議事録
デジタル・AIワーキング・グループ(第6回)
議事録
1.日
時:令和8年1月9日(金)13:30~15:34
2.場
所:オンライン
3.出席者:
(委員等)中室牧子座長、杉本純子座長代理、
落合孝文委員、川邊健太郎委員、林いづみ委員、
田中良弘専門委員、戸田文雄専門委員、
村上文洋専門委員、片桐直人専門委員、村上将一専門委員
(事務局)内閣府規制改革推進室 福田誠次長、大平利幸参事官
(関係者)赤堀一成
田中将人
一般社団法人日本経済団体連合会経済基盤本部主幹
一般社団法人日本経済団体連合会
(NTT株式会社法務部門担当課長)
4.議
角田望
一般社団法人AIリーガルテック協会専務理事
春日舞
一般社団法人AIリーガルテック協会事務局長
渡部友一郎
日本組織内弁護士協会理事・弁護士
石田京子
リーガルテック研究会(早稲田大学法学学術院教授)
神渡史仁
法務省大臣官房司法法制部司法法制課長
岡田陽一
法務省大臣官房付(司法法制部)
題:弁護士法におけるAI活用の更なる明確化について
○大平参事官
定刻となりましたので、ただ今から、規制改革推進会議第6回デジタル・AIワーキ
ング・グループを開催いたします。
委員、専門委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にあ
りがとうございます。
参事官の大平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、事務局から会議に関する連絡事項を申し上げます。本日はオンライン会議とな
りますので、会議資料は画面共有いたしますが、お手元にも御準備いただければと思い
ます。
会議中はカメラをオンにしていただき、発言者の声がはっきり聞き取れるよう、御発
言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言される
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際はミュートを解除していただき、御発言後、再びミュートに戻していただきますよう
御協力をお願いいたします。
続きまして、本日のワーキング・グループの出席状況について報告いたします。住田
専門委員が御欠席との連絡を承っております。
以後の議事進行につきましては、中室座長から必要に応じて杉本座長代理において進
めていただきたい旨、連絡をいただいておりますので、杉本座長代理にお願いしたいと
思います。中室座長が議事進行できるようになりましたら、適宜交代をお願いいたしま
す。
それでは、杉本座長代理、よろしくお願いいたします。
○杉本座長代理
座長代理の杉本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題「弁護士法におけるAI活用の更なる明確化について」に入り
たいと思います。弁護士法におけるAI活用については、契約書の自動レビューと弁護
士法を議題として企業法務のリソースの確保や業務の効率性の向上などを背景として、
AI技術を利用した契約書の自動レビューサービスの提供について、令和4年11月11日
に開催の規制改革推進会議第2回スタートアップ・イノベーションワーキング・グルー
プにおいて御議論いただきました。その結果を受けまして、令和5年8月に法務省より
「 A I 等 を 用 い た 契 約 書 等 関 連 業 務 支 援 サ ー ビ ス の 提 供 と 弁 護 士 法 第 72条 と の 関 係 に
ついて」と題するガイドラインが公表され、契約書の自動レビューサービスは普及して
いると認識しております。
しかしながら、依然としてサービスの利用者または提供者からその可否判断等につい
ての課題が提起されていることから、本日はその更なる明確化について議論をしたいと
思います。この議題に関しましては、一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人
AIリーガルテック協会、日本組織内弁護士協会、リーガルテック研究会、法務省に御
出席いただいております。なお、リーガルテック研究会におかれましては、15時15分頃
に退席される予定と伺っております。
今回は、まず皆様から御説明をいただき、それを受けて委員、専門委員の皆様から御
質問を頂く形で進めたいと思います。
それでは、日本経済団体連合会、AIリーガルテック協会、日本組織内弁護士協会、
リーガルテック研究会、法務省から御説明をいただければと思います。まず、日本経済
団体連合会から10分程度で御説明をお願いいたします。
○日本経済団体連合会経済基盤本部(赤堀主幹)
経団連の赤堀と申します。本日は説明の機会を頂き、誠にありがとうございます。
まずは、生成AIなどに関する経団連の基本的な考えについて御説明いたします。
資料を共有させていただきます。2ページを御覧ください。ここでは経団連の基本的
な考えを示しております。AIは経済成長のドライバーであり、特に生成AIの活用は
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加速的に進んでおり、市場規模が急拡大しております。AIは生産性向上とイノベーシ
ョンに資するものであり、経団連はあらゆる分野でAIのメリットを享受できる「AI
-Poweredな社会」の実現を提言してまいりました。次に、これまでの提言の要点です。
まず、2023年10月に公表した提言「AI活用戦略Ⅱ」では、第1にAIの積極的な活用、
第二にAI活用に付随するリスクへの対応、第3に我が国におけるAI開発能力の強化
を訴えました。
続いて、2024年4月の提言「日本産業の再飛躍へ」では、長期産業戦略で定めるべき
戦略分野の候補として「AI・ロボット」を明記いたしました。
さらに、2024年12月には、経団連としての長期ビジョン「FUTURE DESIGN 2040」を公
表しました。その中で、施策の柱の一つである「イノベーションを通じた新たな価値創
造(Society5.0+)」において、「人間中心のAI」という原則の下、あらゆる分野でA
Iのメリットを享受できる「AI-Poweredな社会」を早急に実現することを求めておりま
す。
3ページをご覧ください。こちらは参考資料として「FUTURE DESIGN 2040」の全体相
関図を示したものです。6つの柱があり、図の真ん中にイノベーションを通じた新たな
価値創造を位置付けており、AI・デジタルはその重要な要素の一つです。
4ページをご覧ください。経団連が昨年9月16日に公表した2025年度規制改革要望の
うち、「AI-Poweredな社会」の実現に関する記載を抜粋したものです。先ほどお示しし
た図でも明記しておりましたとおり、「FUTURE DESIGN 2040」では日本が少子高齢化・
人口減少や資源・エネルギー制約などの課題を乗り越え、公正・公平で持続可能な社会、
課題解決を持続的な成長の源泉とする「科学技術立国」の実現を掲げています。この国
家像の実現に当たっては、急速な技術進歩や経済社会の変化に応じて規制を不断に見直
すことで日本の国力を最大限に引き出す必要があります。生産年齢人口が減り続ける現
状では、新技術の実装を通じた人手不足への対応が不可欠であり、規制がイノベーショ
ンの創出を阻害する要因になってはなりません。
人手不足が顕在化する中、デジタル技術を活用して生産性の向上を図るとともに、新
技術の実装を通じて社会課題の解決につなげる必要があります。そのため、イノベーシ
ョンを生み出す環境を規制改革で実現すべきです。
こうした考えの下、経団連は生成AIなどを用いたリーガルテックサービスの普及促
進に関する規制改革要望を公表しました。生成AI技術の活用により、リーガルテック
分野における企業のガバナンス強化や国際競争力強化につながることを期待しており
ます。
5ページ以降の各論につきましては、NTT法務部門の田中担当課長から説明いたし
ます。
○日本経済団体連合会(NTT株式会社法務部門 田中課長)
お世話になります。ただ今、御紹介に預かりました、NTTの田中と申します。本日
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はよろしくお願いいたします。
各論というところで、企業の法務部門というところがどういったことをやっておるの
かというところも含めてお話しさせていただきます。
まず、このスライドでは、企業の法務部門であればある程度どの会社でもやっておる
と思っているところでございますが、契約書を審査する、法的な観点からチェックをす
るということについて図式化したものでございます。図の上の部分が現状というところ
で、AIを活用していない場合なのですけれども、契約を締結する主管の組織からもら
った契約書を人手でチェックして、法務部の意見ですと回していくという形になってご
ざいます。こちらを例えば生成AIサービスを使うということであれば、理想の形とし
てはどういったものがあるかというと、下の図のとおり、主管の組織の方からAIサー
ビスを使ってもらってある程度書面を仮に修正していただく。その修正の結果をチェッ
クしていくということを人手で実施するというところ、つまり、法務部員が最終チェッ
クを行うということが理想の形態と考えておる次第でございます。
次のスライドをお願いいたします。先ほどお話もございましたとおり、法務省様から
ガイドラインを出していただいております。その中では個別契約に至る経緯や背景事情
等 を 踏 ま え た 契 約 書 等 の 自 動 修 正 を 行 う 生 成 A I サ ー ビ ス と い う と こ ろ が 弁 護 士 法 72
条というところに抵触し得るという御言及を頂いておりますところでございます。
ガイドラインを出していただいた後、どういう状況かと申しますと、生成AIは先ほ
どもお話がありましたとおり急速に普及しておりますので、実際、皆さん法務のメンバ
ー以外も手軽に生成AIを使うことができておりますが、結果が出てきます。その生成
結果の機序が必ず明らかでないというところの中でもっともらしく回答するという汎
用的な生成AIというものが普及している中で、企業法務部においてはこういう状況を
受けてどのようにすべきかというところなのですが、やはりもっともらしい回答という
ところにリスクもあるというところでございまして、こちらについてはある程度健全な
AIの発展というところを希望したいというところもございますし、他方で、企業の法
務部においては経営環境が非常に複雑化している昨今ですとか、あるいはガバナンスに
対する様々な強化の要請といった企業を取り巻く社会情勢等を踏まえながら、正直、業
務は大変逼迫している状況にございます。法務部の社員を増やすという動きもしておる
のですけれども、なかなか法務部門というところは収益に直接結び付くという性質の部
門ではない間接部門にございますので、なかなか人員の拡大というところも限界がある
ところでございます。
今回、要望を実現していただく効果としましては、法秩序の健全な維持と、それから
企業法務における業務効率化というのを同時に実現できるのではなかろうかと考えて
おります。
次のスライドをお願いします。こちらは現状の分析というところでございます。いろ
いろと環境が変わっておる中で法務部員が増加したと答えている会社さんというのは、
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2015年から2020年頃の調査なのですけれども、半数程度にとどまっている。増えている
幅も微増程度だというところでございます。
次のスライドをお願いします。AIの導入によってどういった効果があるかというと
ころでございます。こちらは各社によってまちまちであろうかなと思います。NTTグ
ループにおいても大きい会社、小さい会社を含めていろいろなグループ会社があります。
こちらで取り上げましたのは、年間4,000件程度契約審査を取り扱っている会社でござ
います。こちらについてAIを仮に導入した場合にどのようなことになるかと言います
と、年間4,000時間程度、社員2名程度分の稼働が捻出できるのではなかろうかと考えて
おります。捻出した稼働については、先ほど申し上げたような情勢の変化によって法務
部門に求められる課題というのは大変増えてございますので、そちらに振り向けること
が可能になっているということでございます。
次のスライドをお願いいたします。こちらは非常に大胆な推計ではあるのですけれど
も、日本の全体の法務業務の従事者というところがどの程度いるのかというところはご
ざいますけれども、およそ5万名程度かなという非常に大胆な推測をしているところで
ございますが、こちらはこの1割程度の時間について振り分けることが可能なのではな
かろうかと考えておる次第でございます。また、下の399万社というところの法務業務を
担う組織を持たない会社さんというのもございます。こちらについても今は必ずしも専
門的な知見に基づく審査ができていないところが、AIを活用することによってある程
度そこが進歩できるのではなかろうかと考えておる次第でございます。
次のスライドをお願いします。今、契約書の審査についてお話し申し上げております
けれども、その他の企業法務分野でもいろいろな業務がございます。こちらについて、
法的なところでいろいろな仕事があるのですけれども、このマトリックスで言うと左下、
法的リスクの判断がある程度容易でして、かつ、定型的なものというのがAI活用が期
待される領域なのではなかろうかと考えております。これらは飽くまでAIが最終判断
をするものではなくて、最後は人がチェックをしていくという仕事でございます。契約
や広告物の表示の審査、あるいは文献の調査等々が含まれるかなと思ってございます。
次のスライドをお願いいたします。こちらはまとめというところでございますけれど
も、今の現在地というところで生成AI活用というのが実現しますと、AI活用によっ
て適法な契約が浸透していく。かつ、その適法性が容易に確認できるということになり
ますと、人口減少下社会というところにおいてもAIで補うことによって複雑化する経
営環境やガバナンスの強化というところを実現しながら法秩序をより健全に維持して
いくことができるのではなかろうかと考えておる次第でございます。
逆に実現しなかった未来というところでございますけれども、こちらについては汎用
のAIというのが既に普及してございますので、こういったところである程度適法性が
担保されないような契約が出てきてしまうのではなかろうか。そうすると、これを原因
としていろいろな問題が起こってくる、トラブルが起こってくるというところで、法秩
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序を維持するコストというのが拡大してくるのではなかろうかというところ。それから、
企業の法務部がそうしたところのチェックに専従せざるを得なくなって競争力が低下
していくのではなかろうかというリスクも考えておる次第です。
最後のスライドです。次をお願いします。要望の総括というところでございますけれ
ども、今、申し上げてきたとおりでございまして、生成AIをリーガルテックのところ
で活用できれば、我々企業の法務部門のメンバーがより高度な法的判断により注力でき
るようになりますので、こちらは限られたリソースをより高度な判断に集中できるとい
うことがございますので、こちらについて企業の競争力強化やイノベーション創出とい
うところに不可欠なものだと考えております。
というわけで、以上、ここに書かせていただいているとおりでございますけれども、
例えばいろいろな考え方があると思うのですけれども、ある程度しっかりした結果を出
すということを背景にした生成AIサービスの利用範囲の拡大等を是非認めていただ
きたいと考えておりまして、本日、提出させていただいた次第でございます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○中室座長
ありがとうございました。
ここから議事進行を私の方で務めさせていただきます。座長の慶應義塾大学の中室で
ございます。
続いて、AIリーガルテック協会から10分程度で御説明をお願いいたします。
○AIリーガルテック協会(角田専務理事)
お世話になっております。AIリーガルテック協会の角田と申します。
では、私からプレゼンテーションさせていただければと思います。どうぞよろしくお
願いします。
時間が10分ということなので、こちらは割愛させていただきます。AIとリーガルテ
ック領域で活動を行っている協会になります。基本的にはAIを応用した契約書のレビ
ューや契約法務領域でサービスを提供している事業者から構成されている協会という
形でございます。
今回のテーマである生成AI、AIテクノロジーの法務業務に関する応用とその課題
という内容で少しお話しさせていただければと思います。特に昨今の生成AIの推論能
力の向上に伴って、この新しいテクノロジーを応用してできることというものが大きく
広がっている状況でございます。例えばということなのですが、少し御紹介できればと
思います。今回、もう動き出していますが、今ご覧いただいているのは契約書のドラフ
トを自律的に行うAIエージェントのコンセプトのムービーになっています。自然言語
でチャットインターフェースを通じてAIに指示していくと、裏側で適切な契約書のフ
ォーマットをAIが探してきて、かつ、ユーザーのリクエストを踏まえて契約書をひな
形をベースに修正し、ドラフトを仕上げるという体験です。これは今、当社、リーガル
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オンテクノロジーズという会社なのですけれども、この会社で開発中の例えば契約書を
作成するAIエージェントのイメージになっています。この生成AIを使った契約業務
やエージェントというのはここ1年ぐらいのテクノロジーで可能になった機能という
形になります。技術的にはこういったことが既に可能になっているというところをまず
一つ御共有させていただければと思います。
その上でということなのですが、我々リーガルテック、リーガルAIの事業者の立場
からしても、あるいは、私は元々弁護士をやっていましたけれども、弁護士の立場から
しても、このAIのテクノロジーを法務領域に応用するということは非常に大きな社会
的意義があると思っています。先ほどおっしゃっていただいたようなガバナンスであっ
たり法律をしっかりと社会に浸透させて社会規律を維持するとか、個々人の権利を保護
するという観点からも、法律というものがしっかり社会の隅々に行き届く、多くの人が
しっかりと法律を理解するということは重要だと思いますし、その際にAIが果たせる
ものには非常に大きなものがあるだろうと思っています。
今、多くの人は自分が直面している課題が法的な問題であるということを気付かずに
損失を被るとか、被害が拡大するということが起こっていると思うのですが、例えばこ
れが法務領域に特化したり、法務領域においてしっかりと信頼性を持ってサポートでき
るようなAIテクノロジーがあれば、一般市民の方からしても、あるいは企業からして
も自身が直面している問題の法的側面に気付くことができる。その上で適切な弁護士の
先生に相談するといった形で自らの権利をしっかりと適切に解決していくといったこ
とが可能になるだろうと思っています。
こういったことを考えていく中で一つ日本において問題となる法律が、先ほど来、話
題になっております弁護士法72条という形になります。法律要件を書かせていただいて
いますが、弁護士又は弁護士法人でない者が法律事務等を行うことを禁止するという法
律になっています。リーガルテックのサービスがこれに該当するのではないかという論
点が存在するということです。
これに関しては、法務省様からガイドラインを出していただいております。主に2つ
の法律要件が問題となっておりまして、事件性の要件と言われるスライド左側の要件、
もう一つが、鑑定、その他法律事務と言われる要件です。
まず事件に関しては、結局、個々のリーガルテックサービスがどういった事件におい
て使われるのか、あるいは事業者がその事件に関与していると言えるのかといった解釈
論だったり、当てはめの論点があります。かつ、事件は事件が起こらないと分からない
ので個別判断になるというのが原則的な解釈。ただ、我々が使っているような日常的な
商取引に伴う契約書に関する事務というのは多くの場合事件性がないケースが多いだ
ろうと言われているところです。
もう一つが、鑑定、その他法律事務です。これに関しては確立した判例等はなかなか
見当たらない状況ではあるのですが、伝統的な解釈では法律知識に基づく専門的見解の
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表明というのがこの鑑定要件の解釈になっています。では、AIが出力するものが本当
に法律知識に基づく専門的な見解を表明と言えるのかといった点が、論点になっている。
一定の要件を満たす場合には鑑定とは評価できないだろうということが、示されている
という形でございます。このAILTA(一般社団法人AIリーガルテック協会)、我々
の協会に加入している事業者に関しては、この見解というのをしっかりと踏まえた上で
サービス提供を行っているという状況でございます。
他方で、この法解釈と弁護士法72条特有の問題がございまして、誤解を招きやすいと
いうのが一つの大きな課題になっています。例えばこちらのグレーゾーン回答の表現な
のですけれども、丸ポツの二つ目、回答は、弁護士法72条違反かどうかは個別具体的に
判断されるという内容だが、末尾の「弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能
性があると考えられる」という言い回しになっております。この表現の意味するところ
は何かというところなのですけれども、弁護士法72条が刑罰法規であるということを踏
まえると、最終的には対象となっている事件に関して弁護士法72条に抵触するような行
為が行われたのかという観点から刑事事件化され、刑事裁判手続を経て、証拠をもって
犯罪事実が認定されて初めて弁護士法違反で有罪となります。したがって、最終的な判
断は裁判に委ねられるというのが弁護士法72条の構造になっています。したがって、事
前に幅広く一定のサービスが適法か否かというのを判断するというのがとても難しい
という法律的な特徴があるというのが弁護士法72条です。
したがって、グレーゾーンの照会などで答える場合には、裁判になった場合には裁判
所 に よ っ て 弁 護 士 法 72条 本 文 に 違 反 す る と 評 価 さ れ る 可 能 性 が あ る と 考 え ら れ る と い
った形の回答にならざるを得ないという側面がある。ただ、このような回答がなされて
いるからといってそのサービスが違法かというと、それは分からない。適法と判断され
る可能性もあるかもしれないし、違反すると評価される可能性もあるかもしれない。そ
う い う 難 し さ が あ る と い う の が こ の 弁 護 士 法 72条 と 法 律 領 域 の A I サ ー ビ ス の 関 係 性
という形になっています。
ただ、なかなか日本社会は保守的と言いますか、絶対に適法でないとどうしても将来
違法と評価される可能性があるのであれば止めておこうということで萎縮してサービ
ス提供を断念する事業者も一定数いるであろうと思いますし、これを読んだ法律知識が
ない方、あるいは弁護士法72条の構造であったり裁判のメカニズム、刑事司法のメカニ
ズムを理解していない方は違法なのではないかと受け止める。これによって誤解が生じ
てサービス提供に支障を来すといった事象は生じているのかなと思っています。
時間が来たらおっしゃっていただければと思うのですが、続けさせていただくと、そ
ういった状況の中において生成AIがどんどん進化していって、かつ、先ほどのお話に
もありましたように、これからも日本がしっかりと国際競争力を維持していく、あるい
は高めていくためには、自律型のAIエージェントというのを全てのビジネスプロセス、
全てのビジネスオペレーションに導入して生産性を高めていかないと負けてしまうと
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いう状況が来ます。特に、企業のビジネスオペレーションに関しては、全てがつながっ
ています。開発のオペレーション、営業活動のオペレーション、その後の契約締結、こ
れに伴って発生する契約書のチェック、そしてサービス提供、経理財務の請求のオペレ
ーション、これらの全てのビジネスオペレーションがつながっている中において、例え
ば、法務の契約審査のオペレーションが弁護士法72条が原因でここだけ生産性が上がら
なかったとすると、いくら営業の生産性が5倍になったとしても、開発の生産性が5倍
になったとしても、経営財務の生産性が5倍になったとしても、契約審査が変わらなけ
れば、そこがボトルネックとなって企業全体のオペレーションとしては生産性が結局引
き上がらないという状況になってしまう。
そのように考えていくと、ビジネス上必要不可欠なプロセスである契約審査や作成の
プロセスにおいても、営業活動だったり、開発活動だったりといった生産性が引き上が
っていくものと連動してしっかりとAIだったり自律型のAIエージェントを活用し
て生産性が引き上がっていくという状況を作れないと、ここがボトルネックとなって企
業としては競争力を喪失してしまうという状況が訪れてしまうのではないかと思って
います。
そういうことを考えると、この法務省さんから出たガイドラインも3年ほど前の当時は
生成AIだったりAIエージェントというのが存在していなかった時代のものですので、
この時代に合った物の考え方というのがあると、事業者としては動きやすいのかなと。ユ
ーザーとしても安心して新しいテクノロジーを活用して社会に貢献していく、世の中の進
歩に貢献していくことができるのかなと、あるいは個人であれば自分自身の権利を守ると
いうことができるのかなと思っています。
海外はどうかというと、日本とは全然状況が違いまして。
○中室座長
ちょっと時間が押していますので、まとめていただけますでしょうか。
○AIリーガルテック協会(角田専務理事)
ありがとうございます。
では、最後、アメリカでは例えば1,500億円ぐらいの資金調達を行って法務AIを開発
して、これを企業だったり法律事務所に提供するというスタートアップが出ています。
これに関してはほぼテクノロジー上の制約がない状態で契約書のドラフトだったり、い
ろいろなことをやらせるAIというのを開発、かつ、使われるようになっているという
ところは共有させていただきたいと思います。
あとは大丈夫ですかね。一旦ひとまずここで以上とさせていただきたいと思います。
○中室座長
ありがとうございます。
続いて、日本組織内弁護士協会から10分程度で御説明をお願いいたします。
○日本組織内弁護士協会(渡部理事)
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かしこまりました。
AIリーガルテック協会様、スライドの共有をオフにしていただけますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、私の資料を投映させていただきます。中室先生、皆
様、ご覧になっていらっしゃいますでしょうか。
○中室座長
大丈夫です。
○日本組織内弁護士協会(渡部理事)
ありがとうございます。
改めまして、中室先生、委員の皆様、お忙しい中、貴重な時間を頂きましてありがと
うございます。
私は、弁護士の渡部友一郎と申します。現在は日本組織内弁護士協会の理事、そして
現在、仕事としてはアメリカのIT系の企業のリーガル部門でグローバルにAIを含め
てどのようにリーガルテックを導入していくのかというチームのリーダーをさせてい
ただいております。
本日は、私がお伝えしたいことというのは唯一、一つしかございません。具体的には、
このスライドのタイトルにございますとおり、構成要件の解釈論からAIガバナンスへ
の転換点になるのが今日ではないかというお話でございます。リーガルテックに関する
予見可能性を末永く、このためにはAIガバナンスへ議論を切り換えていく必要がござ
います。今日はそこで、3つの観点から委員の皆様になぜこれが必要なのかといった点
を、過去、それから現在、そして次に未来といった3つの時間軸でお話していきたいと
思います。
まず、こちらのスライドの4ページをご覧ください。私も2022年に有識者として登壇
させていただきましたが、実は現在も2022年と同じ状況が生じています。要するに、グ
レーゾーン解消制度をきっかけに、あれ、もしかしたらこれは法的安定性がないのでは
ないのかという黄色信号が灯ります。そして、この後にこれを追うようにマスコミで報
道がありまして、これは実は黒なのではないのかといったうわさが広がる。そこで規制
改革推進会議が開かれて、法解釈が明確になって、またこれが緑のライトに戻るといっ
た状況が起きていました。
問題は、これを3年ごとに繰り返すのかという点ではないでしょうか。ここからはス
ライドを3つ、2022年当時と同じようにリーガルテックの予見可能性をきちんと確保す
る必要がある、この点が変わらないということをまず数字でお伝えします。
まずこのスライドをご覧ください。4万8,025人、これは我々リーガル部門のすごく主
要な供給元である法学部の学生の人数を比較したもので、この22年で約25%減少してい
ます。
そして、二番目の数字です。先ほども経団連様からも言及がございました、52.4%、
これは2015年と2020年の5年を比較した時に、我々法務の担当者の人員増加がない企業
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の数、半数以上になっております。
それから三番目、49.4%、これは我々リーガル部門1,500社以上の会社にどういうこと
がトッププライオリティーですかといった問いに対する答えになります。この中で法務
部門の効率化・IT化というものが掲げられています。これはまさに人員が限られてい
る中で作業・仕事が増えている、これをどう対応するのか。そのときに我々の唯一の救
世主となるのがまさにリーガルテック、この状況は現在も変わっておりません。そして、
2022年も法務省様が後押ししてくださったように、私も今回法務省様が更に後押しして
くださるのではないかという強い期待を抱いております。
では、委員の皆様、ここでなぜ3年前に議論したことを今、また議論しなければいけ
ないのかと思われている委員の方もいらっしゃると思います。一言で言うとWhy nowと
いったことに答える必要があると思います。実は私個人的な見解としては、今回の再度
72条を考えるというのは既に2022年に仕組まれていたというか、予定されていた帰結で
はないかと思います。22年当時の議論を振り返ると、AI事業者様の方も我々のサービ
スというのはまだプリミティブなものだというお話をされていたと思います。ところが、
先生方も今触っていらっしゃるとおり、AIというのが進化していく中で大きなギャッ
プが生じています。ここからは2つ大きな変化について紹介させていただきます。
まず一つは、AI自体の性能です。これは一つの客観的な情報として、2022年、2025
年のコードの修正の総合テストの点数というものです。これを簡単に例えますと、例え
ば高校1年生の時にテストをさせると2点で赤点だった学生が、たった3年で卒業間近
で70点が取れるようになっている、それほどの大きな進化が前回の2022年から起きてい
る。これがWhy nowを補う一つの理由であると思います。
それから二番目、海外の状況です。先ほど角田先生からもシェアがありましたが、こ
こからは海外のAI事業者の事前の許諾を得て2分ほどの動画を流したいと思います。
そのため、音声が伴いますので、御視聴の皆様、もし音声等の不都合がございましたら、
消して御視聴いただければと思います。当初は私の方でボイスオーバーをしようかとい
うことも考えていたのですけれども、おそらくこのプロダクトのイメージ、まさに私が
今、外資のITのリーガルチームで使っているようなサービスというものが実際どのぐ
らいダイナミックなものかというのを是非、生の動画で少しご覧いただければと思いま
す。
それでは、これから動画を再生させていただきます。
(動画再生)
御視聴ありがとうございます。
ポイントを2つまとめますと、先ほど先生方が御覧になっていただいたとおり、単に
今の海外の製品というのは契約書をレビューしたり、単に契約書を補完する、何かを探
すというだけではなくて、例えば先ほどの例に出ていたようなスウェーデン法に関する
こういうものをぱっと調べたいという時にそれを瞬時に調べてくれて、さらにそれを例
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えばジェネラルカウンセル向けのメールに直す、又は法律の知識がない事業部門の方に
分かりやすくお伝えするといったことまで全部やってくれるような、まさに我々のフル
サポーターという状況になっています。
このとおり、2022年と比較すると、AIそれ自体の性能、さらに日本国外のサービス
というものを見た時に、この3つの数字、我々が直面している苦難を考えますと、是非
この2025年、Why nowといったところで大きな一歩を踏み出す必要があると考えていま
す。
では、最終的にどうすればよいのかというところの個人的な見解でございます。結論
から申し上げますと、AIガバナンスを議論する検討会、勉強会、これは全く名称を問
いませんが、これが必要なのではないかと考えています。また、先生方にも想像してい
ただきたいのですけれども、2028年、2031年、リーガルテックが進歩する度にこの規制
改革推進会議を招集して改めてガイドラインを制定するといったことではなくて、どう
いう条件があればAIガバナンスがしっかり効いたサービスとして信頼できるのかと
いう形で予見可能性を確保していく時代に入っていると思います。
私の報告をまとめますと、リーガルテックに関する予見可能性を末永くする鍵という
のは、もちろん構成要件の解釈も大切なのですけれども、AIガバナンスを検討する場
が必要であるということで、是非とも御検討いただければと思っております。
それでは、ちょうど10分となりましたので、御清聴いただきありがとうございました。
中室先生、一旦ボールをお戻しいたします。
○中室座長
どうもありがとうございます。
それでは、続いてリーガルテック研究会から10分程度で御説明をお願いいたします。
○リーガルテック研究会(石田教授)
早稲田大学の石田でございます。私自身の専門は、法社会学と法曹倫理ということで、
法律家周りのことを研究しておりますが、2023年から来年までの4年間、ここのタイト
ルにありますとおり「DX時代のリーガルサービスとプロフェッション」というテーマ
で他の研究者の皆様、それから研究会には実務家の方もお招きしてプロジェクト研究を
しております。本日はその知見も踏まえ、私の見解にはなりますけれども、お話しさせ
ていただきたいと思います。
申し合わせたわけではないのですけれども、JILA(日本組織内弁護士協会)の渡
部先生の御報告とタイトルが非常に似通っていて、大変親近感を持っているところでご
ざいます。もう既に3つ報告がございましたので、重複するところについては簡単にお
話しさせていただきます。
現状、申し上げるまでもなく様々なリーガルテックサービスが存在します。では、こ
れらのリーガルテックが完全に法律家に取って代われるものなのかということを考え
た時、少なくとも現状ではノーだろうと思います。しかしながら、リーガルテックが法
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律家や企業法務部を補助する仕事をすることはもちろんできて、実際にこの効率化の効
果が非常に大きいという現状があり、このような会議が開かれていると理解しておりま
す。
では、これらが弁護士の現状の規律や法律サービスに関する規律との関係でどういう
問題が生じているのか。実はこの論点が議論されているのは、ここに御参加されていら
っしゃる方も御案内のとおり、日本だけではありません。現在、リーガルテックをどの
ように規律していくかという問題が世界中で議論されています。技術の発展はボーダー
レスです。グローバルレベルのDX化が進む中で、諸外国でもリーガルテックの新しい
技術がどんどん出てくる中で、技術的には可能である。でも、それは実際に実装してい
いだろうか、既存の法規制との間でどのような課題があるだろうかということが議論さ
れています。特に、技術はボーダーレスですが、法律家の規律、それからリーガルサー
ビスの規律は原則として法域ごとになります。これは具体的には、例えばアメリカで言
うと、州ごとの規制になります。個々の州の法律で規制されることになり、それが大変
悩ましく、また、複雑な問題を生じさせています。ただ、どこの議論でも、どの法域に
おいても、この法規制の在り方の議論というのは、悪質な法サービスからの社会の保護
ないし利用者の保護と、司法アクセスの促進の調整という司法政策の視点から行われて
います。そうしますと、当然それぞれの法域における状況、文脈によって、今はこうあ
るべきというものがかなり変わってきますので、現状では普遍的なルールはないけれど
も、いかにして司法アクセスを促進しつつ悪質なサービスを排除していくか、どのよう
なガバナンスが必要かという議論になっています。
もう皆様がお話しくださいましたので詳細は割愛しますが、2022年以降、日本でもこ
のような議論が活発化されました。法社会学者として一つ大変興味深いと思っています
のは、グレーゾーン解消制度というのは、申し上げるまでもなく企業の競争力を高める
ための制度です。それが、弁護士法72条についての照会になると、むしろ萎縮効果を生
んでしまっている。ここが大変問題であるとともに、ある意味この問題はリーガルサー
ビスの領域における非常に特徴的なことであると思っております。
弁護士法72条について、少しだけ背景というものについてお話をさせていただきたい
と思います。現状の弁護士法72条のスライドでお示ししたものというのは昭和24年の弁
護士法制定の際に制定されたものではありますが、実際には昭和8年、1933年に旧弁護
法ができると同時に「法律事務取扱ノ取締ニ関スル法律」という法律でできた条文の文
言がほぼそのまま弁護士法72条で継承されています。つまり、ほぼ100年前にできた法律
で現状の規律が行われているということになります。申し上げるまでもないですが、
1933年ですから、当然「デジタル」という言葉もないような状況で作られた条文です。
現状、この条文に基づいて、では生成AIはどのように適用できるかということを議論
しているような状況なのです。
1933年 に こ の 法 律 が で き た 時 に 議 論 さ れ た 立 法 趣 旨 に つ い て 少 し 御 紹 介 し た い の で
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すが、ここに書いてあるとおり、国会で説明がなされています。この法律は「非弁護士」
の、つまり、当たり前ですけれども、まずヒトなわけですね。「非弁護士の取り締りを
主眼とするものでありまして、非弁護士が他人間の訴訟事件に関し、又は他人間の非訟
事件の紛議に関しまして、代理、仲裁、和解等を為しまして、却って他人間の紛争を助
長せしむるような弊を取締らんとするに在るのであります」と述べており、明らかにこ
れは紛争に資格のない人がむやみに介入することによる害悪を排除するということが
念頭にあったということです。
そうしますと、もう既に様々な御発言があったところでありますけれども、弁護士法
72条 で リ ー ガ ル サ ー ビ ス を 規 制 す る こ と 自 体 が 果 た し て こ の 今 の 時 代 に 適 切 な の だ ろ
うかという問題が出てくるかと思います。もしも72条で規制すると、これをずっと法務
省検討されて、この議論の場合には一般の法律事務とその他の法律事務というところに
いわゆる「事件性」というもので法的紛争について適用する、一定の枠を埋めるという
ことを解釈論として提示してきました。それから、最高裁の裁判例を見る時にも事件性
に親和的なものが非常に多くて、これまで明確に72条違反だと判断されてきたものとい
うのは、紛争にいわゆる事件屋と言われるような人たちが入っていって害悪をなしてい
るというものについての判断でした。
グレーゾーン解消制度はグレーな回答しか得られません。これは角田先生が先ほどお
話しをされたとおりですけれども、刑事罰のあるものですから、具体的なもので裁判所
まで行かないと白か黒かつかないものですから、これをグレーゾーン解消制度でやって
も結局グレーな回答になってしまいます。
弁護士法72条の後半の解釈可能性というものがテクノロジーによる司法アクセス促進
の可能性を萎縮させてしまうおそれがあると考えます。下級審の判断も事件性必要説に
親和的な解釈適用になっておりますけれども、ただ、そもそもテック企業について非弁
事件で裁判になることがあるだろうかと考えると、なかなか考えにくいと思います。テ
ックを使った無資格の方が紛争に介入する、それは十分あり得ると思いますが、テック
企業がそのまま裁判にかけられて72条違反でここは駄目ですよとなることというのは、
なかなか想像し難いように思います。そうすると、そもそもAIのようなテクノロジー
を72条で規律することというのが妥当なのだろうかという疑問が生じてくるわけです。
研究会では実際に中小企業、それから大企業に対してどのようなテクノロジーを法務
に使っていますかという調査をいたしました。一部の中小企業では法務であることを認
識しないで、また、一切そういった研修はないと答えながらも、汎用性のある生成AI
を契約書に使っていますという回答がございました。実際、汎用性のある生成AIで法
的文書を作成するということはかなり行われているようであると考えております。実際
にこの急速に発展している生成AIでプロンプトをきちんと打つと、それらしい法的文
書は作成できます。けれども、何の質の保証もありません。他方で、法律家が関与して
開発した専門業者によるサービスについて、通常の企業法務で利用することについて弁
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護士法72条の適用範囲とすることに本当に合理性があるのだろうか。そもそも全てのリ
ー ガ ル サ ー ビ ス を 72条 で 規 制 す る と い う こ と に 限 界 が あ る の で は な い か と 考 え て お り
ます。
ほんの少しだけ御紹介させていただきますけれども、アメリカではこういった議論が
既に20年前からありまして、2022年、ユタ州ではサンドボックスと呼ばれる試験的な取
組を導入し、弁護士法72条に相当するUPL(Unauthorized Practice of Law)という
取締りと、それから弁護士以外の者による出資を解禁した上で、試験的に裁判所、それ
から現在弁護士会が監督する形で、ここでのサービスが市民、中小企業の司法アクセス
にどれだけ影響を与えることができるかをアセスメントする取組をしています。類似の
試みが他の州でも検討されており、また、それについてのスタンフォード大学の研究所
の報告書がありますけれども、市民がこれで害悪を受けているということは今のところ
ない、と報告されています。問題は、こういった形でグローバルに様々なリーガルテッ
クが発展していくと、これらの外国のサービスを日本の市民だって使うかもしれないと
いう現状があるということです。
これは私自身が今考えているところで、いくつかの論文でも書かせていただいていま
すけれども、確かに裁判に関するところというのは弁護士法72条の規律なのだろうと思
っております。それから、これは紛争案件と非紛争案件、それから企業法務・個人とい
う形のマトリックスにさせていただいておりますが、確かにものによってはどちらとも
言えないものもあるだろうと、それはそのとおりだと思うのですけれども、他方で、こ
れまでの御報告にもあったとおり、明らかに非紛争案件のものというのは存在すると思
います。そういった案件についてはむしろ弁護士法72条というよりは、企業に関しては
企業法務担当者がきちんと検証した上で適切な質の担保されたリーガルテックを使う。
それから、一般市民については消費者保護の視点、あるいは消費者教育の視点を持って
きちんとサービスを使ってもらうといったことができるのではないかと思います。そし
て何よりも重要なのは、全ての領域においてリーガルテックを適切に使用できる専門家
を養成していくことだろうと考えております。
もう既に5年経ちますけれども、2020年ぐらいから海外においてはリーガルテックを
どのように適切に使いこなすといったことが法曹養成の中に組み込まれています。残念
ながら日本ではそういったことが組織的にはできていない状況があります。本当はヒト
の養成まで含めての競争力の強化だろうと考えております。
私からの報告は以上になります。御清聴ありがとうございました。
○中室座長
ありがとうございました。
それでは、最後に法務省さんから10分程度で説明をお願いいたします。
○法務省(神渡課長)
法務省でございます。
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法務省大臣官房司法法制部司法法制課長の神渡と申します。本日はこのような機会を
いただきましてありがとうございます。
これまで様々な御発表を頂いたところですので、これまでの他の発表者の説明と共通
する部分は割愛させていただきたいと思います。本日の委員の先生方を含め、法務省が
今回どういう発表をするんだろうということもあろうかと思いますけれども、まず結論
として申し上げますと、私どもといたしましても、我が国の司法の質の向上と、これか
ら国際競争力を高めるという観点で、我が国のリーガルテックの発展というのは極めて
重要なものであると理解しております。その上で、資格士業である弁護士とAIリーガ
ルテックとのシナジーを生み出して、我が国の企業法務をはじめとする法務サービスの
質を高めていく必要があるという総論において皆様方と考えを共通にするものでござ
います。
その上で、これまで弁護士法72条と法務省のガイドラインとの関係についても様々御
指摘がございました。この間、グレーゾーン解消制度に基づく御質問やその他の場でも
いろいろ御質問いただいたところでございますが、罰則規定ゆえの難しさというところ
と、さらにはガイドラインそのもの、条文そのものに対する御理解がなかなか頂けてい
ない部分による誤解が生じている部分もあるものと理解しております。あくまで弁護士
法72条の規定につきましては、先ほど石田先生からの御説明にもありましたように弁護
士又は弁護士法人ではない者が非弁活動を行うことを規制するものであって、リーガル
テックそのものを規制するものではございません。あくまで弁護士法72条の規定は、用
法、行為規制の問題であると考えております。
現行のガイドラインにおきましても、リーガルテックと弁護士法72条との関係につい
て当時の御議論を踏まえて規制の明確性を補うべく、当時の実情を踏まえて解釈の指針
を示したものと理解しておりますが、しかしながら、現行のガイドラインによってかえ
って新しいサービスの展開を萎縮させているとの御意見も頂いているところでござい
ます。
そこで、私ども法務省といたしましても、実務のニーズも踏まえつつ、さらには弁護
士法72条の保護法益を没却しないような、生成AIの技術的リスク・社会的リスクに対
するガバナンスの在り方も踏まえた解釈、ルールメーキングの在り方を早急に検討する
必要があると認識しているところです。
結論から申し上げますと、法務省としては、本日、いろいろな御意見をこれから頂け
るものと思っておりますし、この頂いた御意見も踏まえまして、新たなガイドラインの
作成ですとか、ソフトロー、ハードローなどいろいろな手段があるかと思いますが、こ
うしたいろいろな手段を視野に入れた課題解決の各方法のメリット・デメリットを意識
した段階的な課題解決も視野に入れつつ、実務の動向や比較法的な視点、さらには有識
者やステークホルダーとなる関係団体の御意見等も頂いた上で、タスクフォースを早急
に省内に立ち上げて解決に向けて動いていきたいというところが、まず我々の現状の考
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え方でございます。
その上で、若干補足して御説明させていただきます。弁護士法の趣旨につきましては
もう御説明がありましたので割愛させていただきます。
スライドの3ページ目になりますが、法務省作成のガイドラインにつきまして簡単に
ここでポイントを適示させていただいております。これは、行為を規制する罰則の構成
要件を分解した上で、それぞれについてどういった条文解釈か、各要件についてのいわ
ゆる「中間項」的な解釈要素を示したというのがこのガイドラインの内容になります。
ですので、例えば、それぞれの要件を満たし得るからということで、どれか一個の要件
を満たすから72条に違反するというものではもちろんございません。これらの要件を事
案 に 即 し て 総 合 的 に 考 慮 し た 上 で 72条 に 違 反 し 該 当 し 得 る か 判 断 さ れ る と い う と こ ろ
でございます。
続いて、現状、我々が考えている課題と、どういう方向で議論を進めていかなくては
いけないかと考えているところについて御説明をさせていただきたいと思います。スラ
イドの4ページ目でございます。現状としては、先ほど申し上げましたようにAIを用
いて企業法務向けにチューニングされた多種多様なリーガルテックサービスがその業
務を大幅に効率化させて、弁護士等を軸とした法務サービスの質を向上させるとともに、
我が国の司法の国際競争力を高めることに大きく貢献することが期待されるところで
ございます。
ただ、昨今のAIの進展や普及の速度は加速化しておりまして、新たなサービスの開
発・提供について、弁護士法72条の関係性が不明確であるとして再整理を求める声があ
るということも我々としても理解しております。ですので、こうしたことを踏まえて、
現状・時代ニーズに応じた再整理が必要であると理解しているところでございます。
他方で、5ページ目になりますが、関係人らの利益を損ね、法律生活の公正かつ円滑
な営みを妨げ、ひいては法律秩序を害するようなことを防止するという弁護士法第72条
が守るべき法益・趣旨を害さないようにするということが必要かつ重要であると考えて
おります。AIの学習・処理の過程で個人情報や機密情報が意図せずに含まれて漏えい
したり、センシティブな情報が漏えいしたりすることでプライバシーの侵害につながっ
たりすれば、ひいては司法・法務に対する信頼の低下を招くおそれがあるということに
ついても理解しておかなければいけませんし、弁護士が実質的に監修しない情報や、ハ
ルシネーションによる誤った法的情報が広く提供される技術的リスクや、その用法に伴
う社会的リスクについても同様に考慮する必要があります。その意味では、ガバナンス
についてもしっかり考えていかなければいけないと思いますし、弁護士その他士業との
関係でどういうふうにシナジーを生み出すかということも併せて考えていかなくては
いけないと理解しております。
その上で、課題解決に向けた方向性として、それぞれに一長一短があると考えてござ
います。6ページ目でございます。
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どういう出口を見据えるかというところについては、この間もいろいろな有識者の先
生からいろいろ御質問を頂いたり、我々の方も調査したりしている過程の中でいろいろ
な解決方法についての御示唆を頂いた部分もございます。ただ、ハードローによる解決
をするということになってきますと、日進月歩のAIの分野に対して機動性が欠ける。
どうしても法律を立案して国会に提出し、可決いただいて、その上で施行するというと
ころまでは、時間がかかります。それをその後、また改正をするとなった場合には更に
時間がかかってくることになります。
ソフトローによる解決ということになってきますと、弁護士法72条が刑罰法規であっ
て、個別の当てはめが具体的な事実を前提とした司法判断であるということからすると、
個別具体のリーガルテックサービスを取り上げて、これが当たる・当たらないというホ
ワイトリストの策定というのを求める声もありますが、こういうホワイトリストの策定
は、なかなか難しいというところがあります。現状のガイドラインの改定、類型を提示
するというところについても、次々に新しいサービスが出てくる中でどういった形で考
えていくかというところがございます。
現状、各方法それぞれにメリット・デメリットがあると思っておりまして、ただ、で
きるだけ安全な形で、しかも技術の発展を阻害しないというところで考えていきますと、
段階的な課題解決というのも、一つ視野に入るのかなと思っており、その上で実務の動
向等を踏まえながら更に検討を行う必要があるのかなと考えているところでございま
す。
以上です。
○中室座長
ありがとうございます。
それでは、ここから質疑応答に入っていきたいと思います。各委員、専門委員からの
御質問を画面に表示していただいて、1名当たりの御質問は原則として2問までとさせ
ていただきます。質問は連続2人まで取りますので、3名以上挙手されている場合には
一度区切らせていただくこともあるかと思います。
では、委員、専門委員の方から御質問はございますでしょうか。
では、片桐委員、お願いいたします。次に田中委員で。
○片桐専門委員
片桐です。
私からは経団連さんに対して現状の確認をさせていただきたいということでございま
す。経団連さんの御説明では企業法務は間接部門なので人員拡大に限界があるというお
話でございました。私は今、ロースクールで学生を教えている関係上、うちの学生たち
も含めていっぱいロースクール生を誕生させているので是非採用いただきたいところ
ではあるのですけれども、それがなぜ増えないのかということについて少し確認をした
いと思います。
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まず、法務部門が扱う契約とはどういった種類のもので、全体の件数のうちどういう
程度のもので、何が増加傾向で、どういうところに業務の拡大の需要があるのかという
ことについてです。
もう一つは、そういう業務の拡大の需要があるということだとすると、それに対して
人員の拡大が追いついていないということだと思いますけれども、その原因はどういう
ところにあるのか。それから、拡大しないままだと増える需要に対してどうやって対応
しようとしているのかということについて、大企業でこうしているのに対して中小企業
ではこうなっているようだということも含めてお話を伺いたいと思います。
私からは以上です。
○中室座長
ありがとうございます。
それでは、田中委員、続けてお願いいたします。
○田中専門委員
ありがとうございます。
私からは日本組織内弁護士協会に大きく2点質問いたします。
まず、先ほど企業の法務部門の厳しい現状についてお話を頂きましたが、企業法務の
業務量の増加と比較して、企業内弁護士の数がどのように推移しているのかを教えてい
ただきたいと思います。
また、企業内弁護士数が企業法務の増加に十分に対応できているのかいないのか、つ
まり、企業法務の重要性や業務量の増大に対して企業内弁護士の数が十分な増加をして
いると言えるのか、このお考えをお聞かせください。
次に、仮にAIのリーガルテックの性能が向上して普及が進むと弁護士等の専門職の
働き方がどのように変わっていくのか、あるいはどのように変わっていくべきと考える
のか、この点についても御教示いただきたいと思います。
以上です。
○中室座長
ありがとうございます。
それでは、もう一人だけ、戸田専門委員までお願いいたします。
○戸田専門委員
ありがとうございます。
私からも2点、AIリーガルテック協会様に御質問させていただきたいのですけれど
も、まず一つはAIの導入効果に関してなのですけれども、経団連様がお示しになった
数値はいろいろな前提条件を置いた概算だと思われるのですけれども、サービスを提供
する側からの概算がございましたら、教えていただきたいと思います。
それから二点目、企業規模による法務格差の指摘がございました。特に十分な法務要
員を配置することが非常に難しい中小企業においてはAI利用で契約前提において一
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定以上のリスクヘッジが可能になるということで非常に大きなメリットがあると思う
のですけれども、サービス提供の費用は大企業のみならず中小企業にとっても導入しや
すいものと想定できるかというこの2点をお聞きしたいと思います。お願いいたします。
○中室座長
ありがとうございます。
それでは、経団連さん、日本組織内弁護士協会さん、AIリーガルテック協会さんの
順番で御回答をお願いいたします。経団連さんからお願いします。
○日本経済団体連合会(NTT株式会社法務部門 田中課長)
経団連、NTTの田中でございます。私から片桐さんから頂きました御質問につきま
して回答させていただきます。
初めに、まずロースクールに携わっていただいているということで、我々としても大
変優秀な皆様を供給していただいていると理解しております。感謝申し上げます。あり
がとうございます。
その上で、いただいた御質問でございます。まず一点目ですが、法務部門としては、
これは手前みそで恐縮ですが、NTTの契約の場合について存じ上げるところがござい
ますので申し上げますと、多くの大企業さんと同じだと思いますが、委託契約、請負や
準委任といった契約が多数を占める傾向がございます。ただ、いわゆる典型契約に限ら
ず、昨今、様々な複雑化した契約が多くございまして、あと、必ずしも委託契約や売買
契約といったものを類型化した統計がございませんので、そのところは私並びにメンバ
ーの印象が上がってしまうのは恐縮なのですが、基本的には委託契約と呼ばれているも
のが多くございますという状況でございます。
二点目の人員拡大しない原因と対応策というところでございます。こちらについては
昨今、人手不足というところがございまして、なかなか企業としても大企業といえども
やはりリソースが限られるところがございます。どういった部署に人員を貼るかという
ことに関してはひとえに経営判断のところがあるのかなと思っておるところなのです
が、企業として注力するところとしましては、今後、収益源となり得るところに人を張
っていって育てていこうとなることが多く、法務などの間接部門と呼ばれている直接収
益に関係しないようなところはなかなかそこに人を積極的に貼っていこうということ
にはなりにくいのではないかなと思います。これはもちろん各社さんの事情があられる
ことだろうと思います。
そういうこともございますので、我々としてももちろん人員のリソースを増やしてい
くということを働き掛けるのはもちろんですけれども、それと同時に今回まさにおっし
ゃるようなAIリーガルテックというものを導入して、いかにして効率的に企業法務を
進めていくかというところを日々邁進しているところでございますので、対応策として
はそういったところが挙げられるかと思います。
以上でございます。
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○中室座長
ありがとうございます。
では、日本組織内弁護士協会さん、お願いいたします。
○日本組織内弁護士協会(渡部理事)
田中専門委員からの御質問、誠にありがとうございます。
結論から申し上げますと、田中先生の御指摘のとおり企業内弁護士という数は増加傾
向にございます。日本組織内弁護士協会の2025年6月の最新の統計によりますと、企業
内弁護士の数は現在3,596名、3,500名を突破いたしまして、前年と比べても着実な伸び
を示しているところでございます。
これを東京三会、東京には3つの弁護士会があるわけでございますけれども、その人
数と比較したところ、企業内弁護士の数は約2,978、これに対して東京三会の弁護士の数
としては2万3,652ということで、実は12.6%が現在は企業内弁護士というふうに増え
てきております。これを少し分かりやすいイメージで言いますと、8両編成の新幹線が
あると、その1両分の座席は全部組織内弁護士で埋まっているというぐらいの数まで増
えている状況でございます。
二番目に御質問がございました、これが企業法務の需要増に対して十分かという点に
関しては、個人の見解を控えつつ、2つの客観的なデータをお示しできるかと思います。
まず一番目に、組織内弁護士を雇用している企業の数でございますけれども、これは
データがございまして、約1,539社で、しかし、これを日本企業全体の368万社から見る
と全体の約0.04%にとどまっているということで、1%も行かなくてむしろそれよりも
更に低い0.04%しかないという状況でございます。
それからもう一つ、総務省の就業構造規則調査等の統計から推計しますと、実際法務
に 専 属 さ れ て い る 方 と い う の は 日 本 企 業 の 中 で も 1,500 人 社 員 が い ら っ し ゃ っ た ら
1,500人の中で1人が専属されているという状況ですので、このデータに基づくと十分
か不十分かというところが見えてくるのではないかと考えております。
それから、最後のAIの普及によって働き方がどう変化するのかという点でございま
す。これは個人の見解でございますけれども、一つ端的に申し上げますと、口角が上が
ったようなスマイルカーブを描くのではないかと思っております。これまで我々は法的
な情報を消費してそれを御提供するという仕事をしてきましたけれども、そこがAIに
取って代わられて付加価値が下がる。したがって、スマイルカーブを描くように左側の
現場力、それから右側の例えばルール形成といった高度な法務業務というものの方の価
値が高まってくるのではないかと考えておりますので、このように現場の需要とさらに
それに対する供給というものが構造的に変わってくるのではないかということで状況
を注視しております。
以上、御参考になれば幸いでございます。
○中室座長
21
ありがとうございます。
それでは、AIリーガルテック協会さん、お願いいたします。
○AIリーガルテック協会(角田専務理事)
ありがとうございます。AIリーガルテック協会の角田です。
戸田先生からの御質問なのですけれども、AIの導入効果、特に法務領域におけるA
Iの導入効果に関しては2点ございます。
一つが質です。法務部門であったり弁護士が担っている業務としては、例えばクライ
アントや企業を法的なリスク、あるいはコンプライアンス違反、ガバナンスの不備とい
ったところから企業を守る、あるいは不利な取引から企業を守るという仕事をしている
のですが、AIを導入することによって見落としが減るであるとか、気付かなかった法
令違反に気付く、契約書のリスクに気付くことができる。これによって質が上がります。
これによって多くの企業だったり利用者が法的なリスクだったりトラブルから守られ
るようになる。この質の面に関しては定量化することは非常に難しいのですが、大きな
効果があると考えています。
もう一つが、企業をリスクから守るために必要なリソース、時間的なリソースである
とか、あるいは一人一人の法務担当者が一件の契約書の審査にかける時間の短縮といっ
たところに大きくインパクトしてくるだろうと思います。定量化することができると本
当は良いのですけれども、どうしても質の部分の定量化というのはなかなか難しい側面
もあって、したがって時間の方もちょっと難しいというのはあるのですが、非常に大き
なインパクトがあると考えております。
二点目、中小企業にとって意味があるのかというところなのですけれども、今、中小
企業は、先ほどのお話もあったように自ら法務担当者を雇い入れることは難しい状況に
置かれています。それは法務人材がいないというのが最も大きな理由。法務人材はイン
ハウスへ行くとしても大企業を選ぶ傾向にある。したがって、中小企業では雇いたくて
も雇えないという状況にあります。
では、どうやってやるのかというと、弁護士の先生に頼むことができれば良いですし、
あるいは自分でやってしまう。その時にもしかしたら粗悪なAIを使っているかもしれ
ない。そのような状況下においてしっかりとクオリティーの担保されたリーズナブルな
AIテクノロジーがあれば、それは中小企業にとって非常に大きな意味があると思いま
すし、実際に我々の協会に加入している事業者が提供しているソリューションの中にも
中小企業の方でも導入いただきやすいような料金体系で提供しているサービスが多く
ございますし、導入実績も多数あるという状況でございます。
以上です。
○中室座長
ありがとうございます。
それでは、続けて質問をお聞きしたいと思います。村上委員、川邊委員、落合委員ま
22
でお聞きしますので、まず村上委員からお願いいたします。
○村上(将)専門委員
私から2点、法務省様とAIリーガルテック協会様にそれぞれ1点ずつお伺いさせて
ください。
まず、法務省様におきまして、ガイドライン検討の際、判例が示した当該条文の趣旨
を踏まえていらっしゃると思いますが、例えばガイドラインではシステムにおいて契約
書等の記載内容を随時自動的に個別の事案に応じた法的リスクの有無やその程度が表
示される場合等には同サービスの提供は鑑定、その他の法律事務に該当し得るといった
記載がなされています。このような行為が仮に鑑定、その他の法律事務に該当したとし
ても、現在の大量のデータを学習したAIモデルを利用した生成AIが直ちに法律秩序
を害するということにはならないと思われます。あくまで当時の技術水準でもっともら
しい嘘をつくハルシネーションの割合が高い場合、社会的リスク等があるのではないか
と考えた結果、慎重に判断をしたという理解でよろしいでしょうかという確認が一点。
もう一点が、AIリーガルテック協会様への御質問です。先ほど渡部弁護士からも御
説明がありましたが、生成AIについては過去の技術水準と比べて飛躍的に性能が向上
しているという印象を持っておりますが、どの程度上がったのか、AIリーガルテック
協会内での正確性や性能の向上のベンチマークなどがあれば、お示しいただきたいです。
また、生成AIが法務のどのような作業に対して成績が良く適していて、どのような作
業が向いていないか、分かれば教えていただきたいです。
以上です。
○中室座長
ありがとうございます。
川邊さん、大丈夫ですか。お願いします。
○川邊委員
私は法務省さんにコメントと質問です。
人材不足が深刻化する法務の現場においてリーガルテックやAIの活用が不可欠であ
る中、その前提となっている制度整理を進めようとされている点については前向きに評
価をしたいと思います。ハルシネーションなどの問題は結構深刻だとは思いますけれど
も、一方で技術の進化も日進月歩ですから、Just Do Itだと思うのですね。ですから、
是非進めていただきたいと思っています。
その上でまず確認したいのは、ガイドライン等で既に整理済みかもしれませんけれど
も、弁護士が自らの業務の中でリーガルテック、AIを利用すること自体は非弁護行為
に当たらないという整理でよいのかという点です。
また、先ほどの村上委員の質問に関連しますけれども、リーガルテック、AI性能へ
の信頼性に対する懸念が背景にあるのであれば、例えばAIの性能や限界を客観的に示
す指標や評価方法を用いて議論することも一案と思いますけれども、この点についてど
23
のように整理していくのかの考えをお聞かせください。
最後に今後の進め方ですけれども、以前のようにガイドラインを示して終わるのでは
なくて、速やかに実質的な議論を行ってできるだけ早期に結論を得ることが重要だと考
えています。この6月にも規制改革の様々な答申が出るはずですから、例えばそこに間
に合わせるといった締切り感を出していただければなと思います。企業法務部門やAI
リーガルテック事業などの関係者を集めた然るべきオープンの場でいつ頃から本格的
な検討を開始して、私のお勧めは6月までですけれども、いつぐらいに結論を出すのか
の見通しを是非聞かせていただければと思います。
以上となります。
○中室座長
ありがとうございます。
落合委員、お願いいたします。
○落合委員
どうもそれぞれ御説明いただきましてありがとうございます。
今回、特に法務省様の御説明をお伺いしておりまして、その中で前回のワーキングと
は異なって特に課題の解決に向けて議論をしていこうと考えられているということに
ついては、十分評価させていただきたいと思っております。
ただ他方で、今回の登壇者から御説明いただいたような企業法務における人材不足と
いうことについては、今の人口減少社会の中ではリーガルだけでもなく、その他の分野
でも社会は複雑化しているのに人が減ってきていて、専門領域が必要になるところは増
えているのになかなかできないということで、また、私も実は東大で授業を持っておる
のですけれども、意外とコンサルタントなどになってしまう法学部の学生も多かったり
して、できる限りそういったところを育てていけると良いな、というので私も頑張るべ
きだとは思っているのですけれども、どうしてもなかなか確保ができないというところ
はやはりあるように思っております。そういった中で、どうしてもこのAIのリーガル
テックというのは使っていかなければいけないというところではないかと思っており
ます。
前回のガイドラインというのは、特にグレーゾーン解消制度というものがあって、そ
こで字面上かなり厳しく見えるような表現があったということもあり、文言上どうそれ
を打ち消すかというところにかなり終始してしまったようなところがあるかなと思っ
ておりまして、そういう意味ではただ他方で弊害の除去というのが、必要な状態だった
と思いますので、やむを得ない状態であったとは思っております。
しかしながら、今回考えていかないといけないのは、この人口減少社会、供給制約に
なっている中で、法務部門であったり、現場でリーガルのしっかりした取組を活かせる
ような人材が不足しているというところを、技術革新ということをどう取り入れていく
か、というのが極めて重要ではないかと思っております。そういった中では、どうやっ
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てバランスを取っていくのか、技術革新と法律業務における、これも先ほどハルシネー
ションの話もございましたが、間違った回答ばかりたくさん出てきてしまってもしよう
がないというわけでもありますし、実際、今の精度はそこまでではないような気もいた
しますが、条文の操作であったりといったところは、なかなか必ずしも容易ではないと
ころもあって、しばしば判例の存在であったり条文の引用などは、AIでも間違ってい
ることがあるように、私も普段AIを使っていて感じるところもございますので、どう
いう形でバランスを取っていくのかというのは極めて重要なポイントになってくるの
ではないかと思っております。
その際には、諸外国において、どういう形でサービスが出てきているのか、というこ
ともございますし、また、そういった中で例えば米国などでありますと、AAA
(American Arbitration Association)といった仲裁機関などもAIを使ったりしてい
るということもあって、非常にそういったサービスの実装ということはかなりやられて
おりますし、政府だけに限らず専門家の団体であったりアカデミアなども含めて、どう
いった点に懸念を整理していくのか、リスクを整理していくのかといったところは、学
習しながら検討していくということが必要ではないかと思いますので、こういった点を、
どういう形で今後取組を進めていかれるのか、というのがまず一点目です。
二点目につきましては、今回の法務省様の御説明の中で、弁護士法72条ということで
御議論いただいておりますが、一つの選択肢としては、他の法律に別段の定めがある場
合にはこの限りではないといった規定もあるように思っております。今回の議論の中で
弁護士法72条というのは、法の制定当初の状況を踏まえれば当然そうであろうとは思い
ますが、必ずしもテクノロジーベンダーを規制するためのものではなく、そういった専
門家ではない、場合によっては不当な意図を持ったような人の法的紛争への介入等を防
止するというところに元々あったかなと思いますが、その中でどうしてもテクノロジー
のガバナンスというのを書き込んでいったり、適切な提供の在り方ということを定めて
いくというのは、なかなか難しい場合もあるのではないかとは思います。
そういう意味では、どうしても弁護士法72条自体は、見かけ上射程がかなり広いサー
ビスに見えるというところもありますので、そうすると逆に別の定めがある場合という
のを活かして、新法というアプローチを取っていくのも必要なのではないかとも思って
おります。これはAIガバナンスについて、法務省様の御発表の中でもあったとは思い
ますが、例えば医療機器などと比較すると、医療機器の場合はプロバイダーというか、
開発者側の安全性であったり有効性であったりといったものを評価したり、システムの
マネジメントに関する評価であったりといった部分を体制面の評価を行っていきなが
ら、また、ガバナンス体制を構築していく。と言うのも、非常に実際のシステムに対す
るガバナンスである、というところがありますので、そういった視点で弁護士そのもの
に対してどうあるべきかというのとはまた別な観点で、システムに対するリスク管理と
いう観点で適切なのか、ハルシネーションであったり安全性というところをどう確保し
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ていくのかというのを、プライバシーの点もあるかもしれませんが、そういった点も含
めて検討していくのが必要ではないかと思いますので、こういった点をどうお考えにな
られるか、という以上2点をお伺いしたいと思います。
○中室座長
ありがとうございます。
では、最初の村上委員の質問にまずAIリーガルテック協会さんからお答えいただい
て、その後、村上さん、川邊さん、落合さんの質問に法務省さんからお答えいただくと
いう順番で行きたいと思います。
まず、AIリーガルテック協会さん、お願いします。
○AIリーガルテック協会(角田専務理事)
ありがとうございます。
御質問は、技術水準がどの程度上がったのかという御質問と、それをどのように評価
しているのか、あと、AIが向いている法務業務とは何かという御質問だったかなと思
います。
まず、一つ目の御質問です。AIの性能に関しては、実際にLarge Language Model(L
LM)だったり、いわゆる生成AIを活用してリーガルテックのソリューションを開発
している立場からしますと、本当に半年ごと、最近では3か月ごとに性能が上がってき
ています。我々としてもこれをしっかりキャッチアップしてクオリティーの高い、実務
でしっかりと信頼いただいて使っていただける実務的なリーガルAIのソリューショ
ンをユーザーの皆さんに届けるということを、技術に一生懸命追い付きながらやらせて
いただいているというのが正直なところです。日進月歩と言いますか、本当に日々進化
している。
これをどうやって計るのかというところなのですけれども、例えば我々はリーガルオ
ンテクノロジーズという会社ですけれども、こちらでは「LegalRikai」というオープン
ソースのベンチマークというのを我々の方で開発していまして、このベンチマークに例
えばGPTの5.2が出たらこれを当てるとか、Geminiの3.0が出たらこれを当てていく。
こういったベンチマークに当てることによってLLMそのものの法務系のタスク、契約
書の分類だったり、情報の抽出だったりといったものにおける性能がどう進化している
かというのを評価しながら製品に搭載させていただいているということをやらせてい
ただいています。
その他にも例えば、司法試験をAIに解かせてみたりといった試みがなされているの
ですが、こういったことによってベースとなる言語モデルそのものの性能評価というの
は各事業者もやっているという状況かなと思います。
もう一つが生成AIの向き不向きなのですけれども、御指摘いただいているとおり、
ハルシネーションの課題がございます。これをいかにコントロールするかというところ
がテーマになっています。例えば何らかのソースを与えてそれを要約させる。この手法
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であればハルシネーションは一定制御できますので、要約であるとか情報に基づいて整
理するといったところは比較的信頼を持って使えるようになってきているかなと思い
ます。
他方で、先ほども条文の引用を間違えるみたいな話もありましたけれども、どうして
も生成AIの構造上、順次文章を生成していくという仕組み上、厳密な条文引用みたい
なものはあまり得意ではなかったり、あと、最新の議論だったり裁判例を踏まえた法解
釈を行うみたいなものはなかなか難しかったり、統計的な判断と最新の判例に基づく判
断というのは必ずしも一致しないケースがありますので難しかったり、あと、現実世界
とつなぎ合わせる事実認定ですね。法律を解釈して、規範に基づいて規範に実際に起こ
っている事実であるとか、証拠に基づいて認定されたものを当てはめるというのは、現
実世界を言語化するというプロセスが必要になるので、直ちにAIだけで完結すること
は難しい仕事であったり、あとは最後に決める判断をするという部分。AIは情報は提
供しますけれども決めてはくれませんので、この判断というのはどうしてもというより
は、むしろ人が担うべき、責任を負うべき業務領域なのではないかなと個人的には思っ
ています。
ひとまず以上です。
○中室座長
ありがとうございます。
では、法務省さん、お願いします。
○法務省(神渡課長)
法務省でございます。
現行ガイドラインについて、当時の技術水準でハルシネーションの割合が高い場合、
社会的リスク等があるのではないかと考えた結果、慎重に判断したのかという御質問だ
ったかと思いますが、御指摘のハルシネーションの割合が高い場合に社会的リスク等が
あるという点については、リーガルテックに関するガバナンスをどのように考えていく
かという観点においては重要な要素であると考えております。しかしながら、前回のガ
イドラインにおける整理として、ハルシネーション等による社会的リスク、すなわち表
示される結果の信頼性などを慎重に考えた結果、御指摘のサービスが鑑定に該当すると
判断したというものではございません。飽くまで弁護士法72条は、弁護士又は弁護士法
人でない者が報酬を得る目的で同条所定の行為を行うことを禁止しているものでござ
いまして、前回のガイドラインの御指摘の該当箇所については、業界の関係者の方々か
らの意見、実情も聴取した上で、御指摘の「システムにおいて、契約書の記載内容を、
随時自動的に、個別の事案に応じた法的リスクの有無やその程度が表示される」という
サービスの客観的性質等を踏まえて、72条の所定の鑑定の定義に照らして、こうしたサ
ービスは、同条の「鑑定」に当たり得るという解釈の指針を示したものでございます。
もちろん72条は、先ほども申し上げましたようにリーガルテックそのものを規制する
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ための目的で設けられた条文ではございませんで、飽くまで非弁行為を規制するという
ものでございます。ですので、仮に提供されるサービスの性質が「鑑定」に該当し得る
としてもその他の要件を満たさないということになれば、当然弁護士法違反にはならな
いという関係のものでございます。
続いて、川邊委員からの御質問の中で、弁護士が自らの業務でリーガルテックサービ
スを利用するのであれば72条違反に当たらないのかという御質問を頂きました。その観
点については、前回のガイドラインでお示しさせていただいたポイントとして2点御説
明させていただきます。もちろん当然のことながら弁護士法72条でございますので、
「弁
護士又は弁護士法人」がリーガルテックサービスを提供しているような場合、我々は「上
流論」と言ったりしますが、「上流」が弁護士又は弁護士法人である場合には当然弁護
士法72条違反にならないという整理をしております。さらに、もう一つが御指摘の点で
ある「下流」、つまり提供する相手方が弁護士又は弁護士法人で、その弁護士又は弁護
士法人が業務として利用する場合ですとか、そういう場合でなくとも、例えば企業さん
であってもインハウスの弁護士が同じような形でそのサービスを利用するという場合
には、弁護士法72条違反に当たらないと整理しているところでございます。
また、ハルシネーションとかそういったところに関しての技術的な測定の方法に関す
る考え方ですとか、オープンな場で速やかに検討を開始すべきであるという御指摘もい
ただきました。この点でございますが、我々としても、繰り返しになりますが、現状の
考えでいきますと、資格士業である弁護士の皆さんの理解も得ながら、また、弁護士と
AIリーガルテックとのシナジーを生み出すということが必要であると考えていると
ころでございます。
我々としても、今回こういう会議の場を頂きましたので、頂いた委員の皆様からの意
見も踏まえて、どうした結論、出口の方向性がよいのか、実務のニーズを踏まえながら、
また、弁護士法72条の保護法益、それから生成AIの技術的・社会的リスクに対するガ
バナンスの在り方なども踏まえた解釈、ルールメーキングの在り方を早急に検討しなけ
ればならないと考えておりまして、先ほど私からの発表で申し上げさせていただきまし
たが、これは内部的な検討だけでは足りないと当然思っており、有識者やステークホル
ダーとなる関係団体の御意見等も頂きながら、まず検討を行うためのタスクフォースを
早急に省内に立ち上げたいとは考えております。
そして、結論の明確な時期というのはなかなか事柄の性質上いろいろ難しい部分もご
ざいますが、本年夏ぐらいを目途に課題解決に向けたロードマップ等の策定も含めて一
定の何らかの結論をお示しすべく、可及的速やかかつ継続的な検討に入りたいと考えて
いるところでございます。
○中室座長
ありがとうございます。
法務省さん、すみません、ちょっと音が途切れてしまっているのです。リーガルテッ
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クを使うことが非弁護行為であるかという質問について、大分音が途切れてしまってい
たのですよ。概ね話は理解できたのですけれども、細かいところで私たちの理解が間違
っていると良くないので、リーガルテックを使うことが非弁護行為であるかということ
について、お答えいただいた2点について簡潔で結構なので、後で文章をチャットに貼
っていただきますようお願いします。
検討の時期の件に関して、川邊さんからお話があったいつ結論を得るかということに
関しては、6月の我々の規制改革の最終答申のところで一定何か答えは出していただけ
るという理解でよろしいですか。
○法務省(神渡課長)
我々といたしましても、そこまでにというところはもちろん急がないといけないとい
うところは思っておりますが、夏ぐらいを目途にというぐらいの形で考えています。な
にぶん検討する内容も結構多岐にわたると思っておりますので、可及的速やかかつ継続
的な検討に入りたいと考えています。
○中室座長
全部丸々100%の答えでなくても構わないので、前進することが当然重要かと思いま
すから、6月の最終答申までに何らかレスポンスが得られれば、我々としてはありがた
いと思っております。
落合委員のお答えについても併せてお願いします。
○法務省(神渡課長)
落合委員からの質問の部分でございますけれども、現状のAIリーガルテックサービ
スと72条との関係については、先ほども発表で申し上げさせていただきましたとおり、
ハードローによる解決というのももちろん考え方の一つとしてあり得ると思っていま
すし、ソフトロー、ガイドラインによるもの、それから現行の解釈についてもう少し細
かく分析をした上でより明確なものにするといった方向ももちろんあり得ると思って
います。それぞれ一長一短があるものと考えておりまして、こうしたことも含めて先ほ
ど申し上げましたように、省内で勉強会を立ち上げて、どのような解決方法が適当なの
か、そういう段階的な課題解決の在り方も含めて検討していきたいと思っているところ
でございます。
○中室座長
ありがとうございます。
落合先生、よろしいですか。
○落合委員
1点だけ。
どうもありがとうございます。今後、検討して整理していくということで良いと思う
のですけれども、法令を作るということが、必ずしも全部ハードローアプローチではな
いように思っております。つまり、具体的な基準だったりといったものは、要するにガ
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イダンスであったり、それが法務省が作るガイダンスであったり、民間のガイダンスで
あったりというものと組み合わせていくというやり方があると思っておりまして、なの
で、最終的に法的な刑罰のトリガーになるかどうかというところだけ法整備としては別
にしておいて、具体的な基準というのは、そういった別の形の技術的なものについては
特に技術的なガイダンスを作ったり、それは全く法律の中に直接その内容を書き込むわ
けではないというやり方であったり、こういったものは例えば署名・押印、対面の見直
しだったりデジタル臨調での一括見直しなどでも、よくやられている手法ではあります
ので。そういった形で、AIガバナンスで言われている、アジャイルガバナンスという
のを制度と組み合わせて、ソフトローにできる限り近いアプローチだけれども、法整備
もするという形でやっていることも多くありますので、是非そういったところも見なが
ら、御検討いただけるといいなと思いました。
以上でございます。
○中室座長
ありがとうございます。
それでは、続きまして林委員、杉本委員、村上委員の順番で、林先生からお願いしま
す。
○林委員
ありがとうございます。
私からは、生成AIを用いたリーガルテックサービスのガバナンスに関連して意見と
質問をさせていただきたいと思います。まず、先ほど石田京子先生が御紹介くださった
様々な研究成果や整理について大変共感しておりまして、一部重なりますが申し上げま
す。昨年、2024年と違って2025年の調査によると、日本でも急速に一般的な生成AIの
利用が普及しておりまして、無料版、有料版を含めてその利用の大層を占めているのは
MicrosoftのCopilotやGoogleのGemini、OpenAIのChatGPTなど 外資 系 の サー ビス のよ う
であります。先ほど渡部先生から日本企業何百万社のうちというお話がありましたが、
日本企業の6割は4人以下の企業、3割が19人以下、つまり9割が19人以下の会社でし
て、300人以上になりますと全体の0.3%に過ぎないといった非常に中小零細企業が多い
中で、皆さんリーガルテック以前にこういった無料版のCopilotやGeminiやChatGPTをリ
ーガルのニーズにも使ってしまっているというのが現状としてはあると思います。
したがいまして、こうしたサービスについて分かりやすい日本語で、利用者に対して
利用者の入力データがAIの学習に利用されることがあるのか、様々なリスクについて
説明表示することや、日本における問合せ窓口の整備などのガバナンスを求めることは
利用者保護のために必要ではないかと思っております。
次に、リーガルテックについても、日本でもリーガルテック、生成AIのカオスマッ
プができるほど既に多数のサービスが提供されておりまして、その多くは開発段階で弁
護士が監修していることをマーケティングにおいてもうたわれているものであると思
います。既に多くの日本の弁護士や、また、法務部があるような企業においては利用が
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進んでおりますし、こうした普及の流れは必然であると認識しています。
ただ、生成AIによるリーガルテックは飽くまでも道具、ツールに過ぎませんので、い
かに開発段階で弁護士が監修を行って良いツールを作っても、ツールの使い方次第で利用
段階のリスクは避けられないと考えております。
私は今後、日本でもリーガルテックの利用拡大が進むことは間違いないと思っておりま
すが、弁護士法72条の立法趣旨である利用者保護の観点からは、こうした利用段階のリス
クを利用者の自己責任で終わらせず、開発段階に加えて利用過程のリスクについても、例
えば市販薬の販売に当たって用法・用量・適用・副作用の表示や説明が販売事業者に義務
付けられているように、リーガルテック事業者の説明責任など、サービスの提供、運用段
階も含めたガバナンスの枠組みの議論を進める必要があるのではないかと思います。
ここから法務省への御質問なのですが、こうしたAIガバナンスの手法として、内閣府
知的財産戦略推進事務局が主催している「AI時代の知的財産権検討会」においては、「A
Iの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード(仮
称)(案)」について、ただ今、パブコメ中でございます。これはAI事業者が行うべき
透明性の確保や知的財産権保護のための措置の原則としてプリンシプル・コードを提案し
ている案でございまして、これらの原則を実施するのか、実施しない場合にはその理由を
説明するようサービスの提供者側に求めるコンプライ・オア・エクスプレインの手法によ
って利用者や権利者に理解が十分得られるように工夫すべきとする案でございます。こう
した考え方も、ただ今、申し上げたようなAI技術を利用したリーガルテックの開発段階
及び利用段階のガバナンスにおいて必要ではないかと考えておりますが、この点について
法務省のお考えをお伺いしたいと思います。
○中室座長
林先生、ありがとうございます。
では、杉本先生、お願いします。
○杉本座長代理
ありがとうございます。
私はこの議題に関する前回のワーキング・グループにも出席させていただきまして、
議論も参加したところであります。質問はAIリーガルテック協会さんと法務省の方に
お願いしたいと思います。
法務省さんからは今日、資料の現状と課題の部分におきまして、ガイドラインの公表
がかえってリーガルテックサービスの開発や提供を萎縮させている可能性もあるとい
う指摘、説明がございましたが、ガイドラインを公表された当時はガイドラインによっ
て一定の考えが示されたということでサービスの普及にもつながり、一定の効果があっ
たものと認識をしております。ですので、昨今のAIの著しい進展に応じて、法務省が
その都度ガイドラインの見直しに即時に着手ができなかったということが現状の課題
の原因にあるように個人的には感じるところでありますけれども、ただ、本日御紹介が
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ありましたように、この2年程度のAI技術の進展の速度は非常に目まぐるしいものが
あり、その速度に行政がなかなか対応できないというのも現実であろうかと思います。
先ほど落合委員とのやり取りでも少し言及されている部分でもあるのですけれども、
本日、法務省からは課題解決に向けた方向性というものも示されており、ハードローに
よる解決もソフトローによる解決もそれぞれ課題があるという御指摘がございました。
そこで、現実的な解決策として、例えば法務省側が大枠の考え方を改めて再整理してそ
れを示す、そしてその上で、その考え方に基づいてAIリーガルテック業界側が自主的
な規制やルールを整備して、進展に応じてそれを見直しながら質の保証していくと考え
るのも一つの方向性ではないかと思っているのですけれども、その点はいかがでしょう
か。よろしくお願いします。
以上です。
○中室座長
ありがとうございます。
村上委員、お願いいたします。
○村上(文)専門委員
私からは法務省さんに1点だけお伺いします。
先ほどAIリーガルテック協会さんの資料にもありましたように、汎用生成AIサー
ビスとリーガルテック専門の事業者の生成AIサービスとのイコールフッティングは
私も重要だと考えます。一方で、汎用AIを規制するのはなかなか難しい面もあると思
います。
そこで、例えば汎用AIでは難しいリーガルテックAIならではの強みを先ほどもあ
ったベンチマークなどもうまく活用して評価して公表していくことで、汎用AIとリー
ガルテックAIとの適切なすみ分けや差別化が図れるのではないかと思います。
また、誰がどのような場面でどのように使うのかといった点も重要だと思います。こ
れらの観点も踏まえて検討すべきと思いますが、法務省さんのお考えをお伺いしたいと
思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
○中室座長
ありがとうございます。
では、まず林先生の御質問について、法務省さんから行きましょうか。では、林先生、
杉本先生、村上さんの質問は全部法務省さんなので、法務省さんからお願いいたします。
○大平参事官
中室先生、事務局ですけれども、AIリーガルテックさんが1問しかないので、もし
良ければそちらから。
○中室座長
では、杉本先生の質問について、AIリーガルテック協会さんからまずお話を頂いて、
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その後、3人の質問にまとめて法務省さんからお答えいただきます。法務省さん、すみ
ませんが画面をオフにしてもらってお話しいただいても良いですか。そうすると音が途
切れる問題がちょっとましになるのではないかと思いますので、では、まず杉本先生の
質問にAIリーガルテック協会さんからお願いします。
○AIリーガルテック協会(角田専務理事)
ありがとうございます。
AIテクノロジーの進歩・発展を法律業務に取り入れていってAIサービスとして提
供する際に業界として何ができるのか、副作用を抑えるために何ができるのかという御
質問だと理解いたしました。法律領域にAIを応用したAIリーガルテックのサービス
を提供していく上で重要な点は2点あると思っています。
一つが、しっかりとクオリティーを担保するということです。ユーザー企業であると
かユーザーの担当者の方がハルシネーションになって間違った法律や裁判例、法律情報
を提供してしまっては、むしろユーザーに損害を与えてしまうということになりかねま
せんので、しっかりと間違えないようにクオリティーの高いリーガルAIのソリューシ
ョンを提供するというのが一つ。これを仕組みとしていかにして担保していくか。
二点目は、そういったハルシネーションがあり得るというところや利用に当たって注
意すべき点、留意すべき点というのをしっかりユーザーに伝えていくということ、過大
広告をしないとか、あたかも人間の弁護士であるかのようなプロモーションをしない、
広告をしないといった点かなと思っているのですが、しっかり正しく使っていただく活
動を行う、この2点がとても大事かなと思っています。
我々AIリーガルテック協会においては、まず一点目に関して、しっかりと開発プロ
セスにおいて弁護士等の専門家というのを関与させる。これによってリーガルテック、
リーガルAIのサービスがユーザーに表示する法律関連の情報の正確性を担保するよ
うな仕組みを設ける。ここはとても大事だと思っていますし、協会加入各社はいずれも
弁護士が開発に携わっているということで、そこは投資を行っているところでございま
す。
あと、もう一つは、サービス提供時にこれは弁護士のサービスとは違うものであると
いったところをしっかり伝えていく。例えば利用規約にそれを表示するであるとか、場
合によっては広告のところにガイドラインを設けていくといったところをやっていく
というのが、より安全でより信頼性の高い状態で我々のAIサービスを使っていただく
前提を作っていくという意味で一つとても大事なのではないかなと思っています。
一旦、以上とさせていただきたいと思いますが、もし追加の御質問等があれば、頂け
れば幸いです。
○中室座長
ありがとうございます。
○杉本座長代理
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すみません、よろしいですか。
○中室座長
どうぞ。
○杉本座長代理
私の質問の趣旨が上手く伝わっていなかったかもしれないのですけれども、お聞きし
たかったのは、今後のガイドライン等の在り方について、解決の方向性について法務省
がその都度ガイドラインを見直したり、新しいものを作ったりということで対応すると
いうよりも、法務省側からは大枠を示して、それに基づきそれを阻害しないようにそれ
を守れるような規制やルールというものをAIリーガルテック業界側が今後定めてい
くという方向性は考えられるでしょうかという質問だったのです。
○AIリーガルテック協会(角田専務理事)
なるほど、大変失礼いたしました。
おっしゃるとおり、技術の進展というのは極めて速くて、3か月、半年ごとに次の次
元に行くような進化をLLMというのは遂げています。このような状況を踏まえると、
その都度ハードローでアプローチしていくというのは現実的ではなかろうと思ってい
ます。
そういう意味で、解釈の大枠であるとか、何らかのガイダンスというのを法務省さん
から示していただいて、テクノロジーに関して知見があるのは我々事業者ですので、
我々がしっかりとAIの最新のテクノロジーの状況であるとか、あるいは同時に弁護士
としての専門家でもありますので、弁護士法72条というものをしっかりと法務省さんに
示していただく指針に従って解釈しながらこれを当てはめていく。これによって自主的
にどういったサービス形態であれば安心して使っていただけるのか、適法かつテクノロ
ジーを殺さずに活かした状態で提供できるのかというのを我々の方でオーナーシップ
を持って言語化していくというところを任せていただけるというのであれば、これはA
Iという日々進化していくテクノロジーを法律領域において扱う規制の枠組みとして、
ガバナンスの枠組みとして、とても適切だろうと私は思います。
御質問の意図を理解し切れず、申し訳ございませんでした。
○中室座長
ありがとうございます。
法務省さん、お願いいたします。
○法務省(神渡課長)
法務省でございます。
林先生からの御質問と杉本先生からの御質問の答えについては、若干共通する部分も
あると思いますので、併せてお答えさせていただきたいと思いますが、いずれの先生か
らの御指摘というのも、今後、いろいろとルールメーキング、解釈の在り方を考えてい
く上では一つ検討していかなくてはいけないような御指摘なのかなと思っております。
34
他方で、いろいろ考えていかなくてはいけないのは、弁護士法72条がまず罰則がある
というところです。弁護士法72条に罰則があるというところに対して、プリンシプル・
コードのような考え方を用いることができるのか、用いるとしてどのようなものを考え
ていくのかについても検討が必要であろうと思いますし、杉本先生がおっしゃっておら
れたように自主規制という部分についても、罰則に直接係る部分に対してということで
はないのはもちろん理解しているのですけれども、この罰則に関わる問題であることプ
ラス、弁護士法というのが弁護士会の自律的な規律に委ねているというところもあり、
弁護士会、弁護士法という特殊な性格を踏まえながら、どういった部分で自主規制に委
ねることが可能なのかについても考えていかなくてはいけないというところもあろう
かと思っています。
杉本先生御指摘のとおり、この3年の間にも新たなサービスが次々に登場しています。
これを一つ一つガイドラインでこれは当たる、これは当たらないと抜いていくのはそも
そも行為規制という弁護士法72条の性質からすると、そうした明確な仕分けができる性
質のものではございませんし、また、新たなサービスが登場する度に、その都度その都
度ガイドラインを変えていくというのは現実的に困難だと思います。ある程度大きな視
点からの整理の考え方として、リーガルテック業者が提供する「行為」とはそもそも何
なのかというところからもう一回立ち戻って整理をする必要があるのではないかと思
っているところです。まだ我々の内部でも今も議論しており、結論の方向性が出ている
ところではないのですけれども、多様な選択肢を含めて議論していかなくてはいけない
なと考えているところでございます。
続いて、村上委員からの質問で、汎用生成AIサービスとAIリーガルテックとのイ
コールフッティングといった問題でございますが、要は、よりリーガルサービスを対象
にチューニングをしたリーガルテックについては規制に当たるかもしれないという状
況の中で、いろいろとサービスが進展できないというお声もございます。逆に価値中立
型の汎用生成AIサービスの場合は、みんながそれを利用することができるということ
になってきますと、どちらが元々の弁護士法の趣旨、保護法益に合致するものなのかと
いう観点においても不合理なことにならないような解釈、ルールメーキングの在り方を
考えていかなくてはいけないと考えています。
従前のガイドラインというのも、先ほどAIリーガルテック協会からもありましたと
おり、我々はいわゆる「事件性」という要件については非常に重要であると考えていま
して、事件性の要件を満たさないようなものについては当然のことながら、弁護士法違
反にはならないというところでございます。
ただ、これは行為規制でございますので、例えば、いろいろなサービスがある中で、
そもそも紛争案件について弁護士は要らないよという形で、「訴訟君」なるサービスを
提供するということになる、それを例えば、当該案件の訴額に基づいてサブスクリプシ
ョンを取るとなったら、これは、おそらく弁護士法違反になり得る場合がでてくるのだ
35
ろうと思います。今後、いろいろなサービスの提供の仕方ということも出てくるのだと
思いますけれども、飽くまで、これは用法としてどうなのかといったところの考え方の
問題に関わってくると思います。さらには、リーガルテックの場合、そもそも具体的な
プロンプトを打つのはユーザーの方であったりするという側面も含めて、これをどのよ
うに弁護士法72条の解釈の中で考えていくのか、それともそもそも解釈を超えたところ
の問題になってくるのかというところも含めて、今後、議論を進めていきたいと思って
おります。
○中室座長
ありがとうございます。
ちょっと時間がありませんので、もし可能だったらという感じなのですけれども、日
本組織内弁護士協会さん、それからAIリーガルテック協会さんに私から一つお願いが
ありまして、今日、何度かAIガバナンスという話が出てきたかなと思うのですけれど
も、例えばヒューマンインザループ原則という言葉が今日も何回か出てきましたけれど
も、そういったAIガバナンス等について、具体的に今後どういうガバナンスであれば
望ましいとお考えかということについて、短くて結構ですので事務局にコメントを寄せ
ていただけましたら大変ありがたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、皆さん、時間になりましたので、ここで取りまとめをさせていただきたい
と思います。
具体的には、法務省さんにおかれましては、企業法務における人手不足に対応しつつ、
法秩序の維持・向上を図るため、AI技術を利用したリーガルテックの利活用を一層推
進する立場から、その提供に関する適切な規制の在り方について必要な議論・検討を実
施するため、可及的速やかに検討会を設置し、結論を得るようにお願いしたいと存じま
す。
その際、これまでのガイドラインのような法律の文言解釈やケースの当てはめにとど
まらず、将来的な技術水準の向上による多様で有益なサービスの登場も想定した検討を
お願いしたく存じます。検討に当たっては諸外国における規制状況やサービスの提供状
況も調査して、本ワーキングで指摘されたリーガルテックの利用者のリテラシーに配慮
して、必要に応じた専門家の関与や透明性の確保などリーガルテックの適切なサービス
提供に係るAIガバナンスの視点や業界との協調的な規制についても議論をお願いし
ます。これは先ほど杉本先生が御指摘いただいた件ですね。解釈で不十分な場合に備え
て、新法の制定についてもその選択肢を外さず議論するようにお願いしたいと思います。
川邊委員からお話がありましたとおり、できれば私たちとしては6月の取りまとめの
時に一定何か書き込めれば良いかなと思っているのです。今日、今後議論していきます
という前向きなお話があって、それは素晴らしいことだと思うのですけれども、永遠の
議論中になってはいけなくて、この分野はすごく技術の進歩が速いということを多くの
方が今日御指摘くださったと思うのですけれども、議論している間に国際競争に負けて
36
しまっては本当に元も子もありませんので、全部完璧に整合的に得られた結論だけが表
に出るということではなくて、期限を決めて一定のものは、その時までに出していただ
くとして徐々に改善しながら前に進んでいくというふうにしないといけないと思うの
ですね。その点は改めてここで法務省さんにお願い申し上げたいと存じます。
私からは以上でございますが、ここで議事は終了させていただきたいと思いますので、
以上で「弁護士法におけるAI活用の更なる明確化について」を終了いたします。関係
団体、法務省はこちらで御退室をお願いいたします。
では、速記はここで止めていただいて、事務局はユーチューブの配信を止めていただ
けますでしょうか。
37
資料1
規制改革推進会議
デジタル・AIワーキング・グループ(第6回)
議事次第
令和8年1月9日(金)
13時30分~15時30分
オ ン ラ イ ン 会 議
議題
資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
弁護士法におけるAI活用の更なる明確化について
一般社団法人日本経済団体連合会提出資料
一般社団法人AIリーガルテック協会提出資料
日本組織内弁護士協会理事渡部友一郎弁護士提出資料
リーガルテック研究会提出資料
法務省提出資料
資料2
資料1
生成AI等を用いたリーガルテックサービスの
普及促進について
ーデジタル・AIワーキング・グループー
2026年1月9日
一般社団法人日本経済団体連合会
目次
Ⅰ.
総論
・・・・・・2
Ⅱ.
各論
・・・・・・5
Ⅲ.
まとめ
・・・・・・11
Ⅰ. 総論
生成AI等に関する経団連の基本的な考え
【基本的な考え】
• AIは経済成長のドライバー。特に生成AIの活用が加速度的に進み、市場規
模が急拡大。
• AIはあらゆる産業における生産性向上とイノベーションに資するものであり、
経団連はあらゆる分野でAIのメリットを享受できる”AI-Poweredな社会”の実現
を提言。
【提言】
• 「AI活用戦略Ⅱ」(2023年10月)
①AIの積極的活用、②AI活用に付随するリスクへの対応、③わが国にお
けるAI開発能力の強化を提言。
• 提言「日本産業の再飛躍へ」(2024年4月)
長期産業戦略で定めるべき戦略分野候補として、「AI・ロボット」を明記。
• 長期ビジョン「FUTURE DESIGN 2040」(2024年12月)
施策「イノベーションを通じた新たな価値創造(Society 5.0+) 」で、「人間
中心のAI」という原則のもと、あらゆる分野でAIのメリットを享受できる
「AI-Poweredな社会」を早急に実現することを求めている。
2
Ⅰ. 総論
(ご参考)「FUTURE DESIGN 2040」 の全体相関図
3
Ⅰ. 総論
「AI-Poweredな社会」の実現に向けて
-2025年度規制改革要望(2025年9月16日)の抜粋-
• 「FUTURE DESIGN 2040」では、日本が少子高齢化・人口減少と、資源・エネ
ルギー制約などの課題を乗り越え、公正・公平で持続可能な社会、課題解決を
持続的な成長の源泉とする「科学技術立国」の実現を掲げている。
• この国家像の実現にあたっては、急速な技術進歩や経済社会の変化に応じて、
規制を不断に見直し、持続可能性を高めるとともに、日本の国力を最大限に引
き出す必要がある。生産年齢人口が減り続ける現状では、新技術の実装を通じ
た人手不足への対応が不可欠であり、規制がイノベーションの創出を阻害する
要因になってはならない。
• 人手不足が顕在化する中、デジタル技術を活用して生産性の向上を図るととも
に、新技術の実装を通じて社会課題の解決につなげる必要があり、イノベー
ションを生み出す環境を規制改革で実現すべき。
• 生成AI等を用いたリーガルテックサービスの普及促進について、経団連の
2025年度規制改革要望として公表。生成AI技術の活用により、リーガル
テック分野における企業のガバナンス強化や国際競争力強化を期待。
4
Ⅱ. 各論(契約書等の審査業務の現状と理想)
企業法務部で契約書等の書面の審査をする際、現状では法務部員が人手で書面を修
正。しかし、生成AIが個別契約に至る経緯・背景事情やビジネス上の視点をふまえ
て書面を適切に修正し、法務部員が最終チェックを行えるのが理想。
AI
法務部
契約書や広告、支払
督促の書面等を作成
雛形等の記載条項からの修正を
注意喚起する生成AIサービスは
存在
ビジネスを勘案した
適切な書面を人手で作成
契約書や広告、支払
督促の書面等を作成
生成AIサービスが
自動的に書面を修正
最終チェックのみ人手で
実施
主管組織
現
状
理
想
5
Ⅱ. 各論(今回の要望趣旨とその背景等)
法務省ガイドラインより弁護士法に抵触しうるとされた、個別契約に至る経緯・背
景事情等をふまえた契約書等の自動修正等を行う生成AIサービスの提供を認めてい
ただきたい。また、契約書等の審査等のほか、生成AIサービスを提供できる企業法
務業務の具体化をお願いしたい。
要望の背景
要望実現の効果
•
法務省ガイドライン(令和5年8月)では、個別事案における契約に至る経緯やその
背景事情、契約しようとする内容等を法的に処理して適切に書面を自動修正するAI
サービスの提供は、弁護士又は弁護士法人でない者が、報酬を得て法律事務を取り
扱うことを禁ずる弁護士法第72条に抵触しうることが言及。
•
ガイドライン公表後現在まで、汎用的な生成AIはアクセスが容易なまま、急速に性
能が向上する一方で、生成結果の機序が必ずしも明らかでなく(回答に際しての参
考情報が不明)、また、どんな問い掛けにも一見確からしく回答する(誤回答を出
力するリスクがあっても、操作者の主観的満足度は高い)状態が継続。
•
企業法務部においては、経営環境の複雑化やガバナンスの更なる強化要請への対応
等を背景に、業務が逼迫。多くの企業は、法務部社員の増員で対応しているが、収
益に直接結びつかない間接部門の人員拡大には限界あり。
法務に特化した生成AIサービスを、企業が適切に安心して利用できる環境
(規制の明確化を含む)が整うことで、法秩序の健全な維持と企業法務にお
ける業務効率化を同時に実現
6
Ⅱ. 各論(法務業務の高度化)
経営環境の複雑化やガバナンス強化の対応に伴い、法務部が経営陣から判断・意見
を求められる頻度は増え、その内容が高度化する一方、法務担当者は1社あたり7.2
人(2015年)から8.5人(2020年)と微増に留まる
法務部が経営陣から判断・意見を
求められる頻度
(2015年 → 2020年)
減少 2%
変化なし
46%
増加
52%
法務部への相談が増加している案件
(2015年 → 2020年)
法的リスクの管理
46.0%
重要な紛争・訴訟
44.0%
企業倫理・コンプライアンス
42.6%
M&A・重要投資案件
39.3%
法律問題一般
39.0%
危機対応(不正・不祥事)
37.5%
35.4%
コーポレートガバナンス
経営戦略・組織改編
16.2%
経営法友会「法務部門実態調査」の分析で見える 企業における 法務人財需要の変化」より作成
https://www.moj.go.jp/content/001376719.pdf
7
Ⅱ. 各論(契約書等の審査業務の現状とAI導入効果)
審査書面を自動修正する生成AIサービス導入により、審査件数が現状維持の場合、
少なくとも年間4,000時間(社員2名(労働時間の10%)相当)の稼働が捻出
■ 当社グループ(A社)の場合
20名
年間4,000件
(法務部が扱う契約審査)
(法務部所属社員)
コーポレート・
ガバナンス強化
が要請。制度変
更等への対応で
業務が拡大傾向。
間接部門の人員
拡大は限界あり。
AI
導入
20名
年間4,000件
(法務部が扱う契約審査)
(法務部所属社員)
年間8,000時間
(契約審査にかかる時間)
コーポレート・
ガバナンスの強
化や戦略的法務
業務に注力
年間4,000時間
(契約審査にかかる時間)
字句修正や適法性チェックの工程が大幅
削減
8
Ⅱ. 各論(契約書等の審査業務へのAI導入効果(大胆な推計))
日本全体の企業法務の労働力不足をAIが補うことで、経営環境の複雑化やガバナン
スの更なる強化への対応力向上が期待
■ 日本全体(約400万社※)の場合
6,000社※
1割の労働時間について、業務振替効果が期待
(法務業務を担う組織を持つ企業)
約50,000名※
(法務業務従事者(平均8.5名/社))
約399万社※
法務業務を担う組織を
持たない企業
契約の適法性等を容易に確認でき、事業規模等に
よる企業間の法務格差が是正
※「第12次法務部門実態調査」(商事法務研究会・経営法友会、2022年4月)から推定
9
Ⅱ. 各論(企業法務における生成AI活用の可能性)
企業法務におけるAI活用は「法的リスクの判断が容易」かつ「定型的」な業務に親
和性があると想定
■ 企業法務の主な業務マトリクス
非定型的
契約書の最終確認
契約交渉
経営判断の
適法性確認
M&Aにおける
デューデリジェンス
社内向け法務研修
コンプライアンス
対応
訴訟・仲裁等
株主総会
取締役会の対応等
IR・投資家対応
AI活用が期待される領域
法的リスクの判断が容易
契約雛形との
差分確認
契約書の一次
チェック
契約書の書式修正
文献・裁判例の
調査
広告表示審査
定型的
法的リスクの判断が困難
海外当局規制に
関するリサーチ
特定領域法令に
関するリサーチ
社外公表文書の
法的リスク確認
新規事業スキーム
の法的構築
10
Ⅲ. まとめ(企業法務における生成AI活用が導く将来)
生成AI活用が実現した未来
•
•
法的正確性が担保されたAI利用により適法な契約が浸透
契約の適法性等を容易に確認可能(弁護士へのアクセスが難し
い企業は、その効果が相対的に大きくなる)
⇒ 人口減少下社会においても、企業法務の労働力を継続
的にAIで補い、経営環境の複雑化やガバナンスの更な
る強化へ対応することで、法秩序がより健全に維持
⇒ 企業法務部が高度な経営判断に注力し、競争力が向上
現在地
生成AI活用が実現しなかった未来
•
•
不正確な汎用AI利用により適法性が担保されない契約が拡大
契約の適法性等を確認するための負担が拡大(弁護士へのアク
セスが難しい企業では、その負担が相対的に大きくなる)
⇒ 人口減少下社会において、企業法務の労働力をAIで補
えず、法秩序の維持コストが拡大
⇒ 企業法務部がチェック機能に専従せざるを得ず、競争
力が低下
11
Ⅲ. まとめ(要望総括)
(要望)生成AIを活用したリーガルテックサービスの提供条件の見直し
• 現状、経営環境の複雑化やガバナンスの更なる強化の要請への対応等を背景に、
企業の法務業務が拡大。多くの企業は、法務部社員の増員で対応しているが、
収益に直接結びつかない間接部門の人員拡大には限界。
• 生成AIの活用は、法務業務の生産性を向上させ、高度な法的判断への注力に大
いに資すると期待。契約書の文言等の修正や一次チェック等から投資や事業リ
スクの判断等へ、限られたリソースを傾注することが、企業の競争力強化やイ
ノベーション創出に不可欠。
• しかしながら、現状では、弁護士以外の者が他人の法律事件に介入し、当事者
等の利益を損ねることを防止する趣旨で、弁護士法は弁護士以外の者が報酬を
得て法律事務を取り扱うことを禁止。その結果、書面の文言等を個別の事案に
おける契約に至る経緯やその背景事情、契約しようとする内容等を法的に処理
して適切に自動修正するAIサービスは未提供。
• そこで、例えば、AI出力結果を適切に判断する体制の構築義務を企業に負わ
せることや、AIサービス開発に弁護士の監督を義務付けることなど、法的に
適当な判断を行うための必要な措置を講じることで、生成AIサービスの提供
(書面等の自動修正)・利用範囲の拡大等(契約書等の審査等のほか、生成AI
サービスを提供・利用できる企業法務業務の具体化)を認めていただきたい。
12
資料3
資料2
AIリーガルテックサービスの
現状と課題について
一般社団法人 AIリーガルテック協会
協会概要
名称
設立日
主たる事務所
代表理事
一般社団法人
AIリーガルテック協会 (AILTA)
2022年9月5日
東京都渋谷区桜丘町1-1
渋谷サクラステージ 19F
松尾 剛行 (弁護士)
活動目的
当協会は、AIリーガルテックサービスの
健全な普及を通じて、法曹界及び企業法務
における活用を推進します。
国際競争力の強化と、司法アクセスの向上
を実現します。
2
主な活動実績
2022年 11月
スタートアップWGにて協会代表理事及び専務理事よりAIリーガルテックに関する発表を実施。
2023年 6月
規制改革推進会議の答申に法務省によるガイドライン作成が含められ、同内容が規制改革実
施計画として閣議決定。
2023年 8月
法務省「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第 72 条との関係に
ついて」公表。
2025年 1月 - 7月
協会名を改称し、「リーガルテックとAIに関する原則」公表。(1月)
オンラインシンポジウム開催。(7月)
3
AIリーガルテックの進化
第1世代 (2018-)
契約自動レビュー
(ひな形との照合)
契約自動作成(ひな
形利用)
締結後の契約管理
第2世代 (2023-)
第3世代 (2025-)
生成AI活用:文章
生成AIを利用したエージェント
修正案提示・ユー
契約生成エージェント
要約・DB検索
ザー指示対応
機能
契約修正エージェント
AIによる法務相談案件の前
裁き(必要な情報を事業側担
当者に問い合わせて収集)
AIによる法務相談案件の初
期回答
4
契約ドラフティングエージェントのデモンストレーション
実際のエージェントの動きをご覧ください。
5
実際のエージェントの動きをご覧ください。
6
AIリーガルテックの普及と弁護士アクセス拡大
手軽なAIリーガルテックは、弁護士相談の機会を増やし、
弁護士へのアクセスを拡大させるポジティブな循環を生み出します。
効率化・
低コスト化
効率化のためAIリーガル
テックの導入が進む
問題の
可視化
ユーザーにおける法的観
点の気づきが増える
弁護士アクセス
の増加
専門的案件の依頼が増加
する
7
弁護士法72条の要件とAIリーガルテック
弁護士法72条の要件
➀ 弁護士又は弁護士法人でない者が
➁ 報酬を得る目的で
➂ 訴訟事件、非訟事件…その他一般の法律
事件に関して
➃ 鑑定…その他の法律事務を取扱い、又は
周旋することを
➄ 業とすること
※➀~➄いずれか1つでも該当しなければ弁護士法72
条違反ではない
事業者の整理(適法性の論拠)
➂に多くの場合該当しない
利用場面は紛争発生前
各社のサービス利用規約上、法律上の争いが
あるものには使えない旨を明記
➃に該当しない
生成AI(大規模言語モデル)を用いたアウトプ
ットは統計的なものに過ぎず、「鑑定」「そ
の他の法律事務」いずれの定義にも該当しな
い。
個別事情を解釈して回答しているものではな
い。
当協会としては、協会各社のAIリーガルテックサービスは、弁護士法に照らしても適法と理解しております。
8
令和5年法務省ガイドラインの判断
ガイドライン発表当時のサービス(契約レビュー等)については、多くの場合、弁護士法72条
に違反しないことが明らかになりました。
「訴訟事件、非訟事件…その他一般の法律事件に
関して」に該当しない(要件➂)
「鑑定…その他の法律事務」ではない(要件➃)
して」に該当するには、いわゆる「事件性」が必
合、一般的な条項例を、その言語的な意味内容に着
「訴訟事件、非訟事件…その他一般の法律事件に関
要。
通常の業務に伴う契約締結に向けた法的問題点の検
討については、特段の争いがない限り多くの場合
予め登録されたひな形や解説の表示、ひな形との照
目して修正・表示することは、「鑑定…その他の法
律事務」に該当しないと整理された。
「事件性がない」と判断された。
参考:法務省大臣官房司法法制部「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」(令和5年8月)
9
課題:グレーゾーン回答による萎縮効果
令和7年8月 法務省グレーゾーン回答
ユーザーの質問文に対し、予め用意したQA記事や通達等の情報をもとに生成AIが生成した
要約文の表示と弁護士法72条の関係についての照会。
回答は、弁護士法72条違反かどうかは個別具体的に判断されるという内容だが、末尾の
「弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能性があると考えられる」という文言に
より、適法に運営可能なサービスまで自粛に追い込まれる「誤解と萎縮」が生じている。
←「可能性」という文言が一人歩きし、サービス提供を断念する事業者が発生。
10
AIリーガルテックと弁護士法72条についての法務省見解
第1世代
第2世代
第3世代
契約自動レビュー
生成AI活用:文章要
生成AIを利用したエージェント機能
契約自動作成
修正案提示・ユーザ
契約修正エージェント
(ひな形との照合)
(ひな形利用)
締結後の契約管理
約・DB検索
ー指示対応
契約生成エージェント
AIによる法務相談案件の前裁き
(必要な情報を事業側担当者に問
い合わせて収集)
AIによる法務相談案件の初期回答
多くの場合適法
個別判断
個別判断
11
海外のAIリーガルテック状況
企業名
Clio
Harv ey
Ironclad
LEGORA
GC AI
(参考) LegalOn
Technologies
地域
特徴
総資金調達額/バリュエーション
(推計、単位:百万ドル)
加/米
事務所管理OS
1,800 /5,000
米
契約ライフサイクル
マネジメント
334 / -
米/英
欧州
米国
日/米等
専門家特化型Legal AI
960 / 8,000
リサーチ・QA機能
266 / 1,800
Legal AI プラットフォーム
182/ -
社内弁護士向けAI
73 / -
日本での弁護士法72条についての萎縮効果は、企業の不利益と国際競争力の低下を招きます。
また、海外AIリーガルテックの急成長に対し、日本が遅れをとる懸念。
12
汎用型生成AI(ChatGPT等)の状況
汎用型生成AIの法務や紛争での利用
契約レビュー等、法務関連タスクにも一定対応
が可能。
労働審判申立てや調停手続等において、代理人
を付けずに汎用型生成AIを用いて本人が対応す
る例もすでに出現している。
Chat GPT等の汎用型生成AIは「リーガルテッ
ク」と名乗らず提供されており、事実上、弁護
士法72条の規制対象として議論されていない。
イコールフッティングの問題
法務領域において質を高めることに尽力してい
るリーガルテック専門事業者が抑制され、そう
でない汎用型生成AI事業者が何らの規制も受け
ないという状況は妥当ではない。
「国民の法律生活の公正かつ円滑な営み」の保
護という弁護士法72条の趣旨に鑑みても、AIの
利活用を推進していくという日本の方針に鑑み
ても、望ましい状況とはいえない。
13
まとめ・提言
現状の課題
グレーゾーン回答の表記による過度な萎
縮効果。
その結果、海外リーガルテックの急成長
に対し、日本は遅れをとる懸念。
制の不公平性 (汎用AIは事実上野放し vs
専門テックは抑制)。
AIリーガルテック協会からの提言
ユーザー保護とイノベーションを両立させるべき。
具体的には、法務省による弁護士法72条の解釈の明確
化、あるいは特別法の制定による予見可能性の担保。
日本だけが取り残される事態を回避する必要がある。
当協会は「リーガルテックとAIに関する原則」を制定し
ている。今後も健全なリーガルテックの発展のため、
自主規制等検討していく。
法務に特化し質の向上に努めるAIリーガルテックの健全な発展が、日本の法務力向上に不可欠。
弁護士や企業法務パーソンは、AIリーガルテックの活用により、難易度の高いプロフェッショナルな職
業として、更なる活躍が期待されます。
14
資料4
資料3
規制改革推進会議
デジタル・AIワーキング・グループ
2026 年 1 月 9 日(金)
リーガルテックを巡る
弁護士法の構成要件解釈論から
「AIガバナンス」の議論へ
― 法務部門・組織内弁護士の予見可能性(2025)
日本組織内弁護士協会(JILA)理事
弁護士 渡部 友一郎
Yuichiro WATANABE
*所属組織又は団体の見解を代表しない個人の見解です。
1
リーガルテックに関する
予見可能性を末永く
2
1.過去
―2022年11月の規制改革推進会議〜2023年8月法務省の文書公表までの到達点―
3
(1) 騒動のきっかけ(グレーゾーン解消制度の回答)
法務省
(2022年10月14日)
法務省は、契約書自動レビューに関する16類型について、回答を
公表。
(2) 新聞報道が相次ぐ
日本経済新聞
(2022年10月14日)
予見可能性の危機
黄色→赤→青信号 22年〜23年
朝日新聞
(2022年10月15日)
AI契約審査、政府が再び「違法の可能性」見解
リンク
AIの契約書審査、非弁活動の可能性 弁護士の利用以
外 法務省
リンク
(3) 前回の規制改革推進会議
規制改革推進会議
(2022年11月11日)
法務省
(2023年8月)
規制改革推進会議(第2回 スタートアップ・イノベー
ションワーキング・グループ)開催・議論。
リンク
法務省は「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービス
の提供と弁護士法第 72 条との関係について」を公表。
リンク
4
法務部門・組織内弁護士の厳しい環境 (1/3)
▲48,025人
(▲24.9%)
法学部の学生(2002年 vs. 2024年)
出典:文部科学省「学校基本調査」2002年と2024年より
法務部門・組織内弁護士の厳しい環境 (2/3)
52.4%
2015年 vs. 2020年
法務担当者の人員増加のない企業
出典:米田憲市編『会社法務部[第12次]実態調査の分析報告』(商事法務、2022年)52頁
法務部門・組織内弁護士の厳しい環境 (3/3)
49.4%
法務部門の今後の課題として
法務業務の効率化・IT化を挙げた企業
(第1位)
出典:米田憲市編『会社法務部[第12次]実態調査の分析報告』(商事法務、2022年)388-389頁
“
(略)法務省といたしましても⋯AI⋯は、有用であると考えております。先ほど
来、協会さん、あるいは渡部先生から御指摘をいただいているところでありま
すけれども、契約の審査の高速化、あるいはナレッジマネジメントといったと
ころに非常に役立つと聞いております。したがいまして、我々といたしまして
も、できる範囲で後押しをしていきたいと考えておりま(す)
法務省(2022年当時 中野参事官ご発言)
議事録29頁:下線部は報告者による
2.現在
―2023年ガイドラインから3年で顕在化した制度ギャップ―
9
“
第1ラウンドは決着。しかし、「過去の法律」と「テクノロジー」との
「衝突」は止まらないだろう。リーガルテック事業者が自ら「プリミ
ティブ」と称するように、今回整理された機能はAI時代の序章にすぎ
ない。人類史上、原子力に匹敵する発明と言われる未来のAIと弁護士
法72条を今後いかに整理するのか⋯第2ラウンドのマグマは、この
瞬間にも、フツフツと蓄積されている。
渡部友一郎「リーガルテックと弁護士法―第1ラウンドの決着」
ジュリスト1590号(2023年)104-105頁
変化 (1/2): AIの成績は当時「2点」から「70点」
1.96% →
71.7%
2022年 vs. 2025年
コード修正の総合テストの点数UP
イメージ: テスト「2点」の学生が、3年間の勉強で「70点」の優秀者へ
Jimenez, C., Wu, B., Kasai, J., et al. (2023). SWE-bench: Can language models resolve real-world GitHub issues?
及び Jimenez et al. (2023), SWE-bench; Stanford HAI (2025), AI Index Report.参照
変化 (2/2): 海外のリーガルテックの進化・競争激化
動画共有(2分9秒)
URL: https://www.youtube.com/watch?v=92_ipeEdpU0
報告者注:ウェブサイトの掲載資料(PDF)では、
意図した動画再生(次頁)が機能しない場合があるため、
意図的に、本頁に動画URLを明記しております。
※次頁にて、弁護士渡部よりボイスオーバーにて、動画共有+解説
※米国の著名リーガルテックツール「Harvey AI」の公式動画より引用
「How Harvey Works: The Future of Legal AI, Explained」
دﺧ
変化していないこと、むしろ、悪化していること
▲24.9%
52.4%
49.4%
日本企業の法務部門を支える「人間」の数は減り vs. 「業務量」は増える
しかも、法令は、日進月歩、止まらず「増加・国際化・複雑化」⋯
3.未来
リーガルテックを巡る終わりなき構成要件の解釈論から
AIガバナンスの枠組みの議論転換(検討会・勉強会の開催と報告取りまとめ)へ
ذﺧ
●
●
私見(今後の方向性)
●
ガイドライン→予見可能性高まる→技術の発展
(不可避)→グレーゾーン→予見可能性下がる
→ガイドライン議論 <以下、永久ループ>
●
テクノロジーは日進月歩であり、ガイドラ
イン更新から2〜3年もすれば、テクノロ
ジーは次の領域に突入している。
AIの時代、構成要件の解釈論を明瞭にする
アプローチと並行し、AIガバナンスの議論
が、アジャイル(俊敏性)を確保できる。
ガイドラインとテクノロジーの差分が生じ
るたびに、グレーゾーンは生じうる。報道
等を通じて、予見可能性が低下すると、法
務部門・組織内弁護士は、安定した「リー
ガルテック」への依拠が難しくなる。
故に、環境整備としては、法務省様にて、
リーガルテックの「AIガバナンス」を議論
する検討会・勉強会(名称は問わない)の
アプローチが有効と思料。
16
リーガルテックに関する
予見可能性を末永く
ーAIガバナンスが次の鍵だー
17
ご静聴、誠にありがとうございました。
当職の発表・研究等に関するお問い合わせがございましたら、
こちら(お問い合わせフォーム参照)まで
小さなことでも、どうぞお知らせください。
Appendix
Appendix(理論面)
リーガルテックと弁護士法第72条を考えるための理論的な「補助線」
19
Appendix
要旨:リーガルテック(AI)に対する、利用者側の「属性」や「リテラシー」に着目。AIガバナンスの議
論の中で、当該製品がどのような「顧客」を対象に提供されているかの要素にも着目してはどうか?
問題の所在:従来、弁護士法第72条の議論は、「提供者」の観点から論じられる場面が多かった。講学上
も実務上も、実在する「利用者」のリテラシーの差異に「実証的」な研究がなされてきたとは言い難い。
会社等で法務や総務に関わるお仕事に従事されている方
弁護士資格など法律関連の資格をお持ちの方(23年ガイドラインが考慮)
相対的に、普段、法律にあまり触れない方(例えば、一般の学生)
弁護士法第72条の保護法益は? 「国民の法律生活の公正かつ円滑な
いとなみ」(最大判昭和46年7月14日刑集25巻5号690頁)
文献:渡部友一郎ほか『弁護士法72条とリーガルテックの規制デザイン(下)』ビジネス法務2023年3月号131-135頁
なぜ今か?:AIのアウトプットを自分自身で検証する力の有無は「法律生活の公正かつ円滑ないとなみ」という結果発生の可能性を変化させうる。
20
Appendix
●
●
補論:持てるものだけの
法務AIにしてはいけない
リーガルテックの提供先を大企業の法務部門や
弁護士がいる会社だけに絞ると何が起こるか
●
●
日本経済の「99.7%」を占める中小企業な
どが置き去りにされる懸念(弁護士を雇用
する企業は「0.05%」程度というデータも
ある)。
総務と法務を1人で兼務するなどの地方の
小規模な現場にこそ、法務AIの「補助者」
が不可欠な時代となってくる。
一部の「持てる企業」や一部の「持てる人
」によるAIの独占ではなく、企業法務に携
わる方々が、全国どこにいても(私の故郷
・鳥取でも)法務AIの恩恵を(安全に)享
受できる制度構築を志向すべき。
構成要件の解釈論から「AIガバナンス」の
成熟した議論を開始する時期。
ﺧﺨ
資料5
資料4
法務分野におけるAI利活用と法的ガバナンス
2026年1月
リーガルテック研究会
石田京子(早稲田大学)
【リーガルテック研究会について】
「DX時代のリーガルサービスとプロフェッション―その法的基盤・専門職倫理・
養成」科研費基盤B(2023-2026)
研究メンバー:石田京子(早稲田大学)、小林一郎(一橋大学)、手賀寛(東京都立大学)、
山口絢(千葉大学)
研究目的:技術革新によりリーガルサービスと法専門職の在り方に変革が迫られている状況
を踏まえて、先端技術を用いたリーガルサービスの発展のために必要な法的基盤と、その提
供にかかる、国際的に競争力ある法専門職の行為規範(専門職倫理)・教育の在り方をパッ
ケージとして研究する。
Waseda Law School
挑
戦
す
る
法
曹
はじめに
現状の日本における主要なリーガルテックサービス
関連文献
の提示
法令判例
検索
定型文の
提示
契約書の
突合
法律相談
リーガル
オペレーション
ではリーガルテックは、法律家に代われるか
現状では、NO
では、リーガルテックが法律家や企業法務部を補助する仕事をすることは
できるか?
YES 企業法務の効率化効果は大きい。弁護士業務においても。
AIの利活用が企業法務分野では重要課題。ではこれは弁護士の規律、法
サービスの規律との関係でどのような問題が生じるか
Waseda Law School
挑
戦
す
る
法
曹
リーガルテックの規律をめぐる議論
リーガルテックをどのように規律していくかという問題は、
基本的には、日本に特有の問題ではない。
技術の発展はボーダーレス。グローバルレベルのDX化が進
む中で、諸外国もリーガルテックと既存の法規制についての
議論が進んでいる。
法律家の規律、リーガルサービスの規律は原則として法域ご
とに行われている。
どの法域においても、法規制は、「悪質な法サービスからの
社会の保護と司法アクセスの促進の調整」という司法政策の
視点から行われている。(=普遍的なルールはない)
Waseda Law School
挑
戦
す
る
法
曹
2022年以降のリーガルテックをめぐ
る若干の動向(弁護士法72条問題)
令和4年6月6日および令和4年10月14日に、リーガルテックを用いた契約書
審査サービス等の弁護士法72条違反可能性について、グレーゾーン解消制度
における法務省の回答が公表。
法務省からの回答はそれぞれ、「弁護士法第72条本文に違反すると評価され
る可能性があると考えられる」(6月6日回答)、「弁護士法第72条本文に
違反すると評価される可能性があることを否定することはできない」(10月
14日回答①)、「弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能性があ
ると考えられる」(10月14日回答②)
内閣府規制改革推進会議スタートアップ・イノベーションWGで取り上げら
れ、最終的には2023年8月、法務省からガイドライン「AI等を用いた契約
書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」が公
表される。
令和7年7月10日の「労務関係のQA作成サービス」への照会についても、
「弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能性がある」(8月4日回
答)。
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挑
戦
す
る
法
曹
弁護士法72条成立の背景
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件
及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般
の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又
はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法
律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
1933年法律事務
取扱ノ取締ニ関
スル法律制定
1949年現弁護士法
制定(72~74条)
現行法72条は、1933年の「法
律事務取扱ノ取締ニ関スル法
律」の文言がほぼそのまま。
「(この法律は)非弁護士の取り締まりを主眼とするものでありまして、非弁
護士が他人間の訴訟事件に関し、又は他人間の非訟事件の紛議に関しまして、
代理、仲裁、和解等を為しまして、却って他人間の紛争を助長せしむるような
弊を取締らんとするに在るのであります。」(第64回帝国議会貴族院議事速記
第31号(昭和8年3月25日)390頁〔渡邊千冬発言〕、金子要人『改正弁護士法精
義』昭和9年・立興社、97頁以下。)
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挑
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る
法
曹
当時、その目的は弁護士でない者が他人間の紛争に
介入することの害悪を排除することにあった
弁護士法72条でリーガルテックを規制することの課題
現代の
法化社会
文言通りの「その他一般の法律事件」+「その他
の法律事務」
法的紛争
「世上には、このような資格もなく… みずからの利益のため、みだり
に他人の法律事件に介入することを業とするような例もないではなく
、これを放置するときは、当事者その他の関係人らの利益をそこね、
法律生活の公正かつ円滑ないとなみを妨げ…」(S46判例)
グレーゾーン解消制度ではグレーな回答しか得られず、これを端緒と
したガイドラインもイノベーションの萎縮効果を生んでしまった。
弁護士法72条の広範な解釈可能性が、テクノロジーによる司法アクセ
ス促進の可能性を遮断してしまう恐れがある。
Waseda Law School
挑
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す
る
法
曹
下級審の判断も事件性必要説に親和的な解釈適用。
ただし、テック業者について非弁事件で裁判になる
ことはあるだろうか?
そもそもAIについて72条で規律することは妥当か?
研究会の調査からの知見
一部の中小企業では、「法務」であることを認識せず
に、研修も行われずに、汎用性のある生成AIでの法的
文書作成が行われている状況が確認された。
実際、急速に発展している生成AIでプロンプトを打て
ば、「それらしい」法的文書の作成は可能。(だが、
誰も質の保証はしていない。)
法律家が関与して開発した、通常の企業法務(紛争案
件でないもの)を弁護士法72条の適用範囲とすること
に合理性はあるか。
そもそも、全てのリーガルサービスを72条で規制しよ
うとすることに限界はないか。
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る
法
曹
参考:アメリカの動向
ユタ州の試験的試み:2020年にSandboxと呼ばれる試験的枠組みで、
最高裁判所の下にUtah Office of Legal Services Innovationという機関を
設置し、UPL(非弁取り締まり)の廃止とABS(弁護士以外の者によ
る法律事務所への出資)の解禁を導入。機関の監督下に置かれる。
2025年9月の状況として、12業者が管理下で業務を行っている。
アリゾナ州の試験的試み:2020年に最高裁規則として、ABSを解禁。
LegalZoom等のテック企業が弁護士と共に事業を展開。
2025年4月の時点で、ユタ州やアリゾナ州と同様の試験的試みを行お
うとしている州は、ワシントン州、インディアナ州、ミネソタ州。
これらの背景にあるのは、司法アクセスの促進。
2022年にスタンフォード大学の研究所が公表したレポートでは「これ
らの州においても弁護士が中心」であり、「技術と他の革新をもって
中小企業や消費者の司法アクセスを促進している」と報告。2025年の
報告でも、同様のトーンであり、特段、消費者被害の増加は見られな
いという。
グローバルテック企業のテックが日本企業でも使用される可能性。
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す
る
法
曹
リーガルテックの活用される領域の整理とそれぞれの課題
企業法務
ガイドラインや業界自主規
制による質の担保
+
企業法務担当者の研修
弁護士法
72条における規律
+
必要に応じて「72条
但し書き」に基づく
他の法規制(ADR法
に類する規制など)
非紛争案件
ガイドラインや業界自主規
制による質の担保
+
消費者保護&消費者教育
紛争案件
個人
すべての領域においてリーガルテックを適切に使用できる専門家の養成・
行為規範の制定。リーガルテックのガバナンス体制の確立。
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法
曹
同時に…
競争力のある法律家養成が急務
2019年
2020年
2023年
2021年
2022年
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す
る
法
曹
ご清聴ありがとうございました
Waseda Law School
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法
曹
資料6
資料5
弁護士法72条と
AIリーガルテックサービス
令和8年1月9日
法務省
大臣官房司法法制部
弁護士法第72条の趣旨等
〇弁護士法(昭和24年法律第205号)
第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び
審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の
法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、
又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は
他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
〇弁護士法第72条の趣旨(最高裁判決昭和46年7月14日参照)
同条制定の趣旨について考えると、(中略)世上には、このような資格もなく、
なんらの規律にも服しない者が、みずからの利益のため、みだりに他人の法律事
件に介入することを業とするような例もないではなく、これを放置するときは、
当事者その他の関係人らの利益をそこね、法律生活の公正かつ円滑ないとなみを
妨げ、ひいては法律秩序を害することになるので、同条は、かかる行為を禁圧す
るために設けられたものと考えられるのである。
1
法務省作成ガイドライン①
〇 法務省作成ガイドライン(R5.8)
「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との
関係について」
・
法務省では、法務分野に係るAIの利活用に関して、規制改革推進会議から
の指摘を踏まえ、令和5年8月、リーガルテックの中でも比較的サービスが
進展している「契約書等関連業務支援サービス」を取り上げ、これと非弁護士
の法律事務の取扱いを禁止する弁護士法第72条との関係について、予測可能
性をできる限り高めるため、ガイドラインを公表。
・
当時の技術水準を前提に考えられるAI等を用いて、契約書の作成・審査・
管理業務を一部自動化することにより支援するサービスの提供において、問題
となり得る点ごとに、判断の考慮要素等を明確化。
2
法務省作成ガイドライン②
〇
法務省作成ガイドライン上の法72条該当性判断の考慮要素等(概要)
①「報酬を得る目的」
サービスの運営形態、支払われる金銭の性質や支払目的等を考慮し、利益と
サービス提供との間に対価関係が認められるか否かを判断。
②「訴訟事件…その他一般の法律事件」
個別の事案ごとに、契約の目的、当事者の関係、経緯や背景事情等を考慮し、
法律上の権利関係に関し争いがあり、あるいは疑義を有するか否かを判断。
③「鑑定…その他の法律事務」
サービスの機能と表示内容によって判断。
④サービスの利用者(違法性阻却として整理)
①~③にかかわらず、弁護士が自ら精査し、必要に応じ修正する方法で使用
する場合は違反しない。
3
現状と課題①-再整理等の必要性
〇
AIを用い、企業法務向けに特化・チューニングされた多種多様なリーガル
テックサービスは、その業務を大幅に効率化させ、弁護士等を軸とした法務
サービスの質を向上させるとともに、我が国の司法の国際競争力を高めることに
大きく貢献することが期待される。
〇
昨今のAIの進展やその普及の速度は加速化し、その利活用についても、急速
に発展・拡大しており、新たなサービスの開発・提供につき、弁護士法第72条
との関係性が不明確であるとして、再整理を求める声がある。
〇 ガイドラインの公表が、かえってリーガルテックサービスの開発・提供を萎縮
させている可能性もある。
現状・時代ニーズに即した再整理を行い、必要な措置を検討する必要性
4
現状と課題②-ガバナンス面の考慮等
〇
一方で、当事者その他の関係人らの利益をそこね、法律生活の公正かつ円滑な
いとなみを妨げ、ひいては法律秩序を害することを防止するという弁護士法第7
2条が守るべき法益・趣旨を害さないようにすることが必要かつ重要。
⇒ AIの学習や処理の過程で、個人情報や機密情報が意図せずに含まれて漏洩したり、当事者
等のセンシティブな情報が漏洩したりすることでプライバシー侵害につながり、広く司法に対
する信頼性の低下を招くおそれがある。
また、弁護士が監修しない情報、またはハルシネーションにより誤った法的情報が広く一般
に提供される技術的リスクや、その用法に伴なう社会的リスクにより、国民の権利利益を損
なったり、法律秩序を害するおそれがある。
〇
適切なリーガルテックサービスの開発・提供を担保するため、ガバナンスの
確保について検討する必要。
〇
弁護士その他専門士業者の実務との関係性等についても検討する必要。
5
課題解決に向けた方向性
〇
ガバナンスの面を含めたリーガルテックの適切かつ円滑な導入の方向性
・ハードローによる解決
(課題)日進月歩のAI分野に対し、機動性に欠ける。
・ソフトローによる解決
(課題)・弁護士法第72条は刑罰法規であって、その個別のあてはめは、具体
の事実を前提とした司法判断であり、個別具体のリーガルテック
サービスを対象とするホワイトリストの策定は困難。
・現状のガイドラインの改定(類型提示型)には一定の限界あり。
(次々と新しいサービス提供の需要が生まれるAIリーガルテック分野においては、
すぐに陳腐化してしまい、抜本的解決は困難。)
各方法のメリット・デメリットを意識した段階的課題解決を目指し、具体的
な方策について実務の動向等を十分に踏まえた検討を行う必要あり
6