2022年の労働経済は雇用情勢が持ち直し、名目賃金は上昇したが、物価高で実質賃金は減少。賃上げは企業・労働者・経済に好影響を与える。
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「令和5年版 労働経済の分析」のポイント① 【2022年の労働経済の推移と特徴】 ○ 我が国の雇用情勢は、経済社会活動が徐々に活発化する中で持ち直している。雇用者数については、女性の正規雇用者数が堅調に増加したほか、「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」では減少から増加に転じた。(⇒3ページ) ○ 人手不足感はコロナ前の水準まで戻りつつある中、転職者は、「より良い条件の仕事を探すため」が牽引し、3年ぶりに増加に転じた。(⇒4ページ) ○ 名目賃金は全ての月で前年同月を上回り、民間主要企業の賃上げ率は、2.20%と4年ぶりに前年の水準を上回った。一方で、円安の進行等に伴う物価上昇により、実質賃金は減少した。(⇒5ページ) ※ 実質賃金:前年比▲1.0% (2021年 +0.6%、2020年 ▲1.2%) 【賃金の現状と課題】 ○ 賃金は、1970年から1990年代前半まではほぼ一貫して増加していたが、1990年代後半以降、それまでの増加トレンドから転換し、減少又は横ばいで推移している。(⇒6ページ) ○ 1990年代後半以降、物価の影響も考慮すると、一人当たりの実質賃金生産性は他の主要先進国並みに上昇しているものの、実質賃金は伸び悩んでいる。我が国においては、労働時間の減少や労働分配率の低下等が賃金を押し下げている。(⇒7、8ページ) ○ 我が国の賃金の伸び悩みには、企業の利益処分分、労使間の交渉力、雇用者の構成等の変化や、日本型雇用慣行の変容、労働者のニーズの多様化が寄与した可能性がある。(⇒9、10ページ) 【賃上げによる企業・労働者や経済等への好影響】 ○ 賃上げは、企業にとっては、求人の被紹介確率を上昇させるとともに離職率を低下させる等の効果があり、労働者にとっては、仕事の満足度を高める等の効果がある。(⇒11ページ) ○ 賃上げは、経済全体でみると、消費や生産等を増加させる効果がある。また、賃上げや雇用の安定は、希望する人の結婚を後押しする観点からも重要。(⇒12ページ) ※ 全労働者の賃金が1%増加した場合に見込まれる効果:生産額 約2.2兆円、雇用者報酬 約0.5兆円 1