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経済財政諮問会議
2026年2月24日
経済財政諮問会議 2026年2月24日
2026-02-24
一次資料(出典)
議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。
議事録
令和8年第2回経済財政諮問会議 議事要旨 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (開催要領) 1.開催日時:令和8年2月 24 日(火)18:02~18:48 2.場 所:総理大臣官邸4階大会議室 3.出席議員: 議長 高 市 早 苗 内閣総理大臣 議員 木 原 稔 内閣官房長官 同 城 内 実 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 兼 スタートアップ担当大臣 同 林 芳 正 総務大臣 同 赤 澤 亮 正 経済産業大臣 同 片 山 さつき 財務大臣 兼 内閣府特命担当大臣(金融) 同 植 田 和 男 日本銀行総裁 同 筒 井 義 信 日本生命保険相互会社 特別顧問 同 永 濱 利 廣 株式会社第一生命経済研究所 首席エコノミスト 同 南 場 智 子 株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 同 若田部 昌 澄 早稲田大学政治経済学術院教授 臨時議員 松 本 小野田 洋 平 紀 美 文部科学大臣 内閣府特命担当大臣(科学技術政策) (議事次第) 1.開 会 2.議 事 (1) マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議) (2) イノベーション(スタートアップ、大学改革等) 3.閉 会 (資料) 資料1 資料2 資料3 資料4 植田議員提出資料 「責任ある積極財政」への本格的な転換に向けて(有識者議員提出資料) 「責任ある積極財政」への本格的な転換に向けて(参考資料) (有識者議員提出資料) 我が国が世界有数の知的創造・イノベーション拠点となるために (有識者議員提出資料) 1 令和8年第2回経済財政諮問会議 資料5 資料6 資料7 我が国が世界有数の知的創造・イノベーション拠点となるために (参考資料)(有識者議員提出資料) 第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の策定に向けた対応 (小野田臨時議員提出資料) 文部科学省における研究力向上に向けた取組について (松本臨時議員提出資料) (概要) (城内議員) ただ今から「経済財政諮問会議」を開催する。 本日の議題は、お手元の議事次第のとおりで、議題2の「イノベーション」には、小野 田科学技術政策担当大臣、松本文部科学大臣に臨時議員としてこの後参加いただく。 〇「マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)」 (城内議員) 議題1「マクロ経済運営」についてである。 まずは、日本銀行の植田総裁から、日本銀行の今後の経済・物価見通しについて、資料 1に沿ってご説明をお願いする。 (植田議員) 資料の1ページをご覧いただく。 まず、私どもは、昨年12月の金融政策決定会合において、政策金利を0.75%程度に引き 上げた。その理由は、第一に、米国経済や通商政策をめぐる不確実性が当時は低下してい たと判断されたこと。第二に、本年もしっかりとした賃上げが実施される可能性が高く、 企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低いと見込まれること。第三に、消費者 物価の基調的な上昇率は緩やかな上昇が続いていることである。 これらを踏まえ、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度が高まっているとの認識 の下、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度 合いを調整することが適切であると判断した。政策金利の引上げ後も緩和的な金融環境は 維持され、経済活動をしっかりとサポートしていると考えている。 2ページをご覧いただく。 続いて、先月公表した私どもの経済・物価の見通しをご説明する。 我が国経済は、各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復してい く下で、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられ、緩やかな成長を続けると 見込んでいる。 物価だが、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、政府による物価高対策の効果もあ り、今年前半には2%を下回る水準までプラス幅を縮小していく見込みである。 もっとも、この間も、金融政策運営に当たり私どもが重視している消費者物価の基調的 な上昇率は、緩やかな上昇が続くと見ている。 その後は、景気の改善が続く下で、基調的な物価上昇率と生鮮食品を除いた消費者物価 の前年比はともに徐々に高まっていき、私どもの展望レポートの見通し期間後半、すなわ ち来年度後半から2027年度にかけて、2%の「物価安定の目標」とおおむね整合的な水準 で推移すると考えている。 先行きの金融政策運営については、こうした見通しが実現していくとすれば、経済・物 価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくこと 2 令和8年第2回経済財政諮問会議 になると考えている。 以上、日本銀行は2%の「物価安定の目標」の下で、その持続的・安定的な実現という 観点から適切に金融政策を運営していく。 (城内議員) 次に、筒井議員から資料2の民間議員のご提案をご説明いただく。 (筒井議員) 先の総選挙で、高市総理は「責任ある積極財政」の下で「強い経済」を実 現すると強調され、国民の厚い信任を得た。このペーパーでは、経済財政諮問会議として 「責任ある積極財政」への本格的な転換に向けて、マクロ経済運営の観点から二点掲げて いる。 第一に、予算編成の在り方の見直しについて。財政規律に目配りをしながら、補正予算 を前提とした予算編成と決別し、必要な予算は、可能な限り、当初予算で措置できるよう、 今後、予算編成の在り方の見直しを議論すべきと考える。 第二に、給付付き税額控除とその導入までの間の負担軽減策としての飲食料品の消費税 減税を含め、経済・財政・社会保障の全体を俯瞰した持続可能な経済社会の構築に向けた 議論を深めることである。そのためには、国民会議や成長戦略会議等とも連携した全体最 適の視点が不可欠である。 これら二点において、とりわけ財政の持続可能性に十分配慮しつつ、大胆かつ戦略的な 投資を柱とする「強い経済」の実現に向けた「責任ある積極財政」の具体策の明確化が重 要と考える。 下の「参考」には、過去30年の状況と対比して、今後目指すべき姿の実現に必要な取組 等を整理している。 (城内議員) 民間議員の皆様からご意見をいただく。 (若田部議員) 総理がおっしゃった予算の作り方を根本から変えるという理念と、今年 の骨太方針で実行工程として示していけるよう、一民間議員としてしっかりスイッチを押 していきたいと思う。 「責任ある積極財政」を本当に「強い経済」につなげるためには、予見可能性を高めて、 民間投資が動くように予算制度と規制を一体で変えることが重要。また、投資は複数年で 予算を措置する以上、効果も複数年で評価する視点が重要。単年度の歳出としてだけでは なく、政策による将来の成長、税収効果を織り込んで評価する、いわばダイナミックスコ アリングの考え方を取り入れながら、投資の効果を十分に織り込んで取り組むことが大事 だと考えている。 その上で、日本銀行におかれては、三点丁寧に見ていただきたいと思う。 第一に、基調的な物価の動きについて。日本銀行の予測するとおり、年後半にかけて賃 金と物価の好循環が働いて2%に向かっていくという見通しは私も理解するものである が、直近においては、総合、そして、いわゆる欧米型コア、ともに2%を下回っており、 サービスも弱めであるということである。 第二に、中長期のインフレ予想の定着について。各種指標、インフレ予想の指標は上が ってきてはいるものの、2%近傍で安定的に定着しているかどうか、ここが鍵になるかと 思う。 第三に、見通しと政策運営のコミュニケーションについて。経済・物価・金利をめぐる 環境変化について、政府・国民に非常に分かりやすく説明していただきたいと思う。政府 と日本銀行には、日銀法第4条の趣旨も踏まえ、常に連絡を密にし、十分な意思疎通を図 っていただき、整合的な政策運営をお願いしたいと思う。 3 令和8年第2回経済財政諮問会議 (南場議員) これから「責任ある積極財政」として減税や投資が実行されることになる わけだが、総理もこれまでおっしゃられていたとおり、市場の信認は極めて重要である。 マーケット動向に常に目を配り、リスクマネジメントを徹底していただきたい。 予算編成の在り方の見直しも、いよいよやってくれると、歓迎される性質のものである。 それから、皆さんがおっしゃっていることだが、「責任ある積極財政」が「責任ない積 極財政」とどう違うかということを明確に際立たせながら進めていく必要がある。 その上で、片山大臣の下に設置された日本版DOGEの取組などに大いに期待している。 各論的には議論を呼ぶものもあると思うのだが、勇気を持って、そして、透明性高く国民 に説明しながら推進いただきたい。 また、成長投資に関しては、石灰化しているところに真水を流し込んでも染み込まない。 投下した資金が民間の活力につながることを意識して制度設計を進めていくべき。 (永濱議員) まず、物価に関して、資料3の1ページ、左のグラフをご覧いただく。こ れまで指摘させていただいたとおり、消費者物価(総合)のインフレ率は食料品の伸び鈍 化でかなり下がってきており、今後は電気・ガスの負担軽減策が効いてくるので、2月分 以降は1%台前半まで下がる可能性が高まっていると思う。 一方で、今年の春闘賃上げ率は3年連続で5%を超える水準になりそうなので、名目賃 金は2%を超える可能性が高くなって、結果として実質賃金がプラスになる確度はかなり 高まっていると言えると思う。 ただ一方、先ほど若田部議員からもあったが、資料3の1ページの右のグラフにあると おり、ブレーク・イーブン・インフレ率はかなり下がっているし、日本銀行が推計する基 調的なインフレ率も下がっているので、せっかく水準を高めてきたインフレ予想を過度に 下げないためにも、政策当局には適切な対応が求められる局面にも入りつつあると考えて いる。 それから、よく円安が過度なインフレの主因とする向きがある。こちらは実際に2020 年対比で昨年平均のドル/円レートを見ると、約40%円安になっている。一方で、内閣府 のマクロモデルによると、10%の円安で民間消費デフレーターの押上げ効果は0.2%程度 である。この関係に基づくと、過去5年間で40%円安進行に伴うインフレ押上げの効果は 年平均0.2%程度なので、円安が過度なインフレの主因というのは行き過ぎた議論だと言 える。 それから、「責任ある積極財政」について。こちらについては、資料3の2ページをご 覧いただきたいのだが、2月以降、金利がかなり落ち着いていることからすれば、金融市 場の中でもようやく「責任ある積極財政」の理解が進みつつあると考えられる。なので、 この調子で今後も財政に対する信認を高めるべく、「責任ある市場」との積極対話を継続 することで、政策の趣旨を市場に浸透させ続けることが重要と考える。 (筒井議員) 「強い経済」の実現に向けた「責任ある財政運営」の推進に当たっての視 点を二つ申し上げる。 一つ目、経済界の中には、財政健全化に関する市場の反応をめぐって心配する向きがあ る。「責任ある積極財政」は、財政規律にも十分配慮し、市場の信認を得ながら進めてい くことが重要。そのためには、「危機管理投資・成長投資」を、財政の持続可能性を担保 しながら、単に規模を拡大するだけではなくて、官民連携での戦略的な成長戦略の実行と 一体で、潜在成長力の引上げという日本経済のファンダメンタル向上への挑戦だと位置づ けるべきである。 4 令和8年第2回経済財政諮問会議 二つ目は、高齢化・人口減少の進む我が国において、中長期の視点から責任ある対応と して、給付と負担の全体像や将来見通しを踏まえつつ、社会保障改革を通じた持続可能な 全世代型社会保障の構築も求められている。給付と負担の見直しによる現役世代の社会保 険料負担増の抑制はもちろんであるし、労働供給制約に直面している医療や介護のサービ ス提供体制の再構築も急がれるところである。 (城内議員) 続いて、閣僚からご発言をいただく。 (赤澤議員) 議員の皆様がご指摘のとおり、我が国の潜在成長率は主要先進国と比較し て低迷しており、その要因の一つは資本投入量、すなわち国内投資の少なさということで ある。世界が産業政策の大競争時代にある中で、我が国として高市政権の成長戦略の肝で ある「危機管理投資・成長投資」を促進していく。 官民連携投資を行う戦略分野及びサプライチェーンの強靱化を図る重要物資に重点を 置き、複数年度の予算措置を通じて民間の予見可能性を高めながら、大胆な投資促進や国 際展開支援、人材育成等の総合支援策を講じ、官民の積極投資を引き出していく。 「責任ある積極財政」の考え方の下で、先端産業を開花させるための経済成長戦略を通 じて「強い経済」を実現してまいりたいと考えている。 (片山議員) 今回の衆議院選挙の最大の争点の一つが「責任ある積極財政」であり、こ れまで様々な機会で申し上げてきたことを実行していく必要がある。 日本経済が「デフレ・コストカット型経済」から新たな「成長型経済」に移行する段階 にある中、財政面でも国民生活の下支えや経済成長に資することが期待される施策には大 胆に重点化する一方、効果が乏しい施策については見直しを行うなど、歳出・歳入両面で 「強い経済」を支える財政構造への転換を図ることが重要。 令和8年度予算においても、複数年度の取組や歳出構造の平時化に向けた取組を推進し ているが、引き続き予算編成の在り方の見直しについて取り組んでいく。 また、租税特別措置・補助金の見直しについても、担当大臣として国民からの提案募集 などの取組を進めているところだが、次の予算編成に向けて、要求段階から査定段階まで 一貫した対応ができるよう取り組んでいく。 金融市場の状況に変化が見られる中で、マーケットからの信認を確保していくことも重 要。引き続き、「責任ある積極財政」の考え方の下、これまでの取組の進捗・成果を後戻 りさせることなく、成長率を高め、あわせて金利上昇にも目配りしながら債務残高の対G DP比を安定的に引き下げていく。 〇「イノベーション(スタートアップ、大学改革等)」 (城内議員) それでは、次に議題2の「イノベーション(スタートアップ、大学改革等)」 についてであるが、先ほど申したように、この議題については小野田科学技術政策担当大 臣、松本文部科学大臣にもご参加いただくことになっている。 それでは、まず南場議員から、資料4の民間議員のご提案をご説明いただきたい。 (南場議員) 「強い経済」の実現に向けては、新たな付加価値を創出するイノベーショ ンが重要。日本が世界有数の知的創造拠点になるためには、企業、資金、人材が流動する ダイナミズムを起こし、イノベーションが持続的に起こり続ける土壌を作らなければなら ない。 こうした問題意識を踏まえ、研究開発力の向上とスタートアップエコシステムの構築の 二つの観点からご説明する。 5 令和8年第2回経済財政諮問会議 研究開発力の向上については、研究生産性の抜本的強化に向け、大学の再編・統廃合・ 改革の推進とセットでのメリハリある運営費交付金の配分や科研費の拡充、デュアルユー ス技術を含めた先端技術研究開発など政府の中長期的なコミットの明確化、OISTの取 組を参考にした研究大学における研究成果の質の向上に向けた改革、若手研究員の処遇向 上や研究者が研究に集中できる環境の整備、研究人材の産学双方向の流動性の向上や、国 境や機関をまたいで様々な研究者・教員の指導を受け、幅広い研さんを積める環境の整備 などを進めるべき。 スタートアップエコシステムの構築については、「スタートアップ5か年計画」の着実 な実行に加え、取組の加速が必要。具体的には、公共調達におけるスタートアップ比率3% の目標の早期達成と引上げや、ディープテックの重点化とスタートアップが参画しやすい 防衛調達スキームの構築、日本に不足している大規模資金を供給できるTop tier VCや 強化分野の専門知識を有するVCを海外から呼び込むための経済的なインセンティブの 付与、大学のシーズを外側から能動的に発掘して事業化に導く専門家チームなどアカデミ アとスタートアップエコシステムの連携を活性化する取組、M&Aやスピンオフ、スピン アウトの活性化に向けた税制インセンティブの活用促進、世界の超一流研究者やスタート アップ人材を呼び込むための家族や研究スタッフを含めたサポートや能動的なスカウテ ィングなどを進めるべきと考える。 (城内議員) 続いて、第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の検討状況につい て、小野田科学技術政策担当大臣から資料6に沿って説明をお願いする。 (小野田臨時議員) 資料6に沿ってお話をさせていただく。 科学技術政策担当大臣として、我が国が「新技術立国」となることを目指し、本年3月 の閣議決定に向けて検討している第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の概略を ご説明する。 まず、一番上の青色の枠、「我が国の課題」である。トップレベルの論文数のランキン グは、2000年代初頭の4位から直近は13位まで下がっている。また、研究開発投資も伸び 悩んでいる。具体的には、第6期計画では政府投資は目標を達成したが、官民投資は目標 を下回る見込みである。このため、民間のさらなる投資や、それを促すことが不可欠であ る。 続いて、緑色の枠、「対応の方向性」。科学技術は、経済成長のみならず安全保障上の 目的を達成するためにも不可欠な基盤であることから、科学技術・イノベーション政策の 転換を図っていく。特に、科学研究と社会実装の一体的推進と、国家安全保障政策との有 機的連携が重要。このため、我が国の科学技術・イノベーションを推進するシステムの「縦 割り」、「自前主義」、「デジタル転換の遅れ」といった構造を刷新する取組を進めてい く。 最後に、オレンジ色の枠、主要な取組。国力に直結する基礎研究力強化のための予算の 拡充と大学改革による「科学の再興」や、将来の我が国の自律性・不可欠性の確保、成長 産業の創出に向けた技術領域の戦略的重点化と一気通貫支援、デュアルユース技術の研究 開発の推進等による国家安全保障との有機的連携の強化に取り組んでいく。 これらの取組により、「強い経済」の実現に向け、我が国の科学技術力を抜本的に強化 していく。 (松本臨時議員) それでは、私から資料7に沿ってご説明申し上げる。 科学技術・イノベーションを通じた経済成長や、国際的地位の確保を達成する新技術立 6 令和8年第2回経済財政諮問会議 国を目指した研究力向上の取組や今後の方向性などについてご説明をする。 1ページ目、右上になるが、研究成果の創出には、坂口先生の例のように、国立大学法 人運営費交付金や科研費等の基礎研究への支援を経て、より大型で実用化を目指した研究 開発への支援、さらには産学連携やスタートアップなどを通じた社会実装への支援を重層 的に推進することが必要である。 日本全体での科学技術関係経費は増加傾向にある。一方で、運営費交付金は減少が続い た後、同額程度の予算で推移しており、基礎研究支援に係る科研費等の予算額も横ばいが 続いてきた。 そのような中、基盤的経費と競争的資金の相互補完的な観点から、令和7年度補正予算、 令和8年度当初予算案において増額となったところである。引き続き、強化が重要である。 2ページをご覧いただく。 一方、研究環境をめぐっては、研究者の研究時間の確保、組織的な研究支援体制の構築、 国際ネットワークへの参画などの課題が存在する。研究環境の充実に向け、研究力の強化 に向けたガバナンス改革に取り組む研究大学群を形成していくことが必要であり、そのた めに国際卓越研究大学制度などによる支援を行っているところである。 3ページをご覧いただく。 今後の方向性として、「科学の再興」に取り組むことが急務であるとの認識の下、文部 科学省としては、運営費交付金や基礎研究・人材への支援の強化を図るとともに、他省庁 や民間と連携し、充実していく。また、研究大学群の形成に力を入れていくこととしてお り、さらなる支援策の充実にも取り組んでいく。 (城内議員) 民間議員の皆様からのご意見をいただく。 (筒井議員) 絶え間ないイノベーションの創出による「科学技術立国」の実現というこ とを、経団連では主要課題の1番目に掲げている。そのための必要な施策は、先ほどの南 場議員からのご説明のペーパーに尽くされているので、私からはその実現に不可欠な点を 二点申し上げたい。 第一は、「科学技術立国」を目指す必要性を、政府・経済界だけでなく、アカデミア、 投資家、そして、国民を含む社会全体が理解をして腹落ちしていただくことである。 かねてから、 「投資牽引型経済」へのマインドセット転換が不可欠だと私は訴えてきた。 民の研究開発投資の拡大は言うまでもなく重要である。一方で、不確実性の高い基礎研究 には、運営費交付金や科研費といった政府の財政支援が極めて重要である。こうした官民 の研究開発投資を持続的に拡大するためには、社会全体が共有し、実感できる目指すべき 「科学技術立国」像が必要である。 経団連は、「FUTURE DESIGN 2040」において、目指すべき国家像の一つと して「科学技術立国」を掲げている。分断・対立が深まる国際社会で、人口減少・資源制 約といった構造課題を抱える我が国が持続的に成長するには、科学技術の力で価値を創 出・実装することを通じて、世界に貢献し、信頼され、必要とされる国になるのが必須の 道筋である。そうした国家像を明確に描き、共有することが社会全体で投資を後押しする 礎を作ると考える。 第二は、研究開発投資の受皿になる人材やエコシステムなどの基盤構築である。投資額 の拡大はもちろん重要だが、科学研究、技術開発、社会実装、こうしたそれぞれのフェー ズにおいては、その性質や求められる機能が異なることも踏まえる必要がある。資金を戦 略的に配分し評価する人材、博士人材をはじめとする研究人材、研究から開発に橋渡しを 7 令和8年第2回経済財政諮問会議 するコーディネート人材に加えて、社会実装においては、エンジニアリングだけでなくて、 マーケティング、規制対応、ルール形成などを担う人材も不可欠である。 今申し上げた人材は、いずれも不足が指摘をされており、人口減少下でこうした多様な 人材の厚みをいかに確保していくかが肝要である。同時に、価値の創出から実装、課題解 決まで一気通貫で担うべく、大学、国研、企業、そしてスタートアップなどの連携による エコシステムの形成も不可欠である。 (永濱議員) 私からは三点申し上げる。 まず、科研費について。アベノミクス以降、日本の名目GDPは緩やかに拡大している のだが、先ほどの資料5の1ページにあるとおり、科研費とか国立大学法人運営交付金の 予算額はほぼ横ばいで推移しており、これは対GDP比で見ると低下あるいは停滞傾向が 続いていることを意味し、いずれも増額になった2026年度の当初予算ベースでもその状況 から脱していないということになっている。なので、科研費については、第7期の基本計 画で名目GDPが低下しないように当初予算からしっかり計画的に組んで、国立大学法人 運営交付金についても、これまでのインフレで実質的に目減りした分を補うべく予算額を 拡充することが重要と考える。 二点目、研究開発投資とスタートアップについて。こちらは特に、目標を下回っている 民間の研究開発投資、これはGDPの設備投資に計上されるので、高市政権が目指す日本 経済の供給力、すなわち潜在成長率を高める上でも大変重要な項目になる。 こうしたこともあり、令和8年度の税制改正では研究開発税制の戦略技術領域型の創設 と一般型の見直しが盛り込まれ、さらにオープンイノベーション促進税制も延長・拡充が 盛り込まれている。なので、今後はこれらの減税効果をつぶさにウオッチして、効果が不 十分となれば、次年度は税額控除率や控除上限等の延長、さらには見直し、こうしたとこ ろも必要になってくる可能性があると考える。 最後、三点目として、私は日本の科学技術競争力の観点から、理系のトップ層がこぞっ て医者を目指すという偏りは非常に根深い課題と考える。ただ、この点に関しては、政府 も放置しているわけではなくて、主にキャリアの多様化とか医学部定員の適正化の両面か ら動いていると認識している。特に、今回の民間議員ペーパーの中でも指摘されている博 士課程の経済的支援の拡充や、スタートアップ支援による理系キャリアの魅力向上の取組 を効果的と考えるのだが、私はこれに加えて医工連携という教育課程の柔軟化も重要と考 える。 この点、医学部に籍を置きながら工学とかAIを学び、臨床だけではなくて、医療機器 の開発やバイオベンチャーに進む、キャリアを推奨する大学は実は増えてきており、文部 科学省もこうした学際的な教育プログラムに予算をつけている。なので、政府としてはこ うした取組をより強化することで、強制的に進路をねじ曲げるのではなく、研究者とか起 業家の方が医者になるより魅力的でリターンも大きいという環境をいかに作るか、これが 重要と考える。 (若田部議員) 成長のスイッチは様々あるが、最も有望な成長のスイッチは基礎研究と 人材への投資である。高市政権が掲げる「責任ある積極財政」を成長につなげる鍵は、こ の成長のスイッチを押すために基礎研究と人材への投資を政策の本丸に据え直すことに ある。 日本には技術力の底力はあるのに、長期の成長力が伸び切らない。原因は、研究開発を 含む国内投資の不足であり、とりわけ研究者の時間が研究以外に吸い取られている点にあ 8 令和8年第2回経済財政諮問会議 る。イノベーションは選択と集中だけでは生まれない。薄く広い基礎の土台があってこそ、 とがった最先端の成果が生まれるものだ。博士人材も、国際協調も、トップ論文の比率も、 それを戻すための必要条件は研究者の自由時間を戻すことである。 私からの具体的な提案は三点。 第一に、基礎研究・人材の基盤的経費を実質的に立て直すこと。昨年補正で追加した運 営費交付金は単発で終わらせず、当初予算で基盤として積み上げ、研究者が研究に専念で きる環境を整え、研究時間を取り戻す。あわせて、大学改革を進め、資金配分と人材活用 の意思決定を早くし、成果が出る体制にする。 第二に、予算の作り方を変えること。補正を前提とする思想から決別し、恒常施策は当 初へ、補正は緊要性と不可欠性への対応に限定する。その上で、研究・人材・重要技術へ の投資は複数年で国がコミットを続け、その上で産業界が設備・人材・研究拠点に投資し やすい予見可能性を作るということである。政府調達で初期需要を作り、官民の共同投資 でリスクを分かち合い、民間研究開発投資を呼び込む。 第三に、責任を担保するためには、成果を動学的に、ダイナミックに点検すること。研 究投資は単年度ではコストに見えるが、成長率と税収基盤を押し上げ、財政余力を高める ものである。いわゆるダイナミックスコアリングの考えを重視し、前提と時間軸を明示し、 効くものは伸ばし、効かないものは見直す運営を徹底すべきである。 総理の言う国内投資不足を埋めるには、研究人材への基礎投資不足を直視すべき。新技 術立国実現に向け、補正依存から決別し、当初と複数年で基盤資金を確保する予算の作り 方改革を科学技術政策担当大臣としてどのようにリーダーシップを発揮し、結論を出すの か、小野田大臣に伺いたい。 (南場議員) 今、研究開発の中心に躍り出ようとしているのはAIである。OpenAIのサ ム・アルトマンも、Anthropicのダリオ・アモデイも、何を一番実現したいのかというと、 「AI for Science」と言う。今も既に研究や実験の現場では生産性を上げるために大活 躍しているのだが、AGI(Artificial General Intelligence:人口汎用知能)の時代 は、AIが自律的に研究開発を進め、新しい発見をする、そういう時代が短い人であと半 年、長い人で5年、つまり、半年から5年の間でAGIにまで進化させてみせると言って いる。 文科省で「AI for Science」の検討をされている。これはとても重要である。ファン デーションモデルの開発競争は米中が圧倒的に進んでしまっている。この開発の遅れが利 用の遅れにならないよう、最も重要なテーマとして取り組んでいただきたい。 それから、スタートアップに関して、これまでも申し上げている政府調達について発言 する。スタートアップは市場によって育てられるので、どうか政府が顧客となってスター トアップを育てていただきたい。これまでも入札参加資格の見直しや随意契約スキームの 導入などを進めていただいているが、まだまだ改善の余地が大きい。 例えば、調査、実証、納品というように段階を踏んでビジネスに育てていくわけだが、 年度単位の予算はここでも大きな問題で、スタートアップからすると先が全く保証されな いなかで投資をしたり、説得力のある資金調達をしたりできるのかといった、予見可能性 の低さが大きな負担になっている。 また、年度ごとの契約はその都度大きな事務作業が発生し、年間12か月のうち3か月ぐ らい事務作業をしていると聞くなど非常に負担が大きい。また、保証金が求められること もまだ多く、余裕資金の乏しいスタートアップが公共調達に参加する上での大きな障壁に 9 令和8年第2回経済財政諮問会議 なっているとも聞く。 こういった実情を踏まえると、本格調達までのスピード、柔軟性、予見可能性を飛躍的 に高める基金の活用や、契約上の阻害要因の解消などを早急に検討して進めていただきた い。 最後に、人材・教育について発言する。研究開発力もスタートアップも担い手は研究者 であり、起業家であり、人材である。日本の最大のアセットである人材がグローバルスケ ールに成長し、国をグローバルスケールにしていくためには留学は大事だ。 粗い試算だが、大学学部生が265万人いて、複数の調査で、留学を希望する学生は4割 ほどとされている。その全員が国費500万円で在学中に1回は留学したとしても年間1.3 兆円である。これは比較する対象かどうかは別として、規模感をイメージするためだけに 申し上げるが、社会保障給付費が141兆円で、その1%にも満たない金額で全員留学がで きるということである。 先ほども申し上げたが、資源の乏しい国の最大のアセットは人材であるため、ぜひ希望 者全員に留学のチャンスを与える程の大胆な施策を行っていただきたい。 (城内議員) 続いて、閣僚からのご発言をいただきたい。 (小野田臨時議員) 若田部先生におっしゃっていただいた件で、大学等の基盤的経費の 不足は我が国の研究力の低下の大きな要因と考えており、これをしっかり拡充していきた いと思っている。科学技術・イノベーションは、継続的かつ弾力的な取組が必要で、必要 な当初予算の措置と複数年の予算措置が重要だと認識している。3月中の閣議決定を目指 している第7期「科学技術・イノベーション基本計画」においても、そのような趣旨を盛 り込んでいるところ。 「責任ある積極財政」の考えの下で、「新技術立国」の実現に向け、高市総理や片山財 務大臣とも相談しながら、予算の当初と複数年という検討に取り組んでいきたいと思う。 (赤澤議員) 研究開発力の向上のため、研究開発税制の強化等により、AI・先端ロボ ットやバイオ、量子等の戦略技術領域に対する民間投資を強力に促進していく。また、高 い研究力を有し、産業競争力強化に貢献する大学群が実力を十分に発揮できるよう、文部 科学省とも連携し、世界トップ大学と同等の柔軟な経営環境を実現していきたいと思って いる。 スタートアップエコシステムの構築のため、防衛をはじめとする公共調達により需要創 出のシグナルを出し、AI等のディープテック・スタートアップへの投資を促すため、南 場議員がおっしゃったとおりで、公共調達をしっかりやるということがある。 もう一つあるのは、日本でできているスタートアップのエコシステムが小さく産んで小 さく育てて小さく売るという、しかも、いつまでに金を返せということになるため、これ はしっかり基金等を使い、しかも長いスパンで考えないと、今言った全て「小さい」とい うのから抜けられないのに加え、アーリーからミドル、レイターステージまで一気通貫し たリードインベスターが日本ではなかなかおらず、そのような人がいて、その人がずっと ついていることが有望だということのサインになるというのはすでに国際標準だと思う ので、官民ファンドを通じて資金供給の担い手の育成にも取り組んでいきたいし、思い切 った人材登用も要るかと思う。 日本の強みを生かせるフィジカルAIを軸に、あらゆる産業分野でAIトランスフォー メーションを推進することでイノベーションを加速し、高市政権の掲げる「新技術立国・ 競争力強化」の実現に向けて力強く取り組んでいきたいと思う。分野で言うとフィジカル 10 令和8年第2回経済財政諮問会議 AI、あとホワイトカラーがそもそも少ない地方は、リープフロッグというように大企業 を追い抜ける可能性は結構あると思うので、その辺は力を入れていきたいと思っている。 (城内議員) それでは、スタートアップ担当大臣として私からも一言申し上げる。 「日本列島を、強く豊かに。」を目指す高市内閣において、この夏に取りまとめる日本 成長戦略では、成長戦略の肝である危機管理投資・成長投資の担い手としてもスタートア ップが大きく期待されており、8つの分野横断的課題の一つに掲げている。 先般、日本成長戦略会議の下にスタートアップ政策推進分科会を立ち上げ、2月4日に 第1回目となる会合を開催したところである。そこでは、まず第1はスタートアップのス ケールアップ、2つ目はディープテック・スタートアップの支援、3つ目は地域の経済社 会を担うスタートアップの創出・育成の3つの柱に焦点を当て、本日の会議でも南場議員 からもご提案のあった政府調達、海外投資家の呼び込み、出口の多様化の課題を含めて、 今後とも精力的に検討を進めていく。 その上で、「スタートアップ育成5か年計画」を強化し、我が国発のスタートアップが 主要なプレーヤーの一つとして活躍する「強い経済」の実現に向けた戦略を5月までにし っかりとまとめる考えである。 プレスに入室いただく。 (報道関係者入室) (城内議員) 総理から締めくくり発言をお願いする。 (高市議長) 本日は、マクロ経済運営とスタートアップや大学改革などのイノベーショ ンの促進について意見交換を行った。 行き過ぎた緊縮志向、未来への投資不足から脱却し、「危機管理投資」、「成長投資」 といった分野に官民協調で大胆に投資することにより、「強い経済」を実現していく。 国の予算の作り方も根本から改める。毎年度補正予算が組まれることを前提とした予算 編成とは決別し、必要な予算は可能な限り当初予算で措置する。経済財政諮問会議におい て、骨太の方針の策定に向け、予算編成の在り方を含め、「責任ある積極財政」の目指す 姿や具体策について、更に議論を深めていただくようお願いをする。 「強い経済」の実現に向けては、イノベーションが重要である。このため、民間議員の 皆様からは、科研費をはじめとする基礎研究費の計画的な予算措置や、大学改革の推進と 併せて、物価・人件費の上昇を踏まえた運営費交付金の確保などを図ること、デュアルユ ース技術を含めた先端技術研究開発など、政府の中長期的なコミットの明確化などを通じ て民間投資を引き出す措置を強化すること、「スタートアップエコシステム」の構築に向 け、公共調達におけるスタートアップ比率の目標である3%を早期に達成し、さらなる高 い水準を目指すこと、我が国のエンジェル税制の効果を検証し、そのボトルネックの特 定・解消を進めるとともに、ベンチャーキャピタル等の資金を呼び込むための仕組みを検 討することなどのご提案をいただいた。 小野田大臣におかれては、本日の議論も踏まえ、文部科学大臣等とも連携して、「新技 術立国」を目指し、まずは第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の策定を進めて ください。 城内大臣におかれては、本日の議論も踏まえ、経済産業大臣や金融担当大臣とも連携し て、「スタートアップ育成5か年計画」を強化し、先端技術の社会実装を加速させてくだ 11 令和8年第2回経済財政諮問会議 さい。 高市内閣は、我が国が世界有数の知的創造・イノベーションの拠点となるための取組を 強化する。民間議員の皆様にも、引き続き活発なご議論をお願い申し上げる。 (城内議員) プレスはご退室をお願いする。 (報道関係者退室) (城内議員) 以上をもって、本日の会議を終了する。 (以 上) 12 令和8年第2回経済財政諮問会議