日米の予想物価上昇率の反応をVAR分析で比較し、日本はデフレ長期化により物価予想が硬直化している一方、米国は安定していることを示す。
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第1章 景気回復の現状と課題 の方が粘着性が高かったものの、デフレ期に入り日本の粘着性が高まっている(第1-2-24図(3))。また、デフレではなくなった2013年以降も依然として日本の粘着性は高い状態であり、一旦物価は大きく動かないものであるという予想が定着するとその考えを払拭することが難しくなることが示唆される。 さらに、日米の予想物価上昇率が経済変数の変化に対してどのように反応するかについて、日本がデフレに入る前の1998年までと、それ以降の2つの時期に分けてVARを推計した上で各変数に固有のショックを与えることで分析する(第1-2-25図)。まず、日本については、1998年までは、現実の物価上昇率、GDPギャップ、原油価格、為替レートに対して予想物価上昇率が反応しており、現実の物価やGDPギャップ、原油価格の上昇が予想物価上昇率を押し上げる一方、為替の円高方向への動きが予想物価上昇率を押し下げている。1999年以降は、為替の影響は1998年までと大きく変わらないものの、GDPギャップや原油価格に対する予想物価上昇率の反応が小さくなり、また現実の物価に対する反応はほとんどなく、物価の下落が長期化した結果、予想物価は低水準で硬直的になっていると考えられる。 他方、アメリカについては、いずれの4つの変数とも予想物価上昇率に与える影響は小さく、また期間によっても大きくは変わらないことから、予想物価上昇率が日本と比べて安定している状況がうかがわれる。 78