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A.2024年のSPY-7レーダーの追尾能力(SPY-1比)は5倍。
出典: 防衛省『令和7年版 防衛白書(前編)』2025年7月公表
わが国の防衛力の抜本的強化 第2節 2 防衛省・自衛隊の取組 わが国の弾道ミサイル防衛(BMD)は、2004年から整備が開始され、海自イージス艦への弾道ミサイル対処能力の付与や空自ペトリオットPAC-3の配備など、弾道ミサイル攻撃に対するわが国独自の体制整備を着実に進めている。 2017年度以降は、日米で共同開発した、イージス艦に搭載するSM-3ブロックIIAを取得している。SM-3ブロックIIAは、デコイ(おとり)などの迎撃回避手段を備えた弾道ミサイルや通常の軌道よりも高い軌道(ロフテッド軌道)をとることにより迎撃を回避することを意図して発射された弾道ミサイルなどに対しても、迎撃能力が向上している。 また、陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)に替えて取得することとしたイージス・システム搭載艦2隻は、SM-3ブロックIIAのほか、HGVなどにも対処できるSM-6を搭載するなど、最新鋭のイージス艦と同等以上の能力を保有するものであり、省人化とあわせて、荒天時にも運用可能な耐洋性や、長期間の任務につくために居住性などを向上させた艦艇として、2024年度から建造に着手している。 PAC-3についても、能力向上型のPAC-3MSEの取得を進め、2019年度から部隊に配備している。PAC-3MSEは、従来のPAC-3に比べ、弾道ミサイルに対する迎撃高度が十数キロから数十キロに延伸し、防衛範囲(面積)がおおむね2倍以上に拡大した迎撃ミサイルである。 一方、HGVなど多様化・複雑化・高度化する経空脅威に対して、最適な手段による効果的・効率的な対処を行い、被害を局限するためには、弾道ミサイル防衛のための装備品に加え、従来、陸・海・空の各自衛隊で個別に運用してきた防空のための装備品もあわせ、一体的に運用する体制を確立して、統合防空ミサイル防衛能力を強化する必要がある。 このため、各自衛隊が保有する迎撃手段について、整備・補給体系も含めて共通化や合理化を図るほか、HGVなどの探知・追尾能力を強化するため、空自の固定式警戒管制レーダーの能力向上や次期警戒管制レーダーへの換装を進める。また、ペトリオットを改修し、新型レー 図表III-1-2-5 イージス・システム搭載艦(イメージ) イージス・システム搭載艦の能力 SPY-7レーダー ・SPY-1の5倍の追尾能力により ロフテッド軌道や同時複数の弾道ミサイルに対処 CEC ・他艦艇などが追尾した対空目標をリモートで 射撃・誘導が可能となる 共同交戦能力(CEC)を付与 SM-3ブロックIIA ・高い迎撃能力を誇る弾道ミサイル 迎撃誘導弾を搭載 SM-6 ・巡航ミサイルなどに加え極超音速滑空兵器 (HGV)に対し、ターミナル段階で対処 VLS ・各種能力強化に伴い128セルに増強 (まや型は96セル) ・HGV対処(滑空段階)のための 将来装備品への拡張性を付与 ★最新鋭のイージス艦と同等以上の能力を保有 2032年以降搭載を予定する装備品(拡張性) ・12式SSM能力向上型 対水上戦において、相手の脅威圏外から相手艦艇に対処 ・トマホーク 島嶼防衛などにおいて、相手の脅威圏外から地上部隊に対処 ・高出力レーザーなど ドローンによる飽和攻撃に対処 (注)細部は、設計に応じて今後変更することがある 第III部 第1章 わが国自身の防衛体制 7 SM-3ブロックIIAは、従来のSM-3ブロックIAと比較して、迎撃可能高度や防衛範囲が拡大するとともに、撃破能力が向上し、さらに同時対処能力についても向上している。2022年にイージス艦「まや」が海自自衛隊として初めてSM-3ブロックIIAの発射試験を行い、標的の迎撃に成功した。 8 ロフテッド軌道は、弾道ミサイルを高く打ち上げる軌道である。通常よりも高い軌道とすることで、落下速度が速くなり、対処が難しくなる。このほか、射程を最も大きくするミニマムエナジー軌道や、高度を低く抑え高速で飛翔させるディプレスト軌道がある。 日本の防衛 270