賃上げやリスキリング、働き方の柔軟化を通じ、構造的人手不足下でも国民の所得向上と生活の豊かさを実現する展望を示す。
タグ: 賃上げ, リスキリング, 働き方改革, 少子高齢化, 資産所得倍増, 労働生産性
(2)見通しの詳細①:得られる国民の豊かさ ポイント ・主要先進国並みの賃上げ(例えば、2023年~2025年の国内の賃上げの水準(名目))の継続で、所得が向上する。 ・人口密度は減少し、二拠点居住が一般化。デジタル化で義務的作業時間が減少し可処分時間は増加。世界で最も健康(健康寿命は75歳以上)に、誰もが(高齢者も障がい者等も)活き活きと生活できる。 (国民一人ひとりの生活、所得) ●賃金は、投資、イノベーションを背景とした労働生産性の向上により交易条件は悪化を抑制し、構造的人手不足による賃金上昇圧力により、主要先進国並みの賃上げ(例えば、2023年~2025年の国内の賃上げの水準(名目))の継続で、伸びる。社会保障負担は、少なくとも2030年までは全人口から生産年齢人口を除いた、年少者(15歳未満)と高齢者(65歳以上)から構成される従属年齡人口比率は横ばいなので、過去30年経験したほどには大きくは増えない(なお、高齢者を機械的に65歳以上と捉えるのではなく、健康寿命で捉えると、日本の場合、74歳以上が高齢者となり、2040年目標では75歳以上となるため、65歳から9~10年延長され、高齢者と捉えられる人の割合が減る。また、年少者も教育期間の長期化を踏まえ、19歳未満とすることで、より健康・教育の実態に即して捉え直した従属年齡人口比率は2040年まで不変)。結果として、手取りは増加傾向となる。また、気候変動対応により電気料金等のエネルギーコストは増えるが、賃金の伸びの方が大きくなることで、負担感は弱くなる。 ●個人のキャリアは、専門性を活かすことがより一層重要になり、デジタル活用を中心としたリスキリングが広がる。リスキリングに取り組む人は、年齢に縛られず学び直しを行い続けることで、賃金が上がりやすくなる。起業も当たり前の選択肢の一つになる。こうした働き手の自律的なキャリア意識の高まりや構造的人手不足を背景に、従来の硬直的な人事制度・賃金制度である終身雇用や年功型賃金といった日本型雇用システムのままでは企業の人材確保は難しくなる。 ●働き方は、子育て・介護といった個人のライフステージに応じて柔軟化する。政府の子育て支援強化と地方・中小企業も含めた働き方改革の浸透による男性の子育て・介護・家事参加によって、既に若い世代で生じ始めているように、女性のL字カーブが解消される。また、地方でも、理工系・デジタル関係含めて幅広い職務で活躍できるようになり、女性の就業機会がさらに増える。またデジタル社会によってあらゆる価値創造プロセスが変化することとあいまって、女性のみならず、あらゆる人が年齢、性別、障がいのあるなし等に関わらず価値創造できるようになる。 ●高齢者(2040年時点で総人口の35%程度)の労働所得は、インフレ傾向でマクロ経済スライドが発動しやすくなる公的年金収入よりも、伸びやすくなる。健康寿命の延伸や構造的人手不足を背景に、企業側も年齢の区切りに関わらず従業員を雇用する。その結果、パートタイムなどの柔軟な働き方の下で、個人の就労が増加し、現在の生産年齢の概念が変わる。 ●家計の所得は、現役世代の賃金上昇、高齢者世代の就労期間の延長による就労所得の上昇に加え、年金収入の相対的な給付水準の抑制を補うための家計貯蓄の金融投資への移行及び企業経営改革(価値創造経営の推進)による株価向上により、金融所得が上昇することで、全体としても上昇する。さらに、企業が従業員へ自社株を付与していれば、企業価値の向上に伴い、株価も向上し、従業員の金融所得も増加する。これらを背景として、個人消費も緩やかな拡大が継続する。 ●失業率は、構造的人手不足を背景に、特に地方・現役世代で、低水準が継続。賃金水準が低い地方・中小を中心に、賃上げを続ける企業は人材を採用できる。賃上げできない企業も、賃上げできる 71