技術革新が社会に与える影響を分析し、公共価値とイノベーションを両立させるガバナンスのあり方を提言する。
タグ: イノベーション政策, 技術革新, 社会システム, ガバナンス, 未来予測, 公共価値
未来の経済社会システムのあり方(技術革新と人類社会の未来) 【課題認識】 ● 主要国のイノベーション政策が次世代技術を巡るフロンティア開拓競争に移行する中、技術発展動向と社会経済への影響の分析・予見とそれに基づく戦略的政策立案に、未来の経済社会システムのあり方に関する検討の一環として取り組んでいくことが中長期的には必要ではないか。 【4つの技術的「メガトレンド」】 ● 今後10~20年間における技術の発展動向も踏まえると、例えば以下のような潮流が経済社会システムに大きく影響。 ① 人類を超える知性の出現と高度な自律意思決定 ✓ AI等の普及により、熟議民主主義が実現・進化しうる一方、偽情報・判断権限の委譲等により民主的政治基盤が毀損される可能性。また、人類が労働から解放され、資本主義のあり方(ベーシックインカムによる再分配等)や時間の過ごし方が変化する可能性。 ② 人間の認知・身体的拡張と行動の最適化 ③ 長寿命化と健康寿命の飛躍的延長 ✓ ブレインテックや長寿命技術の普及により、老化も含めて医療行為の対象が拡張。それに伴い、国家が国民に平等に提供すべき社会保障の範囲も変化しうる可能性。 ④ 次世代エネルギー源とエネルギー・資源制約の克服 ✓ フュージョン等の普及により、人類がエネルギー制約から解放されると、人々の生活の豊かさが飛躍的に上昇し、生活水準の格差が減る可能性があるが、産業競争力・安全保障の観点では、技術・人材・標準の確保がより一層重要になる。国家間紛争では資源を巡る対立は解消されるものの、異質性への嫌悪を契機とする対立は残存する可能性。 【価値主導型イノベーション・ガバナンスの方向性】 ● 今後の技術革新は、企業主導のテクノバタリアン的な動きと、安全保障と結びついた国家主導のアプローチが併存しながら進展すると見込まれる。これらはイノベーションを加速させる可能性を持つ一方で、倫理・格差・多様性といった公共価値が置き去りにされる危険性も孕む。他方で、規制を過度に強化するアプローチは、社会に有益な技術革新まで阻害しかねない。 ● こうした国際環境の中、市民社会の合意と日本ならではの価値観を重視した価値主導型イノベーション・ガバナンスのあり方を探求し、グローバルに展開していくことで、イノベーションを通じた市民社会の発展とグローバル市場からの付加価値獲得が実現しうる。 36