AI技術の進展に伴い、政府情報システム調達においてAI駆動開発を導入し、成果物の構造化と共有を通じて特定の事業者への依存を解消し、品質の平準化を目指す提言。
タグ: AI駆動開発, 政府情報システム, 調達改革, デジタル化, ベンダーロックイン解消
資料8 政府情報システム調達におけるAI駆動開発の導入に向けた提言 2026年(令和8年)4月16日 内閣府規制改革推進会議 デジタル・AIWG専門委員 村上 将一 村上 文洋 住田 智子 1. AI駆動開発がもたらす本質的変化 近年の生成AIをはじめとするAI技術の進展は、ソフトウェア開発の在り方に本質的な変化をもたらしている。 従来の開発は、仕様を事前に定義し、それに基づいて設計・実装を行うことを前提としていたが、AIの活用により、要件、設計、コード、テスト等を生成し、その結果を評価しながら継続的に改善する開発手法が遠い将来ではなく、すでに現実のものとなっている。 この変化は、単なる作業効率の向上にとどまらず、 ●知識や設計情報の構造化及び再利用 ●開発プロセスの短縮及び柔軟化 ●品質管理の高度化及び自動化 を同時に実現するものであり、ウォーターフォール型、プロトタイプ型、アジャイル型などの各システム開発手法において「人が仕様を決め、実装し、改善する」(決定論的開発)から、「AIが設計やコードなどの候補を生成し、試した評価とそのフィードバックによる改善をループしながら最適化を目指す」(非決定論的開発)へと転換するものである。 このような開発体系(以下「AI駆動開発」という。)は、従来の制度やプロセスを前提とした部分的な改善ではなく、開発・調達の前提そのものを見直す契機となるものである。 2. 政府情報システム調達のあるべき姿 AI駆動開発を前提とした場合、政府情報システム調達のあるべき姿は、以下のように再定義され得る。 (1) 知識と成果物が構造化され、共有される調達 要件定義、設計、開発、テスト等の成果物が、AIによる処理及び再利用を前提とした形式で整備・共有され、特定の事業者に依存することなく、他の事業者や後続工程において容易に活用できる状態が実現されるべきである。 これにより、従来の特定の事業者に依存してしまった結果、既存事業者に占有されてしまい、暗黙知として、ブラックボックス化していた設計・実装知識、運用上の課題等(コンテキスト)が発注者側にもドキュメンテーションとして共有され、他の事業者にも可視化されれば、調達における情報の非対称性の解消を促し、情報システムの品質の平準化を推進する力となる。 1