日本経済の現状分析と、アベノミクスにおける金融緩和政策(量的・質的金融緩和、マイナス金利政策等)の動向と実体経済への影響について解説している。
タグ: アベノミクス, 金融緩和, デフレ脱却, 中古品市場, 資産流動化, 日本銀行
第1章 緩やかな回復が続く日本経済の現状 ト志向は、中古品市場を一層拡大させていく可能性がある。こうした需要面の変化は、新たなサービスの出現の機会である。人手不足が今後も予想される中、安価で良質なサービスを生み出していくためには、AIやIoTの活用を含めたイノベーションが必要である。こうした新分野の発展には、適切な規制・制度の整備が不可欠であり、官民の一体的な取組が必要である。 三つ目として、住宅等の保有資産を流動化することで、家計の購買力を底上げし、消費喚起につなげる必要がある。平均的な家計にとって最大の物理的資産は住宅であり、適切な評価システムの確立等による中古住宅市場の成熟化・拡充によって、住み替えやリフォームが促進され、さらに、住宅を担保とした流動性の確保により消費喚起が期待される。 住宅のような大きな資産を保有しない若い世代においても、前述したような衣料品を始めたした中古品市場の拡大により、様々な財が「資産化」することで、消費喚起に繋がる。ただし、こうした中古品市場についても、匿名の消費者同士が取引をするという不安感もあるため、安心感を確保する取組が重要となろう。 第3節 財政金融政策の動向 アベノミクスの3本の矢は、5年目を迎えた。これまでの取組により、デフレではないという状況になったが、デフレに後戻りすることなく持続的な物価上昇が展望されるというデフレ脱却までは至っていない。ここでは、財政・金融政策の動向を概観することで、これまでの政策動向がどのように実体経済に影響を与えてきたのか分析するとともに、今後の課題について明らかにする。 1 長短金利操作付き量的・質的金融緩和と実体経済への波及 日本銀行は、2013年4月に導入された量的・質的金融緩和について、累次の緩和強化策を取り入れ、さらに2016年1月のマイナス金利政策の導入、同9月のイールドカーブ・コントロール政策の導入の決定など、経済や物価の動向に合わせた金融緩和の取組を続けている。本項では、こうした累次の緩和強化策の実体経済への波及についてみていく。 ●金融緩和により、銀行貸出は増加 消費者物価は、2016年前半の為替の円高方向への動き等を反映した耐久消費財価格の下落などもあり、2016年初めから横ばいで推移している。こうした中、日本銀行は、早期の2%の物価上昇目標の実現に向け、2016年1月には金融機関の日銀当座預金の一部(政策金利残高)にマイナス0.1%の金利を適用することを含めた「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定した。これにより、イールドカーブは全体的に押し下がり、一時、新発20年債が 68