議事録
令和8年第4回経済財政諮問会議
議事要旨
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(開催要領)
1.開催日時:令和8年4月 13 日(月)18:00~18:41
2.場
所:総理大臣官邸4階大会議室
3.出席議員:
議長
高 市
早 苗
内閣総理大臣
議員
木 原
稔
内閣官房長官
同
城 内
実
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
同
林
芳 正
総務大臣
同
赤 澤
亮 正
経済産業大臣
同
片 山
さつき
財務大臣
同
筒 井
義 信
日本生命保険相互会社 特別顧問
同
永 濱
利 廣
株式会社第一ライフ資産運用経済研究所
首席エコノミスト
同
南 場
智 子
株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長
同
若田部 昌 澄
早稲田大学政治経済学術院教授
氷見野
良 三
日本銀行副総裁
(議事次第)
1.開 会
2.議
事
(1) 骨太方針策定に向けて
(2) 予算編成について
3.閉
会
(資料)
資料1
資料2
骨太方針 2026 の策定に向けて(有識者議員提出資料)
予算編成の在り方の抜本見直しに向けて(基本原則の提案)
(有識者議員提出資料)
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令和8年第4回経済財政諮問会議
(概要)
(城内議員) ただ今から、「経済財政諮問会議」を開催する。
本日の議題は、お手元の議事次第のとおりである。
○「骨太方針策定に向けて」
(城内議員) 議題1「骨太方針策定に向けて」について、筒井議員から資料1の民間
議員のご提案をご説明いただく。
(筒井議員)資料1、今年の骨太方針は、高市内閣が初めて策定するものであり、包括
的な政策を内外に示す機会となる。そこで、総理の掲げる「責任ある積極財政」の下で
強い経済を実現する、その具体的な政策や目指す姿を、簡潔で分かりやすく、かつ、メ
ッセージ性のある骨太方針にすることが極めて重要である。
まず「1.骨太方針2026策定に当たっての基本的考え方」について。
官民連携による投資の拡大を通じて日本の中長期的な成長力強化につなげること等、
骨太方針2026の策定に当たっての基本的な考え方を掲げている。
2ページ「2.骨太方針の作成指針」では、高市内閣での骨太方針を真に骨太なもの
にすると打ち出している。特に「責任ある積極財政」の目指す姿や具体策の明確化、ま
た、経済・財政・社会保障を全体俯瞰しての「成長戦略」、「社会保障と税の一体改
革」、「財政運営目標」などの整理、これらをしっかりと明示する必要性を提起した。
その上で、繰り返すが、簡潔で分かりやすく、かつ、メッセージ性のある骨太方針と
するために、総理が施政方針演説等で掲げられたキーワードを用いて重点的に記述する
などの三点を提案している。
そして、最後の段落だが、骨太方針の取りまとめ後も、国民や市場関係者を含む内外
の理解と共感を得るべく、機動的・戦略的な広報等の実施も必要とした。
(城内議員) 民間議員からご意見をいただく。
(永濱議員) 私から二点。
まずは基本方針の作成指針に関して。
過去の骨太の資料を振り返ると、基本方針に加えて概要とPR資料の3本立てになっ
ている。ただ、概要の資料については、毎年2ページにはまとまっているのだが、これ
まで非常に文字が小さくて見にくさが目立っていた。見ていただくと分かると思う。た
だ、今年は基本方針を簡潔で分かりやすくするということなので、概要資料においても
簡潔で見やすい仕立てを期待する。
また、英語版の資料だが、昨年までは基本方針と概要しかホームページで公表されて
いないので、今年はPR資料についても英語版が必要かと思う。
加えて、一昨年の骨太方針では、大臣の記者会見の様子が説明動画としてホームペー
ジにアップされていたのだが、去年はされていなかったので、今年は英訳なども追加し
た形で動画アップを期待する。
それから、中東情勢の緊迫化による日本経済への影響について、状況としては、ウク
ライナ紛争があった2022年に近いとの見方もあるが、前回は価格上昇だけだったのに比
べ、今回、物資不足も発生しているという点では、より深刻かと考える。
そして、現在でも財政状況は厳しいということであったが、2022年度は、当時4月末
に原油価格や物価高騰に対して緊急経済対策で2.7兆円の追加歳出を実施している。た
だ、現時点では、昨年度補正の物価高対策の効果がまだ残っているので、現時点では
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令和8年第4回経済財政諮問会議
2022年度のような補正を急ぐよりも、やはり、より重要な需要物資調達対応というのを
優先する現在のスタンスが望ましいと考えている。
(南場議員) 私からは、スタートアップについてお話しする。
政府が重点投資を行う戦略分野を定め、官民が手を携えて投資するアプローチを取る
こととされている。戦略分野は幅広く定められているが、実際に投資をする段階では範
囲が狭まっていくことになる。そして、世界的な技術や勝ちパターンの変化のスピード
がとても早く、しかも、どんどん加速している。政府の意思決定のスピードとそもそも
乖離があるが、その乖離がさらに大きくなってしまう。
米国礼賛ではないが、世界のイノベーションを引っ張って断トツの経済成長を成し遂
げてきたのは、少なくともこれまでは米国である。その勝因は、シリコンバレーとい
う、技術がどれだけ早く進化しても、民間の「利益を追求する欲」と「勤勉さ」が掛け
合わさって、そのエネルギーが技術の社会実装を進める土壌があったから。
実際に、シリコンバレーの技術は半導体から始まり、コンピューター、インターネッ
ト、モバイル、クラウド、SaaS、Web3、ブロックチェーン、そしてAIと目ま
ぐるしく変遷してきている。主役となる人物も変わってきている。しかし、シリコンバ
レーという土壌は常にみずみずしく発展している。そして、次の時代の技術や勝ちパタ
ーンを見極める羅針盤としての役割をも果たしてきている。
もちろん、国家の安全保障やセキュリティーに関わることは、一定程度、国家主導が
必要な部分があると思う。しかし、それ以外のことは極力民間主導で、民間の成功への
欲と勤勉さを引き出してみずみずしく解放していく仕組み、土壌づくりに主眼を置いた
スタートアップエコシステム強化に取り組んでいただきたい。
(若田部議員) 今年の骨太方針は、高市内閣として初めての骨太であり、何より重要
なのは、「責任ある積極財政」とは何かを高市内閣の経済財政運営の基本方針として明
確に打ち出すことだと思う。
3月26日の経済財政諮問会議では、ブランシャール教授が、総理のプランは
「perfectly workable」であると評価され、ロゴフ教授も「I very much applaud your
efforts to energize the Japanese economy」と述べられたように、今回の骨太は、そ
のプランを具体化していく上での重要な節目になると考える。
第一に、「責任ある積極財政」は、単なる景気対策でも、旧来型の緊縮思考でもな
く、投資と信認を両立させる中期的な経済財政運営だと明確にすることである。
そもそも財政の基本は次世代へのツケ回しをしないということである。しかし、それ
は一切借金をしないということではない。むしろ、必要なときに必要な投資を行い、将
来世代の基盤を築くことは責任ある姿勢であり、投資すべきときに投資しないことのほ
うが無責任な次世代へのツケ回しになる。
第二に、「未来への投資不足」からの脱却を骨太の中心メッセージに据えることであ
る。
危機管理投資・成長投資・国内投資の促進を通じて成長力を高める方向を、個別施策
の羅列ではなく高市内閣の基本姿勢として示すことが重要。
第三に、予算編成の在り方そのものを見直す方向を骨太に明記することである。
物価・賃金・金利をめぐる前提が変わる中、単年度主義、補正依存、一律抑制の延長
では対応できない。成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編成への転換
を示すべきである。
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今年の骨太は、個別事業を並べる文書ではなく、高市内閣が未来への投資不足から脱
却し、必要な投資を守り、成長と信認を両立させる経済財政運営に踏み出すということ
を簡潔で分かりやすく示すものにすべき。経済財政は国の根幹であり、「責任ある積極
財政」は高市内閣の基本方針である。
(筒井議員) 中東情勢について一言申し上げる。
本件、予断を持つことは困難であるが、その中でも政府が国民生活と経済活動を守り
抜くために、たゆまぬ外交努力、年を越えての原油の供給確保、重要物資の安定供給確
保、こういった対策を迅速に、かつ、きめ細やかに講じていただいていることについ
て、経済界として感謝を申し上げたいと思う。
経済界には、事態の長期化による事業活動への影響を懸念する声もあることから、引
き続き機動的で万全の対応をお願いしたいと思う。企業の現場の声を適時適切に政府に
お届けすることをはじめとして、経済界は最大限協力してまいる所存である。
経団連は、今、投資牽引型経済の実現に向けて積極的な民間投資を呼びかけ、その流
れが着実に生まれつつある。こうした前向きな動きを確かなものとするためにも、投資
の礎になるエネルギーをはじめ、マクロ環境の不確実性を低減し、政策の一貫性と予見
性を確保することが重要である。
特に、AI需要の拡大に伴う電力供給体制の構築、これは国際競争力の維持・強化に
とって不可欠である。電源投資は何分長期にわたるので、脱炭素との両立を見据えつ
つ、中長期でぶれないエネルギー政策の確立を強く期待する。
(城内議員) 続いて、閣僚からご発言をいただく。
(片山議員) 民間議員の方々から骨太方針について、簡潔で分かりやすく、メッセー
ジ性のある内容とすることを基本原則とするといったご提案があったが、財政について
も、我が国の経済財政運営に対する市場関係者の見方を意識しながら、市場との丁寧な
対話などを通じて、国民や市場関係者も含む国内外からの理解と信認を得ていくことが
重要である。
このため、今年の1月の諮問会議で高市総理からご発言があったように、「責任ある
積極財政」の考え方の下、これまでの取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、成長
率を高め、あわせて金利にも目配りしながら債務残高の対GDP比を安定的に引き下げ
ていくことで、財政の持続可能性を実現し、市場からの信認を確保していく。
○「予算編成について」
(城内議員) 議題2「予算編成について」である。
まずは永濱議員から、資料2の民間議員のご提案をご説明いただく。
(永濱議員) 私から資料2の予算編成の見直しに関する民間議員提案をご説明させて
いただく。
「責任ある積極財政」の具体化に向けては、従来の一律抑制、補正依存、単年度の発
想では不十分であり、予算編成の在り方を抜本的に見直すということが極めて重要とい
うことで、今回、今後の具体的な検討を進める上での指針となるよう、5つの基本原則
を提案する。
まず「原則1」だが、こちらは、財政運営の中核目標として債務残高対GDP比の安
定的な低下を目指すというもの。
従来の財政運営は、単年度プライマリーバランスが中心であったが、これを転換する
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ということである。そしてプライマリーバランスについては、債務比率という中核目標
達成に向け、複数年で管理するものと位置づける。
続いて「原則2」は、物価・賃金を的確に反映しつつ、経済の成長力強化と名目の経
済規模の拡大にふさわしい予算編成に転換するということである。そして、これは、デ
フレ低成長時代の予算編成から決別するということを意味する。
続いて「原則3」だが、危機管理投資・成長投資のための「新たな投資枠」の創設で
ある。
これは、通常、歳出と別に「新たな投資枠」の創設を提言するものになる。そして、
その枠の大きさについては、中期的な債務経路と整合的な形で柔軟に管理すべきと考え
る。また、複数年度で財源を確保したものは、別枠で管理するということである。
続いて「原則4」だが、こちらは、補正依存から脱却して恒常的な施策は当初予算に
計上ということである。補正予算は緊要性の高いものに限定し、恒常的な施策は当初予
算で措置すべきということを意味する。
そして最後の「原則5」だが、こちらは、不確実性に備えるとともに、コミュニケー
ションの強化を通じて市場の信認を確保するということである。
特にSDSA(確率的債務持続可能性分析)の考え方も参考にしつつ、経済成長率や
金利などの不確実性を織り込んで、第三者的レビューや独立的な検証機能の在り方を検
討することを提言する。
(城内議員) 民間議員からご意見をいただく。
(若田部議員) 原則の方向性には私は強く賛成する。ただし、原則を掲げることは第
一歩にすぎず、本当に原則を実現するには、曖昧な点を曖昧なまま残さず、今後一層明
確にしていく必要がある。
まず「原則1」、財政運営の中核目標は、単年のプライマリーバランスではなく、債
務残高対GDP比を中期的に安定して引き下げることである。プライマリーバランスは
重要だが、それが自己目的化してはならない。債務比率の低下に向けて確認し、その安
定的低下の中で複数年で管理するものと位置づけるべき。
成長率と金利を見ながら、債務比率の安定的低下の中で、必要な政策措置があれば一
時的なプライマリーバランス赤字拡大も許容する、そういう整理が必要である。その
際、一般政府ベースで見ることが極めて重要。マクロバランスの中で社会保障基金は極
めて大きな位置を占めているため、それを切り離せばマクロで何が起きているのかを見
誤る可能性がある。
「原則2」、これまでの歳出の目安は、賃金・物価を反映すると言いながら実際には
一律抑制色が強く、結果として緊縮的に作用してきた嫌いがある。賃金・物価の反映だ
けでは、結局はインフレ対応にとどまる名前を変えたシーリングとなり、成長戦略を支
える予算編成にはならないおそれがある。必要なのは、名目の経済規模が拡大する経済
に見合った仕組みであり、賃金・物価を上回る基準、例えば、名目成長率連動まで視野
に入れるべきである。
片山財務大臣におかれては、大臣就任前だが、『給与倍増 名目GDP1000兆円計
画!』というご著書がある。例えば、2030年代の間に名目GDP1,000兆円を達成すると
いうことは、国民に分かりやすい指標を与え、財政の基準ともなり得る。無論、これは
一律拡大ではない。つけるべきところはつけ、不要なところは削る、そのメリハリが大
事である。これは財務省だけの話ではなく、要求官庁を含めた行政の作法そのものを変
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令和8年第4回経済財政諮問会議
える挑戦である。
「原則3」、危機管理投資・成長投資を守る新たな投資枠は、高市内閣の看板になる
べき重要な仕組み。ここで曖昧にしてはいけないのは期間と予算の実在性である。
例えばフュージョンエネルギーや南鳥島でのレアアース開発を5年といった一律の年
限で切るのは現実的ではない。期間は機械的に決めず、官民投資ロードマップに沿っ
て、投資の性質や効果発現までの時間に応じて必要十分に設定するべきである。単なる
要望枠ではなく、実際に多年度の予算枠として確保してこそ予見可能性が生まれる。単
年度主義のままでは夢のある投資は夢物語で終わる。
「原則4」、補正依存から脱却し、恒常的施策は当初予算に移すことが重要。そし
て、従来型の延長ではない、未来に向けた複数年の経済財政計画が必要である。複数年
の支出、財政目標、経済財政見通し、制度見直しの工程が一体でなければ、補正依存か
らの脱却も当初枠の運用も掛け声にとどまる。
「原則5」、信認は極めて重要だが、「大丈夫です」と言葉だけで言ってそれが得ら
れるものではない。透明かつ説明可能で検証可能な制度的な仕組みが必要。不確実性を
織り込んだ分析・検証と、それを担う第三者性が必要であり、「考慮する」というだけ
では足りない。成長率や金利の不確実性、政策経路の違いまで含め、独立的に分析・検
証する仕組みを持つべきである。片山大臣もブランシャール教授から説明を受けられた
チリの例は、その参考になると思う。
最後に進め方について、雑誌『世界』の5月号で、初代民間議員の吉川洋先生が、植
田総裁はもっと諮問会議で議論すべきだと提言されていた。吉川先生と私は金融政策に
ついての考え方は全く違うのだが、その問題意識は金融政策に限られたものではない。
諮問会議は結論の追認ではなく、政策の選択肢と異論も含めて正面から議論する場であ
るべき。骨太の方針に関しても具体化の論点そのものを諮問会議で議論し、その上で総
理のご判断を仰ぐ場であるべき。そうした公開の議論の積み重ねこそが信認につながる
のだと考える。だからこそ、次回以降の諮問会議で、5原則の具体化を正面から議論
し、堂々と示していくべきだと考える。
(南場議員) 新たな投資枠が野放図な財政政策と受け止められることがあってはなら
ない。そのためには、政策効果の低い施策の縮小・廃止など行財政改革を徹底すべき
で、日本版DOGEの取組は大変重要で期待している。これを、市場と国民にしっかり
と見せつつ行っていくことが重要である。
政府債務残高対GDP比の安定的な引下げに向けては、リスクや不確実性を踏まえな
い楽観的な経済前提を置くことなく、こうした構造改革もしっかりと織り込んで、プラ
イマリーバランスの改善を含め、財政運営のトラックレコードを積み重ねていくことに
より市場の信認を確保するべき。
(筒井議員) 予算編成の在り方の抜本見直しに向け、二点申し上げたい。
観点としては、潜在成長力を引き上げる成長戦略を実行する観点、そして、財政運営
に対する市場の信認を維持する観点である。
第一点は、財政運営目標と財政状況のモニタリングの在り方について。
財政運営の中核目標として掲げようとしている、債務残高対GDP比を後戻りするこ
となく、安定的かつ着実に引き下げるべきと考える。これは、市場の信認維持に必要不
可欠である。
その上で、物価・賃金・金利の動向が大きく変化していることを踏まえると、複眼的
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令和8年第4回経済財政諮問会議
に財政状況をモニタリングする必要があると考える。前回の海外有識者ヒアリングにお
いても、金利と成長率の関係、金利上昇圧力の高まりをめぐって有益な示唆をいただい
たところである。市場の信認という観点からは、政府がコントロールできているという
受け止めが重要である。債務残高対GDP比を構成する分母のGDPを持続的な成長を
通じて拡大していくことはもとより重要である。
同時に、歳出・歳入両面の改革を推進し、分子の債務残高に直接影響するプライマリ
ーバランスや利払い費、こういったフローの数字についても、その経路を、一定の期
間、複数年度にわたってモニタリングしていくことも必要と考える。
第二点は、「原則4」に関わる。恒常的な施策の予算は補正頼みではなく、当初予算
への計上に改める対応である。
この対応には大きく2つの意義があると思っている。
まず、当初予算での措置によって、施策に対する政府のコミットメントが明確にな
る。そうすれば、民間企業にとって予見性が高まり、民間投資を引き出す環境が整う。
次に、補正予算は、従来、当初予算での縛り、すなわちシーリングの対象外だった上
に、年度途中の追加対応となりがちであった。これを当初予算化すれば、財政規律に配
意している政府の姿勢を明確化でき、また、政策運営の予見性も高まることで市場の信
認維持に資すると思う。
この点で、成長投資や危機管理投資を中心に、中長期の官民投資ロードマップを共有
し、PDCAやEBPMに基づくワイズスペンディングを前提に、「原則3」にある
「新たな投資枠」を設けること、そして、これを当初予算で措置することは、効果的な
取組であると考えている。
(永濱議員) 私からは四点。
まず、「原則1」の財政運営の中核目標について。
中でもプライマリーバランスについては、黒字化の時期を機械的に先に決めるのでは
なく、経済成長率と金利の関係を意識しながら中期的な債務経路の中で判断すべきと考
える。
というのも、「経済財政の中長期試算」における成長移行ケースでは、2033年度に名
目成長率と長期金利が逆転し、国債利回りは長期金利に遅れて上がることになるが、
「原則5」にもあったとおり、見通しには不確実性があるということである。
また、ブランシャール教授が黒字化の目安として5年程度と述べていたのも、固定的
な期限というよりも、おおよその時間間隔で示したものと理解すべきだと思う。なの
で、重要なのは単年度のプライマリーバランス黒字化そのものではなく、債務残高対G
DP比の安定的低下と整合的な複数年の財政経路を持つということが重要と考える。
続いて、「原則2」の名目経済規模の拡大にふさわしい予算編成について。
こちらは、従来の一律的抑制や形式的キャップ管理は、インフレ局面では実質的に過
度な抑制を招きやすくなるということ。ただ、例えば社会保障支出のように、経済成長
以外の要因でも動くものもあるという意味では、歳出の構成比を変えていくという視点
も重要であり、実際に名目経済規模が拡大する中では構成比も変えやすくなると考え
る。
一方の歳入についても、これまで税収等の上振れが続いてきたことからすると、名目
経済規模の拡大に見合った歳入見積もり、この精度も高める必要があると考えている。
それから、「原則3」の新たな投資枠について。
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令和8年第4回経済財政諮問会議
若田部議員からもあったが、こちらの投資期間は、一律に5年や2030年までと区切る
べきではなく、官民投資ロードマップに定められる政策の性質や、効果発現までの期間
に応じて十分な長さを設定すべきと考える。重要なのは予見可能性を確保しつつ、政策
効果が十分に発現する期間を確保することだと思う。また、必要な財源は、ほかの歳出
の重点化や効率化、さらには見直しによって捻出することもあり得るし、一時的にプラ
イマリーバランス赤字を伴う場合も、中期的な債務経路の中で持続可能性が担保されて
いればいいと考えるべきである。
最後に「原則5」の中の多角的・科学的検証について。
これまでの財政運営は、国・地方ベースの総債務が基準となっていたが、財政の持続
可能性を中期的に評価することを前提とすれば、一般ベース、かつ、純債務も見るべき
と考える。
というのも、社会保障基金は、国・地方と制度的・財政的に連動しているし、政策効
果や将来負担も相互に影響する。また、一般の格付機関では、総債務よりも純債務を重
視しているところもある。こうしたことから、一般政府ベースでも、総債務と純債務の
両方で見るほうが経済全体に対する公的部門の負担をより適切に捉えられると考える。
さらに、国際比較や市場との対話の面でも、マクロバランスや会計の観点から、一般
政府、企業、家計の全体像の中で資金循環を見るほうが自然なので、一般政府ベースの
バランスシートのほうが説明しやすくなるという側面もある。
以上のように、公的部門全体として持続可能性な経路を示すには、部分会計となる
国・地方ベースの総債務のみならず、純債務も含めて一般ベースでも見るほうが望まし
いと考える。
(城内議員) 閣僚からご発言をいただく。
(赤澤議員) AIトランスフォーメーションといった産業の構造変化が進展する中
で、産業政策は一層重要になるものと認識している。こうした状況においては、経済成
長につながる質の高い投資を拡大することが最重要の課題である。投資を通じて成長を
実現するとともに、税収が自然増に向かうことで財政にも寄与し、経済成長と財政に両
面で好影響をもたらすと考えている。
高市内閣の成長戦略の肝である「危機管理投資・成長投資」を官民で連携して力強く
推進するため、企業の予見可能性を高めるべく、真に良い投資に対して複数年度の予算
措置がしっかりと手当されるような予算編成の在り方が必要だと考えている。
加えて、政府だけではなく民間においても積極的に投資拡大を進めていくことが重要
であり、成長投資の拡大に向けて、企業と投資家が共同で取り組むべき点を整理した
「成長投資ガイダンス」の策定を進めていく。
また、大胆な投資促進税制の創設、戦略分野における研究開発税制の重点強化などを
通じて、官民で連携して積極的な投資を引き出し、「強い経済」の実現にも貢献してい
きたい。
また、中東情勢の対応については、総理のご指示を踏まえて実施した緊急的激変緩和
措置によりガソリンは170円程度維持している。また、原油や石油製品は、代替調達や備
蓄石油の放出で「日本全体として必要となる量」を確保できている。さらに万全を期す
ため、先週10日に、総理のご了解をいただき、5月中旬以降、第2弾の国家備蓄放出と
して、約20日分の放出を決めた。他方、一部に供給の偏りや目詰まりが生じているた
め、政府間で議論し、燃料や化学製品など、個々の物資の流通円滑化対応も含む需要物
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令和8年第4回経済財政諮問会議
資の安定供給確保の対応方針案もまとめた。特に医療分野は、厚生労働大臣と私が本部
長を務める対策本部でサプライチェーン全体を把握し、目詰まりを一つ一つ確実に解消
していく。
引き続き、エネルギー供給や物価などの動向を注視しつつ、国民の皆様の命と暮ら
し、そして、経済活動に影響が生じないよう、先ほど筒井議員からありがたいお言葉を
いただいたが、引き続き期待に添えるように万全の対策を講じていく。
(片山議員) 予算編成について、民間議員から財政運営の中核目標として、債務残高
対GDP比の安定的な低下を位置づけるプライマリーバランスについて、債務残高対G
DP比の安定的な低下に向けて確認し、その中で複数年で管理するというご提案をいた
だいた。
その際ご指摘いただいた、金利や成長率等の不確実性に備えた「リスク管理」の実施
や、それらを織り込んだ分析・検証の重要性といった観点は、市場からの信認を確保し
ていく上で重要と考えており、これらを踏まえて具体的な指標の明確化に努めていく。
財政運営として、成長戦略・危機管理投資・税制給付の見直し・防衛力整備・緊急時
の対応余力等の多岐にわたる課題があることも改めてご指摘いただいた。
危機管理投資・成長投資のための「新たな投資枠」などについて、民間議員からご提
案いただいた原則に沿って検討していく。
このうち、経済安全保障上特に重要な分野の投資については、これまでも、例えば
「GX経済移行債」を活用した10年間の先行投資支援や、「AI・半導体産業基盤強化
フレーム」における7年間の公的支援は、特別会計において別枠管理しつつ、必要な財
源を確保しながら、財源の裏づけのあるつなぎ国債の発行などにより、複数年度にわた
る予算措置を行ってきており、こうした取組をさらに広げていくことを考えている。
引き続き、「責任ある積極財政」の考え方の下、「財政の持続可能性」と「強い経
済」を両立するための財政運営を検討していく。
(城内議員) プレスに入室いただく。
(報道関係者入室)
(城内議員) 総理から締めくくりのご発言をお願いする。
(高市議長) 本日は、会議での議論のお話に入る前に申し上げておきたいことがあ
る。
10年前の明日、4月14日は、熊本地震の前震となる震度7の地震が発生した日であ
る。熊本地震の本震は、その2日後に発生した同じく震度7の地震だが、一連の地震活
動で熊本県を中心に大きな被害が生じた。こうした災害の経験や教訓を風化させること
なく次の世代へと確実に継承していくこと、そして、国土強靱化・防災対策への不断の
取組を続けることが重要だと考えている。命より大切なものはないので、これからもこ
のような視点でも取り組んでまいりましょう。
本日は、骨太方針の策定について意見交換を行った。
今年の骨太方針の策定に向け、民間議員の皆様からは、「責任ある積極財政」の具体
的内容や目指すべき姿を包括的に内外に示すべき。また、新たな政策アジェンダである
「成長戦略」、「社会保障と税の一体改革」、「財政運営目標」など、経済・財政・社会
保障の全体を俯瞰した整理を示すべき。近年増加傾向にある個別施策や事業の記載は抑制
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令和8年第4回経済財政諮問会議
して、政策の大きな方向性や重要な政策変更を示すべきなどのご提案をいただいた。
こうしたご提案を踏まえ、城内大臣におかれては、高市内閣の経済財政運営の方針を
明確に示す、真に「骨太」な、「簡潔」で、「分かりやすく」、「メッセージ性のある
内容」とすることを原則として、与党とも連携しながら策定作業を進めてください。
続いて、「予算編成」について意見交換を行った。民間議員の皆様から、「予算編成
の在り方」の抜本見直しの検討に向けた5つの「基本原則」のご提案をいただいた。
高市内閣では、成長と投資を重視しながら、これまでの補正予算・当初予算において
も、「強い経済」と「財政の持続可能性」を両立させてきていたが、こうした取組をさ
らに確実なものとして、「経済の好循環」を実現していく。
財政運営の目標としては、債務残高対GDP比を安定的に低下させていくということ
を中核と位置づける。引き続き、成長率を高め、金利などの市場動向にも十分注視しな
がら、成長率の範囲内に債務残高の伸びを抑えていく。
プライマリーバランスについては、債務残高対GDP比の低下に向けて確認すること
とし、その安定的低下の中で複数年で管理をしていく。
予算編成全般においては、物価・賃金の上昇について、予算編成に的確に反映される
ようにするとともに、かつての「デフレ・低成長時代」の編成から、「経済の成長力の
強化」と「名目の経済規模の拡大」にふさわしい編成へと見直していく。
「危機管理投資」・「成長投資」については、通常の歳出とは別に、予見可能性を持
って実施できる「新たな投資枠」を創設することとする。財源については、債務残高対
GDP比を安定的に引き下げる中でも可能となる財政規模を精査し、中期的な債務経路
と整合的な形で柔軟に管理をする。このうち、経済安全保障上、特に重要な分野の投資
などについては、複数年度で財源を確保した上で別枠で管理をする。
補正予算は緊要性の高いものに限定して、恒常的な施策については、原則、当初予算
で措置するということとし、「補正予算依存」からの脱却していく。
債務残高対GDP比などの財政指標の「持続可能性」の確認にも資するよう、成長率
や金利など、不確実性を織り込む分析・検証を強化し、併せて、市場関係者との緊密な対
話に努め、マーケットからの信認を確保していく。
「骨太方針」に向けては、こうした基本原則を念頭に、「予算編成の抜本見直し」に
向けた検討を加速する。民間議員の皆様におかれては、引き続き活発なご議論をお願い申
し上げる。
(城内議員) プレスはご退出をお願いする。
(報道関係者退室)
(城内議員)
以上をもって、本日の会議を終了する。
(以
上)
10
令和8年第4回経済財政諮問会議
資料1
経済財政諮問会議(令和8年第4回)議事次第
令和8年4月13日(月)
18時00分~18時45分
総理大臣官邸4階大会議室
1. 開 会
2. 議 事
(1)
(2)
骨太方針策定に向けて
予算編成について
3. 閉 会
(資料)
資料1
資料2
骨太方針 2026 の策定に向けて(有識者議員提出資料)
予算編成の在り方の抜本見直しに向けて(基本原則の提案)
(有識者議員提出資料)
資料2
資料1
骨太方針 2026 の策定に向けて
2026 年4月 13 日
筒井 義信
永濱 利廣
南場 智子
若田部昌澄
今年の骨太方針は、高市内閣の初回であり、「責任ある積極財政」の具体的な内容や目指
す姿を包括的に内外に示す機会。以下、「1.」に掲げる点を基本的な考え方として、「2.」
の方針に沿って、簡潔で分かりやすく、メッセージ性のある内容にすることが重要。
1.骨太方針 2026 策定に当たっての基本的考え方
〇
我が国では、官民双方において、長年にわたり「未来への投資不足」が継続。主要先
進国の経済政策の潮流として、市場に委ねるだけでは対応しきれない課題に対応するた
め、大規模かつ長期的な財政支出を伴う産業政策へのパラダイムシフトがみられる。
〇
我が国においても、「責任ある積極財政」を柱に、必要な分野・範囲においては政府が
一歩前に出て、官民が手を携えて投資(様々なリスクを最小化する「危機管理投資」や
先端技術を花開かせる「成長投資」)することや、民が投資を行うことに対するインセン
ティブの付与を通じ、「国内投資の促進」を徹底的にテコ入れするとともに、スタートア
ップ振興などによって我が国が世界有数の知的創造・イノベーションの拠点となること
により、日本の中長期的な成長力強化につなげ、「強い経済」を実現していく。
〇
そのため、政府予算の予見可能性と財政計画の信頼性を確保する観点から、予算の作
り方を根本から改める。(経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編
成への転換、必要な予算は可能な限り当初予算で措置、複数年度予算や長期的な基金に
よる投資促進策、経済的・財政的効果の定量的な試算・検証を前提とした様々なリスク
を最小化する危機管理投資やGDPの成長にも資する成長投資に係る「新たな投資枠」
を創設。)
〇 「責任ある積極財政」とは、将来世代が日本で働き、挑戦し、誇りを持って生きてい
くための基盤を、今の世代が責任を持って築く経済財政政策である。行財政改革を進め
た上で、戦略的な財政出動を行っていく。その中で、金利や成長率等の不確実性を考慮
しながら、世界的な金利上昇圧力など経済環境の構造変化を見据えた中期の財政計画を
講じ、その進捗を毎年検証することを通じて、政府債務残高の対GDP比を安定的に引
き下げ、財政の持続可能性を実現し、市場からの信認を確保していく。
〇
中東情勢の緊迫化による日本経済への影響については、現時点で予断を許さない。引
き続き、中東情勢が我が国の経済・物価に与える影響をきめ細かく分析し、必要な政策
対応を、適切かつ機動的に行っていく。
1
2.骨太方針の作成指針
今年の骨太方針は、近年増加傾向にある個別施策や事業の記載は抑制し、高市内閣の経
済財政運営の方針を明確に示す、真に骨太なものにすべきである。
特に、今後、経済財政諮問会議で議論を行う、
「責任ある積極財政」の目指す姿や具体策の明確化
新たな政策アジェンダである「成長戦略」「社会保障と税の一体改革」「財政運営目
標」など経済・財政・社会保障の全体俯瞰からの整理
をしっかりと明示していく必要がある。
これらを踏まえ、骨太方針の作成においては、簡潔で分かりやすく、メッセージ性のあ
る内容にすることを基本原則とし、特に、以下の3つの点を重視して、記載してはどうか。
〇
高市内閣の経済財政運営の方針を明確に打ち出していくため、施政方針演説等で掲げ
たキーワードを用いて重点的に記述していく。
〇
高市内閣以前から政府・与党が掲げている施策については、継続性に配慮しつつ、現
政権の考え方に沿った整理の下で、記述を見直していく。
〇
施政方針演説などで包括的に触れている政策テーマについては、政策の大きな方向性
や重要な政策変更を記載することとし、個別予算事業の記載は関連する閣議決定事項
(政策パッケージ)に委ねることとする。その際、単に政策パッケージを引用・言及す
るのではなく、骨太方針の考え方・構成に沿って記載するよう、内容を精査すべき。
加えて、骨太方針の取りまとめ後も、骨太方針に込められた高市内閣の経済財政運営の
考え方、いわゆる「サナエノミクス」が、国民や市場関係者を含む内外からの理解と共感
を得ていくことが求められる。そのため、従来からの概要資料だけでなく、簡潔で分かり
やすく、メッセージ性のある説明資料の作成、機動的・戦略的な広報の実施が必要。
(以 上)
2
資料3
資料2
予算編成の在り方の抜本見直しに向けて(基本原則の提案)
2026 年4月 13 日
筒井 義信
永濱 利廣
南場 智子
若田部昌澄
「責任ある積極財政」の具体化に向けて、予算編成の在り方を抜本的に見直す必要がある。物価・
賃金・金利をめぐる前提が大きく変わる中、これまでの予算編成の延長線上では十分に対応できない。
3 月 10 日の日本成長戦略会議において、高市総理は、17 の戦略分野における官民投資ロードマ
ップの具体化を進めるとともに、その成長戦略が実現する強い経済の姿を定量的に示し、日本成長
戦略会議と経済財政諮問会議が連携しつつ、骨太方針を含む今後の経済財政運営に反映していく
よう指示した。あわせて、内閣府モデルを用いて、国内投資の伸び、GDP の伸び、税収増への寄与、
債務残高対 GDP 比の見通しを示す試算を中長期試算に反映すること、さらに、債務残高対 GDP 比
を安定的に引き下げていく中でも可能となる財政規模を精査し、危機管理投資・成長投資などに活
用するため、別枠で管理する方策を検討することを指示している。その趣旨は、成長戦略の定量的な
裏付けと、それを支える財政運営の枠組みを一体として示し、予算編成の在り方を見直していくことに
あると考えられる。
また、3 月 26 日の経済財政諮問会議における海外有識者の議論からも、
高債務そのものを機械的に問題視するのではなく、債務残高対 GDP 比について、市場の信認
に足る、説明可能で信頼できる中期経路を示すこと、
政策の効果、金利上昇などの不確実性を踏まえた複数年の財政経路を持つこと、
必要な公的な投資を保護しつつその財政的含意を透明に示すこと、
金利や成長率等の不確実性に備えた、「リスク管理」の実施や「分析・検証能力」を高めること
の重要性が確認された。必要なのは、単純な緊縮でも野放図な拡張でもなく、投資と規律を両立する
コントロール可能で中期的な財政運営である。
こうした方向性を踏まえれば、従来の一律抑制、補正依存、単年度の発想を前提としたままでは不
十分である。他方で、成長戦略、危機管理投資、税制・給付の見直し、防衛力整備、緊急時の対応
余力等を含め、今後さらに具体的に詰めるべき論点も多い。そこで、今後の具体的な検討を進める上
での指針として、以下の基本原則を提案する。
原則1
財政運営の中核目標として、債務残高対 GDP 比の安定的な低下を目指す
財政運営の中核目標としては、単年度 PB 中心の管理から転換し、債務残高対 GDP 比の安定
的な低下を位置づける。成長率を高め、併せて金利に目配りすることで、成長率の範囲内に債
務残高の伸び率を抑えていく。
PB については、債務残高対 GDP 比の低下に向けて確認することとし、その安定的低下の中で
複数年で管理する。
その際、国内投資の伸び、GDP の伸び、税収増への寄与、債務残高対 GDP 比の見通しを示す
試算を中長期試算に反映し、成長戦略と財政運営を一体的に示す。
1
原則2 物価・賃金を的確に反映しつつ、経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさ
わしい予算編成に転換
物価・賃金の上昇については、予算編成に的確に反映されるよう徹底。
その上で、デフレ・低成長時代の予算編成から、経済の成長力の強化と名目の経済規模の拡大
にふさわしい予算編成へと見直す。予算編成の管理の在り方についても、成長力強化に資する
ものに改める。
原則3
危機管理投資、成長投資については、通常歳出と別に、予見可能性を持って実施できる「新た
な投資枠」として管理。その際、投資の性質や政策効果の発現時期を踏まえ、必要十分な実施
期間を官民投資ロードマップを踏まえて設定する。
財源については、原則1に基づき債務残高対 GDP 比を安定的に引き下げていく中でも可能とな
る財政規模を精査し、中期的な債務経路と整合的な形で柔軟に管理。
このうち、経済安全保障上特に重要な分野の投資等については、複数年度で財源を確保した上
で、別枠で管理 1。
これにより、各府省庁が単年度主義や補正依存にとらわれず、国民に将来への展望を示す夢の
ある成長投資を、中長期の視点から具体的な案件として構想・提案できるようにする。
原則4
補正依存から脱却し、恒常的な施策は当初予算に計上
補正予算は緊要性の高いものに限定し、恒常的な施策については原則として当初予算で措置。
複数年度にわたって効果を発現する政策については、単年度・追加的な対応ではなく、あらかじ
め見通しをもって計画的に行う。基金の見直しについて結論を出す。
原則5
危機管理投資・成長投資のための「新たな投資枠」を創設
不確実性に備えるとともに、コミュニケーションの強化を通じて市場の信認を確保
景気後退局面や外的ショックに対しては、景気と雇用に十分配慮しつつ、必要な財政対応を確
保し、機械的な引き締めを避ける。危機対応後の財政運営については、短期的な収支合わせで
はなく、景気、金利、成長への影響を踏まえつつ、持続可能な中期的な経路を意識して見直す。
SDSA(確率的債務持続可能性分析)の考え方も参考にしつつ、債務残高対 GDP 比等の財政指
標の持続可能性確認にも資するよう、成長率、金利等の不確実性を織り込み、政策経路も含め
た影響に関する分析や検証を行う第三者的レビューや独立的な検証機能の在り方を検討する
(OECD 加盟国において、財政ルールの順守状況や中長期の財政の持続可能性を独立的に点
検・公表するチリなどの事例も参考にする)。さらに、総債務や純債務、一般政府と国・地方、純・
総利払い費等も含め、多角的・科学的に検証する。
市場の信認を確保するため、経済財政の状況、財政運営の目標、前提、リスク対応の考え方に
ついて、世界標準やグローバルな潮流を踏まえ、国内外の市場関係者に対して透明性が高く一
貫したコミュニケーションを行う。
償還財源の裏付けのある「つなぎ国債」の発行によって先行的な資金調達を可能としたものについては、
債務残高対 GDP 比や PB 等の指標において、経費及び財源の金額を除いて別枠で管理。
1
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