海底ケーブルの重要性を踏まえ、技術優位性の確保と供給体制の強化により、グローバルシェア拡大と国内インフラの強靱化を目指す。
タグ: 海底ケーブル, デジタルインフラ, サプライチェーン, AI社会, 国際競争力
1. 現状認識と目指す姿【目標】 情報通信 海底ケーブル (1)現状 ① 現状 ・情報通信インフラは他の16分野の発展を支え、それらを投資を意味あるものとする「インフラの中のインフラ」であるため、情報通信インフラそのものを高度化し、再構築するための中長期的かつ継続的な投資が必要。 ・とりわけ海底ケーブルについては、我が国の国際通信の99%を占め、海外との大容量・低遅延な接続の基盤という特徴を有しており、その地理的な位置づけから、我が国のみならずアジア地域のAI社会を支えるインフラの役割を果たす一方、国内ケーブルは本州一離島や離島間通信をつなぐ重要な社会基盤としての機能も有している。 ・世界三大海底ケーブルサプライヤーの一つである我が国企業はマルチコア光ファイバ技術*において技術的優位性を有しているものの、敷設工事の能力差等から苦戦。 *マルチコア光ファイバ技術: 1本の光ファイバに複数の光の通り道(コア)を配置することで、海底ケーブルの構造はそのままで伝送容量を拡大する技術 ② 取り巻く環境と構造変化 ・AI・データセンターなどの伸長に連動してハイパースケーラーが自社回線の整備を加速しており、ケーブル需要は急増。他方、敷設船を含む供給能力が追いついておらず、また、敷設船の老朽化による更なる需給逼迫も想定される中、いかにして旺盛な需要を獲得するかが課題。 ・海底ケーブルサプライヤーの競合他社である米系企業は、国有化や政府調達等を通じた各国政府の支援の下で競争力を強化。また、中国からの新規参入も発現。他方、我が国事業者は、純民間による脆弱なグローバル営業・サポート体制に起因した海外での案件形成能力の欠如等の課題。 ・漁業権等の既存権益との調整や各国における許認可取得に時間を要するなど、敷設に関する予見可能性が十分とは言えず、大規模な初期投資に伴う財務リスク及び長期的な市場の展望が不透明。 ・海底ケーブルの損壊も増加傾向にある中、我が国近海の海底ケーブルを含めた切断や陸揚局*のサービス停止を防ぐための防護体制、海底ケーブルの敷設・保守船の逼迫、作業にあたっての許認可取得の遅れ等に起因するケーブル修理の遅延事案への対応体制確保、ケーブルの冗長化が喫緊の課題。 *陸揚局: 海底ケーブルからの通信を陸上のネットワークに接続するための施設 ・我が国の人口減少が進む中、離島などを結ぶ通信インフラについて、民間資金のみに依存した整備では限界。 ③ 経済的・戦略的な重要性 ・経済的重要性: 海底ケーブル分野は2030年に7,500億円以上の市場規模、また、海底ケーブルの整備・安定運用を通じて誘発される国内の経済効果は約12〜23兆円と見込まれるため、供給能力や地域の「ハブ」機能等について国際競争力強化が重要。 ・戦略的重要性: AI社会を支えるインフラであり、我が国の海底ケーブルサプライヤーの供給体制の強化を通じた自律性の確保、高度な海底ケーブル技術による不可欠性の獲得が重要。国内重要データの流通管理・活用を支えるセキュアなインフラを国内企業により確立。日本国内のインフラ強靱化。 (2) 目標 ① 国内外で獲得を目指す市場 ・2026〜2030年に世界で敷設される海底ケーブルについて、日本企業による総延長シェアの拡大(2030年までにグローバルシェア35%程度(現状20%))。その後も同水準のシェアを維持。 ・東アジアにおける海底ケーブルの「ハブ」機能を拡大し、我が国におけるデータセンターやクラウドサービスなどの整備を誘発、AIの発展やDXの推進に寄与。 ② 達成すべき戦略的な目標 ・主要技術・役務を国内企業で押さえることによるサプライチェーンの盤石化。 ・マルチコア光ファイバ技術等の技術的な優位性の確保を通じた戦略的不可欠性の獲得。 ・現在陸揚げが集中している特定の地域以外への海底ケーブルの多ルート化や地方分散を通じてAI社会を支えるインフラの高度化・強靱化を推進。 ・データセンターを含め、安定したデジタルインフラを国内に有することを強みとして、北米とアジアを結ぶ海底ケーブルの「ハブ」機能を維持・強化するとともに、多ルート化・分散化と連携した新たな地方「ハブ」拠点の形成・拡大を促進。 55