コロナ禍以降のGDPギャップは改善傾向だが、潜在成長率の低迷は労働・資本投入の寄与が低いことが要因。
年1月から3月までの3か月間に、合計約900億円から1,150億円の損失が発 生した可能性が示された。さらに、都道府県間産業連関表を活用することによ り、サプライチェーンを通じた生産波及効果(派生的な生産減)は、我が国全 体で約700億円から850億円と推計される。この結果、発災後の3か月間で合 計約1,600億円から2,000億円の損失が発生した可能性が示唆された。ただ し、これらの試算は被害額を積み上げたものではなく、市町村ごとの震度等に 基づいた機械的な試算であり幅をもってみる必要がある。また、復興・復旧に 係る需要や代替生産などの効果が織り込まれていない点に留意が必要である。 このように、今回の震災によって、住宅やインフラ等のストックが損壊し、 生産活動の低下によるフローの損失も発生した。他方、稼働を停止していた工 場で生産が再開されるにつれて、石川県の鉱工業生産は、1月を底に持ち直し の動きがみられているほか、本年3月16日に新たに金沢・敦賀間が開通した北 陸新幹線は、開業1か月で約72万人が同区間を利用するなど、北陸経済には、 明るい兆しもみられている。引き続き、今回の地震が経済に与える影響を十分 注視し、被災地の復旧・復興支援を切れ目なく進めていくことが重要である。 (潜在成長率は主要先進国で最も低く労働・資本・全要素生産性の各面で課題) 経済全体の需給の過不足を示すGDPギャップは、コロナ禍による急速な悪化 の後、2023年1-3月期には、2019年7-9月期以来、約3年半ぶりにプラス となるなど、長い目でみれば、振れを伴いながらも改善傾向で推移してきた(第 1-1-2図(1))。こうしたコロナ禍以降のGDPギャップの改善傾向は、主 要先進国とおおむね同様であり、2023年は各国ともにゼロ近傍まで回復したこと が分かる(第1-1-2図(2))。2024年1-3月期には、実質成長率がマイナ ス0.7%となったことを受け、GDPギャップも1%台半ばへとマイナス幅が拡 大したが、これは、上述のとおり、一部自動車メーカーの生産・出荷停止事案の 影響をはじめ各種の特殊要因の影響も受けたものである。今後、雇用・所得環境 が改善する下で、景気の緩やかな回復基調が続いていけば、GDPギャップにつ いても、これまでの改善傾向に復するものと考えられる。 他方、経済の供給力を示す潜在GDPの伸び率では、推計手法により異なること にある(第1-1-2図(3))。潜在成長率は、推計手法により異なることから 幅を持ってみる必要があるが、我が国の潜在成長率の低迷は、人口減少の影響に より労働投入の寄与が主要先進国中で唯一マイナスとなっていることに加え、資 本投入のプラス寄与が他の先進国対比で低位にとどまっていることによる。資本 投入の低迷については、1990年代のバブル崩壊以降、長くデフレ等を背景に、 企業部門が収益確保のために賃金のみならず、成長の源泉である投資を抑制した 1C