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経済財政諮問会議 2026年1月22日

2026-01-22一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

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議事録

令和8年第1回経済財政諮問会議 議事要旨 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (開催要領) 1.開催日時:令和8年1月 22 日(木)17:47~18:27 2.場 所:総理大臣官邸2階小ホール 3.出席議員: 議長 高 市 早 苗 内閣総理大臣 議員 木 原 稔 内閣官房長官 同 城 内 実 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 同 林 芳 正 総務大臣 同 片 山 さつき 財務大臣 同 植 田 和 男 日本銀行総裁 同 筒 井 義 信 日本生命保険相互会社 特別顧問 同 永 濱 利 廣 株式会社第一生命経済研究所 首席エコノミスト 同 南 場 智 子 株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 同 若田部 昌 澄 早稲田大学政治経済学術院教授 井 野 俊 郎 経済産業副大臣 (議事次第) 1.開 会 2.議 事 (1) 中長期の経済財政に関する試算 3.閉 会 (資料) 資料1-1 資料1-2 資料2 資料3 中長期の経済財政に関する試算(2026 年1月)のポイント(内閣府) 中長期の経済財政に関する試算(2026 年1月)(内閣府) 中長期の経済財政試算を踏まえた「責任ある積極財政」の実行に向けて (有識者議員提出資料) 中長期の経済財政試算を踏まえた「責任ある積極財政」の実行に向けて (参考資料)(有識者議員提出資料) 1 令和8年第1回経済財政諮問会議 (概要) (城内議員) それでは、ただいまから「経済財政諮問会議」を開催する。 本日の議題は、お手元の議事次第のとおりである。 ○「中長期の経済財政に関する試算」 (城内議員) まず、議題1「中長期の経済財政に関する試算」について、内閣府の阿久 澤統括官から資料1-1に沿って説明をお願いする。 (阿久澤統括官) それでは、中長期の経済財政に関する試算について、資料1-1のポ イント資料に沿ってご説明する。 まず、1ページの「経済の中長期的な展望」をご覧いただく。全要素生産性(TFP) 上昇率が過去40年平均の1.1%程度まで高まる成長移行ケースでは、実質成長率が1%を 安定的に上回り、名目成長率は中長期的に3%程度となる姿となっている。一方、過去投 影ケースでは、中長期的に実質0%台半ば、名目1%程度で推移する姿となっている。 次に2ページ、「財政の中長期的な展望」。左の図、公債等残高対GDP比は、2024 年度から2025年度、2026年度にかけて着実に低下をする姿となる。その後、成長移行ケー スでは、金利の上昇が押上げ要因となるものの、高い成長率、また、プライマリーバラン ス黒字が押下げ要因となり、着実に低下をする見込みである。過去投影ケースでは、経済 成長率やプライマリーバランスの黒字による押下げ要因の寄与が小さいため、2030年代に 上昇へ転じる見込みである。 右の図だが、国・地方のプライマリーバランス対GDP比は、コロナ禍で赤字が大きく 拡大した後、改善が続いており、2026年度には歳入と歳出が概ねバランスした姿を実現す る見込みである。2027年度以降は、成長移行ケースでは黒字幅が緩やかな拡大傾向で推移 する一方、過去投影ケースでは次第に縮小していく姿となっている。 次の3ページだが、公債等残高対GDP比の変化要因の分析である。公債等残高対GD P比のこれまでの実績や、試算期間中の推移において、名目成長率、金利、プライマリー バランスといった要因がどのように影響を及ぼしているかを分析している。 次の4ページでは、2025年度・2026年度におけるプライマリーバランスの変化要因など をお示ししている。前回試算との比較では、昨年11月の経済対策に係る歳出の追加などの 影響により、2025年度・2026年度の国・地方プライマリーバランスは悪化をしている。他 方、2026年度は、国の一般会計予算において28年ぶりにプライマリーバランス黒字化を達 成した。 こうした「責任ある積極財政」に基づく予算編成等の結果、SNAベースの国・地方の プライマリーバランスで見ても、2026年度にはプライマリーバランス目標を掲げた2001 年度以降で最も改善した形となり、歳入と歳出が概ねバランスした姿を実現するとともに、 2027年度以降も一定の黒字幅となることが見込まれている。 (城内議員) 続いて、永濱議員から資料2のご説明をお願いする。 (永濱議員) 資料2「中長期の経済財政試算を踏まえた『責任ある積極財政』の実行に 向けて」の民間議員提案についてご説明する。 今回の中長期試算の最大のポイントは、成長の実現を通じて債務残高対GDP比が着実 に低下し得ることが一定の前提の下で示された点にあると思う。中でも重要なのが、財政 の健全性を測る物差しの転換である。 日本では、これまでプライマリーバランスばかりが注目されてきたのだが、格付会社や 2 令和8年第1回経済財政諮問会議 国際社会が見ているグローバルスタンダードは債務残高対GDP比になる。そして、分母 はGDPなので、投資によって経済を成長させて分母を大きくすれば、結果として債務比 率が下がるので、成長こそが最大の財政健全化策になることが示される。 このため、債務比率の安定的な引下げを財政運営の柱に据えて、投資の加速から潜在成 長率の向上を通じて比率を低下させるという好循環を、一過性で終わらせない決意を明確 にすることが重要と考える。 一方で、現状のような金利上昇局面においては、利払費の動向も注意する必要がある。 また、プライマリーバランスについても無視するわけではない仕立てにすることも重要だ と思う。特にプライマリーバランスについては、景気動向を踏まえつつ、単年度ではなく 複数年度でバランスを見るという総理の方針は非常に経済合理性が高いものと考える。 加えて、今回の中長期試算では掲載する指標がかなり充実した。特に、資料3の参考資 料の1ページ目に、部門別の貯蓄・投資バランスが載っているのだが、こういった指標も 含めて多様な指標を多角的に点検して、柔軟かつ規律ある運営を目指すべきと考える。 続いて、2ページ目が「強い経済」の実現に向けた提言である。こちらについては、危 機管理投資・成長投資が経済や財政に与える影響を分析して、高市内閣が目指す経済財政 の姿を分かりやすい形で早期に提示し、個別テーマの検討も加速する必要があると考える。 具体的には、危機管理投資・成長投資の実現に向けた仕組みの構築や、科学技術・イノ ベーション力の強化、こちらは特に大学、人材育成、スタートアップが重要と考える。ま た、働きたいとの希望を実現して働くことが報われる仕組みづくりに加え、社会保障と税 の一体改革、給付付き税額控除の制度設計が非常に重要だということだ。さらに、国民や 市場とのコミュニケーション強化といった取組を強化いただきたいと考える。 最後に、コミュニケーションの強化について補足する。現在、サナエノミクスに対して 財政を軽視しているという誤解がある。しかし、事実は異なって、中長期試算で示されて いるとおり、成長による持続可能な財政を目指す極めて現実的なシナリオになっている。 このため、今後は財務省と内閣府が連携して、例えば予算案を対GDP比で発信していく など、数字の出し方とか見せ方をさらに工夫する必要があるのかと考える。 加えて、例えば補正予算の段階から将来の債務比率低下の見通しをセットで示すとか、 国民や市場に希望あるシナリオを戦略的に届けていくことが重要かと思う。 (城内議員) 民間議員からご意見をいただく。 (筒井議員) 三点申し上げる。これは、潜在成長力を上げて「強い経済」を実現するこ と、そして、財政の持続可能性を確保すること、この両立に取り組む観点からの三点であ る。 第一は、官民連携による危機管理投資と成長投資を軸として、成長戦略の具体化と早期 実行である。経済界としては、投資牽引型経済の実現に向けてマインドセットを転換する こと、そして、民間設備投資を2040年度には200兆円とする目標の実現に向けて積極的に 取り組む決意である。 設備投資は何といっても企業経営の根幹であって、その意思決定に向けては予見性の向 上が不可欠である。特に国内投資の拡大を左右する、また三つ取り上げるが、一つは人材 確保。これは、設備を建設するにも研究開発をするにも人材が必要だと。二つ目は、安価 で安定的なクリーンエネルギーを確保するということ。三つ目は、新たな技術については、 技術開発だけではなくて、その先の社会実装までを念頭に置いた計画が必要であるという ことである。 3 令和8年第1回経済財政諮問会議 こうした設備投資には、もちろん回収までの複数年のロードマップを策定して、企業は これを投資家との建設的対話で説明していく責任がある。政府においても、複数年度にわ たる予算措置とともに、規制・制度改革も同時に進めて予見性を確保すべきである。引き 続き、経済界とのリアルな意見交換を通じて連携を深めていただきたいと願っている。 第二に、人への投資としての賃金引上げを通じた適度な物価上昇の下での実質賃金の安 定的なプラス化を実現することである。経団連は一昨日、「2026年版経労委報告」を公表 した。その中で、賃金引上げの力強いモメンタムのさらなる定着に向けて、決意を持って 取り組む所存であると表明している。特に、今年の春季労使交渉に当たって、ベースアッ プ実施の検討を賃金交渉のスタンダードと位置づけ、各企業に積極的な対応を呼びかけ、 働きかけていく。 政府には、企業が安心して継続的に賃金引上げができる環境整備をお願いするとともに、 補正予算等で物価高対策を既に講じていただいているが、日銀とも連携して2%程度の適 度な物価上昇の実現に尽力をいただきたい。 第三に、「強い経済」と両立して財政規律にも配慮した、まさに「責任ある積極財政」 についての発信の強化と継続の必要性である。足下、長期金利の上昇、円安方向に振れ過 ぎた為替の動きに対して、経済界の中にも今後の財政さらには企業活動への影響を心配す る向きもある。市場において我が国の財政運営への様々な思惑がある現実下で、政府には 市場の信認を維持すべく、引き続き中長期的に「強い経済」と財政健全化の両立に取り組 むという姿勢をはじめとして、経済・物価動向と財政状況の関係等を継続して発信してい ただくことを期待している。 また、今後議論される社会保障と税の一体改革について申し上げる。給付付き税額控除 は、デジタルを活用して社会保障と税を一体的に捉えるものであること。そして、中低所 得者の負担の軽減、真に必要な方への迅速な支援に結びつくものであること。こういった 観点から極めて画期的な制度であり、実現すべきであると考える。 他方で、消費税の取扱いについては、重要な社会保障財源として位置づけてきた点を十 分に踏まえておくこと。とりわけ、代替財源の在り方を含めて、先ほど民間議員ペーパー で提起した事項を、市場の信認が維持されるよう、国民会議でしっかりと検討いただきた いと思う。 (南場議員) まず、「責任ある積極財政」についてだが、金利、為替の状況は市場の信 認を推し量る上で重要なシグナルで、最近の動きは気になっている。国内で事業を営む者 としては、世界の全主要通貨に対して円安が続いているというのは、不可抗力で我々の事 業活動の成果が世界の中で相対的に縮小することであるので、やりきれない思いがある。 トランプ政権がよく「アフォーダビリティー」という言葉を使っているが、日本人と日本 企業の世界におけるアフォーダビリティーの低下を意味することである。 今回の中長期試算で示されたように、高市政権の経済財政運営により各種指標が改善し ていくシナリオについて、市場としっかりコミュニケーションしていくことが重要である。 市場が注目している指標は、債務残高対GDP比、プライマリーバランス、そして、国 債発行額である。総理も先般の会見でこれらに言及された。これらが後退することがない 財政運営を行っていくべきと考える。 スタートアップについては、日本に決定的に不足している大規模リスクマネーを増やす ためにも、日本のスタートアップエコシステムを世界に開くためにも、米国をはじめとし た海外のtop tier VCを重点的に呼び込むべきで、特にディープテックで必要というこ 4 令和8年第1回経済財政諮問会議 とは前回もお話しした。世界のtop tier VCから、日本の研究は優れているがスタート アップへのパスがない、それを自分で作るのは難儀だから行きたくないという話を直に聞 いたことがある。また、どこにどのような研究成果があるのか分からず、発掘するのも苦 労が多いと言われている。 この問題を解決するためには、社会実装に値する研究成果を引っ張り出してショーケー スに並べ、魅力的な発信をすることが必要だ。まず、特定産業に絞ってでも良いので成功 事例を作って、政府は力強く支援するべき。 ミニマムタックスの特別控除額が3.3億から1.65億円に引き下げられ、税率が22.5%か ら30%に引き上がることが閣議決定されたが、「1億円の壁」の是正の必要性は理解する ものの、起業やスタートアップへの投資のインセンティブという意味では逆行する措置で ある。 スタートアップを中心に世の中が回っているわけではないことは理解するが、今回の措 置が適用される令和9年度までに株の処分をしようと言っている個人投資家や海外に移 住して投資活動をしなければならないと言っている個人投資家が実際に出ている。日本の スタートアップエコシステムを世界水準に引き上げるために、基準所得額から控除される エンジェル税制の抜本的拡充など、今回の措置を補って余りあるような大胆な政策を総動 員する必要がある。 また、前回も発言したが、スタートアップは市場によって育てられるため、政府が顧客 となってもらいたい。自ら定めた政府調達の3%は低い目標なので、軽々達成して、上方 修正を行うべきと申し上げたが、まず、官公需の基本方針において、3%未満の省庁によ る見直しを含めた改善計画の策定を求めていただきたい。また、SBIRなど政府の研究 開発支援は様々あるが、政府調達とつながっていない。スタートアップのイノベーティブ な試作品を政府などの公的機関が買い上げて、調達できる枠組みが必要である。 米国ではスペースシャトルの引退後、ISSへの輸送は民間に開放するという決定がな され、研究開発支援と実際の調達契約が一本化されて、COTS・CRS制度がスペース Xなど多くのディープテックのユニコーンの飛躍のきっかけとなっている。実際の調達契 約までが一体となることで、スタートアップは人材を採用でき、VCや銀行もリスクを取 れる。 最後だが、AIに関する検討のレベルが日米で非常に差があると感じている。米中とも にフィジカルAIを含むAIに資金が集中する状態だが、これはAIがインターネットと 同等かそれ以上に産業の在り方を根本から変えると認識されているからである。この分野 での立ち後れの影響は相当大きく、また長期にわたるため、すべて経済財政諮問会議で議 論するべきことかどうかは別にしても、トップマターとして検討していく必要がある。 (若田部議員) まず結論から申し上げるが、サナエノミクスが目指すものは「責任ある 積極財政」である。この点、まずは成長投資を進めるということと、債務をコントロール 可能な軌道に置いて国民と市場の信認を守る、この2つを両立させるということだ。「責 任ある」という部分が、今、多少コミュニケーションがなされていないというのは残念だ が、そのコミュニケーションをしっかりとしなければならないと思う。 今回の中長期試算についてだが、これは一定の前提の下ということではあるが、重要な 事実を示している。それは、成長が実現することによって、実質賃金、企業収益、税収が 底上げされて、プライマリーバランスの改善と債務比率の低下が同時に進み得るというこ と。つまり、政策の中心に置くべきは、成長すれば債務比率は下がるというメカニズムで 5 令和8年第1回経済財政諮問会議 ある。増税か歳出カットかではなく、成長で分母を大きくし、信認の下で投資を回してい く、ここに軸を置くべきだと考える。 一方で、何人かの議員からお話があったように、今は金利が動く局面。利払費を定点で 観測し、信認を守ることが重要である。国債は平均して長い期間で借り換えるため、金利 上昇が利払費に波及するまでには時間差がある。これは冷静に共有すべき事実であると考 える。 ただ、この時間差は安心材料ではない。時間があるうちに、危機管理投資・成長投資を 進めて潜在成長力を引き上げ、プライマリーバランスの改善を通じて財政の体力を強め、 金利上昇に耐えられるファンダメンタルズを作る必要がある。 実際には、税収は過去最高、債務比率も低下しつつあるという形で、良いニュースも実 はある。ここに合わせて金利が上振れしたときのある種のストレステストみたいなことで、 債務がコントロール下にあるということを、点で示すのでなくて、金利や成長率の不確実 性を分布で点検するという作業も可能かと思う。これは、債務持続性分析、SDSA (Stochastic Debt Sustainability Analysis:確率的債務持続可能性分析)という分 析手法があるので、それを活用して、ストレスがかかっているときでも財政がコントロー ル可能であることを枠組みで示すということも検討の余地があると思う。これが「責任あ る積極財政」をこれから実装していくという作業に関わってくると思う。 具体的には、さらに三つ提案したい。第一に、成長によって成長投資を実現するために は、予算全体を当初予算中心に改めて、複数年度の枠組みで示すことが必要になる。毎年 度補正予算が組まれることを前提とした予算編成と決別する。しかし、必要な政策対応や 投資は止めない。このことが必要である。 具体的には、予算全体について複数年の歳出方針と歳入見通し、国債発行の考え方、そ して、財源の手当てを一体で示し、財政運営が毎年の言ってみれば年中行事ではないとい うことを明確にすべきであると考える。これにより、先行きの不透明感を抑え、国債発行 が野放図ではないことを枠組みとして示すことができると思う。国民と市場の予見可能性 を高めるためには、こういう工夫が必要かと考える。その上で、危機管理投資・成長投資 は官民ロードマップに従い、複数年度でコミットして実行する。 第二に、成長戦略、成長投資の土台として、科学技術、基礎研究を立て直すこと。経済 成長の源泉は新しい知識の創造である。重点分野を旗揚げするだけでは成長は長続きしな い。運営費交付金、科研費、若手博士支援など、基礎研究の厚みを回復し、知識のフロン ティアへの挑戦が連続的に生まれる仕組みに戻す。これこそが生産性と賃金上昇の究極の 源泉になるということである。 第三に、財政の規律を単年度の達成ではなく複数年度のパスで示すことである。単年度 のプライマリーバランス達成競争はやめる。その代わりに、景気を壊さないことが前提だ が、プライマリーバランス赤字を徐々に縮める複数年の改善パスをヘッドラインの約束と して示すことが大事である。 最後に申し上げる。デフレからの完全脱却が近づいてきている。企業も家計も、名目が 拡大していく世界に合わせて売上げも賃金も伸ばしていけるという期待を持ち始めてい る。政府も同じく、成長を押し上げる投資を進めながら、財政はコントロール下にあると 示し続けることが重要。税率を上げずとも税収が自然増に向かう「強い経済」を信認の下 で実現することが望ましいと考える。だからこそ、私たちは不用意な引締めで需要と期待 を冷やさない一方で、放漫財政で信認を損なうことも絶対にしない。現実的な責任の線を 6 令和8年第1回経済財政諮問会議 明確に示し、日本経済に見え始めた良い流れを止めずに加速・前進させることが求められ ている。 (永濱議員) 私からは五点申し上げる。 まずは、中長期試算の債務残高対GDP比の要因分解について。資料1-1の3ページ 目をご覧いただきたいのだが、こちらは財政目標の軸足をストックデータにシフトする中 でも、しっかりフローの状況を確認するという意味で、「責任ある積極財政」を運営する 上で大変重要と考える。 ただ、分母となる名目GDPの拡大のみが強調されると、過度なインフレ経済によって 財政を改善させるのではと誤解されるおそれがあると思う。実際に、市場関係者の中には そうした向きもある。 そういうことからすると、今後は要因分解のところを、名目成長率要因を実質成長率と インフレ要因に分解して、予想期間はインフレではなくてしっかりと実質成長によって財 政が改善するという姿を示すべきだと思う。 二点目が潜在成長率の打ち出しについて。資料3の4ページ、中長期試算では潜在成長 率の構成要素が労働投入量だけになっているのだが、実際に4ページの左側のグラフを見 ると、労働投入量が就業者数と労働時間に分解できる。日本の供給力の足を大きく引っ張 っているのが、ご覧いただいたら分かるとおり、資本投入量の伸び鈍化とともに1人当た り労働時間の減少となっていることが分かる。さらに、右側のところに要因分解が出てい るのだが、特に働き方改革以降、フルタイム労働者の労働時間減が供給力の押下げ要因に なっていることが分かる。 一方で、高市政権の公約には、心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規 制緩和が入っているので、働きたいという希望を実現するためにも、潜在成長率を労働時 間まで分解して把握することが非常に重要と考える。 三点目が、利払費について。そもそも利払費は、支払いだけを見る利払費と受取も加味 する純利払費があるのだが、財政を考える上では政府の金融資産からの利息収入も重要で、 実際、財政関連指標の一つである財政収支というのはプライマリーバランスに純利払費を 加えたものになるので、今後は純利払費もしくは利息収入の動向も確認して信認を得るべ きではないかと思う。 四点目が、市場とのコミュニケーションについて。というのも、実は株式市場関係者で はサナエノミクスの危機管理・成長投資に期待する向きが強い一方で、財政指標が改善し ているにもかかわらず、特に衆院選に向けて各党が消費税減税にかじを切ったことで債券 市場が不安定化しているということがある。 ただ、この点については、先般のダボス会議で片山大臣のご発言が非常に重要かと考え る。具体的には、高市政権の財政政策がプロアクティブであって、エクスパンショナリー ではなく、赤字国債に頼らずできることしかしないということで、非常に重要かと思うの で、今後、仮に消費税減税の検討を加速されるのであれば、赤字国債に頼らない範囲での 制度設計を非常に強力にコミットすることが重要と考える。 五点目、デフレ脱却宣言の準備について。現時点ではデフレ脱却を判断する上で重要な 指標の一つとされるGDPギャップが依然としてマイナスなので、環境はまだ整っていな いのだが、今回の中長期試算に基づけば、来年度はGDPギャップが安定的にプラスにな ることが示されており、そもそも一般的にこれだけインフレが長期化している中で、デフ レ脱却宣言をしていないことに違和感を覚える向きもある。 7 令和8年第1回経済財政諮問会議 以前は、デフレ脱却宣言をすると、拙速な金融財政の引締め観測が強まることを懸念す る向きもあったのだが、現在は、既に日銀が金融政策正常化に向かいつつある。一方で、 財政指標が改善する中でも財政リスクの懸念が払拭されていないわけなので、こうした中 で政府のデフレ脱却宣言というのはむしろ財政規律の意識を示せる可能性もあると思う ので、具体的には実質賃金とGDPギャップの安定的なプラスが確認され次第、迅速にデ フレ脱却宣言ができるように、事前にしっかりと議論をしておく必要があると思う。 (城内議員) 続いて、閣僚等からご発言をいただく。 (林議員) 総務省としても、「強い経済」を実現するため、総合経済対策に盛り込んだ 信頼できるAI開発・活用支援に資するデータ整備、また、海底ケーブル等の地方分散に よるデジタルインフラの強靱化といった、危機管理投資・成長投資などの施策に関し、事 業の実施に向けて取組を加速させていく。 また、各自治体において、地域経済の活性化などの観点から、適切な価格転嫁に向けた 取組を行うとともに、総合経済対策に盛り込まれた各種施策について、可能な限り早期の 予算化と事業着手に取り組んでいただくことが重要である。 総務省として様々な機会を通じ自治体への働きかけを行ってきており、今後も国と地方 が一体となって総合経済対策が十分な効果を発揮できるように取り組んでいく。 (片山議員) 今回の中長期試算では、令和7年度補正予算、令和8年度予算案を反映し た結果、債務残高対GDP比は、今年度から来年度、さらにはその後の期間においても着 実に低下するとともに、国・地方のプライマリーバランスについても改善が続き、2026 年度にはプライマリーバランス目標を掲げた2001年度以降で最も改善した形となり、歳入 と歳出が概ねバランスし、2027年度以降も一定の黒字幅が見込まれるなど、財政状況が着 実に改善する姿が示された。 この結果は、予算全体にメリハリをつけながら、高市内閣が掲げる「強い経済」の構築 に向けた重要施策に対して必要な予算税制上の措置などを確実に講じてきた成果の表れ であると考えている。 こうした取組の進捗成果を後戻りさせることなく、経済・財政新生計画に基づき、歳出・ 歳入両面から改革を推進する中で、金利上昇にも目配りしながら、債務残高対GDP比を 安定的に引き下げ、マーケットからの信認を確保していく。 なお、金融市場の動向について具体的にコメントすることは差し控えるが、世界、日本 の市場に変動が生じていることはよく認識しており、政府としてその動向を高い緊張感を 持って注視している。 引き続き、国際市場の状況や投資家の動向などを注視し、我が国の経済財政運営に対す る市場関係者の見方を意識しながら、市場との対話を丁寧に行っていくことが大事だと考 えている。 (井野経済産業副大臣) 今回の中長期試算において示された成長移行ケースの実現に向 けては、危機管理投資・成長投資を通じて日本経済の供給力を高めつつ、潜在成長率の引 上げに取り組むことで、力強い成長を実現していくことが重要と考えている。 経済産業省としても、AI・半導体や量子、バイオ、航空宇宙、エネルギー・GXなど 戦略分野における官民投資ロードマップの策定に貢献をする。 官民で目指す目標を明確にした上で、日本の勝ち筋を特定、必要な官民投資を具体化し、 大胆な設備投資や研究開発を促す総合的な政策パッケージを示し、官民の積極的な投資を 引き出す。 8 令和8年第1回経済財政諮問会議 その際重要となるのが、投資の予見可能性を高めることである。そのために、民間議員 からもご示唆いただいたが、複数年度にわたる予算のコミットメントや危機管理投資に関 する新たな財源確保の枠組みについても検討を深めていく。引き続き、「責任ある積極財 政」の考え方の下で、民間の成長投資を後押しするため、あらゆる政策を総動員し、「強 い経済」実現に向けて全力で取り組んでいく。 (城内議員) プレスに入室いただく。 (報道関係者入室) (城内議員) 総理から締めくくりのご発言をお願いするする。 (高市議長) 本日は、内閣府から示された[中長期試算]に基づいて議論を行った。内 閣発足以降、「責任ある積極財政」の考え方の下、危機管理投資・成長投資といった投資 すべき分野に大胆に投資するなど「強い経済」の実現に向けて取り組むとともに、予算全 体のメリハリ付け等を通じて、2025年度補正予算では、「補正後」の国債発行額について 前年度以下に抑えつつ、2026年度予算では、国の一般会計において新規国債発行額を2年 連続で30兆円未満に抑え、公債依存度も低下させたほか、28年ぶりにプライマリーバラン ス黒字化を達成するなど、財政の持続可能性にも十分配慮した経済財政運営を行ってきた。 こうした考え方に基づき、経済財政運営を行ってきた結果、それらを踏まえた今回の試 算では、成長型経済への移行が実現するケースにおいて、債務残高対GDP比は、今年度 から来年度、さらにはその後の期間においても着実に低下する姿となり、国・地方のプラ イマリーバランスについても改善が続き、2026年度にはプライマリーバランス目標を掲げ た2001年度以降で最も改善した形となり、歳入と歳出が概ねバランスした姿を実現すると ともに、2027年度以降も一定の黒字幅となることが見込まれる等、財政状況が着実に改善 する姿が示された。 民間議員の皆様からは、骨太方針に向けて、名目成長の範囲内に政府債務残高の伸びを 抑え、比率を安定的に引き下げるという方向性をより明確にすること、危機管理投資・成 長投資を加速して潜在成長力を引き上げ、債務比率の低下を一過性に終わらせず、確かな 成長軌道とすること、金利上昇局面では利払費を確認することも、信認の確保において重 要であること、今後、財政運営の目標を定めるに当たって今般の中長期試算で示された 様々な指標も確認することといったご提案をいただいた。 今後とも財政状況は着実に改善していく見込みだが、債務残高対GDP比は依然として 高い水準にある。なので、引き続き、「責任ある積極財政」の考え方に基づき経済財政運 営を行い、「経済・財政新生計画」の期間を通じて経済・財政一体改革の取組を進め、債 務残高対GDP比を安定的に引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケ ットからの信認を確保していく。 そのためには、これまでの取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、成長率を高め、 併せて金利上昇に目配りすることで、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を確実に抑えて いくことが重要である。 こうした考え方の下、これまでの単年度ごとのプライマリーバランス黒字化目標の達成 状況を見ていくという方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直すなど、取り組 んでいく。 その際、城内大臣を中心として関係大臣が連携し、与党の議論も踏まえつつ、今年の骨 9 令和8年第1回経済財政諮問会議 太方針に向けた検討を進めていただくようお願いする。また、民間議員の皆様にも、引き 続き活発なご議論をお願い申し上げる。 (城内議員) プレスはご退室をお願いする。 (報道関係者退室) (城内議員) 以上をもって、本日の会議を終了する。 (以 上) 10 令和8年第1回経済財政諮問会議