議事録
令和7年第 12 回経済財政諮問会議
議事要旨
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(開催要領)
1.開催日時:令和7年 11 月 12 日(水)18:15~19:01
2.場
所:総理大臣官邸4階大会議室
3.出席議員:
議長
高 市
早 苗
内閣総理大臣
議員
木 原
稔
内閣官房長官
同
城 内
実
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
同
林
芳 正
総務大臣
同
赤 澤
亮 正
経済産業大臣
同
片 山
さつき
財務大臣
同
植 田
和 男
日本銀行総裁
同
筒 井
義 信
日本生命保険相互会社 特別顧問
同
永 濱
利 廣
株式会社第一生命経済研究所 首席エコノミスト
同
南 場
智 子
株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長
同
若田部 昌 澄
早稲田大学政治経済学術院教授
(議事次第)
1.開 会
2.議
事
(1) 経済対策
(2) マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)
3.閉
会
(資料)
資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
資料6
資料7
総合経済対策の策定について(内閣総理大臣指示)
(令和7年 10 月 21 日(火))
総合経済対策に盛り込むべき重点施策(日本成長戦略会議)
植田議員提出資料
筒井議員提出資料
永濱議員提出資料
南場議員提出資料
若田部議員提出資料
1
令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
(概要)
(城内議員) それでは、ただ今から高市内閣発足後最初の「経済財政諮問会議」を開催
する。
経済財政政策担当大臣の城内実である。本会議の議事進行を務めさせていただくので、
よろしくお願い申し上げる。
まず、議題に入る前に、新たに経済財政諮問会議の議員となられた、永濱議員、南場議
員、若田部議員をご紹介する。
また、筒井議員におかれては、継続して議員を務めていただく。
それでは、各議員から、一言ずつご挨拶をお願いする。
(筒井議員) 引き続き、本職を拝命した。よろしくお願いする。高市内閣の経済・財政
運営の方針策定に向け、経済界の実情をよく踏まえつつ、一つは中長期の視点、もう一つ
は日本全体の視点を重視した意見発信に努めてまいる。
足下、潜在成長力が0.6%程度にとどまっている。これを引き上げて、科学技術立国、
貿易投資立国による持続的な経済成長を実現し、2040年にGDP1,000兆円を目指すと経
団連は打ち出している。この考えは、高市総理の掲げる官民連携の下で、様々な社会課題
やリスクに対して、供給力の抜本的強化、新技術立国等の推進を通じて、強い経済を実現
し、我が国の未来を切り開いていく、そういう方針と軌を一にするものと考えている。
この強い経済の実現とともに、将来世代の責任を果たすという観点から、人口減少、少
子高齢化を乗り切っていく、公正・公平で持続可能な全世代型社会保障の構築が喫緊の重
要課題である。この点、高市総理から、社会保障の給付と負担の在り方に関して、超党派
かつ有識者も交えた国民会議を設置する、そして、税と社会保障の一体改革を議論する意
向を表明された。このことを非常に心強く、高く評価している。経団連としても積極的に
関与してまいりたい。
(永濱議員) 第一生命経済研究所の永濱である。出身は栃木県足利市、茂木外務大臣と
同郷だ。主な経歴としては、1998年からエコノミストをやらせていただいており、特に得
意分野といえば、データ解析に基づいたマクロ経済分析というところかと考えている。
経済財政諮問会議では、岸田政権のときに特別セッションというのがあり、そこで8人
の有識者の1人ということで一時的に参加をさせていただいた。非常に光栄なことであり、
これまでの経験を遺憾なく発揮して貢献できればと考えているので、これからよろしくお
願いしたい。
(南場議員) ディー・エヌ・エーの南場である。まだ社業が大変で、このような大役を
お受けするべきか迷ったが、高市さんが総理に就任され、周囲にフレッシュな風が吹いて
いると感じる。私の周りも、何だか張り切っている人が増えており、長く停滞していた日
本経済に新しい変化を起こすチャンスなのではないかなと思い、就任させていただいた。
私は、自分が創業したディー・エヌ・エーの経営に加え、ベンチャーキャピタルを運営
し、日本のスタートアップやVCを間近に見ている。また、二、三か月に1回、米国西海
岸に滞在し、そこでは現地起業家たちとシェアハウスで一緒に生活をし、米国のベンチャ
ーキャピタリストとも親交を重ねている。また、ここに筒井さんがいらっしゃるが、経団
連でも役割をいただき、日本の大企業と共に活動もした。そういった活動の中で、日本経
済についての問題意識も膨らんでいる。そこに関して、民間の立場として議論に参加して
いきたいと思う。
私は、民間企業は、民間としてのプライドを大事にするべきで、政府に頼る姿勢は好ま
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令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
ないが、何だかフレッシュで前向きな空気が流れているこの機を逃さず、日本経済が再度
輝くために微力を尽くしたいと思う。どうぞよろしくお願いする。
(若田部議員) 若田部である。早稲田大学で教授をしている。経済財政諮問会議は、実
は、日本銀行副総裁をしたときに一度だけ参加したことがある。このような大命をいただ
き、誠にありがたく思う。
日本経済は今、歴史的な転換点にあると思う。一つは、やはり世界情勢が非常に厳しい
ということで、世界大乱の時代という予感をさせるところである。もう一つは、日本経済
そのもので、いよいよもってデフレ脱却というのが完全に見えてきたのかなという気がす
る。なので、今起きている良い流れを止めないというのが、我々に課された非常に大きな
使命ではないかと思う。
基本的には、どういうものが望ましい経済かということは、恐らく2%近傍のマイルド
なインフレがあって、そして高い成長率があるというような世界だと思うが、そういった
世界を目指すべく、高市総理の下に国民の力と知恵を結集したいということで馳せ参じた。
期待が非常に高まっているけれども、その期待をいかに実現するかというのが、この会議
の役割ではないかというふうに考えている。よろしくお願いする。
(城内議員) なお、専門調査会である「経済・財政一体改革推進委員会」には、今回新
たに議員になられた3名の議員の方々にもご参加いただく体制として、会長には若田部議
員にお願いすることとする。
〇「経済対策」
〇「マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)」
(城内議員) 本日は、議題1と議題2をまとめてご議論いただく。
初めに、議題1「経済対策」についてである。
資料1のとおり、高市総理からご指示をいただいているので、経済対策の取りまとめを
担当する私としては、このご指示に沿って、物価高対策をはじめ、官民が連携した危機管
理投資・成長投資による強い経済の実現に向け、総合経済対策の策定に取り組んでまいる。
また、私が担当する日本成長戦略会議では、先日10日だが、初回の会合を開催し、資料
2のとおり、経済対策に盛り込むべき重点施策を取りまとめている。経済対策については、
そちらもご参照いただきながら、ご議論いただく。
次に、議題2について、日本銀行の植田総裁から、日本銀行の今後の経済・物価見通し
等について、ご説明をお願いする。
(植田議員) それでは、資料3の1ページ目をご覧いただきたい。
日本銀行は、先月末の金融政策決定会合で、経済・物価の見通しを公表した。我が国経
済については、各国の通商政策等の影響から、海外経済が減速する下で、成長ペースは伸
び悩むと考えられるが、その後は、海外経済が緩やかな成長経路に復していく下で、1ペ
ージの左下のとおり、2027年度にかけて成長率を高めていくと見込んでいる。
物価については、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、足下3%程度となっている
が、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していく下で、右下にあるように、来年度前半
にかけて、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えている。その後は、成長
率が高まる下で人手不足感が強まり、消費者物価の基調的な上昇率と、生鮮食品を除いた
消費者物価の上昇率はともに徐々に高まっていき、日本銀行の展望レポートの見通し期間
後半には、2%の「物価安定の目標」とおおむね整合的な水準で推移すると考えている。
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令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
2ページ、先行きの金融政策運営については、今申し上げた経済・物価の中心的な見通
しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上
げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えている。
これまでのところ、そうした見通しが実現する確度は少しずつ高まってきていると見て
いるが、今後とも、内外の経済・物価情勢や金融市場動向を丁寧に確認していく方針であ
る。
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の下で、その持続的・安定的な実現という観点
から、適切に金融政策を運営してまいる。
(城内議員) それでは、民間議員からご意見をいただく。
(筒井議員) 資料4、初めに、経済対策について。これは、高市内閣の掲げる強い経済
の実現に向けた重要な第一歩であると認識している。足下、食料品中心の物価上昇、米国
関税措置の影響等で先行き不透明感もあり、景気の下押しリスクが懸念される。この観点
から、まずは物価高対応を最優先に、経済対策を講じる必要があると考える。同時に、強
い経済の実現、そして好循環を確固たるものとするため、官民連携による戦略分野への積
極的な投資に着手をすること、これを通じて、高付加価値を生み出す経済・産業構造への
変革に取り組むことも重要である。
次に、来年度予算編成に向けて二点申し上げる。
第一は、官民連携によるダイナミックな経済財政運営の観点である。政府は、予算の単
年度主義の弊害を是正して、補正よりも本予算で重点分野での中長期の計画に基づいた戦
略的かつ効果的な投資を実行すべきである。これが民間企業の予見可能性を高めて、官民
連携による国内での成長投資の拡大の呼び水になると思う。例えば、科研費倍増等による
科学技術・イノベーション力の抜本強化、経済成長と脱炭素を両立するグリーントランス
フォーメーションの推進等が重要である。
これに連携して、私ども民間企業は、経営者自らのマインドセットを変えること。そし
て、設備投資、研究開発投資、人的投資を拡充する必要がある。経団連としても、賃金引
上げのさらなる定着に向けて議論を深めるとともに、各種投資の拡大を一層強く呼びかけ
て、先導する役割を果たしてまいる。
第二に、繰り返すが、社会保障制度改革の着実な実行である。人口減少、少子高齢化が
進む中でも、国民の安心を確保すべく、公正・公平で持続可能な全世代型社会保障の構築
が不可欠である。現役世代の保険料負担増の抑制を図りながら、応能負担の徹底、効率的
で質の高い医療・介護提供体制の実現が求められる。具体的には、医療・介護保険制度改
革、医療・介護分野でのDX推進、次期診療報酬改定でのメリハリづけの実行等が課題で
ある。
最後に、責任ある積極財政に向けて申し上げる。今後、成長投資を行う中で、財政の持
続可能性を確保し、市場の信認を維持し続けることが最も重要である。債務残高対GDP
比を安定的に引き下げて、成長投資の実行に即した複数年度でのバランスの確保を主とし
つつ、複眼的な視点を持って、中長期的な財政健全化を目指すべきである。また、PDC
Aに基づくワイズスペンディングの徹底も不可欠である。
高市総理には、政策実行に格段のリーダーシップを発揮いただくようお願いを申し上げ
る。
(永濱議員) 私は、資料5である。
まず一つ目、マクロ経済政策の運営についてだが、検討を深めていくべきテーマは、何
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令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
といっても財政健全化目標の再検討だと考えている。まさにこれをすることによって、責
任ある積極財政の象徴的なポイントになってくると考えている。
具体的には、そもそものプライマリーバランスという目標は、デフレ下で名目成長率が
長期金利を下回る状況でも債務残高対GDP比を下げるということで目標となったもの
であるが、足下のようにインフレ下で名目成長率が金利を上回る局面では、プライマリー
バランス黒字化しなくとも、債務残高GDP比は下がるということで、こういった状況で
むしろプライマリーバランス黒字化を保持してしまうと、必要なところに財政が出ないと
いう弊害が出ていると考えている。
そうなってくると、どういったところに重点とすべきポイントがあるかというと、一言
で言えば、インフレ局面に応じた国際基準の視点ということである。こちらは私のほうで、
いろいろな格付機関の財政を見る指標を調べてみたところ、実はプライマリーバランスを
直接見ているところはなく、何が重視されているかというと、やはりストックの指標、政
府債務残高のGDP比を見ている格付会社もあれば、純債務残高GDP比を重視している
格付会社もあって、これをどういった形で目標にしていくかというところが非常に重要な
ポイントかと思う。
そうなってくると、仮に純債務のGDP比を目標にするとなると、政府の中長期試算、
政府試算の見通しがないので、新たに作成する必要が出てくるということかと思う。
あともう一つ、格付会社が見る上での非常に重要な指標として、利払い費のGDP比等
も注目をされていて、実はこれは、アメリカ・バイデン政権のときに、アメリカのほうも
財政規律の柔軟化ということをやっており、こうした財政規律の柔軟化というのはアメリ
カにとどまらず、今年、ドイツでも憲法改正、いわゆる債務ブレーキの調整という形で世
界的に財政規律の柔軟化が進んでいるので、やはり日本でもこのタイミングで必要なので
はないかというところである。
これを進めるに当たって、もし可能であれば、安倍政権のときの経済財政諮問会議でも
あったように、それこそ海外の代表的な主流派の経済学者の先生などを、リモートでも良
いと思うので、ご意見を聴く機会であったりとか、さらには日本国債の格付担当者の方の
意見を聴いたりすることによって、最も日本にとって望ましい財政の目標というのを検討
する必要があると考えている。
二点目が、経済対策について留意すべきポイントというところで、エコノミストの視点
からご指摘をさせていただくと、経済対策は毎回効果がGDPの押し上げ効果で出てくる
わけだが、一般国民からすると全く実感がない。であれば、私は、いかにこの政策がどう
いったパスを通じて実質賃金の押し上げにつながるかと、そういったところを定性でも良
いので明示する必要があるかと思う。
実際、こちらは実質賃金の要因分解で式があるのだが、こちらにあるとおり、実質賃金
というのは、実質労働生産性とか労働分配率、交易条件、労働時間というふうに分けられ、
一応、ご参考までに私が作ってみたのだが、色々な政策がどういうパスを通じて実質賃金
の押し上げにつながるのかというところを明示すると、国民にも分かりやすくなるのかと
思う。
あと、規模の正当化ということなのだが、今の日本経済に非常に危機感を抱いている。
来週月曜日に公表される7-9月のGDP、大幅マイナス成長が予想されている。さらに、
景気動向指数、この前9月分が出たのだが、10月分の出方によっては基調判断が悪化と、
これはいつ以来かというと、2020年7月以来ということであり、非常に綱渡りの状況にな
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令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
っているので、やはりそういった局面では、補正予算はそれなりの規模が必要なのではな
いかと。
一般会計の歳出、昨年13.9兆円だったと思うのだが、表面上の数字がこれを上回ってこ
ないと、なかなか積極財政への期待が低下してしまう可能性があるかと。ただ一方で、当
然、「責任ある」なので、財政規律も担保しなければいけない。
これはどのようにするかというと、一方で、国債以外にももろもろ、税収上振れや、税
外収入や、予算の復活分等そのようなところを踏まえたことを考えると、前回も国債発行
は一般会計の予算の半分ぐらいなので、ここの国債発行額を、政府債務残高のGDP比の
低下が維持される範囲内で収めるということが担保につながるのではないかと考えてい
る。
あとは細かい話なのだが、この8月に発表された内閣府の中長期試算から、プライマリ
ーバランスの修正の要因分解が出され、そこで「基調的な税収増の想定」で、1.6兆円と
いうことで新たに出ており、これはある意味、恒久的な税収の上振れであるから、こうい
ったところはいわゆる恒久的な財源として使える可能性があるのではないかと、このよう
なところも検討の必要があるのではないかと考えている。
(南場議員) 資料6に沿ってお話しする。
過去30年間、日本経済が世界の中で競争力を失いつつあるのは、イノベーションが起き
ていないからだ。人口減少が避けられない経済が世界の中で輝くためには、イノベーショ
ンを起こして、知的生産拠点として競争力を維持・強化する必要があるが、イノベーショ
ンを力ずくで起こすということではなく、持続的に起こり続ける土壌を作ることが大切だ。
土壌がないと重点分野に資金を投入しても一周回って終わりになる。
では、イノベーションが持続的に起こり続ける土壌とは何かというと、この前提はダイ
ナミズムだ。企業の参入と退出、雇用の創出と破壊など、絶え間なく動いている、エネル
ギーが高い状態が不可欠だ。個人に対するセーフティネットは提供しつつ、守り過ぎない
という視点も必要だと考える。
そういったダイナミズムが、日本は実は得意ではなかったのだが、ただ、国内でもスタ
ートアップは人、カネ、事業が激しく流動している。そして、次々と変化への挑戦が行わ
れている。ただ、スタートアップが日本経済全体に及ぼす影響度はそれほど大きくなって
いないので、ここを太らせるということが一つ大きなポイントになる。スタートアップの
エコシステムを強化していくということに関して、日本政府も既に「スタートアップ育成
5か年計画」を実施しているが、その進捗を総点検し、モメンタムを再度強化する必要が
ある。
というのも、やはり5か年計画が策定された22年前後は非常に勢いがあったのだが、今
は少し停滞している感じがする。スタートアップに投下される資金は伸び悩んでいるし、
ベンチャーキャピタルの資金調達も伸び悩んでいる。そして、日本のスタートアップは、
一社当たりの調達額が非常に小さく、試合が小さい。世界有数のスタートアップエコシス
テムを形成することを急ぐ必要がある。具体的施策は割愛する。
また、スタートアップ政策は単独のこりっとした取組とするのではなく、経済政策全て
に横断的にスタートアップエコシステムの拡大という視点を取り入れるべきだと考える。
戦略17分野への資金がほぼ全て大企業に吸い込まれるということがないようにしなけれ
ばならない。
そして、スタートアップに限らず、国の一番重要な財産である人材の流動のダイナミズ
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令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
ムは経済の活性化に非常に重要だ。賃上げにももちろんつながる。賃上げは、最低賃金の
引上げという官製賃上げでは限界がある。人材が移動しやすい環境を整備し、生産性の高
い企業や産業に人材が流動することで賃金が結果として上がっていくということが望ま
しい。
人材についてもうひとつ。国境を越えて活躍できる人材の育成も急務だと痛感している。
世界規模の成功企業を生み出すためにも、また、それだけではなく、国内の困難な課題を
解決するためにも世界の叡智を集める必要があり、様々な文化的背景の人々を率いて事を
なすことが重要だ。ただ、これができる人材の層は非常に薄い。なのに、長期留学が減少
してきているのは大きな懸念事項だ。これを桁違いに拡大するということ。それから、世
界の優秀層を日本に呼び込んで、日本のリーダー層との協働環境を作るということを意識
的に大胆に取り組む必要がある。
最後に、マクロ経済政策全般に関して申し上げると、経済政策を貫く思想として、張り
切った人、変化に挑む企業や人が報われるという社会を目指してほしい。
また、社会保障制度の見直しに当たっては、過去30年の延長ではなく、イノベーション
の視点を大胆に取り入れ、成長社会、成長経済にふさわしい制度への再設計をするべきだ
と考える。社会保障改革元年として取り組むべきと考える。
(若田部議員) お手元の資料7でご説明したい。
まず最初、マクロ経済政策運営について、当面どのようなテーマで検討を深めるべきか
については、新しい時代にふさわしい新しい経済財政政策の基本戦略を構築すべきだと考
える。
新しいというところで、先ほど申し上げたようなインフレが戻ってきたというだけでな
く、やはり供給の側も力をつけなければならない。それで、総理がいつもおっしゃってい
るように、防衛力、外交力の強化、それが経済の強化にも結びつくと。逆に、経済の強化
が両方、防衛力、外交力の強化にもつながるというような新しい時代を踏まえた戦略が必
要だと思う。
基本的な方針は高圧経済だ。現状としては、インフレは復活したが、半分以上はコスト・
プッシュで、実質GDPは停滞している。直近ではマイナス成長すら懸念されているとこ
ろだ。
そこで、アベノミクスの成果と教訓と反省を踏まえた上で、時代状況に合わせてそれを
進化させるというのが課題だと思う。具体的には、総需要はマクロ経済政策で適切に支え
ると、その下で総供給の強化を行う、それが総供給の強化につながるというような視点だ。
その上での基本戦略というのは、永濱議員からもお話があったが、内外の経済理論・政
策論の動向に学ぶということだ。その下で、政策をマクロだけ、あるいは財政、金融だけ
を考えるというのではなく、マクロ、成長、貿易、再分配などなどの政策を統一的・統合
的に運用すべきであると考える。ちなみに、財政と金融政策に関しては、日銀法第4条の
精神に基づいて、その緊密な連携を図るべきだと考える。それと、政策策定には様々なイ
ンフラが必要だ。ここは実は、予算とか人員などを増強していただきたいと考える。例え
ば経済統計だが、賃上げを目標としている割には、実は正確な賃金統計がなかなかないと
いうのがエコノミスト、経済学者の悩みだ。これは林総務大臣の管轄下である総務省統計
局でもお願いしたいと思う。
以上のようなことなどがあるが、モデルについては、永濱議員からもお話があった内閣
府の中長期試算の再検討も必要だと思う。
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令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
そして、大事なのは、筒井議員からもお話があった、政策を正しくコミュニケーション
するということだと思う。市場の信認をいかにつなぎ止めるかということに関しては、や
はり正しいコミュニケーションが必要だと思う。例えば、日本の財政状況だが、これがフ
ローでもストックでも改善しているということは、実はあまり知られていないということ
がある。なので、そういったことを正しく伝えるべきだと考える。
次に、財政政策だが、これに関しては、新しい時代状況に合わせた財政思想の転換、進
化が必要だと考える。まず、物価が上がる世界を前提とした予算編成に切り替えるべきだ
と思う。ただ、それでインフレが起きたら、そのまま自動的に増やすというのでは、これ
はまた歳出のほうが単純に増えてしまうので、やはりそこで、一方で使命を終えた補助金
の整理・見直しと、いわゆる政府効率化局のようなアイデアが必要ではないかと思う。
プライマリーバランス黒字化目標だが、これは永濱議員からもお話があったが、やはり
デフレ時代の歴史的産物で、もはや歴史的に使命を終えたのではないかと考える。
それと、投資としての政府支出、危機管理、成長ということを考えるときには、やはり
財政を単年度で考えるという考え方からは脱却すべきではないかと考える。
その下で、では、どういう指標が例えば財政健全化の指標として望ましいのかというこ
とについては、債務残高の対GDP比への着目というのが、まずは良いかと思う。総債務
か純債務かという論点はあるが、これは後ほど様々議論すれば良いと思う。片山さつき財
務大臣が記者会見で述べたように、科学的、冷静、客観的、360度の目線というのが求め
られているところだと思う。
補正の話を後でするが、本来ならば、やはり本予算を充実することによって、戦略性、
予見可能性、持続可能性というのを担保すべきだと考えている。
時間の関係で、成長戦略会議との連携というのは多少省略するが、そこの会議では、や
はり戦略と枠組みを議論していただきたいと思う。この有識者議員の中で筒井議員と南場
議員がおられるというのは大変象徴的で、言ってみれば、日本経済の復活ということを考
えるときに、伝統的企業かスタートアップ企業かみたいな二項対立で捉えられがちなのだ
が、必要なのは、恐らくどちらもいて、そのエコシステムがうまく回ることだというよう
に思う。成長の要は民間企業の活力なので、その点を強調しておきたいと思う。
それと、枠組みということで言うならば、投資促進税制、あるいは社会的割引率が今4%
で計算されているというようなことを見直すべきではないかと思う。
二番目の経済対策について、留意すべきポイントとしては、現状で大幅にマイナス成長
が予想されていて、しかも、コスト・プッシュ要因のインフレが剝落するということを考
えると、それなりの規模のものを出す必要があると考えている。
内容については、三つの柱立てで良いと思うが、大事なのは、この三つが相互に関連し
合っていて、なおかつシナジーがあるということだと思う。先ほど申し上げたように、防
衛力、外交力の強化というのは経済力の強化にもつながるし、経済力の強化が防衛力、外
交力の強化にもつながると、そのためには危機管理投資・成長投資が必要であるというこ
とだと思う。
規模については、やはり昨年を上回る規模というのが規模感としては適正だと思うが、
需給ギャップ、あるいはインフレへの影響をきちんと試算した上で策定すべきだと思う。
最後、先ほど申し上げたように、政策コミュニケーションは非常に重要な課題で、なぜ
対策が必要なのか、そして、それは財政状況にどのように配慮しているのかと、そこがま
さに、責任ある積極財政の「責任ある」という部分になるかと思う。
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令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
(城内議員) 続いて、閣僚からご発言をいただく。
(赤澤議員) 責任ある積極財政の考え方の下では、中長期の計画に基づいた複数年度の
財政支出を行うことで、企業の予見可能性を高め、民間投資を促すことが必要だ。経済安
全保障の確保に向けて、国が着実かつ計画的に取り組んでいくための予算フレームを考え
ていくべきだと思う。
このような危機管理投資・成長投資の取組を通じて、日本経済の供給構造を強化し、日
本企業の稼ぐ力を高め、物価上昇を上回る賃上げ実現につなげ、高市総理のおっしゃる強
い経済を実現してまいる。
経済産業省としては、今般の経済対策において、短期的な物価上昇への対応のみならず、
AI、半導体、バイオ、GX、マテリアルなど、戦略分野における官民投資を促進するこ
とを通じ、日本経済の供給構造を強化してまいる。
加えて、労働供給制約が深刻化する社会では、人も中小企業も数より質が重視される。
現状維持ではなく、稼ぐ力強化と賃上げの好循環の実現に向けて、事業再構築、生産性向
上、事業再編等に取り組む中堅・中小企業を徹底的に支援し、必要な連携と再編も含め、
強い中堅・中小企業への行動変容を促す。
そういう意味で、南場議員がおっしゃった、張り切った人が報われると、現状維持では
なく、変化に挑む企業や人が報われる形に軸足を移すべきというのに完全に賛成で、現状
維持ではなく、強い中小企業へ行動変容を促していくという点で考えが同じであり、今般
の経済対策でも、そうした考え方で筋肉質の内容にしていきたいと思う。また、人材を流
動化させることが賃上げにつながるという南場議員のご意見にも賛成をする。
最低賃金引上げだけでは限界があるのもそのとおりなのだが、政府が最低賃金を含む賃
上げについてフォワードガイダンスすることは重要であり、最低賃金引上げの目標や実質
賃金年1%上昇、それによる人材の流動化を念頭に置いて、強い中小企業づくりに取り組
んでまいりたいと思う。
(片山議員) 本日は、議員の皆様から経済・財政運営について大変貴重なご意見をいた
だき、ありがとうございます。また、若田部議員におかれては、私の記者会見から引いて
いただいて、色々と債務残高についても指標があるという見方、統計があるという見方を
財務省もするようになった。科学的、冷静、客観的、360度の目線がなければならないと
いうことを引いていただき、なかなか大先生に引いていただけることはないので、大変感
動して拝見をしていたが、責任ある積極財政で、経済・財政運営は全て取組なさいという
ことが、私が組閣時にいただいたご指示であるので、それを本当に取り組むということで、
成長型経済への移行を実現していくために、財務省も今申し上げたような方向で日々変わ
ってきているということで、査定に今もう入っているので、なかなか理解はされていない
のだが、分かるところからは分かっていただけるかなと思っている。
その上で、今般、来年の骨太方針に向けて、10月の総理のご指示もあり、非常に重い宿
題をいただいているが、これは一つ、肝腎要であり、まず、分析力という意味で、経済、
物価、市場の動向を多角的に分析できる力を我々官庁も持たなければならないし、先生方
がおっしゃるように、最新の理論とか、あるいは実際にリアルにご意見をおっしゃる方々
とのリモートなどを使った意見交換とかも非常に有益だと思い、それから、物価と金利が
基本的には両方上昇していく新たな局面で財政運営に取り組んでいく、その在り方という
ものも、まさに科学的に検討をしてまいりたいと思う。
今般の経済対策については、まず、足下の物価高に有効な対応がなければならないし、
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令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
強い経済の構築に向けて、予算、税制、財政投融資や規制改革、制度改革といった手法は
総動員しなくてはならず、必要な施策をしっかりと積み上げてまいりたいと思っている。
(城内議員) 少し時間があるので、これまでの議論を踏まえ、追加のご発言を希望の方
がおられたら、お願いする。
(若田部議員) せっかくなので、日本銀行総裁に伺いたいのだが、日本銀行の今の基本
的な論理について伺いたいと思う。私が理解するところでは、まだ日本の物価は基調的な
物価で2%の目標を持続的・安定的に達成するという段階には至っていない。なので、金
融緩和を引き続き、続けているというわけだが、その度合いについては、それを調整する
形で金利を上げていくということを考えていらっしゃると。ただ、私が伺いたいのは、金
利を上げるというのは、基本的には経済を冷え込ませて、それでもってGDPギャップ、
需給ギャップを小さくするということ、あるいは金利を上げるというメッセージを通じて
インフレ予想を冷え込ませるということなので、そのことと基調的な物価で2%を目指す
ということは、どのような整合的な関係にあるのかということを伺いたい。
(植田議員) 私どもも、まだ基調的インフレ率が2%を下回っているであろうというこ
とで、これはもう少し上がっていくということが望ましいと考えている。したがって、緩
和的な金融政策基調を維持している。緩和的という意味は、全てがうまくいったときに成
立するような金利の水準、中立金利と言われたりするが、それより下の段階に今、金利が
あるということである。
一方で、長い目で見たときに、2%が持続的に達成されないといけないということは、
下から上がっていくということだけではなくて、2%をあまり上回り過ぎても困るという
こともある。なので、持続的・安定的に2%を達成するという観点からは、緩和的な状態
があまり長く続くのもリスクがある。ちょうど上手く着地するようなところを適切に見極
めつつ、政策を行っていくべきであるという観点である。
(永濱議員) 私の説明の中では入らなかったのだが、私もやはり労働市場の流動性を高
めるという意味では、賃金を上げるために非常に重要だと考えている。そういった中で言
うと、これは実は前回の私が参加した諮問会議でも申し上げさせていただいたのだが、そ
れこそ労働市場の流動性を妨げるような雇用調整助成金みたいな政策はできるだけ少な
くする一方で、労働市場の流動性を高めるインセンティブを与えるようなところに予算を
再配分することが非常に重要なのではないかなと考えている。
さらに、先ほど赤澤大臣からもあったが、やはり最低賃金の引上げというのは、私は非
常に重要だと考えており、未だに最低賃金近辺で働いている労働者の割合は非常に高いわ
けなので、非常に重要だと思う。ただ、そこで重要なのは、やはり年収の壁の引上げとセ
ットで取り組んでいかないと効果が出にくいというところなので、こういったところが重
要かと思う。
最後に、先ほど日本銀行の物価の見通しもあったが、来年度はインフレ率が2%を下回
る状況になってくると。一方で、今、実は、足下のボーナスを除く賃金の伸び率は2%ぐ
らいあるため、来年の春闘である程度いい形で妥結し、かつ経済対策がうまくいけば、私
は、来年度は実質賃金が安定的にプラスになる、そういった期待も持てるのではないかと
考えている。
(城内議員) それでは、経済対策については、本日のご議論と今後の与党との調整を踏
まえ、策定を目指してまいる。
プレスに入室いただく。
10
令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
(報道関係者入室)
(城内議員) 総理から締めくくり発言をお願いする。
(高市議長) 高市内閣になって最初の経済財政諮問会議を開催した。新たな民間議員の
皆様にも加わっていただいている。この内閣における経済財政運営の様々な課題について、
優れたご知見を生かして、議論をリードしていただきたいと思っている。
本日の会議では、私が示した総合経済対策の指示、先日の日本成長戦略会議で示された
重点施策、そして日本銀行の経済・物価情勢に関する「展望レポート」を基に、意見交換
を行った。
この内閣では、「未来への不安を希望に変える」取組として、まずは経済対策の策定を
進めている。
特に、第一の柱である「生活の安全保障・物価高への対応」として、地域のニーズにき
め細かく速やかに対応する重点支援地方交付金の「拡充」、これが鍵になる。
城内大臣におかれては、取りまとめ役として尽力願う。また、片山財務大臣も協力をお
願いする。また、交付金は地方公共団体で執行されるので、林総務大臣におかれては、迅
速で円滑な執行への支援をお願いする。
次に、第二の柱である「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」についても、
これは日本成長戦略会議とこの会議、連携をよろしくお願いする。
本日は、民間議員の皆様からは、経済対策は、景気回復を実感できるものにするととも
に、官民連携によるダイナミックな経済財政運営により「強い経済」の実現に向けた重要
な第一歩となる政策実行とすべき。その際、経済や物価への影響試算を示すことが重要。
また、インフレ局面に応じた財政健全化目標への変更が必要。また、成長投資を行う中で、
財政の持続可能性の確保、市場の信認を維持し続けることが重要。そのためにも、政策の
正しいコミュニケーションが必要。また、人、カネ、事業を流動化させ、イノベーション
が持続的に起こり続ける土壌を作ることが重要。また、成長社会・経済にふさわしい社会
保障制度への再設計が必要であり、
「社会保障改革元年」として取り組むべき。などなど、
もっとあるのだが、たくさんのご意見を賜った。城内大臣におかれては、こうした貴重な
ご意見を踏まえ、今後の経済財政諮問会議でも議論を深めていくよう、お願いをする。
また、今後の「強い経済成長」と「安定的な物価上昇」の両立の実現に向けて、適切な
金融政策運営が行われることは非常に重要である。引き続き、日本銀行総裁におかれては、
この経済財政諮問会議において、定期的な報告をお願い申し上げる。
今後とも、政府・日銀が一体となって、国民経済の発展に向けて取り組んでまいる。
かなり大きなチャレンジになる、大転換になっていく、そういう時期だと思う。民間議
員の皆様におかれては、かなり今日もとんがったご意見をいただいたが、思い切って日本
経済を強くしてまいりましょう。そして、やはり将来に向けての責任を果たしてまいりま
しょう。どうかこれからもよろしくお願い申し上げる。
(城内議員) プレスはご退出をお願いする。
(報道関係者退室)
(城内議員)
以上をもって本日の会議を終了する。
(以
上)
11
令和 7 年第 12 回経済財政諮問会議
資料1
経済財政諮問会議(令和7年第12回)議事次第
令和7年11月12日(水)
18時15分~19時00分
総理大臣官邸4階大会議室
1. 開 会
2. 議 事
(1)
(2)
経済対策
マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)
3. 閉 会
(資料)
資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
資料6
資料7
総合経済対策の策定について(内閣総理大臣指示)
(令和7年 10 月 21 日(火))
総合経済対策に盛り込むべき重点施策(日本成長戦略会議)
植田議員提出資料
筒井議員提出資料
永濱議員提出資料
南場議員提出資料
若田部議員提出資料
資料2
総合経済対策の策定について(内閣総理大臣指示)
(令和7年 10 月 21 日)
資料1
一
日本は今、少子化、物価高、国際情勢の緊迫、そして地方の衰退などの大きな岐路に立っています。日本経済は
緩やかに回復していますが、潜在成長力は伸び悩み、米国関税措置に関する日米協議は合意に至ったものの世界経
済には不透明感があります。こうした中、食料品を中心とした物価高が当面の景気下押しリスクとなっています。
「未来への不安を希望に変える」ため、まずは、今の国民の暮らしを守る物価高対策を早急に講じるとともに、日
本経済の強さを取り戻すための経済政策を作り上げていきます。
二
こうした基本的な考え方のもと、物価高から暮らしと職場を守ること、大胆な危機管理投資と成長投資で暮らし
の安全・安心の確保と強い経済を実現すること、そして防衛力と外交力の強化で日本の平和を守ること、といった
重要課題に速やかに対応することを目的として、
「総合経済対策」を策定します。
三
経済対策の柱は、第一に、生活の安全保障・物価高への対応です。
① 足元の物価高に対しては、重点支援地方交付金により、地域のニーズにきめ細かく対応します。厳冬期の電気・
ガス代を支援します。国・自治体と民間の請負契約単価を物価上昇等を踏まえて適切に見直します。当分の間税
率の廃止に向けた政党間協議を進め、制度実施までは燃料油激変緩和補助金の基金残高を活用します。給付付き
税額控除の検討に着手します。
② 地方の伸び代を活かし、地方の暮らしの安定を図ります。医療・介護等について、職員の方々の処遇を改善す
るとともに、経営改善支援を行います。地域交通、小売りをはじめとする地域の基幹産業の活性化を図ります。
地方発の世界をリードする技術・ビジネスの創出を進めます。国民一人一人が生きがいや役割を持つ包括的な地
域共生社会を実現します。外国人問題への対応、治安対策、公教育再生や政党間合意を踏まえた教育無償化への
対応も進めます。
③ 中小企業・小規模事業者をはじめとする賃上げ環境の整備も進めます。三の①に記載の重点支援地方交付金を
活用します。価格転嫁対策の徹底、中小企業等の稼ぐ力の強化や省力化投資の支援を行います。
四
第二の柱は、危機管理投資・成長投資による強い経済の実現です。官民が連携した積極的な投資により、我が国
の課題を解決し、先端産業を開花させていくことで、日本経済の強い成長の実現を目指します。
① 経済安全保障の強化のため、AI、半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙など、戦略分野の官民連携投資
と重要物資のサプライチェーンの強化を進めます。サイバーセキュリティ対策を強化します。
② 食料安全保障の確立に向けて、農林水産業の構造転換を図るとともに、農林水産物・食品の輸出拡大を図りま
す。
③ エネルギー・資源安全保障の強化のため、原子力については、安全性の確認を前提とした原子炉の再稼働を進
めるとともに、原子力防災等にも取り組みます。資源開発、省エネ・再エネ、GXも進めます。
④ 事前防災や道路関連インフラの保全をはじめ、防災・減災・国土強靱化にも取り組みます。
⑤ 先端科学技術、スタートアップ・コンテンツ、健康医療、人への投資など、未来に向けた投資を拡大させてい
きます。
五
第三の柱は、防衛力と外交力の強化です。
① 外交・安全保障環境の変化に対応するため、防衛力整備に引き続き取り組みます。自衛隊員の処遇改善、多角
的な経済外交の展開などにも取り組みます。
② 米国関税措置への対応として、合意内容を誠実かつ速やかに実行していくため、日米戦略的投資イニシアティ
ブに必要な措置を講じます。事業者の状況やニーズに応じた多様な支援を行えるよう、中小企業向けの資金繰り
支援等により、国内経済・産業への影響緩和に万全を期します。
六
以上三つの柱に沿って、経済財政政策担当大臣を中心に、与党と十分連携して具体的な検討を行い、党派を超え
た議論も踏まえて、経済対策を取りまとめてください。経済対策を決定した上で、補正予算を提出いたします。取
りまとめに当たっては、課題の性質に応じて、規制・制度改革や財政投融資の手法なども積極的に活用してくださ
い。財政措置を伴うものについては、財務大臣と十分に内容を協議してください。
七
閣僚各位におかれましては、国民の皆様の声を聞き、施策の具体化に取り組んでいただくよう、よろしくお願い
申し上げます。
資料3
資料2
総合経済対策に盛り込むべき重点施策
政府においては、現在、内閣総理大臣からの指示に基づき、第一に、生活の安全保障・物
価高への対応、第二に、危機管理投資・成長投資による強い経済の実現、第三に、防衛力と
外交力の強化という三つの重要課題に速やかに対応することを目的として、総合経済対策の
策定作業を進めている。
こうした中、本会議において今後検討を進める、危機管理投資・成長投資や中小企業・小規
模事業者をはじめとする賃上げ環境の整備とともに、米国関税措置への対応を含め、成長戦
略に関連する施策として総合経済対策に盛り込み、直ちに着手すべき重点施策について、以
下のとおり取りまとめる。
1.戦略分野の総合対策等の策定に向けた基本方針
経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、健康医療安全保障、国土強靱化等
の観点から、様々なリスクや社会課題の解決に向けて、官民手を携えて先手を打った戦略的
な投資を行うことで先端技術を開花させ、それを社会実装することができれば、我が国のみな
らず、世界共通の課題解決に貢献するとともに日本経済の新たな成長のエンジンを獲得する
こととなる。
AI・半導体、造船、量子等の戦略分野において、リスクや社会課題に対し、先手を打って供
給力を抜本的に強化するため、官民連携の戦略的投資を促進し、世界共通の課題解決に資
する製品、サービス及びインフラを提供することにより、更なる我が国経済の成長を実現する。
戦略分野の各担当大臣は、供給サイドに直接働きかける措置のみならず、戦略的投資促進
に繋がる規制改革等の需要サイドからの政策支援を含む、政府による多角的・戦略的な供給
力強化策を取りまとめる。関係大臣は、これに協力して取り組む。
取りまとめに当たっては、以下の諸点を踏まえることが必要。
(1)複数年度にわたる予算措置のコミットメントや税制など、投資の予見可能性向上に繋がる
供給力強化策を検討すること。
措置の具体化に当たっては、研究開発、事業化、事業拡大、販路開拓・海外展開とい
った事業フェーズに応じ、次のような多角的な観点からの支援策とともに、それらを実現
するために必要な既存の制度の見直し等も積極的に盛り込むこと。
① 大学、国研等の研究開発予算の戦略的配分
② スタートアップからの新たな技術提案を取り込むための踏み込んだ措置
③ 防衛調達をはじめとする官公庁による調達や規制・規格の導入など、新たな需要
創出・拡大策
④ 日本発の優れた技術の国際展開の土台として機能する国際標準化戦略
⑤ 海外市場開拓支援
1
(2)予見性向上の措置を踏まえた、投資内容・時期・目標額等を含めた官民投資ロードマップ
を盛り込むこと。
(3)戦略的投資により、成長率など国富拡大に与えるインパクトについても定量的な見込みを
示すこと。
また、技術、人材育成、スタートアップ、金融など、分野横断的な課題についても、各担当大
臣は、それぞれ解消策を策定する。
こうした検討作業の成果を、来夏の成長戦略としてとりまとめる。
2.総合経済対策について
日本経済の供給構造を強化し、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、
税率を上げずとも税収を増加させることを目指す。その好循環の実現に向け、足元の物価高
への対応や米国関税対策に万全を期すことは勿論であるが、「危機管理投資・成長投資」によ
る強い経済を実現することが重要となる。
このため、民間企業による投資を引き出すべく、複数年度の予算措置を宣言すること、投資
促進に繋がる税制措置の方向性を示すことを含め、投資の予見可能性を高めるための施策を
総動員する。特に、AI・半導体に続き、造船、量子、重要鉱物など経済安全保障上重要な分野
における危機管理投資に関し、新たな財源確保の枠組みについて検討に着手する。
本会議では、17 の戦略分野の危機管理投資・成長投資に関して、①政府による供給力強化
策、②官民投資ロードマップ、③国富拡大に与えるインパクトの定量的見込み、更には横断的
課題の解決策を来夏の成長戦略のとりまとめに向けた検討に着手したところであるが、今般の
総合経済対策には、それらの結果を待たず直ちに実行すべき以下の重点施策を盛り込むべき
である。
(1)「危機管理投資・成長投資」による力強い経済成長の実現
(1―1)戦略分野
① AI・半導体
・
・
1
AI 法 1に基づき、年内に、AI 基本計画を策定し、AI に関するイノベーションの促進とリスク
対応の両立を推進。
AI for Science の戦略方針を年度内に策定し、取組を加速。AI の信頼性評価基盤を構築し、
日本の文化・習慣を踏まえた信頼できる AI の開発を推進。生成 AI の開発と実装を一体的
に支援。日本が強みを持つ産業と AI を融合した多様なサービスの創出を支援。AI ロボティ
人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(2025 年9月施行)
2
クス戦略を年度内に策定するとともに、それに先行して AI ロボティクスの開発・実証を促進。
AI セーフティ・インスティテュートを強化。
・ 政府による活用を AI の社会実装の起点とするため、行政現場でのガバメント AI の実装に
向けた検証を実施。
・ 国内の半導体産業の競争力強化のため、先端・次世代半導体の設計・製造に関する技術
開発等を支援。
②造 船
・ 造船業の自律性と優位性を確保するため、「造船再生ロードマップ(仮称)」を策定。生産能
力拡大のための大規模投資を、大胆に支援。
・ 船体のサプライチェーン強靱化のため、経済安保推進法 2の特定重要物資として指定する
とともに、生産基盤強化・研究開発を支援。
③量 子
・ 量子エコシステム構築に向けた推進方策 3に基づき、量子コンピュータ、量子暗号通信、量
子センシングの研究開発を加速。
・ 量子技術イノベーション拠点(QIH)間の共同プロジェクトの実施や、産業技術総合研究所
の量子・AI 融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)や量子科学技術研
究開発機構(QST)、情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所の施設・テストベッドの整備
を通じて拠点機能を強化し、国産量子コンピュータの開発、量子技術のユースケ-スの創
出、社会実装及び人材育成を加速。
④ 合成生物学・バイオ
・ バイオ技術を活用した再生医療等製品の製造に必要な自動培養装置等の設備導入や人
材育成を促進。
⑤ 航空・宇宙
・ 無人航空機、人工衛星、ロケット部品のサプライチェーン強靱化のため、経済安保推進法
の特定重要物資として指定するとともに、生産基盤強化・研究開発を支援。
・ 拡大する航空機需要や 2050 年カーボンニュートラル達成を見据え、次期航空機・低燃費エ
ンジンの開発を促進。
・ 官民連携による実証や投資の加速、国際競争力につながる技術の獲得・活用、産業の集
積等を促進するため、宇宙戦略基金が速やかに1兆円規模となることを目指す。
・ 日本人の月面着陸などアルテミス計画を推進し、有人与圧月面探査車の開発等を実施。
準天頂衛星の 11 機体制に向けた開発を実施。官民のロケット開発支援や打上高頻度化、
射場整備、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の技術基盤強化に向けた取組を推進。自律性
確保に向け、低軌道通信衛星のコンステレーション、情報収集衛星及び次期気象衛星を整
備。
2
3
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(2022 年8月施行)
2025 年5月、量子技術イノベーション会議より報告。
3
⑥ デジタル・サイバーセキュリティ
・
・
サイバー攻撃に関して高度な対処能力を有する人材の育成など、産業界におけるサイバ
ーセキュリティ対策を強化。
インターネット上の偽・誤情報の流通・拡散に対応するため、対策技術の開発・実証を推進。
⑦ コンテンツ
・ デジタル関連産業のグローバル化促進のための施策 4に基づき、我が国のコンテンツの競
争力を高め収益を拡大するため、日本発コンテンツの国際流通機能の強化、大規模コンテ
ンツの創出、ロケ誘致を支援するとともに、海賊版対策を推進。
・ 世界市場で高く評価される我が国のマンガ等コンテンツについて、次世代のデジタル配信
プラットフォームの構築に向けたコンソーシアムの創出、翻訳等の人材育成、クリエイター
への適切な対価還元など、更なる海外発信に向けた環境整備を推進。
⑧ フードテック
・ 農地の大区画化、共同利用施設の再編・集約化、スマート農業技術・新品種の開発・導入、
輸出産地の育成など、農業構造転換を集中的に推進。
・ 先端技術を活用した完全閉鎖型植物工場や陸上養殖施設等への投資を促進。
・ 食品製造業や飲食業等の課題を解決する新技術であるフードテックを活用した新たな商
品・サービスの創出やビジネス展開、事業規模拡大を促進。
・ AI、ロボット等を活用したスマート技術の開発・導入など、スマート農林水産業の展開を加
速。
⑨ 資源・エネルギー安全保障・GX
・ 安全性確保を大前提とした原子力発電所の再稼働を進めるとともに、次世代革新炉の早
期の社会実装を目指す。原子力関係閣僚会議 5の方針を踏まえ、避難路整備等の原子力
防災対策を推進。
・ 地域共生の対応策を強化しつつ、風力、地熱等の再エネ導入を促進。地方公共団体や民
間企業の再エネ導入等の脱炭素化の取組に対する支援を強化。
・ ペロブスカイト太陽電池の研究開発や国内外の市場への本格的な展開を促進するとともに、
信頼性評価に関する国際標準策定に向け、その基盤となる認証試験設備を整備。
・ 使用済太陽光パネルの最終処分量の減量のため、パネルのリユース・リサイクルに係る制
度を検討するとともに、技術実証・設備導入を支援。
・ 変動電源の調整力確保やレジリエンス向上のため、セキュリティが確保された蓄電池導入
を支援。
・ 電力の安定供給確保に向け、大規模電源や地域間連系線、地内基幹系統の整備を促進
するための制度的措置を検討。
・ 工場、事業所、住宅等の省エネ化、建物の断熱性向上、省エネ設備の導入等を支援。自動
車の電動化を推進。
4
5
2025 年9月、「デジタル関連産業のグローバル化促進のための関係閣僚会議」において決定。
2025 年8月、第 13 回原子力関係閣僚会議開催。
4
・ 南鳥島周辺海域でのレアアース生産の開発実証を加速。海外の上流権益確保・供給源多
角化を推進。
・ 規制改革と一体で、GX 戦略地域として、コンビナートの再生、データセンターの集積、脱炭
素電源を活用した投資を促進し、新たな産業クラスターを創出。
⑩ 防災・国土強靱化
・ 第1次国土強靱化実施中期計画 6に基づく取組を着実に推進。
・ 事故発生時に社会的影響が大きい上下水道管路の更新等を推進。
・ インフラ老朽化に起因する重大な事故を防ぎ、ライフサイクルコストの低減や持続可能な維
持管理を実現するため、橋梁、トンネル等の老朽化対策を推進。集中豪雨による市街地の
道路地下構造物の浸水・冠水に備え、道路インフラの局所対策を推進。
・ 南海トラフ地震等大規模災害の発生を想定し、2026 年1月からの船舶活用医療提供体制
の運用開始を踏まえ、必要な資器材等の分散備蓄等を推進。大規模災害発生時における
分野横断的な影響を考慮した災害リスク評価を実施。
⑪ 創薬・先端医療
・ 医療 DX の推進や医療機関へのサイバー攻撃を踏まえ、基幹インフラ制度に医療分野を追
加する、経済安保推進法の改正を検討。
・ 継続的に創薬スタートアップから革新的新薬を生み出す創薬基盤・インフラの強化を支援。
・ 再生・細胞医療・遺伝子治療の研究開発を促進するとともに、それらの生産拠点として、
CDMO 7の設備投資を支援。革新的がん医療、ゲノム医療等の先端医療や、感染症有事に
備えた治療薬・診断薬の研究開発を支援。
・ 創薬プラットフォーム構築を含め、医療研究開発への AI の利活用を推進。
・ 後発医薬品の品目統合や事業再編等に向けて生産性向上に取り組む企業の設備投資を
支援。
・ 人工呼吸器のサプライチェーン強靱化のため、経済安保推進法の特定重要物資として指
定するとともに、生産基盤強化を支援。
・ 攻めの予防医療を通じた健康増進を実現するため、エビデンスに基づくヘルスケアサービ
スの開発を支援。
⑫ フュージョンエネルギー
・ フュージョンエネルギー・イノベーション戦略 8に基づき、2030 年代のフュージョンエネルギー
発電実証を目指し、スタートアップ等における様々な炉型による研究開発を支援するととも
に、スタートアップへの供用も可能な施設・設備の整備を通じ、研究開発を促進。
・ ITER 9計画及び BA 10活動を推進し、その成果を国内に還元。
6
2025 年6月、閣議決定。
受託開発・製造事業者(Contract Development and Manufacturing Organization)
8
2025 年6月、統合イノベーション戦略推進会議において改定。
9
国際熱核融合実験炉(International Thermonuclear Experimental Reactor)
10
幅広いアプローチ(Broader Approach)
7
5
⑬ マテリアル(重要鉱物・部素材)
・ 重要鉱物の確保に向けて、経済安保推進法の特定重要物資として既に指定されている重
要鉱物の範囲を拡大。永久磁石について、生産能力の増強及び省レアアース磁石の研究
開発への支援を強化。
・ レアメタル鉱山開発・精錬への出資・助成支援や国家備蓄を強化。南鳥島周辺海域でのレ
アアース生産の開発実証を加速。
・ 磁気センサーのサプライチェーン強靱化のため、経済安保推進法の特定重要物資として指
定するとともに、生産基盤強化・研究開発を支援。
・ レアメタル・プラスチック等の国内外の資源循環を促進するため、再生材の供給サプライチ
ェーンの強靱化・製造拠点の構築への支援や、同志国との国際連携を強化。
・ マテリアル革新力強化戦略 11に基づき、AI for Materials を推進。
⑭ 港湾ロジスティクス
・ 港湾ターミナルオペレーションシステムにおけるサイバー攻撃への対処能力向上を通じ、港
湾のサイバーセキュリティ対策を強化。
・ サイバーポートを活用した港湾関連手続の電子化や「ヒトを支援する AI ターミナル」の取組
を推進。
⑮ 防衛産業
・ 地域の関係機関と連携した、デュアルユースに係る開発・生産の強化に資する事業環境の
改善や、米国、英国、NATO、EU 等の同盟国・同志国との防衛産業サプライチェーンにおけ
る協力の推進など、防衛産業を更に強化するための施策について検討し、具体化。
⑯ 情報通信
・ AI 社会を支える光電融合技術によるオール光ネットワークを中核とした次世代情報通信基
盤の社会実装・海外展開に向け、研究開発を推進。
・ デジタルインフラを強靱化するため、データセンターや国際海底ケーブルの地方分散を促
進。
・ 海底ケーブルの敷設役務など、重要な物資の供給に不可欠な役務への支援を追加する、
経済安保推進法の改正を検討。
⑰ 海洋
・ 海洋開発等重点戦略 12に基づき、自律型無人探査機(AUV)の社会実装に向けた実証、北
極域研究船「みらいⅡ」の建造、南鳥島周辺海域でのレアアース生産の開発実証等を加速。
11
12
2025 年6月、統合イノベーション戦略推進会議において決定。
2024 年4月、総合海洋政策本部会合において決定。
6
(1―2)分野横断的課題
① 新技術立国・競争力強化
・ サプライチェーンの強靱化、基幹インフラ役務の安定提供の確保、総合的なシンクタンク機
能の構築、重要な海外事業の促進など、経済安保推進法の改正を検討。
・ 同盟国・同志国との国家間合意に基づく国の研究機関の間の共同研究の推進を含め、経
済安全保障上の重要技術の研究開発を支援。
・ 科研費について、若手研究者の研究時間確保に向けた運用改善を行うとともに、国際的研
究への支援を強化。
・ 若手研究者による創発的研究への支援を強化。先端研究設備・機器や先端大型研究施設
の整備・共用・高度化を推進。
・ 国家としての戦略技術分野や地方大学が強みを有する研究分野において、産学連携によ
る人材育成や、共同研究の拠点形成を促進するとともに、このための制度的措置や研究開
発税制の強化を検討。
・ 国際連携・共同研究や海外研究機関からの優れた研究者の呼び込みを通じて、国際頭脳
循環を活性化。
・ 中長期の企業価値向上を後押しするため、「成長投資促進ガイダンス(仮称)」を策定。関
連法令・ルールを整備するとともに、設備投資・研究開発及びそれらを支える資金調達の
多様化を促進。
・ 大胆な設備投資の促進に向けた税制を創設し、国内における高付加価値化型の設備投資
を促進することを検討。
・ AI・半導体に続き、造船、量子、重要鉱物など経済安全保障上重要な分野における危機管
理投資に関し、新たな財源確保の枠組みについて検討に着手。
② 人材育成
・ 全国各地において、人材育成の在り方を協議する場(地方公共団体、大学、経済界等で構
成)を設置。
・ 未来成長分野に挑戦する人材育成のための大学改革、高専等の職業教育充実。
・ 高校から大学までを通じた産業イノベーション人材を育成するためのシステム改革を一体
的に推進。
③ スタートアップ
・ 世界に伍するスタートアップ・エコシステムを作り、日本経済の成長をけん引する大規模ス
タートアップを輩出するため、M&A の活性化や国内外からの投資促進等により、成長資金
の供給を強化。
・ 官民による戦略分野の危機管理投資等も担うディープテック・スタートアップについて、研究
開発・事業化の支援を強化。政府や企業による調達を拡大。
・ 大学発・高専発スタートアップや起業家人材の育成を強化。
・ グローバル・スタートアップ・キャンパス構想を推進し、イノベーション・エコシステムのハブ
の構築を目指す。拠点施設の整備、運営法人の設立に向け、必要な法制上の措置を具体
化。
7
④ 金融を通じた潜在力の解放
・ 「地域金融力強化プラン」を年内に策定。
・ 資産運用立国に向けた貯蓄から投資への取組の成果を活かし、その実現に向け、金融を
通じて、資金・人材・知恵を企業や地域に集結させ、それらの価値向上を目指すため、2026
年夏までに、「地域金融力強化プラン」も包含した戦略を策定。
・ 2026 年3月期の有価証券報告書から、人的資本に関する情報開示を充実することを検討。
2026 年夏を目途に、コーポレートガバナンス・コードを改訂し、改革の実質化を目指す。
・ 家計の安定的な資産形成に向け、金融経済教育や NISA の更なる充実を検討。
⑤ 労働市場改革
・ 処遇改善、成長分野への労働移動又は人手不足分野での人材確保を進めるため、足元・
将来のスキル需要や支援策の実績・成果の検証を行い、支援策見直しや重点化を検討。
処遇改善等に有効な支援策について、KPI の設定、事後検証を行った上で、定期的な見直
しを行うことを検討。
・ 教育訓練給付について、民間団体等が実施する検定に係る講座指定を拡大するため、制
度の周知や指定のプロセス等を検討。人材開発支援助成金について、事業主にとって利
用しやすいものとなるよう、申請項目や添付書類の削減等の効率化を検討。
・ 各種支援策に関する情報の連携・一体化を進め、包括的で利便性の高いポータルサイトの
構築に向けて検討。その際、本人の状況やニーズに沿った形で支援メニューが推奨される
AI 機能の整備や申請手続きのデジタル化も併せて検討。
・ 非正規雇用労働者が働きながら学び、正社員就職等のキャリアアップを目指せるよう、オン
ラインによる職業訓練を全国展開。
・ 働き方改革関連法施行後5年の総点検として、業種・規模毎の状況、労使のニーズ等につ
いて、実態把握を実施。調査結果を踏まえ、心身の健康維持と従業者の選択を前提に、労
働時間法制に係る政策対応の在り方を多角的に検討。
⑥ 介護・育児等の外部化など負担軽減
・ 育児・子供の不登校等が原因となる離職を減らすため、家事支援サービスやベビーシッタ
ーの利用促進に取り組む。
・ 関係省庁が一体となって、事業者・団体との連携の下、それらのサービスの普及広報や実
態・ニーズの調査を行うとともに、2026 年夏を目途として、サービスの品質・信頼性の向上
や人材の育成・確保に向けたリ・スキリングや関連する公的資格の在り方、利用拡大に向
けた税制措置を含む支援策等について、総合的に検討。
⑦賃上げ環境整備
・ 2026 年の春季労使交渉に向けた、政労使の意見交換の開催。賃上げ促進税制の活用に
よる賃上げモメンタムの維持・向上。
・ 官公需における物価上昇等を踏まえた単価の見直し。
・ 低入札価格調査制度について、国は適切な運用を徹底するとともに、工事以外の請負契
約にも導入を拡大。地方公共団体においても、低入札価格調査制度及び最低制限価格制
度の導入を拡大。
8
・ 中小企業・小規模事業者の業務改善・設備投資に対する支援を強化。人手不足が深刻な
12 業種を中心に、省力化投資促進プラン 13に基づき、支援策を充実するとともに、施策の
周知広報、優良事例の横展開、サポート体制の整備を推進。
・ 全都道府県への「生産性向上支援センター(仮称)」の設置、商工会・商工会議所による専
門家派遣、複数の支援機関が連携する伴走支援モデル創出など、プッシュ型伴走支援体
制の強化。
・ 次期報酬改定に先行する、医療・介護施設等の経営改善や職員の処遇改善を支援。
・ 重点支援地方交付金を拡充し、中央最低賃金審議会の目安を超える最低賃金の引上げ
が行われた場合の生産性向上等を図るための特別な対応を含め、地方公共団体による、
賃上げを行う中小企業・小規模事業者に対する地域の実情に合った支援を後押し。
・ 価格転嫁・取引適正化を徹底。中小受託取引適正化法 14の周知広報及び執行体制を強化。
「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針 15」を改正。
・ 『稼ぐ力』強化と賃上げの好循環の実現に向けて、事業承継・M&A の支援強化を含め、「強
い中小企業」への行動変容に向けた「労働供給制約社会の中堅・中小企業の『稼ぐ力』強
化戦略(仮称)」の検討に着手。
⑧サイバーセキュリティ
・
・
サイバー対処能力強化法 16・経済安保推進法により、基幹インフラ役務の安定提供を確保。
政府機関等において、サイバー攻撃に関して高度な対処能力を有する人材を育成。サイ
バー対処能力強化法を踏まえ、サイバー脅威に対する的確な対応のための体制整備を推
進。
(2)他の本部と連携して進める課題
・ 日米間の関税合意に基づく投資イニシアティブの着実な履行に向け、国際協力銀行(JBIC)
及び日本貿易保険(NEXI)の財務基盤を強化。
・ 米国関税措置の影響を受ける事業者の資金繰り、事業多角化、グローバルサウス等の地
域での新市場開拓やサプライチェーン強靱化を支援。
・ 地域未来戦略の検討と連携し、地域経済を牽引する中堅企業や「売上高 100 億宣言企業」
による投資を促進。
・ 地方に投資を呼び込み、成長分野の産業クラスターを形成するため、関係法令改正による
対応の検討を含め、産業用地の利活用及び計画的な整備を促進。
・ 生活の維持に必要不可欠なサービスを供給する事業の継続や新事業によるサービスの供
給を後押しする制度的枠組みを検討。
・ 「交通空白」解消に向け、特に、デマンド交通や公共ライドシェアの導入、地方公共団体や
事業者による共同化・協業化を通じた輸送資源の最大活用、地域交通 DX、自動運転の事
業化を促進。
13
「経済財政運営と改革の基本方針 2025」(2025 年6月閣議決定)等において策定。
製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(2026 年1月施行)
15
2023 年 11 月策定。
16
重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律(2025 年7月施行)
14
9
資料4
資料3
植田議員提出資料
令和7年11月12日
経済・物価の見通し
展望レポート(2025年10月)
経済の見通し
⚫ 各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、成長ペースは伸び悩むと考えられる。その
後は、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。
物価の見通し
⚫ 消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、
来年度前半にかけて、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。
⚫ 消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペースの影響などを受けて伸び悩むことが見込まれる。
⚫ その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、両者はともに徐々に高まっていき、見通し
期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。
政策委員見通しの中央値
(対前年度比、%、括弧内は7月からの変化)
2025年度
実質GDP
2026年度
(対前年度比、%、括弧内は7月からの変化)
2027年度
0.7
0.7
1.0
(+0.1)
( ― )
( ― )
2025年度
消費者物価
(除く生鮮食品)
2026年度
2027年度
2.7
1.8
2.0
( ― )
( ― )
( ― )
1
先行きの金融政策運営方針
展望レポート(2025年10月)
• 金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にある
ことを踏まえると、以上のような経済・物価の見通しが実現していく
とすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き
上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。
• そのうえで、こうした見通しが実現していくかについては、各国の通
商政策等の影響を巡る不確実性がなお高い状況が続いていることを踏
まえ、内外の経済・物価情勢や金融市場の動向等を丁寧に確認し、予
断を持たずに判断していくことが重要と考えている。
• 日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定
的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融
政策を運営していく。
2
(参考1)企業収益・労働需給
雇用人員判断DI
企業収益
18
(「過剰」-「不足」、%ポイント、逆目盛)
(季節調整済、兆円)
-50
16
製造業
-40
大企業
14
不足
-30
非製造業
中堅・中小企業
12
-20
10
-10
8
0
6
10
4
20
2
30
0
過剰
40
11 年
13
15
17
19
21
23
25
90 年
95
00
05
10
15
20
25
(注)1.左図は、経常利益(法人季報ベース)。金融業、保険業、純粋持株会社を除く。
2.右図は、短観ベース。2003/12月調査には、調査の枠組み見直しによる不連続が生じている。
(出所)財務省、日本銀行
3
(参考2)賃金・物価
雇用者所得
消費者物価
(前年比、%)
8
5
(前年比、%)
エネルギー
米類
名目賃金
4
その他食料品
雇用者数
6
財(除く食料品)
名目雇用者所得
3
4
サービス
25/9月
+3.0%
CPI(除く生鮮食品)
+2.9%
CPI(除く生鮮食品・
エネルギー)
2
2
1
0
0
-2
-1
-4
-2
19 年
20
21
22
23
24
25
19 年
20
21
22
23
24
25
(注)左図の各四半期は、1Q:3~5月、2Q:6~8月、3Q:9~11月、4Q:12~2月。雇用者所得=名目賃金(毎月勤労統計)×雇用者数(労働力調査)。毎月勤労統計は、共通事業所ベース。
2025/3Qは9月の値。
(資料)厚生労働省、総務省
4
資料5
資料4
今後の経済財政運営の課題
2025 年 11 月 12 日
筒井 義信
1.経済対策について
高市内閣の掲げる「強い経済」の実現に向けた重要な第一歩
物価高対応を最優先にしつつ、「強い経済」の実現、好循環を確固たるもの
とするため、官民連携による戦略分野への積極的な投資にも着手
→高付加価値を生み出す経済・産業構造への変革に取り組む
2.来年度予算編成に向けて
(1)官民連携によるダイナミックな経済財政運営
・政府
予算の単年度主義の弊害を是正し、本予算で重点分野での中長期の計画に
基づいた戦略的かつ効果的な投資を実行
民間企業の予見可能性を高め、官民連携による国内での成長投資を拡大
たとえば、科研費倍増等による科学技術・イノベーション力の抜本強化
グリーントランスフォーメーション(GX)の推進
・民間
経営者自らのマインドセットを変え、
国内での設備投資・研究開発投資・人的投資を拡充する必要
(2)社会保障制度改革の着実な実行
公正・公平で持続可能な全世代型社会保障を構築
現役世代の保険料負担増の抑制を図りながら、応能負担の徹底
効率的で質の高い医療・介護の提供体制の実現
たとえば、医療・介護保険制度改革、医療・介護分野でのDX推進
次期診療報酬改定でのメリハリづけ
3.責任ある積極財政に向けて
今後、成長投資を行う中で、財政の持続可能性の確保、市場の信認を維持し
続けることが最も重要
債務残高対GDP比を安定的に引き下げ、成長投資の実行に即した複数年度
でのバランスの確保を主としつつ、複眼的な視点を持ち、中長期的な財政健全
化をめざす
また、PDCAに基づくワイズスペンディングの徹底も必要
以 上
重要政策課題
2025 年 11 月 10 日
日本経済団体連合会会長
筒井 義信
わ が 国 の 持 続 的 な 成 長 を 実 現 す る た め に は 、2040 年 に 向 け て 「 科 学
技術立国」
「 貿 易・投 資 立 国 」の 確 立 に 資 す る 取 組 み を 進 め る と と も に 、
レジリエントな経済社会を構築し、潜在成長力の強化を図ることが重
要である。
高 市 内 閣 に は 、官 民 連 携 の 下 、
「 危 機 管 理 投 資 」と「 成 長 投 資 」に よ
る 「 強 い 経 済 」を 実 現 し 、
「 新 技 術 立 国 」等 の 推 進 を 通 じ て 、重 要 政 策
課題の解決を図っていただきたい。
経済界としても、わが国経済を力強くけん引するフロントランナー
として、持続的な成長を志向する経営に取り組み、将来世代への責任
を果たしてまいりたい。
記
1 .絶 え 間 な い イ ノ ベ ー シ ョ ン の 創 出 を 通 じ た「 科 学 技 術 立 国 」
の実現
A I ・半 導 体 、ロ ボ ッ ト 、量 子 、核 融 合 、通 信 、バ イ オ 、宇 宙 、エ
ン タ メ・コ ン テ ン ツ 等 の 成 長 分 野 へ の 国 内 投 資 拡 大 に よ る 産 業 競 争
力の強化
官 民 デ ー タ 連 携・利 活 用 を 含 む 社 会 全 体 の D X( デ ジ タ ル ト ラ ン ス
フ ォ ー メ ー シ ョ ン )の 推 進 、ス タ ー ト ア ッ プ 育 成 5 か 年 計 画 の 完 遂
科研費倍増等による研究力の抜本強化等科学技術立国実現に資す
る取組みの推進
国内設備投資、研究開発投資を強力に後押しする大胆な税制措置
高度専門人材の育成・活躍促進
2.税・財政・社会保障の一体改革の推進
官民連携によるダイナミックな経済財政運営の推進
分厚い中間層を形成し、少子化に歯止め
国 民 会 議 に お け る 、給 付 と 負 担 の あ り 方 を 含 め た 税・財 政・社 会 保
障の一体改革
公正・公平で持続可能な全世代型社会保障の構築
1
3.地域経済社会の活性化
「新たな道州圏域構想」の実現
防災・減災・被災時の対策を含む国土強靭化の推進
エビデンスに基づいた外国人政策の立案・推進
生産性向上と食料安全保障に資する農政改革の断行
4.労働改革
「 人 へ の 投 資 」と し て 賃 金 引 上 げ の 力 強 い モ メ ン タ ム の「 さ ら な る
定 着 」に 向 け た 環 境 整 備( 価 格 転 嫁 を 通 じ た 取 引 適 正 化 の 推 進 な ど )
労働移動の積極的な推進に資する制度整備と支援策の拡充
健 康 へ の 十 分 な 配 慮 を 前 提 と し た 、柔 軟 で 自 律 的 な 働 き 方 を 可 能 と
する労働時間法制への見直し(裁量労働制の拡充)
女性活躍の推進をはじめ、多様な人材の活躍を促進する制度整備
5.自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化
ルールに基づく自由で公正な貿易投資環境の実現
官民連携を通じた経済安全保障の確保
グローバルサウスとの連携強化
日米関税合意の着実な履行ならびに必要な対策の迅速な実行
6.安価で安定的なクリーンエネルギー供給の確保とGX(グリーン
トランスフォーメーション)の推進
「 第 7 次 エ ネ ル ギ ー 基 本 計 画 」、「 G X 2040 ビ ジ ョ ン 」 等 の 具 体 化
と着実な実現
脱 炭 素 電 源 の 最 大 限 活 用 に 向 け た 原 子 力 発 電 所 の 再 稼 働 加 速 、次 世
代革新炉の早期実現、バックエンドプロセスの加速
アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の着実な推進
サーキュラー・エコノミー(CE)政策の推進
7.持続的な成長に向けたコーポレート・ガバナンス改革
経営の自律性を尊重したコーポレート・ガバナンス改革
企業の持続的な成長を支える会社法や金融商品取引法などの法整
備の推進
8 . 2 0 2 7 年 国 際 園 芸 博 覧 会 ( GREEN × EXPO 2027) の 成 功
総理のリーダーシップの下、政府全体での準備促進
生物多様性・自然資本保全と気候変動・資源循環との統合的取組
みの推進
以 上
2
資料6
資料5
令和 7 年第 12 回「経済財政諮問会議」提出資料
永濱利廣
1.マクロ経済政策運営について
〇検討を深めていくべきテーマ:財政健全化目標の再検討
・既存の PB 目標は、デフレ局面でも債務残高対 GDP 比を下げるための中間目標。
・インフレ下で「名目経済成長率>長期金利」となる局面では、PB 黒字化せずとも債
務残高対 GDP 比は低下。
・むしろ、その局面で PB 黒字化を固持すると、将来必要な財政支出が不足する恐れ。
インフレ局面に応じた財政健全化目標への変更が重要。
そうでないと「責任ある積極財政」形骸化の恐れ。
〇重点とすべきポイント:インフレ局面に応じた国際基準の視点
・一般的には、経済規模の拡大が反映される債務残高対 GDP 比の安定的低下が標準。
・ただ、会計的には金融資産も反映した純債務残高対 GDP 比が適当との見方も。
・また、純債務残高も政府部門や金融資産の範囲の違いで複数のデータが存在。
・純債務残高対 GDP 比を目標とするなら、中長期試算で政府資産の試算も必要。
・米国財務省では、(純)利払い費対 GDP も財政指標として注目。
・海外主流派経済学者や日本国債格付け担当者に対するヒアリングの必要性。
近年の海外における財政規律柔軟化を確認し、新たな財政健全化目標制定が必要。
名目経済成長率と長期金利の関係に基づき、財政運営を機動的に変更する仕組みも。
2.経済対策について留意すべきポイント
〇国民生活への直接効果を重視(GDP 押上効果では実感が湧かない)
・それぞれの政策がどのパスを通じて実質賃金の押し上げに貢献するかを明示
(例)
実質賃金=
実質労働生産性(危機管理・成長投資、防衛力強化)
×労働分配率(中小企業賃上げ補助金)
×交易条件(電気・ガス代支援、ガソリンつなぎ補助、地方交付金拡充)
×労働時間(年収の壁引き上げ、労働時間規制緩和)
〇規模の正当化
・7-9 月期 GDP 大幅マイナス、10 月景気動向指数の基調判断「悪化」の可能性。
・一般会計歳出額(昨年 13.9 兆円、一昨年 13.2 兆円)が前年上回らないと積極財政
期待低下の可能性。
・一方で、国債発行額(昨年 6.7 兆円、一昨年 8.9 兆円)を政府(純)債務残高対
GDP 比の低下が維持される範囲内に抑制できれば「責任ある積極財政」担保。
・その意味では、税収上振れ額や税外収入、社会保障や利払い費等の歳出不用額、前
年度剰余金、等の金額に加え、インフレに及ぼす影響試算も重要。
・内閣府中長期試算(25 年 8 月)における「国・地方の PB の変化要因」の中の「基
調的な税収増の想定」
(今年度 1.6 兆円、来年度 1.6 兆円)も恒久財源として使えるの
では。
資料7
資料6
令和7年第12回「経済財政諮問会議」提出資料
南場智子
1.経済対策について
● 過去30年間、日本経済が世界の中で競争力を失いつつあるのはイノベーショ
ンが起きていないから。人口減少が避けられない日本が競争力を維持・強化
するためには、イノベーションが持続的に起こり続ける土壌を日本に作らな
ければならない。土壌がないと重点分野に資金を投入しても1周回って終わり
になる。
● イノベーションが持続的に起こり続ける土壌とは、ヒト・カネ・事業の激し
い流動が前提。すなわち、企業の参入と退出、雇用の創出と破壊によるダイ
ナミズムが不可欠である。個人に対するセーフティーネットは提供しつつ、
守り過ぎないという視点も必要。
● そういったダイナミズムが日本は得意ではなかったが、国内でもスタートア
ップはヒト・カネ・事業の激しい流動を実現し絶え間ない変化への挑戦が行
われている。ただ、経済全体に影響を及ぼすほどの規模になっていない(GDP
に占めるスタートアップの企業価値の割合:日本1.7%、米国14.1%、英国13.
8%)。日本に世界有数のスタートアップエコシステムを形成することが急
務。そのためには、「スタートアップ育成5か年計画」の進捗を総点検し、モ
メンタムを再度強化する必要がある。具体的には;
○ 米国QSBS、英国SEIS水準のスタートアップ投資に対する税制優遇
■ 2025年上半期のスタートアップの資金調達総額:日本 0.3兆
円、米国 24.4兆円
■ シリーズ別の資金調達額(2024年の中央値)
日本
シード
米国
3800万円
4億6500万円
シリーズA
1億3000万円
18億0000万円
シリーズB
1億9300万円
40億5000万円
シリーズC
2億5000万円
65億2500万円
シリーズD以降
4億8000万円
136億5000万円
(米国のシードと日本のシリーズD以降がほぼ同額 → 日本は試合が小さい)
○ 海外資金の呼び込み
○ 大企業によるスタートアップからの調達、M&A、事業やシーズのスピン
アウトなどの促進
○ 政府調達の拡大
■ 2023年度 1.4%(政府目標 3%)
○ 一層の規制緩和、デジタル・AI時代に適した規制・制度の立案プロセ
スの見直し
○ 研究発スタートアップの創出・成長に向けた環境整備(経団連提言「S
cience to Startup」参照)、など
● とりわけ、スタートアップ政策を単独の取り組みとするのではなく、経済政
策全てに横断的にスタートアップエコシステムの拡大という視点を取り入れ
るべき。戦略17分野への資金がほぼ全て大企業に吸い込まれることのないよ
うに。
● 人材を流動させることは賃上げにもつながる。賃金は最低賃金の引き上げと
いう官製賃上げでは限界がある。人材が移動しやすい環境を整備し、生産性
の高い企業や産業に人材が流動することで賃金が上がっていくことが望まし
い。
● 国境を超えて活躍できる人材の育成が急務。イノベーションを起こしグロー
バル規模での大成功を実現するためにも、課題先進国である日本の国内の困
難な問題を解決するためにも、さまざまな文化的背景の人々を率いてことを
なせる人材が必要だが、日本はこの層が薄い。以下に早急に取り組む;
○ 長期留学を桁違いに拡大
■ 米国における日本人留学生のシェア 3位4.6万人(2000年-2001
年) → 8位1.6万人(2022年-2023年)
○ 世界の優秀層(経済、ビジネス、研究のリーダー層)を日本に呼び込
み、日本人のリーダー層との協働環境の構築
2.マクロ経済政策運営について
● 経済政策全般を貫く思想として、張りきった人が報われる社会を目指してほ
しい。現状維持ではなく、変化に挑む企業や人が報われる形に軸足を移すべ
く、中小企業含めた産業政策、社会保障制度など各種制度をトータルで見直
すべき。
● 社会保障制度の見直しにあたっては、過去30年の延長でなく、イノベーショ
ンの視点含め成長社会・経済にふさわしい制度への再設計が必要であり、
「社会保障改革元年」として取り組むべき。
資料8
資料7
令和 7 年第 12 回「経済財政諮問会議」提出資料
若田部昌澄
1.マクロ経済政策運営について
○当⾯どのようなテーマで検討を深めていくべきか
新しい時代にふさわしい新しい経済財政政策基本戦略の構築
1.基本⽅針:⾼圧経済
・現状:インフレは復活したが半分以上はコスト・プッシュ、実質 GDP は停滞
・アベノミクスの成果と教訓・反省を踏まえた上で、時代状況に合わせた進化を⽬指す
・総需要をマクロ経済政策で適切に⽀えることが総供給の強化につながる
2.経済政策の基本戦略
・内外の経済理論・政策論の動向に学ぶ
・政策の統合運⽤:マクロ政策、成⻑政策、貿易政策、再分配政策の統⼀的運⽤
財政政策、⾦融政策の緊密な連携:⽇銀法第4条の精神
・政策策定のインフラ強化:予算、⼈員の増強を!
経済統計:例 賃上げを⽬標→より正確な賃⾦統計!リアルタイム歳⼊・歳出、GDP 統
計公表の先進国並み早期公表
モデル・試算 例 内閣府中⻑期試算の再検討(成⻑率、税収弾性値等)
・政策の正しいコミュニケーション
例 ⽇本の財政状況は(フローでもストックでも)改善している
3.財政政策の基本戦略:新しい時代状況に合わせた財政思想の転換、進化が必要
①物価が上がる世界を前提とした予算編成
インフレ対応型の歳⼊・歳出、⼀⽅で使命を終えた補助⾦の整理・⾒直し
②PB ⿊字化⽬標はデフレ時代の歴史的産物、歴史的使命を終えた
過去:名⽬成⻑率<⻑期⾦利→PB ⿊字化が必要
現在(2013 年以降):名⽬成⻑率>⻑期⾦利→税収増加、⼀定の財政⾚字の許容可能
③財政単年度主義からの脱却:投資としての政府⽀出:危機管理(国防等)、成⻑投資
④債務残⾼対 GDP ⽐への着⽬:総債務か純債務か
Cf. 「(財務省は)債務残⾼もいろいろある、という物の考え⽅をするようになった。科学的、冷静、客観
的、360 度の⽬線がなければならず、⾮常にいい傾向だ」(11 ⽉ 4 ⽇⽚⼭さつき財務⼤⾂記者会⾒)
⑤補正よりも本予算の充実(戦略性、予⾒可能性、持続可能性)→来年度予算編成へ
4.成⻑戦略(会議)との連携:成⻑戦略と枠組みを議論すべし
・成⻑の要は⺠間企業の活⼒:伝統的企業 vs スタートアップではなくどちらも!
・財政政策との連携:必要なところには国がお⾦をつける
・危機管理・成⻑への中⻑期投資の枠組み(投資促進税制、社会的割引率⾒直し、基⾦)
・成功確率を上げる⼯夫・努⼒:対象の明確化、期限・出⼝と評価、市場による規律等
2.経済対策について
○留意すべきポイントは何か
①現状:短期的(7−9 ⽉期)⼤幅マイナス成⻑予想、コスト・プッシュ要因インフレ剥落
②内容:3つの柱建て(物価⾼対策、危機管理・成⻑投資、防衛⼒・外交⼒強化)
③規模:昨年(13.9 兆円)を上回る規模*需給ギャップ、インフレへの影響試算は必須
④政策コミュニケーション:対策の必要性、財政状況への配慮
以上