陸上養殖の現状と課題を分析し、2040年に世界市場シェア3割獲得と食料安全保障への貢献を目指す戦略。
タグ: 陸上養殖, フードテック, 食料安全保障, 水産業, 技術革新, 市場シェア
1. 現状認識と目指す姿 【目標】 フードテック 陸上養殖 (1)現状 ① 現状 ・閉鎖循環式陸上養殖(RAS)は、国際的に様々な技術開発が進行しているが、安定生産が実現しておらず総じて実証フェーズ。 ・我が国では、水処理・浄化技術等の強みを有する技術や、最先端のゲノム関連技術を用いた品種開発、人工種苗の生産技術やこれを含めた完全養殖技術等の実証・商業化に向けた事業がスタートアップを中心に展開中。また、豊富な水資源やIT活用等により、魚種や立地特性に合わせた多様な陸上養殖が展開。 ※ 陸上養殖システム(生産物込)の世界市場規模(予測):0.35兆円(2025年)、2.4兆円(2030年)、31兆円(2040年) ② 取り巻く環境と構造変化 ・世界の人口増加、経済発展により、水産物(特にサーモン)の需要が拡大中。更なる需要拡大が見込まれる一方、養殖適地が限られ、気候変動リスク等もあり、海面養殖生産の拡大に足かせ。我が国では、海洋環境の変化により漁獲量や養殖生産量が減少傾向。海域が接する国等との水産資源利用の競合も顕在化。養殖に不可欠な種苗や飼料の多くが天然資源や輸入に依存。 ・陸上養殖技術を集約したモジュール化や先端技術を活用した種苗・飼料、専門人材への投資拡大により、海洋環境や他国等に左右されず水産物の安定生産を実現でき、水産物供給及び陸上養殖投資で世界市場をリードできる可能性。 ③ 経済的・戦略的な重要性 ●経済的重要性: ・国内外のマーケットが求めるmade in/by Japanの水産物の安定供給による市場シェアの拡大 ・過去25年にわたり下がり続けてきた水産物のたんぱく質供給シェアの回復による水産業の復権 ・既存の加工・流通施設の利用や新たな水産物サプライチェーンの構築による地域(「浜」)の経済活性化、雇用創出 ・生産技術等の知的財産を適切に保護できる国・地域への展開によるロイヤルティ収入の向上 ●戦略的重要性: ・気候変動や国際情勢の変化の影響を緩和した状況下での安定的な生産による輸入依存度の低減と海面養殖との共存を通じた自立度の高い我が国の食料安全保障への貢献 ・海洋環境や海洋資源の保全など持続可能性に配慮した食料生産(ESG)への貢献 ・食料自給率の低い国への事業展開によるグローバルな食料安全保障に貢献 ・データの蓄積と技術の改善を進めることで、将来にわたって我が国技術の不可欠性を確保 ・地球環境に優しい養殖産物・技術としての価値の確立による継続した投資の呼び込み ・先端技術を活用した生産性の高い日本産の品種や飼料の開発と供給で日本の陸上養殖技術をチョークポイント化 (2)目標 ① 国内外で獲得を目指す市場 ・2030年にかけて、日本ならではの多様な魚種での用途に応じた陸上養殖を国内展開。こうした国内展開を進めつつ、海外市場に対しモジュール化したシステムを展開することで日本ならではの魚種での海外での新たな水産物市場を創出し、2040年にかけて世界市場のシェア3割を目指す。 ② 達成すべき戦略的な目標 ・国内外の食料安全保障の確保への貢献 285