若年層における消費性向低下の要因を分析し、将来不安や社会保障への懸念が消費抑制に繋がっている可能性を指摘した。
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第2節 景気回復の進展と経済再生に向けた進捗 ●年齢階層別にみると若年層で消費性向が低下傾向 ここまで雇用・所得環境の改善を背景に消費が持ち直していることを確認したが、消費の回復が今後一段と力強さを増すためには、所得の伸びがさらに高まることに加え、所得のうち消費に回す割合を示す消費性向も安定することが重要である。そこで、長期的な消費性向の動きについて世帯主の年齢階級別の推移をみると、50歳代の消費性向はほとんど変化していないのに対し、40代以下、特に39歳以下の若年層では低下傾向にある(第1-2-6図(1))。 この要因を、消費性向の分母にあたる可処分所得要因と分子にあたる消費支出要因に分けてみると、40歳代ではバブル崩壊後の1990年代末から賃金が伸び悩んだことなどもあり可処分所得が一貫して下落し消費性向を押し上げる方向に寄与している一方で、消費支出がそれ以上に減少したため、消費性向は緩やかに低下している(第1-2-6図(3))。ただし、2013年以降についてみれば所得も消費も安定しつつある。他方、39歳以下では2012年までは可処分所得が減少し、消費支出も減少という動きは40歳代と大きく変わらなかったものの、今回の景気回復局面では可処分所得が増加する中でも消費支出の減少が続いており、消費性向の一層の低下につながっている(第1-2-6図(2))。 こうした若年層における消費性向の低下の背景については、賃金カーブのフラット化による生涯所得の低下、モノの保有を減らすミニマリスト志向、未婚化・非婚化の動きなど様々な要因が挙げられている(内閣府(2017))。また、39歳以下や40代で持ち家比率が高まるとともに所得・債務比率がこのところ高まっていることから、住宅ローンを抱える世帯が増えて借入金の返済に充てているという面もある(第1-2-6図(5)、付図1-2)。 こうした様々な仮説の中でも、若者の消費性向の低下の要因として将来不安を指摘する声も多い。そこで、金融広報中央委員会のアンケートをみると、老後の生活について不安と思う者の割合はこの20年近くほとんど変化がない。しかし、老後の生活資金として準備しておきたい金融資産と現在の金融資産残高との差額の推移をみてみると(第1-2-6図(6))、特に39歳以下の若年層で差額が大きくなっており14、将来必要と思われる資産を蓄えるために、可処分所得が増加している中でも消費支出を抑制している可能性がある。 こうした老後への不安はすぐに解決できるものではないが、持続可能な社会保障制度を構築するとともに、例えば人づくり革命を通じて、年齢にかかわらず、全ての人が元気に活躍し続けられる社会をつくることなども重要である。 注 (14) この要因として、寿命が延びていることで老後に必要と思われる費用が増加していることなどが考えられる。 39