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経済財政諮問会議
2026年5月22日
経済財政諮問会議 2026年5月22日
2026-05-22
一次資料(出典)
議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。
議事録
令和8年第7回経済財政諮問会議 議事要旨 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (開催要領) 1.開催日時:令和8年5月 22 日(金)18:02~18:48 2.場 所:総理大臣官邸4階大会議室 3.出席議員: 議長 高 市 早 苗 内閣総理大臣 議員 木 原 稔 内閣官房長官 同 城 内 実 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 兼 日本成長戦略担当大臣 同 林 芳 正 総務大臣 同 赤 澤 亮 正 経済産業大臣 同 片 山 さつき 財務大臣 同 植 田 和 男 日本銀行総裁 同 筒 井 義 信 日本生命保険相互会社 特別顧問 同 永 濱 利 廣 株式会社第一ライフ資産運用経済研究所 首席エコノミスト 同 南 場 智 子 株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 同 若田部 昌 澄 早稲田大学政治経済学術院教授 臨時議員 上 野 賢一郎 厚生労働大臣 山 田 賢 司 経済産業副大臣 (議事次第) 1.開 会 2.議 事 (1) 成長力強化 (2) 経済財政一体改革②(社会保障) 3.閉 会 (資料) 資料1 資料2 資料3 資料4 強い経済を実現する成長力の強化に向けて(有識者議員提出資料) 強い経済を作るための社会保障改革(有識者議員提出資料) 強い経済を作るための社会保障改革(参考資料)(有識者議員提出資料) 持続可能な社会保障制度の構築に向けて(上野臨時議員提出資料) 1 令和8年第7回経済財政諮問会議 (概要) (城内議員) ただ今から、「経済財政諮問会議」を開催する。 本日の議題は、お手元の議事次第のとおりである。議題2の「経済財政一体改革②(社 会保障)」については、上野厚生労働大臣に臨時議員としてご参加いただく。 ○「成長力強化」 (城内議員) 議題1「成長力強化」について、 南場議員から、資料1の民間議員のご 提案をご説明いただく。 (南場議員) 国民や企業が「今度こそ成長する」と期待できるよう、政府が強いリーダ ーシップを発揮し、「官民投資ロードマップ」を実効性ある形で具体化し、投資主導の成 長経路へ転換するため四点ご提案する。 1ポツ、「新たな投資枠」は、通常の歳出と別に設け、それぞれ必要な規模と期間を確 保した上で、実効が上がる予算措置とし、企業の中長期の投資判断を後押しするべきであ る。また、イノベーション創出力の大きいスタートアップに重点投資をするべきである。 2ポツ、企業の中長期の投資判断を後押しするためには、予算の予見可能性が重要であ る。長期間腰を据えて取り組むべき分野もあるため、「予算措置は3年以内」とする基金 ルールは廃止するべきである。また、国庫債務負担行為の最長5年も延長を検討するべき である。 3ポツ、技術などの不確実性が高いことを前提に、状況変化に応じて支援を調整し、成 功可能性を高める柔軟な仕組みが重要である。また、個別事業の短期的成否ではなく、全 体で評価する視点も必要である。戦略分野全体を「ポートフォリオ」として捉え、付加価 値創造力と供給力の強化を確認するべきである。 4ポツ、戦略分野への投資拡大に加え、税制・金融措置などの総合的な組合せが重要で ある。AIの進化に応じた柔軟な資金や労働の移動が成長力に大きな影響を与える。制度 や規制を見直し、民間が投資しやすい環境を整えるとともに、企業、資金、人材が成長分 野へ円滑に移動し、イノベーションが持続的に生まれる環境を整えるべきである。 (城内議員) 私からも、日本成長戦略担当大臣として、「日本成長戦略」の検討状況に ついて一言申し上げる。 「日本成長戦略」については、「日本成長戦略会議」においてスピード感を持って検討 を進めてきた。まず、17の戦略分野については、61の「主要な製品・技術等」を戦略的に 選定し、「官民投資ロードマップ」をお示ししたところであり、今後、官民投資の内容、 規模、時期などを明らかにしながら完成させていく。また、8つの分野横断的課題につい ても、先月、大きな対応の方向性をお示ししたところであり、この夏の「日本成長戦略」 の策定に向けてさらに検討を加速させていく。 民間議員からご意見をいただく。 (筒井議員) 日本の成長力強化に向けた、経済界としての期待について申し上げる。 官民連携の下で国内投資を拡大していくためには、 「責任ある積極財政」の方針の下で、 一つは予見可能性を高める公的投資の枠組み、二つ目は民間投資を誘発する総合的な施策 が求められる。この点、公的投資を「多年度・別枠」で管理する仕組みは、投資の予見可 能性向上に資するものであり、経済界として歓迎するところである。とりわけ、中長期的 な価値創造につながる基礎研究を含む科学技術分野への取組や産業インフラの整備など、 単年度主義では十分な成果を上げにくい分野について、中長期的かつ計画的な投資を継続 2 令和8年第7回経済財政諮問会議 していくことが極めて重要である。 折しも先日、経団連は、提言として、「科学技術立国戦略」を高市総理にお届けし、2040 年における官民での研究開発投資額の目標を50兆円と掲げ、「投資牽引型経済」を主導し ていく決意を申し上げたところである。その際、高市総理からは、研究費の実質的倍増、 新たな研究大学認定制度の創設、産総研の機能強化、というような力強い施策を表明いた だいた。 その上で一言申し上げる。公的投資が真に成長力強化につながる分野へ重点的かつ効率 的に配分されているかについては、PDCAやEBPMの考え方に基づいて、政策効果を 不断に検証・改善していく仕組みを担保することが不可欠である。 加えて、民間投資の誘発に当たっては、投資や社会実装のボトルネックとなる規制・制 度の見直しや標準化、政府調達等のあらゆる政策手段を総動員して取り組んでいただくよ うお願いする。 経済界は、「危機管理投資」・「成長投資」を通じた「投資牽引型経済の実現」に向け、 官民連携の先導役を果たしていく。政府には、引き続き、投資の予見可能性を高めるとと もに、実効性の高い投資環境の整備に取り組まれることを期待している。 (永濱議員) 私からは三点。 一点目、「新たな投資枠」の具体化について。この投資枠は、「官民投資ロードマップ」 と整合する十分な規模を複数年度にわたって明示することが重要と考える。というのも、 民間企業が国内投資、研究開発、人材投資を本格的に拡大するためには、中長期にわたっ て予見可能性が高まることが条件だからである。また、17の戦略分野についても、どの市 場を取りにいくか、どの技術を社会実装するのか、さらにはどの程度の供給力を国内に確 保するのかといったターゲットを明確にすべきと考える。その上で、民間投資の誘発額や GDP、さらには税収への効果をあらかじめKPIとして設定することを提案する。さら に、制度改革や規制改革を一体で講じることも重要で、それによって初めて民間が自らリ スクを取って投資判断を行える健全な市場環境が整うと考える。 二点目、プライマリーバランス外の手段の考え方について。前提として、プライマリー バランス外の手段を単に財政規律を回避するための抜け穴として使うべきではないと考 える。確かに、将来の収益や利用料の収入、政策金融における回収、あるいは民間資金と の協調が確実に見込まれる事業については、財投債を活用することは極めて合理的と考え る。ただ、その場合であっても、対象事業の厳選や償還の可能性、さらには官民リスクの 分担、そして、マクロ財政への影響をあらかじめ明確にしておく必要がある。そして、投 資の性格やリターンの構造に応じて最も適切な資金調達手段を選択するという原則を確 立することが重要。 三点目、今後の歳出の目安の見直しについて。ここでの見直しは、物価・賃金が上昇す る局面においては、必要な行政機能や未来への成長投資が実質的に削られてしまわないよ う十分配慮しながら、歳入の見直し、政策効果、そして、財政目標との整合性を踏まえて、 伸ばすべき歳出と見直すべき歳出を峻別すべきと考える。 具体的には、政策ごとにPDCAやEBPM、明確なKPI、さらには期限や出口を厳 格に組み込んで、効果の乏しい事業は果敢に見直していくという運用も必要と考える。こ れによって、債務残高対GDP比の安定的な低下という目標と整合する、真に実効的な歳 出管理体制へと移行していくべき。 (若田部議員) 「強い経済」を実現するためには、政府が何を管理するかではなく、ど 3 令和8年第7回経済財政諮問会議 うすれば民間投資が実際に動くかという発想で制度を組み替えることが重要。総理が述べ られた、「リミッターを外して真に必要な施策を躊躇なく提案し、やり抜く」ことを具体 化する上でも、「新たな投資枠」、「複数年度予算」、「基金ルールの見直し」は極めて 重要。これまでの政策の延長線上では、企業の中長期の投資判断は変わらない。予算、規 制・制度、政府調達、人材育成、資金調達・供給を一体で動かす仕組みに変える必要があ る。 リミッターを外すための鍵として三つご提案する。第一に、対象の広さと柔軟性である。 「新たな投資枠」については、対象を狭く限定すべきではない。総理も、スタートアップ や中堅・中小企業の稼ぐ力の強化など、民間企業の投資を引き出す取組を「新たな投資枠」 の対象とすることを含め、思い切った具体策を検討するよう指示されている。 これまでの予算措置額や既存の要求額に縛られれば、政策は小さくまとまり、企業の投 資判断を動かす力も弱くなる。17の戦略分野や8つの分野横断的課題を出発点としつつ、 成長戦略の実行に必要な取組、民間投資を引き出す取組、将来の供給力に資する取組につ いては、柔軟に対象にできる設計にすべき。 第二に、予見可能性である。企業は、今年は補助があるからといって大型投資をするわ けではない。政府が一定の規模と期間をもって支援し、「規制・制度改革」や政府調達、 標準化も含めて、市場環境を整えることが必要。その意味で、基金の3年ルールは「成果 管理」を徹底することを前提に見直すべき。「危機管理投資」・「成長投資」を中心にし つつも、それに限らず、投資回収や効果発現に時間を要する分野については、3年ルール に機械的に縛られない形で、基金と国庫債務負担行為を活用し、複数年で契約・支援でき る仕組みを整えるべきである。 第三に、政策的リスク管理である。「危機管理投資」・「成長投資」は、不確実性の高 い分野に政策的にリスクを取るものである。個別事業の短期的な成否だけを見て萎縮する のではなく、ポートフォリオ全体として民間投資を誘発し、供給力を高め、将来の成長の 芽を育てているかを確認すべき。もちろん「成果管理」は必要だが、それは削るための管 理ではなく、支援内容を組み替え、成功確率を高めるための管理であるべき。 なお、「日本成長戦略会議」におかれては、「官民投資ロードマップ」完成のタイミン グで「新たな投資枠」の実際の金額の数字の規模感を複数年度分しっかりと見せていただ くようにお願いしたい。 (南場議員) 今回、「日本成長戦略会議」の「スタートアップ政策推進分科会」が取り まとめた「スタートアップ総力創出パッケージ」は非常によくまとまっている。内外から の成長資金の供給拡大、スケールアップする能力の高い人材の惹き付けと、優秀な海外起 業家や投資家を呼び込みに向けた体制整備など重要なことが整理されて盛り込まれてお り、日本を世界に伍するスタートアップエコシステムにするための良い方向性を示してく ださった。 方向性は示されたが、「取組を強化する」、「支援を拡充する」とされているように、 具体的な制度設計はこれからになる。日本の政策立案では、国際水準に合わせることや他 国並みという発想が根強いが、日本のスタートアップエコシステムがほかの主要国に劣後 している現状のため、これから世界に伍するスタートアップエコシステムにするためには、 具体的な制度設計において他国を凌駕する水準の措置とすることが必要であるので、思い 切った措置を具体化の際にお願いしたい。 また、日本の企業の競争力を高めていくことが成長力強化にも非常に重要だが、競争力 4 令和8年第7回経済財政諮問会議 の観点からは、生成AIをどれだけ活用しているかが密接に関係してくる。総務省の調査 で、企業における生成AIの利用はアメリカ・ドイツ・中国は90%以上で、特に中国は96% だが、日本は55%で利用が進んでいない。利用している企業でも残念ながらチャットやリ サーチにとどまっている。AIエージェントをどれだけ使いこなすかで生産性に圧倒的な 差が生じるが、そこまで到達している日本の企業がとても少ないことを心配している。 AIと人間の役割分担は刻一刻と変化しており、きちんとキャッチアップしなければな らないということもあるが、アメリカは人間とAIの役割分担の変化に応じて人材を入れ 替えている。日本の場合は、経済の中心の大企業が人材と密結合しており、この密結合が AIの進化に応じた柔軟な労働移動のネックとなっている。そのため、人が動きやすい環 境を作ることは非常に重要である。 例えば、退職所得控除など、一つの会社で長く働いた方が得となるような制度は見直す べきである。人が動きやすい環境にすることは賃金が上がるなど良いことしかないので、 ぜひお願いしたい。 日本は大企業中心の経済で人がなかなか動かないが、スタートアップはダイナミックに 動いている。そのため、スタートアップのポーションを太らせることは日本経済にとって 良いことしかないため、この点も再度強調させていただきたい。 (城内議員) 続いて、閣僚からご発言をいただく。 (林議員) 総務省は17のうちの「情報通信」を担当しており、「オール光ネットワーク (APN)」、「海底ケーブル」、「次世代ワイヤレス」を主要な製品・技術として選定 して、「官民投資ロードマップ」を策定している。とりわけ、情報通信産業は、それ自体 が我が国の経済成長への寄与度が高いのみならず、製造業など他分野への波及効果も大き いため、全ての産業のいわば基盤となる分野である。「危機管理投資」と「成長投資」を より一層推進すべきだと考える。 これらの製品・技術への支援をはじめとする情報通信産業の振興を通じて、我が国の「強 い経済」の実現と経済安全保障の確保に積極的に貢献していく。 (片山議員) 「危機管理投資」・「成長投資」によって「強い経済」を実現するために は、民間議員の方々からもご指摘があったように、政策目的を明確化し、民間投資を誘発 していく、状況変化に対応して効果的に予算を活用し、成功の可能性を高めていくといっ た視点が重要。 財務省としても、金融面も含めた多様な政策手段を活用し、民間による適切なリスクテ イクを促すこと、事業の進捗成果を管理し、必要に応じた見直しを行えるよう、適切なマ イルストーン等を設け、政策効果を高めていくことが重要だと考えている。 ご指摘のあった「危機管理投資」・「成長投資」における基金の活用に関しては、同様 の視点から、事業の「成果管理」を徹底しつつ、柔軟かつ効率的な資金管理の観点も踏ま え、「基金ルールの見直し」を関係大臣と協力して検討していく。 前回5月11日の会議において総理から、この会議での議論などを踏まえ、「新たな投資 枠」の創設など、予算編成改革に向けた必要な対応の具体化について検討を進めるようご 指示をいただいた。 財務省としても、高市内閣が進めてきた「強い経済」と「財政の持続可能性」を両立さ せる取組を更に確実なものとすべく、4月13日の会議で民間議員から提案のあった「基本 原則」を念頭に、本日の議論も参考としながら予算編成改革の具体化に向けて取り組んで いく。そのベースとなる考え方について、6月の会議において私からご報告をしたいと考 5 令和8年第7回経済財政諮問会議 えている。 (山田経済産業副大臣) 今般の中東情勢をはじめ、地政学リスクが上昇し、安全保障・ 経済安全保障を確保する重要性が高まる中、世界は産業政策の時代を迎えている。 こうした中で、経済産業省としては、17の戦略分野を中心に「新たな投資枠」も活用し ながら、複数年度・大規模な予算措置を通じて企業の予見可能性を確保し、民間の投資を 強力に引き出していく。 中でもAIトランスフォーメーション(AX)は、積極的な産業政策で実現すべき「勝 ち筋」の根幹であり、17の戦略分野全ての基盤。フィジカルAIの基盤となる高齢者のヘ ルスケア、災害対応、廃炉技術、製造現場で蓄積されたデータや産業ロボット等の技術基 盤といった日本の強みを生かし、速やかなAXの実現を図る。 こうした戦略分野への投資促進に加え、スタートアップエコシステムの形成、中堅・中 小企業の稼ぐ力の強化と持続的な賃上げの好循環の実現など、分野横断的な取組も併せて 講じることで、我が国の潜在成長率向上を実現していきたい。 ○「経済財政一体改革②(社会保障)」 (城内議員) 議題2「経済財政一体改革②(社会保障)」についてである。 なお、議題2では上野厚生労働大臣にもご参加いただく。 筒井議員から、資料2の民間議員のご提案をご説明いただく。 (筒井議員) 「強い経済を作るための社会保障改革」として、まず前文の1パラ目で、 経済成長、税、社会保障を三位一体で捉える視点が不可欠であると強調している。 2パラ目に、必要な提供体制を確保しつつ、給付と負担の改革努力を継続すること、そ して、生産性向上やサービス利用の適正化を進め、保険料負担や国民負担全体への影響も 併せて点検する重要性を指摘している。 その上で、高市政権が掲げる「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」と いう方針の下で、社会保障負担率の目標について検討を進め、令和8年度中に改革の具体 化と工程の明確化を図り、順次実施すべきとしている。 取り組む視点として、四つ提案している。最初に、「給付と負担の一体的な改革」につ いて。世代間や世代内の公平性や負担能力を踏まえた検討が必要である。その前提として、 所得、資産、世帯構成等を制度横断的に把握し、改革を具体化する際には国民生活への影 響を踏まえて丁寧に検討すべきである。 続いて、2ページ目。2ポツ目「医療・介護提供体制の持続可能性の確保」、3ポツ目 「医療・介護分野の生産性向上とイノベーション」、4ポツ目「攻めの予防医療と就労・ 健康寿命の延伸」を提案している。 (城内議員) 上野厚生労働大臣から、持続可能な社会保障制度の構築について、資料4 に沿ってご説明をいただく。 (上野臨時議員) まず1ページ目、社会保障は国民一人一人がその夢や希望の実現を諦 めることなく、安心して働き、暮らしていくための基盤である。すべての世代が安心でき る持続可能な社会保障制度を構築し、次の世代に引き継ぐため、まず2040年頃に向け、地 域に不可欠な質の高い医療・介護・福祉サービスが、人手が限られた中であっても持続的 に提供されるように、地域ニーズの実態に応じた実効的な担い手確保を図る。 また、「攻めの予防医療」を通じた健康寿命の延伸に取り組み、社会保障制度を含めた 社会の支え手を確保する。 6 令和8年第7回経済財政諮問会議 さらに、「改革工程」や「連立政権合意書」等に基づき、医療・介護を中心とした社会 保障制度改革を計画的に実行していく。 2ページ目、「2040年に向けた社会保障の担い手確保」についてご説明する。 まず当面の対応として、介護、障害福祉分野については、次期改定においては、現場で 働く幅広い職種の方々の賃上げや経営の安定、離職防止、人材確保に確実につながるよう、 現場の「生産性向上」を促進しつつ対応していく。 また、医療分野については、昨年末の大臣合意のとおり、経済・物価の動向が診療報酬 改定時の見通しから大きく変動し、医療機関等の経営状況に支障が生じた場合には、加減 算を含め、さらなる必要な調整を行う。 さらに、2040年に向けて18歳人口が3割以上減少する中にあっても、現場における「生 産性向上」の取組等を進めつつ、デジタル・AI時代の変化に対応した人材の養成・確保 を進めていく。こども家庭庁や文部科学省とともに、来年度から集中的に進めていく。 具体的には、医療・介護・福祉の担い手を実効的に確保するため、それぞれの地域にお いて人材の確保・養成について協議するプラットフォームを構築し、テクノロジー導入や 養成体制の見直し等に計画的に取り組む。また、DX等に対応した「次世代型インフラ」 を構築するため、将来需要に合わせて施設の建替え・改修等も含めた計画的な整備に取り 組む。 3ページ目、「『攻めの予防医療』等の推進」について。 これまで、健康日本21などの国民運動を促してきたところだが、我が国の健康寿命は近 年その伸びが停滞している。国民一人一人が生活習慣病等の疾病を「自分ごと」として受 け止め、健康意識を高く持ち、確実に行動変容につなげることで、健康寿命のさらなる延 伸を図ることが求められている。 人生100年時代で、100年健康に生きられるような社会を目指すべきだと考えている。そ のため、栄養・食生活、がん・循環器病、歯科保健、認知症、リハビリテーション、性差 に由来するヘルスケアなど、様々な観点から「攻めの予防医療」等を推進していきたい。 とりわけ、がんについては死亡率第1位で、それがまた増加している傾向があるので、 がん検診の充実など、しっかりと取り組んでいく必要がある。 「総合的な対策」を今後策定し、皆が元気に活躍し、社会の支え手を確保するために取 り組んでいく。 (城内議員) 民間議員からご意見をいただく。 (若田部議員) 「社会保障改革」についても、単なる歳出抑制や価格調整ではなく、「強 い経済」を作るための制度改革として考える必要がある。現役世代の保険料負担や可処分 所得は、消費や就労意欲に直結する。一方で、社会保障の安心感が弱まれば、人々は将来 不安に備えて過度に貯蓄をせざるを得なくなり、消費や人的投資にも影響する。「社会保 障改革」は、負担を抑えることと、保険として本来守るべき大きなリスクに備えることを 両立させるべき。 具体的に三点補足する。第一に、改革は短期的に実施しやすいように見える項目だけに 偏ることがあってはならない。年齢によらない応能負担や高齢者の自己負担の在り方は重 要な論点ではあるが、自己負担率だけを取り出して結論ありきで議論すべきではない。医 療は高額で予見しにくいリスクであり、改革に当たっては必要な医療へのアクセス、低所 得者への配慮、負担能力に応じた制度設計を一体として考える必要がある。「社会保障改 革」は保険本来の機能を高める改革であるべきである。 7 令和8年第7回経済財政諮問会議 また、医療費の効率化を診療報酬や薬価だけに寄せるべきではない。価格を抑えても、 医療機関は収益を確保するために利用量を増やそうとする。利用量、提供体制・サービス へのアクセスに影響が出れば、制度全体として望ましい改革になるとは限らない。国費だ けではなく、保険料負担、現役世代の手取り、サービスの質やアクセスへの影響も含め、 国内外の実証研究やデータに基づき、制度全体を見て包括的に改革を積み重ねる必要があ る。 第二に、社会保障と「強い経済」を結びつけるためにもイノベーションが重要。AIや 遠隔医療などを通じて医療・介護の生産性とサービスの質を同時に高めるべきであるし、 現場においてイノベーションを促進するインセンティブづけが必要。 第三に、現役世代の手取りを考える上では、社会保険料だけではなく税制との関係も一 体として見る必要がある。賃金や物価が上昇する中で、税率区分や控除が実質的に固定さ れれば、いわゆるブラケットクリープにより手取りの改善が実感されにくくなる。社会保 障負担、税負担、給付の関係を一体として捉え、「国民会議」等の議論とも接続しながら 「強い経済」を支える改革として進めていただきたい。 (南場議員) 社会保障分野については、給付の拡大と負担増を繰り返す時代から転換し、 現役世代の可処分所得を増やしながら、持続可能性と成長を両立させる新しいステージへ と移行する必要がある。負担を増やさなければ支えられない社会保障から脱却するべきで ある。 現役世代の社会保険料負担は、長年にわたり手取り増加を阻害してきた。高市政権が掲 げる「現役世代の保険料率を引き下げていく」方針は、この流れを転換する極めて重要な メッセージである。賃上げしても手取りが増えないという若い世代の諦めを変えなければ ならない。方針を掲げる以上、いつまでにどこまで下げるのかを示すことが必要である。 今回提案する「社会保障負担率」は、社会保障負担の全体像を分かりやすく示す指標であ る。重要なのはその数字を本当に下げることである。「改革は必要」と言い続けながら負 担率が高止まりする状況は、終わりにしなければならない。「社会保障負担率」をいつま でにどこまで引き下げるのかを明確に掲げ、そのためのロードマップを早急に示すべきで ある。 具体的な改革項目の検討に際して、何歳以上は一律に支える、何歳以上だから一律に負 担が軽いという発想を改める必要がある。年齢だけで線を引く制度は、現役世代の納得感 を失いつつある。その見直しの一丁目一番地が窓口負担である。 また、現場の負担軽減と「生産性向上」についても抜本的に進めるべきである。人手不 足社会にあって、医療・介護分野が従来型の方法を続けることは持続可能ではない。AI やデジタル技術を前提に、業務プロセスそのものを作り変えていく必要がある。制度、報 酬体系、規制もその変化に追いつくもの、あるいは変化を促すものに改めなければならな い。 加えて、労働供給制約がさらに深刻になる中では、働きたい人が働けば手取りが増える 制度に変えていくことが重要である。給付付き税額控除は、年収の壁を超えると損をする ゆがみを和らげ、就労拡大と所得向上につながる制度であり、「強い経済」の実現の観点 から待ったなしで導入するべきと考える。 (永濱議員) 私からは三点。 まず一点目、民間議員ペーパーでは、医療・介護DXやAI・ロボティクスの最大限の 活用、さらには病床の適正化、医療機関の集約といった提供体制の持続可能性を高める改 8 令和8年第7回経済財政諮問会議 革が強く打ち出されている。ただ、これは単に給付費を抑える、現場の負担を軽減すると いうミクロな視点にとどまらず、日本経済が直面する最大のボトルネックである深刻な労 働供給制約に対して大きな解決策を提示するものと考える。 なので、一連の提供体制の効率化によって徹底的な省力化を実現することは、これまで 社会保障分野に過度に割かれざるを得なかった貴重な人材をリソース解放というところ で、日本経済の成長産業へと円滑にシフトさせていく契機になるという視点も重要かと思 う。 二点目、社会保障の財源について。現在のマクロ環境を見ると、企業収益は改善してい るのだが、家計の購買力は依然として厳しい状況にある。このため、「社会保障改革」で は安易に家計内での再分配だけに拘泥すべきではないと考えている。なので、財源の面で は、家計以外の歳出の効率化や経済成長による税収増なども視野に入れ、家計全体のパイ を底上げするという視点がより重要になる。 特に、持続可能な社会保障制度には恒久財源が不可欠なのだが、インフレ下で自然増と なってきたこれまでのブラケットクリープ発生分は、実質的には年間2兆円近くの増税と なっているという試算もある。なので、この増収分を社会保障制度の原資として充当する ことを検討するなどして、将来的な調整の在り方も整理する必要がある。 三点目、予防医療について。予防医療を進めるには、医療制度のインセンティブ設計を 工夫する必要があると思う。というのも、現在の健康保険制度は、病気になった人に対し ては手厚い支援があるが、日頃からジムに通ったり、ウォーキングをしたり、健康維持に 努めている人への恩恵が乏しい状況。 一方、インセンティブ設計の例として、シンガポールの国家プロジェクトにNational Steps Challengeというものがあり、市民に無料の活動量計を配布し、歩数に応じて獲得 したポイントを現金相当のバウチャーとして交換できる仕組みとなっている。こうした事 例も参考に、日本が抱える医療費増大の課題を突破するために、国民の健康行動を可視化 して、テクノロジーと正しいインセンティブによって予防医療を後押しする仕組みが必要 かと考える。 (筒井議員) 三点申し上げる。 一点目は、今後の社会保障改革で目指すべき方向である。社会保障の給付と負担の全体 像、特に負担面では税と社会保険料を一体で捉えた、抜本的な改革を進めていくことが重 要。その際、目指すべき方向として、持続的な経済成長と両立可能なメルクマールとして 「中福祉・中負担」を掲げ、その中での社会保障負担率の目標を定めるべきである。 二点目は、医療・介護分野のサービス提供体制である。今後、あらゆる産業で労働供給 制約が一層高まり、医療・介護分野に投入できる人的資源も今以上に限られる可能性が増 すと考える。医療・介護サービスを安定的に提供できるよう、効率的な提供体制の構築を 従来以上に推し進めることが重要。病床の適正化、医療機関の集約化、介護事業の大規模 化・協働化、さらに各議員がおっしゃった医療・介護分野でのDX推進や、AI活用によ る生産性の向上、これらをより一層促すべきである。 三点目、給付と負担の見直しについてである。高市政権が掲げる「現役世代の保険料率 の上昇を止め、引き下げる」という方針は「強い経済」の実現につながり、社会保障制度 の持続可能性確保にも寄与するとして高く評価をしている。 その実現のためには、例えば、全世代で公平・公正に支える制度とするために、後期高 齢者医療の窓口負担や介護の利用者負担の見直しを先送りせず実行すべきである。さらに、 9 令和8年第7回経済財政諮問会議 本年は介護報酬改定が議論をされる。生産性向上を促し、賃金・物価の上昇基調に対応す るとともに、サービス類型やサービス提供の実態を確認し、報酬の適正化、さらにメリハ リづけも行うべきである。 なお、現在、「国民会議」で検討中の給付付き税額控除は、税と社会保障を一体的にみ て、現役世代の中低所得者の負担軽減や就労促進に資する、画期的な仕組みであり、スピ ード感を持って導入すべきと考える。 (城内議員) 続いて閣僚からご発言いただく。 (片山議員) 社会保障分野においては、現役世代の保険料負担を軽減し、可処分所得を 増やすことを通じて、「強い経済」の実現につなげていくことが重要。 高市政権における、 「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す」 方針の下、医療・介護を中心とした社会保障制度の改革を着実に進めることで、制度の持 続性を確保しつつ、成長力の強化にもつなげていく。 本日、民間議員の皆様からは、マクロ的な「社会保障負担率」の「目標」の検討を進め、 「社会保障改革」については令和8年度中に改革の具体化と工程の明確化を図り、順次実 施するよう提言をいただいており、今後その具体化に向け、関係大臣と検討を深めていく。 加えて、具体的な改革項目についても、年齢によらない、真に公平な応能負担を実現す る「医療費窓口負担の見直し」や、軽微で日常的に利用する医薬品・医療に対する必要な 方策の検討などの提案をいただいている。 社会の変化に応じて保険制度を不断に見直し、「給付と負担」のバランスを確保してい くことは「避けては通れない課題」であり、関係省庁と議論を深めていく。 (山田経済産業副大臣) 挑戦する人や企業が報われる経済構造への転換を進めるために は、国民の健康寿命延伸、社会保険料負担の軽減、経済成長の加速を同時達成することが 重要。そのため、AIを活用して医療・介護、そして、予防・健康づくりも含めてアップ デートするというAIトランスフォーメーション(AX)を強力に推進するべき。 具体的には、革新的な創薬や医療機器のイノベーションの加速、介護AX等を通じた医 療・介護提供体制の持続可能性の向上、ライフログデータを用いた質の高いヘルスケアサ ービスの創出と「健康経営」の普及・強化といった「攻めの予防医療」による健康経済の 実現の3本柱について取り組んでいく。 (城内議員) プレスに入室いただく。 (報道関係者入室) (城内議員) 総理から締めくくり発言をお願いする。 (高市議長) 本日は、まず「成長力強化」について意見交換を行った。民間議員の皆様 からは、「危機管理投資」・「成長投資」に関する「新たな投資枠」について、要求・規 模・期間・対象を具体化していくこと、「基金」や「国庫債務負担行為」などの複数年度 予算による「投資促進策」をより強化すること、戦略分野全体を「ポートフォリオ」とし て捉えて管理し、状況変化に対応した効果的な予算活用を行うこと、などのご提案をいた だいた。 「予算の予見可能性」を確保することで、企業が「長期的な投資」を行いやすくするこ とが重要。このため、「新たな投資枠」については、前年度の「予算措置額」にとらわれ ず、必要な金額が確保されるよう、「通常の歳出」とは別に設け、所要額の「予算要求」 10 令和8年第7回経済財政諮問会議 を可能とし、予算編成過程で実効的に「予算措置」につなげられる仕組みとすることで、 「官民投資ロードマップ」の着実な実行に必要な「規模」と「期間」を確保していく。 「基金事業」については、「成果管理」を徹底することを前提に、「予算措置は原則3 年以内」とする現行ルールの不適用も含め、柔軟で効率的な資金管理の観点も踏まえた、 「基金ルールの見直し」を検討していく。 補助金・税制等の支援に加え、AI時代に対応する「規制・制度改革」、スタートアッ プエコシステムの形成などの総合的な取組によって、民間企業が投資しやすい環境を整え ていく。 次に、「社会保障」について意見交換を行った。民間議員の皆様からは、今後も「給付 と負担」の見直しに関する改革努力を継続し、「制度の持続可能性確保」に取り組む必要 があること、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」との方針を実現する ため、マクロ的な「社会保障負担率」の「目標」について検討を進め、「社会保障改革」 について、令和8年度中に「改革の具体化」と「工程の明確化」を図り、順次実施すべき、 また、物価・賃金上昇を適切に反映し、必要なサービスを確保しつつ、「持続可能な提供 体制」へ転換すべき、AIなどのイノベーションを活用し、「現場の負担軽減」と「生産 性向上」を一体的に進めるべき、健康増進、疾病予防、早期発見、受診勧奨、重症化予防 を一体的に進める「攻めの予防医療」を推進すべき、といったご提案をいただいた。 この提案も踏まえ、全世代型社会保障改革担当大臣が中心となり、厚生労働大臣、財務 大臣と連携しながら、「社会保障負担率」の「目標」の検討、真に公平な応能負担を実現 する「医療費窓口負担の見直し」や、年齢にかかわらず働き続けることができる社会を実 現するための「高齢者の定義の見直し」といった具体的な「給付と負担」の見直しの検討、 それら改革項目の今年度中の具体化と工程の明確化、労働供給制約が強まる中でも、必要 な医療・介護サービスを確保するための提供体制の構築、医療・介護分野のDXやAI・ ロボティクスの活用を通じた「生産性向上」とサービスの「質の向上」、「攻めの予防医 療」などに取り組み、「強い経済」と「持続可能な財政」、「質の高い全世代型社会保障」 を同時に実現する「社会保障改革」を一層強化してください。 (城内議員) プレスはご退室をお願いする。 (報道関係者退室) (城内議員) 以上をもって、本日の会議を終了する。 (以 上) 11 令和8年第7回経済財政諮問会議