クリーンエネルギー戦略の検討状況と、産業別エネルギー消費量、製造業の比率とエネルギー消費量の推移を解説。
2. クリーンエネルギー戦略の検討状況 岸田内閣総理大臣は、2021年12月6日の所信表明演説で、 エネルギーの供給側のみならず、需要側のイノベーションや 設備投資等、需給両面を一体的に捉えた「クリーンエネルギー 戦略」の策定を表明しました。また、2022年1月18日の「クリー ンエネルギー戦略」に関する有識者懇談会では、「クリーンエ ネルギー戦略」の策定について、具体的な指示がありました。 取りまとめを担う経済産業省22では、クリーンエネルギー 戦略検討合同会議23を開催し、検討を進めています。また、 環境省、金融庁、国土交通省、農林水産省、文部科学省、外 務省、内閣府等の各府省においてそれぞれの担当分野から 検討を進めています。 これまで政府は、2021年6月に「グリーン成長戦略」を策定、 2021年10月には第6次「エネルギー基本計画」を閣議決定しま した。その中で、2050年カーボンニュートラルや2030年度の 野心的な温室効果ガス削減目標の実現に向けた産業政策やエ ネルギー政策を示してきました。こうした野心的な削減目標 に向けて、着実な移行(トランジション)を行うための具体的 な筋道を示すことが、「クリーンエネルギー戦略」の目的の一 つです。そのために、単にエネルギーの供給構造のみならず、 産業構造、国民の暮らし、地域の方り方全般にわたる幅広い 取組が必要であり、多くの論点に方向性を見出すべく検討を 進めています。 ここでは、「クリーンエネルギー戦略」で重点を置いている エネルギーの需要側について、検討の視座を紹介します。 (1)エネルギーの需要側の動向 ①産業部門 産業部門は、日本の最終エネルギー消費全体の61.9%を占 め、うち製造業は全体の42.1%を占めています24。製造業の 中では、化学工業(含石油石炭製品)、鉄鋼業、土石(セメ ント等)、紙・パルプで多くのエネルギーを消費しています(第 122-2-2)。 日本のGDPに占める製造業の産出割合は、国際比較可 能な2019年で23%と主要国の中では高い水準にあるため、製 造業の脱炭素化は日本経済全体の脱炭素化にとっても大きな 課題であることが分かります(第122-2-3)。 製造業のエネルギー消費は大きく電力と熱の2つに分けら れます。電力については、電力事業者が電源の脱炭素化を進 めれば、系統から電力を購入している製造業の脱炭素化も反 射的に進みます。また、個々の企業が工場等に自家発電の太 陽光発電を導入したり、再エネ由来J-クレジットや非化石証 書等を購入することでも進展します。 製造業の中でも、製造プロセス上の特質上、大量の電力と熱 を利用する鉄鋼、化学等では、自家発電の量が相当程度を占 めており、これを低炭素化・脱炭素化していくことも重要で す。石炭火力発電を比較的にCO2排出量の少ないガス火力発電 にリプレースすること、今は単純に焼却されているエネル ギーである廃棄物を利用した発電等を利用すること、水素・ア ンモニアを混焼すること等が挙げられます。ゆくゆくは、排 出されたCO2に対してCCUSを行うこと、水素・アンモニア・ 合成メタンを専焼で利用すること等も選択肢に入ってきま す。 熱については、各企業の脱炭素化に向けた取組が重要になり ます。ただし、熱といってもそのありようは多様です。鉄 鋼では、銑鉄石を溶解するために高炉で石炭を燃焼させて約 【第122-2-1】「クリーンエネルギー戦略」の概念図 クリーンエネルギー戦略 エネルギーの供給側のみならず、需要側のイノベーションや 設備投資等、需給両面を一体的に捉えた「クリーンエネルギー 戦略」の策定を表明しました。 カーボンニュートラル エネルギーの供給側 需要側 46%削減 カーボンニュートラル 足下 2030 2050 エネルギー基本計画 ・成長が期待される14分野 ・エネルギー・イノベーションによるカーボンニュートラ ルの実現 グリーン成長戦略 ・成長が期待される14分野 ・エネルギー・イノベーションによるカーボンニュートラ ルの実現 長期戦略 ・パリ協定の規定に基づく長期低排出発展戦略 ・2050年CNに向けた分野別長期ビジョン ・2050年CNに向けた分野別長期ビジョン 第 2 章 【第122-2-2】産業別のエネルギー消費量(2020年) 鉄鋼業 非鉄金属 化学工業 石油製品・石炭製品 パルプ・紙・紙加工品 機械 食品飲料 その他製造業 電力 石炭・石炭製品 重油・軽油・灯油など燃料油 LPG その他石油製品 ナフサ 天然ガス・都市ガス 再エネ 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 【第122-2-3】主要国の製造業比率とエネルギー消費量(2019年) 60 (%)