供給制約や金利上昇等の環境変化を踏まえ、財政規律を維持しつつ債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指す財政運営の指針。
タグ: 財政運営, 予算編成改革, 債務残高対GDP比, 経済成長, リスクマネジメント
I 財政総論 財政制度等審議会の建議の方向 (デフレ型経済から供給制約経済への転換) ○ 我が国経済は、需給が引き締まる中で供給面の制約に直面する段階に移行。足もとの中東情勢の緊迫化を踏まえ、今後の物価・経済の動向に一層注視する必要。物価動向に十分に配慮し、実質賃金の継続的な上昇に向けた政策対応が求められる。 (経済力の強化と「投資と賃上げの好循環」) ○ 経済力を強化し、「強い経済」を実現していくためには、「未来への投資」を抜本的に強化する必要。あわせて、企業収益や投資の成果を賃金として適切に還元し、消費の拡大を通じて更なる投資につなげていく「投資と賃上げの好循環」を確立していくことが重要。 (人材希少社会における人材力の強化) ○ 労働供給制約が強まる人材希少社会では、労働生産性の向上と人材配分の適正化を一体の課題として進めていく必要。医療・介護分野などについて、より少ない労働投入量でサービスの質の確保と高い付加価値を生み出すことを可能とし、効率的で持続可能な産業構造への転換が不可欠。 (安全保障環境の変化と不確実性の高まり) ○ 我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、自由で開かれた安定的な国際秩序が大きく揺らぐ中、不確実性が高まっている。経済社会は、不確実性を前提として、将来の見通しが振れ得る中にあっても対応可能な形で設計していくべき。 (財政運営) ○ 金利上昇局面に移行する中、人材や資本と同様に財政資源も制約の下にあることを意識する必要。 ○ 補正予算依存から脱却する予算編成改革については、予算の予見可能性を高め国内投資の持続的拡大に資する観点、歳出構造の平時化の観点から、実効性が具体的に確保されることを期待。危機管理投資・成長投資を含め、多様な財政需要が同時に存在しているため、全体として財政規律との整合性を確保する必要。R7補正やR8予算などこれまでの取組の進捗や成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP比を安定的に引き下げる中で、予算編成改革を進めるべき。 ○ 人口減少の進行や経済社会の構造変化を踏まえ、これまでの財政資源の在り方を所与とせず、社会保障・非社会保障相互の優先順位の在り方を含めて見直し、人材力・経済力を含めた総合的な国力の強化につなげていく視点が重要。 ○ 多様なリスクが重層的に存在し、また、債務残高対GDP比の高い我が国では、財政運営においてリスクマネジメントの視点が不可欠。不確実性の時代において、有事への対応余力を確保する観点から、平時から債務残高対GDP比を安定的に引き下げるとともに、将来の経済・社会の変動に耐え得る財政構造を構築していく必要。 ○ 我が国財政は金利と成長率の関係に大きく依存する構造。財政運営の信頼性を高めるため、中長期試算において、堅実な経済前提を基本としつつ、金利や政策効果等の不確実性を織り込んだ多面的な分析(SDSA(確率的債務持続可能性分析))を行い、財政の持続可能性を検証していくことが重要。 ○ 名目成長率、物価、金利の上昇といった財政を取り巻く環境の変化を踏まえ、債務残高対GDP比の安定的な引下げを財政運営の中核目標として明確に位置づけることは、財政運営が新たな段階に移行することを意味する。 ○ PBを複数年度で管理する枠組みの下でも、金利上昇局面における財政の持続可能性を適切に把握し、市場の信認を確保するため、利払費を含めた財政収支などの動向にも目配りを行い、債務残高対GDP比の動きとの関係を踏まえながら、財政運営を行うことが望ましい。 1