日本企業の成長戦略実行を阻む社会システムの課題を整理し、資本収益性と成長期待の向上に向けた政策検討の方向性を示した中間報告。
タグ: 価値創造経営, 成長戦略, 社会システム, 資本収益性, コーポレートガバナンス, 政策検討
「価値創造経営小委員会中間報告~企業の成長戦略を中心とする社会システム・政策体系の構築に向けて~」 価値創造経営小委員会(令和7年5月) 中間報告の概要 産業構造審議会経済産業政策新機軸部会の下に、「価値創造経営小委員会」を設置し、令和7年2月から小委員会を4回開催、「企業の成長戦略を中心とする社会システム」の構築に向けて、企業の成長戦略の構築・実行の支障となる社会システムの課題とその解決のための政策検討の方向性を議論し、同年5月に中間報告をとりまとめた。 ●コストカット型経済から賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を目指す中で、日本企業※1の多くが成長戦略を実行できない背景には、企業自身の努力はもとより、企業のリスクテイクを阻む様々な問題が、社会システムの中に存在しているのではないかという問題意識の下、企業がリスクをとって持続的な成長を目指していく「攻めの経営」、すなわち、中長期目線の成長戦略によって成長期待を集め、事業ポートフォリオを最適化した上で、積極的な成長投資を実践する経営に踏み出せるよう、「企業の成長戦略を中心とする社会システム※2」を構築していくための課題について整理した。 ※1 本小委員会では主に上場企業を想定 ※2 「企業の成長戦略を中心とする社会システム」とは、資本・金融市場や労働市場、政府(政策体系)が、企業の成長戦略の実行を後押しするようデザインされ、企業が生み出す付加価値が、従業員や経営陣、株主といった価値創造に貢献した主体に適切に還元されることで、企業が持続的に価値創造できる社会システム ●「企業の成長戦略を中心とする社会システム」の実現に向けた「政策検討の方向性」を整理するにあたり、資本収益性(ROE、ROIC等)と成長期待(PBR、PER等)の2軸で上場企業全体を企業群①~④の4つの象限に分類した上で、企業が資本収益性や成長期待のより高いポジションへ移行しようとする際に優先順位が高いと思われる有効な企業の打ち手と、その打ち手の実行の支障となる社会システムの課題を「価値創造マップ」として整理した(図1)。 ●具体的には、全経路共通の課題として、コーポレートガバナンスの実質化、企業と投資家の価値協創関係の構築に向けた株主還元・株主総会・議決権行使・開示、長期性のリスクマネーを供給するアセットオーナーの多様化等を取り上げた。また各企業群が成長に向かう経路として、例えば、企業群①(成長期待低・資本収益性低)から企業群②(成長期待低・資本収益性高)への移行においては、コア・コンピタンスを起点とした既存事業の収益力強化や事業・資産の組み替え等の構造改革等が優先順位の高い打ち手となり、その際に、事業再編手法の多様化や企業間連携の迅速化等が課題となる。また、企業群③(成長期待高・資本収益性低)から企業群④(成長期待高・資本収益性高)へと成長し、さらには、企業群④(成長期待高・資本収益性高)が更なる成長を続けるには、成長投資を継続・加速させ、株主還元に優先させることが有効な打ち手となり、大規模かつリスクの高い投資等の資金調達や、大学・スタートアップと連携した研究開発等が課題となる。 ●その上で、「打ち手の実行の支障となる社会システムの課題」を解決するための政策検討の方向性(図2)を整理するとともに、本小委員会や関連する審議会や研究会等において、「企業の成長戦略を中心とする社会システム」を構築する上で必要な施策の検討を進めていく方針を示した。 18