地方財政の持続可能性確保に向け、一般財源の確保、税体系の適正化、DX・AX推進による行政効率化、および社会保障と税の一体改革への対応を提言する。
タグ: 地方財政, 税制改革, 地域経済, 自治体DX, 社会保障
強い経済の実現と健全で持続可能な地方財政基盤の確立のための地方税財政改革についての意見(概要) 令和8年6月22日 地方財政審議会 今後の地方財政の在り方 ■経済・物価動向等を踏まえた一般財源総額の確保 地方自治体が、行政サービスを安定的に提供し、官公需の価格転嫁を通じて地域経済の活性化を推進するため、経済・物価動向等を反映させることにより増加する経費を地方財政計画の歳出に計上し、それに見合った一般財源総額の水平を確保すべき。 国の予算編成の在り方を見直す(「補正予算依存」からの脱却)に当たっては、円滑な事業執行や地方自治体の財政運営に支障がないよう適切に対応すべき。 ■持続可能な地方税財政基盤の構築 自動車税・軽自動車税の環境性能割の廃止及び軽油引取税等の当分の間税率の廃止に伴う減収分について、令和8年度与党税制改正大綱に沿って、地方自治体の安定財源の確保を図るとともに、恒久的な制度見直しが実現するまでの間、国の責任において必要な財政上の措置を講じるべき。 都市・地方の財政格差や行政サービスの地域間格差が拡大している中、わが国が将来にわたり持続可能な形で発展していくため、都市も地方もお互いに支え合うという基本的な考えに立ち、令和8年度与党税制改正大綱に沿って、偏在性の小さい地方税体系の構築に向けた具体的な取組を講じるべき。 ■地方財政の健全化 経済の先行き不透明感等の懸念もあるが、必要な地方財源を確保して臨時財政対策債の新規発行額ゼロを継続するよう努力するとともに、巨額に上る特例的な債務残高の着実な縮減に取り組むべき。 ※臨時財政対策債の残高:約38.8兆円、交付税特別会計借入金の残高:約22.6兆円、計:約61.4兆円(令和8年度末見込み) 主な重要課題への対応 1.強い地域経済の実現 ■地域未来戦略の推進 令和8年度地方財政計画に計上された地域未来基金等により、AIを活用した地域の変革「地域AX」を含め、地域産業の育成、発展を推進すべき。 ■地域を支える人材育成 産業構造の変化に伴い人材需要が大きく変化する中、産業界・大学等と連携し、AX時代の産業基盤・地域社会を支える人材育成を推進すべき。 ■官公需の価格転嫁 地域経済にとって重要な官公需の価格転嫁について、所要額を地方財政計画に計上するとともに、最低制限価格制度の導入等を推進すべき。 2.地方の「暮らし」と「安全」を守る ■関係人口の創出等 「ふるさと住民登録制度」や「地域おこし協力隊」等の取組を支援すべき。 ■持続可能な公共インフラ・サービスの確保 公共施設等適正管理推進事業債の令和9年度以降の在り方を検討すべき。 地域医療提供体制を確保するため、公立病院等に対して所要の財政措置を講じるほか、経営強化プラン終期(令和9年度)後の方策を検討すべき。 3.人口減少等に対応した行政サービス提供体制の構築 ■自治体DX・AXの推進 担い手不足、人材の供給不足に対応するため、地方自治体が積極的にAIを活用し業務の構造変革に取り組めるよう支援すべき。 ■広域連携の推進 これまでの水平的な連携・協力の推進に加え、都道府県による市町村の垂直的な補完・支援を一層推進するなど、都道府県の役割を強化すべき。 人口減少下において活力ある地域をつくるため、都道府県を超えた多様な主体により行う「広域リージョン連携」を推進すべき。 4.社会保障と税の一体改革 ■「給付付き税額控除」について、国と地方が協力して運営していくという基本的な考え方の下、地方に役割を求めるのであれば、制度設計や役割を明確にし、円滑な運用ができるよう国と地方の間で丁寧に協議すべき。 ■「食料品の消費税率ゼロ」について、消費税の約4割が地方財源であることを踏まえ、地方財政への影響に留意して議論を進めるべき。