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A.政府の経済面における役割の拡大
経済活動において、政府が担う役割が拡大している。
出典: 経済産業省『通商白書2021』2021年6月公表
第1章 我が国を巡る経済情勢と今後の通商を巡るトレンド 第2節 通商を巡る国際潮流 第1節で見てきたように、当面の間、世界各国は新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動の再開という両者の難しいバランスを探りながらの経済運営を余儀なくされる。また、今後の回復はワクチンの実効性や普及の度合いに加え、変異種の発見及びその感染力といった予見困難な与件にも大きく左右される。こうした感染症との共生を余儀なくされるウィズコロナの状況が継続する環境下で、米中対立を始めとする地政学的な変動は更に動きを増し、我が国を取り巻く国際的な政治環境は、新たな段階に入ってきている。本節では、先行きが不透明な世界経済と新たな国際政治を踏まえ、我が国における今後の通商政策と企業活動が前提とすべき四つの大きな国際潮流を述べていく。具体的には、①政府の経済面における役割の拡大、②各国における経済安全保障の強化、③国際経済活動における共通価値への関心の高まり、④ビジネスのデジタル化である。これらの潮流はコロナショックにより、これまでも存在していたものが加速したものもあれば、新たに顕在化したものもある。これらの潮流を的確に把握し、適切な行動を取ることが企業に求められよう。 1. 政府の経済面における役割の拡大 まず、第一の潮流として捉えておくべきは、「政府の経済面における役割の拡大」である。コロナショックの影響が長期化する中で、各国・地域は世界金融危機時の対応を上回る規模で、経済的なダメージが集中した産業や家計を中心として積極的な経済対策を講じている。こうした経済対策について、米国、欧州、中国に絞って整理すると第I-1-2-1表となる。米国においては、コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法や米国救済計画において、失業保険給付金の上乗せ及び給付期間の延長や家計への現金給付と税還付といった支援に加えて、中小企業への信用保証などが実施された。さらにバイデン政権下において、米国雇用計画(2021年3月)と米国家族計画(同年4月)という2つの経済政策構想を発表するなど更なる経済政策が予定されている。米国雇用計画は、構想では約 第I-1-2-1表 米国、欧州、中国の主な経済対策 国・地域 米国 欧州連合 中国 主な政策 〈コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法:2.2兆ドル〉 ■家計への現金給付 ■失業保険給付の延長、金額上乗せ、給付対象拡大 ■中小企業への信用保証(給与保護プログラム) 〈米国救済計画:1.9兆ドル〉 ■家計への現金給付 ■失業保険給付の上乗せを延長 ■扶養税額控除の拡充 〈米国雇用計画:2.65兆ドル〉 ■技術開発のための製造業への支援、職業訓練 ■クリーンエネルギー優遇税制 ■ブロードバンド、電力グリッドへの投資 〈米国家族計画:1.8兆ドル〉 ■幼児教育とコミュニティーカレッジの無償化 ■子供ケア提供者の訓練を含めた子育て支援策 ■「米国救済計画」における扶養税額控除の拡充延長 〈欧州共通予算からの措置:370億ユーロ〉 ■公共投資促進のためのコロナ対応投資イニシアティブ ■欧州連帯基金の適用範囲を公共衛生に拡大 ■欧州投資銀行への信用保証 ■EU機能条約(TEFU)による被害が深刻な企業への補償金 〈欧州委員会が決定した追加政策 5,400億ユーロ〉 ■欧州安定メカニズムを通した与信限度額の拡大 ■雇用保護のための特別貸付 〈「次世代のEU」復興政策:7,500億ユーロ〉 ■復興基金を通した助成金・貸付 ■気候変動対策への支出 〈政府による裁量的支出政策:4.9兆元〉 ■感染症に対する予防と抑制の支出増加 ■医療機器生産の支援 ■失業保険の給付加速 ■減税、社会保障負担の猶予 ■公共投資の増額 備考:米国雇用計画、米国家族計画は議会成立前のため、予算額はCFRBベース。 資料:IMF Policy Tracker, CFRB(Committee for a Responsible Federal Budget)から作成。 18 2021 White Paper on International Economy and Trade