感をつくる基盤になると思います。この部分は、産官
の協力が必須であり、このための体制づくり及びプロセスづくりを協力してさせていただ
くとありがたいなと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○渡部座長
ありがとうございます。
出雲委員、お願いいたします。
○出雲委員
私は、議論の論点を5つ挙げていただいているのですけれども、1.の知財・
無形資産への投資促進による価値創造と、スタートアップ、中小企業が果たすべき役割に
ついて申し上げたいと思います。
3ページにもWIPOの無形資産投資の状況を書いていただいて、日本の無形資産投資割合
が2020年以降、年平均して2%の成長を記録したと書いてあるのですけれども、過去10年
間の成長率で見ると、有形資産投資の成長率が0.9%で、無形資産投資の成長率が0.6%で
すから、時間がたてばたつほど、ワインの口と一緒で、長期で見たときに、有形資産の成
長のほうが無形資産投資の成長率よりも高いですので、この3年間の投資傾向を日本の一
般的なマインドセットにどのように落とし込んでいくのかというところをしっかり書かな
いと、3年に絞ったら無形資産投資が増えているのですけれども、では、なぜそれが行わ
れているのか、その阻害要因が何なのかというところをもう少し深く分析する必要がある
と思います。
その普及阻害要因を明らかにして、知財・無形資産の価値評価と技術力評価が難しいと
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いうことと、そのノウハウを得る機会が少ないとか、経営陣の理解が足りないとか、いろ
いろな寄せられた課題の、6ページのところに集約されているとおりだと思います。こう
いうものは比較的、刺激的なエビデンスとセットで大学知財ガバナンスガイドラインのと
きにはうまく変えられたのではないかなと思っています。大学知財GGのときに、知財の流
動性を高めるということが大学の知財ガバナンスに決定的に重要だということで、東大と
京大が4割超、半分ぐらい、特許をちゃんと活用しているのに、8割以上の年間7,000件取
得される大学から創出される知財が死蔵しているという、その流動性を高めるためにどの
ような運用をしたらいいのかというものが大学知財GGの基本コンセプトだったと思うので
すけれども、そういう急所がどこにあるのかというものを知財・無形資産ガバナンスガイ
ドラインの普及促進においても必要であると考えております。
知財・無形資産の価値評価方法は、コストアプローチとマーケットアプローチとインカ
ムアプローチと3つあるのですけれども、通常の企業価値評価の手法と同じように、知財
が創出する将来キャッシュフローをDCFで現在価値を算出するのが最も合理的で妥当なア
プローチだと考えられますので、このインカムアプローチで知財・無形資産の価値評価を
するということを当たり前に、日本の企業価値評価においても、ベンチャー、スタートア
ップの投資においても、金融機関やファンドの企業価値評価の中にもそれを織り込まれて
いないと、割安になって評価される側の発行体の企業が損しますという、いろいろなとこ
ろからの、圧力と言うと少し言葉が強過ぎるかもしれないのですけれども、しっかりNPVを
算出して、知財というものがこれだけ価値を生むものなのですというPRを発行体がしてい
ないと損しますということは発信していくべきだと思います。
なぜ、無形資産投資がこれほど日本で遅れているのかというものは、今、遠藤さんが先
におっしゃっていただいたので、私は急いで連続して発言したくて手を挙げたのですけれ
ども、日本の中小企業の無形資産投資が圧倒的に世界のどこと比較しても遅れているのが
原因ということは明らかであります。日本とアメリカの全要素生産性の、アメリカが年率
1%以上成長する、日本がTFPが年間0.5%程度も成長したりしなかったりという、その差
のかなりの部分が無形資産投資の額の違いで説明できる。私は、今日は死蔵特許の指摘を
して、景色が変わったときと同じようなエビデンスとして、中小企業のIT資本装備率と一
人当たり年間教育研修費が米国と日本で圧倒的に違う。ここを変えないと絶対、無形資産
割合、全上場企業50%というものが達成できないので、ここを何とかしなければいけない。
中小企業のソフトウエア装備率が、製造業で大企業の7%で、非製造業・サービス産業
で5%というものは明らかに異常な数値ということは御存じだと思います。日本の大企業
のIT資本装備率は一人当たりに換算すると大体100万円で、中小企業が5万円から7万円
なのです。こんな国はどこにもなくて、アメリカのIT資本装備率は130万円で、平均値も高
いのですけれども、ドイツもイギリスも韓国も大体95万円とか108万円とか、大企業の一人
当たりのIT資本装備率というものはほとんど同じなのです。ちなみに、今、中国は45万円
とかなので、ちょうど半分なのですけれども、中国の大企業のIT資本装備率の年間のCAGR
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が9%ですから、早晩、中国もG7並みに、100万円というものに到達すると思います。
日本は、中小企業が5万円から7万円と申し上げました。ドイツも韓国もアメリカもイ
ギリスも大体、中小企業のIT資本装備率は25万円から35万円なのです。日本だけ5万円と
か7万円とか、そういう極端になっているのは、情報システムとソフトウエアに関する内
製化率が、アメリカが4分の3が内製化されている、日本が4分の1しかできていないと
いうことをそのまま反映している。分かる人がいなかったらデジタルの投資ができないの
で、ここも次に変えなければいけないのは、情報システムに関連する人のコストは、これ
はコストではなくて資本投資であるべきなのです。アメリカも、情報システムに関連して
いる人の人件費というものが年間2700万円で、日本の情報システムに携わっている人に対
する人件費が170万円ですから、ちょうど10倍、人に対する投資が違うので、ITに対するDX
や資本装備率の上昇といったものがほとんど起きない。
最後に、もう一つだけ、一番違うのは、SaaS装備率、SaaS利用率と言えると思うのです
けれども、米国はやはりSaaSの利用率が高過ぎて、大企業の一人当たりのSaaS装備率が2730
万円だそうです。我が国はクラウドとSaaSの利用率が、一人当たり16万円しか投資してい
ませんから、日本が16万円で、アメリカが2730万円投資していると、アメリカのほうが一
人当たりの労働生産性が日本の2倍高いというのは当然そうなってしまう。
ここでスタートアップでございます。スタートアップは、日本の大企業並みのIT資本装
備率を誇っております。日本のスタートアップのIT資本装備率は平均して100万円程度で
すから、日本の大企業とほとんど同じ、中小企業と同じぐらいのビジネスのサイズなので
すけれども、中小企業は7万円で、日本スタートアップは100万円でスタートしますから、
非常に効率のいい、ここに人が移ってきてスタートアップが成長するというものがやはり
無形資産と知的財産を活用してマークアップ率を高めるという観点でも、スタートアップ
というものが非常に有効になってくると思います。ちなみになのですけれども、私どもユ
ーグレナのIT資本装備率は一人当たり150万円でございます。
そのスタートアップは、この10年間でGDPに対する波及効果が20兆円で、雇用の創出が52
万人なのですけれども、この52万人はIT資本装備率が非常に高い、生産性が高い人が52万
人と20兆円を創出しております。御存じのとおり、北海道の名目総生産というものが19兆
円で、福岡県のGDPは18兆円ですから、大体、福岡県、北海道はベンチャー企業エコシステ
ムというものが18兆円、19兆円、20兆円と新しくつくっているのですけれども、何度も申
し上げますけれども、スタートアップの無形資産活用、無形資産比率というものが非常に
高い。
ユーグレナの無形固定資産比率も80%、固定資産全部で400億円で、無形固定資産が320
億円で、顧客管理資産と、あと、M&Aを積極的にやっているので、のれんと特許等の知財で
合計が400億円のうち80%が無形固定資産比率なのですけれども、スタートアップはやは
り概して無形資産比率や知財の活用、無形資産投資を行って、価格競争力を高めて、マー
クアップ率を高めるという、知財・無形資産ガバナンスガイドラインで普及しようとして
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いるアティチュードを自然と取って成長していくのがスタートアップですので、改めて、
スタートアップ振興と、この一丁目一番地である知財・無形資産への投資促進による価値
創造というものをサイクルにして、日本に強靱なエコシステムを構築していくということ
をぜひ取り組んでいただきたいと思っています。
以上です。
○渡部座長
ありがとうございました。
オンラインの梅澤委員、聞こえますか。
○梅澤委員
はい。
今、お二人、無形資産時価総額割合のお話をされまして、私もここが多分、今年度の知
財計画においても再重要ポイントかなと思っています。
出雲さんがおっしゃったデータ、勉強になりました。ありがとうございます。日本の中
小企業が著しく、投資において立ち後れているというのは本当にそのとおりだと思います。
ただ一方で、大企業はオーケーかというと、私は全然、そんなことはないと思っていま
して、だからこそ、東証の無形資産割合がやはりアメリカに比べると著しく低い。中国と
比べても低いという数字なのだと思いますので、大企業セクターに関しても手を抜くこと
なく、ここの無形資産の時価総額割合を高めていくというものを経営トップのアジェンダ
として認識してもらって各社に手を打ってもらうということが今年、一番大切なアクショ
ンではないかなと思っています。
具体的にどうするのがいいのかというものは、ぜひ、この場で皆さんからいろいろな知
見をいただきながら、アクションとして効果の高いものをつくっていかないといけないの
かなと思います。今ある幾つかのメニュー、例えばコーポレートガバナンス・コードとか、
それから、知財・無形資産ガイドラインを周知徹底させるとか、それぞれやっていかない
といけないことはもちろん大事なのですが、残念ながら、今、このテーマは経営トップ、
CEOの重要な問題にはまだなっていないなというものが私の肌感覚で、知財担当役員か、い
いケースでチームストラテジーオフィサーの方が認識しているぐらいの話ではないかなと
思っています。
これをいかにCEOアジェンダにするかというものを今年のテーマとして取り組みましょ
う。ぜひ、そこはしっかり議論しましょうというものが1点目です。これができると、結
果的にAIに対しての投資であったり、それから、M&Aの投資であったりというものも進んで
くると思います。したがって、いかにこのテーマをCEOアジェンダにするかということで議
論させてください。
2点目、クールジャパンです。今日、実はクールジャパンDXサミットということで登壇
もあったので、そちらに来て、今、オンラインに入っています。
去年からずっと申し上げていることなのですが、この円ベースで増えましたというのは
よしとして、ドルベースでもちゃんとモニタリングして、我々、チームとして現状認識を
間違えないようにしましょうと考えています。去年から今年でも円安効果が多少ありまし
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たし、特に観光は8兆円いきましたと言って、みんな喜んでいますけれども、これは2019
年から2023年ぐらいで4割ぐらい円安が進んでいますので、この8兆円になったうちの数
兆円分は完全に円安効果ということですので、ここのところは円ベースでどうだ、ドルベ
ースでどうだ、両方の数字を見ながら、我々としてちゃんと前進しているのかどうかを確
認しつつ進めていきたいと思います。
中身について、クールジャパンで、コンテンツの地方創生拠点をつくりますという話は
いいのですけれども、大事なのは現地で落とすお金をちゃんと増やして、地方の観光を通
じた地方創生につなげていくということを真面目にやらないと結局、分かりやすいところ
で言うと、鎌倉高校の前に世界中からお客さんが来て、写真だけ撮って、江ノ電だけお金
は落ちるのだけれども、それ以外の経済効果はほとんどないみたいなことが日本全国でさ
らに増えるだけかなと思っています。
地方にお金を落としてもらおうと思うと、結局、大事なのは、そこでの滞在時間を延ば
して宿泊してもらうということです。したがって、それぞれの、この地方創生拠点におい
て、どれだけの宿泊インフラがあるのか、宿泊してもらうための時間消費をするだけのコ
ンテンツがあるのか。それがないのだったら、どう周辺の地域と合わせて動線を組んでい
くのか。こういう形でコンテンツの地方創生の戦略立案をぜひしていっていただきたいな
と思います。
それから、もう一つ、コンテンツ戦略のところの重要なポイントとして、特に日本のコ
ンテンツを海外市場に売っていこうとするときに一番頼りになるのは、多くのケースで日
本のことが大好きで、日本のコンテンツが大好きな外国人材だったりします。日本の専門
学校あるいはMBAには、日本のアニメとかゲームが大好きで日本に来ましたという人がた
くさんいます。こういう人たちをどれだけ、日本が頼りにできるビジネスプロデューサー
に育てていくのか。クリエーターだけではなくて、専門学校に来てクリエーター志願の人
はたくさんいるのですけれども、その中にはビジネスプロデューサーに育てられるような
人材もたくさん混じっていて、そういう人たちが日本と海外市場をつなぎ、日本のコンテ
ンツに対しての目利きもし、カスタマイズもそういう意味では手伝ってくれるというビジ
ネスプロデューサーになっていただくことが大事かなと思います。
以上、2点です。
○渡部座長
ありがとうございます。
では、次に、黒田委員、お願いします。
○黒田委員
1.の知財・無形資産について一言御意見申し上げたいと思います。
知財・無形資産の投資活用加速化に関して、有識者による検討会が検討されているとい
う御説明がございました。資料2の6ページに、現状においても数多くの課題があるとい
うことが示されております。これらの課題を見るに、知財の重要性について、経営層が十
分理解できるような言葉で説明できていないという状況にあるのではないかと思われます
が、その根底には共通言語の不在というものがあるのではないかと思います。これは経営
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層にとっても投資家にとっても、知財の価値を測る物差しが存在していないため、どの知
財が実際に競争力とか利益にどう結びついているのか、どう貢献しているのかというもの
が伝わっていないのではないかということだと思います。
そこで御提案なのですけれども、知財の価値を客観的に可視化する指標の整備を検討し
てはいかがかと思います。ここで申し上げている指標というものは、単なる出願件数とか
登録件数といった指標ではなくて、知財の事業貢献度を測る指標というもので、例えば知
財が企業の利益に貢献したりとか、競合の産業を防いで市場シェアを守ったというような
ことを指標として表現できないかという御提案です。このような指標があれば知財を可視
化して定量化することができて、経営層にもその重要性が伝わりやすくなり、投資家にも
見やすくなるのではないかなと思っています。
知財の価値については、知財の技術的な質とか市場性とかから絶対的な価値を測る指標
というものの検討が進んでおり、参考になると思いますが、この資料2の課題との関係で
御提案したい指標というものは、自社の企業内部でその知財がどれだけ役に立っているか
という、知財の事業貢献度を測る相対的な指標といったものをイメージしております。既
にほかの委員会とか検討会でもこのような検討は始まっているとも伺っていますが、この
委員会でもそのような方向性を示すことができれば、資料2に書かれている課題を解決す
る一助になるのではないかなと思います。
あと、資料2の最初のページの冒頭にある、時価総額に占める無形資産の割合を2035年
まで50%以上に高めるという目標についてなのですけれども、この目標自体は全く問題な
いと思うのですが、ただ、有形資産を減らせば達成できるのではないかという誤解が生ま
れてしまう可能性がございますので、ここの趣旨は有形資産の削減を目指すといったもの
かではなく、むしろ、価値創造に資する無形資産の形成と活用を増やすことで企業価値を
上げたいという前向きな方向性があるのだということを、そういった意図が誤解されるこ
となく伝わるように明確化していただければいいのではないかと思います。
以上です。
○渡部座長
ありがとうございます。
では、福井委員、お願いします。
○福井委員
大変充実した御資料と、各委員の御意見にも多く賛同するところでした。
私はコンテンツのお話をいたしますけれども、この日本のカルチャー人気はさらに昨年
からも高まって、これは大変喜ばしいことですが、その果実が現場の個々のクリエーター
やスタッフになかなか届かないという課題が変わらず存在しています。昨年は、それにつ
いて国際的な契約条件ということを申し上げました。人材や交渉力の強化は、梅澤さんが
おっしゃったビジネスプロデューサーの資質としても今後も注力を続けていただく必要が
あろうと思います。
その上で、今回は38ページの海賊版のお話をさせていただきます。直近のABJの調査で、
漫画だけで海賊版に対する世界からの視聴時間は実に年7億時間に達するという驚異的な
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報告がされています。国内は対策を動員して相当に抑え込んでまいりましたけれども、今
は80%以上が翻訳版の海賊版、つまり海外からのアクセスも相当に増えています。そして、
これらは身元を隠して特定国から配信されているという意味で、あらゆるサイバー犯罪に
共通する難しさを持っています。よって、ゲートキーパーを特定して、抑えられる箇所で
抑える。そうした対策のネットワークが何より重要であろうと思います。
その上で、これまで3つがポイントになると申し上げてきました。1番目はCDN、Contents
Delivery Networkです。これは海外のそうした対策の難しい国にある貧弱なサーバーから
の配信を強力に増幅する中継サーバーです。これなくては成立しない海賊版サイトは恐ら
く相当多いのです。しかも、海賊版サイトの73%までは、ある特定のCDN事業者に集中して
います。クラウドフレアという会社です。なぜならば、この会社は身元確認を行わず、か
つ海賊版であるという合理的な通知を行っても、それを無視して大規模配信を続けるから
です。
一昨日、4年間の努力が実りまして、世界でほぼ初めて、このクラウドフレアが通知を
無視して配信を続けることに対する著作権侵害による賠償責任を東京地裁が認めました。
4作品2サイトのみを選別して、なおかつ36億円という損害の認定でした。これは金銭が
決して目的ではありませんので、この抑止力によって、他のCDNのように、信頼できる通知
を受けたら大規模な配信を停止してもらう。ここに向けて、控訴されるでしょうから、控
訴審でさらに努力を続けたいと思います。この点は、民間が頑張ったと私は思います。
それに対して、2番目と3番目のポイントは、犯人の現地摘発と、そして、ドメインで
す。ここはぜひ政府にも大きな力を尽くしていただきたい部分です。
まず、現地摘発ですが、多くの身元の情報を提供しても特定国、例えばベトナムでは4
年にわたって、いまだに刑事摘発が1件も実行されないといった課題があります。この点、
インターポールのサイバー犯罪部門は、これは著名な話ですけれども、立ち上げたのは日
本人です。大変に先進的なことでした。それにもかかわらずコンテンツ立国を標榜してお
きながら、現在、インターポールの海賊版部門に日本の常駐担当者はおりません。先日の
文化庁主催による国際シンポジウムで、インターポールの対策官自らから日本からも担当
者を出してくれという要請を受けましたが、これはぜひ応えるべきではないかと私は思い
ます。
最後に、ドメインです。これは生命線だと思います。なぜなら、現在、ドメインネーム
を、対策を逃れるためにどんどん週単位で切り替えるという「ドメインホッピング」が常
態化しているからです。そして、これについてだけは明確なゲートキーパーがいます。サ
イトの運営者の身元を確認できるレジストリ・レジストラがいて、しかも彼らの団体であ
るICANNという世界組織が存在しています。先日、この本拠地の総会に出版社の皆さんと一
緒に乗り込んでまいりましたが、ICANNや一部レジストラは各ドメインのその先で行われ
る違法行為は自分たちの仕事ではないという従来の立場をなかなか覆そうとしません。今
回、初めてCEOから前向きな回答を引き出すことができましたが、恐らくこのまま放置して
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いると、またなかったことになってしまいます。ここは全力で継続しないと恐らく何も動
かず、今後、サイバー犯罪に対して社会は打つ手がないということになりかねないと思い
ますので、ぜひ政府もさらなる注力をお願いいたしたいと思います。
この関連で、現地で日本は大丈夫ですかと言われたことが1点あります。それは、この
ICANNは、つまり、新しいトップレベルドメイン、「.com」のようなTLDをつくって、それ
を卸して商売にしていらっしゃるわけですが、来期、新gTLDというものを発行することが
予定されています。これは初めてWeb2とWeb3にまたがるドメインになるとされており、今
後、強力にインターネットのサイバーセキュリティーにもビジネスにも影響しそうな存在
ですが、その一環として「.anime」、そして、
「.manga」という2つの新しいTop-level Domain
が発行される予想だそうです。
そして、これに対しては、現在、海外のドメイン事業者が中心で入手すると言って手を
挙げている状態です。これは公開オークションで落札が決まるわけですが、国内の動きは
ほぼないですね。このまま、「.anime」「.manga」の国外流出を許すとするならばそれで
もコンテンツ戦略かと私には思えますし、それが非常に身元確認の緩いレジストリの手に
渡る可能性もありますけれども、その場合、海賊版に使われると新しい海賊版のメッカが
生まれます。これについては注意喚起を申し上げ、官民が検討すべき問題だと思います。
最後に、2つ目のポツで、デジタルアーカイブについても重要なものですので、戦略懇
談会の議論だけでなく、親会での議論もと申し上げようと思っておりましたが、時間が尽
きたように思います。
私からは以上です。
○渡部座長
どうも、貴重な御意見ありがとうございます。
波多野委員、オンラインで手を挙げていただいています。どうぞ。
○波多野委員
私は大学の立場から、そして、CSTIでは今、基本計画に向けて重要技術領
域を設定して、来週、基本専調で議論するという予定になっております。その観点から知
財、無形資産の重要性をさらに強調するとともに、そして、DX・AI時代の知の再定義とい
うものが必要だと感じています。
最初に梅澤委員がおっしゃったように、企業の無形資産の認識の向上は、基本計画にも
主張しなければならないことだと私も感じています。CEOが無形資産の認識を向上するこ
とによってAIの活用も加速しますし、何よりも大学・アカデミアの知のアセットの価値が
向上すると考えます。そして産学連携やスタートアップの理解が進むのではないかと期待
します。
一方で知、特に特許の再定義が必要であると感じていますのは、以前から何度も申し上
げていますが、AIは単に研究支援のツールから、未踏領域の開拓をして知の創出を促す、
知のエージェントに進化しつつあるというのは現場にいても感じていますし、それを使っ
て論文や多数の、例えばAIから物質を創出して特許にするということが実際に起こってい
ると認識しています。それはこうした変化の中で、やはり大学とか研究機関というものは
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AI研究の中核を担うというよりも、AIの共生に向けた未来の知について考えていくこと、
さらにAIとAI時代の知財というところの人材育成も非常にミッションだと考えています。
今度、2025年ではWIPOのグローバルイノベーション指数トップ要因というところのKPI
も設定されましたので、やはりこれの積極的な周知と支援が必要ですので、この次の知財
戦略はこの観点も含めて、大学の知も含めて、議論していければと思います。
以上です。
○渡部座長
ありがとうございます。
続きまして、中村委員、お願いします。
○中村委員
AIとクールジャパンとコンテンツについてコメントします。
まず、9ページ目のAIなのですけれども、デジタル敗戦は、デジタルの開発の敗戦でな
くて、利用の敗戦を示す言葉で、AIについても日本が目指すべきは、AIの開発大国よりも
利用大国なのですけれども、利活用が進んでいないということで、AI敗戦を迎えそうであ
ります。これはAIリテラシーやリスク回避といった経営者のマインドの問題が大きいと思
うのです。
ここで9ページの上段に「『AIを使わない』ことが最大のリスク」と書いてありまして、
ここは太字で下線を引いたほうがいいのではないかという感じがいたしております。この
状況を転じるには、税・財政措置で誘導するよりも、こういうメッセージを経営層に届け
るほうがよくて、政策としてはアナウンスやプロモーションを強化するのがいいと考えま
す。先ほど梅澤さんがおっしゃったようなCEOアジェンダに加えていただきたいと思いま
す。
それから、クールジャパンです。コンテンツを起点とする戦略としているのですけれど
も、聖地巡礼のような地域の戦術に集中していまして、一方でファッションやビューティ
ーの付加価値向上というものも掲げているのですけれども、ここにコンテンツとの連動戦
略が欲しいところです。
韓国のKOCCA、韓国コンテンツ振興院は、コンテンツと家電、車などの他産業とのマッチ
ングで世界展開をするという戦略を推進して成功しました。これに倣うのであれば、コン
テンツとファッション、あるいは食といったものとの連携策がクールジャパンの中心であ
っていいのではないかなと感じます。
そして、コンテンツについて3点申し上げます。まず、コンテンツの海外売上の拡大は、
この10年余りの政策の成果であって、評価すべきだと思います。それで、その市場をさら
に3倍以上にするという高い目標を掲げているのであって、総合的な対策を継続する必要
があります。
一方で、中国では「クレヨンしんちゃん」と「はたらく細胞」の上映が中止されるとい
います。これは政治に簡単に左右される脆弱な分野でもあるということです。これを念頭
に置きつつ、産業でもあるとともに文化でもあるということを踏まえて、政治的に難しい
ことがあっても、だからこそ、文化交流のプライオリティーを上げるというスタンスで臨
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みたいところです。
それから、対策の一つである人材については、コンテンツをつくる、制作する人材に関
しては教育機関が充実してきました。これも政策の成果と言っていいと思いますが、今、
不足しているのは海外ビジネスを展開するマネジメント人材でありまして、つくる人だけ
ではなくて、売る人の対応が手薄です。
コンテンツビジネスの専門人材を育成するビジネススクールというものも乏しいです。
今、私はアメリカのエンタメMBAを誘致するという活動を進めているのですけれども、そう
した取組を国内に面的に広めたらいいのではないかと感じます。
それから、3つ目、海賊版です。クラウドフレアに対する損害賠償判決、福井先生、お
疲れさまでございます。
海賊版は総合対策をしいていて、法律の整備をはじめ、対応は進んでいるのですけれど
も、結局、刑事・民事で責任を問うのが効果的と私も考えます。これは今後、AIにも影響
を及ぼすのではないかと思います。村松委員の意見の中にもあることと関連するのですが、
日本はAIの学習をフリーに近づけたという結果、今、規制論も聞かれるのですけれども、
まだ学習フリーによる開発促進というメリットを生かし切れていないと思います。
問題は、生成AIで権利侵害コンテンツが爆発的に生まれてくるということで、それへの
対応をプラットフォーマーやAI事業者にも問わざるを得ない。これに対して、要請という
だけでは効果が薄いです。刑事・民事での対応を、だからといって、個別企業が下してい
くというのもしんどいですから、そこの後押しが必要になってくると思います。
以上です。
○渡部座長
ありがとうございます。
続きまして、田路委員、お願いいたします。
○田路委員
私からも1.の知財・無形資産への投資促進による価値創造のことについて、
3つほど意見を言わせていただきます。
まず、去年の推進計画2025において、68ページだったのですけれども、スタートアップ
支援の現状と課題というところで割とこだわってずっと意見を言ったのが、まさにこの知
財戦略支援人材の不足に対して、当時、私が言っていたのがCIPOというような、この物流
市場にできたCLOになぞらえて、こういった専門人材というもの自体をしっかり置くこと
であるとか、あと、知財を含む非財務資本の価値というものを明らかにしていくというこ
とを入れていただいて、その中で継続議論をしていこうとなっているのが、知的財産経営
を理解する、あるいは実践する経営人材の育成、それから、専門家人材の流動性の向上、
あと、先ほど申し上げた非財務資本の価値評価の実践。こういった包括支援パッケージの
さらなる検討をしていきましょうという項目をぜひ今期にも持ち越して、しっかり議論し
ていただきたいというものがまず1点目であります。
それで、何人の委員からも出ている無形資産の割合向上というところで少し私が気にな
るポイントとしては、無形資産の中に知的財産権というものが含まれていると思うのです
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けれども、この知的財産推進計画の中でやはり知的財産権を中心に無形資産を語るときに、
なかなか知的財産権をいわゆるバランスシートへ無形資産として計上するものの不自由さ
というものがずっと昔から言われているところで、なかなか無形資産に知財を計上するに
はいろいろな制約があるという理解をしています。私は会計の専門家ではないのですけれ
ども、例えば自分で取得している特許はそのまま計上できないであるとか、買収してきた
特許とか、そういったものに限定される、あるいはIFRSの基準とかにしっかり対応してい
ないと開発自体がそのまま計上できないだったりとか、こういった幾つかの会計上の制約
というものを取り除く方法を見つけていかないと、この知的財産を中心にした無形資産の
割合向上に寄与しないのではないかという問題意識を持っています。
最後が、この知財戦略というところで、実は最近、特定重要物資という定義があるので
すけれども、これは安定的な供給が滞ると社会経済への影響が大きい。そういったものを
特定重要物資と位置づけて、経済安全保障推進法の中で決められていくというものがある
のですけれども、その中にドローンが位置づけられるということがどうやら決まりそうで
す。私自身のドメインがそうだから特に注目しているのですけれども、やはり今期の推進
計画の中では、私は知財戦略と経済安全保障というものを結びつけた議論をぜひやるべき
だと思っていて、もはや知財というものはやはり国際標準戦略上、非常に重要な領域にな
っていると思っていますので、さっき申し上げたような経済安全保障における特定重要物
資の定義であったりとか国際標準戦略であったりとか、あるいは技術覇権戦略といったも
のはすべからく知財クラスターというものと結びつけて議論していくべきだし、ここをし
っかりコアに据えていかないと、なかなか日本が世界で勝ち続けるといいますか、勝って
いくことは難しいのではないかという問題意識なので、ぜひ知財を単なる経営資源という
ものを超えて、国家の技術試験であったりとか、あるいは供給網のサプライチェーンの強
靱化であったり、国際競争力の源泉であるという位置づけにして、しっかり経済安全保障
と結びつけた議論を今年の推進計画に盛り込んでいただきたいというのが私からの意見で
あり、願いであります。
以上です。
○渡部座長
ありがとうございます。
田中委員、お願いいたします。
○田中委員
私も戦略に関する大枠のところと、クールジャパンについてコメントさせて
いただければと思います。
本事務局の活発な活動によって、知財が社会の中で少し気になる存在になってきている
現状はあるものの、コーポレートガバナンス・コードの観点からダイバーシティーやサス
テーナビリティーには対応が重視され、知財のところはあともう一歩という現状がありま
す。何がボトルネックになっているのかを考えていると、この間も医療業界のスタートア
ップの話を伺っていたときに、医師の間でも、研究をしながら知財にしていかないととい
うことが出ると、若い研究者の方は割と対応姿勢である中、権威あるベテランの先生方が
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知財を研究と同時に進めることに懸念を示す方もいると聞きました。知財戦略によって、
目指す姿や、そもそものパーパスを、整理して改めて、いま一度、社会共通の概念にして
いくことに力を入れることができればと思います。
また、今、知財で利益を得られていないとの感覚もあるのに、知財価値と言っている割
には、M&Aの際の買収価格、のれんに響いてくるにもかかわらず、事業の中で明確にさせて
いない面もあるかと思います。これを常に明確にして、企業の中で実感していくことが大
切と考えます。
2つ目は、地域に関してですが、地元の企業は研究課題に関してやはり地元の大学、国
公立大学等によく声をかけていろいろなことを聞くと承知しています。先日、三重県伊勢
市で大きな庄屋だったところの蔵からいろいろなものが出てきました。文献はじめ歴史的
なものの内容を地元の大学の先生に見てもらい、後世に残しながらそこで何かをやってい
きましょうとなりました。次に、蔵を原型を大切にしながら改装しましょうとか、これを
機に歴史街並みのまちづくりしましょうというところに地元の若い建築家なども入って、
それは観光の新しいコンテンツになるところもありますし、文献からまた新たに日本文化
の研究というところにも発展します。例えばこれが地元の企業や方々と個々の先生の間で
止まっていて、大学の経営層のほうにまで届かないケースがあると感じます。
大学知財の発展には経営層の関与が重要です。経営層に話が入ってくるのは、海外の研
究者の方からの問い合わせがあるケースなどです。研究室単位で、大学の中の知財という
ものがどうしても情報が外に出ていないという現状もあるのかと思います。大学は研究と
知財をセットにして、エビデンスも明らかにしながら、唯一無二の特色として、大学の価
値向上になる特色を出し、その特色を知財とセットでアピールしていければ、かなり説得
力も高まると感じます。大学知財のガバナンスコードも前回お示しいただいていますけれ
ども、さらに強化されるといいかなと思っています。
また、クールジャパンにおいて、一つは今回、化粧品、ファッションに注力されるとい
うことで、ここは本当に可能性が大きいところですので、良いことだと思っています。ヨ
ーロッパのもの、韓国のもの、中国の人気のものが日本でもありますけれども、日本の商
品は、日本式のマーケットのブランドストーリーをしっかり構築して、日本の商品ならで
はの発信の仕方に注力できたらと思います。もっと価値高く売れるもが点在しているとこ
ろもありますので、サプライチェーン全体でとか、地元の素材を使って化粧品やファッシ
ョンというものをつくっているところが、連携したうえで、そこを一連にしてプロモート
していくということができればと思います。
もう一つは、やはり人材に関わりますけれども、プラットフォームは形成されている上
で、横連携がまだ少し足りないかと思います。活動している人たちがより深く、広くつな
がれるような仕掛けを、強化していくことができればと思います。また、観光において富
裕層向けの付加価値の高い商品、日本の材料を考えていると、多様な方をさらに巻き込ん
でいきたいところです。例えば外資系企業のエグゼクティブで諸外国から日本で勤務され
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ている方のパートナーが日本人という方々もお見えで、経済界の中でも文化交流もできて
人的交流もできているというところもありますのでクールジャパンの枠組みにもぜひ協力
をしてもらえたらと願います。これまでも留学生、クリエーターの方がどんどん入っても
らい広がっていますので、ネットワークの拡大を図りたいと思います。
よろしくお願いします。
○渡部座長
ありがとうございました。
本田委員、お願いします。
○本田委員
今年度議論すべき論点をおまとめいただきましてありがとうございます。私
も1点目の知財・無形資産への投資促進というところでおまとめいただいているところ、
大変感謝しております。
大学の知財の価値化というようなところで日々、活動を進めている中で、やはり産学連
携推進のボトルネックになっているというようなところは無形資産に対する適切な価値評
価がなされていないというように感じております。そもそも、やはり知財の価値が評価さ
れないと大学の知的財産というものを流通させるといったときに、その価値評価がなされ
ていないことによって導出が進まないという理由もあろうかとは思います。
いつも言われるのは、米国と日本の知財の収益の比較といったところもありますけれど
も、背景にはこういう価値評価というものが日本では低いというようなところもあろうか
とは思いますので、ぜひ今回、こうした1点目の知財価値評価をこの場で議論させていた
だけるというのはありがたく存じます。やはりそこが適切に行われていきますと産学連携
の景色も変わってくるのではないかと思っておりますし、実際、今、日本の中ではスター
トアップ環境というものは随分改善されて、多くのスタートアップが出てきておりますの
で、スタートアップの出口戦略の一つであるM&A等のお話においても適切にスタートアッ
プの価値を評価して、大企業さんに導出が進む環境になればよいと思っております。こう
した視点からいい発信ができればいいと思っております。
あと、2点目、知財投資戦略という点ですけれども、大学にいますと多くのベンチャー
キャピタルさんとお会いするということがございます。日本の中のベンチャーキャピタル
さんもありますし、米国のVCとも接点があります。やはり日本とアメリカの違いみたいな
視点でいきますと、例えば大きな創薬ベンチャーみたいな開発資金が、すごく大きな資金
が必要になるというようなケースですと、そもそものスタートアップを立ち上げるタイミ
ングからベンチャーキャピタルが複数連携して投資するというようなことがアメリカでは
行われているようです。一方で、日本では1社で投資して、だんだんスケールアップして
いくに当たって大きな資金が必要になる。そういうときにようやくVC間の連携が始まると
いうような流れになっているのですけれども、そのタイミングで複数連携しましょうとい
っても、なかなか連携が進まないということもあります。そうした背景もあって、アメリ
カでは最初から連携するというような戦略で、きちんと一つのスタートアップを推進して
成長させていくというようなことが行われていると聞いております。
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そういう視点でいきますと、この書類の中で、スタートアップではないのですけれども、
日本の中でももっと連携によって高い目標を達成するというようなことを行っていかなけ
ればいけないのではないと思います。例えば国際標準戦略の中でも個社という言葉がある
のですけれども、本当に個社に頼るのがいいのか。やはりきちんと連携して、大きな目標
を達成するということをしたほうがいいのか。例えば日本のコンテンツに関しても、それ
ぞれ配信するという形ではなくて、連携によって大きなマーケットをつくっていくという
必要性もあるのではないかということを考えておりますので、この中でもう少しうまく連
携によって知財・無形資産の投資戦略みたいなことが進むことも検討いただければとは考
えております。
あと、最後に、意匠に関してですが、意匠はこれまで保護対象に関して改正が度々行わ
れています。こ、一方で海外はどうなのか。そういう海外で同じような、いろいろな製品、
画像表示が出てくるというような視点でそれほど改正しているのかと疑問を感じておりま
す。そういう視点でグローバルに、日本の意匠登録出願というものがグローバル展開する
みたいなときに、やはり他国との制度の違いがネックになって、例えば日本の意匠登録出
願が少ないみたいなことがあるのであればちゃんと、せっかく改正といった言葉も挙がっ
ておりますので、そういう視点での見直しみたいなことも検討いただいたほうがいいのか
なとは思いました。
私から以上です。
○渡部座長
ありがとうございます。
では、松山委員、お願いします。
○松山委員
多岐にわたる論点を、いつもながら、きれいに整理していただきましてあり
がとうございます。私のほうからは2.のAI・デジタル時代の知的財産制度の構築という
点についてコメントさせていただいます。
AIに関連する部分は、本当にいろいろな官公庁でいろいろ検討もされているところでし
て、特許庁などのほうでも議論がされているところだと思います。AIを使った発明などに
なると、AIの開発者さんなどもいらっしゃるので、関与の程度によっては、発明者が誰か
という点など、新しい論点と思われる点も出てきており、理解の整理も含めて、AI時代に
即した議論を引き続き行うべきかなと思っているところです。この資料にも記載されてい
るとおり、ネットワーク関連発明の話などもあり、最高裁が出たことなども踏まえて、議
論を行っているところではありますけれども、いずれにしろ、そういった時代の変化に伴
い生じる問題点については、対応の要否も含めて議論が必要かなと思っているところです。
資料の2.の14ページのところで気になったといいますか、AIの話では必ずしもないよ
うなのですけれども、知財訴訟の件数が減っているというお話のところで、この審決取消
訴訟が減っているのは多分、無効審判に代わりうる制度として異議制度ができたこともあ
り、無効審判の数が減ってきており、異議制度は審決取消訴訟を起こせないので、これに
伴い減っている部分もあるのだろうなと思うのですけれども、特許訴訟の件数が減ってい
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るというのは、減ってきたねという話はよく出てきているところでして、この点につき、
どのような原因が考えられるかと資料に書いてありまして、そこに明確な答えをもってい
るわけではないのですけれども、日本での特許の利活用ができていない方向での減少だと
それは問題だなと思っております。水面下でうまくライセンスができているとか、訴訟以
外の調停などの活用が進んでいるということであれば、必ずしも利活用ができていないわ
けではないのかもしれないのですけれども、単に訴訟の件数が減っているというのはどん
な原因なのかなと思っております。
この点、よく特許法の制度の話になると、他国みたいに懲罰的な賠償請求が日本はでき
ないので、やはり魅力的ではないのではないかという話がよく出てきて、懲罰的ではない
にしろ、もう少し高額になるよう、損害賠償の改正をしようという話になりがちなのです
けれども、そこ自体は何度か改正もされていて、実際に最近では200億円を超すような損害
賠償請求が認められたりと、それなりにインパクトのある金額の訴訟も出てきているので、
そこではないのだろうなと思っているところで、何か分析ができないのかなと思っており
ます。技術分野ごとの訴訟件数の割合であったりとか、何か傾向が見えないのかとか、調
べられたりしないのかなと個人的には思っているところです。
あと、企業の方にアンケートとかも取れないのか。利活用をどう考えているかといった、
訴訟をどう考えているかだけを聞くわけではなく、その原因はやはり、今までの話の中に
もあったような、経営戦略の中に知財の人が入っていないということが原因で、うまく知
財を活用できていないところもあったりするのかなというところがあるので、その辺の分
析が進むような、アンケートであったり、既に出ている統計データの分析であったりをし
て、何か原因がいろいろ分かってくると対応もまた道筋が見えてくるのかなと思っており
ます。
私からは以上です。
○渡部座長
ありがとうございます。
では、杉村委員、お願いします。
○杉村委員
太田参事官におかれましては、御丁寧な御説明、誠にありがとうございまし
た。私からは、まず、国際標準戦略について意見を申し述べさせていただきます。
先ほど御説明いただきましたように、2025年6月に新たな国際標準戦略が決定されまし
て、日本における半導体・素材等の重要領域、そして、量子・情報通信等の戦略領域が選
定されました。特にテクノロジーの分野においては、国際標準化戦略と標準必須特許とは
両者が非常に密接な関係があります。したがいまして、国際標準化活動を推進するに当た
りましては、戦略的に、そして、適切なタイミングで標準必須特許の取得ができるような
仕組みづくり、例えば審査等の仕組みづくりについても今後は検討が必要でないかと思っ
ております。また、重要領域、そして、戦略領域においては、私の勉強不足かもしれませ
んけれども、他国におきまして、どのような標準を取得しているのか、また、標準必須特
許がどのような数・分布になっているのかというようなマッピングをしていただいて見え
23
る化していただき、そして、日本がどの重要分野、戦略領域に注力していくかを検討する
ことでまた新たな戦略が立てられるのではないかと思っております。
また、国際標準戦略が国家戦略の一つとして決定されましたので、コーポレートガバナ
ンス・コードにおきまして、4ページに簡略化・スリム化ということが検討されているよ
うでございますが、ぜひコーポレートガバナンス・コードにおきましては、知財・無形資
産、そして、標準というポイントを明確に明記していただき、経営戦略に組み込んで、官
民一体となって国家戦略である国際標準活動を推進していくべきだと考えておりますので、
この知財・無形資産・標準がスリム化の対象にならないことを強く希望いたします。
11ページ、13ページの特許法・意匠法の改正等の検討の論点は適切であると思っており
まして、特許制度小委員会、意匠制度小委員会等で議論されているところでございますが、
若干、環境の変化のスピードと議論のスピードについては開きがあるように思えます。し
たがいまして、内外知財関係者に実質的なインパクトや影響を与えるにはまだ至っていな
いと思いますし、日本国内におきましても特許・意匠実務の盛り上がりに寄与することに
も至っていないのではないかと思っております。12ページ、13ページのネットワーク関連
発明等につきましては、これまで議論してきたと思いますので、報告書等の形で速やかに
公表していただくことがよいのではないかと思っているところでございます。
それから、11ページについてです。このテーマについても特許制度小委員会で検討をし
ているところですが、この場でも意見を申し述べさせていただきたいと思っております。
ここでの資料では、発明者については関与の程度ということでパーセンテージで示されて
おりますが、発明者については多くの判例が出ておりまして、発明者についての考え方は
確立しております。したがいまして、人の関与をパーセンテージで示すのではなくて、こ
れまでの判例の発明者の確立している考え方に当てはめて考えていけばよいのではないか
と思っております。 したがいまして、ファインチューニングをした人であったとしても、
プロンプトを具体的に入れた人であったとしても、これまでの判決で確定している発明者
の考え方に該当すれば、発明者から除外する必要はないと考えているところでございます。
発明該当性につきましては、AIによる発明かどうか、審査実務上、実際には分かりませ
んので、29条1項柱書に該当するかどうかということを仮に審査すると審査の遅延が起こ
ります。したがいまして、現在、安定的に適用されている審査実務を考慮いたしますと、
引用適格性についても関係しますが、発明該当性及び引用適格性は認めて、先ほど申し上
げました発明者該当性のところで何らかの判断をしていくのがよいのではないかと考えて
いるところでございます。
それから、14ページの特許権侵害訴訟の減少傾向でございます。実務家として感じてい
るところを申し上げますと、近年のアジア全体のビジネス市場、そして、関連特許権侵害
紛争市場における日本のビジネス市場及び関連特許権侵害紛争市場の地位の相対的な低下
を反映したものだと思います。これに関してはなかなか特効薬というものは思いつきませ
んが、中長期的に考えますと、海外企業の研究拠点を日本に呼び込んでいくということが
24
将来的に特許出願が増えて、その結果侵害訴訟の数の増加にもつながるのではないかと考
えております。
また、審決取消訴訟の現状でございます。実務家として感じているところは、分割出願
を多く利用していることも一因ではないかと思っております。査定系のものにつきまして
は、審決取消訴訟はしないで、分割出願のほうで特許化を図っていくというようなことが
多くあります。
それから、調停につきましては、私のほうにも外国のグローバル企業から日本の調停制度、
すなわち、日本の裁判所で調停している制度について興味があるという問い合わせがあり
ます。訴訟よりも日本の裁判所での調停を利用したいということで裁判所での調停制度の
仕組みについて教えてほしいとの問い合わせが海外企業から出てきているところでござい
ます。
それから、ファッションについての御説明もございました。韓国におきましてはファッ
ション関連の意匠については無審査ということです。無審査にすることで意匠登録出願の
件数が上がったと韓国特許庁から聞いております。ファッション関係の「物」は、寿命が
短いということで、無審査とすることで多くの出願につながった韓国の現状も踏まえて、
今後、意匠出願件数を増やして、利用しやすくするために、どのような制度にしていくか
ということを検討していくことも必要ではないかと思っております。
最後になりますけれども、コンテンツ産業につきましては、ものづくり産業と同様に、
日本の基幹産業と位置づけて強力に支援していく必要があります。34ページ、そして、36
ページに税制のことについて言及がありますが、ものづくり産業が利用可能な研究開発税
制やイノベーション拠点税制と同様な税制、もしくは類似の税制をコンテンツ産業にも利
用可能とすべきようにしていくことを検討していくというのが重要ではないかと思ってお
ります。
以上です。
○渡部座長
ありがとうございます。
オンラインで御出席の黒橋委員、お願いいたします。
○黒橋委員
AI関連を中心に、4点ほど簡潔に申し上げたいと思います。
まず、データのAI学習については、今のところ、日本も非常にAI学習のしやすい法律に
なっておりますけれども、これをもう少しめり張りのある形で整理していくことが重要か
と思います。既に御指摘のあった海賊版の対策等、クリエーターの保護というものはもち
ろん重要なわけですけれども、著作者・クリエーターが自分の作品をAIに活用させるとい
うことをどの程度、どういう条件で、どういう目的のために活用させるかということをも
う少し宣言することができて、それに基づいて自動的にコンテンツを集めて学習するとか、
そういうことができるような枠組みが必要ではないかと思います。特に、目的で限定する
場合もあると思います。例えば今後、AIで教育というものは本当に非常に重要になってく
ると思いますけれども、そのときに教育的な、公的な目的のためには自分の著作物は使っ
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てもよいということが宣言できることが必要かと思います。
加えて、もちろん、公的なデータとか学術的なデータをライセンス整備すること、機械
可読な形にして、再利用の形にして、AI学習に使わせる。これは非常に重要かと思います
し、また、公的資金でデジタル化されたような文化資産的なデータについても、二次利用
の条件を明確化して、ソブリンモデルといいますか、日本のことをきちんと分かったモデ
ルの学習に活用するということは重要かと思います。
2点目は、AIの活用がなかなか日本で進んでいないという点ですけれども、これは例え
ば省庁ですとか、そういうところでの活用もどんどん進めていっていただく方向かと思い
ますけれども、例えば特許の審査などにおきましても、ディープリサーチというような機
能も含めて、審査の予備審査といいますか、審査のための資料をつくるという意味ではか
なりの程度、活用できる世界に来ていると思いますので、これもできればセキュアな、し
っかりした国のモデルをつくって、そういうところに活用していくということは早く進め
る必要があるのではないかと思います。
3点目、AIの進展に関係しまして、資料にもいろいろ議論がありましたけれども、文化
的といいますか、文脈を考えたような翻訳をきちんとするということがありましたけれど
も、でも、これは逆に、AIでかなり自動化できる世界になってきておりまして、むしろ、
今、プロの翻訳者が仕事が減ってきているというような傾向もあります。しかし、もう一
歩踏み込みますと、やはり文化ファシリテーターといいますか、文化コミュニケーターと
いいますか、日本のいろいろなコンテンツを海外に出していく上で、翻訳を超えたレベル
のものをいろいろ考えていくべきこともあると思うのですけれども、そういうところに例
えば翻訳者が取り組んでいくようなことを少しサポートするような仕組みがあっても面白
いのではないかと思いました。
最後は、AIには特に限らないのですけれども、昨年度、何度か申し上げたかもしれませ
んが、例えば今回の資料でも、韓国ですとかドイツですとか、そういうベンチマーク、リ
ファレンスとなる国との間の議論をするときに、様々な特徴量といいますか、国の間でど
ういう特徴があるか、制度があるかということをもう少し定量化して、データドリブンな
分析をした上で議論を進めることができれば、より具体的な方策・対策が見えてくるので
はないかという気がいたします。
以上です。
○渡部座長
ありがとうございました。
それでは、最後、林委員、どうぞ。
○林委員
事務局におかれましては、今回の周到な論点整理を御準備いただきましてあり
がとうございます。私からは3点申し上げたいと思います。
最初に、福井先生から先ほど御紹介のあった11月19日東京地裁判決はまさに待ちに待っ
た画期的な判決でございますので再言させていただきます。日本の出版4社が原告となっ
て、海賊版サイトの媒介行為をしている媒介者、CDNである被告、クラウドフレア社に対し
26
て著作権侵害訴訟を提訴した件で、このほど東京地方裁判所が極めて明確に媒介者の責任
を認めて、請求満額の損害賠償を認めたという画期的な判決でございまして、知財分野の
法曹の末席の一人として改めて関係者の皆様に敬意と感謝を申し上げたいと思います。
論理的には、この媒介者の責任は、侵害通知を受けながら放置した媒介者の責任という
ものは、法理論的には当然のことなのですが、これまでの知財の判決例、商標権でも認め
られておりましたが、海賊版サイトについては件4年かけて判決で明確に認められたもの
です。このように、合理的な侵害通知を受けながら侵害状態の場を維持し続けている媒介
者には相応の責任を負わせることは侵害の抑止力として非常に重要だと思います。したが
って、こういう形の媒介者の責任を著作権法の明文で確認的に定めることも有益ではない
かと考えております。
2点目は、論点4.のクールジャパンです。いろいろな視点で進めていかなければいけ
ないということで多分、20年ぐらい、ずっとクールジャパン施策を進めているような気が
します。今回の訪日外国人旅行客の地方周遊の視点でコンテンツ地方創生拠点を2025年度
中に約20か所選定するという施策を進める上では、地方での受入環境整備として二次交通
の確保が非常に重要だと思います。地方では人口減少が進む中、経営が成り立たず鉄道・
バスの廃線や減便が物すごいスピードで進んでいまして、特に観光で外国の方が行きたい
と思うような日本の地方のエリアは人口が5万人以下とか3万人以下も多く、そういう地
域の交通空白は非常に深刻になっております。
ましてや、今年は熊のおかげで犬の散歩にも行けない、今まで歩いて通学できた子供も、
お母さんがみんな1人1台で自家用車で送って行かなければいけないとか、町なかの飲食
店もお客さんが減っていますというような状況です。国土交通省が交通空白本部をおつく
りになって様々な対策を検討されているところですが、今回、このコンテンツ地方創生拠
点を設けるに当たっては、二次交通の確保のために、国交省の交通空白本部と連携して、
各自治体において、道路運送法で認められている各種形態のサービスの担い手を確保して
いくために柔軟な運用が可能となるような施策を、講じていっていただくことが必要では
ないかと思います。
最後に、3点目は、論点2.のAIについてです。今後、AI本部の下でAI基本計画や、ま
た、この構想委員会の中でかねて設けられているAI時代の知的財産権検討会で指針などを
検討されて議論が進むと思うのですが、私の思うところを述べさせていただければと思い
ます。
御案内のように、生成AIの技術の進歩は非常に速く、AI制度の将来像もかつてないほど
不確実と言われています。日本での利用状況についても、今回のペーパーでは、非常に他
国より低いと言われているのですが、ただ、昨年の2024年12月時点と比較して、今年の2025
年7月時点ではかなり利用状況が上がっているということがNIRA総合研究開発機構の第3
回デジタル経済社会に関する就業者実態調査速報で発表されていります。したがいまして、
この報告書を出す頃にはまたどうなっているか分からないところでもあります。また、将
27
来像についても、御案内のように、欧州のAI法についてはアメリカから、第二次トランプ
政権において大統領も副大統領も欧州議会に対して様々な意見を表明している中、一昨日、
欧州委員会が11月19日にAI規制の緩和案を発表されて、高リスクに関する施行は最大16か
月延期するということを発表されております。そういう中で我が国として、これから出す
指針をどういうものにしていくかというのは本当に難しいところで、検討会の先生方は本
当に大変だなと思っております。
私の視点としては、今年6月に公正取引委員会がAI実態調査報告書を発表されておられ
まして、日本社会における生成AI関連サービスの提供者の市場構造を見ると、サービス提
供者があらゆるレイヤーにおいて専ら外国企業で占められているという現状が明らかにさ
れております。また、それら外国企業間でのパートナーシップも進んでいるという中で、
今後、我が国がEU的な精緻な規制や規範をハードにしてもソフトにしても策定したとして
も多分、それを真面目に守るのはもともと慎重な日本企業だけかもしれないということを
危惧しております。他方、IPAの最近の報告書でも、日本人はAIに対する深い理解はないが、
楽観的に捉えているというアンケート結果があります。そういう日本社会において、よく
分からないうちに生成AIの利用が個人及び企業の間で普及し始めているという現状があり
ます。
利 用 者 目 線 で 考 え ま す と 、 サ ー ビ ス 利 用 の 大 宗 を 占 め て い る OpenAIの ChatGPTと か 、
GoogleのGeminiとか、MicrosoftのCopilotなどでは、無料の生成AIの利用規約も、有料の
生成AIの利用規約でも、正文はいわゆるIT約款特有の表現で書かれた英語でありまして、
日本語は参考訳なのですよ。FAQも出されているのですけれども、機械翻訳なのかなと思う
ような日本語でして、一般の方がどこまで利用規約を理解して使っていらっしゃるのかは
非常に不安なところでもあります。特に利用規約において、無料版や個人プランでは入力
データがAIの学習に利用されることがあるのかどうか。また、法人向けのプランでもデフ
ォルトで学習利用がオフになっているのかどうか。個人プランでも設定によってはオプト
アウトが可能なのか。そういったことをよく読めば書いてはあるのです。ただ、それを本
当に理解した上で使っていらっしゃるかは疑問です。
会社で導入する場合には、いろいろな安全弁の制度や利用規約などをおつくりになると
思いますけれども、会社以外で個人で社員さんが使ってしまっている場合に、リスクをよ
く分かっていなくて、入れてはいけない営業秘密情報などのデータを入れている可能性も
あるかもしれません。そういったことについて、やはり消費者保護的な観点から、今、言
ったような利用者の入力データがAIの学習に利用されることがあるのかないのか。また、
簡単に利用されない設定にできるのか。利用者が入力したデータが第三者への出力に含ま
れる可能性があるのかないのか。簡単に出力に含まれないような設定にできるか。これを
分かりやすい日本語で利用者に対して説明、表示すること。また、相談窓口の整備という
ものは最低限の消費者保護として必要ではないかと思います。したがって、まずはこうし
た観点での利用者のための手引の整備をサービス事業者に義務づけることが急務ではない
28
かなと思っております。
よろしくお願いいたします。
○渡部座長
ありがとうございました。
これで皆さん、御発言を1回はしていただいたかと思います。ありがとうございました。
御発言を伺って、何点か、私のほうもコメントさせていただければと思います。全体的
に今日は無形資産関係、無形資産に対する投資、活用、それから、評価についての問題意
識というものが多かったかと思います。特に中小企業が問題とか、いや、それでも大企業
も課題があるのだというような話もございました。
あと、田路委員から、自己創設された知財の話で、バランスシートに乗せるのが難しい
という話がありました。これは国際会計基準上、そこを認められていないというものがあ
って、なかなか難しいのですけれども、一方で企業が、これは自分の知財が活用されてい
るということを認識して、それがきちんと統合報告書等で開示がされれば、それは評価に
は効果があるわけですけれども、最近聞いた話でも、日本の企業は物と知財があって、物
に全部、取引を化体させてしまうという、だから、本当は商標とか著作権とかでも全部、
物にして、物の代金として取引をしているという傾向が非常に日本の場合は強いことがわ
かっています。昔、自分でもやったことがあるので、物と知財ライセンスは別ですという
と、怒られるという慣行があるのです。
だけれども、これは実は無形資産価値の話と関係していて、そこを分離してちゃんと認
識するかどうかで、それは対外的にも公表するときに、それは知財の貢献で、これだけ事
業に貢献しているということができるのだと思うのですが、この話は、実は海外との取引
で言うと関税にも関係します。今、関税が話題になっておりますけれども、関税は物にし
かかからないですね。製造技術とかの特許だとものと分離はできませんけれども、著作権
とか商標などは基本は分離していれば、そこは関税の対象にならない。逆に言うと、今ま
での日本の取引のやり方をそのまま海外でやると損してしまいます。不要な部分に関税が
かかってしまう。これはちょうど、そういうこともあって、先ほどCEOの方になかなか認識
されないみたいなこともあるのですけれども、今まで損していますみたいな話ができると
少し違うのかなと感じております。
もう一つ、これは特に観光産業とか、地域の担い手のほうです。これは明らかに、今、
地域経済は供給不足になってしまっていて、旅館とかが稼働率があげられないのです。人
がいなくて、だから、そちらのほうが、経済の場合は需要と供給で、供給が限界になって
しまっていると、幾ら需要を喚起してもそれ以上発展しないのですけれども、これは担い
手を考えないといけないと思います。デジタルをうまく活用する。ただ、それをやる人が
さらにいないとか、やはり地域で大学とかが重要な担い手かと思います。今、スタートア
ップとかでも、ハイテクのスタートアップはそれはそれでいいのですけれども、今の学生
さんは地域課題の解決をやりたいという学生も多いので、そういう人的資源をうまく活用
することでこういう問題をうまく解決できないかなということを思いました。
29
それから、中村委員の、AIを使わないことが最大のリスクという、この御発言は、実は
昨日やったAI事業者ガイドラインでも出てきまして、必ず入れましょうという話になって
います。こちらでもこれは入れたほうがいいのだろうなと思いました。
あと、田路委員の経済安全保障との関係で、これは実は国際標準戦略のほうではかなり
経済安全保障という基軸を入れております。そういう観点で、経済安全保障というものは
何かというと、いわゆる民需ではなくて官需なのです。官需のために必要なものを別枠で
検討しましょうということでありますので、その観点は特定重要物資だけではなくて、国
際標準でも知財の今の重要な役務の提供、役務は物資とは違うのですけれども、そこに関
連したものとか、そういうような観点で少し議論してもよいのかなと思いました。
田中委員が、若い研究者があれではないかとか、先生が病院とかなかなか忙しくてとか
と言って、それは病院の場合は、いや、手術なのでと言われると、こちらも何とも言えな
い、特許の話とか発明の話はやはり手術のほうが大事でしょうと言わざるを得ないのです
けれども、一方で、例えばその他の分野でも、そもそも知財の浸透が難しい分野があって、
例えば農学系というものは実はなかなか知財の啓発が難しい分野だということで、なかな
か特許とか、そういう話が浸透しにくいというところがまだ残っています。ここは大学知
財という観点で少し改善ができないか。
これは、実は東大だけしかやらなくて、あとは誰もついてこないのですけれども、知財
報告書を東京大学は3~4年前から出しておりまして、統合報告書の民間の知財の開示と
同じように、大学も知財の開示をしておりますが、これはもうちょっといろいろな大学で
やってもらってもいいのではないか。そうすると、今みたいな話が、なぜ、それをやるこ
とが意義があるのかということを浸透させることに役に立つのではないかと思いました。
あとは細かいところですので割愛しますが、最後、東京地裁の判決は本当に敬意を表し
たいと存じます。これはまさしく、幾ら法律をつくっても判決が出ないと定着しませんの
で、ただ、誰かほかの人がやってくれればいいとなってしまうと、それがなかなかたどり
着かないで、これは本当に敬意を表したいと思います。まだ一審ではあるとはいえ、やは
り重要な判決だったと思いまして、これをいかにして普及させるかということが重要かな
と思いました。
簡単にコメントさせていただきましたが、大体、これで予定の時間になってしまいまし
たので、すみません。もう一巡と言っていましたけれども、もう一巡の時間がなさそうな
のですが、何か一言でもどうしても言いたいとかということがございましたら。
よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございました。貴重な御意見をいただきまして、知的財産推進計画2026に向
けた検討を進めてまいりたいと存じます。
最後に、中原事務局長より一言御発言をいただければと思います。
○中原局長
本日も、非常に貴重で活発な御議論を誠にありがとうございました。本当に
心に響くといいますか、そういう御指摘をたくさん頂戴したと思っております。
30
一番最初の、知財・無形資産あるいは知財経営という話について、これをCEOの課題にし
たいということは、本当に私どもも気合を、気持ちを込めて、今年度の取組で、今年度こ
そ取り組みたいと思っておりまして、かつては私も若かりし頃、知財経営と、研究開発と、
それから、経営戦略というものは三位一体だとか、したがって、これを三位一体でやるの
が必要だとか、いろいろ名前を変えて、どう取り組むかというようなことをしてきたので
すけれども、残念ながら、まだ解決の道筋が十分に見えていないということだと存じます。
それで、先ほど太田のほうからも紹介させていただいたのですけれども、知財検討会に
ある、これはそのままで、ちょっと僭越な言いぶりかもしれませんが、経営層が知財・無
形資産の本質的価値を理解しておらず、知財部が経営戦略や価値創造ストーリーに関与で
きていないことが課題というものが結構多くの方がおっしゃっているということとか、あ
るいはいろいろな経営戦略を立てるときに、知財が入っているというものを見たことがな
いというような御指摘もあったりしますと、これは非常に相当深刻な、心して取り組まな
ければならない課題ではないかと思います。
むしろ、最近、失われた何年とかという指摘をされることもあるのですが、これは私、
個人的には、知財に携わる方々が生き生きとセンターで活躍するアリーナをつくるという
ことが成長戦略の最も重要で唯一の解だとも思っていまして、いろいろな課題はあるので
すけれども、これなくして先には進まないだろうというくらいの気持ちで思っております。
コーポレートガバナンス・コードの中で、中長期の課題とか、あるいはものを含めなが
ら、経営戦略のみならず、知的財産といったものの重要性というものは当事務局の数年前
の御尽力いただいて、そのコードの中に位置づけられているわけですけれども、これを実
装していくか。もちろん、今回のコードの見直しはもとより、これをどう実装していくか
というところが非常に重要なものだと思っていまして、一部の機関投資家の中にはそうい
ったことを必ずしも理解していないのではないかというような御指摘も企業経営者の皆様
の中にはございます。
しかし一方では、この検討会の委員の方もおっしゃっておられたのですけれども、そう
いう中長期の、IPを活用した経営戦略というものを評価する機関投資家というものは海外
には結構たくさんいて、そういう方とエンゲージメントを結んで、しっかりとした経営戦
略を立てているという企業はいっぱいあるのです。ところが、日本でそういう発信ができ
ていますかという御指摘を受けたりすることもございます。いずれにせよ、成長分野に向
けて、非連続で、そして、IPを使ってレバレッジをかけるような経営戦略というものが進
んでいくような取組を私どもは目指してまいりたいと思っております。
それから、標準戦略について、遠藤委員からの御指摘を踏まえて、いろいろな官民の戦
略プラットフォームをつくるというような取組をさせていただいておりますけれども、経
済安全保障の観点も含めて、基本的なアーキテクチャーをどうつくるかということを超え
て、各論で勝ち負けをつけるような気持ちで取り組んでいくというような取組をしていか
なければいけないだろうと改めて決意をしているところでございます。
31
それから、クールジャパンとかコンテンツについては、今、調子がよくても、足元の人
材が必ずしも育っているのかということになると、また将来、大きな危機を迎えるかもし
れませんので、今、足元の好調だと見えるところの人材をもしっかりと育成していく。そ
して、海外展開に当たっては、どちらかというと、日本企業の皆様は個別におやりになる
方が多かったかもしれませんけれども、ここはひとつ、海外展開というところでは協調し
て進めていくというような動きも進めてまいりたいと思っておりますし、そして、地方に
おける交通インフラ、その他の取組についても各省庁とよく連携して進めてまいりたいと
思っております。
AIの関係につきましては、今後、当事務局で、御提言いただいたとおり、法・技術・契
約ということを三位一体としてアジャイルに展開できるように、そして、権利者と利用者
のバランスというものをしっかり取りながら、利用大国になるようなことを目指しながら
進めていこうということでありますので、各プレイヤーの取組を誘発するようなものを進
めてまいりたいとも思っております。
最後に、これだけイノベーションといいますか、新しいものへの取組が必要とされる中
においては、物事を柔軟に早く解決するという話になりますと、やはり一定の司法的なイ
ンフラによる解決というものはどうしても重要になってくるのだと思います。本当にクラ
ウドフレアの、福井先生あるいは事業者の皆様の御尽力によって一定の結論が出ているわ
けでございますけれども、全般的に、先ほども松山委員からも御指摘があったように、あ
るいは杉村先生からも御紹介いただいたように、このインフラが十分に機能しているかど
うかということも含めて、もし不十分な点があるとすれば、これは将来にわたっての大き
な障害にもなりかねませんので、その辺りもしっかりと勉強してまいりたいと思います。
本日は、本当に貴重なたくさんの御議論ありがとうございました。多くの貴重な指摘を
いただきましたので、私どももまた心して取り組んでまいりたいと思います。引き続き、
どうかよろしくお願いいたします。
○渡部座長
ありがとうございました。
本日の会合はこれで閉会とさせていただきます。事務局より連絡があればお願いいたし
ます。
○太田参事官
ありがとうございます。
本日、たくさん御意見をいただきました。本日の議論を踏まえまして、今後は部会ある
いはワーキンググループ、事務局等における検討を進めてまいりたいと考えております。
次回の構想委員会の開催につきましては、冒頭、スケジュールで示させていただきまし
たように、来年2月頃ということで予定させていただきます。
以上、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
32
資料1
資料1
知的財産推進計画の検討体制とスケジュール
令和7年11月
知的財産戦略推進事務局
「知的財産推進計画」について
〇「知的財産推進計画」とは、知的財産基本法に基づき、知的財産戦略本部が、知
的財産の創造、保護及び活用のために政府が実施すべき施策の基本的な方針等
を定めるものである。
〇「知的財産推進計画」は、2003年以降、毎年決定されており、2025年6月に「知
的財産推進計画2025」が決定された。
【知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)(抜粋)】
第二十三条 知的財産戦略本部は、この章の定めるところにより、知的財産の創造、保護及び活用に関す
る推進計画(以下「推進計画」という。)を作成しなければならない。
2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 知的財産の創造、保護及び活用のために政府が集中的かつ計画的に実施すべき施策に関する基本
的な方針
二 知的財産の創造、保護及び活用に関し政府が集中的かつ計画的に講ずべき施策
三 知的財産に関する教育の振興及び人材の確保等に関し政府が集中的かつ計画的に講ずべき施策
四 前各号に定めるもののほか、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を政府が集中的かつ計
画的に推進するために必要な事項3 推進計画に定める施策については、原則として、当該施策の具
体的な目標及びその達成の時期を定めるものとする。
(以下略)
1
知的財産戦略の推進に関する体制
知的財産戦略本部(知的財産基本法第24条に基づき2003年に設置)
(本部長:内閣総理大臣、副本部長:内閣官房長官、知的財産戦略担当大臣(※1)、文部科学大臣、経済産業大臣
その他の全閣僚及び民間有識者(10名)で構成)
知的財産推進計画を毎年度策定(知的財産基本法第23条)
事務局
策定
構想委員会(民間有識者で構成)
知的財産戦略推進事務局
知的財産推進計画
知的財産基本法に基づき、知
的財産戦略本部が決定する政
府全体の推進計画。2003年か
ら毎年策定している。
「知的財産推進計画2025」は
本年6月3日に策定。
推進計画素案等のとりまとめ
総合調整
・実行
知的財産(※2)の創造、保護及び活用の推進を
図るための基本的な政策に関する企画・立案及
び総合調整。(内閣府設置法第4条第1項第6号)
事務局
①「知的財産戦略ビジョン」に掲げた「価
値デザイン社会」実現のための中長
期の方向性及び具体的施策の構想
②各種施策の実施状況の検証・評価
③毎年度の知的財産推進計画の素案と
りまとめ
実行
農林水産省
法務省
(文化庁)
著作権
産業財産権(特許、
商標、意匠など) 文化芸術振興
標準化
産学連携
コンテンツ振興
不正競争の防止
(※1)知的財産戦略担当大臣
・・・・
財務省
育成者権
地理的表示
情報収集衛星
水際措置
訴訟制度
警察庁
放送・通信
気象衛星
<内閣府設置法第9条に基づく特命担当大臣>
開発・運用
運用等
・知的財産の創造、保護及び活用の推進を図るための基本的な政策に関する事項
取締
国際連携
地球観測衛星
利用等
(※2)「知的財産」:①人間の創造的活動により生み出されるもの(発明、意匠、著作物、植物の新品種等)、
②事業活動に用いられる表示(商標等)、③事業活動に有用な技術上又は営業上の情報(営業秘密等)。
(知的財産基本法第2条第1項)
2
「知的財産推進計画2026」の検討体制(2025年11月~2026年6月)
知的財産戦略本部
構想委員会
コンテンツ戦略WG
クリエイトジャパンWG
国際標準戦略部会
知財計画のうちコンテンツ戦略に係るパート
について審議
知財計画のうちクールジャパン戦略に係る
パートについて審議
我が国における国際標準の戦略的な活
用に関する施策について審議
コンテンツ産業官民協議会
映画戦略企画委員会
海賊版対策官民実務者級連絡会議
ロケ撮影の環境改善に関する
実務者懇談会
デジタルアーカイブ戦略懇談会
デジタルアーカイブ推進に関する検討会
AI時代の知的財産権検討会
知財投資・活用戦略の有効な開示
及びガバナンスに関する検討会
※経産省と共同事務局
3
検討スケジュール
〇第1回構想委員会(11月21日)
・「知的財産推進計画2026」に向けた検討
〇第2回構想委員会(2月頃)
・各部会等の検討状況
・「知的財産推進計画2026」に向けた検討
〇第3回構想委員会(4月中旬)
・各部会等の検討状況
・「知的財産推進計画2026」ドラフトの検討
〇第4回構想委員会(5月中旬)
・「知的財産推進計画2026」(案)の取りまとめ
〇知的財産戦略本部(6月頃)
・「知的財産推進計画2026」の決定
4
資料2
資料2
「知的財産推進計画2026」の
検討に向けた論点について
令和7年11月
知的財産戦略推進事務局
背景・課題意識
「知的財産推進計画2025」では、「新たな知的創造サイクル」の構築を通じた経済成⻑の実現を⽬指し、
WIPOの「グローバルイノベーション指数」を2035年までに4位以内とすることに加え、⽇本市場における時価
総額に占める無形資産の割合を2035年までに50%以上に⾼めることをKPIとして掲げている。これら中⻑期
的なKPI達成を⽬指すにあたり、どのような課題を解決すべきか。
⽇本企業は海外企業に⽐べて時価総額に占める無形資産の割合が低く、⽇本企業は⾃社の強みとなる知財・
無形資産の把握や活⽤が不⼗分との指摘もある。⽇本企業等が⾃らの知財・無形資産の価値を適切に認識
し、その活⽤を図るとともに、知財・無形資産への投資拡⼤に結びつけていくためには、どのような課題を解決す
べきか。
⽇本では、海外と⽐べ、⽇本企業等におけるAIの利活⽤が進んでおらず、AIの利活⽤推進による⽣産性向
上と、創造活動の迅速化等を進める必要がある。⽇本でのAIの利活⽤を促進し、適切な財産の保護と活⽤に
つながる透明性を確保するために、知的財産の観点から、どのような課題を解決すべきか。
地球規模課題やAIなどの技術⾰新、経済安全保障への対応や、国際ルールを巡る競争激化を受け、2025年
6⽉に「新たな国際標準戦略」を決定し、国際標準活動の担い⼿の強化を打ち出すとともに、⽇本における戦略
領域・重要領域を選定した。今後、上記戦略を踏まえつつ、競争⼒強化に向け⽇本が当⾯注⼒すべき領域・分
野の⾒直しや、横断的・制度的取組をどのように進めるべきか。
⽇本のクールジャパン関連産業は⼤きく発展している。また、アジア諸国の親⽇度及び訪⽇意向は総じて⾼い
傾向にある。このような⽇本のクールジャパン関連産業の⾼い競争⼒や親⽇度の⾼さを、コンテンツを活⽤した地
⽅へのインバウンド誘客など、地⽅を含めた⽇本全体の競争⼒強化に結び付けるためには、どのような取組を
進めるべきか。
⽇本のコンテンツの海外市場規模は鉄鋼産業や半導体産業の輸出額を上回る規模であり、コンテンツ産業官
⺠協議会をはじめ、各省庁や⺠間の取組が活発に展開されている。これらの取組を俯瞰的にとらえ、有機的な
連携を強化していくため、どのような取組を進めるべきか。
1
1.知財・無形資産への投資促進による価値創造
2.AI・デジタル時代の知的財産制度の構築
3.新たな国際標準戦略の策定・ルール形成の促進
4.クールジャパン戦略の展開
5.コンテンツ戦略の推進
6.本⽇ご議論いただきたいこと
World Intangible Investment Highlightsによる無形資産投資トレンド
2025年7⽉、WIPOがWorld Intangible Investment Highlightsを公開
⽇本に関する主な調査結果︓
○ 無形資産投資が近年加速
過去には有形投資が無形投資より速く成⻑していたが(図1)、2020年以降、実質ベース
で無形投資が有形投資を上回り、年平均1.2%の成⻑を記録した(有形投資は0.6%)。
○ ⽇本の無形資産投資は約6,000億⽶ドルに到達
2023年の⽇本の無形資産投資額は約5,970億⽶ドルで、同年のドイツ(5,830億⽶ドル)
やイギリス(5,670億⽶ドル)を上回った(図2)。
図1 ⽇本の無形資産投資及び有形資産投資総額の推移
(2013年を100として、指数化)
図2 無形資産投資額
(10億ドル)
600
500
400
300
200
100
(注)投資額は、公式の国内統計に準拠し、2015年実質価格で表⽰
(注)投資額は名⽬価格で表⽰。⼊⼿できたデータは、ブラジルが2021年、インドが2022年、⽇本が
2023年まで。なお、インドのデータは、7⽉から翌年6⽉までの会計年度を基準としており、2011年であれば
2011年7⽉から2012年6⽉までを表す。
出典︓World Intangible Investment Highlights
3
コーポレートガバナンス・コード改⾰の実質化
○ 2021年6⽉のコーポレートガバナンス・コード改訂により、上場企業は、知財・無形資
産の投資・活⽤に関する経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実⾏、そ
れらの実効的な監督が求められることとなった。
〇 現在、コーポレートガバナンス改⾰の実質化や、コードのスリム化/プリンシプル化を
念頭に、コード改訂に向けた議論が進められている。
出典︓⾦融庁 「コーポレートガバナンス・コードの改訂に関する有識者会議」
4
第25回 知財投資・活⽤戦略の有効な開⽰及びガバナンスに関する検討会
○ 2021年6⽉のコーポレートガバナンス・コード改訂を受け、企業と投資家・⾦融機関等に対
して求める取組や役割について明らかにし、知財・無形資産の投資・活⽤を加速化すべく、
2021年8⽉より有識者による検討会を継続的に開催し、知財・無形資産ガバナンスガイドラ
インを策定・改訂した。
〇 コーポレートガバナンス・コード改訂の議論を契機に、知財・無形資産の投資・活⽤が依然
として不⼗分である現状を改善すべく、2025年10⽉29⽇に第25回検討会を開催した。
○ 経営における知財・無形資産の考え⽅の浸透、投資家と企業との対話の活性化、知財・無形
資産の戦略的・効果的な開⽰等の課題について議論した。
出典︓知財・無形資産ガバナンスガイドラインver2.0
5
今後の取組の⽅向性
第25回知財投資検討会において、委員から寄せられた課題
知財は企業の競争⼒の源泉であるが、投資家からは⾒えにくい資産。企業からの開⽰は、特許件数や
技術説明にとどまり、知財が事業や利益にどう結びつくかが語られていない。
開⽰の質や価値創造ストーリーが重要であり、開⽰の標準化や効果的な⾒せ⽅の整備が必要。
知財・無形資産を定量化しなければ知財・無形資産ガバナンスは廃れていく。
⼤企業の経営者の知財無形資産の強みの認識が不⼗分。サイロ化の打破のため、取締役会で積極
的に知財・無形資産の重要性を議論することが重要。
企業における経営戦略に関わるプロジェクトに知財部が⼊っていることはほとんどなく、連携ができていな
いのが現状。知財経営を実現するためには、オープンクローズ戦略の浸透が重要。
経営層が知財・無形資産の本質的価値を理解しておらず、知財部が経営戦略や価値創造ストーリー
に関与できていないことが課題。
知財・無形資産ガバナンスガイドライン(GGL)の本質が伝わっていない。ターゲットに対して解像度⾼
く伝わらない理由について明確に考え、施策を考えていく必要がある。
価値協創ガイダンス2.0を使う企業が増えているが、GGLを使う企業はごく⼀部。
中⼩企業においてGGLの存在を知らないところが多い。ここを改善しないと⼤企業との連動やバリュー
チェーンの強化につながりにくい。
上記課題をどのように改善し得るか、本構想委員会においても御意⾒・御⽰
唆をいただきながら、検討を進める。
6
1.知財・無形資産への投資促進による価値創造
2.AI・デジタル時代の知的財産制度の構築
3.新たな国際標準戦略の策定・ルール形成の促進
4.クールジャパン戦略の展開
5.コンテンツ戦略の推進
6.本⽇ご議論いただきたいこと
AIと知的財産権
現状と課題
○ AIの市場規模や研究費が増加している
⼀⽅で、我が国企業の業務における⽣
成AIの利活⽤は海外と⽐較して進ん
でいない。
○ AI事業者による情報開⽰が進んでい
ないことや、権利者への対価還元の機
会が限られていること、AI利⽤者側
がリスクを懸念するといった影響が⽣
じている。
○ 発明創作過程においてAIを利⽤した場
合、AIの開発者等がどのような貢献
をすることにより発明者として認めら
れるか否かについて明確な基準がない。
(出典)総務省「令和6年版情報通信⽩書」
業務における⽣成AIの活⽤状況(メールや議事録、資料作成等の補助)
今後の⽅向性
○ 「AI 事業者ガイドライン」等を通じて、AI事業者による主体的な開⽰対応を促すとともに、AIに関連す
る制度の運⽤の具体化の中で、国際的な働きかけも⾏いつつ、実効性の担保に資するような透明性を確保。
○ 産業構造審議会知的財産分科会特許制度⼩委員会における、AI利⽤発明の発明者の定義等についての検討
及びその明確化に向けた対応。
○ 権利者への対価還元が促進される環境の構築
8
(参考)⽇本の置かれた現状
⽶国・中国のみならず、グローバルサウスを含めた世界各国がAI開発競争に名乗り。
⽇本ではAIの利活⽤が⼗分に進んでおらず、AI関連の投資も停滞。
「AIを使わない」ことが最⼤のリスクであり、⽇本のAI投資・利活⽤の推進は急務。
⽣成AIの利活⽤状況の変化
2023年
2024年
●個⼈の⽣成AIサービス利⽤経験
●個⼈の⽣成AIサービス利⽤経験
中国(56.3%) ⽶国(46.3%)
中国(81.2%) ⽶国(68.8%)
●企業における業務での⽣成AI利⽤率
●企業における業務での⽣成AI利⽤率
⽶国(84.7%) 中国(84.4%)
⽶国(90.6%) 中国(95.8%)
ドイツ(34.6%) ⽇本(9.1%)
ドイツ(72.7%) ⽇本(46.8%)
ドイツ(59.2%) ⽇本(26.7%)
ドイツ(90.3%) ⽇本(55.2%)
AIへの⺠間投資額の変化
2023年
2024年
1位 ︓⽶国(約672億ドル)
1位 ︓⽶国(約1091億ドル)
2位 ︓中国(約78億ドル)
2位 ︓中国(約93億ドル)
3位 ︓英国(約38億ドル)
3位 ︓英国(約45億ドル)
〜
9位 ︓韓国(約14億ドル)
〜
〜
8位 ︓アラブ⾸⻑国連邦(約18億ドル)
〜
12位︓⽇本(約7億ドル)
11位 ︓韓国(約13億ドル)
13位 ︓アラブ⾸⻑国連邦(約4億ドル)
14位︓⽇本(約9億ドル)
〜
出典︓ 「令和6年、7年度版情報通信⽩書」 及び「スタンフォード⼤学による調査(AI Index Report 2024、2025)」を基に内閣府科学技術・イノベーション推進
事務局にて作成。
9
適切な財産の保護と活⽤につながる透明性の確保に向けた取組
具体的な施策
〇 AIの利活⽤においては、クリエイターや権利者から、知的財産権の侵害に対する懸念の声が存在。知財事務局では、2023年10⽉より
「AI時代の知的財産権検討会」を開催。昨年5⽉に公表した「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」において、知的財産法の⽣
成AIへの適⽤の考え⽅について整理を⾏うとともに、法・技術・契約の各⼿段を組み合わせて対応することが重要である旨を整理。
〇 知的財産推進計画2025の策定プロセスにおいては、
・AI事業者による情報開⽰が進んでおらず、⾃⼰のデータが利⽤されているかが不明であるため、ライセンスによる対価還元の機会が得られ
ないこと
・AIの利⽤者側としても、個⼈情報や海賊版コンテンツなどを学習したAIの利⽤に伴う訴訟リスクがあることなどの懸念が指摘されるとともに、
これらの点は知的財産権に限った問題として解決を図ることに限界があることを踏まえ、同推進計画において、AI事業者による学習データ
の開⽰や⽣成AIの認証など、AIガバナンスの全般にわたり透明性の確保を促す仕組みを検討することの必要性を打ち出したところ。
〇 AI法の施⾏や基本計画・指針の策定に向けた検討と相まって、10/24にAI時代の知的財産検討会を開催し、下記の論点について
審議。近⽇中に、透明性等に関する当⾯の考え⽅をとりまとめ予定。
【論点①】
データの収集や、⽣成AIに係る開⽰・表⽰、保護データに係る対価還元、保護データに係る侵害防⽌技術、海賊版・偽情報・誤情
報のスクリーニングに係る技術など、データの信頼性・安全性を含め⽣成AIに係る開⽰に向けた各種の対応が必要と考えられるところ、
どのような⽅向で検討を進めるべきか。
【論点②】
法・技術・契約の各⼿段を適切に組み合わせながら、連携した取組が重要であるところ、データ利活⽤に伴う対価還元を進めていくた
め、どのような課題を特定しつつ、取組を進めていくべきか。
【論点③】
直近の⽣成AIと知的財産をめぐる技術動向や、国内外の裁判例等も踏まえつつ、AIとデータの取扱いについて、どのような将来像を
想定しておくべきか。
10
AI技術の発達を踏まえた特許制度・意匠制度上の適切な対応
○今後、発明創作活動に対するAI開発者等の関与が増えていくことが予測されるが、発明創作
過程においてAIを利⽤した場合、AIの開発者等がどのような貢献をすることにより発明者と
して認められるか否かについて明確な基準がない。
○特許庁において、AI技術の発達を踏まえた発明及びデザインの保護の在り⽅について検討が
進められている。
○主要な論点としては、発明(意匠)、発明者(創作者)、引例適格性等。
(出典)特許庁「第53回特許制度⼩委員会」資料(令和7年4⽉)
11
国際的な事業活動におけるネットワーク関連発明等の適切な権利保護
○ネットワーク関連技術の発展による国境を跨いだサービスの増加に伴い、発明の構成要件の
⼀部であるサーバー等が海外に設置されることにより特許権侵害回避できてしまう可能性あり。
○特許庁では、ネットワーク関連発明において、実質的に我が国の領域内における実施⾏為に
当たると評価できる場合について検討がなされている。
※ネットワーク関連発明とは、例えば、インターネット等のネットワークを介して接続された複数のコンピュータ(サーバー、
クライアント端末等)の組合せによって実施することが前提とされる発明。様々な分野(検索サービス、ロボット制御、ヘル
ステック、⾃動運転、ドローン制御、⾃動受注・在庫管理、AR/VR、配⾞サービス等)でネットワーク関連発明が使われ
ている。
※最⾼裁判所第⼆⼩法廷判決令和7年3⽉3 ⽇(特許権侵害差⽌等請求事件、令和5(受)14、15)では、⽶国のサーバーから
のプログラムの「提供」等について、最⾼裁判所第⼆⼩法廷判決令和7年3⽉3⽇(特許権侵害差⽌等請求事件、令和5(受)
2028)では、⽶国に存在するサーバーと端末とで構成されるシステムの発明の「⽣産」について、それぞれ特許権侵害を認
めた。
(出典)特許庁「第50回特許制度⼩委員会」資料
(令和6年11⽉)
12
仮想空間におけるデザインに関する意匠制度の在り⽅
○近年では、VR技術の発展やオンラインコミュニケーション機会の増⼤等による仮想空間上の
サービスの増加に伴い、例えば、現実空間の物品等のデザインを模した3Dモデルを第三者が
無断で販売等するケースや、仮想空間で利⽤可能な3Dモデルのデザインが模倣されるケース
が⽣じている。
○特許庁において、仮想空間におけるビジネスやデザイン創作の実態を踏まえ、意匠制度⾒直
しの必要性及び制度的措置の⽅向性について検討がなされている。
メタバースの国内市場規模推移・予測
注1.市場規模は、メタバースプラットフォーム、プ
ラットフォーム以外(コンテンツ、インフラ等)、メタ
バースサービスで利⽤されるXR(VR/AR/MR)デバイ
スの合算値。
注2.エンタープライズ(法⼈向け)メタバースとコン
シューマー向けメタバースを対象とし、ゲーム専業のメ
タバースサービスは対象外とする。
注3.2024年度は⾒込み値、2025年度以降は予測値。
(出典)株式会社⽮野経済研究所HP
(出典)特許庁
「第18回意匠制度
⼩委員会」資料
(令和7年4⽉)
13
知的財産権関係訴訟の状況
○特許権侵害に係る損害賠償請求訴訟において、⾼額な認容額の割合は増加傾向。
○知的財産権関係⺠事事件の新受件数は横ばいで、審決取消訴訟の件数は減少。
○著作権に係る訴訟件数は増加傾向であるのに対し、特許権に係る訴訟件数は減少傾向。
どのような原因が考えられるか(知財・無形資産経営の浸透不⾜、調停の活⽤等)
特許権侵害に係る損害賠償請求訴訟に
おける認容額(東京地裁・⼤阪地裁)
知的財産権関係⺠事通常訴訟事件及び審決取
消訴訟の新受件数
知的財産権関係⺠事通常訴訟事件新受件数
(地⽅裁判所)(種類別)
(出典)法曹会「法曹時報」より内閣府作成
14
グローバルイノベーション指数(GII)2025の⽇韓独⽐較
○知財無形資産関連指標において、⽇本は「知財使⽤料収⼊」が強く、「意匠出願数」や「商
標出願数」が弱い。⼀⽅、研究開発及びSU関連関連指標において、⽇本は韓国よりも弱い指
標が多い。
○2022年と⽐較すると、韓国は「無形資産価値」及び「QS⼤学ランキング」の指標が上昇して
いるのに対し、⽇本は下降している。
知財無形資産関連
研究開発関連
SU関連
⽇本
韓国
ドイツ
(出典)
WIPO ”Global
Innovation Index
2025”より内閣府
作成
15
今後の取組の⽅向性
AI法に基づく基本計画や指針の策定と連動し、適切な財産の保護と活⽤につながる透明性
の確保に向けた⽅策を⽰す。
引き続き、「AI時代の知的財産検討会」において、データ利活⽤に伴う課題を特
定し、取組を進めていく。
AI技術の発達を踏まえた発明及びデザインの保護の在り⽅について検討を進める。
特許制度⼩委員会及び意匠制度⼩委員会において、AI利⽤発明の発明者の
定義や⽣成AIによるデザインの意匠該当性等について検討を進める。
国内外の企業を惹きつける「世界最先端の知的財産制度」の実現に向け、デジタルトランス
フォーメーション(DX)時代にふさわしい産業財産権制度の在り⽅について検討を進め、法
改正を含めた必要な措置を講じる。
ネットワーク上における国境を跨いだ特許侵害について、発明の実施形態として実
質的に国内の実施⾏為と認められるための要件の明⽂化に向け検討を進める。
仮想空間におけるビジネスやデザイン創作の実態を踏まえた意匠制度の⾒直しの
必要性及び制度的措置の⽅向性について検討を進める。
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1.知財・無形資産への投資促進による価値創造
2.AI・デジタル時代の知的財産制度の構築
3.新たな国際標準戦略の策定・ルール形成の促進
4.クールジャパン戦略の展開
5.コンテンツ戦略の推進
6.本⽇ご議論いただきたいこと
新たな国際標準戦略(令和7年6⽉3⽇知的財産戦略本部決定)
国際標準を通じた国際社会や我が国の課題解決、経済安全保障への貢献、市場創出を実現すべく、新たな国
際標準戦略を策定。
現状と課題
○ 国際標準化の取り組みは進展するも、産業界や学術界、政府の意識改⾰や、専⾨⼈材育成は道半ば。
○ 近年、デジタル・⽣成AI・気候変動・経済安全保障・システムなどの領域横断的な標準化が拡⼤。欧⽶中
がそれぞれ国際標準戦略を策定し強⼒に標準化を推進。
○ 我が国として、国⺠の安全確保とグローバル市場への参⼊拡⼤を両⽴するための国際標準活動への積極参加
が不可⽋。
今後の予定(⽅向性)
【ポイント① 国際標準の担い⼿の強化】
○ 国際標準活動をリードしていくため、経済界・学術界への働きかけ、関連⼈材の育成や専⾨サービスの育成・強化、国際
的なネットワーキングや各国との連携の強化等の取組を進める。
【経済界・学術界・政府】 経営層の意識改⾰、研究開発・補助⾦・公共調達での標準化⽀援
【専⾨⼈材・サービス】
⼈材育成システム強化、試験・認証機関育成強化に向けた海外連携・施設整備⽀援
【国際連携・ネットワーク】 国際機関等への積極参画、国際相互承認の推進、国際会議の招致
【官⺠連携の場の設置】 官⺠連携による司令塔の設置、官⺠での情報共有、在外官⺠ネットワーク
【ポイント② 戦略領域・重要領域の選定】
○ 国際社会及び我が国にとって重要であり、かつ、国際標準が
重要成功要因となり得る17の重要領域を選定。対応の緊要性
を踏まえ、重要領域の中から、更に8つの戦略領域を選定。
○ 今後、官⺠でのリソースを集中配分。
戦略領域
⑤モビリティ
①環境・エネルギー
②⾷料・農林⽔産業 ⑥情報通信
⑦量⼦
③防災
⑧バイオエコノミー
④デジタル・AI
重要領域
⑨介護・福祉 ⑫宇宙 ⑮資源
⑬半導体 ⑯海洋
⑩インフラ
⑪フュージョン ⑭素材 ⑰医療・ヘルスケア
【ポイント③ 経済安全保障】
○ ⾃律性の確保、優位性・不可⽋性の確保・維持・強化、国際秩序の維持強化の観点を踏まえ、同志国連携、懸念
国からの財・サービスの流⼊への対応などで国際標準を活⽤する。(戦略領域・重要領域においても経済安全保障
上の重要分野をカバー)
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今年度の取組①:担い手の強化
○ 司令塔機能を果たす官⺠連携の場を新たに設け(※年度内の⽴ち上げを⽬指し調整中)、戦略のモニタリン
グ・フォローアップ等を通じて、我が国全体の国際標準活動の在り⽅について⽅向性を⽰す。
○ 官⺠の在外事務所間のネットワークを年度内に構築し、現地での国際ルールメイキングや標準化活動についてのインテリ
ジェンス機能の強化を図る。
○ 産業界の取組を促すべく、事例集の取りまとめや、標準・認証を活⽤した公共調達や補助⾦交付の事例調査を進める。
○ 試験・認証機関などの専⾨サービスの活⽤を促進すべく、我が国の試験・認証機関が提供するサービスの⾒える化を図ると
ともに、規制と標準・認証の⼀体活⽤(ニューアプローチ・グローバルアプローチ)の効果についての検討を進める。
○ 産業界の国際標準活動への理解醸成を図るべく、シンポジウムを開催し、普及啓発を推進。
【官⺠連携の場を始めとする取組イメージ】
○官⺠連携の場(官⺠司令塔)の設置
・産業界や専⾨団体、関係省庁からなる有志の枠組み
・国際標準に係る国内外のモニタリング・フォローアップ結果や各種の取組を踏まえ、
オールジャパンでの国際標準の⽅向性についての議論・提⾔を⾏う
・その他情報共有・対外発信などを実施
報
告
○事例集・公共調達事例調査
○試験・認証機関の⾒える化等
○ニューアプローチの検討
○シンポジウム開催
○領域別国際標準戦略(※次スライド)
○国際標準戦略に係るモニタリン
グ・フォローアップ(※次々スライド)
情報
共有
報告
○知的財産戦略本部
○構想委員会
○国際標準戦略部会
・官⺠連携の場での議論も踏まえて、
知的財産推進計画や新たな国際標
準戦略に反映
○在外官⺠ネットワーク
の設置
・国や⺠間の在外事務所の窓⼝
のネットワークを構築し、情報収
集・情報共有を⾏う
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今年度の取組②︓戦略領域・重要領域への重点的取組
○ 今回の戦略で策定した17の戦略領域・重要領域について、科学技術・イノベーション予算の⼀部である「標準活⽤加速化
⽀援事業」を活⽤し、各省庁や⺠間の取組を⽀援。
○ 戦略領域・重要領域の領域別国際標準戦略の策定を促進すべく、モデル的な領域別国際標準戦略を策定中(令和7
年度に2領域を策定)
戦略領域︓環境・エネルギー ⾷料・農林⽔産業 防災 デジタル・AI モビリティ 情報通信 量⼦ バイオエコノミー
重要領域︓介護・福祉 インフラ フュージョン 宇宙 半導体 素材 資源 海洋 医療・ヘルスケア
標準活⽤加速化⽀援事業R7配分実績
環境・
•GHG排出量
エネルギー(11億) •⾃然資本(⽔資源)、フュージョン 等
デジタル・AI・量⼦・
•情報通信、ICT、量⼦の⼈材育成
【領域別国際標準戦略(モデル)の策定(⾃然共⽣・防災)】
<領域別戦略に盛り込む内容>
①
②
•データ取引、AI認証 等
③
医療・福祉
•ヘルスケアデータ統合
(3.1億)
•スマート治療室 等
④
レジリエンス
•リスクファイナンス
(2.3億)
•⽔防災 等
農林⽔産
•⾷事全体での栄養評価概念
(1.7億)
•⾷料・農林⽔産業の標準化戦略 等
モビリティ・インフラ
•次世代モビリティ、衛星ナビゲーション
通信(4.7億)
(2.5億)
•港湾、建機のDX化 等
横断的取組
•産学連携によるO&C戦略
(4.8億)
•BRIDGEシンポジウム開催
当該領域における国内外の動向・状況(市場規模・市場動向、ステークホ
ルダー、技術的強み、特許等の状況、標準化動向、政策状況など)
当該領域の⽇本としての攻め・守りとして注⼒すべき分野と、当該分野におい
て特にKSF(重要成功要因)となり得る国際標準化の特定
①・②を踏まえた国際標準化に向けた具体的取組(国際標準化に向けた
ロードマップ、体制、⼈材確保、認証等の実装、活動⽀援、各国における仲
間作りなど)とそのKPI
当該領域における国際標準戦略を適時適切にフォローアップあるいは⾒直し
していくための枠組み
IPランドスケープ等も実施し、我が国の勝ち筋となる国際標準ターゲットを選定、
ロードマップ化
20
今年度の取組③︓戦略のモニタリング・フォローアップの実施
○ 新たな国際標準戦略に基づき、今後、国内外の政策や国際標準化動向について、随時モニタリングを実施(開始済)。
○ また、毎年度末、当該年度の官⺠の国際標準への取組状況を聴取し、戦略の進捗状況のフォローアップを⾏う。
○ モニタリング・フォローアップ状況については、官⺠連携の場(官⺠司令塔)にも適時共有し、官⺠でのアジャイルな対応に
繋げていく。
<モニタリング>
・以下のとおり、①標準化新規ニーズ・シーズ把握、②戦略領域・重要領域モ
ニタリング、③新たな機会探索、④先進各国/地域、⑤連携パートナーについ
て、定期⼜は適時に情報を収集し取りまとめ、関係者に共有する。
<フォローアップ>
・各省庁における具体的施策の進捗状況、及び戦略領域・重要領域の取組
状況について、毎年度、各省庁に調査票を発出し、点検・評価を⾏う。
【フォローアップのフォーマット案】
・フォローアップ結果については、公開/⾮公開部分に分けて対応
毎⽉モニタリングレポートを作成し、関係
者に共有する。
年度末に1年間のモニタリング結果を整
理・取りまとめ
21
今後の取組の⽅向性
上記の国際標準戦略に基づく取組を踏まえつつ、
国際標準活動は、知財管理と並んで企業に
とっては事業戦略(オープン&クローズ戦略)
の⼀部であるが、国際標準活動が複数年に亘
る⼀⽅で、個社の事業戦略の変化(事業撤
退等)や、費⽤対効果が⾒えにくいなどのネッ
クがあることから、国際標準活動を、個社の事
業戦略として位置づけられるようにするための仕
組みが必要。
(経済産業省資料)
AIやデジタルといった技術⾰新や、経済安全保障の観点を踏まえ、規制と標準・認証の
あり⽅(欧州のように、⼤枠の規制の中に具体的な基準やその担保として標準・認証を
組み込んでいく等)についても検討を深めていく必要。
「構想委員会」「国際標準戦略部会」において、個社レベルで(知財管理とも
絡めつつ)国際標準活動に取り組むための仕組みや、我が国における規制と標
準・認証のあり⽅などについて、御意⾒・御⽰唆をいただきながら、検討を進める。
22
1.知財・無形資産への投資促進による価値創造
2.AI・デジタル時代の知的財産制度の構築
3.新たな国際標準戦略の策定・ルール形成の促進
4.クールジャパン戦略の展開
5.コンテンツ戦略の推進
6.本⽇ご議論いただきたいこと
クールジャパン関連産業の進捗(知的財産推進計画2025)
• クールジャパン関連産業の最新値に基づく海外展開は27.1兆円(前回値から8.0兆円増、約42%の増)。⼀⽅、
化粧品の海外展開は減少。
• ⽇本を「好きな国」とする率は、全世界の国・地域平均で56.2%、アジア平均は69.3%、欧⽶豪平均は31.0%。
<クールジャパン関連産業の海外展開進捗>
今回調査値(兆円)
増減率(%)
前回調査(兆円)
コンテンツの海外展開(海外市場規模)
5.8(2023年)
23.22
4.7(2022年)
訪⽇外国⼈旅⾏(インバウンド)消費額
8.1(2024年)
53.39
5.3 (2023年)
農林⽔産物・⾷品の輸出額
1.5(2024年)
3.64
1.5 (2023年)
⾷品製造業の現地法⼈の売上⾼
7.3 (2023年)
109.0
3.5(2022年)
繊維品・繊維製品の輸出
1.0(2023年)
2.85
0.9(2022年)
主たるファッションメーカーの海外売上
1.8(2023年)
26.83
1.4(2022年)
化粧品の輸出
0.6(2023年)
-21.05
0.8(2022年)
主たる化粧品メーカーの海外売上
1.0(2023年)
-4.77
1.0(2022年)
27.1
41.92
19.1
⾷
ファッション
化粧品
合 計
※前回調査では内閣府調査をもとに作成した「主たる⾷品メーカーの海外売上」を計上。今回からは経済産業省「海外事業活動基本調査」もとに作成する 「⾷品製造業の現地法⼈の売上⾼」を計上。
<外国⼈の親⽇度等>
親⽇度(KGI)
⽇本を「好きな国」と
する率 全平均56.2%
⽇本を「好きな国」とする率
・全平均
56.2%
・アジア平均 69.3%
-⾹港
86.6%
-タイ
84.7%
-韓国
45.6%
-中国
42.2%
・欧⽶豪平均 31.0%
-⽶
36.7%
-豪
41.5%
-英
25.4%
-仏
27.7%
体験による親⽇度の向上
(KPI)
⽇本の魅⼒の体験率
(KPI)
体験による訪⽇意向の向上
(KPI)
体験による親⽇度向上率(全平均)
⽇本の魅⼒の体験率(全平均)
体験による訪⽇意向向上率(全平均)
・⽇本⾷
41.5%
・アニメ・マンガ 40.2%
・⽇本製品
35.2%
・他のコンテンツ38.7%
・⽇本⽂化
43.5%
・⽇本旅⾏情報 43.4%
・⽇本語
43.0%
・⽇本スポーツ 40.4%
・⽇本イベント 44.4%
・オンラインツアー43.9%
・⽇本コミュニティ 42.2%
・⽇本⾷
62.3%
・アニメ・マンガ35.0%
・⽇本製品
32.5%
・他のコンテンツ30.7%
・⽇本⽂化
24.5%
・⽇本旅⾏情報 21.9%
・⽇本語
15.4%
・⽇本スポーツ 13.1%
・⽇本イベント 12.5%
・オンラインツアー10.6%
・⽇本コミュニティ 8.1%
※アジアでは全ての国・地域で⽇本が好きな国・地域の1位、豪では2位、⽶では3位、仏では5位、英では8位
・⽇本⾷
43.7%
・アニメ・マンガ 39.1%
・⽇本製品
34.6%
・他のコンテンツ 39.6%
・⽇本⽂化
43.5%
・⽇本旅⾏情報 48.2%
・⽇本語
45.7%
・⽇本スポーツ 41.6%
・⽇本イベント 47.7%
・オンラインツアー 46.7%
・⽇本コミュニティ 42.2%
訪⽇意向
旅⾏したい国・地域とする率・順位
・全平均
54.9%/1位
・アジア平均 63.8%/1位
-⾹港
77.9%/1位
-タイ
76.5%/1位
-中国
44.4%/1位
-韓国
43.5%/1位
・欧⽶豪平均 37.0%/1位
-⽶
29.7%/3位
-豪
45.1%/1位
-英
39.5%/2位
-仏
38.2%/1位
24
クールジャパン関連産業の現状の取組
クールジャパン関連産業を2033年までに合計50兆円以上の海外展開規模とし、⽇本ファン割合を10ポイント増加を
⽬指し、関係省庁間をはじめ、⾃治体、⺠間の垣根を超えた連携を強化し、地域資源を最⼤限活⽤した異分野間連携
を推進する。
1.コンテンツ地⽅創⽣拠点として選定
• コンテンツを起点とした経済波及効果の⼤きい官⺠連携による地域⼀体となった取組について、コンテンツ地⽅創⽣拠点とし
て選定を⾏い、2033年までに全国約200か所の選定を⽬指し、地域経済の活性化を図る
2.世界から求められる体験価値化、⾼付加価値化を推進
• 地域資源を活⽤し、世界から求められる価値を体験できる商品・サービスの⾼付加価値化の推進
• デザインやアートの機能を活⽤したクールジャパンの取組の底上げ
• イノベーションにより⾼付加価値化を⽣み出す中⼩企業やスタートアップ⽀援、新規参⼊しやすい環境整備
• 新たな技術を活⽤した取組等を推進
• 体験価値化、⾼付加価値化の推進する⼈材育成
3.マーケット⽬線のブランディング
• マーケット⽬線を更に重視した海外の市場開拓・拡⼤を図る取組の推進
• ユネスコ無形⽂化遺産等世界的な評価等の⾼まり等を踏まえたブランディングの促進
• 中⼩企業⾃らが海外市場を理解することによるブランド戦略を展開の推進
• 2025 年12 ⽉から施⾏するEU のGI制度の今後の動向を把握し、⽇本での導⼊可否を検討する
4.国際的な政治・経済情勢リスクへの対応
• 誤情報の是正や科学的根拠に基づかない輸⼊規制措置の即時撤廃の働きかけや輸出先の多⾓化、新規開拓
• インバウンドについて、マーケットの多⾓化・分散、新規開拓
• 国際的な様々な規制の動向等把握
5.⽇本ファンの拡⼤に向けて発信⼒を強化
• ⽇本ファンの拡⼤、⽇本のブランド価値の向上に向けて発信⼒の強化に取り組む
• ⽇本ファンの外国⼈コミュニティやインフルエンサー等との積極的な連携・活⽤、点ではなく⾯でプロモーションの推進
25
ファッション分野の海外展開
市場動向
世界的にアパレル市場は成⻑市場であり、年間5%増加するという予測もある
我が国は、⽣地の輸出額割合が⼤きいが、⾐料品等の最終製品の輸出も増加傾向。
近年、コンテンツとの連携や⽇本の伝統技術との連携等により、付加価値を向上させ、世界で評価されて
いる事例も出てきている。
訪⽇インバウンド消費では、⾐類は買い物代の費⽬別購⼊率3位(38.9%)、インバウンド需要が拡⼤。
出典︓ユーロモニター ※⼩売り販売価格(名⽬値)ベースでの市場規模
論点
※上記のグラフはいずれも「繊維産地におけるサプライチェーン強靱化に向けた対応検討会」第
三回事務局資料より抜粋。経済産業省作成。
出典︓Global Trade Atlas
※原料︓繭、⽺⽑、綿、亜⿇、合成繊維、再⽣繊維、半合成繊維等。
※その他⼆次製品︓フェルト、不織布、絨毯、⼯業⽤繊維製品、⽑布、ベッドリネン等。
最終製品の輸出増につなげるには、素材、技術等の⽇本の産地が有する強みをいかした商品開発・⾼付加
価値化等への取組強化が必要ではないか。
訪⽇後のリピート購⼊の観点から、海外から直接購⼊できるグローバルECへの対応が必要ではないか。
エンタメコンテンツ等、業界を超えた海外発信の強化が必要ではないか。
26
化粧品分野の海外展開
市場動向
2023年の世界の化粧品の市場規模は4844憶⽶ドル(70兆円程度)、年率4-6%で成⻑中。世界市場にお
ける我が国の順位は⽶国、中国、ブラジルに次いで4位(2022年は3位)。我が国の輸出先は、中国、⾹
港、シンガポール等アジア地域が中⼼。近年、ベトナム、シンガポール、インドネシアへの輸出額の伸び
が成⻑。
アジア圏の化粧品市場は、スキンケアの割合が⼤きく、我が国の⾼品質なスキンケア製品の強みが⽣かせ
る⼀⽅、北⽶・欧州は、製品の偏りがより⼩さく、パーソナライズやサステナビリティを重視する傾向。
また、アジア圏では、オンライン販売も成⻑。
アジア新興国における主な輸出先国別輸出⾦額伸張率(2013〜2022年)
各国の市場規模の推移
出典︓株式会社ソフィアリンクス「化粧品産業の持続的な発展における今後の⽅向性に関する調査」(令和6年3⽉)
各国の化粧品市場におけるスキンケアが占める割合(%)
出典︓経済産業省資料(ユーロモニターインターナショナルよりあずさ
監査法⼈作成)
論点
⽇本
中国
⾹港
台湾
韓国
⽶国
フランス
ブラジル
全世界
53
65
65
60
57
30
34
15
36
出典︓化粧品産業ビジョン(令和3年4⽉)
海外市場の獲得には各国の規制や嗜好等に合わせたローカライズ、オンライン対応等の商流の構築が必要
であるが、中⼩・中堅企業を含め、こうした対応を強化していくにはどのような取組が必要か。
品質と安全性を含め、⽇本の化粧品の価値や世界観などのブランディング及び発信⼒を向上させるにはど
のような取組が必要か。
27
訪⽇外国⼈旅⾏客の地⽅周遊
市場動向
2023年の訪⽇⾼付加価値旅⾏市場の消費額は約1.0兆円(2019年から50.6%拡⼤)となり、同時期の
世界の⾼付加価値旅⾏市場(+17.6%)を上回る伸⻑。
訪⽇外国⼈旅⾏者の宿泊先の7割が三⼤都市圏に集中、訪⽇外国⼈旅⾏消費額は東京都、⼤阪府、
京都が⾼いが、世界の旅⾏者は、⽇本の⾷等に加え、⽇本の歴史や⽂化体験、⽇常⽣活体験などへ
の関⼼が⾼い。
欧⽶豪の旅⾏者は複数の都道府県を訪問する傾向があり、アジアの旅⾏者はリピーター率が⾼い傾向がある。
⽇本政府観光局(JNTO)⾼付加価値旅⾏市場規模調査結果
外国⼈延べ宿泊者数 都道府県別割合
(2024年確報値)
国籍・地域別訪⽇回数(2024年)
論点
出典︓観光庁「インバウンド消費動向調査」(2024年)より内閣府作成
出典︓観光庁「インバウンド消費動向調査」(観光・レジャー⽬的、
2024年)より内閣府作成
訪⽇外国⼈旅⾏者の地⽅周遊・⻑期滞在を推進するには、受け⼊れ環境整備や情報発信においてど
のような取組強化が必要か。
28
※スライド29ページについては、委員のみの配布
農林⽔産物・⾷品の海外展開
市場動向
農林⽔産物・⾷品の輸出額は、2025年1⽉から9⽉で対前年同期⽐15%増となり、拡⼤の傾向。
⼀⽅、2019年の輸出割合は2%となっており、他国と⽐較して低い⽔準。
訪⽇動機の⼀番は⽇本⾷となっており、我が国の農林⽔産物・⾷品には潜在的な海外ニーズがある。
また、⾷品産業の海外展開による収益額は1.7兆円、インバウンドによる⾷関連消費額は2.3兆円
であり、ともに過去最⾼を記録しており、輸出拡⼤のポテンシャルは⾼い。
⾷品産業の海外展開による収益額の推移
論点
現地での⽇本⾷・⽇本⾷⽂化の普及は農林⽔産物・⾷品の輸出拡⼤を牽引することから、現地での⽇本
⾷・⾷⽂化を発信する関係者等と連携して海外展開を進めていく必要があるのではないか。
⽇本国内における本場の⾷体験は、帰国後の⽇本⾷の購買につながることから、⾃国でも購⼊できるよう
⽇本⾷のECサイトや現地スーパーでの展開等の取組が必要ではないか。
我が国の果樹等の国際競争⼒を確保するため、優れた品種や技術の厳格管理や、戦略的なライセンス等優
30
良品種の保護・活⽤がより⼀層必要ではないか。
今後の取組の⽅向性
2024年6⽉に決定された「新たなクールジャパン戦略」に基づき、クールジャパン関連産業
を基幹産業と位置付け、経済効果として2033年までに合計50兆円以上の海外展開規
模とし、⽇本ファンの割合を10ポイント増加させることを⽬指す。
コンテンツを起点とする経済波及効果の⼤きい地域⼀体となった官⺠連携の取組について、
2033年までに「コンテンツ地⽅創⽣拠点」として全国約200か所の選定を⽬指し、関係省
庁、⾃治体、関係経済界が連携して強⼒に推進する。2025年度中に約20か所を選定
予定。
クールジャパン関連産業について、世界から求められる体験価値化、⾼付加価値化を推進、
マーケット⽬線のブランディングによる海外展開規模の拡⼤、国際的な政治・経済情勢リス
クへの対応、⽇本ファンの拡⼤に向けた発信⼒強化に取り組む。
関係省庁と連携し、
訪⽇観光客等の地⽅周遊・⻑期滞在を促進するため、受け⼊れ環境整備や情
報発信の強化のための課題やコンテンツと地⽅創⽣の好循環を実現するための
課題について検討を進める。
特にクールジャパン関連産業のうちのファッション分野やビューティ分野を中⼼に、異
分野連携等による付加価値向上、DX等、海外展開規模の拡⼤に向けた課題に
ついて検討を進める。
31
1.知財・無形資産への投資促進による価値創造
2.AI・デジタル時代の知的財産制度の構築
3.新たな国際標準戦略の策定・ルール形成の促進
4.クールジャパン戦略の展開
5.コンテンツ戦略の推進
6.本⽇ご議論いただきたいこと
コンテンツ産業の世界市場・我が国輸出額規模の相場感
○ 世界のコンテンツ市場の規模は、⽯油化学産業、半導体産業よりも⼤きい。
○ ⽇本由来コンテンツの海外売上は、鉄鋼産業、半導体産業の輸出額に匹敵する規模。
(兆円)
250
我が国の産業の輸出額等の規模感⽐較
コンテンツ産業の世界市場規模
(兆円)
236.47
7
6
200
5
135.6
150
5.8
5.5
4.8
4
85.6
100
73.3
3
1.6
2
50
1
0
0
鉄鋼産業
コンテンツ産業
石油化学産業
(注)2023年のデータ、コンテンツの世界市場規模のみ2022年のデータ
半導体産業
鉄鋼産業
コンテンツ産業 ⽯油化学産業 半導体産業
(注)2023年のデータ
(注)2023年は1ドル=139.1円で算出。
(出所)以下を基に作成。
鉄鋼
世界市場…株式会社グローバルインフォメーション「市場調査レポート」 https://www.gii.co.jp/report/ires1808588-iron-steel-market-by-product-type-process-form-raw.html?
輸出額 …⼀般社団法⼈⽇本鉄鋼連盟 鉄鋼輸出⼊実績概況 https://www.jisf.or.jp/data/boeki/index.html
コンテンツ 世界市場…PwC グローバル エンタテイメント&メディアアウトルック2023-2027 (注)映画・ラジオ・ポッドキャスト・新聞・雑誌・本・映像配信・テレビ・ゲーム・eスポーツ・VR・モバイルAR・⾳楽を抽出
輸出額 …株式会社ヒューマンメディア「⽇本と世界のメディア×コンテンツ市場データベース2024 確定版」※海外市場の売上
https://humanmedia.co.jp/database/PDF/subscription2024_04.pdf
⽯油化学 世界市場…株式会社グローバルインフォメーション ⽯油化学製品市場︓製品別、最終⽤途別-2025〜2030年の世界予測
https://www.gii.co.jp/report/ires1595306-petrochemicals-market-by-product-benzene-butadiene.html
輸出額 …⽯油化学⼯業協会 ⽯油化学製品の国別輸出額 https://www.jpca.or.jp/statistics/annual/kuni_ex_im.html
半導体
世界市場…Historical Billings Report https://www.wsts.org/67/Historical-Billings-Report
輸出額 …財務省貿易統計(半導体等電⼦部品)https://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/data/y6_1.pdf
33
コンテンツ産業の競争⼒強化・拡⼤に向けて
背景及び⽬的
○⽇本発コンテンツの海外売上⾼は、過去10年で3.7倍に拡⼤して2023年
5.8兆円となり、半導体の輸出額を超えている。政府においては、コンテン
ツ産業を新たな基幹産業と位置づけ、2033年に海外売上⾼を20兆円とす
る⽬標を設定した。
○デジタル関連収⽀の⾚字が拡⼤する中で、収⽀の改善のためにも世界に知ら
れる⽇本のエンタメ・コンテンツの競争⼒をさらに⾼め、海外市場における
収益の確保を強化していくことが重要。
○これらの⽬標の実現のためには、コンテンツ産業の担い⼿の不断の取組が、
常に不確実性と対峙する⾼リスクの挑戦であり、他産業の研究開発に⽐肩す
る知的・資本集約的活動であることに配意しつつ、⼿を緩めることなく政策
を継続する必要がある。
○このため、⼈材育成及び海外への事業展開の両⾯について、ライバル国に負
けない⼤規模かつ複数年度も含めた予算措置や、税制の活⽤を促進する等、
強⼒な⽀援を⾏うべき。
34
①⼈材育成における取組
現状と課題
(参考)必要となる⼈材育成と循環のイメージ
○ 2033年に海外売上⾼を20兆円とする政府⽬標
の達成のためには、中核的専⾨⼈材が質・量
ともに著しく不⾜しており、需要の伸びに供
給が追いつかない状況が臨界的に顕在化して
いる。
卓越した
若⼿クリエイター
(R5補正予算事業
)
グローバルに活躍する
⾼度専⾨⼈材
○ このままでは供給制約がボトルネックとして
我が国の強みである創造⼒の発揮を構造的に
阻害する懸念がある。これらの事態を回避す
るため、以下の取組を強⼒に進める。
クリエイター
への循環
[業務・組織マネジメント、制作管理]
(R6補正予算事業)
需要増⼤・海外活⽤に対応する
経済産業省の
クリエイター
事業者⽀援
*連携
中核的専⾨⼈材
[制作実務を担うマンガの翻訳者やアニメーター等]
※新技術(3DCG、VFX、AI活⽤等)にも対応
今後の⽅向性
○ ⾼度な技術を活⽤し、制作現場を担う中核的専⾨⼈材(マンガの翻訳者やアニメーター等)の育成や確保
を図る
○ コンテンツの企画・開発から対外発信まで⾏える⼈材の育成・輩出を促進する
○ VFX・3DCG加⼯等のポストプロダクションの国内振興や制作現場におけるAI等の⾼度技術の活⽤等を⽀
援することにより、デジタルコンテンツ制作に係る産業集積を創出する
○ マンガ等コンテンツの国際⽂化発信やそのための翻訳者等の⼈材育成、その基盤となるコンソーシアムの
構築を戦略的に推進し、海外でのマンガ作品の⽂化的な評価を⾼める
○ 著作物等データの流通環境の構築により権利者等への対価還元を図る
等
35
②海外展開に向けた課題(ビジネス展開の⽀援)
現状と課題
○ 諸外国が多額の政府資⾦を投資して質の
⾼いコンテンツを市場に投⼊するという
国際競争環境の下、ハイリスクという事
業特性のために過⼩投資になりやすく、
⽇本の優位性が失われるリスクがある。
⽇本企業
○ ⽇本発コンテンツを世界中に届ける国際
流通機能を強化するとともに、世界的な
⼤ヒットを⽬指す⼤規模コンテンツの制
作やロケ誘致の⽀援の強化等に取り組む
ことが必要である。
外
国
企
業
【国際流通プラットフォームの例】
【過去のコンテンツ制作⽀援事例】
ピッコマ
韓国/1千万⼈
マンガ
「国宝」はJLOX+のプロダクション・ポ
ストプロダクション⽀援で補助。
NETFLIX
⽶国/3億⼈
実写・アニメ
Crunchyroll
MANGA Plus
(ソニー)1.7千万⼈ (集英社)0.6千万⼈
アニメ
マンガ
ABEMA Live
(サイバーエージェント)
アニメ・実写
K MANGA
(講談社)
マンガ
GKIDS
(東宝)
実写
Premium Bandai
(バンダイナムコ)
グッズ
【海外流出事例】
「SHOGUN」はカナダで撮影。
カナダでは税控除率があり(今年か
らさらに引き上げ)。
今後の⽅向性
○ 我が国企業が有するコンテンツ・プラットフォームにおいて、外国ファンの認知の拡⼤や海外向けコン
テンツの供給量を⽀援し、⽇本発コンテンツの海外流通機能を強化する
○ 海外で戦える⼤規模で⾼品質なコンテンツの製作⽀援を事業構造改⾰と⼀体として⾏い、知的財産(IP)
や⼈材、デジタルに関する無形資産投資を促す。また、コンテンツ分野のスタートアップが活躍できる
エコシステムを構築するための⽀援を⾏う
○ ⼤型映画を撮影するハリウッド等のスタジオによるロケ撮影誘致を⽀援し、⽇本の制作会社の技術⼒を
⾼める
○ AIやXR等の新技術を⽤いた制作ツールといった開発プラットフォームの構築を⽀援する
○ 税制の活⽤を通じて、世界⽔準のコンテンツを⽣み出すための研究開発や設備投資を促す
○ 複数社が連携した、国際映画祭・アニメ祭・ゲーム展⽰会等でのプロモーションを⽀援する
等
36
③体制・構造上の課題(取引・就業環境の改善、映適認定の拡⼤)
現状と課題
○ 撮影クリエイターは、発注業者・メディ
アとの関係において劣位な⽴場に置かれ
ることが多い。
○ 事前に業務内容や報酬額、⽀払時期など
が⼗分に明⽰されないまま不利な条件の
もとで業務に従事せざるを得ないという
構造的な課題が存在。
○ こうした課題への対応を、継続して強⼒
に推進する必要がある。
今後の⽅向性
○ 取引環境において問題となり得る⾏為を防⽌するための実態調査や、当事者がとるべき⾏動に対する指針
の周知普及 (本年9⽉末、実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関す
る指針を公表)
○ 本年1⽉から開始している映画・アニメの制作現場における実態調査に係る結果公表及び調査結果を踏まえ
た指針の策定
○ 映適(⽇本映画制作適正化機構)認定の拡⼤や、国の⽀援事業における映適認定等への加点または要件化
○ 急速に成⻑するアニメ産業において、質の⾼いアニメーションが持続的に制作されるよう、映画業界が作
成したガイドラインを参考に、クリエイター等の就業環境が適切に提供されている作品を認定する枠組み
(アニ適(仮称))の創設に向けた取組の推進
等
37
④体制・構造上の課題(海賊版対策)
現状と課題
○ ⽇本向け出版物海賊版上位
10サイトアクセス数合計が
2億アクセス程度と、依然と
して⾼⽔準であり予断を許
さない状況にある。
○ 現地での普及啓発、国際連
携・執⾏等の強化や、正規
版流通促進に官⺠⼀体と
なって⼀層強⼒に取り組む
こととすべきである。
(出典)⼀般社団法⼈ABJ「出版物違法サイトの状況」https://www.abj.or.jp/data
今後の⽅向性
出版物海賊版上位10サイト アクセス数合計の⽉別変化
○ 海外発海外向けの海賊版被害等に対応するため、現地での普及啓発、国際連携・執⾏等
の強化、権利者による権利⾏使の⽀援や、正規版流通促進に官⺠⼀体となって取り組む
○ 海外事業者が郵送等により国内に持ち込む模倣品が税関による取締りの対象となった
2022年改正商標法・関税法等を踏まえた関係府省等の連携による模倣品・海賊版に対す
る厳正な⽔際取締りの実施
等
38
今後の取組の⽅向性
2024年6⽉に決定された「新たなクールジャパン戦略」に基づき、⽇本発のコンテ
ンツ海外市場規模を2033年までに20兆円に拡⼤することを⽬指す。
諸外国における税制も含めたビジネス環境の現状等について把握し、映像産業等
コンテンツ分野の効果的な⽀援の在り⽅を検討する。
クリエイターが安⼼して持続的に働くことのできる環境や取引関係の整備等に向け
たコンテンツ産業界における取組を推進する。
AIやデジタル技術等の新たなテクノロジーの活⽤⽀援や、DX⼈材等の育成強化
等を通じて、コンテンツ分野でのイノベーションの創出・活⽤を⽀援する。
我が国のコンテンツ戦略の強化に向け検討を進める。
39
1.知財・無形資産への投資促進による価値創造
2.AI・デジタル時代の知的財産制度の構築
3.新たな国際標準戦略の策定・ルール形成の促進
4.クールジャパン戦略の展開
5.コンテンツ戦略の推進
6.本⽇ご議論いただきたいこと
本⽇ご議論いただきたいこと
<知財計画2026の主要課題について>
上記5つの分野(1.知財・無形資産、2.AI・デジタル、3.国際標準、4.クー
ルジャパン、5.コンテンツ)のそれぞれについて、本資料でお⽰しした課題や
論点に対するご意⾒、今後の取組の⽅向性に関するご意⾒をいただきたい。
<知財計画2026において追加で議論・検討すべき項⽬について>
上記5つの分野(1.知財・無形資産、2.AI・デジタル、3.国際標準、4.クー
ルジャパン、5.コンテンツ)に加えて、特に、知財計画2026の策定に向けて、
議論すべき重要な項⽬・論点があればご意⾒をいただきたい。
41
参考
⼈⼯知能関連技術の研究開発及び活⽤の
推進に関する法律(AI法)の概要等について
AI法概要
⼈⼯知能関連技術の研究開発及び活⽤の推進に関する法律(AI法)の概要
成⽴︓令和7年5⽉28⽇
⼀部施⾏︓令和7年6⽉4⽇
全⾯施⾏︓令和7年9⽉1⽇
多くの国⺠がAIに対して不安。
⽇本のAI開発・活⽤は遅れている。
法律の必要性
イノベーションを促進しつつ、リスクに対応するため、既存の刑法や個別の業法等に加え、新たな法律が必要。
⽬的
法律の概要
国⺠⽣活の向上、国⺠経済の発展
基本理念
経済社会及び安全保障上重要
研究開発⼒の保持、国際競争⼒の向上
基礎研究から活⽤まで総合的・計画的に推進
適正な研究開発・活⽤のため透明性の確保等
国際協⼒において主導的役割
AI戦略本部
本部⻑︓内閣総理⼤⾂ 構成員︓全ての国務⼤⾂
関係⾏政機関等に対して必要な協⼒を求める
AI基本計画
研究開発・活⽤の推進のために政府が実施すべき施策の基本的な⽅針等
基本的施策
研究開発の推進、施設等の整備・共⽤の促進
⼈材確保、教育振興
国際的な規範策定への参画
適正性のための国際規範に即した指針の整備
情報収集、権利利益を侵害する事案の分析・対策検討、調査
事業者等への指導・助⾔・情報提供
責務
国、地⽅公共団体、研究開発機関、事業者、国⺠の責務、関係者間の連携強化
事業者は国等の施策に協⼒しなければならない
附則
⾒直し規定(必要な場合は所要の措置)
世界のモデルとなる法制度を構築 国際指針に則り、イノベーション促進とリスク対応を両⽴。最もAIを開発・活⽤しやすい国へ。
出典︓ 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局にて作成。
43
(参考)AI法に基づく指針⾻⼦(たたき台)概要
出典︓⼈⼯知能戦略専⾨調査会(第⼆回)配布資料
44
(参考)AIリスクへのアジャイルな対応(イメージ)
出典︓⼈⼯知能戦略専⾨調査会(第⼆回)配布資料
45
資料3
資料3
第1回構想委員会
事前配布資料2の41頁主要課題に対するコメント
ワシントン大学ロースクール竹中俊子
1. 知財・無形資産
今までの委員会でも意見してきたように、アメリカの無体資産トップランキング
企業のように、無体資産を評価数値化し、株主に公開することが重要。(例え
ば、Microsoft, NVIDIA)知的財産推進計画 2026 では、既に無形資産の数値
化・情報開示が重要課題とされているが、増加した投資によって日本企業の無形
資産投資の結果は、英語且つオンラインで広く株主・投資家に共有されているの
か確認することが必要。日本企業の中で、数値化・情報発信に成功しているモデ
ルケースをみつけ、広く産業界に浸透させていくことが望ましい。
2. AI・デジタル時代の知的財産制度の構築
AI 活用発明の権利帰属や報酬制度は、計画 2026 で重点課題とされているが、
国際的な事例を踏まえたガイドライン策定を急ぐ必要。また、AI 検討会でも発
言したように、権利者・利用者双方の個別交渉の負担が軽減する AI 開発や機
械学習に利用した著作物の著作権者に対する報酬を徴収する制度を確立するこ
とが望ましい。
3. 国際標準戦略の策定・ルール形成の促進
現在の実施者側企業のディフェンシブマインドを改革して、SEP や SEP 権利
者に魅力的な特許を取得し、ライセンス交渉を有利に進め、ライセンスを受け
る側から許諾する側に代わっていくことが重要。私がいた半導体業界も、その
ような戦略で、日本企業は、基本特許を持つアメリカ企業と交渉し、ライセン
スを与える側に変革していった。その旗振りをしたのが当時の通産省で、現在
の SEP では、知財戦略本部がその役を果たしてほしい。
また、SEP 権利者に特許プールがあるように、実施者側も個別交渉のコストを
下げ、サプライチェーン内の特許消尽を考慮したロイヤルティの払い過ぎを防
止するため実施者交渉団体を形成することが好ましい。このような団体は、一
括ロイヤルティ徴収が可能になるため、SEP 権利者にとっても好ましい。
現在の緊急課題としては、中国 SEP 権利者が、中小企業に対し FRAND オフ
ァーを行い、技術開示を求める事件が散見されている。特許に不慣れな企業も
多く、不用意に技術開示を行えば、経済安全上の問題は避けられない。産業界
の知財分野の重鎮に相談がきたりしているようだが、政府として、そのような
相談に対応する機関を提供したり、SEP の基本情報を浸透させる必要があろ
う。
4.
クールジャパン戦略
化粧品・ファッション・食品など、既にブランド力及びサプライチェ
ーンを確立する海外チェーンとの提携が重要。10 月から 1 カ月ミュンヘンに滞
在し、フランスやイタリアを訪問したが、化粧品については、大手ドラッグチ
ェーンが Korea Skincare というラインを作り、韓国化粧品のイメージ向上に貢
献していたことが印象に残った。前から指摘しているように、アメリカでも欧
州でも日本料理が大人気だが、アジア系スーパーに行っても中国や韓国の冷凍
食品はあっても、日本の冷凍食品やレトルト食品はなかなか見つからない。日
本で大人気のコストコも、日本では日本の食品がたくさんあるのに、アメリカ
のコストコで売っている日本食品はわずかである。海外市場での日本食・化粧
品の展開に向け、官民連携の強化が重要。規制上の問題があるときいている
が、コストコのようなアメリカのチェーンとも協力して、規制の壁をのりこえ
ることはできないだろうか。
5.
コンテンツ戦略
クリエイティブ人材育成は計画 2026 で強調されているが、これからは AI 活用
を基本とした人材養成が基本となる。ハイテック業界が高利益でも大量レイオ
フを行うように、アニメーターやゲームクリエーターの多くの仕事は、AI にと
ってかわられる。AI 活用能力と共に、AI にとってかわられない創造性の高い
人材を養成することが、今後、国際競争に勝ち抜く鍵となろう。
6.
追加議題:AI の活用・デジタルトランスフォーメーション
AI 活用・デジタルトランスフォーメーションは横断的課題であり、重要課題と
して日本企業の AI 活用や DT の遅れがある。アメリカやドイツ企業は、安全
保障上の問題から、海外の事務所ではなく、国内の事務所に AI を活用させ、
海外並みのコストで明細書を作成することを求めている。契約書作成やコンサ
ル等多くの外注業務が国際競争のみならず AI 活用の競争にさらされている。
また、原則としてサービスには課税されないので、DT によるサービス化は現
在のアメリカの課税政策に対する有効な対策である。またイノベーション指数
の向上には英語による論文発表やプレゼン増加が最も効果的であるが、AI は英
語が苦手な日本研究者の救世主ともいえる。推進計画 2026 では、税制・国際
競争力・英語発信強化も論点とされているが、若年層の教育からシニア世代の
移動や情報環境改善まで国をあげての AI 活用振興策を進める必要があるので
はないか?
以上。
資料4
資料4
第 1 回構想委員会コメント
(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント
村松
俊亮
所用により出席がかなわないため、書面にて意見を申し上げます。
(1)コンテンツ産業の競争力強化・拡大に向けて
世界市場を目指すコンテンツは、制作費が数億から数百億円に及ぶ、高リ
スク・高コストの産業。世界で戦うには莫大な投資が必要で、諸外国は潤
沢な政府支援のもとで戦っている。
日本においても、コンテンツ関連予算を、少なくともまずは 1,000 億円、
ゆくゆくは 2,000 億円規模への早期拡充や、ライバル国に負けない大規模
かつ複数年度も含めた予算措置、税制の活用等、強力な支援が必要。
(2)海賊版対策について
海賊版による被害は2兆円を超えるとも言われ、特に海外サーバーを経由
した違法行為への対応は極めて困難。CODA をはじめとする関係機関を通じ
た、各国政府との連携強化、国際協力の抜本的強化を求める。
正規版の流通拡大に向けて、ローカライズやプラットフォーム支援を強化
することも、海賊版対策の根本的な解決策となる。
(3)レコード演奏・伝達権について
現在、文化庁著作権分科会政策小委員会で導入に向けた本格的な議論が行
われ、利用者団体への説明とヒアリングも進んでおり、先日は国際収支に
おいても黒字になるという調査結果が報告された。
早期に結論を得るべく、引き続き議論を進めていただきたい。
(4)生成 AI について
OpenAI 社の動画生成 AI「Sora2」の発表後、著名な創作物や表現への依拠
性・類似性が強く疑われる画像・映像が生成され、SNS で公開・送信された。
政府としても対応いただいたことは認識しているが、各所から意見表明が
されている通り、出版社をはじめとするコンテンツ関係企業・団体等には、
今も強い懸念の声がある。
コンテンツ産業が今後、日本の基幹産業として成長していくためには、
「AI
技術の進展を歓迎し、その可能性を正しく活かす」ことをベースとしつつ、
著作権法の原則を踏み越えた権利侵害が生じた限りにおいてはこれを容認
すべきではない。
AI 事業者が著作権法の原則に沿った対応を行い、クリエイター・権利者の
権利が損なわれず、安心して創作活動に取り組める環境が不可欠。
(5)司令塔機能の強化
コンテンツ産業振興を長期的に強力に継続するため、コンテンツに深い知
識と見識を持つ行政官のもとで、施策と予算を一元的に担う体制を整えて
いくことが重要。さらには、コンテンツ産業振興に特化した機関の設置を
検討していただきたい。
以
上
資料5
参考資料1
構想委員会構成員名簿
いずも
出雲
みつる
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長
ま み
日本電鍍工業株式会社
代表取締役
充
いとう
伊藤
麻美
A.T.カーニー株式会社 日本法人会長
CIC Japan 会長
うめ ざわ
たか あき
梅澤
高明
えんどう
のぶひろ
日本電気株式会社
株式会社エムスクエア・ラボ
代表取締役
阿部・井窪・片山法律事務所
パートナー弁護士
信博
遠藤
かとう
ゆ り こ
加藤
百合子
くろだ
かおる
黒田
薫
くろはし
国立情報学研究所 所長
京都大学 特定教授
さだお
黒橋
禎夫
しおの
まこと
株式会社経営共創基盤
取締役CLO
すぎ むら
じゅ んこ
杉村
純子
プロメテ国際特許事務所
代表弁理士
誠
塩野
たけなか
竹中
俊子
としこ
ワシントン大学
たつもと
ひろふみ
筑波大学
た な か
り
田中
里沙
学校法人先端教育機構
博文
立本
さ
と う じ
けい すけ
田路
圭輔
と き た
たかひと
なか むら
い
伊知哉
は
た の
波多野
ち
ビジネスサイエンス系教授
富士通株式会社
中村
や
むつこ
睦子
はやし
事業構想大学院大学
iU(情報経営イノベーション専門職大学)
けんさく
骨董通り法律事務所
けいこ
株式会社東京大学TLO
のりえ
TMI総合法律事務所
ほんだ
まつやま
圭子
松山
智恵
むらまつ
しゅんすけ
村松
わたなべ
渡部
俊亮
としや
俊也
学長
桜坂法律事務所 パートナー弁護士
弁護士知財ネット 理事長
ふくい
本田
グループCEO
東京科学大学 理事・副学長
総合科学技術・イノベーション会議議員
いづみ
健策
代表取締役社長
学長
代表取締役社長
林
福井
マネージングディレクター
ロースクール教授
株式会社エアロネクスト
隆仁
時田
◎
特別顧問
代表弁護士
代表取締役社長
パートナー弁護士
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
代表取締役社長 グループCEO
東京科学大学
副学長
◎:座長
( 2025 年 10 月時点、敬称略、五十音順 )
資料6
参考資料2
構想委員会の開催について
令 和 元 年 9 月 3 日
知的財産戦略本部長決定
1
知的財産戦略本部令(平成15年政令第45号)第4条の規定に基づき、
「知的
財産戦略ビジョン」
(平成30年6月12日知的財産戦略本部決定)に掲げた「価
値デザイン社会」の実現のために必要な中長期の方向性及び具体的な施策を
構想するとともに、各種施策の実施状況の検証・評価を行い、その実効を確保
するために必要な措置を検討するため、構想委員会を開催する。
2
構想委員会の構成員は、知的財産の創造、保護及び活用に関し優れた識見を
有する者のうちから知的財産戦略本部の副本部長たる内閣府特命担当大臣
(知的財産戦略)が指名する。
3
構想委員会の座長は、構想委員会の構成員のうちから、内閣府特命担当大臣
(知的財産戦略)が指名する。
4
座長は、必要があると認めるときは、他の構成員のうちから座長代理を指名
することができる。
5
構想委員会は、必要があると認めるときは、参考人を招いて意見を聞くこと
ができる。
6
構想委員会の庶務は、関係行政機関の協力を得て、内閣府知的財産戦略推進
事務局において処理する。
7
前各項に掲げるもののほか、構想委員会の運営に関する事項その他必要な
事項は、座長が定める。
資料7
参考資料3
構想委員会の運営について
令 和 元 年 9 月 2 7 日
知 的 財 産 戦 略 本 部
構 想 委 員 会 座 長 決 定
令 和 2 年 7 月 2 8 日
一
部
改
正
令 和 4 年 1 月 3 1 日
一
部
改
正
「構想委員会の開催について」(令和元年9月3日 知的財産戦略本部長決定)第
7項に基づき、構想委員会(以下「委員会」という。)の運営について以下の
とおり決定する。
1
座長は、必要があると認めるときは、委員以外の参考人を招いて意見を
聞くことができる。
2
座長は、必要があると認めるときは、タスクフォース、ワーキンググル
ープその他専門の事項を調査する会合を開催することができる。
3
委員会は、原則として公開し、事務局へ事前登録を行った者は傍聴するこ
とができる。
4
会 議資料及び議事録は原則と して会議開催後公開する。
5
座 長は、会議又は会議資料若しくは議事録を公開する ことにより率直な
意見 の 交換が損な わ れるおそれがあるときその他必要と認めるときは、こ
れら の 全部又は一部を非公開と することができる。
6
座長は、委員、参考人及び傍聴者に対し、率直な意見の交換が損なわれ
ることのないよう、会議によって知り得た情報を外部で取り扱うときは、
発言をした者の所属及び氏名を特定しないよう求めることができる。
7
前各項に掲げるもののほか、委員会の運営に関する事項その他必要な事項
は、座長が定める。
資料8
参考資料4
知的財産推進計画2025
~IP トランスフォーメーション~
2025年6月3日
知的財産戦略本部
知的財産推進計画2025
目次
I.
はじめに ......................................................................................................................................... 1
II.
知財戦略の振り返りと今後の方向性 .............................................................................................. 2
1. 知財戦略の振り返り...................................................................................................................... 2
2. IP トランスフォーメーション ...................................................................................................... 3
(1) 日本の競争力の現状 .............................................................................................................. 3
(2) 今後の知財戦略の方向性 ....................................................................................................... 3
III. 知財戦略の重点施策 ....................................................................................................................... 8
1. 知的財産の「創造」...................................................................................................................... 8
(1) 知財・無形資産への投資による価値創造 .............................................................................. 8
(2) AI と知的財産権 .................................................................................................................. 14
(3) 創造人材の強化・ダイバーシティの実現 ............................................................................ 22
2. 知的財産の「保護」.................................................................................................................... 31
(1) 技術流出の防止.................................................................................................................... 31
(2) 海賊版・模倣品対策の強化 .................................................................................................. 34
(3) 産業財産権制度・運用の強化 .............................................................................................. 41
(4) 地域における知財保護 ......................................................................................................... 50
3. 知的財産の「活用」.................................................................................................................... 64
(1) 産学連携による社会実装の推進........................................................................................... 64
(2) スタートアップ支援 ............................................................................................................ 68
(3) 新たな国際標準戦略 ............................................................................................................ 71
(4) データ流通・利活用環境の整備........................................................................................... 77
4. 新たなクールジャパン戦略のフォローアップ ............................................................................ 80
(1) 新たなクールジャパン戦略の実装 ....................................................................................... 80
(2) コンテンツ戦略.................................................................................................................... 99
I. はじめに
「知的財産推進計画 2024」
(2024 年6月知的財産戦略本部決定)では、
「知的
財産戦略」は、経済やイノベーションを活性化し、国際競争力を強化していく上
で、一層重要性を増しており、科学技術・イノベーション政策や経済安全保障政
策等との連携も不可欠との認識の下、イノベーションを創出・促進する「知財エ
コシステム」の再構築に向け、
「知的創造サイクル」という原点に立ち戻り、知
的財産の創造・保護・活用全般にわたる施策の見直しと高度知財人材の戦略的な
育成・活躍について整理した。
また、同時に策定した「新たなクールジャパン戦略」の推進に向けて、デジタ
ル時代のコンテンツ戦略やインバウンド誘致、農林水産物・食品の輸出、地域の
魅力発信等の横断的な取組を示した。
以上を踏まえ、内閣府知的財産戦略推進事務局は、関係省庁と連携し、関連施
策を推進するとともに、2024 年 10 月以降、知的財産戦略本部の下に置かれた
「構想委員会」において、
「知的財産推進計画 2025」の策定に向けた検討を精力
的に行い、同委員会の下に設置された「コンテンツ戦略ワーキンググループ」、
「Create Japan ワーキンググループ」及び「国際標準戦略部会」において具体
的な議論を進めてきた。
あわせて、
「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024 年改訂版」
(2024 年6月 21 日閣議決定)等に基づき、2024 年9月に、コンテンツ産業の
活性化に向けて、クリエイター・コンテンツ産業に関わる政府の司令塔機能を明
確化、体制強化するため「コンテンツ産業官民協議会」及び「映画戦略企画委員
会」を設置し、新たな施策の検討等を行ってきた。
これらの検討成果や議論の内容を踏まえ、
「知的財産推進計画 2025」を取りま
とめたものである。
本計画では、
「Ⅱ.知財戦略の振り返りと今後の方向性」において、これまで
の我が国の知財戦略を簡潔に振り返りつつ、我が国の競争力の現状や我が国の
有する「知的資本」の再確認を行った上で、グローバルな競争力の強化や循環経
済の実現など、国内外の社会課題の解決を図る新たな「知的創造サイクル」の構
築を「IP トランスフォーメーション」と銘打ち、
「イノベーション拠点としての
競争力強化」、「AI 等先端技術の利活用」、「グローバル市場の取り込み」を、上
記を実現するための3本柱とし、今後の方向性と重点取組を取りまとめた。
「Ⅲ.知的財産の重点施策」においては、2024 年に引き続き、知的財産の「創
造」、
「保護」、
「活用」の各視点ごとに「現状と課題」と「施策の方向性」につい
て整理を行うとともに、達成すべき目標について新たに KPI を定めた。
今後、知的財産を戦略的に創造、保護及び活用することにより活力ある経済社
会を実現するとともに、日本ファンの外国人を増やし、日本のソフトパワーを強
化していくため、政府のみならず、産業界、大学等の関係者が一丸となって、本
計画に基づく施策を着実に実行していくことが求められる。
1
II. 知財戦略の振り返りと今後の方向性
1.知財戦略の振り返り
2002 年に知的財産基本法(平成 14 年法律第 122 号)が制定されてから 20 年
余りが経過したが、その間、国内外の環境変化に合わせて求められる知財戦略も
変化してきた。
2013 年には、「知的財産政策に関する基本方針」(平成 25 年6月7日閣議決
定)を策定し、
「他国を追随するのではなく、国内外の企業や人を引きつけるよ
うな世界の最先端の知財システムを構築すること」、「アジアを始めとする新興
国の知財システムの構築を積極的に支援すること」、「創造性と戦略性を持った
人財を絶えず輩出し続けること」を目標に掲げた。
また、2018 年には「知的財産戦略ビジョン」(平成 30 年6月 12 日知的財産
戦略本部)を策定し、2025 年から 2030 年頃を見据え、来るべき社会像と価値
の生み出し方、それを支える知的財産システムについて、中長期の展望及び施策
の方向性を示す中で「価値デザイン社会」を提唱した。
近年は、AI 技術の急速な進展とそれに伴うデータの価値の高まりや経済安全
保障の概念の登場、サーキュラーエコノミーの実現や気候変動対策をはじめと
する社会課題解決への貢献など、国内外の環境変化がさらに加速し、企業におい
ては、新たな環境変化に合わせて知財戦略を策定することが課題とされてきた。
一方で、足下の世界情勢を見ると、国際的な政治・経済情勢リスクは引き続き
高まりを見せ、気候変動への対応の足並みの乱れ、世界的なインフレの進行など、
企業を巡る状況は益々不確実性を増している。しかしながら、このような時代だ
からこそ、
「知財」
「技術」といった、不変ともいえる知的資産の果たす役割の重
要性が高まっているといえる。今こそ、企業は、自社の保有する知財や技術等の
イノベーション力の「源」を再確認し、それらに立脚した事業戦略の構築を図っ
た上で、自らの強みを説明していくことが求められている。
2
2024
16
2023
14 13 15
2022
2020
16
2021
2019
2018
2017
2015
2014
2013
2012
2011
2016
1
4
7
10
13
16
19
22
25
28
31
34
37
40
43
2010
2009
2.IP トランスフォーメーション
(1)日本の競争力の現状
これまで社会環境の変化や諸外国の動向を踏まえ、知財戦略を推進してきた
が、日本の競争力は、長期的に低落傾向にある。例えば、世界知的所有権機関
(WIPO)のグローバルイノベーション指数(2024 年)は、13 位と韓国(6位)
や中国(11 位)の後塵を拝しているほか、スイスの国際経営開発研究所(IMD)
の世界デジタル競争力ランキングにおいても 31 位(2024 年)に低迷している。
他方、コンテンツ産業やクールジャパン関連産業は大きく発展し、日本の国家
ブランドは世界トップクラスとなっており、我が国の強みとなっている。しかし、
グローバルでの収益拡大は課題であり、知財マネジメントの高度化が必要であ
る。
9
13
20
25
22 21
19
13 13 13 13
競争⼒の低下
スイス
米国
日本
デジタル化の遅れ
シンガポール
韓国
中国
出典:経済産業省 「デジタル時代の人材政策に関する
検討会(第 5 回)」資料 3-1(2022 年 3 月)、
及び、IMD 世界デジタル競争力ランキング
出典:WIPO「Global Innovation Index 2024」
図表2:世界デジタル競争力
ランキング
図表1:グローバルイノベーション
指数(GII)ランキング
(2)今後の知財戦略の方向性
この先 10 年を見越すと、人口減少に伴ってイノベーション人材が減少し、国
内市場が頭打ちになる一方、グローバル市場は引き続き成長することが見込ま
れるほか、AI 技術の急速な発展と社会経済システムの大きな変革が予測される。
このような日本の競争力の現状と将来の環境変化を踏まえて、今後の知財戦略
の方向性を検討していく必要がある。
特に、イノベーションをリードするには国内のみでの対応はもはや限界とな
る中、人材・拠点を含むグローバル知的資本の国内への積極的誘引や AI の積極
活用等を前提に新たな知的創造サイクルを検討することが求められている。
また、コンテンツ・クールジャパン関連産業の発展に伴って向上する日本の国
家ブランドや魅力を、日本の貴重な知的資本として再認識し、これらをグローバ
3
ル知的資本の誘引に向けて十分に活用していくことが重要である。
まさに、世界が高付加価値経済に転換する中、付加価値の源泉は知的資本その
ものであり、知的資本の活用が問われる時代となっている。このような状況を踏
まえ、日本の知的資本(技術力、コンテンツ力、国家ブランド等)を十分に活用
してグローバル知的資本の誘引・集積を図るとともに、付加価値創出に AI を積
極活用し、誘引したグローバル知的資本も巻き込みながらグローバル展開を強
化していく必要がある。
このように、グローバルでのマーケティングや収益最大化を強く意識しなが
ら、知的財産の「創造」、
「保護」及び「活用」からなる「知的創造サイクル」を
回し、国内外の社会課題の解決を図る「新たな知的創造サイクル」を構築(IP ト
ランスフォーメーション)することが求められており、これを実現するために3
つの柱に沿った取組を重点的に進めて行く必要がある。
出典:内閣府知的財産戦略推進事務局作成
出典:内閣府知的財産戦略推進事務局作成
図表3:グローバル知的資本の活用サイクル 図表4:知的資本の構成要素
<イノベーション拠点としての競争力強化>
イノベーション拠点としての競争力強化に当たっては、アジアにおける一大
研究開発拠点・イノベーションハブとしての地位の確立を図り、知的資本(知、
技術、資金)を国内に集積し、そのような知財・無形資産を最大限活用して成長
する「価値創造大国」を目指し、
「コストカット型経済」から「高付加価値型経
済」への転換の実現を図っていくことが必要である1。
1
経済産業省「産業構造審議会イノベーション・環境分科会イノベーション⼩委員会 中間とりまとめ」(2025 年 4 ⽉)においても、
国⼒や産業競争⼒を⾼めるためのイノベーション政策の⽅向性が⽰されている。
(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/innovation/pdf/20250417_1.pdf)
4
そのためには、人口減に伴う創造人材の減少、研究者数の低迷、研究開発費の
伸び悩み、無形資産比率割合の低迷、欧米に比べて低い海外特許出願比率等の
様々な課題への対応を図っていく必要がある。
あわせて、現在、国際的な社会経済状況の変化に伴い、専門的知識を有する高
度人材の国際的な流動性も高まっており、我が国としても、イノベーション創出
を含む、創造的な活動を行うための環境整備や改善を進めつつ、その優位性を海
外に発信するなど、海外のディープテック等の先端分野におけるトップレベル
の研究者、起業家などのイノベーション人材や IT 人材、クリエイティブ人材を
呼び込むための取組や環境整備2を、大学や企業、地方自治体等の関係者が連携
して積極的に推進する必要がある。
① 創造人材の強化・ダイバーシティの実現
対応の一つ目として考えられるのは、創造人材の強化・ダイバーシティの実現
である。世界から「創造人材」が集結するようなイノベーションハブの形成を図
っていく必要がある。今後 10 年で解決・底上げを図るべき課題としては、研究
者数の低迷傾向が続いている現状において、引き続き国内の人材への投資を行
うとともに、イノベーションをけん引するトップレベルの人材の海外からの獲
得や優秀な留学生の受入増加も意識的に進めていく必要がある。変化する事業
環境の中でも、創造を生み出すのは「人」であることに変わりなく、性別・年齢・
国籍等多様な人材が集い、相互に影響しながら、イノベーションを起こしていく
環境整備が求められる。
② 知財・無形資産投資の促進
対応の二つ目としては、知財・無形資産投資の促進を通じた知財・無形資産が
価値創造をリードするような経済社会の実現である。
今後 10 年で解決・底上げを図るべき課題としては、知財・無形資産は、非常
に重要な役割を果たす一方、現状、日本企業は米国企業に比べて時価総額に占め
る無形資産の割合が低迷しており、知の創出拠点である大学も、研究開発の資金
獲得に課題を持っていることが挙げられる。
これらの課題に対する対応として、知財・無形資産の可視化による投資促進を
進めることが考えられる。民間企業は、研究開発費・知財と売上高その他の経営
指標を紐付けて投資家等ステークホルダーに説明していく必要があり、大学も、
研究開発・知財と社会インパクトを紐付けて、資金の出し手に説明していくこと
が求められる。
2 研究者の待遇向上など、受け⼊れ環境の整備等が含まれる。
5
この点、企業に関しては、内閣府知的財産戦略推進事務局が 2023 年3月に策
定した「知財・無形資産ガバナンスガイドライン Ver2.0」を用い、現在、企業と
投資家との対話を促進している。また、大学知財の社会実装の観点からは、内閣
府知的財産戦略推進事務局が 2023 年3月に策定した「大学知財ガバナンスガイ
ドライン」の普及を図っている。
さらに、大学の知財に関連して、大学等の研究者の転退職は増加傾向にあり、
知財取扱い規定が未整備の大学がある中、望ましい知財の取扱いの在り方の検
討を行い、2025 年 3 月に「大学等研究者の転退職時の知財取扱い指針」を公表
した。社会全体のイノベーション促進のためにも、大学から生まれる知財の社会
実装を、より一層進めていくことが肝要であり、関係者間で認識を一にし、取組
を加速化していく必要がある。
③ 国際的求心力のある知財制度・システムの実現
対応の三つ目としては、国際的な求心力のある知財制度・システムの実現を通
じたイノベーションハブを支える制度インフラの実現である。今後 10 年で解
決・底上げを図るべき課題としては、海外からの特許出願比率が欧米に比して低
い状況であることから、海外からの特許出願数を、いかに伸ばしていくかという
点が挙げられる。
国際的に求心力のある知財制度・システムの実現に当たっては、直近 10 年も
新たな情報財として、AI・データへの対応、デジタル化の進展、技術流出への対
応、知財紛争処理強化に関し、様々な環境変化を取り込んだ制度改正・システム
の強化を実施してきたが、今後も常にこうした制度・システムが国際的に遜色の
ないものになっているのかといった観点でレビューしていくことが求められる。
<AI 等先端デジタル技術の利活用の推進>
AI の利活用による知的創造サイクルの加速化に当たっては、AI の利活用推進
による生産性向上、創造活動の迅速化、日本に強みがある分野での AI の開発促
進による価値の創造、経済価値の創造活動への再投資を通じ、人口減少下におい
ても強靱な知的創造サイクルの構築を図っていく必要がある。
それを実現するための課題としては、クリエイター・権利者の懸念、発明創作
等の知財制度・運用上の考え方の明確化、生成 AI の利用に慎重な傾向があるこ
となどが挙げられる。
生成 AI と知財をめぐる懸念やリスクへの対応については、
「AI 時代の知的財
産権検討会 中間とりまとめ」
(2024 年5月)
(以下「中間とりまとめ」という。
)
で示した通り、生成 AI に関わる幅広い関係者が法・技術・契約の各手段を適切
に組み合わせながら連携して取り組み、AI 技術の進歩と知的財産権の適切な保
6
護が両立するエコシステムの実現を目指していくことが重要である。
発明創作等の知財制度やその運用上の考え方の明確化に関しては、AI を利用
した発明創作活動が、既に研究開発活動の中で生じている中、特許制度上、AI
開発者等の貢献をいかに評価するか、我が国においても検討を深め、結論を得る
べき時期に来ている。
AI 開発者等に発明者としての地位を与えるかどうかについて検討する際の視
点として、今後、発明創作活動に対する AI 開発者等の関与が増えていくことが
予測されることから、AI 開発者等の貢献を適切に評価することにより、我が国
の AI ツールの技術開発の後押しになるのではないかというイノベーション推進
の観点と、先行発明として公開されることにより、更なる AI 開発の促進に寄与
することが期待されるのではないかという点を考慮していくことが重要である。
さらに、知的創造サイクルの「創造」
、
「保護」、
「活用」の各段階において、AI
の利活用を考え、知的創造サイクルを加速化させていくことが求められている。
<グローバル市場の取り込み>
国内市場は頭打ちとなる一方で、グローバル市場は引き続き成長していくこ
とが予想される中、
「新たなクールジャパン戦略」
(2024 年6月)に基づき、コ
ンテンツ産業の海外展開を推進し、知財(コンテンツ)を核とする経済圏の確立
を図っていくことが求められる。そのためには、契約交渉や経営等知財マネジメ
ントの高度化が必要である。
あわせて、今般策定した「新たな国際標準戦略」に基づき、国際社会にとって
重要であり、かつ、国際標準が重要成功要因となり得る領域において、産学官連
携で戦略的に国際標準化を推進するとともに、それを支える人材の育成や支援
機関の強化等を進め、官民一体となって、グローバル市場を獲得していくことが
求められる。
(KPI)
知財・無形資産投資の促進や AI 等の先端技術の利活用の推進等を通じ、知的
創造サイクルを加速化することにより、2035 年までに、WIPO の「グローバ
ルイノベーション指数」の上位4位以内3を目指す。
日本市場(日経 225)における時価総額に占める無形資産の割合を、2035 年
までに、50%以上4にまで高める。
3
WIPO のグローバルイノベーション指数について、これまで我が国が獲得した最⾼位が 4 位(2007 年)であることから、2035 年まで
に、上位4位以内を⽬指すこととした。
4
10 ページの図表9にある通り、2020 年時点の⽇本市場(⽇経 225)における時価総額に占める無形資産の割合は 32%に過
ぎない。⼀⽅、2020 年時点において、⽶国市場(S&P500)では 90%、中国市場(上海深圳 CSI300)では 44%、韓国市
場(KOSDAQ COMPOSITE INDEX)では 57%であるため、2035 年までに、中韓並みの 50%以上を⽬指すこととした。
7
III. 知財戦略の重点施策
1.知的財産の「創造」
(1)知財・無形資産への投資による価値創造
(現状と課題)
持続的な成長と社会課題の解決には研究開発投資が不可欠であり、企業や国
がイノベーションを推進する上で重要な役割を担っている。研究開発投資を決
定する際には、研究開発から得られる利益、将来解決すべき課題、ターゲットと
する市場等を考慮し、中長期的な視点で戦略的に行うことが求められている。
過去 20 年間、主要国における研究開発費総額は増加している一方で、日本の
研究開発費総額は伸び悩んでいる。また、近年では研究開発活動のグローバル化
が進み、2010 年以降、海外への研究開発投資が倍増するなど、研究開発の海外
シフトが顕著になっている。このような状況から、日本国内の研究開発環境の優
位性が低下し、先端技術や情報が海外に流出することが懸念されている。将来に
わたって、知的創造サイクルを持続可能な形で力強く回していくためには、創造
の基盤ともいえる国内の研究開発環境を整備し、国内における研究開発活動を
強化していく必要がある。
(出典)科学技術・学術政策研究所、「科学技術指標 2024」より引用
図表5:主要国における研究開発費総額の推移
8
60%
250
50%
200
40%
150
30%
100
20%
50
10%
0
0%
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
(百億円)
300
国内⽀出
海外⽀出
海外⽀出割合(%、右軸)
(出典)総務省「科学技術研究調査」、科学技術・学術政策研究所「科学技術指標 2024」を基に
内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表6:日本企業の外部支出研究開発費の推移(国内・海外)
(出典)経済産業省「海外事業活動基本調査」を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表7:中国向け研究開発費の
業種別構成比(%)
図表8:北米向け研究開発費の
業種別構成比(%)
<知財・無形資産の価値化・可視化を通じた投資促進>
知財・無形資産は、高付加価値経済の実現にあたって、重要な役割を果たす。
企業が保有する技術や、知的財産は、他者の製品・サービスとの差別化や付加価
値向上に直接的に貢献することによって、事業活動の価値創出において中心的
な役割を担うこととなる。
他方で、知財・無形資産の重要性が増す中、日本企業は米国企業に比べて時価
総額に占める無形資産の割合が低い。日本企業は、自社の強みとなる知財・無形
資産の把握や活用が不十分であり、これが企業価値低迷の一因との指摘がある。
9
(出典)新しい資本主義実現会議(第5回)資料1、P50(2022 年)
図表9:時価総額に占める無形資産の割合
我が国においても、2021 年6月に、知財・無形資産の重要性に鑑み、コーポ
レートガバナンス・コードの改訂において、知的財産への投資に関して、分かり
易く情報を開示・提供すべき点が明示され、これを踏まえ、2022 年には、実際
に企業開示の現場においてどのように実践すべきか、といった点を詳述する「知
財・無形資産ガバナンスガイドライン」が公表されている。
2023 年3月には改訂版である「知財・無形資産ガバナンスガイドライン
Ver2.0」5を策定・公表している。当該ガバナンスガイドラインの実践を通じて、
投資家や金融機関が求める価値創造ストーリーを戦略的に開示することにより、
持続的な成長に向けた投資を確保していく必要がある。
また、近年では、インパクト投資にも注目が集まっている。インパクト投資と
は、投資として一定の投資収益の確保を図りつつ、社会・環境的効果(インパク
ト)の実現を企図する投資であり、2023 年時点で、世界市場規模の推定値は、
1.571 兆ドル(約 218 兆円6)と試算されており、我が国の投資残高も伸長傾向
にある(図表 10)。
5
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/governance_guideline_v2.html
6
令和 5 年当時の外国貨幣換算率により算出(1ドル(アメリカ合衆国通貨)につき 139 円として換算)。
10
(出典)Global Impact Investing Network(GIIN)、GSG Impact JAPAN を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 10:世界と日本のインパクト投資市場規模
インパクト投資の推進に向けて、2023 年 11 月に、産官学金共同のインパク
トコンソーシアムが立ち上げられ、事例紹介等を通じて、インパクト投資に活用
できるデータ・指標の整備や上場企業に対するインパクト投資の手法等につい
ての議論が進められている。
また、グローバルヘルス分野では、日本が G7 議長国を務めた G7 広島サミッ
トのフォローアップとして 2023 年9月の国連総会ハイレベル会合の機会に、岸
田前総理の宣言によって、
「グローバルヘルスのためのインパクト投資イニシア
ティブ」
(Impact Investment Initiative(Triple I) for Global Health)が立ち
上げられ、国際開発金融機関、各国開発金融機関、機関投資家、民間企業等を含
む国内外 100 以上の機関の参画を得ながら、保健・医療分野におけるインパク
ト投資を促すための環境整備に係る議論や、当該分野におけるインパクトの測
定・管理等の標準化に向けた取組が進められている。
我が国は、少子高齢化、災害対応など、社会課題への対応については一日の長
がある。企業は、知財・無形資産に立脚した価値創造を図るとともに、自社が有
する技術・知財等がいかに社会全体の課題解決(インパクト)をもたらすのかの
「ロジック/ストーリー」を論理的かつ戦略的に発信していくことによって、グ
ローバルで伸長するインパクト投資を呼び込み、これを企業の更なる成長に取
り込んでいく必要がある。
<イノベーションマネジメントの高度化>
イノベーションの国際競争が激化する中、研究開発拠点としての立地競争力
を強化し、民間による無形資産投資を後押しすることを目的として、本年4月
よりイノベーション拠点税制が施行されている。
11
(出典)経済産業省「イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)ガイドライン」に基づき
経済産業省が作成
図表 11:イノベーション拠点税制の概要
今後、当該制度の積極的な活用により、国内での研究開発活動が一層促進され
ることが期待されるが、同時に、これを契機として、企業内に存在する知財・無
形資産の価値が再評価され、価値創造活動への利活用が進むことが期待される。
企業サイドとしても、こうした制度の存在を念頭に、企業の知財・無形資産の価
値化のプロセスの可視化、すなわち、
「研究開発投資を行った結果、どの研究開
発が知財の創出につながったのか」
「創出した知財のうち、どの知財がどの程度
の収益につながったのか」をトレースしていくための情報管理(財務情報と知財
情報の統合)と、研究開発を単なる「費用」ではなく、
「資産」の形成と捉える
企業マインドの変革、イノベーションマネジメントの高度化が求められる。
(KPI)
第 7 期科学技術・イノベーション基本計画の数値目標の設定を踏まえ、今後、
適切なタイミングで KPI を設定する。
(施策の方向性)
知財・無形資産を戦略的に活用し企業価値を高めている活動を好事例と
して公表する表彰制度との連携を含め、知財・無形資産の投資・活用の促
進に向けて、知財・無形資産ガバナンスガイドラインの考え方を更に普及・
浸透を図る方策を検討する。
(短期・中期)(内閣府(知財))
コーポレートガバナンス・コードにおける知的財産に関する記載や東京
12
証券取引所「資本コストを意識した経営の実現に向けた対応」の要請を踏
まえて、引き続き企業に対して知的財産への投資等を促していく。
(短期・中期)(金融庁)
知財・無形資産を活かした経営の実践を我が国企業に浸透させるべく、
IP ランドスケープの活用等の中堅企業等における知財・無形資産の投資・
活用に関する実態や課題の調査を行い、当該投資・活用の在り方を検討す
ること等を通じて、中堅企業等における知財・無形資産の投資・活用の推
進につなげる。
(短期・中期)(特許庁)
サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現のための価
値創造ストーリーの協創に向けて、知財・無形資産戦略は人的資本戦略や
事業ポートフォリオマネジメント戦略、DX 戦略等と並んで重要な鍵であ
り、SX 銘柄を通じて、知財・無形資産戦略をはじめとする各種戦略につ
いて統合的な戦略構築と開示を推奨する。
(短期・中期)(経済産業省、内閣府(知財))
グリーン・トランスフォーメーション技術区分表、及び当該技術区分表
を用いた特許情報の分析結果の国内外への発信及び活用の促進を行う。ま
た、こうした技術区分表が国際的に統一された技術区分表に組み込まれる
よう諸外国への働きかけを行うとともに、特許審査官の知見も活用しつつ、
技術区分表の充実化に向けた検討を行う。
(短期・中期)(特許庁)
グローバルヘルス分野への民間資金の呼び込みのため、2023 年 G7 広
島サミットの成果である、グローバルヘルスのためのインパクト投資イニ
シアティブ(Triple I)の活動を通じて、インパクト投資の推進に向けた
国際連携の枠組みを構築するとともに、投資による国際保健に関連するイ
ンパクトの測定・管理等の標準化に向けた取組を推進する。
(短期・中期)
(内閣官房(健康・医療戦略))
2024 年度税制改正において措置された、特許権と AI 関連のプログラ
ムの著作物から生じる所得に税制措置を適用するイノベーション拠点税
制について、事業者が積極的に制度を活用できるよう本制度の周知徹底を
図り、着実な執行に取り組む。引き続き、類似制度を導入している国の動
向を調査するとともに、対象範囲の見直しについては、制度の執行状況や
効果を十分に検証した上で、執行可能性等の観点から、財源確保の状況も
踏まえ、状況に応じ、検討する。
(短期・中期)(経済産業省)
13
(2)AI と知的財産権
(現状と課題)
世界の AI 市場規模(売上高)は、2022 年には前年比 78.4%増の 18 兆 7,148
億円まで成長したものと推定されており、その後も 2030 年まで加速度的成長が
予測されている(図表 12)。日本の AI システム市場規模(支出額)は、2023 年
に 6,858 億 7,300 万円(前年比 34.5%増)となっており、今後も成長を続け、
2028 年には2兆 5,433 億 6,200 万円まで拡大すると予測されている(図表 13)。
これにあわせて、我が国における AI 分野の研究費も増加している(図表 14)。
一方、大規模言語モデル(LLM)の開発では海外勢が先行している状況にあり、
日本以外の企業・研究機関がクローズに研究開発を進めた LLM の活用に対する
懸念が指摘される中、国産の LLM 構築に向けた対応が進められている78。
(出典)総務省「令和 6 年版情報通信白書」
1
図表 12:世界の AI 市場規模(売上高)
の推移及び予測
7
図表 13:国内 AI システムの市場規模
(支出額)及び予測
総務省「令和 6 年版情報通信⽩書」(p47 から p49)では、国産 LLM の開発として情報通信研究機構(NICT)、サイバーエ
ージェント、⽇本電信電話(NTT)の取組が⽰されている
(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/pdf/n1410000.pdf)。
8
可及的速やかに⽣成 AI に関する開発⼒を国内に醸成するために、経済産業省と NEDO では 2024 年 2 ⽉から「GENIAC
(Generative AI Accelerator Challenge)」プロジェクトとして、基盤モデルの開発に必要な計算資源の提供⽀援やコミュニティの
運営等を⾏っている(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/geniac/index.html)。
14
(出典)総務省「科学技術研究調査」を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 14:AI 分野の研究主体別研究費
また、AI の市場規模や研究費が増加している一方で、我が国企業の業務にお
ける生成 AI の利活用は海外と比較して進んでいない。例えば、「メールや議事
録、資料作成等の補助」に生成 AI を使用している割合(トライアル中を含む。)
は、米国、ドイツ、中国の企業は 95%程度であるのに対し、日本の企業は 69.5%
に留まる。
(出典)総務省「令和 6 年版情報通信白書」
図表 15:業務における生成 AI の活用状況(メールや議事録、
資料作成等の補助)
2024 年には、ノーベル賞の授賞理由として、深層学習(物理学賞)や、深層
学習を活用したタンパク質の立体構造予測(化学賞)が挙げられるなど、機械学
15
習技術や、その利活用が注目を浴びている。例えば、材料や物質の研究開発にお
いて、機械学習を活用した新たな材料の探索や自動・自律実験(マテリアルズ・
インフォマティクス等)が行われており、従前より研究開発において AI が関与
する程度が増加しつつある。
そのような中、少子化の進展に伴い、イノベーション人口の減少が想定される
我が国にとって、生産性の向上等に資する AI は、我が国の発展に大きく寄与す
る可能性がある。日本に強みがある分野での AI 開発を促進し、価値の創造につ
なげるとともに、獲得した経済価値を経済活動に再投資するといった、強靭な知
的創造サイクルを構築することが求められる。
他方、特に生成 AI については、個人情報の不適正な利用、犯罪の巧妙化・容
易化、偽情報等による混乱等と並び、著作権等の侵害リスクについて、クリエイ
ターや権利者から懸念の声が示されている。
こうした声を受けて、AI と「著作権」の関係については、文化審議会著作権
分科会法制度小委員会において検討を行い、また、
「知的財産権」全般との関係
については、AI 時代の知的財産権検討会(事務局:内閣府知的財産戦略推進事
務局)において検討を行った。検討結果は、
「AI と著作権に関する考え方につい
て」
(2024 年3月)、及び「AI 時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」
(2024
年5月)として、それぞれ公表されている。
中間とりまとめでは、生成 AI と知的財産権の望ましい関係の在り方として、
「AI 技術の進歩と知的財産権の適切な保護が両立するエコシステム」の実現が
目指されている。そのためには、法、技術、契約の各手段を適切に組み合わせな
がら、AI 開発者、AI 提供者、AI 利用者、権利者等の幅広い関係者が連携して
取り組むことにより、創作者にとって信頼できる開発者の下に良質なデータが
多数集積し、高度な生成 AI の開発・提供とともに、新たな創作活動につながる
好循環の実現が期待される。
(出典)AI 時代の知的財産権検討会「中間とりまとめ」
図表 16:法・技術・契約の各手段の相互補完性
16
<生成 AI と知的財産を巡る懸念・リスクへの対応>
政府では、中間とりまとめが示す「AI 技術の進歩と知的財産権の適切な保護
が両立するエコシステム」の実現に向けて、周知・啓発を進め、生成 AI に関わ
る幅広い関係者による主体的な取組の促進に努めている。
例えば、文化庁では、自らの権利を保全・行使する上で望ましいと考えられる
取組を、生成 AI に関係する当事者(ステークホルダー)の立場ごとに分かりや
すい形でまとめた「AI と著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024
年 7 月)を公表し、内閣府知的財産戦略推進事務局では、中間とりまとめのポイ
ントを解説した「権利者のための手引き」
(2024 年 11 月)を公表している。こ
の他にも、経済産業省では、コンテンツ産業界の生成 AI の利活用ケースと各活
用シーンにおける留意点等をまとめた「コンテンツ制作のための生成 AI 利活用
ガイドブック」(2024 年7月)を公表している。
また、民間においても、中間とりまとめが示す考え方に呼応した取組も進めら
れている。例えば、一般社団法人日本音声 AI 学習データ認証サービス機構(以
下「AILAS」という。)は、声優等の音声データの管理、追跡等を実現するため
のシステムの運用を目指し、活動している。
さらに、肖像や声の保護に関しては、知的財産法等との関係について、その他
の省庁においても検討を進めてきたところである。特に、経済産業省における検
討では、不正競争防止法との関係について、俳優や声優の実演家等の肖像や声の
無断利用に関して、不正競争防止法における考え方の整理を行うとともに、不正
競争防止法(周知表示混同惹起行為(2条1項1号)等)を適用することができ
ると考えられる想定事例をいくつか公表している。
こうした法的ルールの考え方など、AI と知的財産法との関係について、コン
テンツ分野での AI の活用事例も含め、周知・啓発を継続していくことが必要で
ある。
他方、良質な AI 学習コンテンツに係るライセンス市場と権利者への対価還元
について、依然として課題が存在するとの指摘もある。すなわち、AI 事業者に
よる情報開示が進んでいないことにより、自己のデータが利用されているかが
不明であるためライセンスによる対価還元の機会が得られないことや、AI の利
用者側としても訴訟リスク(個人情報、限定提供データの流用、海賊版コンテン
ツの利用)があること等に鑑み、利活用を躊躇するといった影響が生じている可
能性があるところである。このため、AI 事業者による開示や認証など、透明性
の確保を促す仕組みの検討をする必要があると考えられる。
ただし、透明性確保は、知的財産権に限られるものではなく、AI ガバナンス
全般にわたる課題である。
AI に関しては、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」
17
(AI 法)により、AI 戦略本部の設置、政府が実施するべき施策の基本的な方針
等を定めた「AI 基本計画」の策定等を進めていくこととされている。同法にお
ける「適正性のための国際規範に即した指針の整備」や、
「事業者への指導・助
言・情報提供」等の基本的施策の具体化の中で、引き続き、国際的な働きかけも
行いつつ、実効性の担保に資するような透明性を確保していくことが有効であ
る。例えば、AI 法に基づき策定される指針や、総務省及び経済産業省による「AI
事業者ガイドライン」等も通じて、AI 事業者による適切な開示対応を促すこと
が重要である。
<AI 技術の進展を踏まえた発明等の保護の在り方>
AI 技術の関連する発明としては、大別して以下4つのパターンが挙げられる。
この内、AI モデル発明および AI 適用発明に係る特許出願は、近年、増加傾向に
あり(図表 17)、AI 技術への関心の高まりが窺われる。
9
AI モデル発明:AI 技術そのものの発明(例:新たな機械学習方法による
AI モデル)
AI 適用発明:AI 技術を特定の技術分野に適用した発明(例:AI による自
動運転技術)
AI 利用発明:AI 技術を利用して開発された製品の発明(例:AI 利用によ
り効率的に開発された医薬品)
AI 自律発明9:AI が自律的に生成した発明
WIPO は、2024 年、政策⽴案者に対して、AI イノベーションの現状を理解し AI の⾃律化が進む未来を考えるための枠組みを提供
することを⽬的として、ツールキット(「Getting the innovation ecosystem ready for AI」)を公開し、その中で、AI ⾃律発明に
対する対応⽅法を整理している。⾃律型 AI に向けた開発が急速に進んでおり、今後、AI ⾃律発明が増加する可能性がある。AI 技
術の進展や国際動向等を踏まえながら、AI ⾃律発明の保護の在り⽅を検討していく必要がある。
18
(出典)特許庁「AI 関連発明の出願状況調査」2024 を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 17:AI 関連発明の出願件数推移
この様な状況を背景に、AI 時代の知的財産権検討会では、生成 AI と知的財
産を巡る懸念・リスクへの対応のほか、AI 技術の進展を踏まえた発明の保護の
在り方についても、検討課題として取り上げ、中間とりまとめにおいて、その検
討結果を示してきた。
特に、AI 利用発明に関連して、
「発明者」
(共同発明者を含む。)として認めら
れるための要件について、自然人による発明創作過程で、その支援のために AI
が利用される場合に、発明の特徴的部分の完成に創作的に寄与した者を発明者
とするこれまでの考え方に従って自然人の発明者を認定すべきとの考え方が示
された。
しかし、発明創作過程において AI を利用した場合、当該 AI の開発者等がど
のような貢献をすることにより発明者として認められるか否かについて明確な
基準は存在せず、また、今後、発明創作活動に対する AI 開発者等の関与が増え
ていくことが予測されることから、特許制度上その貢献をいかに評価するか、我
が国においても検討を深め、結論を得るべきであると考えられる。
具体的には、AI 開発の促進やイノベーション人材減少に対する課題解決など、
イノベーション推進の観点から10、AI 利用発明の発明者の定義の検討を進める
10
開発者等との共有関係となる場合、発明者認定、その貢献度合いに応じた配分等の⼿続きが発⽣し得る点を考慮する必要があ
る。
19
ことが必要といえる。その際、使用した生成 AI の開発者(学習データの選択、
ファインチューニングを行った者等)や利用者(プロンプトを入力した者等)、
発明の効果を確認した者が含まれ得るか否か、含まれる場合の類型や判断手法、
国際調和等の論点11について、共有関係の複雑化による特許発明の社会実装の阻
害につながらないことへも留意しつつ、議論することが求められる。
【AI 利活用事例】
AI 利活用事例としては以下のような取組を含め多数存在しており、今後、技
術進展を踏まえながら AI 利活用が期待される領域の特定や課題の把握を必要に
応じて目指していことが必要である。
産業技術総合研究所は、バイオエタノールからブタジエンを合成するための
高活性触媒を、自動実験と AI 技術を組み合わせたマテリアルズインフォマ
ティクスにより高速自律探索するシステムを構築している。
NEC(日本電気)は、患者ごとに異なるがん遺伝子変異を特定し、最も抗原
性の高い配列の選択と優先順位づけを行う独自 AI を開発した。この AI を
活用することにより、腫瘍細胞を効果的に攻撃する個別化がんワクチンの研
究開発を行っており、第 I/Ⅱ相臨床試験を実施中である。
その他の AI 利活用事例を含め12、AI は知財の創造・保護・活用の生産性向上
に有用であり、今後、様々な支援ツールやその活用事例の充実化が期待される。
これら状況を踏まえ、現在、産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会
において AI 技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方等について具体的な検討
が求められているところであり、発明者の在り方等の諸論点について早期に結
論を得ることが求められる。
11
国際的な論点について、⽶国では、⽶国特許商標庁(USPTO)が 2024 年 2 ⽉に AI の⽀援を受けた発明の発明者適格に関
するガイダンスを公表した。USPTO は、当該ガイダンスにあわせて、AI の⽀援を受けた発明の発明者適格性について、2つの事例を公
表し、具体的な事例に即した上記ガイダンスの考え⽅の適⽤関係を明らかにした。上記ガイダンスの中では、出願⼈・USPTO 審査官が
AI の⽀援を受けた発明における⾃然⼈の貢献が顕著であるかどうか判断する際に役⽴つように指針が⽰され、「状況によっては、特定の
解決策を引き出すために特定の問題を考慮して AI を設計、構築または訓練する⾃然⼈が発明者になる可能性がある」、「単に発明に
使⽤される AI を所有または監督する者は発明者とはいえない」等の原則が⽰された。
また、WIPO は、ツールキット(「Getting the innovation ecosystem ready for AI」)において、AI 技術が関連する発明につ
いて、AI の⽀援を受けた発明、AI を組み込んだ発明、AI が⾃律的に⽣成した発明等様々な使い分けがある中で、各々について、ガイ
ダンス等を提供することを提案している。
12 (参考 1)第3回構想委員会資料(資料5)(2025 年2⽉ 14 ⽇)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2025/dai3/siryou5.pdf
(参考2)産業構造審議会知的財産分科会 第 52 回特許制度⼩委員会(資料1の p8)(2025 年3⽉5⽇)
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/tokkyo_shoi/document/52shiryou/01.pdf
20
(KPI)
日本企業の AI の利活用率を概ね 100%まで高める。
AI 利用発明の明確化を進め、AI 利用による研究開発を促進する(AI 分野の
研究費の増加)。
(施策の方向性)
「AI を利活用した創作の特許法上の保護の在り方に関する調査研究」
(2023 年度)及び「AI 技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方に関す
る調査研究」
(2024 年度)の調査研究結果、並びに AI 関連発明に対する
特許審査の仮想事例について、AI 技術に関連する特許制度への理解を促
進するために情報発信を行う。また、これらの調査研究結果を踏まえて、
産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会において、AI 利用発明
の発明者の定義等について検討を進め、法改正を含めた必要な措置を講ず
る。
(短期・中期)(特許庁)
AI 技術の進展による意匠分野での AI の利活用の拡大を踏まえ、意匠審
査実務上の課題やその他の意匠制度に生じる課題について、「生成 AI を
利用したデザイン創作の意匠法上の保護の在り方に関する調査研究」
(2024 年度)の調査研究結果を踏まえつつ、産業構造審議会知的財産分
科会意匠制度小委員会において検討を進め、法改正を含めた必要な措置を
講ずる。
(短期・中期)(特許庁)
「中間とりまとめ」が示す考え方に基づき、法・技術・契約の各手段の
組合せにより、関係当事者が AI 技術の進歩の促進と知的財産権の適切な
保護の両立に向けて主体的に取り組むよう、知的財産法や AI ガバナンス
に関連するガイドライン等の必要な更新を適時に行い、社会に分かりやす
い形で周知を行う。
(短期・中期)(内閣府(知財)、文化庁、総務省、経済産業省)
生成 AI 及びこれに関する技術についての共通理解を得るほか、AI 学
習等のための著作物のライセンス等の実施状況や、海賊版を掲載したウェ
ブサイトに関する情報の共有等を図るため、関係当事者間における適切な
コミュニケーションを引き続き促進する。
(短期・中期)
(文化庁、経済産業省)
生成 AI における俳優や声優等の肖像や声の保護に関し、不正競争防止
法等の関連法や裁判例における考え方について整理した内容について、周
21
知を行うとともに、契約による対価還元策の検討や侵害行為に関するプラ
ットフォームとの連携体制の構築等について検討する。
(短期・中期)(経済産業省、特許庁、文化庁、総務省、法務省、
消費者庁、内閣府(知財))
学習データ等の情報開示について、AI 開発者等において必要な範囲で
適切な対応を行うことを促進するため、人工知能関連技術の研究開発及び
活用の推進に関する法律の制度化及び運用並びに「AI 事業者ガイドライ
ン」の周知等を通じ、AI の透明性を確保する。
(短期・中期)(内閣府(科技)、総務省、経済産業省、内閣府(知財))
(3)創造人材の強化・ダイバーシティの実現
(現状と課題)
創造活動の礎となる人材基盤の強化は我が国のイノベーション力の向上に欠
かせない要素である。特に、トップリサーチャーと言われる研究者の半数以上が
30 歳代から 40 歳代においてコアとなる研究成果を発表するなど、若手研究者
の育成や確保は急務である(図表 18)。
そのような中、我が国を取りまく環境変化として若手研究者を含めたイノベ
ーション人材(知的創造人材)の減少が顕著となり(図表 19)、知的創造を担う
人材層の弱体化は避けられない状況にある。今後、創造活動に関与する人材基盤
の充実化等の対応を継続的に取り組み人材輩出につなげていく上で、イノベー
ション人材の育成や海外人材の誘引、ダイバーシティの推進等の強化策は喫緊
の課題といえる。
(出典)文部科学省「学術分科会(第 68 回)」資料 2-2(2018 年 7 月)
図表 18:トップリサーチャーの年齢分布
22
(出典)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口
令和 5 年推計」
図表 19:年齢3区分別人口の推移
<研究開発における人材育成>
知的財産の創出に向けて新しい技術研究や製品開発に貢献する人材の活躍は
不可欠である。特に、博士号取得者に代表される独創的な発想を持ち競争力のあ
る研究者の活躍は知的財産の創造に大きく寄与するものであるが、日本の人口
100 万人当たりの博士号取得者数は、諸外国(米英独韓)と比較して3から4割
程度に留まる(図表 20)。
また、産業分野における博士人材の割合は米国と比較して低く、活躍の場とし
て企業内での研究開発現場は限定されている状況にある(図表 21)。
(出典)経済産業省、文部科学省「博士人材の民間企業における活躍促進に向けた検討会(第 1 回)」資料 2(2024 年 8 月)
図表 20:人口 100 万人当たり博士号取得者数
23
(出典)経済産業省、文部科学省「博士人材の民間企業における活躍促進に向けた検討会(第 1 回)」資料 2(2024 年 8 月)
図表 21:産業分類別 研究者に占める博士号保持者の割合
そこで、経済産業省と文部科学省は、博士人材の活躍の場の拡大に向けて産学
が連携して取り組むべき実務的な事項について議論するため、2024 年8月に検
討会を立ち上げ、主に以下に挙げるような課題について議論した。
「採用意欲のある企業」が、効果的な採用を実施するために取り組むべき
事項
「博士課程を持つ大学」が、博士学生の就職活動を支援するために取り組
むべき事項
同検討会での議論を踏まえ、博士人材の民間企業での活躍を促進するために
有効な大学による支援や企業における取組を「博士人材の民間企業における活
躍促進に向けたガイドブック」として取りまとめた。さらに、具体的な事例を収
集し「企業で活躍する博士人材ロールモデル事例集」を作成した。
今後は、博士人材の採用面での障壁がより下がることで、両者の間における意
思疎通による連携が上手く図られ、博士人材の活躍の機会がより広がることが
望まれる。
あわせて、政府における博士人材の活躍に向けて、人事院では、高度人材の採
用に向けた対応を進め、2022 年には博士課程修了者等の初任給基準の見直しな
ど、給与制度の改正を行っており13、政府全体において博士人材の採用に向けた
取組が進展することが期待される。
<知財創造教育の推進>
知財創造教育の理念は、学習指導要領において育成を目指す資質・能力の三つ
13
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2211/kisokukaisei221118.html
24
の柱に対応したものであり、これまで高等教育、初等教育現場において知財創造
教育の浸透を図ってきた14。
その中で、中国地域では、教育機関、企業、県等において小中高向けの出前授
業、ワークショップ開催及び支援活動など、活発な取組がなされている。大学に
おいては、文部科学省が知財教育に関連する「教育関係共同利用拠点」として認
定した山口大学から他大学への知財教育のカリキュラム等の展開が進められ、
自立化等の支援を行っており15、これらの取組が全国に広がることが期待される。
また、地域の活性化の観点から、各地域の地域経済産業局、地域の企業や発明
協会等の活動により、各地域での小中高生の創造能力を育み、未来のイノベータ
ーを創出するためのエコシステムを構築することが望まれる。
そして、最近では生成 AI の急速な進展により、創造活動への貢献に向けた具
体的手法に関心が高まっている。その影響は学校教育にも及び、学校現場におけ
る生成 AI の適切な利活用に向けて、文部科学省は「初等中等教育段階における
生成 AI の利活用に関するガイドライン(ver.2.0)」(2024 年 12 月)の公表やオ
ンライン研修会を提供する等の対応を進めている。当該ガイドラインにおいて
は、情報活用能力の育成に当たって、児童・生徒が生成 AI に関する法・制度や
マナー等について科学的な理解に裏打ちされた形で理解すること等が期待され
ている。生成 AI の普及も踏まえ、人権、知的財産権等の自他の権利を尊重する
こと等の情報モラルを含む情報活用能力の一層の強化が求められている。
これらを含め、今後もなお一層の知財創造教育及びそれに類する活動の普及・
実践を進めることにより、発明活動への参加のインセンティブや新しいビジネ
スへ挑戦する意欲につながり、広く知財やその活用に対する関心を持ち行動を
起こす人材が増えることで、より裾野の拡大や発展につなげることが望まれる。
<オープンイノベーションを支える人材の多様性>
人口減に伴う創造人材の減少への対応の一環として、国外からのグローバル
人材の取り込み、国内における潜在的創造人材の発掘など、イノベーションを創
出する人材の充実化を検討するに際し、それを支える環境として、多様性(ダイ
14
具体的には、「知財創造教育」の普及を⽬的とした「知財創造教育推進コンソーシアム」を開催し、2021 年3⽉に、知財創造教育
の関係者が取り組むべき具体的なアクション・プランを取りまとめた。それにより、現在、地域主導型の地域コンソーシアムが主体的な役割
を果たしつつ、知財創造教育の普及・実践を進めている。
15
そのほか、全国知財創造実践甲⼦園(第 5 回)を開催するなど、知財創造教育地域コンソーシアム(中国地域)の活動を積極
的に進めている。
25
バーシティ)や包摂性(インクルージョン)の確保は必須である16。
しかし、国際的にみて日本を取り巻く状況は厳しく、例えば、日本のジェンダ
ーギャップ指数は 146 か国中 118 位(2024 年)と低迷している(図表 22)。
0
独
英
仏
加
⽶
平均
20
40
60
80
伊
100
⽇
120
140
2015
2016
2017
2018
2020
2021
2022
2023
2024
(出典)Global Gender Gap Report(World Economic Forum)より内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 22:ジェンダーギャップ指数の推移(G7 比較)
そのため、我が国において多様性の確保とその価値観そのものを認める包摂
性の浸透がより進展することが望まれる。
その中で、特許庁では知財エコシステムにおける多様性と包摂性を推進する
ために、女性の活躍を促進するための環境整備の在り方を調査研究し、
「Diversity &Innovation~知財エコシステム活性化のカギとなる女性活躍事例
~」(2024 年5月)として結果を公表した。
16
多様性の取り込みについて、国内スタートアップを対象とした調査の集計結果に基づき、スタートアップ創業メンバーの多様性(職歴、
学歴、年齢)と企業成⻑の関係を検証したところ、次のような調査研究結果が知られている。①スタートアップ創業メンバーの⼈数の多
さ、学歴や職歴の多様性は事業成⻑(資⾦調達ラウンド)に正の効果をもたらす。②年代の多様性と事業の成⻑(売上⾼)の間に
は 20 歳から 30 歳程度の差が適度である。
(出典)伊東、⾦間、渡部、樽⾕、加賀、村中、「国内スタートアップの国際化と企業成⻑に関する要因分析 -エコシステムの形成と
発展を⽬指して-」、2024 年 https://ifi.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2024/09/WP033.pdf
26
(出典)特許庁、知財エコシステムにおけるジェンダーの多様性と包摂性に関する調査研究、2024 年
図表 23:女性活躍事例集の概要
引き続き、異なる属性(性別、年齢、国籍、キャリアパス、経験、学歴等)を
有する人材の多様性の強みを生かしつつ、その多様な人材が組織内で活躍でき
る包摂性の絶え間ない改善が行われることが求められる。
その際には、労働市場の流動性が高まることにより、転職や兼業・副業などの
手段を通じて多様な人材の活躍の場が広がる可能性が挙げられる。例えば、大学
等研究者の転退職については、課題となっている知財の取扱いについて整理を
行い、指針を公表したところである17。更なる検討として、企業からのスピンオ
フやカーブアウト等18による独立も増える中、その場面における知財の取扱いに
ついても重要な論点と言える。
また、近年注目される兼業・副業について、大企業等に所属する知財人材が大
企業の事業開発担当等の非知財人材とチームを組んでスタートアップへの業務
支援をする取組もみられる19。そして、多様な働き方を受け入れる体制の整備に
より、外国人や女性の活躍が広がることも期待される。
このように、異なるバックグラウンドを有する人材の活躍により、知財エコシ
ステム全体におけるイノベーションがけん引されることが望まれる。
<高度外国人材の積極的な受入れ、拠点整備>
創造人材の確保に向けて高度な知識や経験を有する海外人材の受入れをいか
に促進するかは、我が国の国際競争力の維持・向上において欠かせない。
17
3.(1)産学連携による社会実装の推進を参照。
18
経営陣が戦略的に事業の⼀部を切り出し、資本関係を保有しながら活動連携を持つものがカーブアウト、親企業からの出資を受け
ず、緩やかな活動連携を持つものがスピンオフとされている。(福嶋幸太郎 「ベンチャー類型による新規事業開発に関する研究⽐較」、
関⻄ベンチャー学会誌第 11 号、2019 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/kansaiv/11/0/11_30/_pdf))
19
3.(2)スタートアップ⽀援を参照。
27
そこで、政府は経済成長等への貢献が期待される高度な能力をもつ外国人に
ついて、出入国在留管理上の優遇措置を実施してその受入れを促進するため、
「高度人材ポイント制」の導入、更に高度人材に特化した在留資格「高度専門職」
の新設による充実化を図っており、例えば、本邦の公私の機関との契約に基づい
て行う研究、研究の指導又は教育をする活動(高度専門職1号(イ))、本邦の公
私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又
は技術を要する業務に従事する活動(高度専門職1号(ロ))の在留資格20を有す
る在留外国人数は伸びている(図表 24)。
25,000
20,000
15,000
⾼度専⾨職 1 号(ロ)
19,920
17,978
10,000
12,522
12,257
1,885
1,885
15,810
13,309
13,972
2,017
2,030
2,207
2,281
2,476
2022年12⽉
2023年6⽉
2023年12⽉
2024年6⽉
5,000
0
2021年6⽉
2021年12⽉ 2022年6⽉
⾼度専⾨職 1 号(イ)
(出典)出入国在留管理庁 HP「【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】」に基づいて
内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 24:在留外国人統計(高度専門職1号(イ)
、(ロ))の推移
更なる対応として、政府は新たに特別高度人材制度(J-Skip)21、未来創造人
材制度(J-Find)22を導入し、海外からの高度外国人材の我が国への受入れを促
進している。
そのほか、海外からの留学生の受入れについて、例えば、意欲的な留学生は、
スタートアップの起業やインターンへの参加等を通じ、日本人学生に刺激を与
え、大学の国際競争力を高める上で、不可欠な存在であり、今後とも多様な国・
20
⾼度学術研究活動「⾼度専⾨職 1 号(イ)」︓本邦の公私の機関との契約に基づいて⾏う研究、研究の指導⼜は教育をする活動
⾼度専⾨・技術活動「⾼度専⾨職 1 号(ロ)」︓本邦の公私の機関との契約に基づいて⾏う⾃然科学⼜は⼈⽂科学の分野に属する
知識⼜は技術を要する業務に従事する活動
21
⾼度外国⼈材の中でもトップレベルの能⼒がある者の受⼊れ促進することを⽬的として、ポイント制に拠らず、学歴⼜は職歴と年収に
より⾼度専⾨職(1 号)を付与。
22
将来有為な⼈材としての活躍が期待されるポテンシャルの⾼い若者を早期に呼び込むことを⽬的として、要件を満たすことで就職活動
等の活動のための在留資格(特定活動)を付与。
28
地域からの優秀な外国人留学生の受入れを戦略的に進めていく必要がある23。
(KPI)
2040 年における人口 100 万人当たりの博士号取得者数を世界トップレベル
に引き上げる。
知財創造・保護・活用に携わる知財教育に関する取組を広げる。
(取組事例数)
イノベーション人材の取り込みを進め、高度な能力をもつ外国人材を増やす
(在留外国人数(高度専門職1号(イ)、(ロ))。
(施策の方向性)
<研究開発における人材育成>
我が国の博士号取得者数の増加等を目指し、博士後期課程学生の処遇向
上等に加え、産業界における採用拡大など、博士人材が社会の多様なフィ
ールドで活躍する社会の実現に向けて、2024 年度に作成した「博士人材
の民間企業における活躍促進に向けたガイドブック」及び「企業で活躍す
る博士人材ロールモデル事例集」の周知・普及を行う。
(短期・中期)(経済産業省、文部科学省)
<知財創造教育の推進>
知財教育に関する「教育関係共同利用拠点」として認定された大学の知
財教育のカリキュラムや導入プロセスを、知財教育の導入を検討している
大学に対して共有することにより、当該大学における知財教育の教育課程
への円滑な導入を推進する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、文部科学省)
教育現場と地域社会とをつなぐ地域連携拠点となる地域コンソーシア
ムにおいて知財創造教育を普及・推進できるよう、支援を行う。
(短期・中期)(内閣府(知財)
)
企業や学校等において知財に関する意識向上を図るため、知的財産管理
技能検定等の知財関連資格の取得を推奨する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、特許庁)
次世代科学技術チャレンジプログラム、未踏事業等の仕組みを活用し、
独創的な発想力を持つ人材の発掘・育成に取り組むとともに、高度で実践
的な講義や研究を実施する大学を支援する。
23
あわせて、⽇本⼈⾃⾝も海外での多様な経験等を経ることは重要であり、グローバル⼈材育成に向けた留学機会の提供や留学機運
の醸成もより⼀層進めるべきである。例えば、海外留学⽀援制度(協定派遣型、学位取得型)、官⺠協働海外留学⽀援制度「〜ト
ビタテ︕留学 JAPAN 新・⽇本代表プログラム〜」が⽤意されるなど、学⽣等の経済的な負担の軽減等の取組が進んでいる。
29
(短期・中期)(文部科学省、経済産業省)
新たなデジタル技術の急速な発展等を踏まえ、著作権制度に関する一般
的な知識のみならず、著作権を巡る社会の動きや Web3.0 関連技術等のデ
ジタル技術と著作権との関係等の視点を取り入れつつ、広く国民に向けた
セミナーや学習教材の作成により著作権に関する普及・啓発を行う。また、
クリエイターを含む全ての国民が日常的に著作権を意識できるよう、関係
団体等と連携した効果的な普及啓発活動について検討する。
(短期・中期)(文化庁)
知財創造教育の普及・実践を推進するために、
「知財力開発校支援事業」
を通じて、高校及び高等専門学校の生徒・学生の知財の創造・保護・活用
全般にわたる知財マインドの育成を広く支援する。
(短期・中期)(特許庁)
アントレプレナーシップ教育の場における知財に関する教育の効果的
な手法について調査する。課題解決に取り組む力や創造力を醸成するアン
トレプレナーシップ教育の一環として知財に関する教育を行うことによ
って、知財の知識に加え実践的応用力を身につけることができる教育の提
供を目指す。
(短期・中期)(特許庁)
<オープンイノベーションを支える人材の多様性>
多様性と包摂性を推進する動きが、国際的に加速しているなか、世界の
知財庁・関連機関や国内の知財制度ユーザー団体と連携を深めながら、多
様性と包摂性を高めるためのネットワークの形成と環境整備を進める。本
年開催される大阪・関西万博では、各国知財庁・関連機関を招き、知財エ
コシステムにおける女性と若者の活躍推進について議論及び情報発信を
行う。
(短期・中期)(特許庁)
大阪・関西万博において、社会課題解決に向けた知財活用について国内
外に広く発信し、個人、スタートアップ企業、中小企業等を含む幅広い層
に対して、知財権の取得や知財の保護・活用をすることの意義について十
分に認識、理解してもらい、一人ひとりが創造力を発揮したくなる社会の
実現を目指す。
(短期・中期)(特許庁)
社会課題解決を目指すスタートアップ企業、非営利法人、個人等に対し、
知財と社会課題解決等の専門家による伴走支援を実施し、社会課題解決に
おける知財のあり方を検証するとともに、大阪・関西万博において、それ
30
らの好事例を世界に情報発信する。
(短期・中期)(特許庁)
農業・食品産業全体における知財マネジメント能力の強化に向けて、教
育カリキュラムの検討や研修セミナーの実施を支援し、農業現場での経営
に資する知財活動の取組に助言できる専門人材を育成・確保するとともに、
種苗業者向けプログラムの作成とその展開により、農業・食品産業関係者
全体の知財意識の向上を推進する。
(短期・中期)(農林水産省)
<高度外国人材の積極的な受入れ、拠点整備>
東南アジアやインドのトップ大学等の卒業生をはじめとした優秀な若
手人材の確保に向けて、寄附講座の活用等を通じた現地大学との連携強化
や在留資格の在り方も含め、我が国での就職に向けた課題や企業側からの
具体的なニーズについて、幅広く調査を行うこととしており、当該ニーズ
調査の結果等を踏まえ、具体的な措置について検討を行う。
(短期・中期)(法務省、経済産業省、文部科学省)
我が国の研究力向上のためには研究活動の国際化が一層必要であり、国
際的な共同研究等を通じて研究者が世界のネットワークに加わるととも
に、優れた研究者が国際的に循環していくことが重要である。このため、
科学技術先進国との先端分野での研究セキュリティも確保した戦略的な
協力を一層強化するとともに、ASEAN やインドを含むグローバル・サウ
ス等との戦略的な連携や若手研究者の交流を強化する。
(短期・中期)(文部科学省)
外国人留学生は、諸外国との相互理解及び友好親善の増進や高度外国人
材の獲得等の意義がある。このため、「教育未来創造会議第二次提言」や
「戦略的な留学生交流の推進に関する検討会とりまとめ」等を踏まえつつ、
多様な国・地域からの優秀な外国人留学生の受入れの促進等の留学モビリ
ティの拡大、及びその基盤となる日本人学生と外国人留学生がともに学ぶ
環境の構築や大学間交流の強化等大学の国際化を推進する。
(短期・中期)(文部科学省)
2.知的財産の「保護」
(1)技術流出の防止
(現状と課題)
<営業秘密・限定提供データ>
近年、グローバル化や情報価値の高まりに伴い、研究開発における情報漏洩に
31
対するセキュリティ確保の必要性は企業に留まらず大学や国立研究開発法人を
含め、あらゆる場面において求められている。その背景として、営業秘密侵害事
犯の相談受理件数は近年、増加傾向にある点が挙げられる(図表 25)。
(出典)警察庁「令和6年における生活経済事犯の検挙状況等について」を基に
内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 25:営業秘密侵害事犯の検挙事件数及び相談受理件数の推移
政府においても、知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の進展等の環
境変化を踏まえ、営業秘密・限定提供データの保護の強化等を盛り込んだ不正競
争防止法の改正を行った(2023 年6月公布、2024 年4月1日施行)。この法改
正に伴い、経済産業省は『逐条解説 不正競争防止法』を改訂・公表し(2024 年
4月)、さらに、従業員向けのわかりやすい啓発資料「知っておきたい営業秘密」
を作成・公表した(2024 年6月、外国語版は 2024 年 11 月)。
経済産業省は、官民の実務者間において営業秘密の漏えいに関する最新手口
やその対策に係る情報交換を行う場として「営業秘密官民フォーラム」を開催し
ており、
「秘密情報の保護ハンドブック」及び「知っておきたい営業秘密」に加
え、
「営業秘密管理指針」24の周知等を進め、産業界における営業秘密の漏えい防
止に向けた対応を推進していくことが求められる。
<研究セキュリティ・研究インテグリティ>
研究活動の国際化、オープン化に伴う新たなリスクにより、開放性、透明性と
24
2025 年 3 ⽉改訂版において、「営業秘密管理指針」の対象者の範囲として⼤学・研究機関についても該当し得ることの明確化
や、⾮公知性要件とリバースエンジニアリングとの関係についての整理等が⾏われた。
32
いった研究環境の基盤となる価値が損なわれる懸念や研究者が意図せず利益相
反・責務相反に陥る危険性が指摘されている。また、2023 年6月、国立研究開
発法人の元職員が不正競争防止法違反の容疑で逮捕される事案も発生した25。
これまで、政府は、研究者及び大学・研究機関等における研究インテグリティ
確保の取組を求めてきた26。その結果、フォローアップ調査結果から大学及び国
立研究開発法人において取組の定着が進んでいることが窺える27。
一方、主要国において、研究セキュリティの確保に係る取組が強化されている
ことを踏まえ、政府においては、国際的な共同研究等の実施に当たり必要なリス
クマネジメントを実施するための手順書を策定するなど、研究セキュリティを
確保する取組が求められる。
<安全保障に係る技術の流出防止>
昨今、安全保障の重要性がますます拡大しており、安全保障に係る技術の流出
防止措置を講じることは、極めて重要な課題となっている。
経済産業省においては、産業構造審議会の安全保障貿易管理小委員会が 2024
年4月 24 日に中間報告を公表した。この中間報告を踏まえ、安全保障上の観点
から、技術流出リスクが高いと考えられる技術を海外移転する際に事前報告を
求め、官民が対話をしながら適切な技術流出対策を検討する制度(技術管理強化
のための官民対話スキーム)について、必要な省令改正等を行い、2024 年 12 月
に施行した。今後は、本スキームの適切な執行と、対象技術についての更なる調
査・分析を進めることが求められる。
また、内閣官房の「経済安全保障法制に関する有識者会議」では、国が支援を
行う研究開発プログラムにおいてどのような技術流出防止策、リスクマネジメ
ントが必要になるのか検討し、2024 年6月に「経済安全保障上の重要技術に関
する技術流出防止策に関する提言」を取りまとめた。
この提言を踏まえ、内閣官房及び内閣府は、2024 年8月に関係府省に対して、
必要な対応を促した。具体的には、①経済安全保障上の重要技術の研究開発成果
等について、公募等の際に必要な技術流出防止措置を講じること、②日本版バ
イ・ドール制度が適用された国の委託研究開発に関する知的財産権の国外移転
について、親会社又は子会社である国外企業等への知財移転の際に事前連絡と
契約者間の調整が行われるよう徹底すべきであること等について周知した。
25
本事案について、2025 年 2 ⽉、東京地裁は懲役 2 年 6 ⽉、執⾏猶予 4 年、罰⾦ 200 万円を⾔い渡した。
26
例えば、統合イノベーション戦略推進会議(第9回)(2021 年4⽉ 27 ⽇)では、「研究活動の国際化、オープン化に伴う新た
なリスクに対する研究インテグリティの確保に係る対応⽅針について」が決定されており、また、国⽴研究開発法⼈の機能強化の取組の
⼀環として策定された「国⽴研究開発法⼈の機能強化に向けた取組について」(2024 年3⽉ 29 ⽇関係府省申合せ)においても、
研究セキュリティ・インテグリティの⼀層の強化を求めている。
27
https://www8.cao.go.jp/cstp/kokusaiteki/integrity/ri_follow-up_fy2024/ri_fu_fy2024_sum.pdf
33
今後は、対象とした各研究開発プロジェクトについて、リスクに応じた技術へ
のアクセス管理や技術移転等の際の対策など、入口から出口までの段階に応じ
た技術流出対策に取り組むことや、技術流出対策の強化に向けた要件等の見直
しを行うとともに適切に執行を行う必要がある。
(KPI)
情報漏洩の発生抑制や情報セキュリティ等の確保を図り、適切な技術流出防
止につなげる(営業秘密侵害事犯の検挙件数又は相談受理件数の状況把握)。
(施策の方向性)
「国立研究開発法人の機能強化に向けた取組について」
(2024 年3月 29
日関係府省申合せ)等に基づき、研究機関や大学における研究セキュリテ
ィ・インテグリティの確保に関する取組を推進する。
(短期・中期)
(内閣府(科技)、関係省庁)
「秘密情報の保護ハンドブック」及び「知っておきたい営業秘密」に加
え、改訂した「営業秘密管理指針」の周知等を進めることで、引き続き営
業秘密の漏えい防止に向けて啓発する。
(短期・中期)(経済産業省)
「産業構造審議会 通商・貿易分科会 安全保障貿易管理小委員会」中
間報告(2024 年4月)に基づき、2024 年 12 月に施行された「技術管理
強化のための官民対話スキーム」について、適切に執行するとともに、対
象とすべき技術について不断の調査・分析を行い、随時の見直しを行う。
(短期・中期)(経済産業省)
我が国が技術優位性を持つ技術及び将来の技術優位性の創出を目指す
技術を対象に、国の資金による委託等により行われる社会実装を見据えた
研究開発プロジェクトに関して、リスクに応じた技術へのアクセス管理や
技術移転等の際の対策など、入口から出口までの段階に応じた技術流出防
止対策に取り組む。
(短期・中期)(内閣府(政策統括官(経済安全保障担当))、関係省庁)
(2)海賊版・模倣品対策の強化
(現状と課題)
<海賊版>
デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、マンガ・アニメ・ゲーム・映画を
はじめとする我が国の魅力あるコンテンツが広く世界に発信されるようになっ
34
た。一方で、その魅力の高さと相まって、それらの著作権等に対する侵害行為は
国境を越えて拡大している。国境を超えてサイト運営者、サーバー、ドメイン登
録等が所在していることや、匿名運営を可能とするサービスが出現しているこ
とに加え、ドメインホッピングを用いるなど、これまで以上に手法が巧妙化し、
サイト運営者の特定がいっそう困難となっている。
このような状況に伴い、海賊版被害も急増している。例えば、我が国のマンガ
等の海賊版サイトの状況について、日本向けの上位 10 サイトへの月間アクセス
数は、大型海賊版サイトの閉鎖等により、4億アクセス程度から1億アクセス程
度まで減少していたが、2024 年6月以降、複数の大型サイトが登場する等の影
響を受けて月間アクセス数が再び急増し、2024 年 12 月には、5億アクセスを
超えるなど、以前の最悪期を超える被害状況となった。その後の対策によって、
複数のサイトが閉鎖され、3億アクセス程度にまで減少に転じたものの、依然と
して予断を許さない状況が続いている(図表 26)。
(出典)一般社団法人 ABJ「出版物違法サイトの状況」https://www.abj.or.jp/data
図表 26:出版物海賊版上位 10 サイト
アクセス数合計の月別変化
近年は、海外発の海外向け海賊版サイトによる被害も拡大しており、特に、ベ
トナムにおける被害が大きくなっている。最近では、ベトナムに次いでインドネ
シアにおける被害も目立つ状況となっている。
また、マンガ以外も含む日本のコンテンツ(ゲーム・音楽・出版・映像)のイ
ンターネット上の海賊版被害額は、2022 年で約2兆円(2019 年比約5倍)と推
計されており、今後、日本のコンテンツの海外展開を進めていくにあたっても、
35
海賊版対策の強化が重要である。
このような国境のないインターネット上の海賊版への対応には、国際的な連
携や国際執行の強化が特に重要であり、例えば、海外における海賊版に対するア
クセスを抑止するための制度の利用も含め、特に、ICANN(The Internet
Corporation for Assigned Names and Numbers)等を通じたドメイン事業者の
働きかけ、CDN(Contents Delivery Network)サービスの悪用防止、現地での
摘発(国際司法協力)等を中心に、官民で連携しながら対応を進めていく必要が
ある。
政府では、海賊版による被害を効果的に防ぎ、著作権者等の正当な利益を確保
するため、
「インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び工程
表」を公表し、これに基づく対策を着実に進めてきた。2024 年5月には、民間
と連携しつつ、国際連携・執行等の強化や、CDN サービス等の海賊版サイトへ
の悪用防止、正規版の流通促進等を進めるため、
「インターネット上の海賊版に
対する総合的な対策メニュー及び工程表」を更新した。
また、民間の主体的取組を支援する省庁横断的取組の強化を行うべく、2024
年9月には、最新情報の共有や具体的な対策への接続等を検討する場として、海
賊版対策に従事する民間及び関係府省の実務者から構成される海賊版等対策官
民実務者級連絡会議を立ち上げ、これまでに3回開催した。
海賊版等対策官民実務者級連絡会議では、海賊版被害を受けた際の対応フロ
ー、被害の大きいベトナムの海賊版に対するアクションを検討するとともに、新
たに官だけではなく民間のアクションも織り込む形で「インターネット上の海
賊版に対する総合的な対策メニュー」の工程表の更新版を検討し、2025 年5月
に公表した。
民間においては、例えば、マンガの海賊版に対し、出版業界・IT 業界・有識
者が定期的に協議を行いながら、精力的に取組が進められてきており、例えば、
一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)や出版5社海賊版対策会議
(JPMAC)において、官民連携した取締りや国際執行、各種の国際会議におけ
る海賊版対策への協力の呼びかけなど、積極的な活動が展開されているところ、
このような民間の主体的な取組と政府の取組を有機的に連携させながら、今後
も官民一体となって、海賊版を撲滅し、正規版流通も含めたエコシステムの実現
に取り組むことが重要である。
<模倣品>
近年、日本国内で BtoC、BtoB、CtoC 等の EC 市場が急速に拡大を続けてお
り、オンラインの取引手段としてオークションサイトやフリマアプリも普及し
ている。また、これらのオンライン市場はグローバル化しており、多国間での取
36
引量も急速に伸びてきている。しかし、それに伴い、インターネット上での模倣
品被害が一層深刻化してきている。
2024 年の全国の税関における偽ブランド品等の知的財産侵害物品の輸入差止
め状況について、輸入差止件数が3万3千件を超え、過去最多を更新した(図表
27 参照)。模倣品の流通は企業の売上に悪影響を与えるだけではなく、企業のブ
ランドイメージを毀損したり、模倣品を購入した消費者の生命や健康に危険を
及ぼすなど、非常に深刻な問題を引き起こすものとなる。
(出典)財務省 HP「令和6年の税関における知的財産侵害物品の差止状況」
図表 27:知的財産侵害物品の輸入差止実績の推移
こうした模倣品被害を抑えるためには、各企業において製品・包装等に工夫を
凝らすことや、知財侵害の抑止につなげる強化策の構築など、模倣防止・侵害抑
止のための対策が必要であると同時に、法整備や行政による支援等が求められ
る。模倣品対策として、厳正な水際取締りの強化・民間との連携による取組の強
化等、様々な策が講じられているが、今後も関係省庁一体となって対策を推進す
べきである。
さらに、2019 年の特許法等改正により、損害賠償額算定方法の見直しがなさ
れているが、裁判例分析等により効果検証を行い、侵害抑止に向けた更なる対応
の必要性を検討するとともに、特許表示の機能向上等を含めた知的財産の侵害
37
を抑止するための適切な制度的手当のあり方を検討し28、法改正を含めた必要な
措置を講ずることが求められる。
加えて、侵害品(模倣品)対策として模倣品製造が国外の場合であっても日本
市場を対象とした物であれば、規制対象とする妥当性についても必要に応じて
議論を行うことが望ましい。
(KPI)
日本国内からの出版物海賊版へのアクセスを低減する(直近5年間で最も少
なかったのは約1億アクセス)。
模倣品被害の抑制のため、水際措置を推進する(税関における知的財産侵害
物品の差止件数の状況把握)。
(施策の方向性)
海賊版対策に係る民間及び関係府省の実務者級で構成される海賊版等
対策官民実務者級連絡会議の場において、最新情報の共有等を図りながら、
インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニューに基づく取組
を官民一体となって進めるとともに、工程表は年度ごとに更新を行う。
(短期・中期)(内閣府(知財)、警察庁、総務省、法務省、外務省、
文化庁、経済産業省)
海賊版・模倣品を購入しないことはもとより、特に、侵害コンテンツに
ついては、視聴者は無意識にそれを視聴し侵害者に利益をもたらすことか
ら、侵害コンテンツを含む海賊版・模倣品を容認しないということが国民
の規範意識に根差すよう、関係省庁・関係機関による啓発活動を推進する。
(短期・中期)(警察庁、消費者庁、総務省、財務省、文化庁、
農林水産省、特許庁、経済産業省)
AI を活用した海賊版サイトの検知・分析実証事業を通じて、海賊版サ
イト・コンテンツの自動検知や、削除申請等の権利行使の自動化について
得られた知見を活かし、より実効性の高い海賊版対策の在り方を検討する。
(短期・中期)(文化庁)
検索サイト事業者における海賊版に係る検索結果表示の削除又は抑制
など、海賊版サイトの運営やこれへのアクセスに利用される各種民間事業
者のサービスについて必要な対策措置が講じられるよう、それら民間事業
者と権利者との協力等の促進、当該民間事業者への働きかけや権利行使を
28
特許表⽰に関わる課題(例︓特許無効等により特許表⽰が虚偽になる可能性、物や包装に限らないネットワーク時代に適した特
許表⽰⽅法等)についても併せて留意する必要がある。
38
行う権利者への支援等を行う。
(短期・中期)(総務省、文化庁、内閣府(知財))
日本のコンテンツのインターネット上の海賊版に係る被害実態につい
て、継続的な把握を行う(配信先が国外向けか(日本への配信も含む)、
専ら当該国内向けか等の類型別での被害額の算出が可能かの検討も含む)。
(短期・中期)(内閣府(知財)、経済産業省、外務省、警察庁)
WIPO や二国間協議等の枠組み、国際会議等の場を活用し、海賊版対策
の強化に向けた働きかけを行うなど、国際連携の強化を図る。また、海外
海賊版サイトの運営者摘発等に向け、外国公安当局への積極的な働きかけ、
国際的な捜査協力等を推進するほか、民間事業者との協力の下、デジタル
フォレンジック調査の実施等の取組を進めるなど、国際執行の強化を図り、
特に、ベトナムの海賊版に対する対策を強化する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、警察庁、総務省、法務省、外務省、
文化庁、経済産業省)
海賊版被害の大きいベトナムやインドネシアに対する対策を特に強化
し、官民ミッションの派遣や海賊版対策に係る現地事務所の開設、正規版
の流通促進等の必要な取組を行う。
(短期)(内閣府(知財)、警察庁、外務省、文化庁、経済産業省、
関係省庁)
警察当局や外交部局も含む関係省庁・官民が協働した国際的な協力体制
(コンソーシアム)を構築し、権利者による円滑な権利執行が可能な環境
を整備する。あわせて、インターネット上の国境を越えた著作権侵害等に
対し国内権利者が行う権利行使への支援の取組の充実を図る。
(短期・中期)(文化庁)
インターネット上の違法・有害情報への対応として、削除対応の迅速化
や運用状況の透明化を大規模プラットフォーム事業者に義務付ける情報
流通プラットフォーム対処法の適切な運用を図るなど、プラットフォーム
事業者に対する実効的な対策を推進する。
(短期・中期)(総務省)
海外の海賊版サイトであっても、送信行為が日本の公衆に向けたもので
あり、日本と密接な関連性があると認められる場合等は、日本の著作権法
に基づき刑事処罰をし得るとの解釈を踏まえ、早期検挙に向けて、権利者
団体や、関係省庁と連携した取組や、国際捜査共助等の枠組みを活用した
捜査を推進する。あわせて、海賊版によって生じる広告収入に関して、現
行の犯罪収益移転防止法や組織的犯罪処罰法等の刑事上の規制の適用関
係や、海賊版に関して生ずる広告収入に係る民事上の請求権の考え方につ
39
いて、周知を行う。
(短期・中期)
(警察庁・法務省・外務省・文化庁・経済産業省)
海外の現地の人々に向けて日本のコンテンツを配信する海外の海賊版
サイト等の巧妙化・多様化に対応し、在外公館等を通じた現地の言語での
周知啓発、海賊版サイト等に関する情報提供のインセンティブ付与等の在
り方の検討、海外市場における日本のコンテンツの正規版の流通促進等の
健全なエコシステムの促進に向けた取組を、官民一体となって推進する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、外務省、文化庁、経済産業省)
CDN サービス事業者における海賊版サイトへのサービス提供の停止
など、海賊版サイトの運営に利用される各種民間事業者のサービスについ
て必要な対策措置が講じられるよう、当該民間事業者への働きかけ等を行
う。
(短期・中期)(総務省、内閣府(知財)、関係府省)
海外における日本の農林水産物・食品のブランド産品の模倣品等の流通
を防ぐため、外国との地理的表示(以下「GI」という。
)の相互保護の推
進及び海外現地や EC サイトの調査、農林水産物・食品の模倣品疑義情報
相談窓口の運用等を通じた不正使用の侵害対策を推進する。
(短期・中期)(農林水産省、外務省、特許庁)
越境電子商取引の進展に伴う模倣品・海賊版の流入増加に対応するため、
2022 年 10 月に施行された改正商標法・意匠法・関税法により、海外事業
者が郵送等により国内に持ち込む模倣品が税関による取締りの対象とな
ったことを踏まえて、関係機関・関係府省が連携し模倣品・海賊版に対す
る厳正な水際取締りを実施する。また、善意の輸入者に不測の損害を与え
ることがないよう、引き続き、十分な広報等に努める。さらに、他の知的
財産権についても、必要に応じて、検討を行う。
(短期・中期)
(財務省、特許庁、文化庁)
損害賠償額の算定方法に係る 2019 年の特許法等改正について裁判例分
析等により効果検証を行い、侵害抑止に向けた更なる対応の必要性を検討
するとともに、特許表示の機能向上等を含めた知的財産の侵害を抑止する
ための適切な制度的手当のあり方を検討し、法改正を含めた必要な措置を
講ずる。
(短期・中期)(特許庁)
40
(3)産業財産権制度・運用の強化
(現状と課題)
<グローバル化への対応>
(出典)特許庁 HP「特許行政年次報告書 2024 年度版」
図表 28:五庁特許出願件数推移と特許出願比率の推移
(出典)
:WIPO IP Statistics Data Center を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 29:欧州国籍特許出願人による日本及び米国への特許出願件数
比率の推移
41
(出典)
:WIPO IP Statistics Data Center を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 30:米国籍特許出願人による日本及び欧州への特許出願件数
比率の推移
イノベーション拠点としての競争力強化に当たっては、グローバル知的資本
を誘引・集積すること、例えば、海外からの特許出願を呼び込むことが鍵になる。
日本における特許出願件数は、中国・米国に次いで第3位で漸減傾向にあるとこ
ろ、海外からの特許出願比率は、欧米に比して低い状況にある(図表 28 参照)。
また、欧米の出願人は、日本より米欧への特許出願を重視する状況が続いている
(図表 29、図表 30 参照)。
そこで、イノベーションハブとしての地位の確立とともに、その受け皿となる
特許申請手続のグローバル化対応を強化していくことが考えられる。現在、外国
語書面による特許出願の際は、一定の翻訳コストが発生しているが、翻訳負担の
低減・削減により、海外からの特許出願が増加することが期待され、我が国のイ
ノベーションハブとしての機能強化につながると考えられる。一方で、中小企業
等の国内出願人を中心に特許出願に対する第三者による監視の負担が増大する
懸念もある。
まずは、外国語書面出願制度のイノベーション促進面での有効性と、ユーザー
ニーズに即した受け入れ環境の在り方、それらのメリット・デメリットを検討し
ていくことが求められる。
また、イノベーションハブとしての地位の確立のためには、質の高い審査を通
じて革新的技術にいち早く特許を付与することにより、更なるイノベーション
の創出を促進することが不可欠である。直近の 10 年間を振り返ると、先行技術
調査が必要な外国語特許文献の増加、AI 技術の浸透等による発明の高度化・複
合化など、審査に要する業務負担は増加の一途をたどっており、今後も我が国企
業による革新的技術について迅速かつ適切な保護を行う必要がある。
42
さらに、意匠法条約を確定し採択するための外交会議が 2024 年 11 月にサウ
ジアラビア・リヤドで開催され、「リヤド意匠法条約(Riyadh Design Law
Treaty)」として採択された。同条約は、各国で異なる国内手続を調和・簡素化
することにより、出願人の負担を軽減することを目的に、2005 年から議論が行
われてきたものであり、イノベーション拠点としての競争力強化の観点から、我
が国の同条約加入に関する検討を進めていくことが求められる。
加えて、欧米等においては医薬品データ保護が法制化されているのに対し、日
本においては医薬品データ保護を直接規定する法律はなく、再審査制度(医薬品、
医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第 14 条の4)が医
薬品データ保護の役割を実質的に有している状況にある。医薬品データ保護制
度が独立して存在しないために、制度に詳しくない者が日本には医薬品データ
保護制度は存在しないと認識する恐れがあると指摘29がなされている。このため、
次期、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の
改正に係る議論に向けて、関係業界団体等において議論を集約するなど、医薬品
データ保護制度を法制化する必要性について調査・分析をすることが求められ
る。
<DX 時代の対応>
国際的に求心力のある知財制度・システムの実現のためには、グローバル化の
みならずデジタル化も必要である。このため、特許庁は、社会情勢の変化に対応
して様々な制度改正を実施してきたところ、デジタル技術の飛躍的発展に応じ
た制度的措置も講じている。
近年、社会全体の DX が加速しており、ネットワーク関連技術の発展による国
境を跨いだサービスの増加に伴い、発明の構成要件の一部であるサーバー等が
海外に設置されることにより特許権侵害回避できてしまう可能性が指摘されて
いた。こうした事例における特許権侵害について判断を下した裁判例30も出てき
ているが、実質的に我が国の領域内における実施行為に当たると評価できる場
合については、現在、産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会において
検討がなされている。
また、2019 年の意匠法改正により新保護領域として画像、建築物、内装へと
広げることにより意匠制度の強化策を講じた結果、2023 年時点で意匠出願の
29
「知的財産推進計画 2025」の策定に向けた意⾒募集【法⼈・団体からの意⾒】P.99
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2025/pdf/siryou2025_2.pdf)
30
最⾼裁判所第⼆⼩法廷判決令和 7 年 3 ⽉ 3 ⽇(特許権侵害差⽌等請求事件、令和 5(受)14、15)では、⽶国のサーバ
ーからのプログラムの「提供」等について、最⾼裁判所第⼆⼩法廷判決令和 7 年 3 ⽉ 3 ⽇(特許権侵害差⽌等請求事件、令和 5
(受)2028)では、⽶国に存在するサーバーと端末とで構成されるシステムの発明の「⽣産」について、それぞれ特許権侵害を認めた。
43
7%程度の規模にまで拡大しており、結果として、従来の保護領域を補う形で新
保護領域の出願が増えている(図表 31 参照)。
(出典)特許庁作成
図表 31:新保護領域の意匠(画像、建築物、内装)の出願動向
これは産業構造の変化が一因であるところ、更に近年では、VR 技術の発展や
オンラインコミュニケーション機会の増大等による仮想空間上のサービスの増
加に伴い、例えば、現実空間の物品等のデザインを模した 3D モデルを第三者が
無断で販売等するケースや、仮想空間で利用可能な 3D モデルのデザインが模倣
されるケースが生じている。そこで、仮想空間におけるビジネスやデザイン創作
の実態を踏まえ、現在、産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会におい
て、意匠制度見直しの必要性及び制度的措置の方向性について検討がなされて
いる。
<知財紛争解決に向けたインフラ整備>
国際的に求心力のある知財制度・システムの実現に向けて、権利を侵害された
者が適切に救済され、侵害の抑止が図られるよう、紛争解決手段を不断なく見直
し、改善を検討することは不可欠である。
知的財産権関係民事事件の新受件数の動向を見ると、全国の地方裁判所での
第一審の件数は増加減少を繰り返しながらおよそ 500 件から 700 件の間で推移
している中(図表 32)、特許権の侵害に関する訴訟において、判決で認容された
金額において支払うことが約された金額が1億円以上であるケースは約 30%と
なっている(図表 33)。また、その認容額としては1億円以上の割合が 2014 年
から 2018 年までは 22%であったのに対して、2019 年から 2022 年では 38%と
増加しており、2022 年には 27 億円を超える判決が出るなど、金額自体も増え
44
ている状況である(図表 34)。
(出典)知的財産高等裁判所 HP「統計」
(「知的財産権関係民事事件の新受・既済件数及び平均審理期間
(全国地裁第一審)」
)
図表 32:知的財産権関係民事事件の新受・既済件数及び平均審理期間
(出典)知的財産高等裁判所 HP「統計」
(「特許権の侵害に
関する訴訟における統計(東京地裁・大阪地裁、
平成 26 年~令和 5 年)
」)
(出典)知財高裁ウェブサイト「統計」より特許庁作成
図表 34:特許権侵害に係る損害賠償請求
訴訟における認容額
(東京地裁・大阪地裁)
図表 33:判決で認容された金額
45
この背景として、2019 年の特許法改正(特許法第 102 条)により損害賠償額
算定方法の見直しがなされ、侵害者が販売した侵害品のうち、権利者の製造・販
売能力等を超える部分について侵害者にライセンスしたとみなして損害賠償額
に加算可能となった点が挙げられる。
一方、侵害の行為がなければ販売することができた物の数量算定に当たり、事
業者はその才覚により設備投資や人員増強により生産能力を向上させることが
可能であり、近年では外部に生産委託をするケースも増える中、損害賠償の算定
方法として、
「実施の能力」は、潜在的な能力で足りるとする判決が出されてお
31
り 、アウトソーシング等の拡大といったビジネスの実態を踏まえた認容額が柔
軟に採用されるのか動向を注視する必要がある。知的財産の侵害を抑止するた
め、損害賠償額の引上げなど、様々な方向性が提案されてきたが、まずは 2019
年法改正について裁判例分析等により効果検証を行い、侵害抑止に向けた更な
る対応の必要性を検討し、その上で諸外国に存在する制度を参考にしつつ、知的
財産の侵害を抑止するための適切な制度的手当のあり方を検討することが求め
られている。
また、証拠収集手続きについては、2019 年の特許法改正により査証制度が導
入されているが、その後の実務状況の把握・分析を求める意見32もあり、ニーズ
等も踏まえた検討が望まれる。
さらに、訴訟以外に知財紛争を解決する手段として、調停や裁判外紛争解決手
続(以下「ADR」という。)の活用が有効な場合がある。例えば調停の場合、東
京地方裁判所及び大阪地方裁判所では、知的財産権に関する紛争を解決する専
門調停の運用が 2019 年より開始されている。調停に要する平均審理期間は 6.2
か月(参考:知的財産権関係民事事件の平均審理期間(令和5年)14.9 か月)と
なり、迅速に知的財産権に関する紛争を解決することができ、今後、更なる利用
拡大が期待される。
加えて、近年、IoT 技術の浸透に伴い、通信等の標準規格を実施する上で不可
欠な特許である標準必須特許により、グローバルな競争に与える影響はますま
す高まっており、標準必須特許の紛争解決のルール形成を巡るグローバルな主
31
令和 2 年 2 ⽉ 28 ⽇知財⾼裁⼤合議事件判決(平成 31 年(ネ)第 10003 号)では、「「実施の能⼒」は、潜在的な能⼒
で⾜り、⽣産委託等の⽅法により、侵害品の販売数量に対応する数量の製品を供給することが可能な場合も実施の能⼒があるものと
解すべき」と判⽰された。
32
構想委員会(第 2 回)における委員発⾔︓
「・・・証拠開⽰に関連しては、査証制度を導⼊したりしたもの の、査証制度を申⽴てた事例も少ないようで、認められた例もないのでは
ないかなというところではありますが、制度が機能していなくのではなく、この制度ができたおかげで当事者が任意に開⽰できているというよう
な話もあるとは思う・・・」
「・・・やはり特許権が侵害された場合に、その事実を特許権者側でより把握しやすくする、つまり、特許権者側で証拠をより集めやすくする
ような⼿段を厚く講ずることのほうが重要・・・」
46
導権争いは依然生じている。引き続き SEP 関連文書33の普及を進め、国際的な
知財紛争に係る情勢や議論等も踏まえ適切に対応しつつ、必要に応じた改訂等
の検討が期待される。
(KPI)
国際的に求心力のある知財制度・システムに向けて、争訟制度の充実化を推
進する(2019 年以降の認容額の上昇傾向の状況把握、ADR 受理事件数の状
況把握等)。
(施策の方向性)
知財紛争を含むグローバルな法的紛争の公平・公正な解決手段である国
際仲裁を我が国でも利用できる環境を整えること等を目的として、最新の
国際水準に対応した改正仲裁法等が 2024 年4月に施行されたこと等も踏
まえ、同年5月に「国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議」におい
て策定された指針に基づき、我が国を拠点とする仲裁人材の育成や国内外
における周知啓発活動等の更なる取組を推進する。
(短期・中期)(法務省、関係府省)
アジア地域の司法関係者と知財関係紛争をテーマとする国際会議やそ
のフォローアップ等を目的とするセミナーを開催し、アジア地域全体の紛
争処理能力の向上を図るとともに、欧米諸国の司法関係者と国際会議を開
催し、知財紛争処理の国際的連携を図り、日本の法曹関係者や民間企業等
に知財紛争解決に関する情報を提供する。
(短期・中期)(法務省、特許庁)
デジタル技術を活用して ADR をオンライン上で行う ODR を推進し、
知的財産等の問題を抱える者に対し、多様な紛争解決手段を提供すること
ができるよう、情報基盤サイトを充実させる。また、ADR・ODR に関す
る周知・広報、認証 ADR 事業者と関係機関との連携・強化等の取組を進
めることにより、ADR・ODR の一層の拡充及び活性化を図る。
(短期・中期)(法務省)
法令外国語訳の取組について、AI 技術を活用した法令翻訳システムの
積極的活用及びこれを踏まえたより迅速で効率的な業務スキームを円滑
に運用することにより、高品質な英訳情報の提供を拡充・加速化させ、知
財関係の分野に関する英訳法令等の積極的な海外発信を行う。
33
2022 年に経済産業省が「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」を公表し、特許庁が「標準必須特許のライセンス交
渉に関する⼿引き」の改訂を⾏った。
47
(短期・中期)(法務省)
新興国等における知財の権利行使に関する法制度の整備と運用を支援す
るとともに、効果的な司法手続を確立するため、司法関係者等に対して研
修を行うなど、新興国等における知財司法人材の育成を支援する。
(短期、中期)(法務省、外務省)
標準必須特許のライセンス交渉の円滑化に向けて、2022 年に改訂した
「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」について、引き続き、
普及を進める。
(短期・中期)(特許庁)
損害賠償額の算定方法に係る 2019 年の特許法等改正について裁判例分
析等により効果検証を行い、侵害抑止に向けた更なる対応の必要性を検討
するとともに、特許表示の機能向上等を含めた知的財産の侵害を抑止する
ための適切な制度的手当のあり方を検討し、法改正を含めた必要な措置を
講ずる。
(短期・中期)(特許庁)【再掲】
AI 関連技術の出願が急増する中においても特許審査の迅速性を維持す
るため、
「AI 時代の知的財産権検討会」における議論も踏まえつつ、審査
官の人員補充や、審査官の複数の技術分野への習熟を含む能力向上等の対
応を進め、審査請求から特許の「権利化までの審査期間」
(標準審査期間)
を 2033 年度においても「平均 14 か月以内」に維持するよう審査体制を
整備する。
(短期・中期)(特許庁)
特許審査の質を更に向上させるために、特許審査イノベーションの推進
に向け、ユーザーとの共創に基づく施策の改善、特許審査プロセスにおけ
る AI 技術の活用を含む徹底した効率化等を検討し、必要な措置を講じる
とともに、イノベーション創出の促進に向けて、外国語書面出願制度に関
するユーザーニーズ等調査を実施する。
(短期・中期)(特許庁)
デザインの重要性、意匠権の戦略的な活用方法等の周知を引き続き強化
する。
(短期・中期)(特許庁)
2024 年4月施行の改正商標法により導入されたコンセント制度への対
応等、制度運用の変更による商標審査の負担が増大する中、2025 年度に
おいても、
「権利化までの審査期間」と「一次審査通知までの期間」を、
それぞれ、平均7から9か月、平均 5.5 から 7.5 か月とすることができる
よう、拒絶理由のかからない出願促進及び商標の拒絶理由横断調査事業を
48
活用するなど、商標出願の審査処理の効率化及び審査体制の充実を図る。
また、商標の重要性や活用方法等の周知を強化し、商標制度の普及・浸透
を図る。
(短期・中期)(特許庁)
今後一層拡大が見込まれる新興国市場に対する我が国企業のグローバ
ル展開を支援するため、オンライン講義も活用しつつ、新興国等の知財人
材に対して、我が国の審査官や弁理士等の専門家を講師に含めた研修等の
支援を行うことにより、新興国等の知的財産制度の整備を支援する。加え
て、東南アジア等新興国において、専門家会合等の働きかけを通じ、我が
国企業の知的財産権が迅速かつ的確に保護されるように、特許審査の迅速
化、品質向上に向けた支援を強化する。
(短期・中期)(特許庁)
リヤド意匠法条約について、国内ユーザーへの周知や条約加入に対す
るニーズの聴取等を進め、国内法整備や条約加入に関する検討を行う。
(短期・中期)(特許庁、外務省)
生成 AI 技術の発達や仮想空間における取引の拡大によるビジネスの多
様化が進むなど、企業活動における DX が進展する中、産業財産権制度に
も新たな課題が生じている。また、行政手続の更なる利便性向上が求めら
れている。これらを踏まえて、DX 時代にふさわしい産業財産権制度の在
り方について検討する。
(短期・中期)(特許庁)
ネットワーク関連技術の発展による国境を跨いだサービスの増加を踏
まえ、ネットワーク関連発明における国境を跨いだ発明の実施について、
サーバー等が海外にあることで容易に侵害を回避し得るところ、発明の構
成要件の一部が国外にある場合であっても、実質的に国内の実施行為と認
める要件の明文化について、産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委
員会において検討を進め、法改正を含めた必要な措置を講ずる。
(短期・中期)(特許庁)
仮想空間におけるビジネスやデザイン創作の実態を踏まえ、意匠制度見
直しの必要性及び制度的措置の方向性について、産業構造審議会知的財産
分科会意匠制度小委員会において検討を進め、法改正を含めた必要な措置
を講ずる。
(短期・中期)(特許庁)
49
(4)地域における知財保護
(現状と課題)
<中小企業・中堅企業>
中小企業・中堅企業は、全企業のうち 99.9%を占めるなど、イノベーション
の源泉として、我が国におけるイノベーション・エコシステムにおいて極めて重
要な存在である。
しかし、現状においては、知財に関する情報・知識・人材の不足や資金の不足
等により、知財活動が十分に行われていない。近年では、特許出願全体に対する
中小企業の出願件数比率は、特許出願件数とともに横ばいの状態にある(図表
35)。この傾向は、中小企業による意匠出願件数においても同様である。
(出典)特許庁 HP「特許行政年次報告書 2024 年度版」
図表 35:中小企業の特許出願件数の推移
また、商標登録出願全体の中で大きな割合を占める中小企業の出願は減少傾
向にあり(図表 36)、我が国全体として商標登録出願件数の縮小につながって
いる(図表 37)。そこで、商標の出願件数増加、特に中小企業による出願の増
加に向け、商標権取得の重要性に関する中小企業向けの周知を強化するなど、
より一層の商標制度の普及啓発が求められる。
50
(出典)特許庁 HP「特許行政年次報告書 2024 年度版」
図表 36:中小企業の商標登録出願件数の推移
(出典)特許庁 HP「特許行政年次報告書 2024 年度版」
図表 37:商標登録出願件数の推移
さらに、大企業に比して保有する経営資源の少ない中小企業・中堅企業やスタ
ートアップにとって、技術やノウハウ、アイディア、デザイン、ブランドといっ
た知財は重要な経営資源であるが、これに対する「気づき」が十分とはいえず、
知財を用いた資金調達にも課題がある。
知財に関する知識不足や弁理士等の支援人材の地域偏在といった課題もあり、
特許を取得する中小企業割合は 18%弱に留まり、かつ、東京、大阪、愛知、神
奈川の4都市圏で出願件数が8割を超える状況となるなど、中小企業、特に、地
方での知財の利活用が進んでいない。
加えて、AI の加速度的進化や、ボーダーレスにデータのやりとりが行われる
ことが多い産業の DX 化、デジタル空間での経済活動の活性化など、研究開発や
51
産業創出の現場では現行の知財制度が想定していなかった状況の変化が生じて
いる。
こうした状況を踏まえ、地方等の中小企業の知財の利活用や保護の促進と、特
許権等の知財制度の見直しによる AI や DX 推進に向けた環境整備を通じ、それ
ぞれの企業等が「知財で稼ぐ」ことを可能とする支援策の策定が必要である。
① 知財経営支援ネットワーク
地域経済の活性化に向けて、全国に設置されている地域知的財産戦略本部に
おいて、各地域の実情に合わせた知財支援を実施している。また、特許庁は 2025
年度までの3年間の「第3次地域知財活性化行動計画」
(2023 年5月 24 日策定)
を公表し、中小企業における知財経営のモデルとなり得る事例を創出するため
の支援等を実施している。
さらに、2023 年3月、特許庁、工業所有権情報・研修館(INPIT)、日本弁理
士会、及び日本商工会議所は、
「知財経営支援ネットワーク」を構築するための
共同宣言を行った。2024 年 12 月には、この「知財経営支援ネットワーク」に中
小企業庁が加わり、より広く知財取引の実態を把握するとともに、中小企業・小
規模事業者や支援機関の「知財経営リテラシー」の向上と、中小企業等が抱える
経営相談等に対して知財の観点から効率的に支援を行っている。
今後は、INPIT 近畿統括本部(INPIT-KANSAI)の取組を参考にしつつ、さ
らなる支援拠点の整備を検討し、同ネットワークを通じた好事例の創出や伴走
支援等を行うとともに、知財経営支援人材の育成を並行して行う。
② 知財経営モデル地域創出事業
地域を支援する取組として、特許庁は、知財を活用した地域の企業成長や地域
活性化に意欲的な自治体(地域)を知財重点支援エリアとして指定し、当該地域
に事業プロデューサーを派遣する「知財経営支援モデル地域創出事業」を 2024
年度から実施しており、2024 年度には青森県、石川県、神戸市の3地域を選定
した。引き続き、持続的な知財活用の促進を目指す地域(知財経営支援モデル地
域)の創出を通じて、知財を活用した地域の稼ぐ力の向上につなげる。
③ 事業性に着目した融資の推進
金融機関等が不動産担保や経営者保証等に安易に依存するのではなく、事業
者の実態や将来性を理解して融資を行うことが重要である。そのための施策と
して、「事業性融資の推進等に関する法律」が 2024 年6月に成立した。同法の
成立を契機とし、金融機関が企業価値担保権の活用も1つの選択肢として、事業
者の持続的な成長を促すとともに、事業性融資を自らの収益基盤の強化につな
52
げることが重要となる。
④ 中小企業の知財の保護活用強化策
中小企業が持続的に賃上げ原資を確保しつつイノベーション創出・付加価値
拡大を実現する上で、その源泉となる知財による「稼ぐ力」を高めていくことが
不可欠である。それに向けた具体的な取組として、知財経営リテラシーの向上、
地域拠点の形成等を含めた知財の活用促進、特許表示の機能向上等を含めた知
財の保護強化等を網羅した対応策を策定し、推進することが求められる。
これらの対応策に向け、政府は前述の「知財経営支援ネットワーク」の拡充に
加え、知的財産の侵害抑止や、知財を活用した海外市場への高付加価値商材の輸
出支援についても検討を行っている。
知的財産の侵害抑止については、中小企業・スタートアップが保有する知的財
産の侵害を抑止するため、政府を挙げた中小企業等の知財リテラシーの向上や、
政府による実態調査、適切な知的財産取引のための指針の徹底、侵害抑止強化に
向けた制度の構築等が挙げられる。
また、知財を活用した海外市場への高付加価値商材の輸出支援では、資力が乏
しい中小企業やスタートアップ等にとって特許権や商標権等の知財取得に係る
手続の煩雑さや経費負担が難しいことや、海外での知財に関する訴訟事案が増
加傾向にあり中小企業等が応訴リスクを負担するのは困難であることを踏まえ、
支援策の改善に向けた調査を行い、必要な支援措置を講じていくことを検討し
ている。
特許庁は、このような「知財経営支援ネットワーク」を通じた好事例の創出や
伴走支援、知財経営支援人材の育成、知的財産の侵害抑止、知財を活用した海外
市場への高付加価値商材の輸出支援等を網羅した「支援パッケージ」を検討して
いるところである。
⑤ 伝統的工芸品の保護
EU では、非農産品に GI 保護を拡大するため、2023 年 10 月9日、手工芸品・
工業製品の GI に関する規則案が EU 理事会(閣僚理事会)で最終承認され、
2025 年 12 月1日から適用される。
我が国では、伝統的工芸品について、伝統的工芸品産業の振興に関する法律
(伝産法)や商標法等で保護しているところであるが、EPA の対象国である EU
において、手工芸品等が GI 保護の対象となることを踏まえ、EU の動向を把握
し、日本での導入可否を検討する。
53
<農林水産業>
① 農林水産分野における知財の現状
我が国の農林水産物・食品は、高品質・高付加価値なものを作る技術やノウハ
ウ、我が国の食文化や伝統文化等の「知財」によって、他国に類を見ない特質・
強みを有し、海外市場を獲得している。
海外市場での需要の拡大は、優良品種の海外流出等のリスクをはらんでおり、
さらなる海外市場の拡大のためには、農林水産・食品分野における知財の適切な
保護・活用が極めて重要な課題となっている。
こうした中、2024 年5月 29 日、通常国会において食料・農業・農村基本法の
一部を改正する法律案が成立し、同法の基本理念として、
「生産性の向上・付加
価値の向上により農業の持続的な発展」を追記し、その基本的施策の 1 つとし
て「農産物の付加価値の向上(知財保護・活用等)
」を掲げるなど、知財重視の
姿勢が明確となった。
また、近年、
「農林水産省知的財産戦略 2025」に基づき、家畜遺伝資源の保護
や流通管理の強化、育成者権者の登録品種の海外持出制限、自家増殖の許諾制の
推進、海外における品種登録等の支援の実施等の取組を進め、グローバル時代に
即した制度作りを進めている。さらに、2025 年7月には、同戦略をさらに発展
させ、知財を通じて、海外から「稼ぐ」ことを念頭に「農林水産省知的財産戦略
2030」を策定予定である。
② 育成者権の保護・活用
(資料)農林水産省作成
図表 38:我が国で育成された品種登録出願件数の推移
我が国で育成された出願品種については、過去 10 年間の品種登録出願件数の
動向をみると、図表 38 で示されるとおり、年によって多少の変動がみられるも
54
のの、全体として減少傾向にある。こうした中、農業の現場では、これまで開発
品種や栽培技術の普及が重視されてきたこともあり、知財の保護・活用の意識が
十分に浸透していないことが課題となっている。
このような状況を踏まえ、近年、農林水産省では、現場関係者の知財意識の向
上等を目的として、以下の取組を実施し、現場における農業知財の保護・活用の
推進を図っている。
・ 知的財産の基礎を学ぶオンライン講座の開設
・ 士業資格者を対象にしたセミナーの実施
・ 現場へ知財マネジメントのアドバイスができる専門人材の育成
・ 農林水産・食品分野における知的財産権制度活用優良企業等表彰による
優良事例の周知
他方、コロナ禍以降のオンライン取引の増加により、権利者が把握・管理しに
くい匿名性の高い取引や非農業者の苗木の取扱が拡大し、新たな流出リスクと
なっている。これらに対応するため、農林水産省では、優良品種の管理・活用の
あり方等に関する検討会を開催し、2024 年6月、
「デジタル化の進展等に対応し
た優良品種の保護・活用に向けた対応方向」として提言がまとめられた。
同提言の具体化に向け、今後、権利者や農業現場における管理の徹底と侵害対
応の実効性向上に向けた制度的枠組みの整備等総合的な措置について中間報告
が行われる予定である。
③ GI 保護制度の普及
GI 保護制度は、その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因・環境の
中で長年育まれてきた品質、社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の
知財として保護するものである。これにより、地域と結びついた産品の品質、製
法、評判、ものがたりといった潜在的な魅力や強みが見える化されるため、取引
における説明や証明、需要者の信頼の獲得を容易にするツールとして利用され
ている。
2022 年 11 月には、GI 制度の運用を以下のように見直し、所得・地域の活力
の向上や輸出促進を更に後押ししている。
地域で守られるべき伝統産品から、加工品、海外志向の産品まで、多様
な産品の登録につながるよう間口を広げるとともに、登録申請前及び登録
後における地域の負担を軽減する。
GI を市場において目にする機会の増大に向けた戦略的なプロモーショ
ンを強化し、GI の認知・価値を高めていく。
また、登録申請に係る産地からの相談を一元的に受け付ける支援窓口として
設置されている「地理的表示保護制度活用支援中央窓口」
(GI サポートデスク)
55
において、専門家によるアドバイスを無料で実施している。
(出典)農林水産省 HP「登録産品一覧」を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 39:GI の登録件数(国内産品)の推移
登録件数は年々増加し、特に、2024 年度は、16 件と登録件数が近年の中で多
く、2025 年3月末時点での国内産品の登録件数は 161 件となった(図表 39)。
今後も引き続き、GI 制度の活用促進に向けた各種取組を着実に進めることが
必要である。
また、GI 保護制度は、GI マークと相まって、外国人にも効果的に産品の魅力
やものがたりをアピール出来ることから、増加するインバウンド向けに、GI を
観光コンテンツとしての活用する動きが始まっている。こうした取組を、農林水
産物の付加価値の向上、地域の活性化、輸出拡大へつなげるため、農林水産省、
観光庁、観光地域づくり法人(DMO)との連携体制の構築、海外に向けた情報
発信による魅力訴求等を進める必要がある。
④ 海外市場拡大に向けた環境整備
「食料・農業・農村基本計画」
(令和7年4月 11 日閣議決定)において、2030
年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円とする政府目標を設定した。農林水
産省では、需要拡大の取組と供給力向上の取組を車の両輪として一体的に実施
し、農林水産物・食品の更なる輸出の拡大を目指す。このような中で、輸出拡大
に向け、我が国農業の競争環境を守るため、海外における育成者権の取得を支援
するとともに、輸出促進に資する優良品種の戦略的な海外ライセンスを推進し
ている。
56
○ 海外における育成者権の取得
海外における無断栽培の抑止に向け、育成者権の取得や権利行使を強化する
必要がある。このため、農林水産省では、海外出願時、侵害対応時における費用
面での支援を行っており、2024 年9月末時点で、延べ 1,203 件の海外出願を支
援している(うち 431 件が登録済)。
一方、一部の国では、そもそも品種保護制度が十分に整備されていない場合が
あり、これらの国々における適正な品種保護には課題がある。特に、アジアでは、
新品種の保護の基本的原則を規定した植物の新品種の保護に関する国際条約
(以下「UPOV 条約」という。
)への加入率が依然として低い現状がある。
このため、我が国では、2007 年に設立した東アジア植物品種保護フォーラム
において、東アジア諸国をはじめとした品種保護制度が整備されていない国々
での制度整備及び UPOV 条約への加入を促しており、引き続き、同フォーラム
等を通じた諸外国における品種保護制度の整備に向けた取組を推進するととも
に、UPOV 加盟国等との審査協力を通じ、我が国品種の海外での保護を促進し
ていくことが期待される。
○ 戦略的な海外ライセンスの推進
近年、農林水産省では、輸出の端境期を海外ライセンス生産で補完し、輸出先
国において日本ブランドが周年供給される体制を構築するとともに、海外から
のロイヤルティ収入を得て競争力の高い新品種開発に投資するサイクルを確立
するため、戦略的なライセンスの実施を目的とした海外ライセンス指針の策定
や、育成者権者に代わり海外出願、ライセンス、侵害への対応を行う育成者権管
理機関の早期立上げ、早期事業化を推進している。
○ 農林水産・食品分野における先端技術
スマート農業については、諸外国における関連出願の権利取得による知財保
護もあわせて検討すべきところ、既存の支援策として窓口支援、伴走支援、海外
権利化支援が提供されており34、これら施策も利用した形でのスマート農業技術
の更なる知財保護が進展することが期待される。
食品産業においては、世界的にフードテック等の先端技術に対する投資が拡
大している中で、国内での投資が伸び悩んでいる状況にある。我が国における食
料安全保障の観点からも、今後、海外の動向も踏まえたフードテック市場拡大の
ための取組強化や、食品産業における生産性向上に向けた自動化技術の活用等
34
例えば、戦略的研究開発知財マネジメント強化事業(農林⽔産省)、知財総合⽀援窓⼝(INPIT)、海外権利化⽀援事業
(INPIT)が挙げられる。
57
の促進が期待される。
(KPI)
中小企業が知財で稼ぐことを目標とし、約 1.4 万社以上の中小企業が新規に
特許出願等することを促す。
農林水産物・食品の輸出額は 2024 年において約1兆5千億円のところ、2030
年までに5兆円とする。
(施策の方向性)
<中小企業・中堅企業>
中小企業庁の調査によると、利益の主な使い道として「研究開発」を挙
げる中小企業は売上高を大きく成長させる傾向にある。他方で、大企業等
との取引関係の中で中小企業・小規模事業者が知的財産侵害を受けるケー
スも見られることに鑑み、政府全体で中小企業等の知財経営リテラシーの
向上や、侵害抑止強化に向けた制度の構築に取り組む。
また、公正取引委員会においては、実態調査と、その結果を踏まえた適
切な知的財産取引のための独占禁止法上の指針の策定と遵守徹底に取り
組む。
加えて、中小企業・小規模事業者への知財の活用促進により、その「稼
ぐ力」を高めていくため、知財経営支援ネットワーク(特許庁、工業所有
権情報・研修館、日本弁理士会、中小企業庁が、日本商工会議所と連携し
て中小企業・小規模事業者を知財の観点から支援する枠組み)を通じた好
事例の創出や伴走支援、知財経営支援人材の育成等も併せて実施していく。
(短期・中期)(公正取引委員会、特許庁、中小企業庁)
「第3次地域知財活性化行動計画」に基づき、中小企業における知財経
営のモデルとなり得る事例を創出するための支援等を実施する。
(短期・中期)(特許庁)
「知財経営支援ネットワーク」に中小企業庁を加え、より広く知財取引
の実態を把握するとともに、中小企業・小規模事業者や支援機関の「知財
経営リテラシー」の向上と、中小企業等が抱える経営相談等に対して知財
の観点から効率的に支援を行う。また、知財経営支援ネットワークを通じ
て関係機関の連携強化を図り、農水分野も含めて企業の経営課題に合わせ
た知財支援を実施することにより、施策効果の向上を図る。
(短期・中期)
(特許庁、中小企業庁)
知財経営支援を強化・充実化し、地域の稼ぐ力の向上につなげるため、
58
地域の支援ネットワークの連携強化と地域企業のイノベーション創出を
通じて、持続的な知財活用の促進を目指す地域(知財経営支援モデル地域)
の創出に向けた取組を実施する。
(短期・中期)(特許庁)
中小企業が知財を活かした経営戦略に基づいて持続的に成長し、自らの
企業価値を高めるとともに、高めた企業価値が金融機関に適切に評価され
るように、中小企業と金融機関が協力して将来像を描き、現状を分析した
上で、知財・無形資産の観点を含めた経営戦略を構築するための支援を行
う。
(短期・中期)(特許庁)
スタートアップ・中小企業等へ経営デザインシートの活用を更に広げる
など、価値デザイン経営の普及実践エコシステムの構築に向けた取組を行
う。
(短期・中期)(内閣府(知財))
よろず支援拠点において、経営デザインシートの作成による長期ビジョ
ンの検討に対する支援を行うなど、経営相談への対応において、その活用
を図る。
(短期・中期)(中小企業庁、内閣府(知財))
特許庁がハブとなり、各種啓発活動における事業紹介や合同セミナー開
催等を通じて、INPIT や日本貿易振興機構(JETRO)等の支援機関間の
連携を高め、中小企業が海外展開するに当たって直面する知的財産に関す
る課題への支援を強化する。
(短期・中期)(特許庁)
パートナーシップ構築宣言等を通じて、知的財産取引に関するガイドラ
インの遵守を求めるとともに、契約書のひな形の普及・活用を図る。さら
に、知的財産関連の取引問題に専門的に対応する知財Gメンによって、知
的財産に関する取引実態を把握するとともに、「知財取引アドバイザリー
ボード」を開催し、今後の対応に関する助言を得る。
(短期・中期)(中小企業庁、内閣府(政策統括官(経済財政運営担当))
企業のノウハウや顧客基盤等の無形資産を含む事業全体に着目した融
資の新しい選択肢(企業価値担保権)について、その積極活用に向けて、
事業者や金融機関等の関係者への周知・広報等に努める。
(短期・中期)(金融庁、内閣府(知財)、中小企業庁)
知財・無形資産を活かした経営の実践を我が国企業に浸透させるべく、
IP ランドスケープの活用等の中堅企業等における知財・無形資産の投資・
活用に関する実態や課題の調査を行い、当該投資・活用の在り方を検討す
59
ること等を通じて、中堅企業等における知財・無形資産の投資・活用の推
進につなげる。
(短期・中期)(特許庁)【再掲】
中小企業における「知財で稼ぐ力」を高めるための具体的取組(知財経
営リテラシーの向上、地域拠点の形成等を含めた知財の活用促進、特許表
示の機能向上等を含めた知財の保護強化等)を取りまとめた対応策の策定
及び推進を検討する。
(短期・中期)(特許庁)
EPA の対象国である EU において手工芸品等が GI の対象となること
を踏まえ、EU の動向を把握し、我が国での導入の可否を検討する。
(短期・中期)(経済産業省、外務省)
2024 年4月施行の改正商標法により導入されたコンセント制度への対
応等、制度運用の変更による商標審査の負担が増大する中、2025 年度に
おいても、
「権利化までの審査期間」と「一次審査通知までの期間」を、
それぞれ、平均7から9か月、平均 5.5 から 7.5 か月とすることができる
よう、拒絶理由のかからない出願促進及び商標の拒絶理由横断調査事業を
活用する等、商標出願の審査処理の効率化及び審査体制の充実を図る。ま
た、商標の重要性や活用方法等の周知を強化し、商標制度の普及・浸透を
図る。
(短期・中期)(特許庁)【再掲】
<農林水産業>
農業・食品産業全体における知財マネジメント能力の強化に向けて、教
育カリキュラムの検討やセミナーの実施を支援し、農業現場での経営に資
する知財活動の取組に助言できる専門人材を育成・確保するとともに、種
苗業者向けプログラムの作成とその展開により、農業・食品産業関係者全
体の知財意識向上を推進する。
(短期・中期)(農林水産省)【再掲】
農林水産・食品分野における知的財産の保護・活用により事業経営の発
展に顕著な成果を収めた事業者等を顕彰する農林水産大臣表彰を引き続
き実施し、知的財産の戦略的な保護・活用の優良・先進モデルの掘り起こ
し・横展開を推進することにより農業現場での経営に資する知財活動の活
性化を推進する。
(中期)(農林水産省)
我が国農業の国際競争力の向上等に向けて、公的研究の成果が効果的に
社会実装されるよう公的研究機関等の知財マネジメントを強化する。具体
60
的には、知財マネジメントに係る公的研究機関等間の連携を強化するため
のネットワークを構築するとともに、実践的な知財マネジメントへの伴走
支援、知財専門家による相談対応や、実践的な取組を横展開するためのセ
ミナーを実施する。
(短期・中期)(農林水産省)
大学院、大学、専門学校、高校等をはじめとする、教育のカリキュラム
や特別講義として農林水産・食品分野の知財学習の導入を検討している高
等教育機関に対し、出張講座や知財教育システムによる知識、スキルを習
得する機会を提供し、農業知財に詳しい次世代人材の育成を推進する。ま
た、当該機関における知財教育の教育課程への円滑な導入を推進する。
(短期・中期)(農林水産省)
農業現場における知的財産の保護・活用の実践を進めるため、現場と専
門人材をマッチングし助言を行う「農業知財総合相談窓口」を設置し、窓
口へ寄せられた相談に対して、知的財産の保護及び活用に向けた助言、支
援を行う。あわせて、有望な案件を選定し、専門家によるプロジェクト単
位でコンサルティングを実施する伴走支援を行う。
(短期・中期)(農林水産省)
優良品種のグローバル展開に向けた競争環境を守るため、生産者への苗
木のリース方式を含め優良品種の苗木の生産や取引を厳格に管理するシ
ステムの導入を進めるとともに、オンライン取引の拡大等の新たな流出リ
スクにも対応し得るよう育成者権の管理と権利行使の実行性の向上に向
け、制度的枠組の整備の検討を含め、総合的に措置を講ずる。
また、品種保護の意識・能力の高い苗木業者を育成・確保し、当該苗木
業者による優良品種の取扱いを推進する。
(短期・中期)(農林水産省)
農業現場における優れた栽培技術やノウハウの流出による優位性の損
失を防止するため、生産現場への「農業分野における営業秘密の保護ガイ
ドライン」の周知を継続するとともに、同ガイドラインの「営業秘密の基
礎的管理マニュアル」を活用した実践形式の研修、相談支援等を通じて技
術・ノウハウの適切な管理能力の向上に取り組む。
(短期・中期)(農林水産省)
「家畜改良増殖法」及び「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する
法律」に基づき、家畜遺伝資源の知財としての価値を保護するとともに、
更なる流通管理の適正化を図るため、以下の取組を推進する。
和牛遺伝資源の譲渡の際に締結すべき契約書のひな形の普及につい
て、家畜遺伝資源生産事業者への普及は定着したことから、その下流
61
の関係者への普及に引き続き取り組み、不正競争防止を図り、知財と
しての価値の保護を推進する。
全国の家畜人工授精所に対する立入検査を継続して実施するととも
に、家畜人工授精師等に対する研修会の開催等により、法令遵守の徹
底を図り、流通管理の適正化を推進する。
家畜人工授精所からの報告等に伴う都道府県の事務の軽減、情報集約
のための全国システムの運用及び機能強化を図り、電子化を推進する。
(短期・中期)(農林水産省)
農林水産業関係者の所得・地域の活力の向上や輸出促進に更に貢献する
ため、GI 保護制度の認知度向上、食品産業・他産業との連携、加工品や
輸出向け産品を含む多様な産品の登録を推し進め、GI の観光資源として
の活用を推進し、インバウンドによる食関連消費の拡大につなげる。
(短期・中期)
(農林水産省)
海外における日本の農林水産物・食品のブランド産品の模倣品等の流通
を防ぐため、外国との GI の相互保護の推進及び海外現地や EC サイトの
調査、農林水産物・食品の模倣品疑義情報相談窓口の運用等を通じた不正
使用の侵害対策を推進する。
(短期・中期)(農林水産省、外務省、特許庁)【再掲】
GI 保護制度の活用促進のため、GI 申請から登録後までの一貫したサポ
ート体制の構築、GI 産品販路拡大等の GI の市場における露出拡大を図
る取組を支援する。
(短期・中期)(農林水産省)
国際的な知的財産戦略の構築を支援、海外での知的財産権(GI、商標)
確立に係る外国出願費用、拒絶理由通知への応答等の中間手続費用、登録
費用を助成し外国における権利取得を促進するとともに、海外での冒認出
願や模倣被害等への対策費用を助成し、グローバルな知的財産権の取得、
事業化及び権利行使を通じた輸出環境等の整備につなげる。
(短期・中期)(農林水産省)
企業や学校等において農林水産・食品分野における知的財産に関する意
識向上を図るため、地域の歴史や環境と強く結びついた知的財産である
GI も活用しながら、教育等の場においても知的財産の保護及び活用につ
いて広く啓発する取組を実施する。
(短期・中期)(農林水産省)
我が国の植物新品種の海外での保護・活用に向け、海外での育成者権の
取得や国内外での侵害対応等への支援、税関当局との連携による育成者権
侵害種苗の持ち出し防止を図り、育成者権者による登録品種の適切な管理
62
を進める。
(短期・中期)(農林水産省)
海外における無断栽培を実効的に抑止しつつ、海外からの稼ぎにつなげ
ていくため、戦略的な海外ライセンスを推進し、輸出ターゲット市場にお
いて日本ブランドの周年供給が可能な体制の構築により輸出促進に寄与
するとともに、海外からのロイヤルティを競争力のある新品種開発や国内
管理、産地化・ブランド化に投資するサイクルを確立する。
その実現に向け、こうしたグローバル展開を担い、育成者権者に代わっ
て、海外への品種登録、侵害の監視や訴訟対応、海外ライセンス等を行う
育成者権管理機関の早期立上げ・早期事業化を進めるとともに、海外市場
も見据えた新品種の開発や国内未利用品種の活用を推進する。
(短期・中期)(農林水産省)
我が国の植物新品種の海外での保護・活用に向け、海外で日本の品種登
録に係る特性調査データが活用され、日本の品種が適切かつ迅速に登録さ
れるよう審査基準の国際調和を進める。特に、果樹等の品種の早期権利化
に資するため、農業・食品産業技術総合研究機構種苗管理センターにおい
て果樹等に係る国際基準に即した特性調査の実施体制を順次整備するほ
か、品種登録審査の効率化に向け、海外で利用が進む遺伝子情報等の活用
に資する国際的な技術開発状況を調査する。
(短期・中期)(農林水産省)
海外において、我が国の品種を適切に保護していくため、日本のイニシ
アティブで設立した東アジア植物品種保護フォーラムの活動等を通じて、
東アジア諸国をはじめとした品種保護制度が十分に整備されていない
国々での品種保護制度の整備と UPOV 条約への加入を促すとともに、審
査協力や出願様式の共通化等に取り組む。また、UPOV と連携しつつ、
UPOV 同盟国共通の電子出願審査システム(UPOV e-PVP)の活用を推
進するとともに、植物新品種等を活用した優良事例等の調査・分析等を通
じて、UPOV 加盟促進活動の強化を図る。
(短期・中期)(農林水産省)
農業機械等について、メーカーやシステムの垣根を越えて安全にデータ
連携を行えるよう、2020 年度に「農業分野におけるオープン API 整備
に関するガイドライン」を策定し、トラクター、コンバイン等の農業機械
において位置情報や作業時間等を取得するオープン API を整備した。
2025 年度以降も農業データ連携・共有のための環境整備を行うとともに、
これまで実装・公開したオープン API を活用した新たなサービス開発に
よるサービス事業体の機能強化に対する支援を通じてオープン API の整
63
備・活用を推進する。
(短期・中期)(農林水産省)
フードテック等の食に関する先端技術については、その知的財産の保護
及び活用の観点の重要性に引き続き配慮しながら、オープンイノベーショ
ンを推進する場の整備に加え、フードテックを活用した新たな商品や付加
価値の創造を推進するとともに、自動化等の新技術の導入による食品企業
の生産性向上を支援する。
(短期・中期)(農林水産省)
3.知的財産の「活用」
(1)産学連携による社会実装の推進
(現状と課題)
大学におけるミッションとして教育、研究に加え社会貢献活動が挙げられる
中、その実施に向けて知財の創造、保護、活用は基本的な機能を担っている。つ
まり、大学の研究成果が知的財産となり、これに基づきスタートアップ等が生ま
れ、そこから社会実装へとつながり、さらに、その収益から新たな研究活動等へ
と結びつくといった好循環が実現することが期待されるなど、知的財産の果た
す役割は大きい。
「スタートアップ育成5か年計画」
(2022 年 11 月 28 日新しい
資本主義実現会議決定)を知財の観点から支援する意味で、スタートアップが大
学の知的財産権を事業化する環境を整備することが求められるところである。
しかし、大学の研究成果としての知財は、図表 40 に示すように、十分に活用
されているとはいえない。その背景には、大学における事業化を見据えた知財マ
ネジメントの不足、事業化を見据えた知財の創出や権利化の不足、研究成果の社
会実装機会の最大化に向けた体制や予算の不足等の様々な要因があると考えら
れ、それらを踏まえた対応が求められている。
(出典)文部科学省「令和4年度大学等における産学連携等実施状況について」を基に
内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 40:大学保有特許の利用状況
64
<大学知財ガバナンスガイドライン>
大学が創出した知財の社会実装機会の最大化及び資金の好循環の達成に向け
て、内閣府、文部科学省及び経済産業省では、
「大学知財ガバナンスガイドライ
ン」を 2023 年3月に策定した。その後、同ガイドラインについて普及活動を行
い、実践を促している中、課題把握のため意見交換等を実施してきた。それによ
れば、一定の効果が上がっていることが把握できたが、その趣旨や意図から逸脱
した硬直的な契約交渉事例(契約書のひな形から一切変更を認めない等)も散見
された。
この背景には、大学の研究成果に係る知財について、大学、共同研究先、スタ
ートアップがそれぞれ単体で社会実装できるものではなく、お互いが良好なパ
ートナーシップを構築して協力関係の下で進めることが重要との認識が不足し
ていると考えられる。そのため、大学と共同研究先との間で、あるいは、大学と
スタートアップとの間で、権利持分・実施許諾、対価・補償を含め、合理的な契
約交渉35を進めることが鍵となる。双方の信頼関係及び意思疎通の下で、大学の
研究成果に係る知財の実施状況を改善していくことが求められる。
上記状況を踏まえ、
「大学知財ガバナンスガイドライン」に関する普及活動や
意見交換を引き続き実施し、聴取した意見も参考に、本ガイドラインを踏まえた
知財マネジメント等の実施状況や課題把握と対策等を分析、整理し、必要とされ
る対策を検討すること、および、同ガイドラインのプリンシプルの実践に向けた
好事例等の収集を進め、その結果を公表することが重要である。
<大学等研究者の転退職時の知財取扱い指針>
大学の研究者の流動性が高まりつつある中、大学の優れた研究成果としての
知財を漏れなく活用して社会実装機会の最大化を達成するためには、大学の研
究者が他の大学に転職した場合に当該研究者の知財を適切に取り扱うことが必
要である。
そこで、内閣府は、イノベーションの担い手となる大学や国立研究開発法人
(以下、本節において「大学等」という。)の研究者が創出した知財の社会実装
の更なる促進に向けて、
「大学等研究者の転退職時の知的財産取扱いに関する検
討会」を 2024 年 12 月から開催し、その検討結果を「大学等研究者の転退職時
の知財取扱い指針」として 2025 年3月に策定・公表した。
今後、同指針の普及活動を進めるとともに、転退職者が発生した大学等におい
て、同指針を実務で試行的に利用していただくことを想定している。そして、大
35
例えば、「⼤学と事業会社のオープンイノベーション促進のためのマナーブック」、「⼤学とスタートアップのオープンイノベーション促進のため
のマナーブック」(何れも特許庁、2024 年4⽉)が参考になる。
65
学等の現場での実施を進めるとともに現場の課題感等を把握し、同指針で提示
したチェックリストや知財リスト等に関する現場の管理状況等を情報収集し、
検証作業を通じて更なる検討を進める。
<iAca(大学等の研究成果の社会実装に向けた知財支援事業)
、知財戦略エキス
パートによる支援>
INPIT は、大学等における研究成果の迅速な社会実装に向けて、2024 年度か
ら、知的財産マネジメントの専門家である知財戦略プロデューサーを大学等に
派遣する事業(iAca)を開始している。本事業では、研究ステージの初期段階に
おけるシーズ発掘と出口戦略の策定の支援から、優れたシーズの事業化に向け
た産学連携活動の支援までシームレスな支援を実施している(2024 年度実績:
支援対象数(40 件)、対象大学数(27 大学))。引き続き、スタートアップ創出
等の社会実装の円滑化に向けた対応が求められる。
また、INPIT では、大学やスタートアップ等への他の支援手段として知財戦
略エキスパートによる支援を提供している。共同研究契約に関する支援として、
契約書のひな形の紹介や、実施・不実施における対価・補償等の考え方など、当
事者間における交渉・契約に係る留意点についてアドバイスをしており、引き続
き、社会実装の実現に向けた取組を行うことが望まれる。
<知財支援人材のスキルマップ>
2025 年3月末に INPIT は知財支援人材のスキルマップを公表した。同マッ
プでは企業(中小、スタートアップ等)や大学、研究機関において知財経営を支
援する人材に必要な、知財の創出・保護、調査・分析や戦略構築、アカデミアや
スタートアップ支援等に関する業務のスキルが体系的に整理されている。
今後は、このスキルマップを踏まえた知財支援人材向けの研修内容(例:知財
マネジメントセミナー、講師育成セミナー)の改善が進められ、知財支援人材の
候補となる者の学習内容の拡充が期待される。
(KPI)
大学知財ガバナンスガイドラインの普及などを通じて、知財の社会実装機会
の最大化を後押しする(社会実装事例やその状況把握)。
(施策の方向性)
「大学知財ガバナンスガイドライン」に関する意見交換を実施し、聴取
した意見も参考に、「大学知財ガバナンスガイドライン」を踏まえた知財
66
マネジメント等の実施状況、課題と対策等を引き続き分析、整理し、必要
とされる対策を検討する。また、その実践に向けた好事例等の収集を進め、
その結果を公表する。
(短期・中期・長期) (内閣府(知財)、文部科学省)
「大学等研究者の転退職時の知財取扱い指針」を普及させるとともに、
同指針を大学等の現場で使用した際の課題を分析、整理し、対応を検討す
る。
(短期・中期)(内閣府(知財))
大学知財の社会実装機会の最大化と資金の好循環に向けて、国内外の大
学の産学連携活動(例:技術移転、ライセンス、共同研究活動)に関する
実態把握及びベストプラクティスの収集・分析に関する調査研究を実施す
る。
(短期・中期)(特許庁)
中小・スタートアップ企業や大学等による国際的な知的財産戦略の構築
を支援するため、外国出願費用、審査請求費用、拒絶理由通知への応答等
の中間手続費用を助成し外国における権利取得を促進するとともに、海外
での知的財産権侵害への対策費用を助成し、グローバルな知的財産権の取
得、事業化及び権利行使につなげる。さらに、2024 年の産業競争力強化
法等の一部改正により、INPIT の業務に助成業務が追加されたことに伴
い、INPIT が有する知財経営支援のノウハウを活かし、施策効果の向上を
図る。
(短期・中期)(特許庁)
大学と事業会社・スタートアップとの持続可能な連携を通じ、「知」の
社会実装と新しい「知」の創出の好循環による社会価値の総和の最大化を
価値軸とする「OI モデル契約書(大学編)」の普及と定着に取り組む。ま
た、引き続き「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資
に関する指針」の周知を行う。
(短期・中期)(公正取引委員会、特許庁)
「大学知財ガバナンスガイドライン」により大学知財ガバナンスが改善
しつつあるが、大学の研究成果を創出する研究者に対して産学連携本部に
よる知財に関する情報提供等の支援が届いていないとの懸念がある。産学
連携本部による支援の実態や、知財を適切に保護するために知っておくべ
き情報を研究者に届ける方法に関する調査結果を踏まえて、2025 年度は、
セミナー・イベント等を通じて研究者や産学連携本部への情報提供等を実
施する。
(短期・中期)(特許庁)
67
iAca(大学等の研究成果の社会実装に向けた知財支援事業)を実施し、
知的財産マネジメントの専門家である「知財戦略プロデューサー」を大学
等に派遣する。同事業では、研究ステージの初期段階におけるシーズ発掘
と出口戦略の策定の支援から、スタートアップの創出を含む優れたシーズ
の事業化に向けた産学連携活動の支援まで、切れ目のない支援を実現する。
(短期・中期)(特許庁)
開放特許情報データベースにおいて検索可能な形式で提供している企
業、大学、研究機関等の開放特許情報を一括して取得できるようにしたこ
とを民間事業者に周知する。また、同データベースの効率的な登録方法や
活用可能性を上げるためのヒント、活用例等を盛り込んだマニュアルを作
成・公表したことを登録者に周知する。そして、開放意図のある特許の情
報を利活用したマッチング事業等を通じて、開放意図のある特許のライセ
ンスを受けた事業化を支援する。
(短期・中期)(特許庁)
2024 年度に作成した知財支援人材向けのスキルマップを踏まえた知財
支援人材向け研修の改善を行う。
(短期・中期)(特許庁)
(2)スタートアップ支援
(現状と課題)
「スタートアップ育成5か年計画」が策定されて以降、我が国が世界有数のス
タートアップの集積地になることを目指し、①人材・ネットワークの強化、②資
金供給の強化と出口戦略の多様化、③オープンイノベーションの推進の3本柱
を中心に、各種施策を着実に実行している。
知財面においては、現在、スタートアップの事業化に向けた知財戦略の構築を
支援する人材が重要視されているが、スタートアップの知財戦略の構築を支援
できる人材(知財戦略支援人材)が不足している状況にある。
この点については、経営戦略への知財戦略の組込みに際しては、経営戦略に合
った知財戦略を構築・遂行する人材の育成のために、知的財産最高責任者(CIPO)
のような知財を統括する責任者を置くことが必要であるという意見や、知財・無
形資産といった非財務資本の価値を理解できる人材36が必要といった意見が出
ている。つまり、知的財産経営を理解・実践する経営人材の育成、専門家人材の
流動性の向上、非財務資本の価値評価の実践といった包括的な支援パッケージ
36
スタートアップにおける知財デューデリジェンス⽀援の要望もあり、「ベンチャー投資家のための知的財産に対する評価・⽀援の⼿引き」
(特許庁 平成 30 年度)が参考になる。
68
が望まれるところ、既存の支援策として、下記に示される各種施策を組み合わせ
ながら、新たな支援策の構築について更なる検討が求められる。
また、革新的な技術を有するスタートアップの活躍は公共分野においても期
待されているところ、デジタル行財政改革において、国・地方スタートアップ連
携実務者会議を立ち上げた(2024 年7月 10 日)。当該議論の中で、スタートア
ップによる新技術・サービスの活用は、地方自治体等による公共サービスの質の
向上や省力化のための有力な選択肢となるが、スタートアップの有する知的財
産への配慮の不足や、調達手続が十分に理解されていないことなどによって、現
実には足踏み状態であることが明らかになった。このため、スタートアップ等か
らの公共調達を行う場合の知的財産等に関するガイドラインの策定やノウハウ
の共有が求められる。
さらに、スタートアップ支援として、事業会社等とのオープンイノベーション
の取組を後押しするため、オープンイノベーション促進税制の更なる活用が期
待される。
<知財支援人材のスキルマップ>【再掲】
2025 年3月末に INPIT は知財支援人材のスキルマップを公表した。同マッ
プでは企業(中小、スタートアップ等)や大学、研究機関において知財経営を支
援する人材に必要な、知財の創出・保護、調査・分析や戦略構築、アカデミアや
スタートアップ支援等に関する業務のスキルが体系的に整理されている。
今後は、このスキルマップを踏まえた知財支援人材向けの研修内容(例:知財
マネジメントセミナー、講師育成セミナー)の改善が進められ、知財支援人材の
候補となる者の学習内容の拡充が期待される。
<ベンチャーキャピタルへの知財専門家派遣プログラム(VC-IPAS)>
特許庁は、2023 年度より VC-IPAS において、ベンチャーキャピタル(VC)
へ知財専門家を派遣し、VC を通じたスタートアップへの知財戦略構築等の支援
を行うとともに、VC の知財リテラシー・知財活用実務能力の向上支援を行って
いる。派遣先 VC へのヒアリング等におけるポジティブな指摘と、2024 年度の
インキュベーション施設への試行的な派遣を踏まえ、今後は派遣先の VC を増
やし、派遣対象も VC 以外のスタートアップ支援者に拡張することで、スタート
アップエコシステムにおける知財の浸透をより効果的に推進する。
<スタボノ>
特許庁は、2024 年度にスタートアップとプロボノ(職業上のスキルや経験を
活かして取り組む社会貢献活動)のマッチングプログラム「スタボノ」を実施し
69
た。本プログラムは大企業等に所属する知財人材が大企業の事業開発担当等の
非知財人材とチームを組んでスタートアップへの業務支援を行うものである。
知財部スタッフの兼業や副業の促進により、スタートアップエコシステムにお
ける知財戦略支援人材の育成にもつながるため、本事業の振り返りと検証が求
められる。
(KPI)
スタートアップへの知財面からの支援策を通じて、スタートアップ育成を推
進する(スタートアップ支援満足度や事例を含めた状況把握)。
(施策の方向性)
2024 年度に作成した知財支援人材向けのスキルマップを踏まえた知財
支援人材向け研修の改善を行う。
(短期・中期)(特許庁)【再掲】
IPAS を通じて、ビジネスの専門家と知財の専門家とで構成されるメン
タリングチームを創業期スタートアップに派遣し、ビジネスモデルの構築
と、ビジネスモデルに応じた知財戦略の策定等に関する支援を行う。また、
採択頻度を年2回として、ユーザーの利便性を向上させつつ 、INPIT の
知財戦略エキスパートと連携して機動性を高めた支援を実現する。
(短期・中期)(特許庁)
弁理士・弁護士等の知財専門家を VC に派遣し、スタートアップに対す
る知財戦略の構築支援を強化するとともに、VC の知財リテラシー・知財
実務能力の向上支援を行う。2025 年度は、派遣先のベンチャーキャピタ
ルを増やすとともに、アクセラレーター等のスタートアップ支援機関への
派遣も実施することにより、スタートアップエコシステムにおける知財の
浸透をより効果的に推進する。
(短期・中期)(特許庁)
スタートアップ向けの知財ポータルサイトにおける動画配信等の効果
的な情報発信や、全国各地でのスタートアップエコシステムの関係者と知
財の関係者とを結びつける場の提供を通じて、エコシステム活性化を促進
する。2025 年度は、オンラインで映像コンテンツを配信するメディアと
連携してイベントを実施することにより、スタートアップ、スタートアッ
プ支援者(ベンチャーキャピタル、知財専門家等)への知財活用について
の更なる普及を図る。
(短期・中期)(特許庁)
70
スタートアップ等によるイノベーションを促進するため、特許審査官に
よる審査段階でのプッシュ型支援を実施し、各種支援策の活用を促すとと
もに、面接審査を通じてスタートアップ等の事業戦略に合わせた円滑かつ
効果的な権利取得を支援する。また、ユーザーの声を収集しつつ、運用の
改善を適宜検討する。
(短期・中期)(特許庁)
スタートアップによる資金調達等のための早期権利化のニーズに応え
るため、必要な審査体制を整備し、意匠分野におけるスタートアップ向け
の早期審査を実現する。
(短期・中期)(特許庁)
(3)新たな国際標準戦略
政府は、2006 年に「国際標準総合戦略」
(2006 年 12 月6日知的財産戦略本
部決定)を策定し、5つの戦略を立て、政府全体で、産業界や学術界における国
際標準化活動の促進を図ってきた。
一方で、近年の国際社会及び我が国は、従来の枠組みでは十分に対応できない
多様な課題、例えば、気候変動対策や人権尊重といった中長期課題への対応、国
際情勢の複雑化等によるグローバル・サプライチェーンの分断リスク、生成 AI
をはじめとする急速な技術革新等に直面している。
これらの国内外の課題に対応した社会・産業の実現のためには、国際標準の戦
略的活用が有力な選択肢となる。また、
「経済安全保障」についても、その重要
性が高まっており、国際標準を通じた自律性の確保、優位性・不可欠性の確保・
維持・強化といった観点も重要となっている。
このような状況を踏まえ、今般、
「新たな国際標準戦略」
(以下「新戦略」とい
う。)を定め、国際社会や我が国が抱える課題の解決や経済安全保障に向けた日
本の積極的な貢献として、国際標準化活動を通じ社会課題解決と市場創出を先
導する。
この際、日本が国際標準化活動において更なる求心力を発揮するためには、産
業界や学術界の意識改革・行動変容に加え、国内において関連する人材育成の充
実、これらの活動の支援機能としての規格策定、認証機関及び試験機関等の強化
や、国際標準に関わる多様な主体をつなぐ司令塔機能を果たす場の構築が不可
欠である。
国際標準に係るこれまでの官民の取組と国内外の動向、国際標準を通じた課
題解決を目指す日本の取組や、我が国として国際標準化活動に注力していく重
要領域・戦略領域、及びモニタリング・フォローアップの実施等については、下
記に概要を示す新戦略を参照されたい。
71
<国際標準を通じた課題解決を目指す日本の取組強化>
新戦略においては、国際標準を通じた国内外の課題解決と市場創出に向け、官
民が一体となって、下記のとおり、
「国際標準戦略の明確化とガバナンス」
「標準
エコシステム」及び「産官学金の取組」を国内の取組として推進しつつ、あわせ
て、
「国際連携」
「重要領域・戦略領域の選定と支援」
「モニタリング・フォロー
アップ」を組み合わせ、実効的に取組を実施していく。
(出典)
「新たな国際標準戦略」
図表 41:新戦略における取組の全体像
この際、我が国がこれまで積極的に取り組み、今後も様々な取組が期待される
ISO/IEC/ITU といった国際標準化機関におけるデジュール標準対応も引き
続き推進しつつ、近年活動が活発化している様々なフォーラム標準や独自標準、
デファクト標準についても留意し、国際標準の獲得に向けた効果的な組合せを
訴求していく。
あわせて、国際標準活動に当たっては、国際標準化がゴールではなくあくまで
課題解決や市場創出のためのツールであるとの認識が不可欠である。その上で、
様々な領域・分野において、敢えて国際標準化しないという選択肢も含めた、包
括的な国際標準戦略が不可欠であり、新戦略に基づき、国際的な仲間づくりや、
後述する経済安全保障の観点を組み込むことが必要である。
例えば、オープン&クローズ戦略に基づき、規制対応、標準化活動、知財管
理、ノウハウ秘匿など様々な要素を組み合わせ、あるいは適切に使い分けるこ
とが必要であり、その有力なツールとして、標準を活用することが考えられる。
さらに、標準化を検討するに当たっては、その普及・実装を見据え、その標準
の適合性評価(認証)の枠組みについても、専門サービスの協力を得ながら、同
72
時に検討すべきである。
我が国から国際標準を提案するには、当該標準が十分に議論され、国内規格と
して標準化されていることが望ましい。一方で、我が国にとって相互運用性が確
保されている場合には、日本国内で規格となったものの国際標準化に留まらず、
他国で規格化されたものも含め、相互運用性に留意しつつ、国際標準化を推進し
ていく。あわせて、日本企業の利便性等が認められる個別分野においては、国内
で各国の認証が取得できる方策(国際相互承認制度の利用)も促進していく。
加えて、国際標準についての取組を進めていくに当たっては、自律性の確保、
優位性・不可欠性の確保・維持・強化、国際秩序の維持強化の観点を踏まえて対
応していく。その際には、例えば、自律性確保・サプライチェーン強靭化の観点、
情報流出や不正な介入へのリスク対応の観点に加え、標準必須特許(SEP :
Standard-Essential Patent)等による標準の普及や競争力への影響の観点
(FRAND 条件・料率、禁訴令等に関するライセンス交渉やグローバル紛争)に
ついて注視し、必要な取組を進める。
各主体に期待される役割に加えて、領域横断的な標準化活動が拡大し、経済安
全保障等の新しい観点から国際標準化活動に効果的に取り組むため、官民一体
となり、オールジャパンで国際標準化活動を進めていく。
国の具体的施策については、以下のとおり整理し、それぞれの施策に KPI を
設けて取組を推進していく。
(1)産官学金の取組の強化
①経済界・学術界・金融界へ働きかけを行う。
②企業・研究機関・政府の視座をシフトする。
③公共調達・補助金において標準を活用する。
④研究開発段階から標準化を組み込む。
⑤政府支援の実効性を高める。
(2)標準エコシステムの強化
①人材育成システムを強化する。
②専門サービスを育成・強化し、その活用を拡大する。
③規制・規格・認証を一体的に推進する。
(3)標準戦略の明確化とガバナンス
①司令塔機能を果たす官民連携の場を設ける。
②知見やノウハウ、人材情報等を共有・マッチングする仕組みを構築する。
73
(4)国際連携の強化
①国際的な標準化人材育成とネットワーキングに取り組む。
②国際相互承認制度の利用、規制の調和、規格の普及等を促進する。
③ASEAN 各国等との連携を強化する。
④国際標準の国際会議を日本で開催する。
<重要領域・戦略領域の選定>
我が国として、国際標準化活動における協働を通じて国際的な「社会課題解決」
や「市場創出」等を実現し、結果的に国内の社会課題解決や競争力強化にもつな
げていく観点から、「現状からのトランスフォーメーションが求められる分野」
や、
「世界秩序の不安定化により、国際標準を通じた連携強化が求められる分野」
、
「技術イノベーションにより既存の業界の壁を越えた新たな価値が生まれる分
野」など、国際社会にとって重要であり、かつ、国際標準が当該領域において主
要な課題解決策となる領域を選定し、限られた国際標準リソースを集中する必
要がある。
新戦略において、17 の重要領域を選定し、さらに、重要領域の中から、その
熟度や対応の緊要性を踏まえ、
「環境・エネルギー」
「デジタル・AI」
「情報通信」
「量子」
「バイオエコノミー」といった8つの「戦略領域」を選定し、今後、こ
れらの重要領域・戦略領域においては、官民で協力して、国際標準化活動を強化
する。
なお、選定した国際標準に係る重要領域・戦略領域は、当面のものであり、今
後の官民連携による国際標準化活動のモニタリングや毎年度のフォローアップ
等を通じて、見直しを図る。
74
(出典)
「新たな国際標準戦略」
図表 42:重要領域・戦略領域の選定
<モニタリング・フォローアップの実施と戦略の見直し>
国際標準化活動において、国際社会や我が国に重要な影響を及ぼすもの等に
ついて、定期的にモニタリングを実施し、その結果を官民で適切に共有し、適時
適切な対応を図る。
これらのモニタリング結果については、取扱いに十分留意した上で、官民連携
の場や、デジタル上の情報連携基盤等の場を通じて、官民の関係者に適切に共有
し、国際会議への積極対応や人材の融通など、官民連携によるアジャイル(俊敏)
な施策、取組に活用する。
また、今回取りまとめた各省庁の施策や重要領域・戦略領域については、毎年
度のフォローアップ(PDCA サイクル)を通じて、その進捗を確認するととも
に、施策について、早期の KPI の達成や、逆に取組の不足等があれば、KPI や
取組の深掘りを求める。
これらの進捗状況については、官民連携の場や、有識者会合等において報告を
行い、定量または定性的な評価を行い、同評価に基づく取組を関係者に求める。
これらの報告、評価の結果のうち、グローバルな課題解決のための我が国の国際
75
標準化活動については、毎年度の知的財産推進計画に盛り込むなど、対外的な発
信を図っていく。
その際、官民で連携して適切にモニタリング・フォローアップを行うために、
官民連携の司令塔機能の一部として、官民による会議体での対応を検討すると
ともに、適切なモニタリング・フォローアップに向けた情報共有や、ノウハウの
共有、我が国の国際標準に係るエコシステム強化、産学官の取組の促進に資する
情報共有基盤としてのデジタル上のプラットフォームの構築及び普及を検討す
る。
さらに、各省庁の施策および重要領域・戦略領域については、毎年度のフォロ
ーアップの報告、評価の結果を踏まえつつ、2027 年度に中間点検、2029 年度に
最終点検を行い、新戦略における施策や重要領域・戦略領域をアジャイルに見直
し、新戦略を改定していく。
(出典)
「新たな国際標準戦略」のポイント
図表 43:モニタリング・フォローアップと司令塔機能の強化
<本計画と新戦略の関係>
国際標準は、我が国産業の国際競争力強化のための一つのツールとして、知的
財産の創造、保護、活用の一環をなすものであり、その意味で、新戦略は本計画
の一部であり、政府全体の産業政策や科学技術・イノベーション戦略の一部とな
るものである。
そのため、新戦略のモニタリング・フォローアップやその見直しを行うに当た
っては、我が国の産業戦略、科学技術・イノベーション戦略はもとより、知財戦
略と連携して実施すべきである。
76
また、国際標準の動向は非常に動きが早いものであり、官民における実効的な
国際標準化活動を担保するためには、迅速かつ柔軟な見直しを行うことが不可
欠である。
このため、次年度以降の知的財産推進計画の策定(国際標準部分)に当たって
は、新戦略のモニタリング・フォローアップや見直しとリンクさせ、モニタリン
グ・フォローアップの結果について、適宜、知的財産推進計画に盛り込むととも
に、状況の変化に応じて、国際標準に係る施策や、重要領域・戦略領域の見直し
についても、適宜知的財産推進計画に盛り込み、新戦略の見直しと合わせ、アジ
ャイルに対応していく。
(4)データ流通・利活用環境の整備
(現状と課題)
デジタル技術の進展に伴い、
「データ」について、重要性、多様性、容量が爆
発的に増大したが、我が国においては、生成、収集、利活用など、全ての側面に
おいて環境整備が十分ではなかった。他方、海外においては、データを効果的に
生成、収集、利活用するための取組が活発に行われており、プラットフォームの
構築や法整備が進められてきた37。
そこで、我が国において、データ利活用が進み新たな価値が創出されるために
は、プラットフォーム上のデータ流通に係る被観測者の懸念・不安を払拭するた
めのデータ取扱いルールの実装が必要であるとの認識から、2022 年3月に「プ
ラットフォームにおけるデータ取扱いルールの実装ガイダンス Ver1.0」(以下
「ルール実装ガイダンス」という。)を策定した。
今後、具体的なルール実装のフェーズに移行することに伴い、それぞれのプラ
ットフォーム等で行われるデータ取引におけるリスクを特定し、リスクに応じ
た適切なルールを設定することが求められる。
また、データ利活用に関する政府の直近の取組として、2024 年 11 月の「デジ
タル行財政改革会議」において、EU 等において、個人情報保護法制と整合的な
形で、医療、金融、産業等の分野でデータ利活用に係る制度の整備が急速に進展
していること等も踏まえ、デジタル行財政改革会議の下で、2025 年6月を目途
に、我が国のデータ利活用制度の在り方についての基本的な方針を策定する方
向性が示されている。
これに基づき、2024 年 12 月に「データ利活用制度・システム検討会」が立ち
上げられ、基本的な方針策定に向けた議論が開始されている。個人情報保護、消
37
例えば、EU では、2022 年2⽉に公表された欧州データ法が 2024 年1⽉に発効した。また、2024 年2⽉にデジタルサービス法
(DSA︓Digital Service ACT)が全⾯施⾏され、2024 年3⽉にデジタル市場法(DMA︓Digital Market Act)の本格的な
運⽤が始まった。
77
費者保護、競争促進、知的財産保護、サイバーセキュリティーなど、関連する様々
な政策を俯瞰する形で、利活用促進の在り方を検討する方向性が示されている
ところである。
さらに、競争力ある AI 研究開発の観点でも、大規模言語モデル(LLM)のみ
ならず、ロボットや自動運転等の稼働データの収集が重要となっており、これら
データ利活用がより進むことにより、AI 性能の向上や多様なユースケースが生
まれることが期待される。
データ利活⽤
データの保護
(個⼈起点(⼀次利⽤)、社会起点(⼆次利⽤))
データガバナンス法(2021)
データ法(2023)
GDPR
EU
(2016)
⺠間の⾮個⼈データ(IoT等)の共有促進
データスペース構想 (2020)
EHDS法
(医療・2025)
データ仲介者規律枠組み等
データの
利活⽤に対する
プロアクティブな制度
化アプローチ
へルスケア、産業・製造等。14の分野で広域のデータ連携を検討中
・ヘルスデータ基盤の構築
・ヘルスデータ(仮名化情報)の
第三者提供に同意不要
・医療機関からのデータ提出義務
PSD3(⾦融決済・検討中)
※PSD2は2015に成⽴
⾦融データアクセスの枠組と連携したPSD2の改正
個⼈情報
保護法
⽇本
連邦
⽶国
各州
HIPAA法
(連邦法・
医療・1996)
GLBA法
(連邦法・
⾦融・1999)
CCPA(カリフォルニア) 等
⺠間企業(⼤規模デジタルプラットフォーム)内
での⾃成的なデータ連携・利活⽤
リアクティブな市
場重視アプローチ
(⼀般法・特別法)
(出典)
「デジタル⾏財政改⾰の進捗と更なる対応について」
(2025 年2月 20 日、第9回デジタル行財政改革会議資料)
図表 44:日・米・EU の法体系比較(民間部門に係る規律のイメージ)
加えて、国連統計委員会が 2025 年に採択した国民経済計算の新しい国際基準
(2025SNA)においても、前回基準である 2008SNA の採択以降、経済のデジ
タル化が大きく進展したことを受け、データを固定資本として記録することと
された。
上記の通り、データの経済価値の高まりを受け、国内外様々な場で、データ利
活用に関連する動きが進展している。こうした動きを踏まえつつ、知財戦略の下
でも、従前進めている知財・無形資産の価値化と投資促進にあたっては、研究開
発費・知的財産等に加えてデータについても企業価値の源泉として把握・管理し
ていくことを促していくとともに、今般策定した新戦略においても、戦略領域の
1つとして、データに係るルール形成の推進を図っていくこととする。
また、研究データについては、オープン・アンド・クローズ戦略の下、政府は
統合イノベーション戦略推進会議において、「公的資金による研究データの管
理・利活用に関する基本的な考え方」
(2021 年4月)を策定し、公的資金による
研究データについての管理・利活用に向けた取組を定めた。
現在、各機関等において、研究データの管理・利活用の取組が進められており、
データポリシーについては、国立大学は 54 大学、大学共同利用機関法人は4法
78
人・機関、国立研究開発法人は 24 法人・機関が策定済みであるところ、機関リ
ポジトリを有する全ての国立大学・大学共同利用機関法人・国立研究開発法人に
おけるデータポリシーの策定にむけて、2025 年までに 100%を達成することを
目指している。
今後、研究データの取組の推進に当たっては、2022 年 12 月に日本学術会議
から、今後のデータ駆動型科学の振興のために考慮すべき事項やデータ共有へ
の具体的取組方策に関する考え方等が示されており、内閣府等においては、この
ような提言も踏まえ、研究 DX 化や AI での利活用など、研究データの管理・利
活用の取組をオープン・アンド・クローズ戦略にも配慮しつつ、より一層促進し
ていくことが期待される。
(KPI)
政府全体におけるデータ利活用の議論の進展を踏まえ、今後適切なタイミン
グで KPI を設定する。
(施策の方向性)
「プラットフォームにおけるデータ取扱いルールの実装ガイダンス
ver1.0」の利用を促進する。
(短期・中期)(デジタル庁、関係府省)
公的資金により得られた研究データの管理・利活用を図るため、大学、
大学共同利用機関法人、国立研究開発法人等の研究開発を行う機関は、デ
ータポリシーの策定を行うとともに、機関リポジトリへの研究データの収
載を進める。また、研究データ基盤システム上で検索可能とするため、研
究データへのメタデータの付与を進める。さらに、先行事例や課題点等の
横展開を促進する。
(短期・中期)(文部科学省、内閣府(科技)、関係省庁)
公募型の研究資金の新規公募分におけるデータマネジメントプラン
(DMP)及びこれと連動したメタデータを付与する仕組みの構築に向け
て、関係府省及び関係機関において、引き続き、取組を進める。
(短期・中期)(内閣府(科技)、文部科学省、関係省庁)
データ連携基盤におけるブローカーの無償提供と活用に関する助言を
進め、各地域による統合的なデータ連携基盤の整備・利活用を支援すると
ともに、2024 年度に都道府県において策定されたデータ連携基盤の共同
利用ビジョンも踏まえ、同一機能を有した基盤への重複投資を避けつつ、
複数サービス(分野)間のデータ連携を推進する。
79
(短期・中期)(デジタル庁)
農業機械等について、メーカーやシステムの垣根を越えて安全にデータ
連携を行えるよう、2020 年度に「農業分野におけるオープン API 整備に
関するガイドライン」を策定し、トラクター、コンバイン等の農業機械に
おいて位置情報や作業時間等を取得するオープン API を整備した。2025
年度以降も農業データ連携・共有のための環境整備を行うとともに、これ
まで実装・公開したオープン API を活用した新たなサービス開発による
サービス事業体の機能強化に対する支援を通じてオープン API の整備・
活用を推進する。
(短期・中期)(農林水産省)
【再掲】
2021 年6月に策定したデータヘルス改革に関する工程表に沿って各施
策に関する取組を推進中であり、2024 年度は、患者の必要な医療情報を
医療機関等間で共有するための「電子カルテ情報共有サービス」を構築し、
2025 年2月から一部の地域においてモデル事業を実施した。引き続き、
データヘルス改革の各施策に関する取組を着実に進める。
(短期・中期)
(厚生労働省)
パーソナルデータを活用したサービス/ビジネスが変化・拡大を続ける
中、個人の同意信託を得てパーソナルデータの安全安心なデータの流通を
確保する指針を、実態に沿った形で改善・改定していくため、データの活
用の実態等を把握するとともに、諸外国の類似制度との協調を図るために
必要な調査を実施する。
(短期・中期)(総務省)
防災については、2024 年4月より運用を開始した新総合防災情報シス
テム(SOBO-WEB)による災害対応機関の間での情報共有ルールを
「ルール実装ガイダンス」等に基づき整理し、さらに現在設計・構築に
向けた取組が行われているデジタル庁のデータ連携基盤との連携など、
防災分野のデータ流通促進のための検討を進めている。
(短期・中期)(内閣府(防災))
4.新たなクールジャパン戦略のフォローアップ
(1)新たなクールジャパン戦略の実装
(現状と課題)
<クールジャパン関連産業の海外展開の進捗>
クールジャパン関連産業の最新数値に基づく海外展開の合計は 27.1 兆円、前
回実績値から 8.0 兆円、41.92%の増加となった。コンテンツ、インバウンド、
食、ファッションともに伸びている。
80
インバウンドは、訪日外国人旅行者は 3,600 万人を超え(2024 年速報)、訪日
外国人旅行消費額は8兆 1,395 億円、訪日外国人旅行者1人当たり旅行消費額
も 22 万円を超えるなど、過去最高を更新した。観光需要が急速に回復した一方
で、都市部を中心とした一部地域への偏在傾向や地域が抱える二次交通の整備
不足38、空港での入国手続に時間を要することなど、旅行者の満足度低下の懸念
も生じており、インバウンドの受入環境の整備は引き続き課題である。
農林水産物・食品の輸出額は、1兆 5,071 億円(2024 年確々報値)、過去最高
を更新している。日本産酒類の輸出額は 1,337 億円であり、2023 年と概ね同水
準で推移しているが、2024 年 12 月ユネスコ無形文化遺産に「伝統的酒造り」
が登録されたことにより、今後の需要拡大が期待される。
また、ファッション(繊維製品)の輸出額は、1,768 億円(2023 年)、糸織物
等の繊維品は 7,736 億円であった。繊維製品輸出額は、2012 年から 2023 年で
3倍弱に増加した。主たるファッションメーカーの海外売上も増加が続いてい
る。化粧品の輸出額は、2023 年において、約 6,000 億円であり、2012 年から
2021 年まで約6倍超に増えたものの、2022 年と 2023 年は減少しており、主た
る化粧品メーカーも 2022 年から微減が続いている。
38
地域交通の「担い⼿」「移動の⾜」不⾜解消のため、令和6年3⽉、タクシー事業者の管理の下、⾃家⽤⾞・⼀般ドライバーを活⽤
した運送サービスの提供を可能とする⾃家⽤⾞活⽤事業が創設されている。内閣府規制改⾰推進会議地域活性化・⼈⼿不⾜対
応 ワーキング・グループ「移動の⾜不⾜の改善状況についての検証及び令和7年3⽉時点の利⽤者⽬線での検証結果の評価」
(令和7年4⽉9⽇)では、訪⽇外国⼈から、⽇本滞在中に移動の⾜に困った経験をしたと6割が回答した。また、⾃国でライドシ
ェアの利⽤経験がある者のうち、⽇本でも利⽤したいと回答した者が8割強となっており、利⽤したい理由として、ライドシェアの利⽤に
慣れているためと回答した者が6割強、普段使っているアプリが使えるためと回答した者が5割弱、事前に⾦額がわかるためと回答した
者が4割半ばとなっている。さらに、ライドシェアが利⽤できるようになった場合に、6割強が移動しやすさの改善が⾒込めると回答してお
り、 仮にライドシェアが導⼊されていたら、もっとできたと思うことがあると回答した者は7割半ばで、具体的には、より遠い観光地や宿泊
地、飲⾷店に⾏けたと回答した者が5割強となっている。
81
今回調査値(兆円) 増減率(%) 前回調査(兆円)
コンテンツの海外展開(海外市場規模)
5.8(2023 年)
23.22
4.7(2022 年)
訪日外国人旅行(インバウンド)消費額
8.1(2024 年)
53.39
5.3(2023 年)
農林水産物・食品の輸出額
1.5(2024 年)
3.64
1.5(2023 年)
食品製造業の現地法人の売
上高39
7.3(2023 年)
109.00
3.5(2022 年)
繊維品・繊維製品の輸出
1.0(2023 年)
2.85
0.9(2022 年)
主たるファッションメーカ
ーの海外売上
1.8(2023 年)
26.83
1.4(2022 年)
化粧品の輸出
0.6(2023 年)
-21.05
0.8(2022 年)
1.0(2023 年)
-4.77
1.0(2022 年)
27.1
41.92
19.1
食
ファッション
化粧品
主たる化粧品メーカーの海
外売上
合 計
(出典)注釈 40 の各種資料を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
40
図表 45:クールジャパン関連産業の海外展開
<外国人の親日度等>
12 か国・地域の回答者がそれぞれ5か国・地域の「好きな国・地域」を選ん
で回答した、2024 年の調査結果によると、日本を「好きな国」とする率は、全
世界の国・地域平均で 56.2%、アジア平均は 69.3%、欧米豪平均は 31.0%だっ
た。これらを 2033 年までに 10%向上させることを目標とする。
39
前回調査は内閣府調査をもとに作成した「主たる⾷品メーカーの海外売上」を計上していたが、今回調査からは経済産業省「海外
40
それぞれの資料等を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成。
事業活動基本調査」もとに作成する「⾷品製造業の現地法⼈の売上⾼」を計上することとした。
・コンテンツの海外展開(海外市場規模)︓(株)ヒューマンメディア 「⽇本と世界のメディア×コンテンツ市場データベース 2024」
をもとに作成。
・訪⽇外国⼈旅⾏(インバウンド)消費額︓観光庁「インバウンド消費動向調査」をもとに作成。
・農林⽔産物・⾷品の輸出額︓農林⽔産省が財務省「貿易統計」をもとに作成。
・⾷品製造業の現地法⼈の売上⾼︓経済産業省「海外事業活動基本調査」をもとに作成。
・繊維品・繊維製品の輸出︓財務省「貿易統計」をもとに作成。
・主たるファッションメーカーの海外売上︓内閣府知的財産戦略推進事務局「2033 年度に向けて内閣府が設定した KGI/KPI に
対する実証調査」をもとに作成。
・化粧品の輸出︓⽇本化粧品⼯業会が財務省「貿易統計」をもとに作成。
・主たる化粧品メーカーの海外売上︓内閣府知的財産戦略推進事務局「2033 年度に向けて内閣府が設定した KGI/KPI に対
する実証調査」をもとに作成。
82
また、日本の魅力の体験率により、親日度と訪日意向が高まるかを調査した結
果、経済効果が大きいコンテンツ・食の分野は外国人の体験率も高く、それらの
日本の魅力を体験したことで、概ね4割程度の外国人が親日度・訪日意向が高ま
る調査結果となった。国内外問わず日本の魅力の体験率を向上させていくこと
が、親日度の上昇やインバウンドの拡大に直結する。加えて、地理的に隣接して
いるアジアの親日度は総じて高く、この親日度の高さを活用していくことが重
要である。
親⽇度(KGI)
⽇本を「好きな国」と
する率 全平均56.2%
⽇本を「好きな国」とする率
・全平均
・アジア平均
-⾹港
-タイ
-韓国
-中国
・欧⽶豪平均
-⽶
-豪
-英
-仏
56.2%
69.3%
86.6%
84.7%
45.6%
42.2%
31.0%
36.7%
41.5%
25.4%
27.7%
体験による親⽇度の向上
(KPI)
⽇本の魅⼒の体験率
(KPI)
体験による訪⽇意向の向上
体験による親⽇度向上率(全平均)
⽇本の魅⼒の体験率(全平均)
体験による訪⽇意向向上率(全平均)
・⽇本⾷
41.5%
・アニメ・マンガ40.2%
・⽇本製品
35.2%
・他のコンテンツ38.7%
・⽇本⽂化
43.5%
・⽇本旅⾏情報 43.4%
・⽇本語
43.0%
・⽇本スポーツ 40.4%
・⽇本イベント 44.4%
・オンラインツアー43.9%
・⽇本コミュニティ 42.2%
訪⽇意向
(KPI)
・⽇本⾷
43.7%
・アニメ・マンガ39.1%
・⽇本製品
34.6%
・他のコンテンツ39.6%
・⽇本⽂化
43.5%
・⽇本旅⾏情報 48.2%
・⽇本語
45.7%
・⽇本スポーツ 41.6%
・⽇本イベント 47.7%
・オンラインツアー46.7%
・⽇本コミュニティ 42.2%
・⽇本⾷
62.3%
・アニメ・マンガ35.0%
・⽇本製品
32.5%
・他のコンテンツ30.7%
・⽇本⽂化
24.5%
・⽇本旅⾏情報 21.9%
・⽇本語
15.4%
・⽇本スポーツ 13.1%
・⽇本イベント 12.5%
・オンラインツアー10.6%
・⽇本コミュニティ 8.1%
旅⾏したい国・地域とする率・順位
・全平均
・アジア平均
-⾹港
-タイ
-中国
-韓国
・欧⽶豪平均
-⽶
-豪
-英
-仏
54.9%/1位
63.8%/1位
77.9%/1位
76.5%/1位
44.4%/1位
43.5%/1位
37.0%/1位
29.7%/3位
45.1%/1位
39.5%/2位
38.2%/1位
※アジアでは全ての国・地域で⽇本が好きな国・地域の1位、豪では2位、⽶では3位、仏では5位、英では8位
(出典)(株)日本政策投資銀行(DBJ)及び(公財)日本交通公社(JTBF)「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人
旅行者の意向調査 2024 年度版」を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 46:外国人の親日度、訪日意向、日本の魅力の体験率、体験による
親日度・訪日意向の向上
<日本の国際収支から見たクールジャパン>
近年、我が国は、貿易収支の赤字が続き、サービス収支の赤字は 2024 年速報
値では 2.6 兆円のマイナスとなっているが、サービス収支の内訳をみると、著作
権等使用料も含む「知的財産権等使用料」と「旅行」は過去数年にわたって黒字
となっており、クールジャパン戦略の推進は我が国の稼ぐ力の源となっている。
他方で、世界市場の成長を捉え、世界市場の成長スピードを上回る成長ができ
ているかという視点も考慮する必要がある。グローバル視点(ドルベース)で比
較すると、例えば、旅行収入の GDP に占める割合は、日本は米国より高く、英
仏は日本の約 2.5 倍となっている。知的財産使用料については黒字で増加傾向
にあり、GDP に占める割合でみると、米国を大幅に上回り、GDP が同規模のド
イツとはほぼ同じである。41
41
旅⾏収⼊及び知的財産使⽤料(収⽀尻)の GDP ⽐については、(⼀財)国際貿易投資研究所国際⽐較統計の「世界各国
の旅⾏収⽀(受取)上位 50」及び「世界各国の知的財産使⽤料(収⽀尻〜受取超過)上位 50」並びに「名⽬ GDP(IMF)」
を基に内閣府で推計した。
・⽇本を1とした場合の旅⾏収⼊の GDP に占める割合(2023 年)
⽶国 0.75、英 2.39、仏 2.57
・知的財産使⽤料の GDP に占める割合(2023 年) ⽶国 0.31%、独 0.55%、⽇本 0.54%
83
<関連⼩項⽬> ⾳響・映像・関連サービス
個⼈による⾳楽映像のダウンロード、サブス
クリプション、⾳楽映像制作(ライセンス除く)
や興⾏のサービス取引を含む
0.0
(0.0)
(5.2)
(2.5)
3.3
<関連⼩項⽬>コンピューターサービス
個⼈によるゲームソフトのダウンロード、
サブスクリプション等を含む
0.7
(3.2)
0.3
<関連する⼩項⽬>産業財産権等使⽤料、
著作権等使⽤料
特許、商標、意匠、ノウハウ、著作物 (プログラ
ム含む)、フランチャイズによる企業間のライセンス
(0.4)
5.9
⿊字
(0.6)
⾚字
-6
(0.9)
(2.6)
-4
-2
0
2
4
6
(出典)財務省「国際収支統計」を基に内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 47:日本の国際収支から見たクールジャパン(サービス収支の中の
知財・旅行収支等)
(2024 年速報値)
<クールジャパンを活用した地方創生 2.0 の推進>
2024 年 10 月、政府は、
「地方こそ成長の主役」との発想に基づき、地方がそ
れぞれの特性に応じた発展を遂げることができるよう、内閣に「新しい地方経
済・生活環境創生本部」を設置し、2024 年 12 月、地方創生 2.0 の「基本的な考
え方」を公表した。
この「基本的な考え方」に示された地方創生 2.0 の基本構想の5本柱の一つ
「付加価値創出型の新しい地方経済の創生」に「地方におけるクールジャパンの
推進による付加価値創出」が位置付けられている。今後、地方創生 2.0 を展開し
ていく上でクールジャパンの取組強化を図っていくことが求められる。
① コンテンツを起点とした連携
近年、アニメ等のコンテンツの世界的な人気の拡大を背景に、作品に登場した
場所や原作者の出身地等、いわゆる「ゆかりの地」を訪れる42外国人が増加し、
作品に登場した食が人気になるなど、コンテンツの人気がインバウンドや食等
他の分野に波及効果をもたらしている。コンテンツを起点・入口にした分野、業
界を超えた連携は、それぞれの経済圏を拡大できる可能性がある。
42
「新たなクールジャパン戦略」(令和6年6⽉4⽇決定)では「ゆかりの地巡り」と表現しているが、聖地巡礼、アニメツーリズム、と表
現されることもある。
84
全国各地にある「ゆかりの地」は、コンテンツの関係者にとっては作品終了後
もファンエンゲージメントを高めることができ、地域にとっては関係人口の増
加や地域経済の成長等、地方創生につながる可能性がある。また、
「ゆかりの地」
は全国各地にあることから、日本全域的な周遊を促しうるものであり、地方誘客
を通じたオーバーツーリズムの未然防止・抑制にも資する可能性がある。
② 拠点整備・人材育成等、地域における創意工夫
地域には、自治体、教育機関等との連携の下、雇用創出や地域産業の活性化を
目的としたアニメ関連企業の誘致や人材育成等の拠点施設の整備、作品の製作
過程で生み出されたマンガやアニメの原画等を活用した観光施設の整備等の取
組もある。
このように、コンテンツを起点とした異分野間連携の取組は、一部地域で官民
連携による地域一体となった取組や、コンテンツとの連携に注目する非コンテ
ンツ分野の企業の動きはあるものの、分野・業界を超えた様々な関係者間の権利
調整を伴うため、地域での取組が生まれにくい面があり、全国的な取組が始まっ
たところである。
異分野間連携の取組はコンテンツに限った話ではなく、例えば、国内外のハイ
ブランドやデザイナーと日本が誇る伝統的工芸品等の地域産業が連携し、両者
の強みを活かしたモノづくりの動きもある。こうした連携では、新たな視点から
地域資源がブランドとして磨き上げられ、さらに新しい価値も創出されており、
地域資源の高付加価値を実現するに当たっては、異分野間連携を進めていくこ
とが重要である。
③ 地域における知財マネジメント
上記の取組の共通点は、知的財産の活用である。豊かな自然をはじめとした
様々な地域資源を生かし、国内外の様々なクラスターと連携し、グローバルに展
開していくには知的財産戦略をもつことが重要である。また、我が国のサービス
収支からみても地域における知的財産の有効活用を通じたインバウンドの拡大
は重要な取組である。
異分野間連携では、自ら持つ知恵や常識を超えることで新たな商品・サービス
が創出されるが、分野・業界ごとに異なる常識があるため、それぞれのビジネス
に対する想いや取組のストーリーを理解した上で、中長期的な視点での目標設
定が必要である。その際、これまで見られた地域の取組から、中核となる地域の
キーパーソンの存在が不可欠であるが、それに加え、地元にはない知見やノウハ
ウ、人脈等をもったプロデューサー人材の存在も重要である。
異分野間連携により、地方で新たな価値が創出されつつある一方、海外の市場
85
や顧客に魅力が届いているかというと不十分との指摘がある。海外展開では、地
域資源がもつポテンシャルを十分に理解した上でブランディングを行うことが
重要である。その際、海外発信においても、地域(分野)の垣根を超えた一覧性
のある情報発信やインフルエンサーとの連携など、外国人の視点に立った情報
発信が必要である43。
(KPI)
コンテンツの海外展開、インバウンド(訪日外国人旅行消費額)、農林水産物
等の海外展開、ファッションや化粧品等の海外展開など、クールジャパン関
連産業の経済効果として、2033 年までに 50 兆円以上の規模とする。
日本ファンの拡大に向けて、各国・地域における「日本が大好き」の割合につ
いて、2033 年までに 10 ポイント上昇させる。
(施策の方向性)
<コンテンツと地方創生の好循環プラン>
クールジャパンを活用した地方創生 2.0 の推進に向けて、地域の自治体や関
係事業者、コンテンツ関係者等が連携し、コンテンツを起点に、地域の原風景や
食、伝統文化、特産品等のこれまで十分生かせてなかった地域資源を最大限活用
した異分野間連携を推進する。その際、関係省庁間をはじめ、自治体、民間の垣
根を超えた連携強化も推進する。地域の強みを生かした拠点整備では、産学官の
多くの関係者との連携が不可欠であるため、自治体の役割が期待される。
コンテンツを活用した高付加価値旅行者等の誘客やコンテンツ関係の拠点整
備等による産業集積等、コンテンツを活用した地方創生に取り組んでいる事例
の成功要因やノウハウを共有し、他の地域での創意工夫や取組を促進する。同時
にロケ誘致や若手クリエイター等の活動拡大等を通じて、地域に根差したコン
テンツの創造も推進し、地域におけるコンテンツの魅力拡大と高付加価値旅行
者を中心としたインバウンド誘客の拡大の好循環を実現する。さらに、地域の取
組を促進する観点からコンテンツとの連携により地域経済に与える影響等の効
果検証の仕組みを構築する。その際、地域経済に利益が還元されるように考慮す
る必要がある。
宿泊滞在を含めた地域観光の魅力向上に向けて、コンテンツを起点とする経
済波及効果の大きい地域一体となった官民連携の取組について、クールジャパ
ン戦略会議においてコンテンツ地方創生拠点として選定を行い、関係省庁、自治
体、関係経済界が連携して強力に推進する。2033 年までに全国約 200 か所の選
43
その際、海外でサービス・商品を体験・感動できるような仕組みを作る必要がある。
86
定を目指し、地域経済の活性化を図る。
(出典)内閣府知的財産戦略推進事務局作成
図表 48:「コンテンツを活用した地方創生」の実現に向けた好循環
海外からの高付加価値インバウンド誘致など、地域経済において大きな
経済波及効果が期待されるアニメ・映画等のコンテンツの魅力を活かした
地域一体となった取組(アニメツーリズムやロケ誘致等を含む)を、クー
ルジャパン戦略会議においてコンテンツ地方創生拠点として選定し、関係
省庁や自治体、関係経済界等が連携の上、その実現・拡大を促進する。
(短期・中期) 内閣府(知財)、
内閣官房(新しい地方経済・生活環境創生本部事務局)、経済産業省、
文化庁、観光庁、関係府省)
ロケ撮影・誘致の円滑化及び促進のため、フィルムコミッション(FC)、
許認可権者、製作者等が取り組むべき事項等をまとめたハンドブックの周
知等を通じ、関係者間のより一層の理解の浸透や相互理解を深める。周知
に当たっては、同ハンドブックのポイントをまとめた英語版パンフレット
を作成し、海外に発信する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、警察庁、消防庁、出入国在留管理庁、
国土交通省、観光庁、関係省庁)
映画・映像を活用した地方創生に向けて、
「ロケ地の聖地化」を狙って
87
44
実現することができるように、自治体が運営する「フィルムコミッション」
等の運営や連携の在り方に加え、ロケ地における事業者へのライセンスの
在り方について検討し、ガイドライン化を進めるとともに、国としても顕
彰できるように制度化を検討する。
(短期・中期)(経済産業省)
ロケ誘致による経済・社会的な産業振興を効果的に実現すべく、VFX を
含むポストプロダクション工程も含めた誘致に向けて、インセンティブ付
与及び効果的な運用に取り組む。また、インセンティブ付与対象作品の円滑
な撮影に向けた支援を検討するとともに、ロケ地域での完成作品の活用を
推進する。
(短期・中期)(経済産業省、内閣府(知財)、関係省庁)
映画やアニメ等のロケ地や舞台は、国内外の観光需要を喚起する重要な
拠点であることから、ロケ誘致による経済・社会的効果を効果的に実現す
るため、観光促進のためのコンテンツの活用等、ロケツーリズム、アニメ
ツーリズムの推進に向け官民一体となって取組を進める。
(短期・中期)(観光庁)
高付加価値旅行者等によるアニメやマンガ等の「ゆかりの地巡り」につ
いて、大阪・関西万博で得られた調査結果をはじめ、先行地域の事例等か
ら権利者との調整や実施体制のノウハウ等の収集や経済波及効果を分析
し、今後取り組む地域関係者等に提供するなど、地域の関係者がコンテン
ツの関係者と連携した地域の魅力発信の取組を推進する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、観光庁)
海外でも高く評価される日本の優れたメディア芸術分野の人材育成及
びに関連資料の収集・保存及び展示・活用を推進するとともに、振興の中
核ともなる「メディア芸術ナショナルセンター」
(仮称)として、マンガ、
アニメ・特撮及びゲームに関する作品、原画等の中間生成物並びにこれら
に関連する情報等の①収集・保存・デジタル化、②調査研究、③人材育成・
教育、④国内外への情報発信、⑤展示・利活用、⑥普及交流の機能を有す
る拠点の整備に向けた取組を推進する。
(短期・中期)(文化庁)
44
文化観光推進法 に基づく計画の認定及びこれに係る財政的支援等を継
続するほか、日本遺産の更なる活性化を実現するため、施策の認知度向上
や各地域の特色を生かした取組の支援を行う。これらを通じて、文化観光
のさらなる推進を図る。
⽂化観光拠点施設を中核とした地域における⽂化観光の推進に関する法律(令和2年法律第 18 号)
88
(短期・中期)(文化庁、観光庁)
最高峰の文化資源を活用した観光コンテンツの更なる磨き上げや創出
を行うとともに、戦略的・一体的なプロモーションを推進することによ
り、訪日機運の醸成と万博(大阪・関西圏)から地方への誘客を図る
「日本博 2.0」について、これまでの取組を検証した上で、地域におい
て文化資源の磨き上げ、活用、人材育成を地方創生につなげる「NEXT
日本博」(仮称)を創設する。
(短期・中期)
(文化庁、関係府省)
民間活力等による国民公園や公的施設について、現代的な文化・情報発
信拠点等とするための機能強化を図る。具体的には、北の丸公園について、
最先端の科学、芸術、文化等に関する発信拠点として活用することを検討
する。
(短期・中期)(文化庁、環境省、関係府省)
自治体や企業等によるアート取組や投資を促し、アーティスト等に資
金が還元される環境を整備するため、企業等によるアート取組に関する
認定・表彰等の制度や、知見の提供及び人的ネットワークの構築等の基
盤整備を図る。
(短期・中期)
(経済産業省)
地域の伝統文化や特産品等を活用したコンテンツ創出を促進するため、
アニメ業界をはじめとした各産業界に対して、立地、作品の制作、イベン
トについてのプロモーションや誘致を行う。
(短期・中期)(経済産業省)
地域資源を活用した観光コンテンツの開発、適切な販路開拓、情報発信等
を総合的に支援し、地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり
を行う。この際、自然・文化・アクティビティの構成要素を通じて、日本
の本質を深く体験できるアドベンチャーツーリズムのほか、エコツーリズ
ムやインフラツーリズムなど、地域の魅力が最大となるよう観光コンテン
ツの磨き上げや海外への発信等を行う。また、新規参入やスタートアップ
等の事業者等を含むこれらの取組を行う事業者等に伴走して支援を行う
ことを検討する。
(短期・中期)
(観光庁、環境省、文化庁、国土交通省)
訪日外国人リピーターの増加、消費額の向上につながる新たな交流市場、
観光資源を形成する。また、地域周遊や長期滞在を促進するため、観光地
域づくり法人(DMO)が中心となり、地域が一体となって行う取組に対
し、総合的な支援を行う。
(短期・中期)
(観光庁)
89
地域におけるコンテンツを活用した地方創生の実現に向けた取組を支
援する。
(短期・中期)(内閣官房(新しい地方経済・生活環境創生本部事務局)、
内閣府(地方創生推進室、知財)、関係省庁))
関係府省等及び官民が連携してアニメやマンガ、映画・映像等を活用し
た地域の高付加価値体験を提供する地方創生の優れた取組、人材等を表
彰・紹介することにより異業種間連携を促進する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、経済産業省、観光庁)
異業種の人材交流の場の形成、人材ネットワーク化に取り組む。例えば、
クールジャパン官民連携プラットフォーム等を通じ、会員同士、プロデュ
ーサーとのつながりを深化させる。
(短期・中期)(内閣府(知財)
)
地方の魅力の発掘・磨き上げに取り組む高付加価値化の優良事例を収集
し、成功要因やノウハウを抽出し、共有を図る。
(短期・中期)(内閣府(知財))
地方の高い価値を有する資源を NFT(Non-Fungible Token)化してグ
ローバルなプラットフォームで流通させ、国際水準ベースの価格で収益を
得る取組を推進する。この際、多数の NFT がプラットフォームに出展さ
れるとともに、これらの取引が活発に行われるような仕組みを検討し、必
要に応じて支援を行う。
(短期・中期)(内閣府(知財)
、関係府省)
コンテンツを活用した地域の魅力の発信において、地域(分野)の垣根
を超えた一元的な情報発信など、訪日外国人観光客視点に立った情報発信
を促進する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、観光庁)
前例のない高付加価値サービスを提供しようとする際に、規制・制度等
が障壁となる場合がある。我が国では、規制改革関連制度として、規制改
革推進会議のほか、国家戦略特別区域制度をはじめとする特区制度、規制
のサンドボックス制度(新技術等実証制度)
、グレーゾーン解消制度等の
各種制度を設けている。また、各種制度の活用について助言を行う一元的
窓口を設けている。これらの制度や窓口について、一層の周知を図る等の
活用を促進することにより、高付加価値サービスの提供に必要な規制改革
等を推進する。
(短期・中期)(内閣府(規制改革推進室、地方創生推進事務局)、
内閣官房(新しい資本主義実現本部事務局)、経済産業省)
90
<世界から求められる体験価値化、高付加価値化を推進する>
日本各地の歴史・文化・自然にはそれぞれ魅力的なストーリーがあり、世界か
ら絶好のディスティネーションとなる可能性を秘めている。それらを守り、次世
代につなげていくことも重要である。こうした地域資源を活用し、世界から求め
られる価値を体験できる商品・サービスの高付加価値化に取り組み、国際水準ベ
ースの価格で収益をあげ、その利益を更なる再投資につなげていく持続可能な
エコシステムを構築する。その際、観光における高付加価値化においては、地方
部の高付加価値な宿泊施設の充実、二次交通の拡充、情報発信を的確に行う必要
がある。
また、デザインやアート機能は、文化・創造セクターの成長、企業価値の向上
など、日本社会全体にポジティブな影響を及ぼすことから、デザインやアートの
機能を活用して、クールジャパンの取組の底上げを図る。
さらに、イノベーションにより高付加価値化を生み出す中小企業やスタート
アップの支援、新規参入しやすい環境の整備を図り、新たな技術を活用した取組
等を推進するとともに、体験価値化、高付加価値化の推進のための人材育成にも
取り組む。
訪日外国人の多様なニーズに対応し、日本の魅力を適切に伝えることが
できる質の高いガイドの確保、育成を行う。特に、地方部において地域特
性等に応じた、地域一体となったローカルガイド人材の持続的な確保・育
成に関する総合的かつ戦略的な取組を支援する。
(短期・中期)(観光庁)
地域の食とそれを生み出す農林水産業を核として、訪日外国人の誘致を
図る「SAVOR JAPAN」認定地域の魅力を海外へ一体的に情報発信すると
ともに、認定地域間の連携を通じた、特色ある食体験等を組み合わせた付
加価値の高いツアー提供を通じ、インバウンドによる食関連消費の拡大と、
地域振興や輸出拡大につなげる好循環を創出することを目指す。
(短期・中期)(農林水産省)
持続可能な観光地域づくりに向けて、観光地及び主要な観光資源のオウ
ンドメディア45の内容充実と多言語化、観光地・観光産業のデジタルツー
ルの導入、データを活用した地域活性化の好循環に取り組むモデルの構築
等を支援し、観光分野の DX を推進する。また、各地域の実情に応じたオ
ーバーツーリズム対策の取組等を引き続き支援する。
(短期・中期)(観光庁)
訪日外国人旅行者の増加に伴う空港での入国手続の混雑解消のため、空
45
情報発信のために⾃社が所有するメディア(Web サイトやブログ等)。
91
港での入国審査待ち時間について、20 分以内を目指すなど、革新的な出
入国審査等を実現するため、関係省庁が連携して取組を実施する。
(短期・中期)(観光庁、出入国在留管理庁、関係省庁)
農山漁村の所得向上と関係人口の創出を図るため、農泊地域の実施体制
の整備や経営の強化、食や景観の観光コンテンツとしての磨き上げ、国内
外へのプロモーション、古民家を活用した滞在施設の整備等を一体的に支
援し、インバウンドを含めた農泊地域への誘客増大や消費機会の拡大につ
なげる。
(短期・中期)(農林水産省、観光庁)
高い鮮度の水産物、漁業体験、独自の風景や歴史など、漁村ならではの
地域資源を活用する事業である海業を全国で展開することにより、交流促
進と水産物の消費増進を図るとともに、地域の所得と雇用機会の確保を図
る。
(短期・中期)(農林水産省)
国立公園における滞在体験の魅力向上に向けて、美しい自然の中での感
動体験を柱とした滞在型・高付加価値観光を推進し、国立公園のブランド
化を進め、国内外からの誘客に貢献する。国立公園満喫プロジェクトの取
組を全国の国立公園へ展開し、利用拠点の再生・上質化、自然体験活動の
促進、サステナビリティの向上等の受入環境整備を行うとともに、アドベ
ンチャートラベルやサステナブルツーリズムの推進、SNS やデジタル技
術等も活用した国内外への魅力発信・プロモーションを行う。また、自然
環境の保全と調和した脱炭素化を加速化するため、先行してカーボンニュ
ートラルに取り組むエリアを「ゼロカーボンパーク」と位置付けて、必要
に応じて支援を行う。
(短期・中期)(環境省)
食文化の明確化・価値化に向けた取組の支援や食文化の文化的価値に気
づきを与える情報発信、食文化分野における顕彰制度創設に係る調査・調
整、地域固有の食や食文化情報の整理等を行うとともに、和食文化を次世
代に継承する人材の育成を図り、日本の魅力ある食文化の保護・継承・活
用を図る。
(短期・中期)(文化庁、農林水産省)
我が国の長い歴史の中で育まれ、守り伝えられてきた国民の財産である
とともに、国内外の人々を惹きつけ、我が国や地域の魅力を伝える文化財
の散逸・消滅の危機へ対応するため、文化財保護法に基づく指定等を適切
に実施するとともに、文化財保存活用地域計画の作成等の取組を促進し、
地域社会総がかりでの文化財の保存・活用を図る。
92
(短期・中期)(文化庁)
日本各地の歴史と文化、風土の中で育まれ、国民の生活に豊かさや潤い
を与えてきた伝統的工芸品について、産地の後継者育成や技術・技法の保
存、需要開拓、表示事業等の取組や一般財団法人伝統的工芸品産業振興協
会が行う産地横断的な催事やマーケティング調査、伝統工芸士の認定事業
等への支援を継続的に行い、伝統的工芸品産業の振興発展を図っていく。
(短期・中期)(経済産業省)
化粧品産業ビジョン検討会におけるビジョンを踏まえ、新規需要を取り
込んだビジネス戦略への転換、「日本」ブランドの確立、デジタル技術の
活用を前提としたマーケティング戦略への転換、多様な人材の活用等につ
いて検討・取組を促進する。
(短期・中期)(経済産業省)
ファッション産業の国際競争力を強化するため、持続可能なビジネスモ
デルやエコシステムへの転換、クリエイター等と地域の文化資源との協業
等による付加価値の創出、その他基盤整備等を支援し、グローバル展開や
デジタル市場への参入等を促進する。
(短期・中期)(経済産業省)
海外で活躍することができるファッションクリエイターやチーム等に
対して、「エンタメ・スタートアップ事業化支援事業」の枠組みにおいて
その事業化を支援し、また、日本各地の繊維産地とデザイナーを直接つな
ぐような企画を実施する。
(短期・中期)(経済産業省)
日本文化のグローバル展開を推進するため、アジアを中心とするアーテ
ィスト、キュレーター、クリエイター等によるネットワークを構築した上
で、西洋美術史とは異なる文脈から、ポップカルチャー等も含めたアート
の「新たな価値」を形成し、世界に向けて発信していくための国際的な取
組を継続的に実施する。
(短期・中期)
(文化庁)
国内の美術館や企業等が保存している日本の世界に誇る生活文化を形
作った日本企業の工業製品や、きものを含むファッション等のデザイン資
源を活用できる基盤を整備する。このため、自国の産業競争力強化や次世
代デザイナーの育成を行うとともに、観光資源としても活用されている海
外の事例を参照し、国内の美術品を保有する機関と連携しながら、これか
らの時代のアーカイブの在り方の検討を進める。
(短期・中期)(経済産業省)
日本のアート市場・アートシーンの国際拠点化・活性化に向けて、国際
93
的な影響力を持つアートフェアと連携した日本初の新たなアート・プラッ
トフォームの実践等により、海外市場の顧客を取り込むための環境及び体
制の整備を進める。また、国際的なイベントにおけるアートの国際発信に
係る取組を行う。
(短期・中期)(文化庁)
美術品・文化財管理の国際標準の導入、美術品の価格評価の信頼性向上
を目的とした価格評価事業者認定制度等の基盤整備を進める。
(短期・中期)(文化庁)
革新的な商品・サービスの開発等により高付加価値化を進める中小企業
への支援、スタートアップの育成に取り組むとともに、新しい事業者が参
入しやすい環境を整備する。また、ブロックチェーン/Web3.0、NFT、
AI、メタバース、VR など、新たな技術を活用した取組を推進する。
(短期・中期)(経済産業省、内閣府(知財)、関係府省)
農林水産物等の海外展開においても、イノベーションを通じた取組が行
われていること等を踏まえて、これまで海外展開が困難であった国・地域
におけるマーケットの開拓、日本の食・食文化の普及等に取り組む。
(短期・中期)(農林水産省)
日本の魅力を展開するプロデューサーのネットワークを構築し、多くの
分野の連携を創出する。
「コンテンツ」×「インバウンド」
(例えば、アニ
メツーリズム)、「食」×「インバウンド」(例えば、農泊や酒蔵ツーリズ
ム)及び「自然・文化体験」×「インバウンド」(例えば、アドベンチャ
ーツーリズム)等の分野連携・分野融合してプロデュースすることができ
るプロデューサー同士のネットワーク化に取り組む。
(短期・中期)(内閣府(知財)、関係府省)
<マーケット目線のブランディングにより海外の市場開拓・拡大を図る>
世界から真に何を求められているのかというマーケット目線を更に重視した
海外の市場開拓・拡大を図るための取組を進める。
例えば、世界的な社会課題解決志向の広がりや健康志向の高まり、日本のコン
テンツや食の世界的な人気の本格化やインバウンドの回復など、我が国のクー
ルジャパンに対する世界の需要が高まっている中、日本産酒類については、2024
年 12 月にユネスコ無形文化遺産に「伝統的酒造り」が登録されたことにより、
今後の需要拡大が期待される。こうした世界的な評価等の高まり等を踏まえた
ブランディングを促進していく。その際、ターゲットを明確にし、かつ、国・地
域により異なる文化や価値観を踏まえたマーケティング戦略、SNS 等のデジタ
ルツールも活用したブランド発信が必要である。中小企業を含む海外発信する
94
企業自らが、海外市場を理解することにより、ブランド戦略を展開していくこと
が海外市場の開拓・拡大の上で重要である。
一方、日本産の世界的な評価の高まりに乗じて模倣・偽装が疑われる商品が出
回り、日本産の輸出の障害が発生するリスクも生じる。海外展開にあたってはブ
ランドの信頼性と認知度の向上を高めるための「ブランド戦略」が重要である。
我が国では、農林水産物等と酒類について、国及び地域の間で交わした国際約
束において指定した GI 産品の名称が保護される。これら GI は、海外において
同様の制度があることから、外国人に産品の魅力や物語をアピールする効果的
なツールとなり得る。
地域産品等については、事業者の信用の維持を図り、
「地域ブランド」の保護
による地域経済の活性化を目的として、2006 年4月1日、
「地域団体商標制度」
が導入されているほか、伝統的工芸品については、伝産法等により「伝統マーク」
を海外で商標登録することで、伝統的工芸品全体の保護を図っている。
また、EU では、
「2.
(4)地域における知財保護」で述べたとおり、2025 年
12 月から手工芸品等が GI 保護の対象となることを踏まえ、EU の今後の動向を
把握し、日本での導入可否を検討する。
単なるモノ売りではなく、世界的な社会的課題の解決や健康志向の高まり
といった価値観・ライフスタイルの変化に貢献できるというブランド価値
の向上を図り、新しいマーケットの開拓、既存マーケットの拡大に取り組
む。特に、農林水産物等の輸出、食・食文化の海外展開に当たっては、高
品質といった強みを活かすべく、規格の制定、イノベーションの創出・活
用、GI によるブランディング強化に取り組む。
(短期・中期)(農林水産省、国税庁、関係府省)
海外において高い評価を受けている我が国優良品種の海外流出・無断栽
培を実効的に抑止しつつ、海外からの「稼ぎ」につなげるため、戦略的な
海外ライセンスを推進する。
(短期・中期)(農林水産省)
その地域ならではの自然環境、文化、風習等に由来する品質、伝統、も
のがたりを有する GI 産品について、観光庁等の関係省庁、関係者と連携
し、地域の観光資源の一つとして活用するとともに、広く周知する取組を
推進する。
(短期・中期)(農林水産省、国税庁、関係省庁)
「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を踏まえ、
「伝統的酒造り」
のユネスコ無形文化遺産登録も追い風に、日本産酒類の一層の輸出拡大を
図るため、国際的プロモーション等による認知度向上や日本の酒類事業者
と海外バイヤーとのマッチング支援等による販路拡大に積極的に取り組
95
む。また、商品の差別化・高付加価値化等のため、酒類事業者によるブラ
ンド化の取組や海外展開・酒蔵ツーリズムに関する取組を支援するととも
に、GI の普及・活用、技術支援等を実施する。
(短期・中期)(国税庁)
世界における価値観やライフスタイルの変化を捉えて、真に何が求めら
れているか、日本の魅力が貢献できるかといった視点から、海外のマーケ
ティング情報の収集・共有化等の機能を強化する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、関係府省)
海外における日本の農林水産物・食品のブランド産品の模倣品等の流通
を防ぐため、外国との GI の相互保護の推進及び海外現地や EC サイトの
調査、農林水産物・食品の模倣品疑義情報相談窓口の運用等を通じた不正
使用の侵害対策を推進する。
(短期・中期)(農林水産省、外務省、特許庁)【再掲】
EPA の対象国である EU において手工芸品等が GI の対象となること
を踏まえ、EU の動向を把握し、我が国での導入の可否を検討する。
(短期・中期)(経済産業省、外務省、)【再掲】
社会や人々の価値観の変化により、SDGs や ESG 投資の重要性が高ま
ってきており、株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)に
おいても、今後、世界が直面する様々な社会課題のうち、防災、超高齢化
社会、循環型経済など、日本が強みを発揮し得る点を明確に認識し、海外
需要開拓の支援に取り組む。
(短期・中期)(経済産業省)
<国際的な政治・経済情勢リスクへの対応>
農林水産物等の輸出について、東京電力福島第一原子力発電所事故及び ALPS
処理水の海洋放出に伴う海外における輸入規制の事案等に対応するため、誤っ
た情報の是正や科学的根拠に基づかない輸入規制措置の即時撤廃の働きかけを
行うとともに、輸出先の多角化、新規開拓に取り組む。また、インバウンドにつ
いても、国際的な政治・経済情勢等を踏まえ、出国元に関し、様々な国・地域か
ら成るポートフォリオを構築するため、マーケットの多角化・分散、新規開拓に
取り組む。
さらに、EU における食品等の包装に関する新しい規制の導入に際して日本酒
の輸出が困難となりかけた事案46のように、国際的な様々な規制の動向等を把握
46
EU 域内において、⾷品を製造・販売する事業者に対して、2030 年から⼀定割合の容器のリサイクル⼜はリユースを義務付ける規
制を導⼊しようとするもので、⽇本政府から EU 当局への働きかけにより、⽇本酒の瓶はリユース義務の対象から除外されることとなった。
96
し適切に対応する。
農林水産物等の輸出先やインバウンドの出国元を一部の国・地域に過度
に依存することを避けるため、海外マーケットのニーズを適切に把握しつ
つ、輸出先の多角化や訪日プロモーションの促進等、新たなマーケットの
開拓を行う。
(短期・中期)(農林水産省、国税庁、観光庁)
海外における規制の動向を把握し、日本の農林水産物等の輸出等に不利
な影響が及ばないよう、政府、民間それぞれのレベル、ルートで適切に対
応する。
(短期・中期)(農林水産省、国税庁、外務省、関係府省)
<日本ファンの拡大に向けて発信力を強化する>
日本ファンの拡大、日本のブランド価値の向上に向けて、各国・地域の政財界
の意思決定層や富裕層を含め、日本の魅力を多くの国・地域に届けるため、発信
力の強化に取り組む。情報発信においては、受け手の視点が重要であるため、日
本ファンの外国人コミュニティやインフルエンサー等との積極的な連携・活用
を進める。また、関係府省等によって分野間、地域間、官民の連携を図り、点で
はなく面でプロモーションを行うなど、効果的な発信を行う。
さらに、訪日外国人が満足する体験をすることで SNS やクチコミ等による情
報拡散が行われる可能性もあることから、発信力強化の側面からみても、地域の
魅力の体験価値化、高付加価値化の取組は重要である。
在外公館やジャパン・ハウス、国際交流基金を通じた日本の魅力の発信
等について、各国・地域の需要に応じ、関係府省、関係機関等と連携した
適切なプロモーション事業や幅広い分野に関するレクチャー・公演・展示・
上映等の文化事業をオンラインも活用しつつ実施し、戦略的な広報・文化
活動を展開する。
(短期・中期)(外務省、内閣府(知財)、関係府省)
ジャパン・ハウスの発信力の更なる活用・強化を図る。その際、ジャパ
ン・ハウスにおける発信がビジネスにつながるよう、発信面のみならず、
商的流通等の確保に留意する。
(短期・中期)(外務省、内閣府(知財)、関係府省)
関係府省、関係機関等からの発信について、SNS の活用も含めて連携
を図り、それぞれの知見やリソースを活かして発信力を更に高め合うとと
もに、政府の国際広報による情報発信を強化する。
97
47
(短期・中期)(内閣府(政府広報)、関係府省)
効果的な情報発信につなげるため、海外で行われた関係省庁等によるク
ールジャパン関連産業の日本の魅力の海外プロモーション動向等を収集
分析する。これらを踏まえ、関係省庁等によって面でのプロモーションを
積極的に実施する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、総務省、外務省、国税庁、文化庁、
農林水産省、経済産業省、観光庁、関係府省)
農林水産物等の輸出の増加に向けて、品目単体のプロモーションだけで
なく、日本の食・食文化全体の魅力を訴求するとともに、器や箸といった
食に関わるモノと一体としたプロモーションを行い、海外における日本の
食・食文化の認識・浸透度の底上げを図る。
(短期・中期)(農林水産省、国税庁、関係府省)
2024 年 12 月にユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」に
ついて、次世代への技術伝承及び世界的な認知度を向上させるため、シン
ポジウムの開催等、様々な普及啓発活動等に取り組む。
(短期・中期)(国税庁)
大阪・関西万博は日本の魅力を世界に向けて発信する絶好のチャンスで
あるため、万博会場内外、開催期間の前後を含めて、観光、食、文化等の
クールジャパンに関わる様々な分野に関し、関係省庁のみならず官民が連
携し、オールジャパンで日本の魅力の発信に取り組む。
(短期・中期)(内閣府(知財)、内閣官房(万博)、国税庁、文化庁、
農林水産省、観光庁、関係府省)
「昭和 100 年」を契機として、歌謡、マンガ・アニメ、映画、出版など昭
和の文化に関連したイベントの開催を推進する。
(短期)(内閣官房(「昭和 100 年」関連施策推進室)、関係府省)
日本ファンの中には、訪日を契機に自身の興味・関心が広がり、様々な
共創を経てビジネスにつながる場合もあるため、そのような機会につなが
るような国内に居住する外国人を増やす。このため、日本で活躍する外国
人の起業家や日本への留学生等を増加させるための課題47を洗い出し、環
境整備に取り組む。
(短期・中期)
(内閣府(知財)、法務省、文部科学省、金融庁、
国土交通省、関係府省)
在留資格に関する指摘や来⽇初期(6か⽉間)の⾦融機関の⼝座開設が困難である等の指摘がある。なお、在留資格につい
て、起業⽬的の場合には、特例制度(外国⼈起業活動促進事業(スタートアップビザ))が設けられているほか、⽂化活動を⽬的と
する場合の在留資格も既に設けられている。また、起業⽬的の場合には、来⽇から6か⽉経過する以前でも⼀定の条件の下、⼝座開
設を可能とするよう⾦融庁から⾦融機関に通知が発出されている。
98
外国人留学生は、諸外国との相互理解及び友好親善の増進や日本の様々
な魅力を積極的に海外発信する上で果たす役割等の意義がある。このため、
教育未来創造会議第二次提言48等を踏まえつつ、多様な国・地域からの優
秀な外国人留学生の受入れの促進等留学モビリティの拡大、及びその基盤
となる日本人学生と外国人留学生がともに学ぶ環境の構築や大学間交流
の強化等大学の国際化を推進する。
(短期・中期)(文部科学省)
外国人目線での日本の魅力の発掘・磨き上げ、海外への発信を強化する
ため、日本ファンの外国人ネットワークや国内外メディア等との連携に取
り組む。
(短期・中期)(内閣府(知財)、関係府省)
株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)と関係府省、関
係機関等との連携を深めるため、クールジャパン官民連携プラットフォー
ム等も活用しつつ、世界の視点や新たな取組等に関する情報の同機構への
提供や、同機構の既投資案件について当該プラットフォームに参加した会
員との情報共有や連携支援を行う。
(短期・中期)(経済産業省、内閣府(知財))
(2)コンテンツ戦略
(現状と課題)
日本のコンテンツ産業の市場規模は 13.3 兆円(2023 年)であり、石油化学産
業と並び、半導体産業よりも大きい。また、日本のコンテンツの海外市場規模は
5.8 兆円(2023 年)であり、鉄鋼産業や半導体産業の輸出額を上回る規模であ
る。特に、5.8 兆円(2023 年)のうち、家庭用ゲーム(オンライン)2 兆 4,833
億円と家庭用ゲーム(ソフト販売)8,697 億円で半分以上を占めており、今後も
ゲーム市場が、コンテンツ市場の海外展開をけん引する分野として大いに期待
される。
世界のコンテンツ産業の市場規模49は、円ベースでみると 2019 年から 2023
年までに 62.4%、2022 年から 2023 年は 12.3%と大幅に伸びている一方、日本
のコンテンツ産業の市場規模の伸びは、2019 年から 2023 年までに 7.4%、2022
年から 2023 年は 1.0%にとどまっている(ドルベースでみると、為替変動の影
響もあり、世界のコンテンツ産業の市場規模は 2019 年から 2023 年までに 26.1%、
2022 年から 2023 年は 5.1%となっている一方、日本のコンテンツ産業の市場規
48
「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ」(2023 年4⽉ 27 ⽇ 教育未来創造会議)。
49
世界市場は、(株)ヒューマンメディア「⽇本と世界のメディア×コンテンツ市場データベース(2024)」をもとに、⽇⽶中独英仏韓印
のコンテンツ市場規模を合計し算出。
99
模の伸びは、2019 年から 2023 年、2022 年から 2023 年のいずれもマイナスと
なる。)。少子高齢化の進展の下、日本市場が伸び悩む中、その成長を日本経済の
稼ぐ力として取り込むことが求められており、日本のコンテンツ産業の海外市
場規模は、円ベースでは 2019 年から 2023 年までに 56.2%、2022 年から 2023
年は 23.3%、ドルベースでも 2019 年から 2023 年までに 21.7%、2022 年から
2023 年は 15.5%となり、世界市場の伸びとおおむね拮抗していることから、更
なる成長が期待される。
戦略的にも、日本発の舞台が海外公演で数十万人規模の動員を達成したり、日
本のアーティストが世界の主要都市部において数十万人の動員実績を挙げたほ
か、世界を代表する音楽イベントで主要な役割を務めるなど、我が国のアーティ
ストが国内外の関係者と連携することで大きな市場を開拓した実績が着実に積
み重ねられつつある。また本年5月には京都において一般社団法人カルチャー・
アンド・エンタテインメント産業振興会の主催により「MUSIC AWARDS
JAPAN」が開催されるなど、我が国の音楽界の層の厚さと広がりを世界の音楽
ファンやステークホルダーに認識してもらうための機会も充実しつつある。
「新たなクールジャパン戦略」にも位置付けられている通り、まさにコンテン
ツ産業は日本の基幹産業であるといえる。
(出典)コンテンツ戦略ワーキンググループ(第1回)参考資料1(2024 年)
図表 49:日本国内の主要産業の
市場規模
図表 50:日本の主要産業における
海外展開の規模感比較
100
(出典)(株)ヒューマンメディア「日本と世界のメディア×コンテンツ市場データベース(2024)」を基に
内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
図表 51:日本のコンテンツの海外市場規模の推移と分野別内訳
「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024 改訂版」及び「経済
財政運営と改革の基本方針 2024」
(2024 年6月 21 日閣議決定)では、アニメ・
音楽・放送番組・映画・ゲーム・漫画等について、
「コンテンツ産業活性化戦略」
を官民連携して推進することが示されており、司令塔機能の明確化の観点から、
コンテンツ産業官民協議会及びその下部組織としての映画戦略企画委員会の設
置が位置づけられた。内閣府知的財産戦略推進事務局と内閣官房新しい資本主
義実現本部事務局が共同事務局となり、クリエイター等を含むコンテンツ産業
官民協議会及び映画戦略企画委員会を 2024 年9月に立ち上げ、開催している。
また、こうした動きを踏まえ、経済産業省は、2024 年 11 月にエンタメ・クリ
エイティブ産業政策研究会を立ち上げ、流通構造の変化や、デジタル化の進展に
伴う制作環境の変化等を踏まえ、同産業を成長産業として飛躍していくために
注力すべき官民のアクションプランを、2025 年5月に取りまとめた。総務省に
おいては、2025 年3月にデジタル時代における放送制度の在り方に関する検討
会「放送・配信コンテンツ産業戦略検討チーム」を立ち上げ、放送コンテンツ産
業の振興に向けた課題と対応策、及び官民連携の在り方等について検討を進め
ている。
さらに、公正取引委員会では、2024 年 12 月、音楽・放送番組等の分野の実演
家と芸能事務所との取引等に関する実態調査の結果を公表し、その後、同実態調
査の結果を基に、独占禁止法等に照らして具体的な考え方を示す指針を内閣官
房と連名で公表する予定である。公正取引委員会では、並行して、2025 年1月
より映画・アニメ分野の実態調査を実施している。
2024 年 11 月にはフリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されたとこ
ろであり、同法の遵守をはじめ、コンテンツ業界において、クリエイターが安心
して持続的に働ける環境の整備を進めていくことが重要である。
101
加えて、政府による支援に関し、令和6年度補正予算において、これまで文部
科学省及び経済産業省で要求してきたクリエイター支援・事業者支援双方を束
ね、クリエイター支援基金に統合し、支援の充実を図っている。
第 217 回国会における石破内閣総理大臣の施政方針演説では、エンタメ・コ
ンテンツ産業について、2033 年までに海外市場規模を 20 兆円とするという目
標を打ち出している。その達成に向けて、コンテンツの持続的な創造環境の基盤
整備と知財の多元展開を含め、コンテンツ振興策を進めていく必要がある。
そこで、本計画では、そのための施策の柱として、
「新たなクールジャパン戦
略」に示した対応方針を踏まえ、司令塔機能の強化、コンテンツと地方創生の好
循環プラン、海外へのビジネス展開力の向上、デジタル・ビジネスに対応した構
造改革の推進、コンテンツ産業を支える人材強化、海賊版対策の強化、及びデジ
タルアーカイブの推進を位置づけている。
<司令塔機能の強化>
コンテンツ産業官民協議会を司令塔機能として、コンテンツ産業の振興に向
けて戦略的な議論を行い、官民で PDCA サイクルを回していく。
コンテンツ産業の振興は、官民が一体となって取り組むべきところ、その実践
は、民における取組を中核としながら、官による支援は、それらの取組を効果的
に支援し、促進するものである必要がある。
このため、官による支援メニューについては、クリエイター支援基金も含め、
関係省庁の様々な支援策を一覧化するなど、利用者にとって分かりやすい機能
の構築・整備に取り組むとともに、タックス・インセンティブの導入の是非や補
助金の運用改善も含め、我が国のコンテンツ産業の振興に向けて、効果的な支援
策の在り方について継続的に検討する必要がある。
あわせて、コンテンツの各分野における就業者数や売上額も含め、基幹産業に
ふさわしい統計データの整備を行うことが必要である。
また、アニメ等のコンテンツの世界的な人気の拡大を背景に、全国各地にある
作品や原作者の「ゆかりの地」への高付加価値旅行者等の誘客拡大や拠点整備を
通じた地域の関係産業の活性化、さらには、デジタルアーカイブによるソフトパ
ワーの発信を通じて、地方創生につなげていくことが重要である。
<コンテンツと地方創生の好循環プラン>
(前述Ⅲ.4.(1)のとおり)
<海外へのビジネス展開力の向上>
我が国では、今後、人口減少が進む中で、国内のコンテンツ市場の成長には限
102
界がある。このため、我が国のコンテンツ産業にとって、海外市場の取り込みが
必要不可欠であり、
「新たなクールジャパン戦略」においても、日本発コンテン
ツについて、2033 年までに海外市場規模を 20 兆円に拡大するとの目標を掲げ
ている。
その実現のためには、コンテンツ・知財を継続的に生み出し、発展させること
ができるコンテンツ業界である必要があり、デジタル・ビジネスに対応した構造
改革と、コンテンツ人材の強化等を各分野において進めることを基盤としつつ、
海外へのビジネス展開力の向上に向けて、取組を進める必要がある。具体的には、
海外のマーケティング情報の収集・共有化、海外の現地プレイヤー等とのマッチ
ング機能の強化、外部からの資金調達の促進等に、引き続き取り組む必要がある。
なお、資金調達について、我が国では、アニメや映画等の映像製作において、
製作委員会方式が広く定着している。製作委員会方式は、高い出資リスクを複数
社で分散し、かつ、構成メンバーは窓口手数料を得ることで投資リスクを緩和で
きるといったメリットがある。しかし、構成メンバーは窓口手数料見込額をもと
に出資額を決めるため製作規模が大きくならないことや、構成メンバーの強み
を生かした作品のビジネス展開等を可能とするため、全会一致が原則であるこ
とによる制約等の課題も指摘される。
他方、複数の映画を製作するファンドを組成し、業界外の資金を呼び込みなが
ら、コンテンツ開発現場に利益を還元する取組が見られるほか、音楽分野におい
ても、欧米では、ストリーミング配信が広まる中、音楽著作権ファンドの広がり
が見られる。
資金調達方法については、このほかにも、融資やクラウドファンディングなど、
さまざまな方策があるが、作品・分野の特徴を踏まえながら、各方策のメリット・
デメリットを踏まえ、最適な資金調達方法を選択・模索し、必要な資金の確保と
コンテンツ制作現場への適切な還元の実現が望まれる。
また、国際共同製作も資金調達方法の手段の一つといえる。さらに、海外の大
規模作品(実写)のロケ誘致は、国内制作スタッフの技術力向上につながるとと
もに、海外に日本の魅力を PR し、インバウンドに貢献するものであり、クール
ジャパンの観点からも重要である。
ロケ誘致については、ロケ撮影の環境改善に関する実務者懇談会(事務局:内
閣府知的財産戦略推進事務局)での議論を踏まえ、関係府省の連名により、2025
年3月に「ロケ撮影ハンドブック-ロケ撮影・誘致の拡大に向けて関係者が知っ
ておくべきこと-」を公表した。これは、従来のガイドライン(
「ロケ撮影の円
滑な実施のためのガイドライン」
(令和2年8月))について、ロケ撮影に係る対
応窓口の明確化や事例集を追加する等の改訂を行ったものであり、同ハンドブ
ックを活用し、国内外の映像作品の日本国内でのロケ撮影に係る環境改善の進
103
展が期待される。
海外展開については、メディアミックスによるビジネス展開を、国内のみなら
ず、海外においても広く進めることが必要である。ライブエンターテインメント
やグッズ販売等のキャラクタービジネスも含め、日本発のコンテンツの海外市
場規模の拡大に向けて、知財の多元展開が求められる。
<デジタル・ビジネスに対応した構造改革の推進>
デジタル化の波が、コンテンツの創作・流通・消費の在り方に新たな変化をも
たらし続けている。こうした変化は、コンテンツビジネスにおけるゲームチェン
ジを促進し、従来のプラットフォーマーの支配を離れ、クリエイター主導のコン
テンツ製作を目指す動きをさらに拡大させている。例えば、音楽分野について、
欧米ではストリーミング配信が広まる中、利用実績の把握とクリエイターへの
高い給付比率の実現が可能になっており、個人へのパワーシフトの動きがみら
れるとの指摘がある。この変化をチャンスとして捉え、想定される課題にも対応
しつつ、国際水準ベースのデジタル化・DX 化を進め、新たな成長と対価還元の
充実を図ることが重要である。
また、製作工程の DX や、映像等の魅力向上、翻訳の効率化による海外展開促
進、さらにはクリエイターへの対価還元等において、テクノロジーの活用は非常
に有効である。AI や VFX、Web3.0 等の先端技術も含め、コンテンツ事業者の
デジタル技術の利活用を推進する必要がある。
さらに、メタバースの発展は、現実空間における様々な財消費を仮想空間へと
転移させ、多様なコンテンツの消費・創造を拡大させるものとして期待されてい
る。パブリック・ブロックチェーンや NFT 等の技術の進歩により、これらを活
用したピア・ツー・ピアのコンテンツ取引も拡大しており、クリエイターと消費
者が直接的につながる新しい経済圏が拡大している。こうした動きは、クリエイ
ターエコノミーの創出やファンコミュニティの活性化を促進している。
このようなデジタル化・ネットワーク化の進展の中、コンテンツの流通過程に
おいては、膨大かつ多種多様な著作物等が対象となるところ、それらの円滑な権
利処理は重要な課題である。このため、2023 年の著作権法改正による未管理公
表著作物等の利用に係る新たな裁定制度(未管理著作物裁定制度)について、
2026 年春頃までの施行に向けた環境整備を進める。また、特に放送コンテンツ
について、ローカル局における権利処理の人手不足の課題が指摘されており、権
利処理の効率化を図ることが必要である。
あわせて、公正かつ自由な競争の実現に向けて、適切な対価還元の実現の観点
からも、クリエイターやコンテンツ制作会社等について、契約リテラシーの向上
を図ることが必要である。レコード演奏・伝達に係る実演家及びレコード製作者
104
への望ましい対価還元の在り方について、国際動向や関係者の合意形成及び円
滑な徴収・分配体制の見通し等を踏まえつつ、検討する必要がある。
<コンテンツ産業を支える人材強化>
コンテンツの創造の源泉は、人材である。コンテンツ産業に多くの若者を惹き
つけ、革新的なコンテンツの創造活動を行う産業であり続けるためには、クリエ
イターが安心して持続的に働ける環境の整備と、取引適正化等に向けたコンテ
ンツ産業界における取組が不可欠である。
また、デジタル・ビジネスに対応した構造改革を推進し、海外へのビジネス展
開を進めていく上で、新しい知財の創出、制作手法やプロセスの変革、そして、
新しいビジネスモデルの創出等をけん引できる人材が求められる。そのため、海
外派遣も含めた異才、クリエイターの育成のための枠組みの構築や、最先端のデ
ジタル技術を使いこなすデジタルクリエイターの育成に取り組む必要がある。
さらに、留学も含め、実践的なプロデューサーを育成強化していくことが求め
られるとともに、ゲーム、アニメ、マンガ、実写、音楽、舞台芸術、アート等の
分野ごとに求められるスキルの見える化が図られ、それらに対応した高等教育
による学修機会が提供されることが必要である。
「スキルの見える化」を行う上
では、高等教育機関と各分野における産業界が連携し、真に企業が必要とする人
材育成が求められるとともに、スキルに応じた処遇の確保及び待遇の改善に向
け、コンテンツ業界において積極的に取り組むことも必要である。
コンテンツ開発や利活用に関わる人材の育成については、クリエイターやプ
ロデューサー人材を含め、求められる役割に応じた人材の育成が必要であるこ
とや、コンテンツ業界において、正社員としての雇用形態を通じた人材の育成を
行うことを基本として、そのような人材を受け入れ、育てる環境の整備等が求め
られることに留意しつつ、施策を重層的に推進していくことが必要である。
今後人口減少が進む中で、上記を実現するためには、第一にコンテンツ業界に
おいて必要な労働人口・新規就業者数等を確保することが前提となるところ、コ
ンテンツ産業の就業者数、市場規模等の継続的な把握に必要な統計データ等の
整備の在り方について検討することが重要となる。
<海賊版対策の強化>
(前述Ⅲ.2.(2)のとおり)
<デジタルアーカイブの推進>
政府では、デジタルアーカイブが日常的に活用され、多様な創作活動を支える
「デジタルアーカイブ社会」の実現を目指し、各分野のアーカイブ機関と関係省
105
庁の連携の下、デジタルアーカイブの推進に取り組んでいる。
具体的には、文化財、美術、書籍など、様々な分野のコンテンツのメタデータ
を検索・閲覧・活用できるプラットフォームとして、2020 年に「ジャパンサー
チ」を公開するとともに、
「ジャパンサーチ戦略方針 2021-2025」を踏まえ、デ
ジタルアーカイブの構築・共有と利活用促進に向けた取組を推進している。
(出典)https://jpsearch.go.jp/
図表 52:ジャパンサーチ(トップページ)
2024 年3月には、デジタルアーカイブの新たな推進体制(以下「デジタルア
ーカイブジャパン推進体制」という。
)として、デジタルアーカイブに関する取
組の一層の促進と、アーカイブ化された多様なコンテンツ資産のフル活用によ
る新たな価値創造の活性化に向けて、
「デジタルアーカイブ戦略懇談会」及び「デ
ジタルアーカイブ推進に関する検討会」
(事務局:内閣府知的財産戦略推進事務
局)を開催している。
我が国のデジタルアーカイブは、この推進体制の下、官民連携により取組を行
っているところであり、2025 年5月には、
「デジタルアーカイブ戦略 2026-2030」
を策定し、公表した。
同戦略は、2026 年度以降の5か年の期間の優先事項等を定めており、今後 5
年間で我が国のデジタルアーカイブ推進の体制・仕組みづくりを整え、ジャパン
サーチを基軸としながら、国全体でデジタルアーカイブ推進に向けた取組が活
性化していく基盤作りを目指す期間として位置づけている。
106
また、
「文化資産・学術資料等」を優先対象としつつ、マンガ、アニメ、ゲー
ム等のメディア芸術と、防災や観光等への活用も含めた地方創生の観点から、地
域資源も重視している。さらに、国関係のアーカイブ機関等を中核的な推進組織
として位置づけた上で、
「ジャパンサーチ」を基軸としながら、デジタルアーカ
イブの推進に係る基盤整備や海外発信、及び人材育成・普及啓発を進めていくこ
ととしている。
同戦略は、ジャパンサーチの規模・範囲と利便性を Europeana50並みとする
ことを目指し、Europeana とジャパンサーチの相違点にも留意しつつ、公開コ
ンテンツの増加を目指すとともに、連携メタデータ数を 2030 年までに 5,000 万
件(2025 年2月現在で 3,100 万件)とすることなど、ジャパンサーチや国関係
のアーカイブ機関等の到達目標も設定している。同戦略を踏まえ、デジタルアー
カイブの理念・目的・関係者間の役割と連携等の法的基盤の在り方の検討も含め、
我が国におけるデジタルアーカイブ推進の基盤づくりを進めていくことが必要
である。
(KPI)
日本発のコンテンツ海外市場規模を 2033 年までに 20 兆円に拡大する。
デジタルアーカイブの推進については、
2035 年までにジャパンサーチの規模・範囲と利便性が Europeana 並みとな
ることを目指す。
国関係のアーカイブ機関等におけるメタデータの整備を進め、2030 年までに
整備すべき収蔵資料に対して 100%整備されること、また、2030 年までにコ
ンテンツの二次利用条件の未整備数を0件とすることを目標とする。
ジャパンサーチにおける連携メタデータ数が 3,100 万件であるところ、2030
年までに 5,000 万件への増加を、分野・地域アーカイブとの連携数を 55 機関
から 2030 年までに 80 機関に増やすことを目指す。
(施策の方向性)
<司令塔機能の強化>
コンテンツ産業官民協議会を司令塔機能として、コンテンツ産業の振興
に向けて戦略的な議論を行い、官民で PDCA サイクルを回す。また、司
令塔機能の在り方について更なる明確化に向けて検討する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、内閣官房(新しい資本主義実現本部事務
50
EU 域内の分野横断型の統合ポータル
107
局)、文化庁、経済産業省、総務省、公正取引委員会)
2033 年までに 20 兆円とする目標の基礎となる日本発のコンテンツの
海外市場規模の範囲について、知財の多元展開の観点も含めた指標設定の
考え方について検討する。
(短期・中期)(内閣府(知財)、経済産業省、総務省、関係省庁)
コンテンツ産業の就業者数、市場規模等の継続的な把握に必要な統計デ
ータ等の整備の在り方について検討する。
(短期・中期)(内閣府(知財)
、経済産業省、関係府省)
コンテンツに関する各種支援制度について点検しつつ、個人にとっても
分かりやすいよう支援メニューを一覧化するため、ポータルサイトを構築
するなど、効果的な発信に取り組む。
(短期・中期)(内閣府(知財)、文化庁、経済産業省、総務省、関係府省)
諸外国における税制も含めたビジネス環境の現状等について把握し、映
像産業等コンテンツ分野の効果的な支援策の在り方について検討する。
(短期・中期)(経済産業省、内閣府(知財)、関係府省)
<コンテンツと地方創生の好循環プラン>
(前述Ⅲ.4.(1)のとおり)
<海外へのビジネス展開力の向上>
コンテンツ産業の海外市場規模を 2033 年までに 20 兆円とする政府目
標の達成に向け、
「8つの不足」を克服し、10 業種について官民で取るべ
き 100 のアクションを定めた「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」の具
体化と実行を各省庁連携の下で着実に進める。
(短期・中期)(経済産業省、関係府省)
海外のマーケティング情報の収集・共有化、海外の現地プレイヤー等と
のマッチング機能の強化を図るため、JETRO にコンテンツ専門人材を配
置し、JETRO を海外支援拠点として、コンテンツ産業の海外展開支援や
現地マーケット等へのコアネットワークの構築を推進する。
(短期・中期)(経済産業省、内閣府(知財)、関係省庁)
国際水準ベースの制作費を確保し、日本の豊富な知財を活かした高品質
な映像作品の製作を促すべくグローバルに競争力を有する映像作品の制
作費支援を行う。また、高品質な映像作品の製作に当たっては、完成度の
高い企画開発が求められることから、プリプロダクションへの支援もあわ
せて実施することにより、高品質な映像製作に係る一貫した支援体制を構
築する。
108
(短期・中期)(経済産業省)
拡大する海外需要を獲得し、日本発のコンテンツ市場の拡大を図るため、
コンテンツの海外展開のための制作能力の強化、制作・流通ノウハウの取
得、流通プラットフォームの機能強化、プロモーションやローカライゼー
ション(翻訳等)等の支援を行う。
(短期・中期)
(経済産業省、文化庁、関係府省)
東南アジアの特定国において、日本の放送コンテンツを配信することで、
コンテンツの受容性等について検証を行う。海外展開を前提とした実写コ
ンテンツの制作における先進的設備等の取得又は使用に要する経費等を
支援する。また、番組製作会社、放送事業者等のプロデューサー又は製作
技術担当者等に対する講習会や海外研修等を実施する。加えて、海外展開
のための市場調査を実施する。
(短期・中期)(総務省)
放送・配信コンテンツの製作力強化・海外展開を促進するため、官民が
連携して、企画開発・製作・権利処理・流通の各過程における課題を解決
するとともに、人材育成や DX の推進など横断的な取組を推進する。
(短期・中期)(総務省)
世界的に影響力のある美術館での作品の展示機会の確保に係る支援を
検討する。また、国際映画祭や国際見本市における日本パビリオン、ジャ
パン・ブースの出展やその場での作品のプロモーションを支援する。その
ほか、国内外の製作者の交流や日本映画の海外展開を幅広く支援するとと
もに、東京国際映画祭をはじめとする国内外の国際映画祭について、官民
双方で戦略的かつ効果的な海外発信方策を検討する。
(短期・中期)(経済産業省、文化庁、関係府省)
国内外の国際見本市において、放送コンテンツの海外展開に係る取引機
会確保に向けた、効果的な訴求方策を検証する。
(短期・中期)(総務省)
拡大する海外需要を獲得し、日本発のコンテンツ市場の拡大を図るため、
日本のコンテンツのグローバルなファンダム形成に資する海外現地にお
けるライブ公演等への支援を行う。
(短期・中期)(経済産業省)
ロケ撮影・誘致の円滑化及び促進のため、フィルムコミッション(FC)、
許認可権者、製作者等が取り組むべき事項等をまとめたハンドブックの周
知等を通じ、関係者間のより一層の理解の浸透や相互理解を深める。周知
に当たっては、同ハンドブックのポイントをまとめた英語版パンフレット
を作成し、海外に発信する。
109
(短期・中期)(内閣府(知財)、警察庁、消防庁、出入国在留管理庁、
国土交通省、観光庁、関係省庁)【再掲】
ASEAN 地域において、国際共同製作映画等の上映会を実施するととも
に、上映作品にちなんだ魅力あるロケーションや各地の物産等を紹介する
事業を開催し、映画を通じたインバウンド誘致を引き続き実施する。あわ
せて、国立映画アーカイブにおいて、全国各地域のフィルムコミッション
が保有・蓄積している「ロケ地情報」等をインターネット上に集約・一括
検索を可能とする「ロケーションデータベース」を運営することで、日本
国内はもとより海外に向けて日本の魅力あるロケーションを発信、日本国
内における映画撮影の促進及び日本映画の創造活動の活性化を図る。
(短期・中期)(文化庁、外務省、経済産業省)
映画やアニメ等のロケ地や舞台は、国内外の観光需要を喚起する重要な
拠点であることから、ロケ誘致による経済・社会的効果を効果的に実現す
るため、観光促進のためのコンテンツの活用等、ロケツーリズム、アニメ
ツーリズムの推進に向け官民一体となって取組を進める。
(短期・中期)(観光庁)【再掲】
ロケ誘致による経済・社会的な産業振興を効果的に実現すべく、VFX を
含むポストプロダクション工程も含めた誘致に向けて、インセンティブ付
与及び効果的な運用に取り組む。また、インセンティブ付与対象作品の円
滑な撮影に向けた支援を検討するとともに、ロケ地域での完成作品の活用
を推進する。
(短期・中期)(経済産業省、内閣府(知財)、関係省庁)【再掲】
民間活力等を活用し、国民公園や公的施設について、現代的な文化・情
報発信拠点等とするための機能強化を図る。具体的には、北の丸公園につ
いて、最先端の科学、芸術、文化等に関する発信拠点として活用すること
を検討する。
(短期・中期)(文化庁、環境省、関係府省)【再掲】
海外でも高く評価される日本の優れたメディア芸術分野の人材育成及
び関連資料の収集・保存及び展示・活用を推進するとともに、振興の中核
ともなる「メディア芸術ナショナルセンター」(仮称)としてマンガ、ア
ニメ・特撮及びゲームに関する作品、原画等の中間生成物及びこれらに関
連する情報等の①収集・保存・デジタル化、②調査研究、③人材育成・教
育、④国内外への情報発信、⑤展示・利活用、⑥普及交流の機能を有する
拠点の整備に向けた取組を推進する。
(短期・中期)(文化庁)【再掲】
日本の文学作品やマンガ等を海外の図書館等の制度化された枠組みの
110
中で価値付けていくため、国内外有識者、出版業界等からなる関係者協議
会を構築し、現在の課題を調査した上で図書館等への情報提供等を実施す
る。
(短期・中期)(文化庁)
文学作品やマンガ等を海外へ発信・普及させるため、作家ごとの海外展
開や包摂性のあるテーマに基づいた展開がなされるよう、その価値を伝え
ることができる仲介者への支援等を行う。あわせて、海外の文化や価値観
を踏まえた翻訳や批評を行うことができる海外の専門家の発掘・育成を行
う。
(短期・中期)(文化庁)
外交・交流強化が必要な国において、現地のニーズを踏まえたラインナ
ップによる劇場での上映やオンライン配信等を実施し、対日理解を促進す
るとともに、日本映画をはじめとする映像コンテンツの視聴需要を高める
など、海外展開の土壌づくりを行う。
(短期・中期)(外務省)
アニメを起点とした知財の多元展開に向けて、海外市場におけるアニメ
作品の需要動向や規制動向について情報収集・提供支援を行うほか、パー
トナー獲得・資金調達、高品質な作品制作、ローカライズ・カルチャライ
ズ(各国の文化に合わせた対応)
・プロモーションの支援や、映像作品の
国際共同製作を推進する。また、企業による海外展開戦略の立案やマーケ
ティング、マーチャンダイジング等を支援する。
(短期・中期)(経済産業省)
アーティストの海外展開を後押しするため、レコード演奏・伝達権の導
入について、関係者の合意形成の見通しや法制的な枠組み等を含めた在り
方を議論し、早期に結論を得る。
(短期・中期)(文化庁、関係府省)
<デジタル・ビジネスに対応した構造改革の推進>
今後のコンテンツ産業の消費者及び担い手はデジタルネイティブ層が
中核となってくることが想定される中で、新たなデジタル技術等を活用し、
高品質なデジタルコンテンツを創出することが可能な産業基盤を整備す
ることが、将来のコンテンツ産業の競争力を左右する。そこで、新たなデ
ジタル技術等を活用した良質なデジタルコンテンツの創出を促すととも
に、そのようなコンテンツを制作・発信できるクリエイターの育成を支援
する。
(短期・中期)(文化庁、経済産業省)
111
コンテンツ配信プラットフォームや投稿サイト等における著作物等の
利用状況(権利侵害を伴う利用実態を含む)
、デジタルプラットフォーム
サービスのコンテンツ市場における役割等も念頭に、国際的な動向や国内
の競争政策、デジタルプラットフォーム政策、情報通信政策等の諸政策を
踏まえつつ、著作権分野において、契約条件などデジタル時代に対応した
適切な対価還元を実現するための具体的な方策について検討する。
(短期・中期)(文化庁)
デジタル時代に対応したコンテンツ創作の好循環を促し、クリエイター
への対価還元にも資するものとなるよう、2023 年に改正された著作権法
に基づく未管理著作物裁定制度の円滑な運用開始に向けて必要な準備を
行う。また、制度の施行に合わせて「分野横断権利情報検索システム」が
運用されるよう、システム構築とともに、各分野のデータベースを保有す
る団体等との連携を進める。
(短期・中期)(文化庁)
放送コンテンツのネット配信に係る権利処理の効率化に資するシステ
ムに関する実証を継続して実施するとともに、インターネット上のコンテ
ンツ流通の媒介者である通信関係事業者の協力体制及び役割分担の枠組
みについて、権利処理は当該著作物を二次利用する者において行うことが
原則であることを踏まえつつ、その交渉等を円滑に行う観点から、通信関
係事業者に対する協力の要請を検討する。
(短期・中期)(総務省、関係府省)
デジタル化の進展により、配信プラットフォームによるコンテンツの提
供が主流になっているところ、日本独自のプラットフォームが少ない状況
に鑑み、マンガ・書籍分野において、電子コミック先進国である日本のノ
ウハウを生かしつつ、海外で通用するプラットフォーマーの育成を支援す
る。
(短期・中期)(経済産業省、関係省庁)
コンテンツ分野における NFT の活用について、コンテンツホルダーの
権利保護や利用者保護の課題に対応するよう、必要な施策を推進する。
(短期・中期)(経済産業省)
日本のコンテンツ産業における新たな成長分野の開拓とクリエイター
エコノミーの創出促進に向け、Web3.0 やメタバース等のデジタル技術を
活用した、個々のクリエイターを支援する環境整備の取組、知財を活用し
たビジネスモデルの高度化、新たなコンテンツ体験価値の提供を図る取組
を支援する。
(短期・中期)(経済産業省、文化庁、関係府省)
112
「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の
確保に関する法律」(チケット不正転売禁止法)に基づき、違反事例の取
締りの徹底、周知・広報、相談対応を通じ、実効性のある運用を行う。
(短期・中期)(文化庁、消費者庁、警察庁)
<コンテンツ産業を支える人材強化>
海外展開を視野に入れた若手クリエイターやアーティスト等の挑戦を
支援し、育成体制を強化するため、ゲーム、アニメ、マンガ、実写、音楽、
舞台芸術、アート等をはじめとする次代を担うクリエイター等による作品
や公演の企画、交渉、制作、発表、海外展開までの一体的な活動について、
複数年にわたって弾力的に支援する。
(短期・中期)(文化庁)
コンテンツ産業の競争力強化に向け、クリエイター等(デジタルクリエ
イターを含む)の発掘・育成、活躍の機会拡大等に向けた取組を支援する。
また、制作に携わるスタッフの能力向上、制作技術や海外展開に向けたコ
ンテンツの制作・流通等のノウハウの習得及び海外向けコンテンツの資金
調達、契約交渉及び管理等を行うプロデュース人材やマネジメント人材、
コンテンツ産業の DX 化を進める人材など、最先端の技術動向等を踏まえ
た人材育成(海外への留学によるものを含む)を支援する。
(短期・中期)(文化庁、関係府省)
クリエイターやそれを支える人材等を含めたエンタメ・スタートアップ
等が高品質なコンテンツ等を制作し事業化等する事業に対して、補助事業
者が開発費や制作費等の支援、制作や事業化の伴走支援等の費用を助成し、
高品質なコンテンツ等を生み出す事業の創出を促す。
(短期・中期)(経済産業省)
日本の文化芸術の国際発信強化とグローバル展開をビジネスの考え方
を取り入れつつ効果的・戦略的に進めるため、トップレベルのアーティス
ト等を発掘し、当該芸術分野における国際的な中心地域のほか、今後の経
済成長やグローバル・サウスの観点も含めて、グローバルレベルでのキャ
リアを積むことができる場への参加支援・マッチング、海外におけるネッ
トワーク構築やプロモーション活動に関するサポート等の総合的な支援
プログラムを官民共同で実施する。
(短期・中期)(文化庁)
エンタメ産業を取り巻く諸課題に対して、先端技術の活用によるコンテ
ンツの創出や収益化手法の高度化、業界構造の改革に資する取組、及びコ
ンテンツの流通構造の改革に資する取組を支援する。
113
(短期・中期)(経済産業省、関係府省)
コンテンツ業界における適切な人材育成のために、産業界において明確
化した各ジャンルにおいて求める人材・スキルに関するミスマッチの状況
等の実態について、官民が連携して改善のための方策の在り方を検討する
とともに、労働者の予見可能性を高め、就業意欲の向上に資するよう労働
市場の将来像を明らかにする。また、産業界のニーズに応じて、必要なス
キルの可視化等によりグローバルに活躍する卓越した高度専門人材の育
成に取り組むとともに、増加する国内外での需要に対応するため、コンテ
ンツ制作において必要なクリエイター・スタッフ等の育成・確保に取り組
み、小中学校等へのクリエイター等の派遣や体験授業・地域での活動機会
の抜本的拡充にもつなげる。
(短期・中期)(経済産業省、文化庁、関係府省)
DX 時代における新たな契約の在り方を踏まえつつ、著作物の利用に係
る契約をサポートするため、契約書の標準的ひな形の提供を行う「著作権
契約書作成支援システム」や著作権に必ずしも精通していない方々向けの
「誰でもできる著作権契約マニュアル」を適時に見直し、フリーランスの
クリエイター等を支援する。
(短期・中期)(文化庁)
クリエイターの適切な収益の確保に向けて、クリエイターが事業展開す
る際の契約作成等に関する課題について、弁護士等の専門家による個別支
援を行う相談窓口の体制を強化する。
(短期・中期)(文化庁)
文化芸術分野の適正な契約関係の構築に向け、2022 年7月に公表した
契約書のひな形を含むガイドラインの普及・啓発を行うとともに、研修会
の実施や相談窓口の設置等の具体的な取組によって、フリーランスの芸術
家等を含む文化芸術関係者の活動環境の改善に向けた取組を進める。
(短期・中期)(文化庁)
芸術家等個人の尊厳ある創造環境の向上に向け、文化芸術団体の機能改
善を促すことなどにより、文化芸術分野におけるハラスメントや就業環境
等の課題に対する文化芸術団体の主体的な取組を促進するための方策を
講じる。
(短期・中期)(文化庁)
2024 年に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法について、
引き続き周知等を行い、遵守の徹底を図る。
(短期・中期)(内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省)
サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転
114
嫁」の実現を図るため、代金に関する協議に応じないことや、協議におい
て必要な説明又は情報の提供をしないことによる、一方的な代金の額の決
定を禁止すること等を内容とする下請代金支払遅延等防止法及び下請中
小企業振興法の改正法に基づき、改正事項を踏まえた制度周知及び普及啓
発等の必要な措置を講ずる。特に対応が必要な重点 22 業種に含まれる映
像・音声・文字情報制作業について、サプライチェーンの深い層まで労務
費転嫁指針の遵守が徹底されているかを重点的に確認し、必要に応じ更な
る改善策を検討するとともに、更なる周知徹底に取り組む。
(短期・中期)(内閣官房(新しい資本主義実現本部事務局)、
公正取引委員会、中小企業庁、関係省庁)
放送コンテンツの製作取引の更なる適正化を図るため、下請法や独占禁
止法等を対象とするガイドラインを必要に応じて見直すとともに、幅広く
周知を行い、遵守の徹底を図る。
(短期・中期)(総務省)
2024 年 11 月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法を
踏まえ、2025 年に広告業及びアニメーション制作業における下請代金支
払遅延等防止法に関するガイドラインを改訂するとともに、幅広く周知を
行い、遵守の徹底を図る。
(短期・中期)(経済産業省)
パートナーシップ構築宣言の推進、フリーランス等による中小企業協同
組合を活用した職能別組織化、下請Gメンによるヒアリング調査や優越G
メンへの情報提供、相談窓口の活用によって、発注者側企業および受注側
企業間における適切な価格交渉を可能とする取組・体制の整備を検討する。
(短期・中期)(中小企業庁、公正取引委員会、内閣府(政策統括官(経済
財政運営担当)、関係省庁)
映画・アニメの制作現場におけるクリエイターの取引環境に係る実態調
査について本年秋の結果公表を目指す。
(短期)(公正取引委員会)
国内映像制作等に関する事業者向け支援については、労働基準法の準拠
等に配慮した支援制度とすることにより、制作現場における環境改善を促
進する。あわせて、補助金等の支援制度の審査において、日本映画制作適
正化機構が策定した映適取引ガイドラインに則り制作される作品に対し
て、加点又は要件とする支援制度とすること等を推進するとともに、制作
に係る労働環境の改善に伴う諸課題の解決策について検討する。
(短期・中期)
(経済産業省、文化庁、総務省)
日本映画制作適正化機構の取組を参考に、これを他のコンテンツ分野に
115
広げるよう、関係団体等に働きかけるとともに、映適の取組の認知度を高
めるための取組を推進する。
(短期・中期)(経済産業省)
映画制作の持続的な発展に向けた取引ガイドラインの推進により就業
環境の改善を図るとともに、
「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関
する指針」を踏まえ、業界の自主行動計画等による取引適正化を働きかけ
る。
(短期・中期)(経済産業省)
<海賊版対策の強化>
(前述Ⅲ.2.(2)のとおり)
<デジタルアーカイブの推進>
デジタルアーカイブジャパン推進体制が策定した「デジタルアーカイブ
戦略 2026-2030」に基づき、コンテンツのデジタル化等のデジタルアーカ
イブの取組を総合的に推進する。
(短期・中期) (内閣府(知財)、国立国会図書館51、関係府省)
デジタルアーカイブの推進に向けて、デジタルアーカイブジャパン推進
体制の下、
「デジタルアーカイブフェス」や「デジタルアーカイブジャパ
ン・アワード」を通して、効果的な実践事例の共有や顕彰を行う。
(短期・中期) (内閣府(知財)、国立国会図書館)
「デジタルアーカイブ戦略 2026-2030」に定める到達目標の下、同戦略
が示す各分野において、デジタルアーカイブの更なる拡充及びデジタルア
ーカイブの利活用促進を進める。その際、各分野におけるデジタルアーカ
イブの意義を踏まえつつ、ボーンデジタルのコンテンツメディアを含めた
コンテンツのデジタル化や保存、それらの自由な二次利用を可能にするオ
ープン化の推進等に努める。可能なものについては、デジタルアーカイブ
化されたコンテンツをオンライン配信に活用したり、海外展開等による収
益化を図るなど、更なる利活用を進める。国立国会図書館の資料デジタル
化を推進するとともに、絶版等資料のインターネット送信の拡充を図る。
(短期・中期)(内閣府、デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省、
観光庁、国立国会図書館)
文化遺産のデジタルアーカイブ化や、マンガ、アニメ、ゲーム等のメデ
51
国⽴国会図書館は⽴法府に属する機関であるが、デジタルアーカイブに関する施策は国全体として取り組むものであり、同館は重要
な役割を担っていることから、便宜上、本計画に関連する同館の事業について担当欄に記載するものである。
116
ィア芸術作品、舞台芸術作品の保存・利活用を支援するとともに、
「メデ
ィア芸術ナショナルセンター」(仮称)としてマンガ、アニメ・特撮及び
ゲームに関する作品、原画等の中間生成物並びにこれらに関連する情報等
の①収集・保存・デジタル化、②調査研究、③人材育成・教育、④国内外
への情報発信、⑤展示・利活用、⑥普及交流の機能を有する拠点の整備に
向けた取組の推進など、文化芸術のデジタルアーカイブ化を促進するとと
もに、ジャパンサーチとも連携したコンテンツ発信の場を創出し、ユーザ
ーの相互誘導を促進する。
(短期・中期) (文部科学省)【再掲】
日本の多様なコンテンツに関する情報をまとめて検索・閲覧・活用でき
るプラットフォームであるジャパンサーチにおいて、様々なデジタル情報
資源を網羅的にナビゲーションできるよう、連携先の拡大など、アーカイ
ブ機関との連携のさらなる拡充を図る。
(短期・中期) (内閣府、国立国会図書館、関係府省)
関係府省連携の下、教育、学術・研究、観光、地域活性化等の様々な分
野・テーマにおいて、ジャパンサーチの連携コンテンツを活用した利活用
モデルの周知広報を強化し、利活用の機会拡大を図るとともに、多言語化
や海外のアーカイブ機関との交流を進め、海外発信の強化に取り組む。ま
た、ジャパンサーチ連携アーカイブ機関が所蔵するデジタルコンテンツの
効率的な活用を促すよう、それらのコンテンツについて、各機関による二
次利用条件の分かりやすい表示を促進する。
(短期・中期)(内閣府、国立国会図書館、関係府省)
著作権に係る分野横断権利情報検索システムとジャパンサーチとの連
携等について、分野横断権利情報検索システムの整備・検討の進捗状況に
応じ、デジタルアーカイブジャパン推進体制の下で連携の在り方を検討し、
必要な措置を講じる。
(短期・中期)(内閣府、国立国会図書館、関係府省)
「昭和 100 年」を契機として、個人や企業が保有する資料の発掘を含
め、昭和期の史実に関する文書、写真、映像等の資料の収集・整理、ICT
などの最新技術を活用したアーカイブ化の推進やアクセスしやすい形で
の公開を推進する。
(短期)(内閣官房(「昭和 100 年」関連施策推進室)、関係府省)
117
資料9
参考資料 5
「知的財産推進計画2025」
(概要)
〜IPトランスフォーメーション〜
2025年6⽉
基本認識
⽇本の競争⼒の現状
○ 環境変化や主要国動向を踏
まえて知財戦略を推進する
も、⽇本の競争⼒は⻑期的
に低落傾向。※WIPOのグローバ
ルイノベーション指数(2024年)は13
位と、韓国(6位)や、中国(11位)の
後塵を拝する状況。
○ コンテンツ産業やクール
ジャパン関連産業は⼤きく
発展。
グローバルイノベーション指数(GII)ランキング
1
4
7
10
13
16
19
22
25
28
31
34
37
40
43
9
13
16
20
14 13 15
16
13 13 13 13
コンテンツ産業の発展
19
22 21
競争⼒の低下
25
スイス
⽶国
⽇本
シンガポール
韓国
中国
出典︓WIPO「Global Innovation Index 2024」
出典︓(株)ヒューマンメディア「⽇本と世界のメディア×コンテンツ市場データベース
(2024)」をもとに内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
将来予測される環境変化と知財戦略の⽅向性
○ この先10年では、⼈⼝減少に伴うイ
ノベーション⼈材が減少し、国内市
場が頭打ちになる⼀⽅、グローバル
市場は引き続き成⻑。AI技術の急速
な発展と、社会経済システムへの⼤
きな変⾰が予測される。
○ ⽇本の競争⼒の現状と将来の環境変
化を踏まえて、今後の知財戦略の⽅
向性を検討していく必要。
1
IPトランスフォーメーション 〜知財の⼒で課題を解決し国内外で稼ぐ〜
○ 我が国の知的資本(技術⼒、コンテンツ⼒、国家ブランド⼒等)を最⼤限活⽤し、グ
ローバル知的資本を誘因・集積。知的資本を活⽤し国内外の社会課題の解決を図る「新
たな知的創造サイクル」の構築を⽬指す(IPトランスフォーメーション)。
実現のための3つの柱
IPトランスフォーション(イメージ図)
第⼀の柱︓イノベーション拠点としての競争⼒強化
•
•
海外のトップレベルの研究者、起業家等のイノベーション⼈材、IT⼈材、クリ
エイティブ⼈材を、我が国に呼び込むための環境整備が必要。
このため、①創造⼈材の強化・ダイバーシティの実現、②知財無形資産投資
の促進、③国際的求⼼⼒のある知財制度・システムの実現に取り組む。
第⼆の柱︓AI等先端デジタル技術の利活⽤
•
•
⼈⼝減少下においても強靭な知的創造サイクルの構築を図るため、AIの利
活⽤推進による⽣産性向上、創造活動の迅速化等を進める必要。
このため、クリエイターや権利者の懸念への対応、発明創作等の知財制度・運
⽤上の考え⽅の明確化等の対応に取り組む。
第三の柱︓グローバル市場の取込み
•
グローバル市場を取り込むため、「新たなクールジャパン戦略」に基づき、クール
ジャパン関連産業の海外展開を推進するとともに、今般策定した「新たな国
際標準戦略」に基づき、産学官で戦略的に国際標準化を強⼒に推進する。
KPI
〇2035年までに、WIPO の「グローバルイノベーション指数」の上位4位以内を⽬指す。※1
〇⽇本市場(⽇経225)における時価総額に占める無形資産の割合を、2035年までに、50%以上に⾼める。※2
※1 現在の我が国の「グローバルイノベーション指数」は13位(2024年)。過去の我が国の最⾼位は4位(2007年)。
※2 2020年時点の⽇本市場(⽇経225)における時価総額に占める無形資産の割合は32%。⽶国市場(S&P500)は90%、中国市場(上海深圳CSI300)は44%、韓国
(KOSDAQ COMPOSITE INDEX)は57%。
2
「知的財産推進計画2025」構成
ーIPトランスフォーメーションー
IPトランスフォーメーション
我が国の知的資本(技術⼒、コンテンツ⼒、国家ブランド⼒等)を最⼤限活⽤し、グローバル知的資本を誘因・集積。知的資本を活
⽤し国内外の社会課題の解決を図る「新たな知的創造サイクル」の構築を⽬指す(IPトランスフォーメーション)。
保 護
創 造
技術流出の防⽌
知財・無形資産への投資による価値創造
営業秘密の漏洩防⽌に向けた啓発活動を強化。
国の資⾦による委託等によって⾏われる研究開発プ
ロジェクトについて、⼊⼝から出⼝までの段階に応じた
技術流出防⽌対策の実施。
知財・無形資産の投資・活⽤の促進に向け、知
財・無形資産ガバナンスガイドラインの考え⽅を更
に普及・浸透を図る。
事業者が積極的に制度を活⽤できるようイノ
ベーション拠点税制の周知徹底を図るとともに、
制度の執⾏状況や効果等を踏まえ、対象範囲
の⾒直しを検討。
海賊版・模倣品対策の強化
厳正な⽔際取締りの強化や、知的財産の侵害を
抑⽌するための適切な制度的⼿当のあり⽅の検討、
海賊版について国際連携・執⾏の強化等を推進。
AIと知的財産権
産業財産権制度・運⽤の強化
「AI 事業者ガイドライン」等を通じて、AI事業
者による主体的な開⽰対応を促すとともに、AIに
関連する制度の運⽤の具体化の中で、国際的
な働きかけも⾏いつつ、実効性の担保に資するよ
うな透明性を確保。
AI利⽤発明の発明者の定義等についての検
討およびその明確化に向けた対応を速やかに検
討。
ネットワーク上における国境を跨いだ特許侵害、仮
想空間におけるデザイン保護等について、法改正を含
めた必要な措置を講じる。
地域における知財保護
中⼩企業の「知財で稼ぐ⼒」を⾼めるための具体的
取組(知財経営リテラシー向上、知財の保護強化
等)を取りまとめた対応策の策定及び推進を検討。
クールジャパン・コンテンツ
活 ⽤
クールジャパン戦略フォローアップ
産学連携・スタートアップ
新たな国際標準戦略
2033年までに50兆円以上の海外展開規
模とするとの⽬標達成に向け、「コンテンツと地
⽅創⽣の好循環プラン」によって、クールジャパ
ンを活⽤した地⽅創⽣を推進。
2033年までにエンタメ・コンテンツ産業の海
外売上⾼を20兆円とするとの⽬標に向けて、
官⺠でPDCAサイクルを加速化。
⼤学知財ガバナンスガイドラインや研
究者の転退職時の知財取扱い指針
を普及促進。好事例の収集・分析・
公表等必要な対応を検討。
スタートアップの事業化に重要となる
知財⼈材派遣や知財⼈材の育成を
⽀援。
国際標準を通じた国際社会や我が国の
課題解決、経済安全保障への貢献、市
場創出を実現すべく、戦略領域・重要領
域の選定等を含む、「新たな国際標準戦
略」を策定。
官⺠連携の場の設置等を通じて、体制
強化を図る。
3
「知的財産推進計画2025」のポイント(主要項⽬)
1.AI・デジタル時代の知的財産制度
•
•
イノベーション促進とリスク対応の両⽴を図るAI法の考え⽅を踏まえつつ、「AI技術の進歩の促進」と
「知的財産権の適切な保護」の両⽴を図る。
権利者・クリエイターの懸念への対応として、「法」「技術」「契約」の各⼿段を組み合わせた取組を
促進するとともに、AI開発の透明性確保の⽅法を検討。
AI開発者へのインセンティブの担保の観点から、AI利⽤発明の発明者の定義等について検討。
国内外の企業を惹きつける「世界最先端の知財制度・システム」の実現。
DX対応として、ネットワーク上における国境を跨いだ特許侵害への対応(特許法)、仮想空間
におけるデザイン保護の強化(意匠法)等、法改正を含めた必要な措置を講じる。
2.新たな国際標準戦略の策定・ルール形成の推進
•
2006年以降、19年ぶりとなる「新たな国際標準戦略」を策定。同戦略において、国際標準化に向け
た17の重要領域を設定。特に、対応の緊急性を踏まえ特定された8つの戦略領域(環境・エネル
ギー、量⼦、デジタル・AI、バイオエコノミー等)について、グローバル市場でのルール形成を⽇本が主
導することを⽬指し、官⺠の資源を優先的に投下。
3.「コンテンツと地方創生の好循環プラン」の策定
•
•
アニメツーリズムやロケ誘致など地域⼀体となった取組を加速するため、「コンテンツと地⽅創⽣の好循
環プラン」を新たに策定。地⽅創⽣2.0の推進に向けて、クールジャパン戦略会議において、2033年ま
でに全国約200カ所の拠点を選定し、成功事例の輩出・共有を進める。
2033年までに、エンタメ・コンテンツ産業の海外市場規模を20兆円とする、との⽬標実現に向けて、
官⺠でPDCAサイクルを回していく。
4
創造
知財・無形資産への投資による価値創造
持続的な成⻑と社会課題の解決には研究開発投資が不可⽋。
企業は知財・無形資産に⽴脚した価値創造を図るとともに、⾃社が有する知財等がいかに社会全
体のインパクトをもたらすのかを論理的かつ戦略的に発信することが重要。
企業の知財・無形資産の価値化のプロセスの可視化、研究開発を単なる「費⽤」ではなく「資
産」の形成と捉える企業マインドの変⾰等が必要。
現状と課題
○ 主要国における研究開発費総額は増加
している⼀⽅で、⽇本の研究開発費総
額は伸び悩んでいる。
○ ⽇本企業は⽶国企業に⽐べて時価総額
に占める無形資産の割合が低い。
○ ⽇本企業は⾃社の強みとなる知財・無
形資産の把握や活⽤が不⼗分との指摘
あり。
(出典)(出典)科学技術・学術政策研究所、「科学技術指標2024」 (出典)新しい資本主義実現会議(第5回)資料1、P50( 2022年)
主要国における研究開発費総額の推移
時価総額に占める無形資産の割合
KPI
○ 第7期科学技術・イノベーション基本計画の数値⽬標の設定を踏まえ、今後、適切なタイミング
でKPIを設定する。
今後の予定(⽅向性)
○ 知財・無形資産の投資・活⽤の促進に向けて、知財・無形資産ガバナンスガイドラインの考え⽅
を更に普及・浸透を図る。
○ 事業者が積極的に制度を活⽤できるようイノベーション拠点税制の周知徹底を図るとともに、制
度の執⾏状況や効果等を踏まえ、対象範囲の⾒直しを検討する。
○ グローバルヘルス分野におけるインパクト投資の推進に向けた国際連携を強化するとともに、投
資によるインパクトの測定・管理等の標準化に向けた取組を推進する。
5
AIと知的財産権
創造
AI学習コンテンツに係るライセンス市場と権利者への対価還元に向け、AI事業者による学習データ等の情
報開⽰など、透明性の確保を促す具体的な対応等が求められており、例えば、AI事業者ガイドライン等を
通じてAI事業者による適切な開⽰対応を促すことが重要。
発明創作過程においてAIを利⽤した場合、AIの開発者等がどのような貢献をすることで発明者として認め
られるか否かについて明確な基準が存在せず、AI開発者の地位の明確化に向けた検討が必要。
現状と課題
○ AIの市場規模や研究費が増加している⼀⽅で、我が国
企業の業務における⽣成AIの利活⽤は海外と⽐較して
進んでいない。
○ 権利者への対価還元の機会が得られないことや、AI事
業者による情報開⽰が進んでいないことにより、AI利
⽤者側として訴訟リスクがあり、利活⽤を躊躇すると
いった影響が⽣じている。
○ 発明創作過程においてAIを利⽤した場合、AIの開発者
等がどのような貢献をすることにより発明者として認
められるか否かについて明確な基準がない。
(出典)総務省「令和6年版情報通信白書」
業務における⽣成AIの活⽤状況(メールや議事録、資料作成等の補助)
KPI
○ ⽇本企業のAIの利活⽤率を概ね100%まで⾼める。
○ AI利⽤発明の明確化を進め、AI利⽤による研究開発を促進する(AI分野の研究費増加)。
今後の予定(⽅向性)
○ 「AI 事業者ガイドライン」等を通じて、AI事業者による主体的な開⽰対応を促すとともに、AIに関連す
る制度の運⽤の具体化の中で、国際的な働きかけも⾏いつつ、実効性の担保に資するような透明性を確保。
○ 産業構造審議会知的財産分科会特許制度⼩委員会における、AI利⽤発明の発明者の定義等についての検討
およびその明確化に向けた対応。
6
創造⼈材の強化・ダイバーシティの実現
創造
我が国の若⼿研究者を含めたイノベーション⼈材(知的創造⼈材)の減少が顕著。
国際的な⾼度⼈材の獲得競争が進む中、創造活動に関与する⼈材基盤の充実化に向けて、イ
ノベーション⼈材の育成や海外⼈材の誘引、ダイバーシティの推進等を強化。
現状と課題
○ ⽇本の⼈⼝100万⼈当たりの博⼠号取得者数は諸外国と⽐較
して少なく、産業分野における割合も⽶国と⽐較して低い。
○ 知財創造活動への関⼼・関与へと誘導するきっかけづくり
として知財創造教育の普及を促進する必要。
○ ⾼度な知識や経験を有する海外⼈材の受⼊れの促進や、⽇
本⼈⾃⾝も海外での多様な経験等を経ることは重要。
(出典)国⽴社会保障・⼈⼝問題研究所「⽇本の将来推計⼈⼝ 令和5年推計」
イノベーション⼈材の推移
KPI
○ 2040年における⼈⼝100万⼈当たりの博⼠号取得者数を世界トップレベルに引き上げる。
○ 知財創造・保護・活⽤に携わる知財教育に関する取組を広げる。(取組事例数)
○ イノベーション⼈材の取り込みを進め、⾼度な能⼒をもつ外国⼈材を増やす。
(在留外国⼈数(⾼度専⾨職1号(イ)、(ロ))
今後の予定(⽅向性)
○ 2024年度に作成した「博⼠⼈材の⺠間企業における活躍促進に向けたガイドブック」及び「企業で活躍
する博⼠⼈材ロールモデル事例集」の周知・普及を⾏う。
○ 知財創造教育の普及・実践のために、「知財⼒開発校⽀援事業」などの取り組みを推進。
○ 東南アジアやインドのトップ⼤学等の卒業⽣をはじめとした優秀な若⼿⼈材の確保に向けて、我が国での
就職に向けた課題や企業側からの具体的なニーズの調査及びそれを踏まえた具体的な措置の検討。
7
技術流出の防⽌
保護
研究開発における情報漏洩に対するセキュリティ確保の必要性は企業のみならず⼤学等
においても求められており、より⼀層の営業秘密等の漏洩防⽌に向けた対応を推進。
安全保障上影響のある技術の流出防⽌対策の適切な執⾏および随時の⾒直しを実施。
現状と課題
○ 営業秘密侵害事犯の相談受理件数は増加傾向にあり、研
究開発における情報漏洩に対するセキュリティ確保が不
可⽋。
○ 安全保障の重要性が拡⼤しており、安全保障に係る技術
の流出防⽌措置を講じることは重要な課題であり、技術
流出対策の適切な執⾏や対象技術の調査分析等が必要。
(出典)警察庁「令和6年における⽣活経済事犯の検挙状況等について」を基に内閣府が作成
営業秘密侵害事犯の検挙事件数及び相談受理件数の推移
KPI
○ 情報漏洩の発⽣抑制や情報セキュリティ等の確保を図り、適切な技術流出防⽌につなげ
る(営業秘密侵害事犯の検挙件数⼜は相談受理件数の状況把握)。
今後の予定(⽅向性)
○ 「秘密情報の保護ハンドブック」および改訂した「営業秘密管理指針」等の周知等を進
め、営業秘密の漏えい防⽌に向けた啓発活動を強化。
○ 「技術管理強化のための官⺠対話スキーム」(2024年12⽉に施⾏)の適切な執⾏、お
よび、対象とすべき技術の調査・分析による随時の⾒直し。
○ 国の資⾦による委託等により⾏われる研究開発プロジェクトに関する、⼊⼝から出⼝ま
での段階に応じた技術流出防⽌対策の実施。
8
海賊版・模倣品対策の強化
保護
海外発海外向けの海賊版サイトの被害が拡⼤し⼿法が巧妙化する中、⺠間の主体的な取組を適切に⽀援で
きるよう、密に連携や情報共有をしながら、官⺠⼀体となって海賊版対策を強化。
模倣品被害が深刻化してきている中、厳正な⽔際取締りの強化や、損害賠償額算定⽅法の⾒直し(2019年
の特許法改正)の効果検証を踏まえた侵害抑⽌に向けた更なる対応の必要性を含めた検討を実施。
現状と課題
○ ⽇本向け出版物海賊版上位10サイトアクセス数合計は、3億アク
セス程度と、依然として⾼⽔準であり、予断を許さない状況。
○ 国境を越えた海賊版の負のエコシステムへの対策が必要。
○ 税関における偽ブランド品等の知的財産侵害物品の輸⼊差⽌件数が
2024年は3万3千件を超え、過去最多を更新。
○ 損害賠償額算定⽅法の⾒直し(2019年の特許法改正)の効果検証
を⾏い、侵害抑⽌に向けた更なる対応の必要性の検討。
(出典)⼀般社団法⼈ABJ「出版物違法サイトの状況」https://www.abj.or.jp/data
出版物海賊版上位10サイト アクセス数合計の⽉別変化
KPI
○ ⽇本国内からの出版物海賊版へのアクセスを低減する(直近5年間で最も少なかったのは、約1億アクセス)。
○ 模倣品被害の抑制のため、⽔際措置を推進する(税関における知的財産侵害物品の差⽌件数の状況把握)。
今後の予定(⽅向性)
○ 海賊版等対策官⺠実務者級連絡会議を通じ、「インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び⼯程表」に基
づく取組を官⺠⼀体となって進める。
○ 海外発海外向けの海賊版被害に対応するため、現地での普及啓発、国際連携・執⾏等の強化や、正規版流通促進に官⺠⼀体
となって取り組む。
○ 海外事業者が郵送等により国内に持ち込む模倣品が税関による取締りの対象となった2022年改正商標法・関税法等を踏ま
えた関係府省等の連携による模倣品・海賊版に対する厳正な⽔際取締りの実施。
○ 損害賠償額算定⽅法の⾒直し(2019年の特許法改正)の効果検証を⾏いつつ、特許表⽰の機能向上等を含めた知的財産の
侵害を抑⽌するための適切な制度的⼿当のあり⽅を検討し、法改正を含めた必要な措置を講ずる。
9
産業財産権制度・運⽤の強化
保護
国際的に求⼼⼒のある知財制度・システムの実現に向けて、産業財産権制度のグローバル化のみならず
デジタル化への対応が重要であり、DX時代の産業財産権制度のあり⽅について検討。
侵害抑⽌に向けた紛争解決⼿段の⾒直し・改善の検討も不可⽋であり、損害賠償額算定⽅法の⾒直しの
効果検証を実施し、知的財産の侵害を抑⽌するための適切な制度的⼿当のあり⽅を検討。
現状と課題
○ イノベーションハブとしての地位の確⽴とともに、その受け⽫とな
る特許申請⼿続のグローバル化対応を強化することが必要。
○ 国際的に求⼼⼒のある知財制度・システムの実現に向けて、グロー
バル化のみならずデジタル化への対応について制度改正を含め検討
が必要。
○ 侵害抑⽌に向けた紛争解決⼿段の⾒直し・改善の検討も不可⽋。
(出典)知財⾼裁ウェブサイト「統計」より特許庁作成
特許権侵害に係る損害賠償請求訴訟における認容額(東京地裁・⼤阪地裁)
KPI
○ 国際的に求⼼⼒のある知財制度・システムに向けて、争訟制度の充実化を推進する(2019年以降の認
容額の上昇傾向の状況把握、ADR受理事件数の状況把握等)。
今後の予定(⽅向性)
○ イノベーション創出の促進に向けた外国語書⾯出願制度に関するユーザーニーズ等調査の実施。
○ ネットワーク上における国境を跨いだ特許侵害について、発明の実施形態として実質的に国内の実施
⾏為と認める要件の明⽂化に関する検討を進め、法改正を含めた必要な措置を講ずる。
○ 仮想空間におけるビジネスやデザイン創作の実態を踏まえた意匠制度⾒直しの必要性及び制度的措置
の⽅向性についての検討を進め、法改正を含めた必要な措置を講ずる。
○ 損害賠償額算定⽅法の⾒直し(2019年の特許法改正)の効果検証を⾏いつつ、特許表⽰の機能向上等
を含めた知的財産の侵害を抑⽌するための適切な制度的⼿当のあり⽅を検討し、法改正を含めた必要
な措置を講ずる。
10
地域における知財保護
保護
地⽅等の中⼩企業の知財の利活⽤や保護の促進と、知財制度の⾒直しによるAIやDX推進に向けた環境整
備を通じ、企業等が「知財で稼ぐ」ことを可能とする⽀援策を強化。
農林⽔産・⾷品分野における知財保護・活⽤を通じて、海外から「稼ぐ」ことを念頭に「農林⽔産省知的
財産戦略2030」を策定すべく議論。
現状と課題
○ 知財の知識不⾜や弁理⼠等の⽀援⼈材の地域偏在により特許を取得する中⼩企業
割合は18%弱程度。またAIやDX化への対応に課題あり。
○ 中⼩企業が持続的に賃上げ原資を確保しつつイノベーション創出・付加価値拡⼤
を実現する上で、その源泉となる知財による「稼ぐ⼒」を⾼める必要あり。
○ 農林⽔産物・⾷品の海外市場での需要が拡⼤する中、優良品種の海外流出等のリ
スクに備え、知財の適切な保護・活⽤を促進することが必要。
(出典)特許庁HP「特許⾏政年次報告書2024年度版」
中⼩企業の特許出願件数の推移
KPI
○ 中⼩企業が知財で稼ぐことを⽬標とし、約1.4万社以上の中⼩企業が新規に特許出願等することを促す。
○ 農林⽔産物・⾷品の輸出額は2024年において約1兆5千億円のところ、2030年までに5兆円とする。
今後の予定(⽅向性)
○ 「知財経営⽀援ネットワーク」に中⼩企業庁を加え、より広い知財取引の実態把握と共に、中⼩企業等や
⽀援機関の「知財経営リテラシー」の向上と経営相談等に効率的に⽀援する。
○ 中⼩企業における「知財で稼ぐ⼒」を⾼めるための具体的取組(知財経営リテラシーの向上、地域拠点の
形成等を含めた知財の活⽤促進、特許表⽰の機能向上等を含めた知財の保護強化等)を取りまとめた対応
策の策定及び推進を検討する。
○ 国内における農林⽔産物の知財マネジメントの強化に向け、農業知財を担う⼈材育成や現場⽀援体制の充
実化等の取組を促進する。
○ 農林⽔産物・⾷料品の輸出促進に向け、育成者権管理機関の早期⽴上げを推進するとともに、優良品種の
農業現場における管理徹底等の制度的枠組みの整備を検討する。
○ EUで⼿⼯芸品等がGIの対象となることを踏まえ、EUの動向を把握し、⽇本での導⼊可否を検討する。 11
産学連携による社会実装の推進/スタートアップ⽀援
活⽤
⼤学知財の社会実装機会の最⼤化と資⾦の好循環に向けて、⼤学知財ガバナンスガイドラインの浸透
と産学連携の実態把握を進め、好事例の収集・分析・公表等の必要な対応を検討。
スタートアップの事業化に重要となる知財戦略の構築に向け、スタートアップ向けの戦略構築⽀援等
の取り組みを進めつつ、官⺠をあげて知財⼈材派遣や知財⽀援⼈材の育成を⽀援。
現状と課題
○ ⼤学知財の社会実装機会の最⼤化と資⾦の好循環の
更なる向上が求められる。
⼤学保有特許の約8割は未利⽤。実装機会の拡⼤余地あり。
研究者への流動化が進む中、
⼤学等研究者の転退職時の知財取扱い指針の推進が必要。
⼀切変更を認めない等の硬直的な契約交渉事例が散⾒。
○ スタートアップエコシステムにおける知財浸透や、スタート
アップの知財戦略の構築を⽀援できる知財⼈材が不⾜。
(出典)⽂部科学省「令和4年度⼤学等における産学連携等実施状況について」に基づき
内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
⼤学保有特許の利⽤状況
KPI
○ ⼤学知財ガバナンスガイドラインの普及などを通じて、知財の社会実装機会の最⼤化を後押しする
(社会実装事例やその状況把握)。
○ スタートアップへの知財⾯からの⽀援策を通じて、スタートアップ育成を推進する(スタートアップ
⽀援満⾜度や事例を含めた状況把握)。
今後の予定(⽅向性)
○ ⼤学知財ガバナンスガイドラインや⼤学等研究者の転退職時の知財取扱い指針の普及促進、
加えて、産学連携の実態調査を⾏い、好事例の収集・分析・公表等の必要な対応を検討。
○ シーズ発掘と出⼝戦略策定から、事業化の各フェーズでの切⽬ない知財⽀援をする。
⼈材派遣⽀援︓iAca(⼤学等の研究成果の社会実装に向けた知財⽀援事業)、IPAS、VC-IPAS
⼈材育成⽀援︓知財⽀援⼈材向けスキルマップを踏まえた研修の改善
12
新たな国際標準戦略
活⽤
国際標準を通じた国際社会や我が国の課題解決、経済安全保障への貢献、市場創出を実現すべく、新たな国
際標準戦略を策定。
現状と課題
○ 国際標準化の取り組みは進展するも、産業界や学術界、政府の意識改⾰や、専⾨⼈材育成は道半ば。
○ 近年、デジタル・⽣成AI・気候変動・経済安全保障・システムなどの領域横断的な標準化が拡⼤。欧⽶中
がそれぞれ国際標準戦略を策定し強⼒に標準化を推進。
○ 我が国として、国⺠の安全確保とグローバル市場への参⼊拡⼤を両⽴するための国際標準活動への積極参加
が不可⽋。
今後の予定(⽅向性)
【ポイント① 国際標準の担い⼿の強化】
○ 国際標準活動をリードしていくため、経済界・学術界への働きかけ、関連⼈材の育成や専⾨サービスの育成・強化、国際
的なネットワーキングや各国との連携の強化等の取組を進める。
【経済界・学術界・政府】 経営層の意識改⾰、研究開発・補助⾦・公共調達での標準化⽀援
【専⾨⼈材・サービス】
⼈材育成システム強化、試験・認証機関育成強化に向けた海外連携・施設整備⽀援
【国際連携・ネットワーク】 国際機関等への積極参画、国際相互承認の推進、国際会議の招致
【官⺠連携の場の設置】 官⺠連携による司令塔の設置、官⺠での情報共有、在外官⺠ネットワーク
【ポイント② 戦略領域・重要領域の選定】
○ 国際社会及び我が国にとって重要であり、かつ、国際標準が
重要成功要因となり得る17の重要領域を選定。対応の緊要性
を踏まえ、重要領域の中から、更に8つの戦略領域を選定。
○ 今後、官⺠でのリソースを集中配分。
戦略領域
⑤モビリティ
①環境・エネルギー
②⾷料・農林⽔産業 ⑥情報通信
⑦量⼦
③防災
⑧バイオエコノミー
④デジタル・AI
重要領域
⑨介護・福祉 ⑫宇宙 ⑮資源
⑬半導体 ⑯海洋
⑩インフラ
⑪フュージョン ⑭素材 ⑰医療・ヘルスケア
【ポイント③ 経済安全保障】
○ ⾃律性の確保、優位性・不可⽋性の確保・維持・強化、国際秩序の維持強化の観点を踏まえ、同志国連携、懸念
国からの財・サービスの流⼊への対応などで国際標準を活⽤する。(戦略領域・重要領域においても経済安全保障
上の重要分野をカバー)
13
活⽤
データ流通・利活⽤環境の整備
データ利活⽤の促進に向け、我が国での包括的な検討を⾏い、データ利活⽤の環境整備を推進。
現状と課題
○ EU等において、個⼈情報保護法制と整合的な形で、医療、⾦融、産業等の分野でデータ利活⽤に係
る制度の整備が急速に進展。
○ データ取扱いルールを実装する際に参考となる「プラットフォームにおけるデータ取扱いルールの
実装ガイダンスVer1.0」(2022年4⽉策定) を踏まえたデータ取扱いルールの実装の推進が必要。
○ 国⺠経済計算の新しい国際基準(2025SNA)にて、データを固定資本として記録することで採択。
KPI
○ 政府全体におけるデータ利活⽤の議論の進展を踏まえ、今後適切なタイミングでKPIを設定する。
今後の予定(⽅向性)
○ プラットフォームにおけるデータ取扱いルール実装ガイダンスver1.0の利⽤を促進する。
○ 我が国のデータ利活⽤制度の在り⽅についての
基本的な⽅針を2025年6⽉を⽬途に作成する。
○ 知財・無形資産の価値化と投資促進において、
研究開発費・知的財産等に加えてデータも企業
価値の源泉としての把握・管理を促進。今般策
定した「新たな国際標準戦略」においても、戦
略領域の1つとして、データに係るルール形成
の推進を図る。
(出典)「デジタル⾏財政改⾰の進捗と更なる対応について」(2025年2⽉20⽇、第9回デジタル⾏財政改⾰会議資料)に基づき
内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
⽇・⽶・EUの法体系⽐較
14
新たなクールジャパン戦略の実装
CJ
クールジャパン関連産業を基幹産業と位置付け、経済効果として、2033年までに合計50兆
円以上の海外展開規模とし、⽇本ファンの割合を10ポイント増加させることを⽬指す。
クールジャパンを活⽤した地⽅創⽣2.0の推進に向けて、関係省庁間をはじめ、⾃治体、⺠
会の垣根を超えた連携を強化し、地域資源を最⼤限活⽤した異分野間連携を推進する。
現状と課題
○ クールジャパン関連産業の最新数値に基づく海外展開の
合計は27.1兆円、前回実績値から8.0兆円、41.92%
コンテンツの海外展開(海外市場規模)
の増加。
訪⽇外国⼈旅⾏(インバウンド)消費額
農林⽔産物・⾷品の輸出額
○ ⽇本を「好きな国」とする率は、全世界の国・地域平均
⾷
⾷品製造業の現地法⼈の売上⾼※
で56.2%、アジア平均は60.3%、欧⽶豪平均は31.0%。
○ グローバル視点(ドルベース)で⽐較すると、旅⾏収⼊ ファッション 繊維品・繊維製品の輸出
主たるファッションメーカーの海外売上
のGDPに占める割合は、⽇本は⽶国より⾼く、英仏は
化粧品の輸出
⽇本の約2.5倍。知的財産使⽤料については⿊字で増加 化粧品
主たる化粧品メーカーの海外売上
傾向にあり、GDPに占める割合では、⽶国を⼤幅に上
合 計
回り、GDPが同規模のドイツとはほぼ同じ。
今回調査値
(兆円)
増減率
(%)
前回調査(兆円)
5.8(2023年)
23.22
4.7(2022年)
8.1 (2024年)
53.39
5.3 (2023年)
1.5 (2024年)
3.64
1.5 (2023年)
7.3 (2023年)
109.00
3.5(2022年)
1(2023年)
2.85
0.9(2022年)
1.8(2023年)
26.83
1.4(2022年)
0.6(2023年)
-21.05
0.8(2022年)
1.0(2023年)
-4.77
1.0(2022)
27.1
41.92
19.1
※前回調査は内閣府調査をもとに作成した「主たる⾷品メーカーの海外売上」を計上していたが、今回調査からは経済産業省「海外事業活動基本調査」もとに作成する
「⾷品製造業の現地法⼈の売上⾼」を計上することとした。
クールジャパン関連産業の海外展開
KPI
○ コンテンツの海外展開、インバウンド(訪⽇外国⼈旅⾏消費額)、農林⽔産物等の海外展開、ファッションや化粧品
等の海外展開など、クールジャパン関連産業の経済効果として、2033年までに50兆円以上の規模とする。
○ ⽇本ファンの拡⼤に向けて、各国・地域における「⽇本が⼤好き」の割合を、2033年までに10ポイント上昇させる。
今後の予定(⽅向性)
○ コンテンツを起点とした経済波及効果の⼤きい官⺠連携による地域⼀体となった取組について、コンテ
ンツ地⽅創⽣拠点として選定を⾏い、2033年までに全国約200か所の選定を⽬指し、地域経済の活性化
を図る。
○ 世界から求められる体験価値化、⾼付加価値化を推進し、マーケット⽬線のブランディングにより海外
の市場規模・拡⼤を図る。また、国際的な政治・経済情勢リスクへの対応、⽇本ファンの拡⼤に向けて
発信⼒を強化に向けて取り組む。
15
(参考1) コンテンツを活用した地方創生の好循環づくり
近年、アニメ等のコンテンツの世界的な⼈気の拡⼤を背景に、作品に登場した場所等、いわゆる「ゆかりの地」を訪れる外国⼈が増加し、
コンテンツの⼈気がインバウンドや⾷等他の分野に波及効果をもたらしている。
コンテンツの活⽤により地域の魅⼒を⾼め、⾼付加価値のインバウンド誘客につなげ地⽅創⽣を実現。
⼤阪・関⻄万博
アニメ・マンガツーリズムフェスティバル出展地域
⾜利スクランブルシティスタジオ
横⼿市増⽥まんが美術館
アニメツーリズムやロケ誘致、博物館・美術館等の拠点化、さらには地域発のコ
ンテンツ制作・関連商品開発やコンテンツの魅⼒を活かした⾼付加価値を⽣み
出す拠点づくりを、関係省庁、⾃治体、関係経済界が連携して推進していくこ
とで、成功事例の輩出・共有とインバウンド拡⼤との好循環づくりを⽬指す。
コンテンツと地方創生の好循環プラン策定
2033年までに全国約200カ所の拠点を選定
(クールジャパン戦略会議において決定)
コンテンツ地⽅創⽣拠点(仮称)の選定
地域⼀体となったコンテンツ起点の取組に対する
関連施策を総動員した重点⽀援
全国⼤での回遊促進によるオーバーツーリズム解消
映画・映像を活⽤した地⽅創⽣に向け、ロケ誘致、「ロケ地の聖地化」を推進(表彰を実施)
官⺠⼀体となったロケツーリズム、アニメツーリズムの推進
「メディア芸術ナショナルセンター」(仮称)の整備・⽂化資源を活⽤した観光コンテンツの磨き上げ
地域資源を活⽤した観光コンテンツの開発、適切な販路開拓、情報発信等への総合的⽀援
コンテンツを活⽤した地⽅創⽣の実現に向けた取組への⽀援
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(参考2) コンテンツと地方創生の好循環プラン
<地⽅で稼ぐ>
②
①ロケ誘致
「Tokyo Vice2」における
渋⾕スクランブル交差点の撮影⾵景。
<世界120ヵ国で放送・配信>
・協会では毎年「訪れてみた
い⽇本のアニメ聖地88」を
選定。
・インバウンド観光客のうち、
潜在的なアニメツーリズムの
全国200カ所選定(2033年まで)
1拠点当たり平均で約50億円の
経済波及効果を想定
約1兆円
260万⼈、
国内消費4000
億円 と 試 算 。 ( 2016
規模は
年時点︓訪⽇来訪者数は
2,400万⼈)
④コラボ商品開発
③にぎわう拠点
・京都国際マンガミュージアム 年間約30万⼈
・⽔⽊しげるロード 年間約150万⼈
・⼤分⽇⽥「進撃の巨⼈ミュージアム」
3年で55億円、30万⼈以上(外国⼈が4割)
・ジブリパーク 年間180万⼈
進撃の巨⼈ in HITA
ミュージアム ANNEX
進撃の巨⼈と⽇⽥の伝統⼯芸とのコラボ商品
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コンテンツ戦略
CJ
2033年までにエンタメ・コンテンツ産業の海外市場規模を20兆円とする⽬標を明確化。
コンテンツ産業官⺠協議会を司令塔機能として、コンテンツ産業の振興に向けて戦略的な議
論を⾏い、官⺠でPDCAサイクルを回していく。
現状と課題
○ 2023年の⽇本のコンテンツ産業の国内外の市場規模は半導体
産業より⼤きく、⽇本の基幹産業といえる。(国内︓13.3兆
円、海外展開︓5.8兆円)。
○ 世界市場は、2019年から2023年までに26.1%と⼤幅拡⼤。
⽇本の2022年から2023年の海外展開の規模は15%の伸び率。
(ドルベース)
○ 海外へのビジネス展開⼒、デジタル・ビジネスに対応した構
造改⾰、コンテンツ産業を⽀える⼈材強化等が依然として⼤
きな課題。
(出典)(株)ヒューマンメディア「日本と世界のメディア×コンテンツ市場データベース(2024)」
をもとに内閣府知的財産戦略推進事務局が作成
KPI
○ ⽇本発のコンテンツ海外市場規模を2033年までに20兆円に拡⼤する。
〇 デジタルアーカイブの推進については、2035年までにジャパンサーチの規模・範囲と利便性がEuropeana並みとな
ることを⽬指す。
今後の予定(⽅向性)
○ 司令塔機能の在り⽅について、更なる明確化に向けて検討。
○ 諸外国における税制も含めたビジネス環境の現状等について把握し、映像産業等コンテンツ分野の効果的な⽀援
策の在り⽅を検討。
○ ⽇本映画制作適正化機構が策定した映適取引ガイドラインに則り制作される作品に対して、制作に係る労働環境
の改善に伴う諸課題の解決策について検討。
○ デジタルアーカイブ戦略に基づき、国関係のアーカイブ機関及びジャパンサーチの達成⽬標を設定し、フォロー
アップを実施。
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知的財産推進計画2025の概要
0.IPトランスフォーメーション
1.知的財産の「創造」
○ 知財・無形資産への投資による価値創造
○ AIと知的財産権
○ 創造⼈材の強化・ダイバーシティの実現
2.知的財産の「保護」
○
○
○
○
技術流出の防⽌
海賊版・模倣品対策の強化
産業財産権制度・運⽤の強化
地域における知財保護
3.知的財産の「活⽤」
○
○
○
○
産学連携による社会実装の推進
スタートアップ⽀援
新たな国際標準戦略
データ流通・利活⽤環境の整備
4.新たなクールジャパン戦略のフォローアップ
○ 新たなクールジャパン戦略の実装
○ コンテンツ戦略
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