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経済財政諮問会議 2025年12月5日

2025-12-05一次資料(出典)

議事録・配布資料の全文(政府公表資料より。要約でなく原文に基づく参照用)。

経済財政諮問会議 2025年12月5日 資料経済財政諮問会議 2025年12月5日 資料経済財政諮問会議 2025年12月5日 資料経済財政諮問会議 2025年12月5日 資料経済財政諮問会議 2025年12月5日 資料経済財政諮問会議 2025年12月5日 資料経済財政諮問会議 2025年12月5日 資料経済財政諮問会議 2025年12月5日 資料

議事録

令和7年第 14 回経済財政諮問会議 議事要旨 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (開催要領) 1.開催日時:令和7年 12 月5日(金)18:01~18:40 2.場 所:総理大臣官邸4階大会議室 3.出席議員: 議長 高 市 早 苗 内閣総理大臣 議員 木 原 稔 内閣官房長官 同 城 内 実 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 同 林 芳 正 総務大臣 同 赤 澤 亮 正 経済産業大臣 同 片 山 さつき 財務大臣 同 植 田 和 男 日本銀行総裁 同 筒 井 義 信 日本生命保険相互会社 特別顧問 同 永 濱 利 廣 株式会社第一生命経済研究所 首席エコノミスト 同 南 場 智 子 株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 同 若田部 昌 澄 早稲田大学政治経済学術院教授 臨時議員 上 野 賢一郎 厚生労働大臣 (議事次第) 1.開 会 2.議 事 (1) 令和8年度予算編成の基本方針等 (2) 来年度予算に向けた課題② 3.閉 会 (資料) 資料1 資料2 資料3 資料4 資料5 資料6 消費者物価の動向と経済対策の効果(内閣府) 内閣総理大臣からの諮問第 54 号について 令和8年度予算編成の基本方針(案) 社会保障改革の新たなステージに向けて(有識者議員提出資料) 社会保障改革の新たなステージに向けて(参考資料) (有識者議員提出資料) 社会保障分野における今後の対応について(上野臨時議員提出資料) 1 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議 (概要) (城内議員) ただ今から「経済財政諮問会議」を開催する。 〇「令和8年度予算編成の基本方針等」 (城内議員) 本日の議題は、お手元の議事次第のとおりである。議題1は、「令和8 年度予算編成の基本方針等」である。 まず、前回の会議において、今般の経済対策の評価についてご議論があったことの関 連として、若田部議員から、消費者物価の動向と経済対策の効果について、資料1に沿 って、ご説明をお願いする。 (若田部議員) お手元の資料1ページをご覧いただく。 今般の経済対策をめぐる論点の一つとして、この対策によってインフレが加速するの ではないかという声があることは承知している。そこで、物価と経済対策の関係につい て、資料1のとおり内閣府に整理させたので紹介したい。 まず1ページ目、図1は消費者物価の上昇要因を見たものである。最近の物価上昇 は、緑色の食料の寄与が大きく、他方で、基調的な物価動向を示す赤線の食料やエネル ギーを除いた物価を見ると、物価安定の目標である2%を下回る伸び率で推移してい る。こうした現状を出発点として考えていくことが重要であると考える。 その上で、今回の物価高対応は、食料品をターゲットに家計を支援する重点支援地方 交付金を措置した。加えて、ガソリンや電気・ガスといったエネルギーの価格抑制も実 施している。図2のとおり、これにより消費者物価を通年でマイナス0.3%ポイント程 度、月によってはそれ以上押し下げる見込みである。 2ページ、基調的な物価への影響を考えたいと思う。図3のとおり、今回の対策のG DP押し上げ効果は24兆円程度と見込まれるが、需給バランスへの追加的な影響を考え るには前年度との対比が重要になる。それを見ると、今回の対策は前年度から実質GD P比0.5%ポイント程度拡大させるものと考えられる。 図4のとおり、GDPギャップは足元でゼロ近傍だが、この追加的な対策効果が今後 2~3年で徐々に発現すると仮定すれば、GDPギャップを年0.17~0.25%ポイント程 度押し上げる計算となる。このため、急激な需給バランスの変化をもたらすものではな いということである。 こうした追加的なGDPの押し上げ効果が物価に与える影響を、図5で示した近年の GDPギャップと物価上昇率の関係から推察すると、食料・エネルギーを除いたいわゆ る基調的な物価への影響はプラス0.2~0.3%ポイント程度、さらに消費者物価(総合) への影響はプラス0.1~0.2%ポイント程度という結果になる。もちろん実際の経済では 様々な要因で価格変動が生じることに留意が必要だが、以上の分析や今回の個別物価対 策の物価押し下げ効果を踏まえれば、今回の経済対策がインフレを加速させる影響は限 定的と見込まれる。 (城内議員) 続いて、永濱議員から関連のご発言をいただく。 (永濱議員) 物価動向と経済対策の効果について、今、若田部議員からご説明いただ いた需給面を通じた影響以外にも、為替とか原油価格などの外的な要因が考えられる。 例えば、昨日までの12月平均のドバイの原油先物価格とドル・円レートの前年比を計算 すると、原油価格が前年から23.9%下落している。一方、ドル・円レートは8.5%円安と なっている。 2 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議 この結果を基に、内閣府のマクロ経済モデルの乗数を基に民間消費デフレーターへの 1年分の影響を計算すると、原油価格の要因で0.26%押し下げ、円安で0.13%押し上げ なので、トータルでマイナス0.13%押し下げになる。ということからすると、今後、急 速な原油高や円安が進まなければ、外的要因を通じてもインフレの加速は考えにくいと 計算される。 (城内議員) 続いて、令和8年度予算編成の基本方針について、資料2にあるように 総理から諮問をいただいている。与党との調整も踏まえた取りまとめ案について、内閣 府から資料3に沿って説明をお願いする。 (堤統括官) 資料3、2ページをご覧いただく。前回からの変更点についてご説明す る。最初のパラグラフの5行目にあるが、「歳出の質を高める行財政改革」という文言 が追加されている。 その下のパラグラフに、3行目、「マーケットからの信認を確保する」との文言を追 加している。 併せて、③のパラグラフ全体を追加している。 次に、「2.令和8年度予算編成の考え方」であるが、①の一番下の行、「⑤の観点 も踏まえて歳出構造の平時化に配意しつつ取組を進める」との文言を追加している。 続いて、3ページ③、社会保障について、1行目の最後に「国民のいのちと暮らしを 守り、安心して医療・介護・福祉サービスを受けられる体制を整備していく」と追記し ている。 その2行下に、現役世代の保険料についても追記している。 その下のパラグラフ、3行目にある「社会保障改革の新たなステージにふさわしい予 算編成とする」との文言も追記している。 (城内議員) それでは、「予算編成の基本方針」の答申案について特段のご発言があ ればお願いする。特にご発言はないということでよろしいか。 「令和8年度予算編成の基本方針」について、お手元の案を経済財政諮問会議として 答申することを決定したいが、よろしいか。 (「異議なし」と声あり) (城内議員) それでは、本案を答申として決定する。予算編成の基本方針は、次の定 例閣議で決定する予定である。 〇「来年度予算に向けた課題②」 (城内議員) 次に、議題2「来年度予算に向けた課題②」である。議題2では、上野 厚生労働大臣にご参加いただく。 まず、筒井議員から、資料4の民間議員のご提案をご説明いただく。 (筒井議員) 資料4、1ページの前文の3パラグラフ目、高市内閣の使命として、人 口減少・少子高齢化を乗り切ることのできる、公正・公平で持続可能な全世代型社会保 障を構築し、全ての世代が安心できるようにするため、社会保障改革の新たなステージ に向けて、来年度予算編成等に取り組むべきだとしている。 4パラグラフ目、まずは、当面の対応が急がれる課題については早急に結論を得るこ とが不可欠である。同時に、中ほどのとおり、社会保障の給付と負担の将来見通しを改 3 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議 めて示し、所得・資産や税・社会保障情報の管理といった制度インフラの整備を進めな がら、給付付き税額控除の制度設計や給付と負担の在り方などについて、国民的な議論 を行う重要性を指摘している。 以下、本ペーパーに掲げた四つの柱について、簡潔にご紹介する。 第一の柱として、来年度予算編成に当たり、診療報酬改定や医療・介護制度改革につ いて、インフレ下における医療・介護給付の在り方と現役世代の保険料負担抑制の整合 性確保を求めている。 2ページ(2)、第二の柱として、豊かで幸せを実感できる成長経済・成長社会にふ さわしい社会保障制度への再設計を掲げた。具体的な提案として、医療・介護分野での 様々なDX推進を通じた、効率的で質の高い医療・介護の実現、「攻めの予防医療」と いった計六点を述べている。 3ページの中段、第三の柱として、税・社会保障一体改革に向けて、給付と負担の 「見える化」と給付付き税額控除の検討に向けた視点や課題を提起している。 最後に、第四の柱、今後の社会保障改革に当たって、マクロ経済全体から見た観点の 重要性を述べている。 (城内議員) 次に、社会保障分野における今後の対応について、上野厚生労働大臣か ら資料6に沿ってご説明いただく。 (上野臨時議員) 資料6の1ページ目、上の箱のところであるが、社会保障に関する 当面の課題として、まず令和6年度の報酬改定以降、物価上昇による費用増、人材不足 等により、医療機関・介護事業者等は大変厳しい経営環境に直面している。また、他産 業との比較において賃上げ余力が小さいとの指摘もある。 そのため、令和7年度総合経済対策においては、医療・介護等支援パッケージを取り まとめ、補正予算案に1.4兆円規模で、経営の改善、従事者の処遇改善を実施するための 措置を盛り込んでいる。 さらに、次期報酬改定においては、令和7年度補正予算案の対応や物価上昇・賃金動 向を踏まえ、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながる的確 な対応を行っていく。 2ページ目、高齢化がさらに進行する中で、社会保険料負担については今後も増加す ることが見込まれている。賃上げ努力もなされる中、政党間の合意や総理指示、令和5 年12月の「改革工程」などを踏まえ、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し、金融 所得の反映などの応能負担の徹底等をはじめとする医療保険制度・介護保険制度改革に 取り組む。現役世代を中心に、できる限り社会保険料負担を抑制できるよう、その具体 的な内容について議論を進めていく。 3ページ目、中長期的な課題として、2040年頃には高齢者人口がピークを迎え、特に 85歳以上の介護・医療ニーズを抱える方や単身世帯が増加をする一方で、生産年齢人口 は減少し、医療・介護・福祉の担い手確保が一層の課題となる。こうした将来を見据 え、持続可能で全世代型の社会保障を構築するとともに、地域の実情に応じて医療・介 護・福祉分野で包括的に地域を支える体制を構築することが必要である。 そのため、現場の省力化等を推進し、ケアの質と量の拡大を図りつつ、他産業と遜色 のない処遇改善を計画的に図っていくとともに、本日成立をさせていただいた医療法改 正にも盛り込まれている地域医療構想や医師偏在対策、医療DXの推進、また、人口減 少・サービス需要の変化に応じた介護提供体制の構築、「攻めの予防医療」等の推進、 4 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議 創薬力の強化とイノベーションの推進等に着実に取り組んでいく。 (城内議員) それでは、意見交換に移らせていただく。民間議員からご意見をいただ く。 (永濱議員) 私は、社会保障改革の新たなステージに向けて最も重要な視点は、供給 力強化と整合的な社会保障効率化の在り方だと考えている。このため、いかに働く意欲 を削がないかということを重視すべきだと考えている。特に、応能負担が行き過ぎる と、低所得者にとどまる誘因が生じて、働き損になってしまうということがあるため、 こうした観点からも、将来の医療費の一律3割負担化のようなところに向けた動きが高 齢者就労を促す観点でも意義があると考えている。 それから、診療報酬などの公定価格は、やはりインフレ調整を認めることも重要なの で、医療従事者の賃上げに結びつくような仕掛けが、何がしか不可欠だと思う。 こうした点も踏まえると、過剰需要の抑制や提供体制の効率化といった観点でも、や はり将来的な75歳以上の一律3割化や、リフィル処方箋などの効率化策が重要だと思 う。 一方で、高市政権の高圧経済政策というのは、労働需給の逼迫を通じて、労働集約的 な医療や介護の分野からの人材流出を招く可能性もあると思うので、こうした面でも社 会保障の効率化が、より求められることになる。要は、金だけではなくて、人や供給体 制の問題の解消の観点においても、社会保障効率化は必要だと思う。 そうした意味では、先ほど筒井議員からもあったが、医療・介護の効率化や提供体制 維持のために、AIとかロボットなどのテクノロジーも重要な役割になるので、こちら については成長戦略会議などとの紐づけや関係強化などを通じて、将来の社会保障の在 り方や姿を示すことも重要になると考える。 他方で、給付付き税額控除だが、国税、地方税、社会保険料それぞれの家計の状況を 包括的に踏まえた上で、特に社会保険料による逆進性緩和を重視したものにすべきだと 思う。また、社会保険料の負担増がいわゆる「年収の壁」による働き控え問題の最大の ボトルネックとなっているので、これによる手取りの急変を平準化すべきだと思う。 それから、私が個人的に思うのが、高市政権になって変わったこととして、財務省に は財政や制度の持続可能性だけではなく成長志向が求められるようになったと思う。そ ういう意味では、厚労省にも財政や制度の持続可能性だけではなくて成長志向が求めら れるべきではないかと考える。 また、社会保障改革をはじめ全般を通じて、制度化されている応能負担の原則や所得 制限というのは働き控えを促す側面がある。こうなった背景には、これまで国税を管轄 する財務省、地方税を管轄する総務省、社会保険料を管轄する厚労省が、ばらばらにな って制度設計してきたという現状があるのではないかと思う。今後は、税や社会保障、 給付などの制度を包括的に現状分析した上で、制度側の目線ではなく、所得に応じた手 取りなどの断層が発生しないように、家計側の目線で制度設計を行っていくべきだと思 う。 (南場議員) 来年度予算編成で、社会保障改革の新たなステージに向けて確実な一歩 を踏み出すべき。言うまでもなく、社会保障は国民の安心を支える大事な基盤だが、現 役世代の負担は既に限界に近く、改革をこれ以上先送りする余裕はない。社会保障は経 済と表裏一体であり、経済あっての社会保障という原則の下、成長する経済にふさわし い制度、産業構造にアップデートする必要がある。 5 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議 改革の試金石は次期診療報酬改定だ。物価上昇や賃上げの動きをきちんと踏まえるの は当然としても、対応が必要となる費用構造は施設類型ごとに異なるため、データに基 づく客観的な評価を徹底して、医療の質や現場の生産性を高める方向で、診療報酬の配 分、算定ともにメリハリをつけていくべき。 制度改革も待ったなしだ。制度の効率化や生産性の向上を進め、単純に給付を減らす か負担を増やすかという二項対立の議論ではなく、テクノロジーや新しい仕組みを取り 入れた制度改革が必要。 その一つが選定療養制度の拡充だ。手術支援ロボットやAIを搭載した診断支援機器 の利用など、現行の診療報酬上は十分な対応が難しい新しい医療サービスを評価する仕 組みが整えば、イノベーションが医療現場に届きやすくなり、医療の生産性向上、医療 機関の経営基盤の強化にもつながる。ぜひ具体的な検討を進めていただきたい。 また、がんなど深刻な領域で起きているドラッグラグやドラッグロスも患者の立場に なると切迫した重要な問題だ。現在、政府でもその解消に向けた取組が進められている が、安心して生活、療養できる環境を維持していくためにも、薬価決定プロセスの改善 を含め早急な対応を期待する。 また、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し、高額療養費制度の見直し、介護の 2割負担の範囲の拡大、ケアマネジメントの利用者負担の導入といった積年の課題も、 どうか先送りすることなく、また、高齢者1人当たり医療費がおおむね5歳若返ってい ることも踏まえ、年齢で区切られている様々な制度の年齢の閾値を見直していくべき。 私はかねてから張り切って挑戦する人や企業が報われる経済構造への転換が必要だと 申し上げているが、その挑戦を支えるのが社会保障制度だ。安心が挑戦を生み、挑戦が 成長を作るという循環を実現すべく、ぜひ社会保障改革の実行をお願いしたい。 (若田部議員) まず、社会保障を論じる大前提として、現役世代、とりわけ子育て世 代や中・低所得者層では負担感と将来不安が高まっているという認識を共有したいと考 える。 その背景には、第一に、国民からは、どれだけ負担して、将来どれだけ給付を受けら れるのかが見えにくいこと、第二に、経済の根幹である経済成長と税・社会保障をそれ ぞれ別々に議論してきたことという二点があると考えている。ここを改善し、経済成 長、税・社会保障の三位一体的理解とデータに基づく制度設計に踏み込むことが不可欠 である。 今後の改革を進める上で最初に取り組むべきことは、年金・医療・介護などの給付の 将来パスと、それを支える税・社会保険・自己負担の将来パスを一体として示すこと だ。その際に重要なのは、マクロの合計額だけではなく、単身、子育て世帯、高齢世帯 といった世帯類型別に、生涯を通じてどのくらい負担し、どのくらい給付を受けるのか を分かりやすく「見える化」することである。 その上で、給付付き税額控除について申し上げる。これは、日本の再分配制度、社会 保障制度の一つのオプションというわけではなく、国家規模でのプロジェクトとして位 置づけるべきだと考える。給付付き税額控除は、中・低所得者層の可処分所得の下支 え、「年収の壁」の解消や就労インセンティブの改善といった課題を扱うものであり、 これをスローガンにとどめず実現するためには、データとエビデンスに基づいて設計す ることが前提になる。 給付付き税額控除を本当に機能させるためには、所得・資産、税、社会保険料、各種 6 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議 給付を一体的・横断的に把握できる情報基盤と徴収インフラが不可欠になる。つまり、 給付付き税額控除は制度そのもの以上に、それを支えるインフラ整備こそが大事業であ り、時間もコストもかかる。だからこそ、今からインフラ整備に着手する判断が重要と 考える。 このインフラが整えば、誰がどれだけ負担し、どれだけ給付を受けているのか、制度 改正でどの層の可処分所得がどの程度変わるのかを定量的に検証できるようになる。さ らに、今回の経済対策では一律の給付は行わなかったが、こうしたインフラがあれば、 将来的には再分配のインフラとして活用することができる。すなわち、公平に国民に給 付を届けるプッシュ型の仕組みともなり、国民の将来への不安を和らげ、安心を支える 土台になることが期待される。 もう一つ強調したいのは、マクロ構造である。個々の制度ごとの給付、負担水準の議 論だけでなく、国・地方に加え、年金・医療・介護を担う社会保障基金を含めた一般政 府の部門別フローをセットで見る必要がある。これについては、資料5の4ページをご 覧いただきたい。 現状においては、社会保障基金は黒字、国と地方の合計は景気や地域インフラを支え ながら赤字という構図が続いている。これは経済学の初歩の知識を復習するようで恐縮 だが、マクロ経済全体で見ると、投資は貯蓄に必ず等しくなる。しかも、投資できる分 しか貯蓄もできない。政府も全体として見ると、片方で貯蓄を積み上げながら、他方で 赤字を通じて需要を支えるという形が現状である。 その上で、制度間、世代間、世代内の負担と給付の公平性、家計の消費投資を通じた マクロ経済の安定と成長、財政全体の持続可能性を三位一体で満たす設計になっている かをデータで検証していく必要がある。 ここで重要なのは、永濱議員及び南場議員からもお話があったように、経済成長のシ ナリオを基礎とした上に、税と社会保障の負担と給付のバランスをそのシナリオの中に 乗せていくという発想を共有することである。給付付き税額控除も、この三位一体のフ レームの中でどの層の可処分所得をどの程度押し上げ、それがマクロの需要成長とどう 結びつくのかまで含めて設計していく必要があると考える。 (筒井議員) 私からは、社会保障改革の新たなステージに向けて、今後設置される国 民会議の議論にも期待をしている。それを念頭に置いて三点申し上げる。 第一に、先ほど申し上げた給付と負担の「見える化」の重要性である。中長期及び全 体最適の観点から、年金・医療・介護における給付と負担の全体像を「見える化」すべ きである。全体像を「見える化」することで、制度への安心につながるということもあ る。そして、国民的な共通理解を醸成することが極めて重要である。具体的には、政府 が2018年5月に公表した「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」を、人口推計、経 済前提、さらに将来の就業者数の見通し、直近の制度改正等を織り込んでアップデート すべきだと考える。 第二に、一体改革を進める前提条件としての税と社会保険料と給付とを横断的に把握 できる情報基盤の整備である。マイナンバーやクラウド技術等を活用して、所得や資 産、サービスの利用実態などを国と地方の間、府省間でのデータ連携を促進すべきであ る。これによって、必要な方への迅速で正確な給付を実現すること。これは公正・公平 な仕組みの構築、また高市総理が目指す給付付き税額控除の制度設計を考える上で極め て重要である。また、預貯金口座へのマイナンバー付番も不可避であると考える。 7 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議 第三に、医療・介護分野でのサービス提供体制の持続可能性確保。これは各議員がお っしゃったところである。例えば介護分野でいくと、サービス提供を支える従事者、介 護保険行政を担う市町村の人材、共にますます確保が困難になっていることを痛感して いる。限られた人材を有効活用して、利用者が必要な時に必要なサービスを受けられる 体制を将来にわたって維持できるよう、介護産業において、1つは処遇改善の対応、こ れと併せて生産性向上を強力に推進しつつ、構造転換も図っていくことが不可欠であ る。 そのためには、これも各議員がおっしゃった、ICT、AI、ロボットの活用を後押 しするとともに、経営の共同化とか大規模化を通じたスケールメリットの発揮を促すこ とにも取り組む必要があると考える。 また、介護保険運営について、現行の市町村の枠を超えた、より広域的な対応も今後 の検討課題ではないかと思う。事務処理やルールの全国的な標準化も進めるべきであ る。 このほか、提供体制の持続可能性の観点から、介護事業者の収益機会を広げる、経営 効率の向上や処遇改善の原資獲得につなげる取組も有効と考えられる。公定価格に基づ く保険内サービスだけでなく、利用者の多様なサービスのニーズに応えつつ、利便性向 上にも資する保険外サービスを一層活用できるよう、柔軟な運用を認めるべきであると 考えている。 (城内議員) 続いて、閣僚からのご発言をお願いする。 (赤澤議員) 人口減少や少子高齢化といった構造的要因に直面する我が国において、 現状維持ではなく、「稼ぐ力」強化と賃上げの好循環を実現していくためには、価格転 嫁・取引適正化の徹底に加えて、生産性向上・省力化投資の支援などの取組も通じ、物 価上昇を上回る賃上げを実現させることが重要である。 その上で、賃上げをしても可処分所得が増えない、賃上げの成果が損なわれるといっ たことのないように、社会保障改革において可処分所得を増加させるべく、経済産業省 としても真摯な努力をしていく必要があると考えている。 具体的には、従業員への健康投資を促す健康経営の拡大を通じた予防・健康づくりの 強化、仕事と介護の両立支援の促進による社会保障の担い手の確保、DXの推進を通じ た医療・介護提供体制の効率化について、厚生労働省と連携して取り組んでいく。 これらの取組も含め、先般閣議決定した総合経済対策を着実に実行し、日本経済の供 給力を高めながら、「強い経済」の実現に全力で取り組んでいく。 (片山議員) 社会保障分野においては、現役世代の負担抑制や能力に応じた負担への 見直しなどの観点から、前例にとらわれず不断の改革に取り組んでいく必要がある。特 に、令和8年度予算編成に当たっては、社会保障改革の新たなステージにふさわしい予 算、診療報酬改定、制度改革としなければならない。当面の対応が急がれる課題につい て、関係省庁との検討を加速していく。 具体的には、保険料負担の抑制と経済・物価動向等の適切な反映を両立させるため、 診療報酬改定においては、データに基づき、経営の改善や処遇改善につながる的確な対 応を行いつつ、保険料負担軽減のため、外来医療や調剤報酬の適正化に取り組むととも に、与党において議論が深められている「OTC類似薬を含めた薬剤自己負担の見直 し」や、「改革工程」に記載された「高額療養費の見直し」、「介護保険制度改革」と いった改革を実現し、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指 8 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議 す。 これらの課題について、厚生労働省をはじめ関係省庁との連携の下、年末までに結論 を得て、社会保障改革の取組をしっかり前に進めていく。 (城内議員) プレスに入室いただく。 (報道関係者入室) (城内議員) 総理から締めくくり発言をお願いする。 (高市議長) 本日の会議では、まず、「予算編成の基本方針」の答申をいただいた。 令和8年度予算編成については、「責任ある積極財政」の考え方の下、令和7年度補 正予算と一体となって編成する。併せて、「強い経済」の構築に向けた重要施策へ重点 化しつつ、歳出・歳入両面の改革を推進し、マーケットからの信認を確保していく。片 山大臣におかれては、本答申に基づき、来年度予算編成に取り組んでください。 次に、来年度予算に向けた課題として、社会保障分野について意見交換を行った。民 間議員の皆様からは、医療・介護分野へのICT、AI、ロボットなどテクノロジーの 導入を促進すること、また、社会保障改革の新たなステージに向けて、来年度予算編 成、診療報酬改定、制度改正に前例にとらわれずに取り組むこと、当面の対応が急がれ る課題として、インフレ下における医療・介護給付の在り方と現役世代の保険料負担抑 制の整合性を確保すること、また、社会保障制度を豊かで幸せを実感できる成長経済・ 成長社会にふさわしいものへと再設計すること、給付と負担の将来推計を示すとともに 世帯類型別にわかりやすく「見える化」すること、経済全体の中で財政を把握する観点 から、国・地方に加えて社会保障基金を含めた一般政府の部門別フローを示すことが重 要といったご提案をいただいた。 まず、上野大臣、片山大臣におかれては、次期診療報酬改定等において、保険料負担 の抑制努力を継続しつつ、賃上げ、物価高を適切に反映させ、経営の改善や現場で働く 幅広い方々の賃上げに確実につながる的確な対応を行うこと。そして、持続可能な社会 保障制度のための改革を実行し、現役世代の保険料を抑えていくため、あくまでも慢性 疾患や低所得の方等の負担に配慮しつつ、「改革工程」に掲げられたOTC類似薬を含 む薬剤自己負担や、金融所得の反映などの応能負担の徹底等に関する具体的な制度設計 を行い、高額療養費制度や介護の利用者負担を見直す、といった当面の対応が急がれる 課題については、年末までに結論を得た上で、来年度予算編成や制度改正に反映させて ください。 また、すべての世代が安心できる社会保障制度を構築し、それを次の世代に引き継い でいく。こうした取組が、今を生きる私たちが将来世代に対して果たすべき責任だと考 えている。 このため、城内大臣を中心に、関係大臣が連携して、本日の議論も踏まえて、給付と負 担の在り方などについて、すべての世代を通じて納得感が得られる社会保障制度の構築 に向けた国民的な議論を着実に進めてください。 (城内議員) プレスはご退室をお願いする。 (報道関係者退室) 9 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議 (城内議員) 以上をもって本日の会議を終了する。 (以 上) 10 令和 7 年第 14 回経済財政諮問会議

資料1

経済財政諮問会議(令和7年第14回)議事次第 令和7年12月5日(金) 18時00分~18時45分 総理大臣官邸4階大会議室 1. 開 会 2. 議 事 (1) (2) 令和8年度予算編成の基本方針等 来年度予算に向けた課題② 3. 閉 会 (資料) 資料1 資料2 資料3 資料4 資料5 資料6 消費者物価の動向と経済対策の効果(内閣府) 内閣総理大臣からの諮問第 54 号について 令和8年度予算編成の基本方針(案) 社会保障改革の新たなステージに向けて(有識者議員提出資料) 社会保障改革の新たなステージに向けて(参考資料) (有識者議員提出資料) 社会保障分野における今後の対応について(上野臨時議員提出資料)

資料2

資料1 消費者物価の動向と経済対策の効果 2025年12月5日 内閣府 消費者物価の動向とエネルギー価格抑制策の効果  今回の経済対策は、食料・エネルギーの物価変動には個別物価の抑制と所得面の支援によって家計を守りつ つ、投資促進策によって中期的に需給両面を伸ばすことが目的。  最近の消費者物価の上昇要因では、食料の寄与が大きい。他方、食料やエネルギーを除いた物価に限ると、 2%を下回る伸び率で推移。  今回の重点支援地方交付金は、食料品をターゲットに家計を支援。加えて、ガソリンや電気・ガスといった エネルギーの価格抑制でも家計を支援。これらの価格抑制により、措置がない場合に比べ、消費者物価(総 合)を通年▲0.3%pt程度(ガソリン)、来年2~4月は▲0.7%pt程度(ガソリン+電気・ガス)押し下げ。 (図1)消費者物価上昇率の寄与度分解 5 4 (図2)今回のガソリン、電気・ガスの価格抑制による 消費者物価押し下げ効果 (前年同月比寄与度、%) 2025年 12月 食料 (対総合寄与度) 総合 食料・エネルギー (前年比、折線) を除く総合 (前年比、折線) 3.0 3 ▲0.3 2 1.6 1 0 -1 エネルギー (対総合寄与度) (%ポイント程度) 12月 ガソリン税の当分の間税率の 廃止 (2025年11月13日から段階 的に価格引き下げ) ※年間を通じて消費者物価を押し下げ 2~4月 平均 電気・ガス料金負担軽減支援事業 ▲0.4 (2026年1~3月) ※2026年2~4月の消費者物価を押し下げ 食料・エネルギーを除く 財・サービス (対総合寄与度) (「強い経済」を実現する総合経済対策の効果試算 抜粋) -2 1 4 7 2024 10 1 4 7 25 10 (月) (年) (備考) 1.図1は、総務省「消費者物価指数」により作成。「食料」は酒類を除く。「食料・エネルギーを除く財・サービス」は、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合。対総合ウエイト(1万分比) は、食料(酒類を除く):2507、エネルギー:712、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合:6781。 2.物価高に直面する家計への主な支援策:【重点支援地方交付金】(2.0兆円)⇒ (家計支援枠)1世帯あたり1万円程度、(食料品の物価高騰に対する特別加算)1人あたり+3千円程度 【電気・ガス料金負担軽減支援事業(26年1~3月)】(0.5兆円)電気1kWhあたり支援1・2月▲4.5円、3月▲1.5円、ガス1㎥あたり支援1・2月▲18円、3月▲6円 ⇒ 1世帯あたり7,300円程度 【ガソリン税の当分の間税率の廃止】(1.0兆円)税率▲25.1円/L ⇒ 1世帯あたり12,000円程度 1 (参考)経済対策の効果と物価上昇率の関係に係る簡易試算  今回の対策のGDP押上げ効果は、物価高対応に加え、潜在成長率の伸び悩み、世界経済の不透明感等に対応 するため、前年度の対策から実質GDP比0.5%pt程度拡大。足元ゼロ近傍のGDPギャップの下、この効果 が今後2~3年で徐々に発現すると仮定すれば、年0.17%~0.25%pt程度GDPギャップを押し上げる可能性。  こうした追加的なGDP押し上げ効果が物価に与える影響を、近年のGDPギャップと物価上昇率の関係から 推察すると、食料・エネルギーを除いた物価への影響は、概ね+0.2~0.3%pt程度。これは消費者物価(総 合)への寄与で考えれば、+0.1~0.2%pt程度。  実際の経済においては様々な要因で価格変動が生じることには留意が必要だが、以上の分析や、今回の個別物 価対策(消費者物価を通年▲0.3%pt程度押し下げ等(前頁参照))を踏まえれば、今回の経済対策がインフレを加 速させる影響は限定的と見込まれる。(注)今年度及び来年度の経済・物価の姿は年末の政府経済見通しにおいて示す予定。 (図3)経済対策の実質GDP押し上げ効果 (兆円程度) 30 +25 [+4.6%] +3兆円程度 (実質GDP比+0.5%pt程度) 15 +19 [+3.4%] +21 [+3.8%] 年成長率換算 +1.4%程度 (図5)GDPギャップと 消費者物価上昇率(食料・エネルギー除く)の関係 消費者物価(食料・エネルギーを除く総合)、前年同月比、% (%) 1 +24 [+4.3%] 25 20 (図4)GDPギャップの推移 4 2025年 4-6月期 0.5 % 2025年Ⅳ期 の理論値 2 0 -1 (今後3年程度で上記効果が発現 すると仮定した場合の単純平均) 7-9月期 -0.0 % 2026年Ⅰ期 の理論値 2021年Ⅱ期 0 2025年Ⅲ期 (GDPギャップは 2025年I期) 10 -2 -2 5 ※[ ]内は前年度の実質GDPに対する比率 0 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度 対策 対策 対策 対策 -3 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ (期) -4 -3 2021 22 23 24 25 (年) CPI上昇率(食料・エネルギーを除く総合) = 1.31 × GDPギャップ + 2.54 (+ 推計誤差) ⇒ GDPギャップの変化 +0.17~+0.25%pt → 消費者物価上昇率の変化 +0.2~+0.3%pt -2 -1 0 1 GDPギャップ(2期ラグ)、% (備考) 1.図3は、各年度の経済対策関連資料等により作成。 2.図4及び図5は、内閣府試算値、総務省「消費者物価指数」により作成。近似線について、パラメーターは1%水準で有意、決定係数0.668。2025年Ⅳ期及び2026年Ⅰ期の理論値は、2025年Ⅲ期 の推計誤差-1.2を加算。この簡易試算において、危機管理投資・成長投資等による供給力強化(潜在成長率引上げ)の効果は考慮していない。 2

資料3

資料2 (,?K<      !'2/ @8J-H"IIM P& 0E 6 NA9$D Q  N)GC7= 4=O= H" F%# H"= !'*>B+#3.L    P& 1E ; :R 5        

資料4

資料3 令和8年度予算編成の基本方針(案) 1. 経済財政運営の基本的考え方 (1)経済の現状認識 ① 我が国経済は、名目GDPが 600 兆円を超え、賃上げ率も2年連続 で5%を上回るなど、 「デフレ・コストカット型経済」から、その先に ある新たな「成長型経済」に移行する段階まで来た。また、財政状況に ついて、プライマリーバランスは改善傾向にあり、政府債務残高対GD P比も低下している。 ② 足元の景気は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心に見 られるものの、緩やかに回復している。しかし、潜在成長力は伸び悩み、 賃金の伸びは物価上昇に追いつかず、食料品を中心とした物価上昇に より、個人消費は力強さを欠いている。 そうした中にあって、米国関税措置に関する日米協議は合意に至っ たものの、世界経済の先行きには不透明感がある。また、国内において も、少子化や地方の衰退といった早急に克服すべき構造的な課題があ る。 (2) 経済財政運営の基本的考え方 ① こうした現状に対し、まずは、生活の安全保障・物価高への対応、危 機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現、防衛力と外交力の強 化を3つの柱とする「「強い経済」を実現する総合経済対策」 (令和7年 11 月 21 日閣議決定。以下「令和7年度総合経済対策」という。 )を策 定した。その裏付けとなる令和7年度補正予算の早期成立を図り、その 成立後には、できる限り速やかに関連する施策を実行する。その上で、 令和8年度予算編成に取り組み、切れ目のない経済財政運営を行う。 ② 今後、安定的な物価上昇とそれを上回る持続的な賃金上昇が実現す る「成長型経済」への転換を図るに当たり、経済財政運営のあるべき姿 は、将来世代への責任を果たす「責任ある積極財政」である。戦略的な 1 財政出動により官民が力を合わせ「危機管理投資」と「成長投資」を進 めて社会課題を解決し、「暮らしの安全・安心」を確保するとともに、 雇用と所得を増やし、潜在成長力を引き上げ、 「強い経済」を実現して いく。財政や社会保障の仕組みについても、物価と賃金の上昇に適切に 対応した形への転換が求められる。また、歳出の質を高める行財政改革 を徹底し、その一環として、制度とシステムの設計を併せて行うことに より効率的かつ効果的な国民への公共サービスの提供体制の構築を推 進する。 こうした中、経済成長を通じて税収を増やし、成長率の範囲内に債 務の伸びを抑制し、政府債務残高対GDP比を引き下げていく。これ により、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保す るとともに、「強い経済」の実現と財政健全化を両立させていく。 ③ こうした今後の強い経済成長と物価安定の両立の実現に向けて、適 切な金融政策運営が行われることが非常に重要である。政府は、引き続 き、日本銀行と緊密に連携し、デフレに後戻りすることのない物価安定 の下での持続的な経済成長の実現に向け、一体となって取り組んでい く。日本銀行には、経済・物価・金融情勢に応じて適切な金融政策運営 を行うことにより、賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定 目標を持続的・安定的に実現することを期待する。 2. 令和8年度予算編成の考え方 ① 令和8年度予算編成は、令和7年度補正予算と一体として、上記の経 済財政運営の基本的考え方に沿って行う。経済と財政はいずれも国民 のためのものであり、広く国民に恩恵が行き渡る予算編成を行う。その 際、⑤の観点も踏まえて歳出構造の平時化に配意しつつ取組を進める。 ② 令和8年度予算編成においては、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」 (令和7年6月 13 日閣議決定。以下「骨太方針 2025」という。 ) 等における重要政策課題に加え、高市内閣が掲げる「強い経済」の構築 に向けた重要施策 1に対して必要な予算・税制上の措置等を確実に講じ、 予算等を重点化しつつ(別紙) 、 「経済・財政新生計画」に基づき、歳出・ 歳入両面から改革を推進する。 1 例えば、「総合経済対策に盛り込むべき重点施策」(令和7年 11 月 10 日日本成長戦略会議)に盛り込ま れた危機管理投資・成長投資に関する 17 の戦略分野と分野横断的課題。 2 既存経費等については、物価上昇に合わせた公的制度の点検も踏ま えつつ、経済・物価動向等を適切に反映する。地方財政についても同様 に対応 2する。EBPM 3やPDCA 4によって政策の実効性を検証し、 国民生活の下支えや経済成長に資すると期待される施策(支出や税制) は大胆に重点化する一方、そうした効果が乏しい場合には見直す 5など、 歳出・歳入両面で、 「強い経済」を支える財政構造への転換を推進する。 ③ 特に、社会保障については、物価や賃金の上昇等に対して、国民のい のちと暮らしを守り、安心して医療・介護・福祉サービスを受けられる 体制を整備していく。その上で、人口や世帯構成の変化により、受益と 負担のバランスが変化することに対応し、適切な制度の効率化や資源 配分の最適化を図り、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げてい くことを目指すことが重要となる。全世代型社会保障の構築を通じ、応 能負担の徹底等、各種の制度改革を行うことで、持続可能な社会保障シ ステムの確立を図る。 こうした社会保障システムの持続性確保の観点から、 「令和7年度総 合経済対策」に記載された社会保障制度改革の取組を前例にとらわれ ず着実に実行し、社会保障改革の新たなステージにふさわしい予算編 成とする。その際、次期診療報酬改定等において保険料負担の抑制努力 も行いつつ経営の改善・従事者の処遇改善を図る。その上で、給付付き 税額控除の制度設計を含めた「税と社会保障の一体改革」について国民 的議論を進めるため、「国民会議」の早期設置に向けて検討を進める。 ④ 歳入面については、負担の公平性の確保等の観点から、不断の見直し を検討する。また、必要に応じて、物価の上昇を踏まえ国民負担が増え ないよう制度的対応を図る。 ⑤ なお、補正予算については、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊 要となった経費の支出等のために編成されるものであるが、近年は、常 態化すると同時に規模が拡大している。今後、経済財政諮問会議等にお いて、こうした予算の在り方についても、議論を進める。 2 骨太方針 2025 第3章参照。 Evidence Based Policy Making の略称。証拠に基づく政策立案をいう。 4 企画立案(Plan)、実施(Do)、評価(Check)、改善(Act)をいう。 5 令和7年 11 月 25 日「租税特別措置・補助金見直し担当室」を新たに設置。 3 3 (別紙) 主な施策 ○ 中小企業・小規模事業者を始めとする賃上げ環境の整備 地域経済の主要な担い手である中堅・中小企業が持続的かつ安定的 に賃上げを行える環境を整備する。このため、適切な価格転嫁や生産 性向上、経営基盤を強化する事業承継・M&Aを後押しするなど、業 種や規模にかかわらずそのニーズに応じた企業の成長と賃上げを可能 とする施策を総動員する。国の官公需だけでなく、地域経済にとって 重要な役割を果たす地方公共団体の官公需を含め、発注において、労 務費・物価の上昇を踏まえた価格転嫁を徹底する。 ○ 危機管理投資・成長投資の推進 AI・半導体、造船、量子、フュージョンエネルギー、バイオ、航 空、宇宙等の 17 の戦略分野、スタートアップを含む分野横断的課題へ の取組を通じ、官民連携の戦略的投資を促進し、GX・DX、経済安 全保障、エネルギー・資源安全保障の強化を図る。持続可能な成長に 向けた農林水産業の構造転換等を通じ、食料安全保障の確立を図る。 ○ 未来に向けた投資の拡大 科学技術・イノベーションを推進する。コンテンツ分野、文化芸術 及びスポーツの振興を推進する。医療・介護DX等を推進し、健康医 療安全保障を構築する。大学振興等を通じ、イノベーションを興すこ とのできる人材育成を進める。 ○ 防災・減災・国土強靱化の推進 東日本大震災からの復興・創生に加えて、令和6年能登半島地震を 始めとする自然災害からの復旧・復興に全力で取り組む。令和8年度 中の防災庁の設置に向け、事前防災の徹底や災害対応力の強化など防 災体制の充実・強化を図る。 「国土強靱化基本計画」 1 及び「第1次国 土強靱化実施中期計画」 2 に基づく取組を着実に推進する。 ○ 地方の伸び代の活用と暮らしの安定 子供・子育て政策を含む人口減少対策の検討を進めるとともに、若 者や女性にも選ばれ、安心して働き、暮らせる地方の生活環境や付加 1 2 令和5年7月 28 日閣議決定。 令和7年6月6日閣議決定。 4 (別紙) 価値創出型の新しい地方経済の創生を図る。障害者や生活困窮者を含 め、誰もが生きがいや役割を持つ包摂的な地域共生社会を実現すると ともに、孤独・孤立対策を推進する。外国人問題への対応を推進する。 治安対策を推進する。質の高い公教育の再生や教育無償化への対応を 進める。地方創生・生産性向上に資する道路・港湾等の交通ネットワ ークの整備を進める。 ○ 防衛力強化と外交・安全保障環境の変化への対応 「国家安全保障戦略」3 等に基づき、防衛力の抜本的強化を推進する とともに、防衛力の中核たる自衛隊員の処遇改善に取り組む。防衛産 業の基盤強化、防衛装備品移転・政府安全保障能力強化支援に取り組 む。世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻すため、外交力の抜本 的強化を推進する。日米同盟を日本の外交・安全保障政策の基軸とし、 基本的価値を共有する同志国やグローバル・サウス諸国との多角的な 連携を拡大するなど「自由で開かれたインド太平洋(FOIP) 」の実 現に向けて、力強い外交・安全保障政策を推進する。 3 令和4年 12 月 16 日国家安全保障会議決定及び閣議決定。 5

資料5

資料4 社会保障改革の新たなステージに向けて 2025 年 12 月5日 筒井 義信 永濱 利廣 南場 智子 若田部昌澄 社会保障は国民一人ひとりが夢や希望の実現を諦めることなく、安心して働き、暮らしていくため の基盤である。しかし、人口減少の本格化と少子高齢化の進展に加えて物価上昇に直面する中で、 安心して必要なサービスが受けられる体制を確保すること、社会保障給付の増加とそれに伴う現役 世代の負担増に対応することが喫緊の課題となっている。 長期的には国民負担率は上昇してきており、とりわけ子育て期や中・低所得の現役世代では、 可処分所得が伸び悩む中で、保険料・税・自己負担に対する負担感が強まっている。 連立政権合意 1も踏まえ、高市内閣の使命として、人口減少・少子高齢化を乗り切ることのできる、 公正・公平で持続可能な将来世代への責任を果たす全世代型社会保障を構築し、全ての世代が 安心できるようにするため、社会保障改革の新たなステージに向けて、来年度予算編成、診療報 酬改定、制度改正に前例にとらわれず取り組むべきである。 まずは、当面の対応が急がれる課題については早急に結論を得ることが不可欠である。これと 同時に、広く国民に対して、「経済成長・税・社会保障の三位一体的理解」というマクロ経済全体の 観点も考慮し、新しい人口推計や直近での制度改正を織り込んだ社会保障の給付と負担の将来 見通しを改めて示し、制度への信頼向上に取り組みつつ、所得・資産や税・社会保障情報の管理 など制度インフラの整備を進めながら、給付付き税額控除の制度設計や、給付と負担の在り方な どについて、国民的な議論を行うことが重要である。 経済財政諮問会議においても、今後設置される超党派かつ有識者も交えた国民会議や、他の 関係機関とも連携しつつ、必要な社会保障の改革について検討を深めていくべきである。 (1)インフレ下における医療・介護給付の在り方と現役世代の保険料負担抑制の整合性を確保す る来年度予算編成  社会保障関係費については、骨太方針 2025 に定められたように高齢化による増加分に相 当する伸びに経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する。社会保障 改革の新たなステージに向けて、次期診療報酬改定等において、保険料負担の抑制努力 を継続しつつ、賃上げ・物価高を適切に反映させ、厳しい状況にある事業者の経営の改善 や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながる対応を取るべき。その際、医療 機関等の種類や機能に基づく経営余力 2や費用構造の違いなどの実情を踏まえたメリハリ 付けを行う必要。加えて、国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する薬価上の適切な 評価を実施する。 1 自由民主党・日本維新の会「連立政権合意書」 (令和7年 10 月 20 日) 。 今回の診療報酬療改定から活用可能となった医療法人の経営情報のデータベース(MCDB)により提供される悉皆的情報 も有効。 2 1  給付費増加の要因には経済・物価動向等に加え高齢化・高度化等の要因も含まれることか ら、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指し、そのための医療・介 護保険制度改革を実行に移すべき。具体的には、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見 直しや金融所得の反映などの応能負担の徹底等に係る具体的な制度設計、高額療養費 制度の見直し、介護の利用者負担の見直し等について、全世代型社会保障構築のための 「改革工程」 3や「改革実行プログラム」 4に掲げられた医療・介護保険制度改革の着実な実 現に向けて迅速に議論を進め、年末までに結論を得るべき。 (2)豊かで幸せを実感できる成長経済・成長社会にふさわしい社会保障制度への再設計      効率的で質の高い医療・介護の実現:医療・介護従事者の生産性を高め、負担を抑制しつ つ、患者や利用者に必要十分かつ一貫した医療・介護サービスを提供するため、電子カル テを含む医療機関や介護事業者における電子化、データヘルス推進、リフィル処方箋の普 及・定着、AI やロボットの活用等を迅速に進めるべき。これらを通じて、医療・介護の質やア ウトカムをより重視する必要。 攻めの予防医療:健康保持・増進に向けた各種取組みを通じて、健康寿命の延伸を図り、 全ての人がエンゲージメントを高めて元気に活躍し、ウェルビーイングの実現をめざすべき。 特に、科学的根拠に基づくがん検診の受診率向上、性差に由来した健康課題への対応を 加速する。 労働供給制約や高齢化に対応した医療・介護提供体制の再構築:医療ニーズの変化や人 口減少を見据え、外来・在宅医療や介護との連携を含む新しい地域医療構想を策定すると ともに、同構想に向けた病床の適正化や医療機関の集約化を進めるべき。また、医師の偏 在是正に向けた実効的な取組を講じるべき。加えて、2040 年以降を見据え、中長期的な医 療・介護提供体制の確保を図る観点から、イノベーションの積極活用を通じた人員配置の 効率化、経営の協同化・大規模化、選定療養制度の拡充などの構造転換も同時に進める べき。 高齢者の実態に対応した医療保険制度の在り方:健康寿命が延び、高齢者の就業率が高 まるなど、元気な高齢者が増えている中で、高齢者の1人当たり医療費はおおむね5歳若返 っている 5。こうした実態に対応し、連立政権合意にも盛り込まれた医療費窓口負担に関す る年齢によらない真に公平な応能負担の実現や、年齢に関わらず働き続けることが可能な 社会を実現するための「高齢者」の定義見直しなどについて具体的な制度設計を行うべき。 こうした見直しと並行して、働く意欲のある高齢者が活躍できる社会に向けて、高齢者へのリ スキリングや就労マッチングを強力に推進する。 医療高度化に対応した保険制度の持続可能性確保:近年、医療の高額化が進んできたが、 今後も高度化による医療費増加は続くと見込まれる。保険制度の本来の役割は、病気や怪 我で生じる高額かつ予見し難い負担に対し、個人では対応できない高いリスクを社会全体 で分かち合うことであることを踏まえると、高度・高額の医薬品・医療へのアクセスは確保す 3 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程) 」(令和5年 12 月 22 日閣議決定) 。 「経済・財政新生計画 改革実行プログラム 2024」 (令和6年 12 月 26 日経済財政諮問会議) 。 5 高齢者の1人当たり医療費(15~64 歳に対する比率)を見ると、後期高齢者医療制度創設時(2008 年度)の 75~79 歳 の水準は、現在(2023 年度)の 80~84 歳に相当している。 4 2  る中で、制度の持続可能性を確保するために、軽微で日常的に利用する医薬品・医療(低 いリスク)に対する必要な方策を検討すべき 6。 応能負担の徹底と多様な働き方に対応した公平な社会保険の設計:支払能力に応じ社会 保険制度を支え合う観点からは、所得のみならず資産を考慮することが重要である。応能負 担の徹底に向けて、まずは金融所得(フロー)を適切に反映するよう取り組んだ上で、金融 資産(ストック)の把握・反映する仕組みを構築すべき。また、働き方の多様化が進展する中 で、デジタル技術を活用した保険実務の効率化・簡素化を図り、「同じ所得には同じ負担」と なるよう、多様な働き方に即した設計への見直しが求められる 7。 (3)税・社会保障一体改革に向けて~給付と負担の「見える化」と給付付き税額控除の検討~    まずは、今後の全体像として、社会保障給付と負担の将来見通しを改めて示すとともに、世 帯類型別に給付と負担をわかりやすく「見える化」することが重要。 さらに、給付付き税額控除などの制度オプションも視野に入れた「見える化」のインフラとして、 所得・資産に加えて、税・社会保険料・給付を横断的に把握できる情報基盤(徴収インフラ) を整備することが不可欠である。 特に、給付付き税額控除は、所得再分配機能の強化や労働供給制約への対応という課題 を踏まえ、経済成長と税・社会保障一体改革をつなぐ三位一体的な理解のもと、データとエ ビデンスに基づいた検討を深めることが重要。 (4)マクロ経済全体から見た観点の重要性   これまでの議論は、個々の社会保障制度における給付や負担の水準を中心に縦割りの論 点に集中しがちであったが、マクロ経済全体の中で国家財政を把握する観点からは、国・地 方に加えて年金・医療・介護等を担う社会保障基金 8を含む一般政府の部門別フローを示 すことが重要。 今後の社会保障改革では、こうしたマクロ構造の把握とともに、世代間・世代内の負担と給 付の公平性、家計の消費・投資を通じたマクロ経済の安定と成長(持続的な高圧経済の実 現を含む)、財政全体の持続可能性、という観点から望ましい姿になっているかどうかを、 「経済成長と税・社会保障の三位一体的理解」のもとでデータに基づき検証していくべき。 6 医療費増加の主要因は、これまで高齢化等の人口要因であったが、今後はその要因が縮小し、医薬品等の医療の高度化 が主要因になると見込まれる。 7 働き方の多様化の例として、自営業を営みつつ企業でも勤務する場合や、複数企業で勤務する場合、年金を受給しなが ら被用者として企業で勤務する場合が挙げられる。 8 社会保障基金はフローで黒字、ストックで残高が積み上がっているが、主に公的年金の影響による。公的年金制度は保 険料水準を固定しつつ、将来の少子高齢化の進展に備え積立金を保有、活用することで、制度を持続的で安心なものと し、将来の給付水準を確保している。一方で、国(中央政府)の財政収支は赤字を計上している。一般政府全体としては 赤字・純借入超過であり、その内訳は概ね「国の大幅な赤字+社会保障基金の黒字+地方政府の黒字」という構図になっ ている。 3

資料6

資料5 社会保障改革の新たなステージに向けて (参考資料) 2025年12月5日 筒井 義信 永濱 利廣 南場 智子 若田部昌澄 国民負担率と家計可処分所得 • 長期的には国民負担率は上昇してきており、可処分所得が伸び悩んでいる。 (国民所得比、%) 60.0 図1:国民負担率 (2000年1-3月比、% 同寄与度、%pt) 図2:実質家計可処分所得の寄与度分解 35.0 30.0 50.0 46.2 25.0 20.0 40.0 35.6 18.0 15.0 10.0 30.0 13.0 5.0 0.0 20.0 -5.0 28.2 10.0 22.6 -10.0 -15.0 0.0 租税負担率 社会保障負担率 (年度) 国民負担率 雇用者報酬 営業余剰・混合所得 純財産所得 直接税 保険料負担 年金給付等 その他の純経常移転 可処分所得 (備考)図1:財務省「国民負担率」、図2:内閣府「家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報(参考系列)」により作成。家計可処分所得及びその各構成要素の 実質化は家計最終消費デフレーターによって行っている。 2024 2022 2020 2018 2016 2014 2012 2010 2008 2006 2004 2002 2000 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 -20.0 (年度) 1 高齢者の実態に対応した医療保険制度の在り方 • 元気な高齢者が増える中、後期高齢者医療制度創設時の75-79歳の1人当たり医療費の水準は、2023年度の80-84歳に相 当し、おおむね5歳若返っている。高齢者雇用は65歳までの雇用確保の義務化や70歳までの就業機会確保の努力義務化 が進められ、65歳以上の就業率も大きく上昇。日本の高齢者の健康状態は各国と比べて良好であり、疾病状況で見て日本 の76歳は世界の65歳と同等。こうした高齢者の実態も踏まえ医療保険制度を検討する必要。 図1:年齢別の1人当たり医療費 (15-64歳 平均=1) 図2:年齢階層別の就業率 (%) 60.0 6.0 5.5 5.5 40.0 36.2 35.1 20.0 21.8 20.8 10.0 12.8 7.5 10.2 30.0 5.2 5.1 5.0 4.6 4.5 53.6 50.0 4.3 0.0 2008年 4.0 3.8 3.6 3.5 3.0 3.0 2.8 2.5 2.4 2.0 1.5 1.5 ロシア 1.0 55-59歳 60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳 80-84歳 85歳以上 2023年度 2008年度 70~74歳 75~79歳 80~84歳 SDI:国ごとに一人当たり 所得、平均学歴、出生 率等の社会・人口指標 スイス オランダ の順位を平均した指数 (2022年10月=1) 1.9 1.6 65~69歳 図3:世界の65歳の疾病状況と同等となる 各国の年齢-日本の76歳は世界の65歳と同等- (歳) 2.1 2024年 図3:米国 における年日本 ナイジェリア メキシコ 南アフリカ 齢階層別の 76歳 米国 雇用者数 65歳 中国 ブラジル インド エチオピア 図2:高年者雇 インド ネシア 用安定法の改正 アフガニスタン パプアニューギニア (備考)図1:厚生労働省「国民医療費」、総務省「人口推計」、図2:総務省「労働力調査」、図3:Chang et al. (2019) “Measuring population ageing: an analysis of the Global Burden of Disease Study 2017”, Lancet Public Healthにより作成。 2 医療高度化に対応した保険制度の持続可能性確保 • これまで、高齢化等の人口要因を主な要因として、医療費が増加してきた。今後は、人口が減少し、高齢者人口の伸びが 抑制される中で、医薬品等の医療高度化が、我が国の医療費増加の主要因になると見込まれる。また、近年、1,000万円 以上の高額レセプトの件数は顕著な伸びを示しており、2024年度は20年前と比べ23倍に達している。こうした医療の高 度化に対応して、リスクに応じた負担の在り方を検討し、保険制度の持続可能性を確保する必要。 図1:これまでの医療費の伸びの要因分解 5 (%) 4 図2:将来の医療給付費の伸びの要因分解 (成長移行ケース) 3 1.0 2 2.9 1.8 1 -1 2025-30 3.4 1.0 1.0 1.0 2.8 2.8 2.9 2.5 0.4 0 3.6 3.4 3.1 2.8 医療給付費の伸び率 名目成長率 人口・高齢化要因 2.8 単価要因 その他要因 (医療の高度化等) 0.0 -0.2 -0.3 2031-40 2041-50 2051-60 (年度) 図3:1,000万円以上の高額レセプトの件数(健保組合) (件) 2,500 2,328 2,000 1,500 1,000 500 101 0 2003 2006 2009 2012 2015 2018 2021 (備考)図1:財務省 財政制度等審議会 財政制度分科会「社会保障①」(2025年11月5日)、図2:内閣府「経済・財政・社会保障に関する長期推計」(2024年4 月2日)、図3:健康保険組合連合会「高額医療交付金交付事業における高額レセプト上位の概要」により作成。 2024 (年度) 3 一般政府の部門別フロー • マクロ経済全体の中で国家財政を把握する観点からは、国・地方に加えて年金・医療・介護等を担う社会保障基金を含む 一般政府の部門別フローを見ていくことが重要。 図:一般政府の部門別の資金過不足 (兆円) 20 2025年4-6月期 10 9.1 0 1.3 -4.9 -10 -20 -15.3 -30 -40 -50 -60 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 一般政府 中央政府 地方公共団体 社会保障基金 (備考)日本銀行「資金循環統計」により作成。後方4四半期合計。 4

資料7

資料6 社会保障分野における今後の対応について 令和7年12月5日 上野臨時議員提出資料 社会保障改革に関する当面の課題と対応① 令和6年度の報酬改定以降、物価上昇による費用増、人材不足等により、医療機関・介護事業者等は厳しい経営環境に直面。 他産業との比較において賃上げ余力が小さいとの指摘もある。 そのため、令和7年度補正予算案において、依然として物価・賃金上昇の影響を受けている状況であることを踏まえ、令和8 年度診療報酬改定の効果を前倒す観点等から、経営の改善・従事者の処遇改善のための措置を実施(1.4兆円規模)。 【医療・介護等支援パッケージ】 <医療> ● 令和7年度補正予算案では、令和6年度診療報酬改定以降の物価動向等を背景とする足元の物価高騰に対応できるよう、救急に対応する病院に措置すること と併せ、約3,800億円を措置。また、建築資材高騰に直面する病院の建て替え支援として、約500億円を措置。 ● また、賃上げに取り組む医療機関で働く従事者に対して、プラス3%の半年分の賃上げ分として、約1,500億円程度を措置。 <介護> ● 令和7年度補正予算案では、以下を措置。(合計:約2,700億円) ・ 他職種と遜色のない処遇改善に向けて、人材流出を防ぐための緊急的対応として賃上げ・職場環境改善の支援(約1,900億円) ・ 介護事業所・施設が、物価上昇の影響がある中でも、必要な介護サービスを円滑に継続するための支援(約500億円) ・ ICT等のテクノロジーの導入や経営の協働化、訪問介護・ケアマネジメントの提供体制の確保に向けた取組(約300億円) ≪令和6年度の賃上げの状況≫ 医療 3.07% 介護 4.6% 5.1% 全産業 (組合員数300人未満の組合:4.45%) (ベースアップ分のみで3.56%(組合数300人未満の場合:3.16%)) 【出典】 医 療:ベースアップ評価料届出医療機関の賃金増率(令和7年9月12時点 実績値、定期昇給含まない) 介 護:令和6年度介護従事者処遇状況等調査(令和6年9月時点、定期昇給含む。) 全産業:連合「2024春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果」、定期昇給含む ≪令和5年度・6年度・7年度における物価の状況≫ 令和7年春闘では、定期昇給含め平均 5.25%(組合員数300人未満の組合: 4.65%)の賃上げ (ベースアップ分のみで3.70%(組合員数 300人未満の組合:3.49%)) (連合「2025春季生活闘争第7回((最終)回答集計」) (R7.8末収集時点速報値) 病院 経常利益率 令和5年度 【R5.8.1~R6.3.31の間に 決算を迎えた施設】 提出率:46.6% N数 3,032 無床診療所 有床診療所 15,412 1,153 ( 53.6% ) ( 27.3% ) 平均値 1.2% ( 36.3% ) 中央値 1.2% 6.1% 2.1% ( N/医療法人立施設 ) 9.3% 3.8% 最頻値は病院1.0%~2.0%、無床診療所0.0%~1.0%、有床診療所2.0%~3.0% 2023年度 (対前年度比) 2024年度 (対前年度比) 2025年4~10月 (対前年同月比) 総合(コアCPI) +2.8% +2.7% +3.2% 食費 +7.4% +5.0% +6.9% 【出典】総務省「消費者物価指数」、国土交通省「建築着工統計調査」 ≪令和5年度・6年度における病院・診療所の経常利益率≫ 令和6年度 【R6.4.1~R7.3.31の間に 決算を迎えた施設】 提出率:57.8% N数 ( N/医療法人立施設 ) 2,098 ( 37.3% ) 20,574 1,307 ( 47.2% ) ( 32.0% ) 1.5% 平均値 ▲0.2% 6.2% 中央値 0.1% 3.4% 4.0% 最頻値は病院0.0%~1.0%、無床診療所0.0%~1.0%、有床診療所1.0%~2.0% (出典)医療法人経営情報データベースシステム(MCDB)における、施設別の経営情報 ※ R5年度については、制度施行開始日であるR5.8.1以降に決算日を迎えた施設。(R7.3末収集時点) 骨太方針2025に基づき、次期(令和8年度)報酬改定において、保険料負担の抑制努力も継続しつつ、令和7年度補正予算案の対応や 物価上昇・賃金動向を踏まえ、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながる的確な対応を行う。 1 社会保障改革に関する当面の課題と対応② 高齢化がさらに進行する中で、社会保険料負担については、今後も増加することが見込まれている。賃上げ努力もなされる 中、政党間の合意や総理指示、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和5年12月閣議決定)を踏ま え、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し、金融所得の反映などの応能負担の徹底等をはじめとする医療保険制度・介護保 険制度改革に取り組むことで、現役世代を中心に、できる限り社会保険料負担を抑制する。 医療保険制度改革 総理指示において年末までに結論を得ることとしている以下の点をはじめとする改革事項について、関係審議会(社会保障審議会医療保険部会) において考えられる選択肢を提示し、議論中。 <OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し> ・ OTC薬と同等の医療用医薬品への保険給付の在り方を含め、薬剤自己負担の見直しが課題となっている。 ⇒医療機関における必要な受診を確保し、子どもや慢性疾患を抱えている方や低所得の方の患者負担に配慮しつつ、医療保険部会などにおいて 引き続き丁寧に検討する。 <金融所得の反映などの応能負担の徹底> ・ 金融所得(株や債権などの譲渡、配当、利子所得)については、税制における確定申告の有無により保険料等の算定への勘案の有無が変わる 不公平な取り扱いとなっている。 ⇒金融機関や自治体等の事務負担等にも配慮しつつ、負担能力に応じた負担の観点から、高齢者の窓口負担割合等に金融所得を反映するため、 具体的な法制上の措置を令和7年度中に講じる。 <高額療養費制度の見直し> ・ 患者の経済的な負担が過度なものにならないよう配慮しつつ、増大する高額療養費を能力に応じて分かち合うことが必要。 ⇒患者団体など当事者の意見を丁寧に聞きながら、他の改革による影響とのバランスを踏まえ議論する。 介護保険制度改革 以下の点をはじめとする改革事項について、関係審議会(社会保障審議会介護保険部会)において考えられる選択肢を提示し、議論中。 <2割負担の範囲の見直し> ・ 介護保険は原則1割負担だが、年金収入換算で280万円以上の場合は2割負担(被保険者の所得上位20%)。 ⇒応能負担の強化による負担の公平化と保険料負担の上昇を抑えるため、一定の配慮措置(負担増の上限設定、預貯金要件)を組み合わせつつ、 範囲の拡大について丁寧に検討する。 <ケアマネジメントに関する給付の在り方> ・ ケアマネジメントについては、利用者負担を求めていないが、サービスの定着状況、ケアマネジャーの専門性の評価、施設サービスとの均衡 等の観点から、他サービスと同様、利用者負担を導入すべきとの指摘がある。 ⇒サービスの利用控え、ケアマネジャーに求められる公平・中立性等への配慮が必要といった指摘もあり、その在り方について丁寧に検討する。2 中長期的な課題と対応等 2040年頃には高齢者人口がピークを迎え、特に85歳以上の介護・医療ニーズを抱える者等が増加するとともに、単身世帯が 増加する。一方、生産年齢人口は減少し、医療・介護・福祉の担い手確保が一層の課題となる。 こうした将来を見据え、以下の取組を通じて、持続可能で全世代型の社会保障を構築するとともに、地域の実情に応じて医 療・介護・福祉分野で包括的に地域を支える体制を構築する。 医療・介護・福祉提供体制を確保するための業務改革と処遇改善等による人材確保 医療・介護・障害福祉の現場において、必要なサービスを提供し続けていくため、①省力化、効率的な業務分担等を推進し、従事者一人 当たりのケアの質と量の拡大を図りつつ、②他産業と遜色のない従事者の処遇改善を計画的に図っていく。 <省力化、効率的な業務分担等の推進> ➢医療・介護等DX、電子カルテの導入、ICT機器(インカム、見守りセンサー等)、ロボット、AI技術の活用、データの標準化等 ➢タスクシフト・シェア ➢働き方改革の推進 ➢配置基準の柔軟化 等 <経済・物価動向等への的確な対応、他産業と遜色のない処遇改善> ➢報酬改定等 ➢省力化、効率的な業務分担等の取組 2040年を展望した「全世代型社会保障」及び地域の実情等に応じた体制の構築  地域医療構想・医師偏在対策  「攻めの予防医療」等の推進  医療機関機能報告制度を設け、入院のみならず、外来・在宅医療、介護との  以下の取組をはじめとする、「攻めの予防医療」等の推進を通じて、健康寿命の延伸 を図り、社会保障の担い手を増やす。 連携を含む、将来の医療提供体制全体の構想を策定する。 • 一般健診等と併せて、又は、特定健診結果や歯科受療歴等をもとに対象者を選定し、  都道府県知事が定める「重点的に医師を確保すべき区域」に勤務する医師へ 簡易な口腔スクリーニング等を実施する地方公共団体や民間事業者の支援 の手当の支給等、経済的インセンティブや地域の医療機関の支え合いの仕組 • 科学的根拠に基づくがん検診・精密検査の受診率向上に向けた取組 みなどを組み合わせて地域間・診療科間の医師偏在の是正に取り組む。 • レセプトデータ等を活用した予防・健康づくりへの取組やデータヘルス、保健事業 に取り組む保険者への支援  医療・介護DX • 性差に由来した健康課題への対応の普及に向けた女性の健康や疾患に特化した研究  電子カルテ情報共有サービスの構築、医療等情報の二次利用の推進等、「医 やデータの収集・ 解析、情報発信 療DXの推進に関する工程表」に沿って、保健・医療・介護の情報を共有可  創薬力の強化とイノベーションの推進 能な「全国医療情報プラットフォーム」の構築に向けて取り組む。  「2030年までの概ね全ての医療機関での電子カルテ導入」の目標達成に向  革新的新薬を生み出すスタートアップ支援や伴走的な相談支援機能の強化、国際競争 け、廉価で導入しやすいクラウドネイティブ型電子カルテへの移行を進める。 力のある治験・臨床試験体制の強化に取り組む。  少量多品目生産による非効率的な製造等を要因とした後発医薬品の供給不安が発生し ており、足下の供給不安を解消するとともに、後発医薬品産業の構造改革を進める。  人口減少・サービス需要の変化に応じた介護提供体制の構築  国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する薬価上の適切な評価を実施する。  2040年に向けて、中長期のサービス需要の変化を見据えた介護サービス提 供体制を構築するため、特にサービス需要が減少している中山間・人口減少  その他、「改革工程」のうち、前述の取組以外の引き続き検討する取組についても着 実に実行する。 地域について、地域のニーズに応じた柔軟な対応を検討する。  連立政権合意書(令和7年10月20日)に盛り込まれたその他の社会保障改革につい て、令和7年度中に具体的な骨子について合意し、令和8年度中に具体的な制度設計 を行い、順次実施する。 3 参考資料 勤労者世帯の実質可処分所得の推移の推計 2012~2024年のモデル世帯の実質可処分所得(給与収入から税・社会保険料を控除した後、児童手当等を加えた可処分所得から物価変 動の影響を取り除いた所得)の推移の推計によると、 ・ 税や社会保険料の増加により、若者がかつてより貧しくなっているとの印象が論じられることもあるが、20代単身男女の実質可処 分所得は、2012年から2024年にかけて概ね維持されている。 ・ 30代4人世帯(夫婦、4歳、1歳)では、税や社会保険料の負担増がありつつも、幼児教育・保育の無償化、児童手当の改善等により、 「共働き・共育て」が行いやすくなることで、実質可処分所得が向上し、暮らし向きが改善している。 ・ 40代4人世帯(夫婦、小6、小3)は2012年以降、50代4人世帯(夫婦、大2、高2)は2018年頃から、男性の名目賃金の伸び悩みのた め実質可処分所得は低迷していたが、2024年は、物価を上回る名目賃金の伸びが見られ、実質可処分所得が底打ちした可能性。 <モデル世帯別の実質可処分所得の推移(2012年=100)【特別給付金等を除く】> 【参考】 ★可処分所得 =税引き前の給与収入ー (所得税+住民税+社会保険 料)+手当等 ★実質可処分所得 =可処分所得× 基準年(2012)の物価水準 /分析する年の物価水準 <出典>「2012~2024年の家計実質可処分所得の推計」(2025年4月11日) 大和総研(金融調査部・主任研究員 是枝俊悟)
経済財政諮問会議 2025年12月5日 議事録・配布資料全文 | PPPT