日本の航空機産業の現状を分析し、2050年に向けた単通路機および次世代航空機市場でのシェア拡大と産業基盤強化の目標を提示している。
タグ: 航空機産業, 国際共同開発, 脱炭素, サプライチェーン, 防衛産業, 市場獲得
1. 現状認識と目指す姿【目標】 航空・宇宙 民間航空機(次期単通路機・次世代航空機) (1)現状 ① 現状 ・我が国の航空機産業は、海外OEMとの機体、エンジンの国際共同開発を主軸に着実に成長を続け、新型コロナウイルスの感染拡大前である2019年時点では、年間売上高ベースで2兆円規模まで発展。 ・ボーイング社の双通路機の開発を中心にサプライヤーの地位を確立し成長してきた一方で、今後拡大することが予想される単通路機市場への参画は限定的。 ・我が国は主要構造体開発を長年担ってきた実績と品質信頼を背景に、単なるコスト競争に陥らない地位を維持。地政学的リスクの低さや輸出管理上の信頼性等から、今後航空需要増が見込まれるアジア諸国の中で高い信頼を獲得。 ② 取り巻く環境と構造変化 ・新興国の成長を背景としたアジア地域内での旅客需要の増加、格安航空会社(LCC)等の利用の更なる拡大、航空機の性能向上に伴う適用可能航路の拡大等により、小型の航空機の運航の高頻度化等が見込まれることから、単通路機の需要は双通路機の需要と比較して今後大きく拡大想定。 ・航空分野における脱炭素化の実現に当たっては、航空機への環境新技術(水素、電動化等)の導入が必要不可欠。 ③ 経済的・戦略的な重要性 ・経済的重要性:航空旅客需要は今後20年間で約2倍に成長が見込まれ、積極的投資により成長が期待できる産業。 ・戦略的重要性:民間航空機開発において必要な設備やサプライチェーン、人材等は防衛産業と共通部分も多くシナジー効果が高く安全保障上も重要。民間航空機産業への投資は、防衛分野への技術裨益を生むとともに、日米間の航空・防衛協力を支える戦略的基盤として不可欠。 (2)目標 ① 国内外で獲得を目指す市場 ・産業の自律的な成長を可能とすべく、航空機産業戦略で掲げる、海外OEMと伍する立場として国際連携による完成機事業の創出を目指し、以下、2つのアプローチでの能力獲得や事業基盤の飛躍的な向上を目指し、2050年に約6兆円/年規模以上の市場獲得を狙う。 (1)今後成長が見込まれる単通路機市場“ボリューム市場”で、海外主要OEMと連携の中で上流工程のプログラム参画を追求し、事業基盤を含めたインテグレーション能力獲得を見据えた市場参画を目指す。 【機体】次期単通路機開発について、上流工程からの参画と2050年までに約8,000機製造を目指す。 【エンジン】次期単通路機搭載エンジン開発について、上流工程からの参画と世界シェア約40%の獲得を目指す。 (2)小型機の脱炭素化やAAM(Advanced Air Mobility)等環境新技術適用を見込む次世代航空機市場“CN等の新たな市場”で、他産業も含めた技術的強みをテコに主導的な立場で開発・事業を実施し、全機/主要系統等のインテグレーション能力を獲得。 ・更に、それらを支える航空機産業の成長の原動力生む基盤(部素材、DX・AI、人材、インフラ、アフターマーケット等)の強化。 ② 達成すべき戦略的な目標 ・航空機の製造に重要な民間・防衛に共通するものを含めた設備投資や、部素材に関するサプライチェーンについて、今後の更なる需要獲得に対応し、国内における安定的な供給確保、更に認証取得に不可欠な設計人材育成を進めることで、競争力強化のレバレッジとすることを目指す。 95